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この小説を読んだ感想は秋声記念館で講演した先生と同じで何が書きたいのかよくわからない。別の女性の方は秋声のこの小説に秋声の毒を感じると言う。確かに歴代小説源氏物語、西鶴、秋声と小説を比較しながら日本文学に私小説というジャンルを設けたことは新しい。 自分は漱石文学の方が、哲学がありわかりやすいと思うのだが,先生は漱石より選ぶなら秋声でしょうとおっしゃる。日本文学の講義を初めて受けてその分析と先生の7回読破には敬意を賞する次第です。 「女性がよむ秋声文学 第一回 黴」 文教大学 名誉教授 江種満子秋声は女性小説を書かせては右に出る者がいない。黴はその代表作である。本を読むと言うことは自分自身のその物語を作って行く作業をいう。だから一つ一つの言葉に向きあって欲しい。秋声は実際体験した私小説の自然主義である。(作家の妻を書いた小説も目ずらしい。)夏目漱石が後で、あたらしい肴の如く候と評価したという。構成は住まいが8回変わっているのでその場面ごとに区分したほうがいい。三島霜川という影に怯えていく秋声を描く。三島の家に秋声が同居し,さらに飯炊きばあさんの娘が同居する。小説の冒頭、入籍と出産届は同時であった。何もかも遅れている。暫く この言葉に何がこもっているのか。これからでもどんどん物語りが作れる。次の段は過去から始まる。明治文学の一つの技法である。結婚願望旺盛な笹村は芸者遊びのみ。九州での話が,次は跳んで大阪の兄嫁が結婚相手を探そうかという話。転居は下宿3回、家5回お銀の顔はポキポキした顔でやせ形の顔。はじけるような美しい顔にチャームし、秋声焼き餅を焼いたり突っぱねる。1畳の蚊帳でお銀が寝る風景の艶っぽさ。7章「いやなものです。わかれられなくなります。」この一文と60章「いやなもんです。」が絡む構成になっている。60章は笹村がお銀の髪の毛を掴んで暴力をふるう結節点になっている。これは小説を書く前の三島の結婚式での夫婦喧嘩を書き込んだもの。8章はお銀に「帰ってくれ。おまえには用がない」といって深山のところに行く場面。さりとて「家を空けたら困るじゃないか。」とも10章ではお銀はかゆいところに手が届く女と表現している。Kという友人が上京して笹村は、おまへはKの女房になればいい、といわれても気にしないお銀。布団を持ってくるやら、やがてお銀の妊娠を知る。M先生の死は尾崎紅葉先生のこと。58章で深山が笹村の子をさして深山に「笹村に似てびっくりした」という。59章では笹村がお銀を解放(離婚)しようという。60章で初めてお銀が流す涙。ただれ目をしていると表現している。小説で泣いたのはこの1回だけである。この小説で不思議という文字は6回使われ,お銀4回笹村は60章で2回使う。こうして悪妻がよい小説を生む。秋声、漱石しかり。作家になるには悪妻と結婚すべし。(鬼嫁は別ですかね)。
June 15, 2014
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今回の小説はストーリーがあり、わかりやすいが、主語がなかったり、描写をゆっくり読まないとわからなくなる。おまけに後から 登場人物が増えて、関係がわかりにくく、やがて主従関係なのか、家族や夫婦なのかわかりづらい。なぜなら時間的な流れが前後している。そういうわけでゆっくり読んでいくほかない。個々の描写は 自然の描写もさることながら、風俗も明治のころを髣髴させる。文豪の名に恥じない出来である。表現では夏目漱石より心理描写がうまいと思います。特に会話に力が入っています。140614「女性が読む秋声文学の今 第二回あらくれ 立教大学特任教授 林淑美体格のよい顔は少々団子鼻の先生が登場した。書類を鞄から取り出す。ノートあり、ファイルあり、資料のコピー。さらに初版の松本とおるさんの本をコピーして持ってきている。先生はフェミニズム研究で有名で、中野重治の研究でも本を出されている。著書を紹介すると昭和イデオロギー―思想としての文学 林 淑美 (2005/8) 中野重治とモダン・マルクス主義 ミリアム シルババーグ、Miriam Silverberg、林 淑美、 佐復 秀樹 (1998/11) 増補 世界の一環としての日本2 (東洋文庫) 戸坂 潤、 林 淑美 (2006/8/10) 中野重治評論集 (平凡社ライブラリー) 中野 重治、 林 淑美 (1996/5) 思想と風俗 (東洋文庫) 戸坂 潤、 林 淑美 (2001/11) 批評の人間性 中野重治 林 淑美 (2010/4) 増補 世界の一環としての日本 1 (東洋文庫) 戸坂 潤、 林 淑美 (2006/7/11) 知的しょうがい者がボスになる日―当事者中心の組織・社会を創る 林 淑美、河東田 博、 パンジーさわやかチーム (2008/7) 中野重治連続する転向 林 淑美 (1993/1) 現代オーストロネシア語族と華人―口述歴史:台湾を事例として 林 淑美 (2011/12)この「あらくれ」は夏目漱石いわくフィロソフィーがないという。館長の前置きとして最初にこの物語の場所を特定している。東京の西新井大師 王子稲荷間を歩いている。ほぼ小説の場所は東京全図に載っているもので十分です。時代は明治42年ロシア戦争明治37年ですでに終わった時代にかかれた小説だった。まだ荒川放水路がないころの時代。荒川の地図を見せて説明する。生家とその周辺。この小説は女の自立の意思を描き、明治中期以降の女の庶民の意思を描き出した。読売新聞には大正4年に掲載が始まる。その後この新聞を初出紙として本に出る小説に出てくる場所を特定できないところが2箇所ある。養家 たぶん王子の近くです。また、ある山国は高崎から上の鉱山と温泉の町。長野の県境でしょう。文体の特徴は、この時期見られる結果を先に書いて過去にさかのぼって小説が書かれています。年齢が書いてあるのは1章のみですので年表を作りました。また最終章でいくつになったのかわからないと困るので年表にしましたが、最終24~25歳です。 ○年代の表記がいい加減と書評にあるが,年表を作成してみて時間の処理は極めて正確でした。上野の近くに住み東京の都会の風俗を見ることができます。○他の本の年表に違和感がある。時間が錯綜している為の誤解ではないか。中野重治の作品はしょっちゅう倒置が起こる。また記憶から来て思い出の順序そのままであると書評にある。料理屋に出たりは入ったりしていなく、あくまで結果を書いてから、その過程を書いている。洋服屋を開業した店は5軒あり、そのうち1軒は愛宕の3畳のアパート。○戦争が日清戦争日露戦争どちらなのかわからない。博覧会を当て込んだ事業の風俗描写がない東京の田舎について書かれてない。おくのわたし=荒川に決まっています。そのほかの描写もよく書かれていますが,戦争当時は日露戦争と書くものでしょうか。○町の気風が書いていない風俗の書き手としてはうまいです日露戦争を外国の戦争と規定しています。歴史性を否定していると書かれていますが、そんなことにはならない。庶民の女18歳で 責任の否認?嘘でしょう。18歳でまだ人生を判断できる歳ではない。お島の表現が実際のお島の行動に近いように書かれています。お島の行動に沿うように書かれています。お島は自転車を運転します。自立した女性をあらわす。労働服 当時はリボンのついたかわいい服。明治時代は洋服姿は少ないのです。被服的な使い道和服の場合消費服であり労働服であった。自ら労働する女と自己規定している自立について明治時代は女性の自立は野性的な本能としか描くしかなかったお島の男性遍歴はあるものの、性的に奔放ではなかった。どちらかというと性的行為は不得手であった。坂口安吾は「不感症の女」を戦後間もなく書いている。女性を男性から自由なものと描く。性的不感症は男性から女性が自由になる。小説では小野田に従わないから、ある程度自由である。つまり夫であるとともに仕事の相棒でもあった。そのことが小野田の技術の腕より木村の腕のほうが良かった。当時も仕事は一人でできなかった。この当時 女性の記事で 「高橋お伝」 毒婦の象徴として紹介されている。明治12年2月 性的に奔放であるが、お金をとり商売の元手にしている。その記事の中にも7~8歳 女らしからぬ「あらくれ」なる女と表記あり。当時の思想は良き家庭を作るために女性は奉職する思想があった。サロメ,マノンレスコーに紹介される毒婦に世間は道徳的に審判を下す。大学で講義すると女性の場合性的嫌悪感で、道徳的教育になります。自由な女は毒婦を担保します。性的な魅力にひきづられることなく仕事にひかれる。本の中の「自分」という表記1人称を語る。主人公の心理を描かず自分の名刺が頻発します。直接話法の従属で用います。つまり一人称の代名詞は直接話法としてつかいまた直接話法より、遠くへ行かす。自分というものは他の人称に移行できない明治21年 自分という文字が男子とことなる。西洋のように尊称を廃し、男女がわからないようにする。無人称の語り部で1人称に語る場合、無人称に語る場合がある。お島の場合1人称で語っている。お島の視点から内側をみせ、一個の人間の強調という面で外側からの視点がある。私という1人称に変えてもかまわない部分自分という言葉を外してもかまわないという部分さらにお島という主語を自分に変えている部分が見られます。自分という語はお島の自立心と関係する。男から自由な女。お島の自立心、反抗心、出生意欲の象徴女の自立心を性の乱れた「あらくれ」としなければ描けなかった庶民の女の原点がある。あらくれと表象されたことが問題です。そのため男女の遍歴で因果応報の物語にしなければならなかった。因果応報でない女の自立は先の時代を待つしかなかった。最後に夏目漱石をしてこの小説にはフィロソフィーがないという指摘は先生どう思いますかという質問に、これだけ男性遍歴があり若くして生きているお島の物語。物語から哲学はにじみ出ている。
June 15, 2014
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