BGM選手権、 5月15日
の出題は、「カフカが残した文章」でした。カフカの草稿というかメモのようなものなのでしょう。カフカのお題は、「変身」についで2度目でしょうか。僕は「変身」のときはまだ、投稿しないで聞くだけのリスナーでした。
カフカは、青春時代に夢中になって読みました。「城」、「アメリカ」、「審判」。意味は良くわからなかったけれど、圧倒的に迫ってくる世界の不条理に、一人むなしく抗い、あっけなく敗北する主人公の孤独に、ただただ強烈なインパクトを受けました。そのカフカのお題です!そこでいい曲を選びたいと思いました。
それで、いくつか思い付いた曲をあててみると、どれもみな、そこそこ合います。さらに、その曲から芋づる式に連想した他の曲をあててみても、どれもみな、そこそこ合ってしまいます。かくて候補曲群は膨れ上がるばかりで、しかし決定打が出ません。これは困った、と思っているうちに 木曜日
の夜になってしまい、もう仕方がないので、膨れ上がった候補曲を大ナタでばさばさ削り落とし、なんとか3曲に絞り込んだのが木曜の22時半でした。よし、この3曲を出そう、と決めて、そこから三つの作文にとりかかりましたが、これもまた遅筆ゆえはかどらず、ようやく2本投稿したものの、最後の一つの作文が難航し、気が付いたらもう24時ぎりぎり!あわてて、ともかくも送信のボタンを押したのが、おそらく24時ジャストだったかと思います(^^;)。
○ヴァレンティン・シルヴェストロフ作曲
チェロとピアノによる「三つのポストリュード」(1981/1982年)から第3番
https://www.youtube.com/watch?v=7tjP7eF83x8
シルヴェストロフの音楽は、ひそやかな悲しみとほのかな温かみと郷愁を秘め、現代に生きる孤独がにじみ出て来るようで、かなり好きです。カフカの世界観と、軋みあいながらも、じんわりと共鳴するように思いました。
○モンポウ作曲 組曲「内なる印象」第1番哀歌 第1曲冒頭から、第2曲途中まで
https://www.youtube.com/watch?v=yP3pJ9ZkF3M
内なる孤独と向き合う切り詰めたピアノの音が、カフカの不条理な孤独を、鮮やかに際立たせるように思いました。「内なる印象」は、 5月1日
ね。僕はこの曲を、舘野泉さんのピアノで愛聴しています。
○アルビノーニ作曲 アダージョト短調
https://www.youtube.com/watch?v=zuh3WyfVL2M
昔オーソン・ウェルズが、カフカの「審判」を映画化した際に、この曲が使われていました。白黒映画です。この映画の細かいところは全然覚えていないのですが、映像とこの音楽が、僕の中で固く結びついてしまい、カフカと言えばこの曲がまず頭に浮かんでしまいます。「変身」には合わないけれど、このお題には、結構合うように思いました。
リンクを貼った画像の演奏は、カラヤンによるもので、一つの美の極致と思います。そしてこの画像は、今回たまたま検索して初めて見ましたが、かなり良いです。SFファンの立場から見ると、かなり見ごたえある、完成度の高い映像作品(静止画のスライド形式)です。ただし途中に映画「ディープインパクト」みたいな津波の絵が、動画ではありませんが出てきますので、試聴にあたってはご注意ください。)
それにしても今回のお題、合う曲の範囲がすごく広いなと思いました。カフカの文章の懐の深さゆえでしょうか。
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