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「どうして東京の記者の方がこんな田舎町に?」「・・実は、毎年この町で奇祭が開かれるという情報を得て、その取材にやって来ました。」「そうですか・・」歳三はそう言うと、斎藤の顔を見た。 顔立ちも、落ち着いた雰囲気も“昔”のままだが、本人は“昔”の記憶があるのだろうか―歳三がそんな事を思っていると、斎藤は一口コーヒーを飲んだ後、笑みを浮かべて言った。「お久しぶりです、副長。元気にしておられて安心致しました。」「斎藤、お前記憶があるのか?」「はい。先程知らない振りをしたのは、人目があったからです。」「そうか・・なぁ、近藤さん・・勝っちゃん達とは会ったのか?」「はい。この前、総司達に会いました。二人共元気そうでした。」「そうか。」「まさか、あの副長がこんな所にいらっしゃるなんて思いもしませんでした。」「まぁ俺は自分でもこんな所に居るのかわからねぇよ。ここでも暮らしは、精神がもたねぇ。」「では、近々この町から引っ越されるおつもりで?」「あぁ、祭りが終わってからな。」「そうですか。」斎藤はそう言うと、リュックサックから一冊の手帳を取り出した。「今日はお忙しい中、取材を受けて下さりありがとうございました。」「こっちこそ、こんな所までわざわざ来て貰って済まねぇな。今日はどうやってここまで来たんだ?」「車で来ました。今夜はここで一泊してから帰ります。」「そうした方がいい。宿はどこだ?」「町外れのモーテルです。」「ここは豪雪地帯だから、雪が降るまでに東京へ帰るんだぞ。」「わかりました。」 斎藤とマンションの前で別れた歳三が部屋へ戻ろうとした時、すかさず近くで雑草取りをしていた主婦が彼に駆け寄って来た。「土方先生、さっきの人は?」「・・古い知り合いです。」「そうなんですかぁ。」 主婦は歳三の話を聞くと、興味を失くしたかのようにそのまま自分の部屋へと戻っていってしまった。 山田一家を殺した犯人が見つからぬまま、“胡蝶祭り”の日がやって来た。 町は朝から賑わっていた。 「凄い人だな・・」 モーテルの部屋から出て、斎藤が祭りのメイン会場である荻野神社へと向かうと、そこは地元民や観光客でごった返していた。 神社の沿道には、ベビーカステラやフライドポテト、焼きそばなどの屋台が軒を連ねていた。「あらぁ、あなたこの前土方先生の家の前で会った!」 突然背後から肩を叩かれ、斎藤が振り向くと、そこには地元民と思しき主婦が立っていた。「ねぇ、この町には祭りの取材で来たの?」「はい・・」「だったら、うちの店の宣伝もしてよぉ。うちはね、今流行りのオーガニック食材を使った・・」 何なのだろう、人が何も聞いてやしないのに、こちらがマスコミと知るや否やすぐに自分の店のアピールをしたりする神経の図太さと厚かましさは、この町の住人特有のものなのだろうか?「ねぇ、山田さんの家で起きた事件、犯人はきっと余所者の木戸一家だと思うのよぉ。だってあそこの奥さん、外で変な機械使って、放射能を防ぐとか何とか言って家の窓全体にアルミホイル貼ったりしてさぁ~、息子も何してるかわからない奴だったしねぇ。」 山田一家の事件なら、テレビのニュースを観たから知っているが、一家全員の死因は皆一酸化炭素中毒死で、焼死体として発見されたのは火の回りが早くて彼らが意識を失っていたからだと、地元警察の公式発表でわかっている。 それなのに、東京から来たというだけで、あの震災が齎(もたら)した、一部の放射能に過敏な人達が偶々この町に移住して来ただけで、勝手に犯人扱いか。 ふざけるな。「これから、鬼が来るわよ。」「鬼、ですか?」「山田さんの所があんな風になったじゃない。鬼がこの町に来て、ここを滅ぼしに来るかも!」 何が鬼だ、この町がもし滅びるようならあんたらみたいな詮索・監視好きの住民達の所為だ。「すいません、そろそろ巫女舞が始まる時間なので・・」「あ~、そうなの、残念ねぇ。」 斎藤が主婦に背を向けて歩き出した時、背後から数人分の視線を感じたが、斎藤は一度も振り返らずに本殿へと続く石段を登った。 丁度巫女舞が始まったようで、揃いの巫女装束姿の中学生達が舞台の上で舞っていた。 観客達の拍手に見送られ、彼女達が舞台を降りた後、この祭りの主役である“胡蝶姫”が舞台に現れた。 薄化粧を施した“胡蝶姫”は、静かに舞い始めた。 観客達は皆、その舞が終わるまで誰も微動だにせず舞台だけを見ていた。にほんブログ村
2020年06月30日
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航空機内での密室サスペンス。最初からこいつ怪しいなぁと思ってたやつが犯人だったけれど、まさかあの人が・・というところに驚きました。ラストの爆発シーンと緊急着陸シーンまで手に汗握る展開でしたね。リーアム・ニーソンさんのアクションがキレキレで格好良かったです。
2020年06月30日
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―ねぇ、聞いた?―祭りの主役の巫女が男だって・・―そんなの、嘘でしょう?―本当だって。 胡蝶祭りの主役である胡蝶姫は、代々荻野家の巫女を務めてきた。だが今年は、その巫女が二人揃って不在という不測の事態が起きた為、町の自治会の者達は巫女の代役を立てなくてはならなかった。 巫女は、未婚の女性を意味するので、勿論代役は町の未婚女性の中から選ばなければならなかったが、少子高齢化が進む町で、若い未婚女性は見つからなかった。 この時、祭りを中止すべきだという意見と、続けるべきだという意見で町の住民達は二つに割れた。「巫女が居ないと祭りが・・」「祭りはもうやめるべきです。あんなのはもう、時代遅れです。」「祭りは、この町の・・」 平行線を辿る会議の中、祭りを続けることを決定したのは、自治会長だった。代役選びは難航したが、最終的に巫女には男の歳三に決まった。「面倒臭ぇ・・」 歳三はそう呟きながら、荻野神社の本殿へと続く長い石段を登っていた。「済まないな。土方先生には孫達が世話になっているというのに。」「いいえ。祭りまでまだ時間がありますから、大丈夫です。」「そうか。」滝はそう言うと、歳三の手を握った。 「これからよろしく頼む。」「はい・・」こうして歳三は、祭りの日まで荻野神社へ通う事になった。滝からは直接、祭りの日だけに舞う特別な巫女舞“胡蝶”を歳三は習った。 祭りまであと一週間と迫った頃、荻野神社の氏子の一人でもある山田家が火事に遭い家は全焼し、焼け跡から家族五人の焼死体が発見される事件が起きた。―鬼だ・・―鬼がやって来た。 住民達はそんな事を囁き合いながら、山田一家を殺した犯人の影を怯えた。「山田さんを殺ったのは、あいつらに違ぇねぇ。」「あいつらって?」「ほら、前に山田さんと色々と揉めていた奴らが居たろ?」「あぁ、東京から移住してきた木戸か!」「こっちは親切に玄関先に野菜置いたりしてやってんのによぉ、“放射能まみれの野菜なんか要らない”とか抜かして断るし、毎日外で変な機械使てたなぁ。」「あそこの嫁は頭がおかしかったなぁ。」「そうだな。あいつらに山田さんは散々苦労させられていたなぁ。」 山田家の事件から数日経った頃、町の老人達はそんな事を噂し合いながら酒を飲んでいた。 田舎という所は、自分達のルールに従わない者達を徹底的に排除する。新しく入って来た者は、この町に嫌気が差して出て行ってしまう。 最終的にこの町には、年寄りしか住まなくなる。「それにしても、男が巫女なんてたまげたなぁ!」「今年の祭りはどうなるんだ?」「さぁな。」「まぁ、無事に終わってくれれば何も言わねぇ。」「さてと、そろそろ行くか?」「あぁ。」 彼らがコンビニのイートインから去って行った後、歳三は店の中に入った。「いらっしゃいませ~!」 気怠そうな店員の声に迎えられ、歳三はカゴの中にコーヒーとサンドイッチを食べていると、近くの中学校の校門から生徒達がどっと出て来た。生徒達で埋まった一本道をノロノロと車で進みながら、歳三は溜息を吐いた。 漸く彼が帰宅したのは、コンビニから出て30分後の事だった。駐車場に車を停めて、彼がそこから降りようとした時、一人の青年が歳三の元へとやって来た。「土方歳三さんですよね?はじめまして、俺はこういう者です。」青年はそう言うと、一枚の名刺を歳三に手渡した。そこには、“週刊セブン 斎藤一”と印刷されていた。「斎藤・・お前・・」「どうしました?」「いや、なんでもねぇ。」にほんブログ村
2020年06月29日
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その女は、あの時歳三が車で轢きそうになった女だった。 女は無言で歳三の部屋のドアを執拗に叩いた。たまらず歳三は頭のおかしな女が家の周りをうろついていると警察に通報した。 暫くして、外から女の叫び声と警官達の怒号が聞こえた後、静かになった。(何だったんだ、あの女?) 電気を消して寝ようとしたが、闇の中からまたあの女が現れそうな気がして、その夜は電気をつけて寝た。翌朝、歳三が眠い目を擦りながらコーヒーを淹れていると、誰かが玄関のチャイムを鳴らした。 また昨夜のあの女かと歳三が身構えながらインターフォンの画面を覗くと、そこにはスーツケースをひいた忍が立っていた。「忍、どうした?こんなに朝早く・・」「先生にこの町を離れる前に、ご挨拶をと思いまして・・」「その荷物だと、遠くへ行くのか?」「はい。姉も一緒に。」「そうか・・」「では、もう行きますね。」「あぁ、気を付けてな。」歳三が出勤すると、職員室帆の方が何やら騒がしかった。 「土方先生、おはようございます。」「おはようございます、丸山先生。何かあったんですか?」「何でも、あの美人姉妹が姿を消したそうです。」「そうか・・」「さっき自治会の人達がやって来て、祭りが出来ないからどうするんだって校長達に詰め寄って・・もう、滅茶苦茶ですよ。」丸山はそう言って溜息を吐くと、自分の席へと戻った。「肝心の巫女が不在なんて・・」「こうなったら代役を立てるしか・・」歳三が教師へ向かっていると、そんな話し声が校長室の方から聞こえて来た。「先生、おはようございます。」「おはよう。HR始めるぞ。」「はぁ~い。」 その日の夜、千華から一通のメールが届いた。“わたし達は無事です、安心して下さい。” メールには、千華と忍が笑顔を浮かべている写真が添付されていた。“今は引っ越しの最中なので、忙しくてゆっくりと詳細を書く事は出来ませんが、元気にしております。これから寒さが厳しくなりますが、どうかお身体をご自愛くださいませ、総司。”(メールでも、硬い文章は変わらねぇなぁ・・)歳三はそんな事を思いながら、溜息を吐いた。 久しぶりに、歳三は“昔”の夢を見た。 それは、自分達がまだ上洛して間もない頃の事だった。初めて迎えた京の冬は、江戸のそれよりも寒く、寒がりな歳三は風邪をひいてしまった。「トシは寒がりだなぁ、待ってろ、粥を作ってやるから。」「済まねぇ・・」「お前は最近休む暇がなかったんだから、この際ゆっくりと休んだ方がいい。」「わかった・・」歳三は勇の大きな手に包まれるのを感じながら、ゆっくりと目を閉じた。ドアが何者かに乱暴に叩かれた音で、歳三は夢から覚めた。『土方先生、居るんでしょう?』『開けて下さいよ!』 インターフォンの画面を歳三が覗き込むと、そこには何故か校長達の姿があった。「何ですか、こんな朝早くに・・」「すいません、土方先生・・」「先程の職員会議でですね・・」「祭りが開かれる事になりまして・・」 こいつらは、伝言ゲームでもしているのか。朝早くから叩き起こされ、歳三はイライラしながら彼らの話を聞いた。「それでですね、巫女の代役を務めて貰う事になりまして・・」「は?勝手に決めないで下さいよ、そんな事。」歳三はそう言うと、校長達をにらんだ。「でもねぇ・・」「もう決まった事なんで・・」「ねぇ・・」こうして歳三は一方的に、“胡蝶祭り”の主役である巫女に選ばれた。にほんブログ村
2020年06月29日
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オーストラリアで、謎めいた歌手・アレックスと出会う勝利。 ラストまでどうなるんだろう…
2020年06月28日
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勝利、いつの間にオーストラリアへ? そしてなぞの女の登場に、頭の中に?マークが飛び交う…
2020年06月28日
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あれ、最後のシーンから、勝利どうなったんだろ?
2020年06月28日
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りつことの三角関係は終わったのかな? これからどうなるのか、気になりますね。
2020年06月28日
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長編時代小説でしたが、宮部みゆきさんの時代物は現代ものより人間の業を描いていて面白かったです。
2020年06月27日
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過去に囚われたマッドハンターをアリスはは救えるのか? 時間は残酷ですが、過去に囚われると未来が見えてきませんね。 赤と白の女王姉妹の過去の因縁も漸くたちきれましたね。 爽快なラストで良かったです。
2020年06月27日
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素材はNEO HIMEISM 様からお借りしております。「火宵の月」二次小説です。作者様・出版者様とは関係ありません。二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。(母上が・・あの女が生きているだと!?) 王宮を揺るがした上に姿を消したスウリヤが生きている事を知ったスンア翁主は、すぐさま使いを王宮へと向かわせた。「王様、スンア翁主の使いの者が・・」「スンア翁主から?通せ。」「はい。」「王様、大変な事になりました。」 スンア翁主からの文を読んだ有匡は、その文を被の中へと投げ入れた。「スンア様は、何と・・」「すぐにスンア翁主にこれを贈れ。よいか、必ず渡すのだぞ。」「かしこまりました。」 王宮に嵐が起きる事などつゆ知らず、火月は王宮入りへの支度で慌ただしい日々を過ごしていた。「疲れが取れないわ・・」「まぁ、いけません、お嬢様。そのような所で寝そべっては!」 チェヨンが部屋の床に寝そべっている火月を見て彼女をそう咎めた時、外から悲鳴が聞こえた。「今のは、一体・・」「火月、そこに居るの!?」「はい、お母様!一体何があったのですか!」「早く荷物をまとめなさい!」 状況が全く把握出来ない中、火月は急いでチェヨンと荷物をまとめると部屋の外へと出た。 するとそこには、黒衣の男達に取り囲まれている父の姿があった。「父上!」「火月、早く逃げろ!」「ですが・・わたしは大丈夫だ、早く逃げろ!」「お嬢様、早く・・」 火月は父に背を向け、後ろ髪をひかれる思いで、その場から去った。「母上、あの者達は一体・・」「あの者達は、お前の命を狙っているのです。」「何故、そのような・・」「火月、あなたはこれからチェヨンと共に王宮へ行って、王様に助けを・・」そう言ったユン氏の胸に、刺客が放った矢が深々と突き刺さり、火月は思わず悲鳴を上げた。「お母様!」「お嬢様、お早く!」「生き延びなさい、火月・・お前だけでも。」ユン氏はそう言った後、息絶えた。「居たぞ、あそこだ!」「逃がすな、殺せ!」 火月とチェヨンは必死に刺客から逃げて王宮へと向かったが、その途中でチェヨンは転んでしまった。「チェヨン、大丈夫?」「お嬢様・・」 チェヨンを助け起こそうとした火月は、刺客が彼女の喉元を切り裂くのを見て悲鳴を上げた。「死ねぇ!」 刺客が火月の頭上に剣を振り翳した時、彼の胸に矢が突き刺さった。「火月、無事か!?」「王様・・」 チェヨンの返り血を全身に浴びた火月は、有匡に抱きついた後、安堵の余り気を失ってしまった。にほんブログ村
2020年06月27日
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1959年メンフィス。 11歳のヴィクターは、新聞配達として働き始める。 吃音を抱えながら懸命に働く彼と、年上の友人・スピロさんと子守のマームとの交流などが描かれており、その裏には人種差別に対する描写もありました。 続編である「コピーボーイ」には、スピロさんの遺灰をヴィクターがミシシッピ川の河口に撒くという壮大な目的を果たす為の旅が描かれています。 彼が大学に入ってどのように成長するのかが、気になりますね。
2020年06月26日
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最初から最後まで人間愛に満ちた作品でした。
2020年06月26日
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「何だ!?」 不気味なサイレンの後、スピーカーから女性の音声が聞こえて来た。”只今、大雨洪水警報が発令されました。川の近くに住む方は、高台の公民館へ避難して下さい。“(こんな時に警報か・・) 歳三は溜息を吐きながら窓の外を見ると、濁流が暴れ狂う蛇のように今まさに町を襲おうとしていた。「嵐か・・千華、非常用の食糧は足りておるか?」「はい。」「余り時間がない、急ぐぞ。」「はい、お祖母様。」 大雨洪水警報が発令されて一時間後、不気味なサイレンと共に濁流の唸りが聞こえて来た。「これからどうなるんだ!?」「パパ、怖い!」「胡蝶姫様、どうかお護り下さい!」 公民館に避難した住民達は、外から聞こえる轟音に怯えた。「もう大丈夫だな・・」「あぁ・・」 嵐が町から去ったのは、住民達が公民館からそれぞれ帰路に着いた頃だった。「何とか、危機は脱したな・・」「えぇ・・」「千華、真珠、お前達に話しておきたい事がある。そこへ座れ。」「はい。」「お祖母様、お話とは何でしょうか?」「お前達、町から出て行け。後の事はわたしが何とかする。」「いいのですか?」「構わん。町の因習にこれ以上お前達を縛り付けておくことは出来ん。」「お祖母様・・」「お祖母ちゃん、本当にいいの?」「良いも悪いも、もう決めた事だ。達者で暮らせ。」「お祖母ちゃん・・」 千華は涙を流しながら、滝に抱きついた。「千華、真珠、お前達だけでも幸せになれ。」そう言った滝は、何処か寂しそうだった。 季節は瞬く間に過ぎ去り、鬼蝶町の一大イベントである、“胡蝶祭り”の冬が訪れた。「う~、寒い。」 山あいの集落であるこの町は、盆地なので夏は蒸し暑く、冬は凍えるように寒い。「先生、おはようございます。」「おはよう・・」「先生、厚着しすぎ!」生徒達はそう言うと、厚いダウンジャケットを着た歳三を見て笑った。地元民である彼らは寒さに慣れているようで、皆薄手のコート姿だった。「土方先生、おはようございます。」「荻野、もう身体は大丈夫なのか?」「はい。」「それにしても土方先生は本当に寒がりですね?」「うるせぇ、体質なんだから仕方ねぇだろ!」 歳三はこれ以上校門に居るのが耐えられなくなり、暖房がきいている職員室へと逃げ込んだ。「土方先生は本当に寒がりなんですね。そんなんじゃ祭りの滝行には耐えられませんよ。」「は?滝行?」 毎年冬に行われる“胡蝶祭り”には、男達は皆褌一枚の姿となり、久御山の滝壺へ一人一人身を投げて無病息災を祈るのだという。(そんなの、聞いてねぇ!)「まぁ、東京から来た先生には、色々と祭りの準備を手伝って貰いますよ。」「祭りの手伝い、ですか?」「えぇ、ほとんど書類仕事ですがね。土方先生はお若いから、祭りの櫓づくりの手伝いを・・」「いえ、書類仕事は得意なので、任せて下さい!」 こんな寒い時期に、屋外で力仕事するなんて真っ平御免だ。「・・そうですか、それでは書類仕事の方、任せましたよ。」 こうして、歳三は暖房がきいている中で出来る書類仕事を任された。「あ~、今日も疲れた。」 帰宅した歳三はそう呟いた後、エアコンのスイッチを入れた。 暖房がきいた部屋で、歳三はこたつに入りながらのんびりとテレビを観ていた。もうすぐ観ていた二時間サスペンスドラマが終わろうとしている頃、突然玄関のチャイムが鳴った。(誰だ、こんな時間に・・) 歳三がインターフォンの画面を覗き込むと、そこには包丁を持った白装束姿の女が立っていた。にほんブログ村
2020年06月26日
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かなりのスローペースで二人の関係は進んでゆきますね。
2020年06月26日
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うーん、なかなか進展しないですね。
2020年06月26日
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本当の平和とはなんなのかを読み終わった後に考えるようになりました。
2020年06月26日
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遠距離恋愛が二人の絆を強くしたのでしょうか。 それよりも、勝利にライバル登場したのがなぁ・・相手は年上のいい男。 どうなるのか、Second Seasonで見届けたいと思います。
2020年06月26日
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かれんと勝利に試練が。 タイトルが切ない。
2020年06月26日
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これから急展開を迎えるのかな?
2020年06月26日
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色々とこじれていますね。
2020年06月26日
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一人暮らしを始めようとする勝利。 色々と前途多難ですね。
2020年06月26日
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勝利に妹が。 かれんとの関係はゆっくりと進展してゆきますね。
2020年06月26日
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妻がバス事故で死んだとき、夫は泣けなかった―家族とは何かを考えさせられる作品でしたね。
2020年06月23日
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野田花世が何者かに殺害され、彼女はK.Kという人物から脅迫されている事を知る。花世の恋人でありアイヌの青年・金子太郎の口から語られる、現在も続くアイヌへの差別。その解消には難しいのかもしれませんね。
2020年06月23日
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姿を消した幼馴染・マーゴを探すクエンティン。しかし、その手掛かりとなった地図は架空の街のもので・・ラストまで思春期特有の心の葛藤や友情などが描かれていて、とても面白くて読みごたえがありました。
2020年06月23日
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ある日交通事故で亡くなったリズことエリザベス。天国での暮らしを受け入れず、地上の家族と連絡を取ろうとする彼女を待っていたのは・・切なくも、希望に満ちた作品でしたが、死というものは新たなスタートだと読み終わった後思いました。
2020年06月23日
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16歳のヘイゼルは甲状腺がんが肺に転移し、酸素ボンベが手放せない。そんな中、彼女は骨肉腫で片足を切断したオーガスタスと出会い、惹かれ合う。「死」と向き合う日々を送る二人の恋は、切ないものでしたが、命の尊さを感じられる作品でした。機会があれば、原書も読んでみようと思います。
2020年06月23日
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昨日の別ブログ記事で、「同調圧力」と「自粛・マスク警察」について、ジェリー・スピネッリの「スターガール」の書評を書きましたが、今回はジェリー・スピネッリさんの「ひねり屋」という本から、その「同調圧力」と「狭い価値観」の中からどう抜け出すのかという事を考えていきたいと思います。 作品の舞台はアメリカの田舎町。 タイトルの「ひねり屋」とは、毎年この町で開かれる鳩撃ち大会で、鳩にとどめを刺す為鳩の首をひねる少年たちの事です。 この町では少年たちは鳩の首を大会でひねる事で一人前とされ、ひねり屋になるのは名誉であるという価値観の中、ひねり屋になりたくないと思っている少年・ハーパー。 9歳の誕生日に近所の悪ガキ仲間から仲間入りした彼は、近所に住む少女・ドロシーをいじめます。 悪ガキ集団のリーダーがドロシーを嫌っており、リーダーから「こいつをいじめろ」と言われれば従うしかないし、「ひねり屋」になるのは当然だ、だから鳩を殺してもいいんだ、という狂った狭い価値観の中で、パーシーは自分なりに戦います。 パーシーはある日、鳩と出会い、その鳩をニッパーと名付けて内緒に飼うようになります。 鳩を殺す町で鳩を飼うのは、両親や悪ガキ達が許さないと思ったからでしょう。 どうなるのかわからないと思いながら読み進めていくと、両親はハーパーが内緒で鳩を飼っている事を知っていましたし、彼の事を理解していました。 クライマックスは、鳩撃ち大会のシーンです。 友人のドロシーにニッパーを逃がすように頼んだハーパーでしたが、あろうことかニッパーは大会にハーパーの前に現れます。 ニッパーはこのまま撃ち殺されてしまうのかと思ったのですが、悲しい結果にはなりませんでした。 ラスト、ハーパーが傷ついたニッパーを救い出すシーンは、狭い価値観から抜け出す勇気を持った行為だとわたしは思っています。 何かがおかしいと思ったら、それに合わせるのではなく離れること。 簡単には出来ないものですが、周りに流される事なく自分の好きなように生きてみると、同調圧力のしんどさから解放されると思います。
2020年06月23日
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三角関係はこじれるばかりだけれど、かれんと勝利の関係は進展したかな?ラストまでゆっくりと読んでいきたいと思います。
2020年06月23日
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特急オーシャンアローがトレインジャックされた。事件の真相は身勝手な人間の欲望によるものでしたが、人質が次期駐日アメリカ大使一家である事もあり、米軍も動き出し・・トレインジャックの犯人は日本の警察に逮捕されるのですが、リビアで駐日アメリカ大使を射殺したので、アメリカ側が身柄引き渡しを要求してきたという、色々とややこしくも後味の悪い結末を迎えましたね。事件は無事解決してくれて良かったのですが。
2020年06月23日
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週刊誌の記者が何者かに殺害され、時を同じくして元暴力団員の男も殺害される。 二つの事件の裏にあるのは、ある政治家のネガティブキャンペーンだった。 このシリーズはページを捲るのに夢中になる程面白いですね。 いくつかの点が線となる瞬間、全てのパズルのピースが埋まったような気がしました。
2020年06月23日
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壊れかけた家族の絆を、映画好きの父が救うーそんな物語です。ギャンブル依存の恐ろしさを描きつつも、家族の再生に焦点をあて、映画が人を繋ぐ作品でした。心に響く作品でした。
2020年06月23日
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「こっちよ。」「は、はい・・」 千華と共に車から降りて複合商業施設の中へと入ると、そこは光と音の洪水に満ちていた。 人のざわめき声や人ごみで、忍は少し気分が悪くなってしまった。「すいません、あの・・」「何処か静かな所に行きましょう。」千華はそう言うと、カフェへと向かった。そこは、静かで落ち着いた雰囲気だった。「コーヒーお願いします。」「かしこまりました。」 店員が去った後、千華はスマートフォンの電源を切った。「こういう所では、こんな物は要らないわ。」「はい・・」忍はそう言うと俯いた。「ねぇ、あなたはこれからどうしたいの?」「それはまだ、わかりません。ですが、この町からは出たいと思っています。」「わたしも、同じよ。あんな町、一刻も早くここから出て行きたい。」千華はそう言うと、コーヒーを一口飲んだ。 カフェから出た二人は、色んな店を巡った後、昼食を取る為イタリアンレストランへと入った。「美味そうですね。」「そうね。」「何だか、こういう所に来るのもいいですね。」「もう帰りましょうか?」「はい。」 千華と共に町へと戻った忍は、神社の本宮の方で滝が誰かと言い争っている声が聞こえた。「おいおい、祭りは中止だと!?ふざけるな!」「何と言おうと、祭りは中止にする!」「滝さん、どうしてそんな急に・・」「理由は言わん、帰れ!」滝はそう叫ぶと、街の老人達を追い払った。「お祖母様、さっきの方は・・」「あぁ、あいつらの事なら気にするな。」「そうですか・・」「お祖母ちゃん、今夜はお弁当にしない?たまには手抜きしたいでしょう?」「そうだな。」 一方、歳三は友人の結婚式に出席する為、久しぶりに東京へと来ていた。「よぉトシ、久しぶりだな!」「おぅ、久しぶり!」「田舎暮らしはどうだ、順調か?」「そうでもねぇよ。」歳三はそう言うと、ビールを一口飲んだ。 「おい、大丈夫か?」「あぁ・・」 二次会で少し飲み過ぎた所為で歳三は、そう言うと路上にへたり込んだ。「トシ、どうしたんだ?」「勝っちゃん・・」 歳三が俯いていた顔を上げると、そこには仕事帰りなのか、スーツ姿の勇が立っていた。「すいません、この人の知り合いですか?」「友達の結婚式の二次会で酔い潰れちゃって・・」「そうですか。あとは俺が何とかしますので、勇さんは先に行って下さい。」「わかりました。じゃぁ俺達はこれで。」「トシ、大丈夫か?立てるか?」「うぅ~!」歳三はそう呻くと、近くの植え込みの中に吐いた。勇は泥酔した歳三を抱え、近くのラブホテルに入った。「トシ、水だ!」「あんがと・・」 歳三はそう言うと、勇からペットボトルのミネラルウォーターを受け取った。「お前、下戸なのにどうしてこんな状態になるまで飲んだんだ?」「・・忘れたかったんだ、あの町での事を、全部。」「わかった・・」歳三はそう言うと、目を閉じた。 気晴らしに映画でも観ないか、と勇から誘われるがままに、歳三は彼と学生時代に良く行っていたキネマ座へと向かった。 その日は、タイトルは忘れてしまったが、動物と人間の友情を描いた作品と、アメリカのベストセラー作家の小説が原作の、純愛映画だった。「シネコンよりも、俺は昔ながらの映画館がいいなぁ。何度でも観られるし、飲食物も持ち込み出来るし・・それに、俺はこんな映画館の雰囲気が好きなんだ。」「俺もそうだよ、勝っちゃん。」 キネマ座から出た後、歳三は勇と共にキネマ座の隣にある洋食屋・ピエロで昼食を取っていた。「何だか、街を歩いていると、無意識に“昔”の面影を探してしまうんだよ。」「・・昨夜は迷惑かけちまって、済まなかったな。」「いや、いいんだ。あの町で、ずっと定年まで暮らすつもりはないんだろう、トシ?」「あぁ。」「色々と面倒な事を片付けたら、いつでもうちに帰って来い。お前の部屋は、毎日掃除して使えるようにしてあるから。」「ありがとう、勝っちゃん・・」 勇とピエロの前で別れ、歳三は新幹線とバスを乗り継いで、鬼蝶町へと戻った。 長旅の疲れを癒そうと歳三がシャワーを浴びる為に浴室へ入ろうとした時、不気味なサイレンが町全体に響き渡った。にほんブログ村
2020年06月23日
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高校入試をぶっつぶすー名門高校の入試にまつわる、親子や教室達の欲望や悪意をこれでもかと描いていましたが、最後まで一気読みしました。 ラストの入学式のシーンは、清々しかったです。
2020年06月23日
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かれんと勝利の関係は、プラトニックなものだからこそ、中々進展しないのですね。 三角関係の行方も気になるので、じっくり読んでいこうと思います。
2020年06月23日
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中々進展しないなぁ。 まあ、見守っていこうと思います
2020年06月23日
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父の転勤のため、いとこのかれんと同居することになった勝利。 何だか二人の関係が進展することを願います。
2020年06月23日
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密室ミステリーの短編集ですが、このシリーズは読みやすいしドラマよりもわかりやすい謎解きをしているので好きです。機会があったら、このシリーズの他の作品も読んでみようと思います。
2020年06月22日
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『大奥様、大変です!』『ジョージ、どうしたのです?そんなに大声出して。』『ジェイド様が、お戻りになりました!』『何ですって!?』 レイノルズ伯爵家の女主人・シャーロットは、ジョージの言葉を聞いて思わずワイングラスを握り潰しそうになった。『大奥様、大丈夫ですか?』『本当に、ジェイドが生きているの?それは間違いないわね!?』『はい大奥様、実は・・』ジョージが次の言葉を継ごうとした時、ダイニングルームの扉が開き、一人の男が入って来た。 漆黒の髪をなびかせ、紫紺の瞳を煌めかせたその男―ジェイドは、荒い息を吐きながらシャーロットの元へと駆け寄った後、彼女の前に跪いた。『只今戻りました、シャーロット様。』『あなた、お帰りなさい!』『アリス、ただいま。そちらの方達は誰だい?』『こちらはチヒロさん、わたし達の親戚よ。』『そうか・・初めまして、ジェイドといいます。シャーロット様、わたしは先に部屋に戻って休みます。』『えぇ、そうね。ジェイド、また後で話しましょうね。』『はい。』ジェイドはそう言ってダイニングルームから出て行った。『チヒロ、貴女はこの家を継ぐ気はあるのね?』『はい。』『その答えを聞いただけで満足よ。明日からお前にはレイノルズ伯爵家次期当主になれるよう、一流の教育を受けて貰います。』『わかりました。』 夕食を終えた後、千がメイドに案内された部屋に入ると、そこは青い小花模様の壁紙に囲まれた、上品で優しい雰囲気に包まれていた。『ここは、どなたのお部屋です?』『エミリーの部屋よ。』『大奥様・・』『そんなに堅苦しい呼び方は止めて頂戴。お祖母様と呼んで。』『お休みなさい、お祖母様。』『お休みなさい、チヒロ。』 その日の夜、千はベッドで寝返りを打っていると、何処からか狼が吠える声が聞こえた。 中々眠れずに千が広い屋敷の中を歩いていると、図書室の方から誰かが言い争っているような声が聞こえて来た。『あの男は危険だ!』『チヒロが連れて来た男のこと?彼は危険そうには見えないわ!』『お前は何も知らないからそう言う事が言えるんだ!わたしはあの男が同族を悪魔のように屠っていたのを、この目で確かに見たんだ!あの男は悪魔だ!』 アーノルドとイザベラの会話を盗み聞きしてしまった後、千は静かに自分の部屋へと戻った。この作品の目次はコチラです。にほんブログ村
2020年06月22日
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大学生殺害事件を追う布施と黒田。 未解決殺人事件は、意外な真相を炙り出しましたが、それまでテンポよく進んで読みごたえがありました。 このシリーズ、続きが早く読みたいです。
2020年06月21日
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密室ミステリーですが、ドラマよりも原作の方が読みごたえがあり、緊迫感が後半に進むにつれ高まり、ページを捲る手が止まりませんでした。
2020年06月21日
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トンガで出会った男女の心の機微を描いた作品。 彼らの心に深い傷を負った阪神・淡路大震災。 わたしは当時小学五年生で、震災がおきたときは寝ていたそうです。 ニュースで震災の悲惨さを知りました。 忘れてはならない事だと思います。
2020年06月21日
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これからなぞが徐々にわかろうとしているときに、作者が亡くなり未完に…こんな形で続きが読めないと寂しいです。
2020年06月21日
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総司の前にお楊という娘が登場。 恋の予感かな?と思っていた矢先に襲撃者が…
2020年06月21日
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芹沢暗殺があっさりし過ぎて拍子抜けしてしまいました。 やっと動き出したって感じですね。
2020年06月21日
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今年3月から約3ヶ月続いた自粛期間。その期間中に色々と本を買いすぎてしまい、懐が寒くなり…(今もちょっと寒いですが・笑)コロナあけの今、何だかみんな気持ちが緩んでいるような気がします。第二波が来るかもしれないと、わたしは密かに警戒しています。(カミュのペストは、一旦ペストは終息さしたけれどまた来るかも…という意味深長な終わりかたをしましたし。)
2020年06月20日
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菊一文字と運命の出会いを果たした総司。 何だかとうらぶの沖田組がかわいそうになってきた。 その刀は、何だか「指輪物語」の呪いの指輪みたいですね。 これからゴラム的なものが出てくるのかな? もうすぐ芹沢鴨暗殺かな?
2020年06月20日
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楠小十郎の禍々しさも気になりますが、江戸で総司をストーカーしていた秋月修羅王、京にも来たのか…なんというストーカー根性。 菊一文字と運命のであいをした総司。 「刀剣乱舞」ファンのわたしとしては、そこは加州清光と大和守安定にしてよぉ!と叫びそうになりました(笑)
2020年06月20日
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死んだはずの清河八郎が生きていた理由を、土方さんに説明するのは難しいですよね、総司…最後に出てきた楠小十郎がどこか禍々しい美しさが怖いです。
2020年06月20日
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