2004/08/10
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カテゴリ: 読了本
天切り松は、この年の瀬に何故拘置所に居るかといえば、下手をうったのではない。
警視庁のお偉いさんに、防犯の協力をしてほしいと頼まれて、そのかわりに・・・と天切り松が言った。
拘置所のモッサ飯を食べさせてほしいと願い出て、一番古い拘置所を選び、その中で、”闇がたり”をする。
房の中の者にも看守達にも大変な人気だ。
それぞれの犯罪に照らし合わせ、同じ犯罪でも粋さが有った大正ロマンの頃の義賊たちの話が心地よい。

第一夜「残侠」
初詣の神社の境内で見世物の”十人斬り”
それをあざ笑うかのように横から進み出た老人の姿は、まるでふるっていた。
盲縞の尻を端折って、股引きに手甲脚絆。足元はわざじ履きで、ごていねいに肩からは柳行李振り分け荷を担いでいる。

その老人の居合い抜きは、みごとに青竹を五本に切っていた。
向島一家の賭博場でその老人は、一人勝ち・・・
丁半のコマが揃わず、相談を持ち込まれた寅兄は”つっかい棒”として、その反対に賭けコマを揃える役目を引き受ける。
初詣で見た見事な居合い抜きの老人が相手とあって興味もあった。

第二夜「切れ緒の草鞋」
大晦日の夜明け頃、一人の老人が雑居房にやってきた。
この懲役太郎(わざと年末にパクられ正月を毛布と飯にありつく人)は、62歳だという。
天切り松から言えばまだガキ!
この懲役太郎に説教の”闇がたり”を始める。。。。。。。
先の居合い抜きの老人を寅兄が目細の安(天切り松達の親分)の家に連れてくる。
その老人は、清水の次郎長の子分の小政だという。

でも、歳が合わなくも無い・・??騙りか??
向島の一家が寅兄の昨晩の博打のつけを取りにきた。
親分と寅兄は風呂へ行ってて居ない。
その時、小政(?)は、一宿一飯の恩義にと、バタバタと切り倒す。
松蔵に小政は言う「男っていうのは理屈じゃねぇ。おぎゃあと生まれてからくたばるまで、俺ァ男だ、俺ァ男だと、てめえに言い聞かせて生きるもんだ。よしんばお題目にせえ、そればできれァ、理屈は何もいらねえ。」

なんとも気持ちの良いものだった。

第三夜「目細の安吉」
昔は、サツと悪党の腐れ縁というのがあった。
目安の安吉親分に話があると言ってきた。
男同士の”達引”(元来、くるわ言葉で、客とお女郎が意地の張り合いをする事。どんなにお金を積まれても”嫌なぁものは嫌”。客も男の面子にかけて女を口説く)

第四夜「百面相の恋」
表向き帝大生として暮らしている常兄ィ。
実は、”百面相の常”としての詐欺師。
目細の安吉の組の金庫番でもある切れ者。
常兄ィの下宿の大家のおかみさんが嵌められて銀行への返済に困っていた。
その娘は、常兄ィに恋心をいだいていた。
常兄ィも娘のことを思っていたが、本当の自分を明かすわけにはいかない。

第五夜「花と錨」
おこん姉さんにストーカーのようにまつわりつく男性。
彼は、おこん姉さんに一目ぼれしていた。
まとわりつかれて、おこん姉さんは仕事も出来ない。

第六夜「貴不動見参」

第七夜「星の契り」
松蔵は、初菊という水揚げ前の華魁に一目ぼれをする。
初見せという水揚げの最初の客になることに奔放する。
松蔵にとって、筆おろしでもあった。

第八夜「春のかたみに」
松蔵の父が死んだと警察から連絡があった。
栄治兄ィに連れられて警察に行くと、もう遺骨になっていた。
病気の母を医者にも見せず、姉を身売りさせ、自分を盗人一家に売った父。
そんな父の弔いなどしたくない松蔵。
しかしそんな松蔵を、怒った顔を見た事の無い目細の安吉親分から怒鳴られる。










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最終更新日  2004/08/13 06:40:49 PM
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Re:『天切り松 闇がたり』第二巻・浅田次郎さん(08/10)  
はなびら  さん
いいなぁ、この話し。今は平和なのに、殺伐としてますものね。人の心にも余裕がなくて、、。 (2004/08/13 07:56:20 PM)

Re:『天切り松 闇がたり』第二巻・浅田次郎さん(08/10)  
桃龍乃  さん
あっそうか昨日のは一巻でしたね
何巻もあるんですね
そうするとドラマの方は一巻の話だけかもしれません
二巻も面白そうです、この話、粋でいいですねえ
(ドラマしか見ていませんが;;) (2004/08/14 01:56:43 PM)

Re[1]:『天切り松 闇がたり』第二巻・浅田次郎さん(08/10)  
☆かよ  さん
はなびらさんへ
>いいなぁ、この話し。今は平和なのに、殺伐としてますものね。人の心にも余裕がなくて、、。
-----
今の時代、こんな話を聞きたくなりますよね。
粋でいなせで。。。
(2004/08/14 05:53:57 PM)

Re[1]:『天切り松 闇がたり』第二巻・浅田次郎さん(08/10)  
☆かよ  さん
桃龍乃さんへ
>何巻もあるんですね
>そうするとドラマの方は一巻の話だけかもしれません
二巻も面白そうです、この話、粋でいいですねえ
(ドラマしか見ていませんが;;)
-----
ドラマは見てないのでわかりませんが・・(見た友人に今度借りてきますね)本は第三巻まで有りますよ。
面白いし、とっても読みやすい薄めの本ですよ。
(2004/08/14 05:56:28 PM)

Re:『天切り松 闇がたり』第二巻・浅田次郎さん(08/10)  
小渡樹  さん
うちのHPへの書込みありがとうございます。
また来て下さい。

『天切り松 闇がたり』第二巻では、
小政のエピソ-ドが大好きです。 (2004/08/16 08:01:32 AM)

Re[1]:『天切り松 闇がたり』第二巻・浅田次郎さん(08/10)  
☆かよ  さん
小渡樹さんへ
>『天切り松 闇がたり』第二巻では、
小政のエピソ-ドが大好きです。
-----
はい私もです!
だから小政の出てる第一夜、第二夜のコメントが長いでしょう~^^
(2004/08/16 07:15:35 PM)

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