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先日の「徹子の部屋」で、タモリさんが不思議がってました。「最近の若い人は重要なところに来ると声が裏返るんですよね。なんでだろう?」営業マンでもスタッフでも説明の途中で突然裏声になると..。 「いやそれ、最近の歌聞いてたらそうなるでしょう?」と思わずつぶやいてしまいました。 歌ですよ、原因は。最近のはやり歌は旋律の途中で突然1オクターブ跳ね上がるのが多い。歌のサビ部分で裏声になるのはよくある手法だし、黒人系の歌のファルセットなどもよく見られますが、近頃はメロディの途中で唐突に裏返る歌がやたらと耳に付きます。これが当世風のサウンドなんでしょうが、古い感覚の私には気になってしょうがない。 だから今の若い人が「ヨーデル話法」になるのは歌のノリなので、当然なんじゃないでしょうか?、タモリさん。-------------------------------------------------------<アイルランドの調べシリーズ>前のページ/ 20230510 ダニーボーイを歌うべラフォンテの歌唱力前のページ/ 20230513 ダニーボーイという歌の変遷前のページ/ 20230514 ダニーボーイのバリエーション前のページ/ 20230529 ダニーボーイの原曲変遷図前のページ/ 20230601 朝ドラに「庭の千草」が前のページ/ 20231227 消えゆく歌を追う人前のページ/ 20231228 バーバラ・アレンと米津玄師-------------------------------------------------------
2023/12/29
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先の映画「歌追い人」の主題歌として取り上げられたのは「バーバラ・アレン」という唄。これはスコットランド民謡として一般に知られていますが、アイルランド移民たちにも歌い継がれたようです。 <ジュディ・コリンズ/バーバラ・アレン> この「バーバラ・アレン」は米津玄師の歌詞にも出てきたので知名度も上がったようです。彼はこの歌が好きで「Neighbourhood」という歌にこの曲を登場させています。内容は彼の子供時代の苦い想い出を歌っています。 なつかしさを感じさせるためにこの歌が引用されたという解説がありましたが、単なるなつかしさでなく、もっと深い意味があると思います。 「バーバラ・アレン」という唄には歌詞や旋律に沢山のバージョンがあるそうですが共通する内容は、死にゆく若者に冷たくしてしまった少女が苦悩のあまり死んでしまい、その墓から生えたバラが二人の墓を包むというお話です。 悔恨を昇華させて懐かしさに繋げるという意味で米津氏はこの「バーバラ・アレン」を選んだように思います。重い過去を乗り越えて前に進むための力なんでしょうね。 追伸1:「Neighbourhood」の歌詞の中には「平和も平和で反吐が出た」という文言もありました。気持ちはよく分かりますが、「無差別爆撃で血反吐を吐く」という2023年末の現実に比べれば、ずいぶんマシなような気がします。追伸2:<ガーファンクルの歌>「バーバラ・アレン」には沢山のバリエーションがありますが、私はガーファンクルのバージョンが好きです。-------------------------------------------------------<アイルランドの調べシリーズ>前のページ/ 20230510 ダニーボーイを歌うべラフォンテの歌唱力前のページ/ 20230513 ダニーボーイという歌の変遷前のページ/ 20230514 ダニーボーイのバリエーション前のページ/ 20230529 ダニーボーイの原曲変遷図前のページ/ 20230601 朝ドラに「庭の千草」が前のページ/ 20231227 消えゆく歌を追う人次のページ/ 20231229 裏声の理由/ タモリの疑問に応える-------------------------------------------------------
2023/12/28
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「歌追い人」という映画を先日レンタルで観ました。2000年公開の作品で、アイルランド移民の伝承歌を発見し、保存しようとする人の話です。 アメリカの開拓時代、妹の住むアパラチア山中の村を訪れた女性が、すでに失われたと思われていた200年前の歌が伝承されているのを知ります。女性は音楽の研究者だったのでそれを記録しようとしますが、社会から差別されていたアイリッシュ系移民の村人の心は固く排他的で、銃まで付きつけられます。 Songcatcher (2000) | Film4 Trailer(映画予告編)この映画は創作ドラマですが、そのモデルとなった人がいます。1900年初頭のオリーヴ・D・キャンベルというアメリカ女性の音楽研究者です。 この時代には消滅しかけているイングランド地方の古来の伝承音楽を研究・保存する運動が定着していました。その権威の学者セシル・シャープがイギリスから取材に来て、オリーヴと一緒に数カ月に渡り南アパラチア山地で民謡採集旅行を行います。彼の研究は歌詞だけでなく旋律も忠実に記録したことが高く評価されています。 当時、アイルランド移民は社会的には黒人と同レベルに扱われていたので、アパラチア地方で、閉鎖的に自活するしかなく、その結果、アイルランドの古くからの発音や文化が残ることになったようです。シャープたちはこの地で1600曲近い曲を採取し、1917年にはオリーヴと共著で「南アパラチア地方からのイングランド民謡集」をニューヨークで出版します。こうして、この地道な努力のおかげで多くの歌曲が今に残され、歌い継がれることになったのです。 ただ彼らが採取した曲はバラードやわらべ歌などの歌謡が主で、ダンス音楽や労働歌、聖歌、春歌などには対象でなかったので記録されませんでした。そのために大量の曲が消滅しましたが、ダンス音楽だけは「マウンテン・ミュージック」や「ヒルビリー」として人づってに伝わり、カントリーやブルーグラスなどに変容したそうです。これは後にロックン・ロールへと繋がったとも言われます。 このように、消えゆく伝承歌を記録し保存する人達の努力にまつわるエピソードは本土アイルランドでも残されています。「若者の夢」を採譜したエドワード・バンティングや、「ロンドンデリーの歌」を採譜したジェイン・ロスについてもネット上に克明に記されているので、そちらを参考にしていただくとして、今回は省かせたいただきます。 ただ重要なのは、歌以外にも古い良いものを大事に守るのは学者や研究者でなく一般庶民の役割です。なのでその気持ちは我々も持ち続けたいのですが、それを次世代にちゃんと伝えられるか?となると、それがなかなかに難しいもんなんですね。-------------------------------------------------------<アイルランドの調べシリーズ>前のページ/ 20230510 ダニーボーイを歌うべラフォンテの歌唱力前のページ/ 20230513 ダニーボーイという歌の変遷前のページ/ 20230514 ダニーボーイのバリエーション前のページ/ 20230529 ダニーボーイの原曲変遷図前のページ/ 20230601 朝ドラに「庭の千草」が-------------------------------------------------------次のページ/ 20231228 バーバラ・アレンと米津玄師-------------------------------------------------------
2023/12/27
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今日のNHK朝ドラの「らんまん」を見てたら「夏の名残のばら」が出て来てびっくり。ちょうど調べてたところなので、いいタイミング。ドラマは鹿鳴館での舞踏会開催のための音楽披露会。そこでピアノで演奏されたのがこの曲。 鹿鳴館の竣工は1883年、里見義が「夏の名残のばら」を和訳した「庭の千草」が小学唱歌集に掲載されたのが1884年なので、時代考証としては筋が通っています。このようなかたちで当時の日本に西洋音楽が浸透していったのですね。 しかし、この鹿鳴館イベントは付け焼刃の西欧化だったため、残念ながら国内外で大炎上することになります。 <浮世絵とビゴーの風刺絵>(井上馨らがイメージした日本人の姿は、西洋人から見ると散々です) ちなみに、この「夏の名残のばら」はなんとベートーベンも取り上げていたので紹介しておきます。ベートーベン/20のアイルランド歌曲集 (WoO 153) 6番「悲しく不幸な季節」 (「夏の名残のバラ」の旋律によるベートーベンのバージョンです)また「らんまん」の昨日放映の話には明治政府が増税のために施行した「酒石税」が出てきました。それまでの酒はその年に出荷した酒量に課税する「庫出税」だったのに対し、「酒石税」はその年に仕込んだすべての酒に税をかけるというえげつない内容。仕込み失敗による廃棄や、古酒のために寝かせている酒の腐敗などの損失は見込んでない。そのために多くの蔵元がつぶれ、日本酒の古酒が絶滅しました。その一方で酒税は国税の税収第1位となり、後の幾つもの戦争の度に増税され続けました。 幸い最近になって5年や10年寝かせた熟成古酒が復活し始めていますが、100年にわたる古酒の空白時代を生むことになりました。<リキュールのような深みのある日本酒の古酒>(灘の「沢の鶴」さんは30年を超える古酒も出してられます)当時の日本の状況からすると、西欧諸国との不平等な立場を対等にしようとする焦りや、軍事費捻出のための増税など、明治の日本を建て直すために行った新政府のあがきが日本をかき乱します。そのために国内外からの嘲笑や経済的混乱などの犠牲を招きながらも、結果的には日本が近代国家へと一歩踏み出すことになったのですね。------------------------------------------------------------<アイルランドの調べシリーズ>前のページ/ 20230510 ダニーボーイを歌うべラフォンテの歌唱力前のページ/ 20230513 ダニーボーイという歌の変遷前のページ/ 20230514 ダニーボーイのバリエーション前のページ/ 20230529 ダニーボーイの原曲変遷図次のページ/ 20231227 消えゆく歌を追う人------------------------------------------------------------
2023/06/01
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(ハープは10世紀にはアイルランドの王族たちが愛用し、国のシンボル的楽器でした)「ダニー・ボーイ」については、ネット上に沢山の記事があげられていて大変参考になっています。私もここであれこれと書いていますが、これは得た情報を私なりに整理したいので、すみませんが重複覚悟で書かせてもらっています。さて、幾つもの記事の中で特に充実した資料を見つけたので追記させてもらいます。小村志保さんという方の『「ダニー・ボーイ」の歌をめぐる一考察』という論文で、歴史的な背景からの詳しい記述がされており、とても読みごたえがありました。ダニー・ボーイはロンドン/デリー出身?「ダニー・ボーイ」の歌をめぐる一考察(PDFデータ)(これは12ページもあるのでちょっと読みづらいかもしれません。)この論文によると、この曲はその歴史的背景と深く関わりながら変遷してきたそうです。アイルランド北部で生まれた曲が、イングランドからの侵略や迫害のもとで消滅しかけ、それを守ろうとする人々によって歌い継がれ、記録されてきたとのこと。 そんな経過の中で様々な歌詞が付けられたり、編曲されたりして沢山のバリエーションを生み、広く人々に広まっていったようです。 また「ロンドンデリーの歌」という題名は屈辱的だとする声もあります。この地名はイングランドの植民事業で名付けられたので、古来の地名の「デリーの歌」と呼ぶ人々も多く、今日もなお、沢山の血が流された紛争の歴史が尾を引いています。 とりあえず今回は、先日に記したことへの補足として、沢山あるバリエーション曲を整理し、この曲の誕生から今日までの変遷説を自分なりに時系列でまとめて、図にしてみました。<ダニーボーイの変遷図> 16世紀末に作られたとされる「丘の上のエドモンド」から、「若者の夢」が生まれ、それが「ロンドンデリーエア」と「ハイド城」に分かれて、それぞれが「ダニー・ボーイ」と「庭の千草」に至るという説を図示しました。また「オカハン族の嘆き」が「若者の夢」の原曲だという説もあるので、付け加えてみました。 なお「庭の千草」が「ダニーボーイ」の類型とされているのですが、私にはどう見ても同じ曲とは思えません。でも専門家によると類型と見なされるようです。The groves of Blarney, "'Tis the last rose of summer"(「庭の千草」の元歌の「ブラー二―の森/最後のバラ」と表記されたハープ演奏)伝統音楽の世界では人から人へと伝わっていくうちに韻律や音域が変わったり、歌詞や構成が変化したりします。そのため異なる曲に思えても同じ曲から発展した場合があり、構造を注意深く分析することで根幹が同じ旋律だと判断できるそうです。(19世紀の音楽収集家ペトリーの論)まあ、こんなふうに様々な曲の変遷にまつわる事柄をあれこれ考えながら探るのも面白いですね。 (追伸)アイルランドの悲痛な歴史を見ると、ロック・ギタリストのゲイリー・ムーアがいつも怖い顔をしていた理由がよくわかりました。また、別の情報によれば、ムーアの葬式でも彼の息子がダニーボーイを弾いたそうです。(ご参考)小柳有美さんのブログ「the Muse / Danny Boy (Londonderry Air) Part1」にも各曲についての詳細な記述があって興味深いです。------------------------------------------------------------<アイルランドの調べシリーズ>前のページ/ 20230510 ダニーボーイを歌うべラフォンテの歌唱力前のページ/ 20230513 ダニーボーイという歌の変遷前のページ/ 20230514 ダニーボーイのバリエーション次のページ/ 20230601 朝ドラに「庭の千草」が------------------------------------------------------------
2023/05/29
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(FEウエザリー作詞のダニーボーイの楽譜)私はケルティック・ウーマンの「ユー・レイズ・ミー・アップ」が「ダニーボーイ」にあまりにそっくりなので戸惑っておりました。 この曲が混声デュオ「シークレット・ガーデン」の2002年のオリジナル曲だったということを知ったのは最近の事です。またケルティック・ウーマンは「ダニーボーイ」も歌っているので、これら2曲は別な作品として認識されているようです。 そう思って「ユー・レイズ・ミー・アップ」を聴き直すと、なるほど別な曲としてのまとまりも感じます。まあ、コピーかオリジナルかなどというような議論には関わりたくないので、私としては「ダニーボーイ」の影響を深く受けた曲として受け止めたいと思います。言い換えれば、ある曲のエッセンスを受け継いで生まれた新たな作品です。 ま、そんな視点で「ダニーボーイ」の曲の原曲とされる先住民族の伝承曲の「若者の夢」を聴くと、短い旋律に続いて流れる旋律は確かに「ダニーボーイ」の後半に高音で歌われるサビの部分にそっくりです。おそらくはこの「若者の夢」での短い導入部が発展するか、別な曲とドッキングして「ロンドンデリーエア」が生まれたのでしょう。Aisling an Oighfir / Ortigueira (演奏される2曲のうちの前半の曲が「若者の夢」で「ダニーボーイ」の原曲か?) つまり「オカハン族の嘆き/若者の夢」というハープ曲がアレンジされて「ロンドンデリーエア/ダニーボーイ」という歌になり、それが「ユー・レイズ・ミー・アップ」という歌に引き継がれたのでしょう。 このようにひとつの曲が変貌してゆくのを味わうのも、音楽の醍醐味ではないでしょうか?------------------------------------------------------------<アイルランドの調べシリーズ>前のページ/ 20230510 ダニーボーイを歌うべラフォンテの歌唱力前のページ/ 20230513 ダニーボーイという歌の変遷 次のページ/ 20230529 ダニーボーイの原曲変遷図次のページ/ 20230601 朝ドラに「庭の千草」が------------------------------------------------------------
2023/05/14
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「ダニーボーイ」という歌の変遷については多くのサイトでも語られていますが、私なりに簡単にまとめてみました。この歌は元々、アイルランドの先住民族の伝承音楽だったそうです。最北端のロンドンデリー地方に住むオカハン族で、17世紀初頭にイギリス軍に制圧されます。しかしその器楽曲は地元に残り、19世紀半ばに街角のフィドル弾きから採譜されたものが「アイルランド古代音楽集」に収録されます。 この曲は当初は無名の演奏曲でしたが「ロンドンデリーエア」とも呼ばれるようになり、それに様々な人が詞をつけて世の中に広まり始めます。19世紀末には恋の歌詞が付けられ「ロンドンデリーの歌」として親しまれるようになります。 アイルランドの人々に広く浸透するのは20世紀初頭です。出兵する若者への送別歌という内容の歌詞が付けられた「ダニーボーイ」として発表されると、第一次大戦や移民に臨むアイルランド人の間に愛好され、第二の国歌のような扱いにされるまでに至ります。またC V スタンフォード作曲の「アイルランド狂詩曲」の中にもその旋律が採用され、クラシックの分野でも認められるようになります。 (*C V スタンフォード - アイルランド狂詩曲第1番/8:05から始まる旋律) こうして現代では世界中の人が愛好する定番曲となっていますが、この曲は特別な意味を持つ曲として扱われているようです。映画でもこの歌を歌うシーンを入れることで、作品における表現や主張を高めたものが見かけられます。 J F ケネディやダイアナ妃、プレスリーなどの葬儀では「ダニーボーイ」が流されたそうですが、あちらではこれが定番曲になっているのかもしれません。そう言えば数年前、日本でも葬儀会社オークスのCMに使われていました。 また村上春樹の小説「世界の終りと~ワンダーランド」にもビング・クロスビーが歌う「ダニーボーイ」がストーリーと絡まって何度か出て来ますね。 「ダニーボーイ」という歌は、様々なかたちで私らの生活や文化に浸透しているようです。------------------------------------------------------------前のページ/ 20230510 ダニーボーイを歌うべラフォンテの歌唱力次のページ/ 20230514 ダニーボーイのバリエーション次のページ/ 20230529 ダニーボーイの原曲変遷図次のページ/ 20230601 朝ドラに「庭の千草」が------------------------------------------------------------
2023/05/13
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(*中学の頃から、文字どおり摺り切れるまで聴いたアルバム)2023年4月にハリー・べラフォンテが亡くなりました。すでに沢山の追悼記事が投稿され、彼の歌う「ダニーボーイ」についても幾人かの人々が言及されているので、重ねて言うべきこともありません。しかし、べラフォンテを知らない人には是非一度、彼の歌う「ダニーボーイ」を聴いて欲しいと思ってます。歌ってこんな風に歌われることも出来るんだということを。 今の時代にはそぐわない歌唱スタイルかも知れませんが、好き嫌いはともかく、一度だけでも耳にしていただければ幸いです。 べラフォンテ特有の細かくソフトな「ビブラート」、低く抑えた歌い出しから「ハイトーン」で歌い上げる後半までのメリハリ。一句一句を丁寧に歌い込みながらも様々な歌唱テクニックが控えめに使われます。半拍置いて歌いだす「タメ」、低い音から本来の音にスライドさせる「しゃくり」、音程を引き下ろす「フォール」、そして長く余韻を残す「ロングトーン」など。 彼の身体から絞り出されるようなこの歌唱は、抑制されながらも情感たっぷりで、一つの芸術にまで高められているように思います。これは凡庸な歌手にはとうてい真似出来ない世界ではないでしょうか。♪ HARRY BELAFONTE ~ Danny Boy ~ ちなみに、三島由紀夫がべラフォンテを空前絶後の歌手と絶賛しているので、ご参考になればと思います。偉大な官能の詩――ベラフォンテの初公演/三島由紀夫 ------------------------------------------------------------ 前のページ/ 20230502 五月の風と大将飾り<アイルランドの調べシリーズ>次のページ/ 20230513 ダニーボーイという歌の変遷次のページ/ 20230514 ダニーボーイのバリエーション次のページ/ 20230529 ダニーボーイの原曲変遷図次のページ/ 20230601 朝ドラに「庭の千草」が次のページ/ 20231227 消えゆく歌を追う人次のページ/ 20231228 バーバラ・アレンと米津玄師------------------------------------------------------------
2023/05/10
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みのさんの動画をあれこれ見てたら、明治・大正期の演歌師・唖蝉坊(あぜんぼう)のCDが出てきてびっくり。みのミュージック「最近見つけた音楽を紹介するだけの動画」(3分30秒から6分15秒あたり) 私が敬愛する「あぜんぼう」を、現在の邦楽のルーツとして紹介してくれたのは嬉しいです。この演歌師による「演歌」については私も昔にあれこれ語ったので、ご興味ある方は文末のリストからご一読頂ければ幸いです。 しかしみのさんは近年になってからの「演歌」についても語っていて、この動画がとっても面白かったので紹介します。演歌の歴史「演歌が誤解されまくってる件について」 私には初耳だった「演歌」の実態ですが、この話題は3年も前にNHKの「ちこちゃんに叱られる」で取り上げられたそうです。なのでもう大概の人がご存じの話題かも知れませんが、一応概略を説明させていただきます。この話のネタ本は 大阪大学の輪島裕介先生著の「創られた『日本の心』神話『演歌』をめぐる戦後大衆音楽史」だそうです。その内容は、現在、我々が「演歌」と呼んでいる唄のジャンルは、1966年に五木寛之が小説「艶歌」で定義付けしたことから始まります。「庶民の怨念悲傷を歌った艶なる歌」という設定です。その「演歌」という呼称が社会的に広く認知されたのは1970年に入った頃で、レコード会社のジャンルに設定され、新聞などの媒体では「艶」の活字が使えないために「演歌」と表記されて広まりました。だから音楽史的には「演歌」は「ロック」や「グループサウンズ」よりずっと後になって登場したジャンルとのこと。 演歌はそれまでに生み出された沢山の歌謡曲も取り込んで大きなジャンルとなります。そしてこぶしを効かせた独特の歌唱法で、恨みや哀愁を歌い、日本人の根源的な歌というイメ―ジに染められて行きます。しかし五木の小説で描かれた時点で、演歌はすでに衰退し始めているとされ、時代と共に新しい傾向の歌に圧倒されつつありました。そして絶滅がささやかれる頃に起こった中高年のカラオケブームがその寿命を延命させて今に至っているそうです。なるほど、演歌というものの歩みが見えてきました。洋楽系の私には歌謡曲や演歌は苦手な分野なので長年避けてきましたが、こうやって再考するとなかなかにユニークな歌のジャンですね。演歌は「限界集落」なのか~ヒャダインの歌謡曲のススメ#4 ヒアダイン氏も、演歌を今の音楽との対比させて適格な考察をしています。こうして演歌というものの位置づけを再確認できたのはとても面白いことでした。でもやっぱり私は明治大正の「演歌」の方が好きだなあ。■20130920 100年経って聴く演説歌■20130927 添田唖蝉坊の唄に泣く■20130926 添田アゼンボーを唄う人------------------------------------------------------------前のページ/ 20220925 みのさんのビートルズ解説動画にときめく 後のページ/ 20230502 五月の風と大将飾り ------------------------------------------------------------
2022/10/17
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YOU-TUBEでビートルズのアルバムの解説動画を見つけたので覗いてみました。「ラバー・ソウル - 全曲解説」というタイトルです。ビートルズをデビュー当時から親しんで来た私としては、今の若いもんがどんなコメントするのかと、ちょっと上から目線で観たのですが、恐れ入りました。よく仕込んでます。ラバー・ソウル全曲完全解説【ビートルズ】みのさんというミュージシャンでもあるルーカス・ミノ・ポールショック氏の動画サイトです。今31歳かな、私より2世代若い人です。 まあ、彼の解説内容は様々な専門図書や関連動画の情報を集約したものですが、よく整理されています。それを自論を交えて一気に語る。内容はアルバム制作時の様々なエピソードや、誰がどの楽器を演奏してるかなどのマニアックな話題です。なので興味ない人にはどうでもいい話題ですが、ビートルズフリークにはたまらない。私もビートルズ本はいくつか読みましたが、この動画には初耳情報や技術的なサウンド分析も入ってるので面白く、次々と幾つもの動画をハシゴすることに。<ビートルズ本>(今手元に残っている本ですが、やはり録音技師 J・エメリックの本が抜群に面白かった。) 解説動画には音源が入ってませんが、ビートルズのアルバムなら大体の曲は覚えているし、ギターフレーズや伴奏のディテールも大体思い浮かびます。しかしビートルズの楽曲は200曲を超えるのでその半分しか詳細は覚えていません。なので恥ずかしながら、最後にはビートルズのCDをかけながらの鑑賞となりました。 みのさんの早口で畳み掛けるような口調は、クセが強くて好き嫌いがありそうだが、私にはかえって明快で聞き取りやすい。多少、情報の欠損や間違いもあるが、後で素直に訂正してるので潔い。 ずらりと並んだ動画一覧を見ると、2-3年前から幅広いジャンルで沢山アップされているので、ご存じも方も多いかと思いますが、この文章を書き始めた2か月程前には読売新聞のコラム記事でも彼が紹介されてました。YOU-TUBEには他の人も解説動画をあげてますが、この「みのミュージック」シリーズは一番見ごたえあります。なにより、音楽やミュージシャンへのリスペクトが感じられるのがいい。おかげで今後の愉しみが増えました。<みのミュージック>サージェント・ペパーズ全曲完全解説【ビートルズ】【ビートルズ】リボルバー全曲完全解説知られざる5人目のビートルズの活躍ロック史解説vol.3 ビートルズの登場とロックの多様化ベースラインだけでビートルズの曲を当てろ!【クイズ】------------------------------------------------------------前のページ/ 20220717 ゴッホの死とピストル、山田五郎説 後のページ/ 20221017 演歌の意外な歴史------------------------------------------------------------
2022/09/25
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ベンチャーズのジェリー・マギーさんが一昨日に亡くなりました。東京でのソロ公演のために来日していて、リハーサル中に心臓発作で倒れたとか。彼は何度もベンチャーズに加わって活動してましたが、それ以外にデラニー&ボニーやブルースバンドなどでも活動するなど、幅の広いギタリストでした。クラシカル・ガス特に私は彼のソロ・ギターが好きで、彼の「クラシカル・ガス」は私のフィンガー・ピッキングの手本となりました。完コピーは無理ですが、一応、この曲で舞台にも立たせてもらったこともあります。そんな師であるジェリー・マギーさんに感謝するとともに、ご冥福をお祈りします。--------------------------------------------------------前のページ/20191009 エルトンとバーニーの切ない関係 次のページ/20191024 寒山寺の拓本の奇妙な文字--------------------------------------------------------
2019/10/14
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私がエルトン・ジョンを知ったのは、20才の頃。ラジオで流れた歌をオープンリールテープに録音した時に「作詞はバーニー・トーピンです」という説明コメントまで入ってしまい、それで、この二人の名前を覚えました。映画「ロケットマン」の基本的なストーリーは、ゲイであるエルトンが作詞家のバーニー・トーピンと出会って心惹かれながら、その気持を受け入れて貰えない苦悩を歌に託して生きるという話が軸となります。エルトンの気持ちを知りながら、バーニーはその心情を歌詞にし、エルトンはメロディを付けて歌います。何という自虐的な行為。そしてそれらが次々とヒットし、歌い続けなければならないという、これまた皮肉的な展開。この二人の間にはこんなことがあったのですね。私は彼等の人物や歌の意味などには感心が薄く、歌詞を訳すこともなく、ただ耳だけで50年間聴いてきました。映画「ロケットマン」はそんな私に、歌の後ろに秘められたドラマや心情など様々な情報を与えてくれたました。私はまた根性込めてエルトンを聴きたくなりました。なお、この映画の宣伝のために配布された情報の中に、とてもいい解説がありました。町山智浩さんの「映画『ロケットマン』を見る前に聞くと映画が100倍楽しめるエルトン特集」です。これはラジオ番組を転用したもののようですが、エルトンの人生や歌についての斬新な解釈がされていて、大変参考になりました。たとえば私のカラオケ持ち歌の「ダニエル」は、ベトナム戦争で深い傷を負った兄を慕う歌だとか、「僕を救ったプリマドンナ」は大誤訳で、正しくは「僕を自己中女から救ったシュガー・ベア(ロング・ジョン・ボルドリー)」だとか、いろいろ。ただ、町山氏の語る「ロケットマン」に関する解釈は、ちょっと首をひねる部分もあって、私としては鵜呑みにはしていませんが、「レイ・ブラッドベリ」の短編「宇宙船乗組員」が原作のようだという話は、ブラッドベリファンとしてはとても嬉しいエピソードでした。ともかく、町山氏のエルトンへの愛情こもった熱い話は、多少オーバーヒートしていても映画同様面白く、満足でした。これは30分近くあって、全部聞くのは大変なので、あくまで興味ある人にのみ、お薦めします。--------------------------------------------------------前のページ/20191008 先々月見た映画「ロケットマン」、よかった次のページ/20191014 ジェリー・マギーさんのフィンガー・ピッキング--------------------------------------------------------
2019/10/08
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スクリーンでエルトンを味わう映画好きなのに映画館にはめったに見に行かない私。この正月には娘に誘われて「ボヘミアン・ラプソディ」を。久々の映画鑑賞。そこそこ良くできた作品でした。でもあれほどヒットするとはねえ。先月はエルトン・ジョンを描いた「ロケットマン」が封切られたので、珍しく私から妻を映画館に誘いました。これはほうっておけません。作品はテンポも良く、なかなかうまくまとめられていて面白かった。どちらも同じ監督作品ですが、前作とはまた違うタイプの作品で、中身は濃い。しかしエルトンに淡白な日本では興行的には難しいかも。この作品はエルトン・ジョンの伝記映画とされていますが、ちょっと違います。事実と異なったり時系列を無視したりしてます。つまりこれはエルトンのランダムな回想をもとに再構成したドラマで、彼の歌をミュージックビデオ風に楽しむ音楽映画といっていいでしょう。でもエルトンの歩んだ人生の概要はちゃんと描いてます。まあ、本物らしく語られるドキュメンタリー映画にしても、必ず誇張や過剰演出があるものなので、彼の真実の人生を知りたければ、これをきっかけに各自が探ればいいでしょう。でもこの映画のおかげで、私は彼の歌の深さを知ることになりました。それについては次回に....。(あれこれと慌ただしく流れて行く月日。書きかけの日記がどんどんたまって行きます。)----------------------------------------------------------前のページ/20190805 さよなら、可愛いものたち 次のページ/20191009 エルトンとバーニーの切ない関係----------------------------------------------------------
2019/10/08
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思いがけない時にテレビから復興節が飛び出しました。HHKの大河ドラマ「いだてん」でした。大正12年の関東大地震で全てを失いながら、逞しく立ち上がりつつある人々の姿を面白おかしく歌った歌です。私はこの歌が好きで、聴く度に心が温まります。添田さつき・復興節/ 土取利行(唄・演奏)Hukko bushi/T.Tsuchitori------------------家は焼けても江戸っ子の 意気は消えない見ておくれ アラマー、オヤマー、たちまち並んだバラックに夜は寝ながら、お月様ながめて、エーゾエーゾ、帝都復興 エーゾエーゾ ♪------------------ これを作ったのは明治・大正期に活躍した演歌士・添田唖蝉坊(そえだあぜんぼう)の息子の添田さつき(本名は知道)。この親子が日本の歌曲の社会派シンガー&ソングライターの元祖であります。そして、彼らの歌を現代に蘇らせたジャズ・ミュージシャンの土取利行さん。この歌については5-6年前にこのブログで取り上げさせてもらいました。(「関東大震災の焼け跡で歌った演歌師」)バラックが立ち並ぶ日暮里の焼け跡で、悲惨と絶望の底にある群衆に囲まれて歌う演歌士。当時のマスコミといえば新聞しかなかった時代、街角で歌う演歌士は貴重な情報源でした。添田さつきは、袋叩きにあうのではとびくつきながら、震災の悲惨さを描写した報道歌「大震災の歌」を歌うと、無言で聴いていた人々が歌詞を買い求め始める。続いて「復興節」を歌うと笑いが起こる。こうしてこれらの歌は被災地の人々に受け入れられ、全国で広く唄われました。ラジオ放送が開始されたのはその二年後のことです。私はこの添田親子を主人公にした大河ドラマが出来る事を待ち望んでいます。文明開化で戸惑う世の中、民主主義や資本主義、権威や政治家を痛烈な批判歌で繰り広げるドラマです。当然、あの宮武外骨先生も登場するでしょう。きっと愉快なドラマになると思いますよ。楽しみ。
2019/06/24
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洋楽の様々な名曲がどのように生まれたのかを解説するBS番組、"Song To Soul-永遠の一曲" でコニー・フランシスが取り上げられてましたが、とても感心した事がありました。Vacation - Connie Francis - ( Lyrics )コニーのプロデューサーは、屋根職人だった父親、ジョージ・フランコネロ・シニアでしたが、彼の後押しのおかげで彼女は経験を積んでデビューし、パティ・ペイジやドリス・デイといったポピュラー系大物歌手を押し分けて、ロックンロール系のスターとしてアメリカン・ミュージック・シーンに躍り出ました。 成功した次のステップとして、父親が勧めたのが他国語で歌うことでした。そんな事、他の歌手達は誰もやっていなかったのですが、彼女は躊躇なく取り組みました。なぜか、その理由は、当時アメリカが世界から疎まれ嫌われていることを父親が気にしていたからだといいます。政府や役人なんかに任せていても、他国のアメリカに対する感情は変わらない。だからお前の歌でアメリカのイメージを変えるのだ、と。こうして、コニーは世界15ヶ国の言語で吹き込みました。特に力を入れたのは日本語とドイツ語だという、なるほど、かっての敵国です。日本語では30曲もあったそうです。確かに、YOU-TUBEで日本語の歌を次々とクリックしてみると、どれも聞き覚えのある歌ばかりでした。夢のデイト(日本語)/コニー・フランシスかくして、コニー・フランシスの、いや父親の世界戦略は見事に成功しました。私の同年代の人たちが当時、アメリカに親しみと憧れを抱いたのも、この戦略のおかげだと、今頃気づきました。コニーと父親とは家庭的にいろいろと確執があったようですが、この点に関してはこのお父さんに素直に感謝しておきたいと思います。コニー・フランシス 大人になりたい(日本語)1962(アメリカでの人気はイマイチだったこの曲ですが、日本の事情もよく知って いたコニーは、日本の女性にウケると直感して日本語で吹き込み、大ヒット させたということです。)
2018/08/11
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<Folk Rock Bar "Phoe~be" >お店のブログはこちら大阪での洋楽カラオケ会の帰りにアメリカ村にあるフィービーに。ここはアメリカンフォーク&ロックミュージックが流れるバー。レコード店勤務で膨大な知識を詰め込んだ若いSさん夫婦が経営するお店で、今年で13年目という。サザンコンフォートのカクテルを飲みながら、流れている軽快な音楽が気持良くって「なんだかCSNYのS・スティルスのサウンドを思い出すなあ」と言うと、あ、これスティルスのバンドですよ。マナサスです、と。そこから一気に、ブリティッシュロックがアメリカンミュージックの影響を受けて発展していった流れの話で1時間。いやそれ以上か?他に客がいないのを幸いに二人で盛り上がりました。バックに流してくれたのはマスターが先日買ってきたLP、スティーヴン・スティルスとジュディ・コリンズが最近出したアルバム。二人とも70歳を超えるのに変らぬ歌声。(ジュディはなんと78歳!)恋して別れて50年経っての初の共同録音。何とも味わい深いものがあります。それから話は何故かプログレに飛び、英国、米国、日本と移って四人囃子のアルバム「一触即発」を両面聴くことに。マスターがこちらの分野にも造形が深いのには驚きました。20才から聴いてきた音楽の知識を総動員しての四方山話。その生半可な記憶を訂正し、深い解説をつけてくれるマスター。実に中身の濃いひと時でした。飲み干したダイキリとマルガリータのフローズンカクテルが格段に美味しかった。春が来たんだなあ。Stills & Collins - Houses (Lyric Video)昔とちっとも変らないジュディの歌声、ホントに78歳?
2018/04/01
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クリスマスソングはじつに沢山の歌が作られていますね。ですが、せっかく覚えていてもめったに歌う機会などほとんどありません。しかし私は最近、あちこちの洋楽カラオケ会に入って歌っているので、この際、思いっきりクリスマスソングを歌ってやろうと発奮。YOU-TUBEでおさらいしてみると、中学時代に聞いたビング・クロスビーのほとんどはしっかり覚えてます。別にクリスチャンではないのですが讃美歌なども幾つかはイケます。しかし単に知っているだけでなく、ちゃんと歌えるかとなると10数曲に絞られます。これにうろ覚えだった歌や新たなものを付け加えてリストアップ。先日、大阪と奈良で歌いまくってきました。その中でもこの「The Christmas Song」は「暖炉で炙った栗の実」 という美味しそうな副題が付いていてとても素敵な歌です。途中の「メリークリスマス、トゥ ユー」というフレーズだけしか覚えてなかったのですが、YOU-TUBEでそれらしき歌を探しまくり、やっと見つけた次第です。The Christmas Song (Chestnuts roasting on an open fire) lyricsこの歌を最初歌ったのがナット・キング・コールで、他に沢山の人も歌ってますが、彼のバージョンが最高ですね。途中で入ってくるジャズっぽいピアノもたまりません。幸いDAMのカラオケにもあるので、これはイタダキです。次に感動したこの歌、名曲ですが、まだ完全とまではいかないので、何とかマスターしたいですね。Have Yourself A Merry Little Christmas - Kelly Clarksonそして歌うたびに厳粛な気分になるこの歌「オー・ホーリーナイトJosh Groban - O Holy Night [with lyrics]また最近よくTVで耳にするようになったこの歌は、昔、タイガースの「落葉の物語」で使われていて、「素敵な、素敵な、恋の物語」というところのフレーズがバロック曲か何かの一節を取り込んでいるようなんですがその題名が分からない。ずっと気になってたのですが、あるカラオケ会で歌ってくれた女性がいて、やっと題名がわかりました。賛美歌106番 「荒野の果てに」です。「Gloria~」の部分でした。感動しましたよ。半世紀近く経ってやっと胸のつかえがとれたような気がしてね。Angels We Have Heard On Highそんなこんなで、これ以外の私のお気に入りクリスマスソングをざっとあげてみればこんなふうになります。Adeste fidele/きたれ友よ(カトリック聖歌113番)Blue Christmas - Elvis PresleyFrosty The SnowmanHappy Xmas - John LennonIt's Beginning To Look A Lot Like Christmas - Perry ComoIts the Most Wonderful Time of the Year - Andy WilliamsJingle Bell RockLast Christmas - WhamLet It SnowRockin around the Christmas tree - Brenda LeeSilver BellsThe First NoelWinter Wonderland他にも素敵な歌がありますが、とても覚えきれないので、来年の課題として楽しみにしておきましょう。なんせ、大変な量の歌が眠ってます。来年一年かけてじっくり探して、12月の歌会の楽しみにしておきましょう。Baby, It's Cold Outside (イディナ・メンゼル&マイケル・ブーブレ Cover) 日本語訳ところで、クリスマスソングではないのですが、面白い歌を見つけました。「外は寒いよ」という歌で、帰ろうとする女の子をあれこれ理屈をつけて引き止めるというけしからん内容です。男女の掛け合いが絶妙で、なんとかお相手の女性を見つけて歌ってみたいものです。もちろん歌だけですよ。
2017/12/22
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先月に「よーいドン」でTV放映されたジャズスポット・ブルーライツ。常連の端くれとしてはその後の反響が気になってました。その後、インスタ目的の若者たちが押し掛けたらどうしようとハラハラしてましたが、まったくそんな雰囲気はなかったよ、との常連のSさんの話で一安心。そりゃそうですね、最近はジャズを聴く若者は少ないようだし、スイングジャズという言葉も耳にすることがなくなったし。この店は元々、自分のために山奥に建てたリスニングハウスで、人々の要望に答えて喫茶店にしたという経歴だけに、商売っ気もなくアクセスも大変不便。だから、いつもお客は少ない。時には店を覗いても真っ暗で、ドアホンを押すと母屋から高齢のマスターが出て来て店を開けて電気を点け、アンプのスイッチを入れるという実話もあり、行く時は事前に電話した方がよいとまで言われてました。長年通っているSさんは、いつも貸切のような状態なので、お気に入りのレコードを持参してそれを十分堪能することが出来たとか。でも先日行ったら12人もの客がいて、自分のリクエストの盤がなかなかかからなかったとぼやきながらも、嬉しそうでした。しかもみんなジャズが好きそうなお客ばかりだったとのこと。お店が満席の日もあったとのことで、このお店を元気づけようといろいろイベントを企画されてきたSさんにとっては、やっと世間に認められたという安堵感が大きかったのでしょう。先日行った時にマスターにも聞くと、確かにお客さんは増えているけど、様子見の方が多いようで、落ち着いた頃に来て下さるでしょうとのこと。こうして常連さんが増えればいいですね。お店も、先代のマスター亡きあと息子さんが引き継ぎ、三代目さんも店を手伝うことがあるので、この素晴らしい音響遺産をずっと守り続けて欲しいものです。さて、先に上げたSさんは同じ会社のOBさんを集めて名盤鑑賞会を毎月開催されてますが、若手ジャズメンも応援されております。地元枚方にも全国的に活躍しているミュージシャンがおり、このブルーライツの音響設計された店内を使って毎年、ライブを企画し、今年で5回目だとか。私も今回スケジュールが合ったので、やっと参加することが出来ました。地元出身で、全国的に活躍している山田静香さんのピアノトリオです。とてもよかった。優しさや快活さに溢れたとても表情豊かなピアノでした。演奏する彼女も、他のメンバーと目くばせしながらとても楽しそうに演奏していてました。ジャズと言えば、なんとなく難しい顔で演奏するとっつきにくい音楽というのが私のイメージでしたが、これも時代なんでしょうか?ポップな感覚でジャズが楽しめるなんて、嬉しいです。それに、身近なところにも次世代の音楽を背負う若いひとたちがいるというのもありがたいことですね。
2017/09/27
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日頃モゴモゴと小さな声でしゃべって、いつも聞き返される私ですが、歌う時はけっこうでかい声が出ます。若い頃、バンドでジミヘンやらツエッペリンなどを大声でがなっていた名残です。おかげで展示会やイベントの設営現場であれこれ指示を出すのに大いに役立ちました。大声で歌う理由は、音程は不安定だしビブラートはかけられないので、結局パワーの勢いで歌うことになるからです。だから私が歌って快適に感じる歌は尾崎清彦の「また逢う日まで」。この人はマイクを壊したといわれる程の大声なので、身体を使って歌うには持って来い。しかし日本の歌手ではこのタイプは他にいない。なので洋楽を探すと、真っ先に黒人系が目に付きます。だけどゴスペルやR&Bまで行くとパワーがありすぎてアタマと耳が痛くなります。おまけに黒人独特のフィーリングはとても手が届くものではありません。そこで白人の大声男を探せば、何と言ってもトム・ジョーンズ。この人は本当にうるさい、いや、パワフル。そのせいか、若い頃には興味なく、ほとんど聞き流していました。でも運動がてらに歌うにはいいかと、ヒトカラでちょいとアタックしてみました。うろ覚えなのでどうかなと思いましたが、いざ口ずさんで見るとスンナリ出て来る。そしてサビやエンディングまできっちり歌えてしまいました。「Delilah」「She's A Lady」「Love Me Tonight」あれれ?みんな歌えるじゃん。知らず知らずにこの身に沁みついていたんですね。音程も大体原曲キーで行ける。一気に十八番に登録しました。「Delilah」の歌詞の内容も始めて知ったのですが、これって浮気した女を刺し殺すという怖い歌なんですね。YOU-TUBEで見たらなんとオペラ歌手のパヴァロッティとも共演してました。この人は意外にも様々なポップス界のシンガーと共演してるんすが、こんな怖い歌を世界一のテノール歌手と幼い少年少女合唱団とで歌うってのは、いいんでしょうかねえ?Luciano Pavarotti & Tom Jones - Delilah.flvそれにしても洋楽カラオケ会でトム・ジョーンズばかり歌ったら、いくら洋楽好きの皆さんでも嫌がられそうです。なので、ちょっとパワー控えめな人を探すとエンゲルベルト・フンパーディンクがいました。この人もあまり馴染がなく、名前も何度か調べてやっと正確に書けたぐらいですが、この人の「太陽は燃えている」や「ラストワルツ」は他の歌手も歌ってるので一応馴染はあります。題名は知らなかったが「リリース・ミー」や「愛の花咲く時」は歌ってみると、あーそうだったなあという感じでもどれもすんなり歌えました。この人のバージョンの「スパニッシュ.アイズ」も歌っていて気持ちいい。これらも一気に十八番登録です!これらの歌は私のぱーっと歌う歌唱法に合ってたんですね。この歳になるまで知りませんでした。素敵な出会いでした。そんなわけで、このところ新しい歌が続々とレパートリーに加わって楽しいです。ところで、トム・ジョーンズの歌でとても気に入ったけど絶対に歌えない歌があります。「恋はメキメキ」です。この歌は昔、テレビ東京でやっていた「アド街ック天国」の中で、女の子のショットのバックで流れてたノリノリの歌です。凄い早口のラップがあるので手を出すのは諦めてましたが、これをなんと完璧に歌いこなした動画を発見しました。札幌のラオウというおじさん。病み上りで杖をつきながらのこの熱唱、脱帽です。これは只者ではありませんね。If I Only Knew - originally by Tom Jones トムジョーンズ 恋はメキメキ
2017/05/01
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運動することのない私が、街を歩き回る事以外の運動といえば歌う事。大声で歌うのは健康にいいそうなので、私的には一応運動のひとつに入れてます。いや、運動というより健康法、有酸素呼吸ってやつかな。思い切り歌うと運動不足なので息が切れますが、とても気持ちいい。行きつけのバーや会社のOBさんらのカラオケ会で歌う機会は結構あるのですが、英語の歌を出すと場の雰囲気がちょっと変わるので、結構気を遣います。なのでもっぱらヒトカラで歌ってます。しかしなんか物足りない。なので洋楽を歌うサークルを5~6年、いやもっと前からかな?ずっと探していたのですが、地域や開催日等の条件が合うものが幾つか見つかりました。あんまり若い人達だとパンクやらラップやらがとびだすのが辛いので掲示板にある曲目を参考に選んだのが、ほぼ同年代の方々の会。月一回、京都のカラオケルームで7-8人集まって順番に歌う会です。そこでさっそく入会してみました。参加してみると、皆さん和やかで紳士的、そしてみんなが洋楽フアン。あまり知られてないような曲でも一緒に口ずさんだり耳を傾けてくれる。とても心地いいです。こんな思いは初めての体験です。皆さんからも懐かしい歌やら何処かで聴いた歌やらが次々と飛び出す。長く抑圧されてきましたが、晴れて洋楽ばかりのひと時にどっぷりと浸ることが出来ました。ただ、それだけに歌う曲はスタンダードナンバーがメイン。英米ロックにどっぷり浸かってきた身にはちょっとたるい。しかしながら、英米のロックをカラオケで歌う無理を思い知る事になりました。ロック系のボーカルは声量、リズム感、ハーモニー、シャウトなど、パワフルなバンドサウンドと格闘するだけのエネルギーが必要なので、鼻歌程度の歌い方ではとても太刀打ちできません。なので、素人カラオケでは得てしてわめき散らすボーカルとなり、聴く人をうんざりさせることになります。その点、ポップスやスタンダードナンバーならメロディをなぞるだけでもそれなりにかたちになり、音程やリズムがズレても結構楽しめるんです。また、知らない歌も飛び出し、新しいレパートリーが増える事にもなって、当分はこれが毎日の楽しみの一つになりそうです。
2017/04/30
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久しぶりに近くの浄慶寺の「寺の音」へ。半年ぶりかな。今回はクラシック。フルートの四重奏ということなので期待してたら、やっぱりモーツアルトの四重奏曲第一番をやってくれました。若いお嬢さんたちのまろやかな演奏。右手の仏様も気持ちよささそう。フルートの音色もいいが、バイオリン、ビオラ、チェロのアンサンブルが艶やかでとてもよかった。<モーツァルトのフルート四重奏曲 KV285/ジャン・ピエール・ランパル>昔、この曲をカセットに録音してシビックを飛ばしてたのを思い出しました。あの演奏はJPランパルだったかな。軽快で華やかでスピーディなこの曲は、横浜新道や保土ヶ谷バイパスを疾走するのにぴったり。似た感じのディベルティメントのK136もよかったなあ。青空によく合い、まさに春にぴったりの曲ですね。<メニューインのディベルティメントK136>小雨の帰路、小学校前の桜がみごとに満開で、その下を余韻にしたりながら家に戻りました。この国の平和とのどかさに感謝するとともに、いつまでも続くよう祈りながら。
2017/04/12
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先日はアロルドさんのピアノを紹介しましたが、実際今までには数々のピアニストがいて、その様々な演奏スタイルがどう違うのか、私はよく分かってません。ジャズピアノの大きな流れは、セロニアス・モンク、バド・パウエルからビル・エヴァンス、オスカー・ピーターソン、セシル・テイラー、キース・ジャレットなどへと広がった。などと書かれていますが、正直、私は彼等の演奏スタイルにどんな特徴と違いがあるのか、さっぱり掴めていないのです。 で、YOU-TUBEで探したらこんなのがありました。History of Jazz Piano (THE INSTRUMENTALS - Episode 5) (11:25)この動画は数年前に話題になっていて、見たことありますが、様々な楽器の変遷をユーモラスにダイジェストで紹介してくれるものです。今回、ピアノという切り口でじっくり見せてもらうと、成程、なんだかよく分かったような気になりました。しかもジャズの範疇を飛び越えて、ブルースやソウル、R&B、フュージョンからラップ、そしてごく最近の傾向に至るまで、実に様々なキーボードのスタイルを紹介してくれます。とても愉快な動画なので、紹介させていただきます。演奏している音楽集団cdzaは、アメリカのYOU-TUBEチャンネルを持ち、実に沢山の音楽解説動画を制作しています。達者な方々です。cdzaのチャンネルの中の「WE ARE CDZA!」という動画で自己紹介してます。WE ARE CDZA! (1:36)ピアノ以外にベースやドラム、ギターなどもあって、楽しみながらそれぞれの世界を垣間見ることが出来るので、興味ある方はどうぞ。Story of The Bass (THE INSTRUMENTALS - Episode 4) (8:35)Intro to Drums (THE INSTRUMENTALS - Episode 2) (4:43)Journey of Guitar Solo (THE INSTRUMENTALS - Episode 1) (6:18)いや、実に楽しい!
2017/01/19
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毎月開催されるJazzレコード鑑賞会に参加してもう3年。会社のOBの方々の集まりですが、在職中から熱心に聞いてこられたマニアの方々ばかりなので、私のようなロック育ちの中途半端なJazzリスナーは肩身が狭い気分です。それでも数を聴くうちにおぼろげながらもモダンジャズの輪郭が見え始めたような気がしています。そんな中、先日の鑑賞会の終わりに主催者のSさんが私を呼び止め、これを一緒に聴かないかと1枚のCDを差出しました。キューバの新鋭ピアニストだそうで、アロルド・ロペス・ヌッサ(HLN)という人。世界的にも注目されている若手で、昨年の東京ジャズでは喝采を浴びたとか。なんでもSさんとご同輩のIさんが、このHLNトリオの日本での後援会の会長さんから頼まれて支援ボランティアをされており、Iさんは九州地区、Sさんは大阪地区担当だとのこと。早速会場のJazz喫茶 Blue LightsのマスターにCDを渡すと、レコードプレーヤーしかないので、再生出来ないとのこと。すると奥さんが母屋からCDプレーヤーを持って来て、急遽繋いでくれました。おかげでこの店の巨大なコンクリートホーンで始めてCDの音を聴くことが出来ました。CDであることや今風の録音のせいか、非常にクリアで固めの音でしたが、ノイズのないストレートで深みのある音響でした。このアロルドさんはキューバ出身とのことなので情熱的なラテンっぽいピアノかと思ったら、そんな感じはなく、現代的で快活なタッチの指捌きが気持ちいい。しかし曲想には少しアフリカ系の香りが入ってます。これはアロルド氏がキューバのリズムとアフリカのサウンドの融合を目指しているからだそうです。そのためか、セネガル出身のベーシスト、アリュンヌ・ワッドウを起用し、独特のリズムのベースと唄を任せています。彼のベースがまたいい。とても味のあるエレキベースを弾く。アリュンヌはザヴィヌル系のバンドやマーカス・ミラーとも一緒に活動した人なので、私の好みのプレーヤーです。コンクリートホーンに仕込んだ30㎝アルテック4個から響く重低音がまたなんとも痺れます。しかしこのアルバムはテーマが"El Viaje"(旅)なので、とても変化にとんだ選曲です。土着的な曲から美しい旋律の曲、リズミカルな情熱的な曲など、豊かなバリエーションでこの人の幅の広い音楽性が香ります。50年台のモダンジャズの渋さと比べると、エンターテイメント的とでも言っていいのでしょうか。CDの曲はどれも3分から6分と短いこともあり、気軽に愉しめるような気がします。また主題曲である"El Viaje"というリリカルな曲での彼のピアノは、私にキース・ジャレットの即興演奏を連想させ、瞑想的な気分になりました。しかしこんな勝手な表現をするとジャズの先輩方に分かっとらん!と叱られるかも知れませんが。ま、とにかく、とても心地よく酔いしれてしまいました。なんだか映画音楽に使えそうな世界観とドラマを感じる曲です。Harold Lopez Nussa - "El Viaje" (3:54) 全曲聴き終わって、いいですねえと言ったらSさんが、じゃ支援団体の京都支部をやってもらおうかなと言われたので、慌てて辞退させてもらいました。私の周りにはこんな新しいJazzを聴く人がいないもので、、CDを売る自信もありません。でもなんか、お手伝いはしてみたい気分になっている私でした。*アロルド・トリオの昨年のコットンクラブでのライブの予告編ですHAROLD LÓPEZ-NUSSA TRIO : COTTON CLUB JAPAN 2016 trailer (1:10)☆アロルド・ロペス・ヌッサ・トリオ後援会ホームページ https://hlntsa.amebaownd.com/ (現在制作中です)
2017/01/18
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ビートルズのハーモニーに関する日記を書いた後、特定の和音の事がどうしても頭から離れない。これをスッキリさせないと次に進めない。と言うことで、その原因を探ってみたのですが、やっぱりダメ。音楽理論なんてさっぱりわからない。9度とか11度の音が入った和音が、ジャズなどで使われるテンションコードだというのは昔、聞いたことがありますが、だからどうなの?という状態。The Beatles - You Really Got A Hold On Me 私がこのところずっと首をかしげていたのは、ビートルズの「You Really Got A Hold On Me」とか、「 Devil in her heart」に出てくる特定のハーモニー。私には何とも胸につかえるような違和感があり、生理的に拒否したくなるサウンドなんです。なのに、聴き慣れるとかえってそれが魅力になってしまうような不思議な和音です。ところがほとんどの人は全く気にせずスンナリ受け入れているようです。中には美しいハーモニーだとまで讃える人もいる程で、どうも私の耳の方がおかしいのかもしれません。なので「注意!あくまで個人の感想です」というフリップを掲げて話を進めさせていただきます。で、「You Really Got A Hold On Me」について考察すると、これはリードのジョンの音程の5度下でジョージが歌ってます。そして「Devil in Her Hearte」は3度下のハーモニー。なんか変、でも病み付きになっちゃうサウンド。「Rain」のサビの「レ~ェ~ェ~ェ~~」の部分の7度上のハーモニーも最初は違和感ありました。タケモトピアノCM『みんなまあるく』篇そういえば、タケモトピアノのCMにも同じ感触のハーモニーがありましたね。財津一郎の「ピアノ売ってチョウダイ!」を受けて「みんなまーるくタケモトピアノ~」と続くハーモニーです。これにも私は胸がつかえてしまいます。だけどもう一回聞きたくなるんです。この和音はイントロのピアノの和音に添ったハーモニーで、基音に5度と8度下のコーラスが付いてます。ちなみに、このCMは泣いてる赤ちゃんが泣きむという噂があり、実証の動画までありますが、私は泣き止む原因にこのハーモニーが関与してるのではないかという説を持っております。しかし最近は赤ちゃんと接する機会がないので、実験は出来ておりません。ま、胸のつかえるハーモニーに話を戻すと、こうしてみると、いろいろな音の組み合わせがあり、特定の音の組み合わせだけが違和感を生むというものではなさそうです。ま、人はそれぞれ聞きなれない和音に遭遇して戸惑いながら、その味に慣れ、親しんで行くんでしょうね。だからムリして音楽的な理論づけなどしなくてもいいんでしょう。そうそう、自動車保険のCMの損保24のコアラのコーラスもたまらんなあ。と思いついて聞き直すと、あれ?これはほとんどハモってない。なのになぜ胸につかえるの?原因はあの押しつぶしたような声か。と言うことは、私が個人的に違和感を感じていたのは声のせいだったのでしょうか?そう思って見返すと、基音に対して低い地声でハーモニーをつけている例が多い。Smokey Robinson & The Miracles - You Really Got A Hold On Meそこで確認のため、「You Really Got A Hold On Me」のオリジナルバージョンのスモーキー・ロビンソンを聴いてみました。すると、歌い方はビートルズとほとんど同じなのに、コーラスはバリトンなので、そんなに違和感なく聴けました。なるほど、私は地声コーラスに反応していたようですね、たぶん。自分勝手な理屈付けですが、とりあえずそう思うことで、私は何だかスッキリしました。RainやDevil in Her Hearteはもう全然問題なく楽しめてます。ただ、You Really Got A Hold On Meにはまだちょいと抵抗が..。あくまで個人的な感想におつきあいいただいて、ありがとうございました。追伸、最近ソニー損保のCMに流れるコーラスがキモいという声がネットで流れているようです。始まりの部分のピエーというコーラスの部分です。4度上のハーモニーのせいかもしれませんが、そう言われてみればそんな感じも。でもそんなに嫌悪するほどとは思いませんね。歌っているLittle Glee Monsterさんたちが可愛そう。公式:ソニー損保 唐田えりか CM:『公園のコーラス』篇
2016/07/26
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このところSPレコードの話題ばっかりで皆さん、うんざりでしょう。実は私も...。で、ちょっと閑話休題。(ということはまだ続けるつもりですが...)ビートルズと出会ったのは私が中学生だった頃。 ラジオの「9500万人のポピュラー・リクエスト」は毎週聞いていて、ビーチ・ボーイズとかロイ・オービソンとかを押しのけて登場したのがビートルズ。すごい人気だと紹介されたのが「抱きしめたい」。しかし当時の私の耳には、にぎやかだがガサツな感じがして、いまいちピンと来ませんでした。でもその後、大ブレイク。私も改心し、友人から借りたシングル盤のB面に入ってたのが「This Boy (邦題・こいつ)」。(のちに購入)これが良かった。今まで聞いたことのないハーモニーと情感。ヒットするような派手さはないが、とても気に入りました。ビートルズの3声ハーモニーに魅せられた始まりです。しかし、彼らの使う和音には何とも言いようのない違和感があり、胸につかえました。これは坂本龍一氏によると9度上の音を使うからで、近代音楽に通じる手法だそうです。つまりドビュッシー曰く「和声における、解決されない不協和音」のもたらす効果ということです。そのうち私もいつの間にかその奇妙なハーモニーに痺れて行きました。ビートルズの「You Really Got A Hold On Me」はその極致で、何度の和音か知らないけれど、つぶれたようなコーラスにウヘーと顔をしかめながらも、んー、もう一回!と繰り返したくなる魔力があります。ひょっとしたら「This Boy」の美しいハーモニーにも、その魔の和音が隠し味で入ってるのかも知れません。This Boy (Beatles cover)/AllYouNeedIsLub さんによるカバー今もこの曲を聴くとすばらしいと思います。この感激は6年後に発表された「Because」で最高峰に達します。ジョンは常々、This Boyを書き直そうとしていて、出来たのがこの曲だそうです。また、このサウンドは、べートーベンの月光の楽譜をジョンが逆にしてヨーコに弾かせたら意外によかったので、この「Because」に使ったとも言われています。このハーモニーも3音ですが、ジョン・ポール・ジョージそれぞれが3回オーバーダビングしているので、計9声の厚いハーモニーになっています。これもAllYouNeedIsLubさんがきっちりカバーされてます。Because (Beatles cover)さて、ビートルズの魅力はハーモニーだけではありません。ポール・マッカートニーによる卓越したアレンジ。ストレートなロックを主張するジョンと激しく対立しながら渾身の技でまとめ上げたアルバム「Abbey Road」そのラストを飾るメドレーをRichie Castellano氏が見事に再現してくれます。彼はヘビメタのブルー・オイスター・カルトのギタリストです。Abbey Road Medley Cover - Richie Castellano楽器やハーモニーの構成がよくわかって実に楽しい。ユーモアもあるし、彼一人だけでなく、優れたスタッフで作りあげた傑作動画で、3年前に発表されて話題になってました。私はこれを見つけて嬉しくてたまらない。追伸:クイーンのお好きな方はこちらをどうぞ。見事過ぎて笑えます。
2016/06/17
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1887年に円盤型レコードが誕生した頃、まだプラスチックは実用化されてなかったので、ゴムやエボナイトなどで作られてました。しかしいつしか、シェラックという天然の樹脂で作るのが主流となりました。 それは南アジアに生息するラックカイガラムシの分泌物だそうです。なので、SPレコードが塩化ビニールに切り替わるまでの約50年間に作られたものをシェラック盤、それ以降のものをバイナル盤と呼んでます。カイガラムシと言えば、植物男子としては宿敵であります。カポックやフェニックスの葉の裏について養分を吸い取る。植物達の元気がなくなり、周辺の壁やカーペットがベタベタしてくるとこいつが繁殖しているサインです。その蜜のようなものが分泌物なんでしょう。ただ、私の知っているやつは1~2mmのゴマ粒ほどの小さな虫ですが。樹脂を取るのはなんと1cmもある巨大なやつ。想像するだけで鳥肌がたちます。樹木に取りついて枝を分泌物で覆い尽くす。それを枝ごと採取して精製するのだそうです。このシェラックは古代から知られており、接着剤、ワックス、塗料などとして使われました。高級ギターやバイオリンにも柔らかい光沢を出すために使われてるとか。また無害なので食品にも使われ、柑橘類用ワックス、カラフルなチョコレートの染料や光沢剤にも使われているので、私らも確実に口にしてたんですね。最近はシュラックネイルとして、安価で手軽なネイル材として、人気だとのことです。カイガラムシが、ねえ...。なのでレコードは食べられるかというと、そんなワケはない。SPレコードにはシェラックだけでなく様々な材料が練り込まれているので食用には適しません。ところがそれでも食べたいという物好きな人達がいるんですねえ。メッセージや音楽を聴いた後、食べようというワケで、チョコレートや氷でレコードを作っております。要は、平で、表面が固く、溝を刻める材料なら何でもいいというわけです。<チョコレート・レコード>チョコレートで聴く「バレンタイン・キッス」/ Chocolate Recordさて、日本でも物好きがおりまして、こちらはちゃんと商売として成功しております。大正末期の神戸で発売されたのが煎餅レコード。これは童謡が入っており、何度か聴くと音が出なくなるので、みんなで食べちゃうのです。とても人気だったとか。これを見て大儲けしようと思ったのがなんと初代春団治。後世に残る破天荒な芸人でしたが、ラジオに出たりレコードを出したりと新しいものにも積極的で、あるとき、自らの落語や小話を収録した8枚入り煎餅レコードを作りました。これを天理教の大祭りの人出を見込んで大々的に売り出したのですが、当日はあいにくの雨。煎餅は皆湿気てしまい、売値も高く吹っかけたおかげでほとんど売れ残り、大損をしたと伝えられております。あまりにアホらしい話ですが、これは事実で、証拠の品が残っております。現在、活躍中の桂文我さんがオークションで落としたという「かつら春団治 ものいふせんべい」の缶がこれです。落語のネタのようなお話でございました。お後がよろしいようで..。
2016/06/13
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日記は時おり書いているのですが、まとまらなくて放置したのがどんどん溜まっていきます。どうもすみませんね。今回はレコードのサイズです。SPレコード展で展示しようとレコードの大きさも調べたのですが「いろいろあった」というアバウトな記述ばかり。ちゃんと寸法が表示されてないので、誰も測ってないようです。なので展示会で集まったレコードを実測し、リストアップしたら、下記のようになりました。・外径500mm(約20インチ)映画用の長時間レコード・外径400mm(約16インチ)放送局、映画館用・外径300mm(約12インチ)SPレコード、30cmLPレコード ・外径250mm(約10インチ)SPレコード、25cmLPレコード ・外径220mm(約 9インチ)SPピクチャーレコード・外径200mm(約 8インチ)SPレコード ・外径175mm(約 7インチ)SPレコード、EPレコード・外径150mm(約 6インチ) SPレコード・外径125mm(約 5インチ) SPレコード・外径100mm(約 4インチ) SPレコード・外径50mm (約 2インチ強)おもちゃ用レコード(声や音のメモ用)ずいぶんありますね。この調子じゃ、各インチごとに作られていたのかも知れませんね。世界最大といわれる50cmのレコードは、北海道新冠のレコード館に展示されているそうです。40cmのは業務用で、どちらも今回は入手出来なかったのですが、それ以外は展示会で揃ったものです。撤収中に並べて撮影したのであまりキレイには撮れてません。ご勘弁を。<画像:LPレコード一覧>SP盤がこんな状態だったので、LP盤やEP盤が登場した時には、サイズを30cm、25cm、17cmの3種に標準化され、現在に至っています。デジタル時代に入っても、レコードは電子情報の媒体としても使われ、CD、DVD、ブルーレイ、すべてが光ディスク規格の120mmに統一されています。何故120mmになったかといえば、コンパクトディスクを開発したフィリップスが1時間収録の115mmディスクを提案したのに対し、技術提携を持ちかけられたソニーの福社長・大賀氏が75分の120mmなら大概のクラシック曲が収録できると強く主張したからと、ソニーの社史にありました。その後開発されたDVDやブルーレイなども120mmに統一されたのはいいんですが、おかげで真っ白のプリンタブルディスクは何のディズクなのかが見分け付かない事があり、困っちゃいます。ちなみに、レコードは外側から中心に向かって読み取ります。外側の方が走行距離が長いので、いい音質で録音出来るからです。フロッピーやハードディスクも外からです、しかし光ディスクは中心から外に向かって読み取ります。その理由は中央の方が揺れに強い、起動点がわかりやすいなどの理由があるようで、外側と内側で回転速度を変化させ、読み取り速度を一定にしているそうです。なんかすごいですね。ただし開発当初、レコードでも内側から録音されたものも存在しました。フランスのパテ社が開発したセンタースタート盤です。それは映画と連動して上映するためのレコードでした。中央のラベルにスタート位置の目印をつけ、フィルムと連動させたのだそうです。ほんとに、レコードと一言で言っても、この100数十年の間に様々な種類が開発されたのですね。
2016/06/07
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すみません、しつこいようですがSPレコードに関して、先月の展示会のために調べたことがまだ幾つかあるので、メモ代わりに書かせていただきます。SPレコードは1分間に78回転することになっていますが、初期は技術者が勝手に決めており、70回転~90回転まで様々なものがあったそうです。日本では78から83回転が主だったとか。レコードは回転が速いほど音質は良くなるが、その分、録音時間は短くなるので、長い録音は遅めに、短い録音は長めにと回転数を調整していたのでしょう。その場合はラベルに80rpm(80回転)とか書いてあるので、蓄音器のスピード調整つまみで合わせていました。また、楽器のAの音(ラ)を入れた溝をレコードの外側に刻んでおき、これが正しい音に聞こえるように回転数を調整させる工夫もありました。1900年台のサラサーテの吹き込みにもあり、大御所自ら(?)が開放弦を、ラーと弾いているレアな音源も残っています。回転数が78回転に統一されたのは1925~8年あたりで、電気を使った吹き込みや再生が普及した時でした。60ヘルツのモーターの回転をギヤで落とすと78回転となるので、それに決まったそうです。つまりモーターが回転数を決めました。なので後に出たLP盤は33.3回転、EP盤(ドーナツ盤)は45回転と定まりました。なお、1960年頃に作られたレコードプレーヤーの中にはレコードの回転数が4段階になっているものがありました。一般的には33.3回転と45回転、そして78回転ですが、16回転というのが付いているのです。これは16.6rpmと表記される長時間プレイのレコード用です。それはスーパー・ロングプレイ・レコードと呼ばれSLP(SuperLP)もしくはULP(UltraLP)と略されます。30cm盤の場合、片面で約40分と2倍近い音声が収録出来るので、LPの上級クラスと期待されたのですが、音質向上やステレオ化に技術的に対応出来なくて、短期間で姿を消しました。なので、1953年頃から60年代にかけて作られ、音楽や語学、朗読などがあり、業務用や教育用に使われたそうです。主にダンスホールで使ったり、お店のBGMとして連続して音楽を鳴らしたのでしょう。マイルス・デイビスやハーブ・アルパート、ベンチャーズなどのレコードが残ってます。ではマイルスの演奏の一部分を、めっちゃ遅い回転数でどうぞ。Miles Davis & The Modern Jazz Giants 16 R.P.M.また、サラサーテのラ音を聞きたい、物好きなお方はこちらで...、提琴騒迷曲/音の外れたヴァイオリン日記-第2楽章/サラサーテのA音
2016/05/10
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19世紀の末頃、あるイギリスの画家が亡くなりました。その弟も画家で、兄の愛犬を引き取りました。あるとき、蓄音器から流れる兄の声にじっと聴き入る犬の姿を見て彼は...。もうお分かりでしょう、例のビクター犬・ニッパーのお話です。しかしその蓄音器がライバルのエジソン蝋管蓄音器だったとは、私、知りませんでした。その証拠がこの絵。<エジソンの蝋管蓄音器とニッパー>ニッパーが見つめたのはエジソンの円筒型蓄音器でした。弟のフランシス・バロウドは描いた絵を商標登録し、エジソン・ベル社に持ち込みました。ところがエジソンは「犬は蓄音器なんか聴いたりしない」と、そっけなく言い放って追い返してしまいます。翌年、バロウドがベルリーナ・グラモフォン社にそれを提示したところ、社長が気に入り、絵を円盤型蓄音器に描き替えたら買うよと提案します。こうしてあの有名な商標が使われ始め、、のちに系列のビクター・トーキングマシン社が買い取ります。例のレコード店、HMVも「His Master's Voice」の頭文字、つまりこの絵の題名からとられていたとは..。<グラモフォンの蓄音器に描き替えたニッパー像>とても印象的で好感度の商標ですよね。このエピソードでもわかるように、エジソンは技術面や起業面では天才的な能力を持った人でしたが、ソフト面では視野が狭く、せっかくの商機をいくつも逃しています。エジソンの開発した映画は、コインを入れて一人ずつ覗くキネトスコープという機械で、これを沢山並べた店で営業していました。その内容は2分程で、ただ日常を映すだけのつまらないものでした。それに不満を抱いた映像技師たちはエジソンのもとを離れ、映画村「ハリウッド」を作り、そこで質の高い作品を発表してエジソンに打撃を与えます。<エジソンの覗き映画キネトスコープ・バー>蝋管蓄音器に関しても、音質的に優れていたにも関わらず、声の記録だけにこだわり、円盤レコードの音楽産業への進出を見過ごすことになります。ビクターは、エジソンの高音質ながら平凡な民謡しか品揃えのない蝋管に対抗して、有名な歌手による流行歌を大量に取り揃え、大衆路線を歩んで大成功します。エジソンはそれを見ても自分の路線を変えなかったとか。電気の普及に関しては技術と投資の点で、エジソンは直流にこだわります。損失が少なく、遠くまで配電できる交流を主張したニコラ・テスラは解雇され、ウエスティングハウスと手を組んで激しい争いとなります。両社は様々な公開実験を行い優位性を訴えるのですが、これでエジソンはとんでもない事をやらかします。彼は、当時研究中だった電気椅子処刑に交流電流を使うことを提案し、動物を使った公開実験で報道陣を唖然とさせます。交流の恐ろしさを訴えようとしたのですが、そのもくろみは成功し、交流が採用されます。エジソンは電気椅子処刑の事を「ウェスティングハウスする」という言葉まではやらせようとします。ちなみに、最初の処刑はなかなかうまくいかず、悲惨なものだったそうです。トム・ハンクス主演のグリーンマイルのあのおぞましい電気椅子シーンが思い起こされます。このようにエジソンは頑固で癇癪持ちだけでなく、社会通念的に少しズレていたのも問題の一因だったのでしょう。エジソンがニッパーの心温まる話題などに興味を示さなかったのも、優秀な技術だけで市場は十分席巻出来ると思っていたからだけでなく、そのような心情に共感するものを持たなかったのか、なんて思ってしまいます。ところで、ビクターに大きな貢献をもたらしたニッパーの原画ですが、最近下塗りが透けて来て、消したはずの蝋管蓄音器が見え始めたそうです。ちょっとマズイですね。-------------------------------これらエジソンの顛末については「エジソン発明会社の没落」という本や、下記のサイトで詳細をご覧下さい。徒然なる猫日記/エジソン発明会社の没落徒然なる猫日記/エジソンは悪い人驚異の音質を誇ったエジソン式蓄音器が滅びた理由
2016/05/04
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<オリジナルを再収録したサラサーテのチゴイネルワイゼン>レコードや蓄音器が出てくる小説や映画にはあまり出会ってないのですが、内田百間の「サラサーテの盤」にはレコードが重要なアイテムとして登場します。亡くなった友人の奥さんが夫の遺品を返してもらいたいと毎晩やって来るという、独特の雰囲気を持った短編小説です。結果的に明快な結末はなく、漠然とした不気味さが漂う作品でした。この小説をネタにして鈴木清順監督が「ツィゴイネルワイゼン」というこれも不思議な映画を作ってます。やっぱり非常に感覚的で、よく理解できないけれど、どことなく面白い作品でした。この小説の中に、サラサーテがチゴイネルワイゼンを演奏中に何か喋っている声が録音されている、という記述があり、それがずっと気にかかっていましたこの盤は実際に存在し、1904年に録音されたものです。切々としたスローな前半と、感情を爆発させたような激しい後半で構成されている曲ですが、これを当時はA面とB面に分けて録音しました。その前半の終わり部分に言葉が聞こえるのです。私と同じ思いをした人は多いようで、ネットではいろいろと考察がされています。そのうちのお一人は言葉を解析され、声はサラサーテ本人で、ピアノの最後の部分をとばして後半に移ろうと指示している声のようだと結論されています。多分録音時間が少なくなったのでしょう。そのためか、続くピアノソロは途中で途切れています。わかってしまうと面白くもなんともありませんが、小説や映画では何を言っているのかと主人公たちが思索を巡らし、それがストーリーの謎と不安を深める大きな要素になっています。そしてラストにはその奥さんがその声に異常な応答をするという結末でした。内田百間は師である夏目漱石からビクターの9号という卓上型の蓄音器をもらっているので、このように音楽を深く聴き込んでいたようです。<写真:ビクター製ビクトローラ、9号>それ以外の作品でレコードや蓄音器が何らかの役割をする作品は思い当りません。誰かご存知でしたら教えて欲しいです。サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」では死んだブルースシンガーのレコードを巡ってお話が進むそうです。村上春樹の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」にはビング・クロスビーのダニーボーイのレコードが登場し、主人公の心情に絡んで行きます。これはSP盤でなくLP盤でしたが。私は気になってそのアルバムを特定しようと探してみました。検索した250枚もの彼のアルバムのうち、その曲が1曲目以外のところに入っているものを探しました。レコードの途中に針を落とすと云う記述があったからです。それは「二人でお茶を」と題されたベストアルバムでしたが、他の曲のイメージも含め、小説に出てくるのは多分これだろうと一人合点しました。ま、どうでもいい話ですが。この小説もやっぱりわからなかった。というか筋が掴めない。「不可解」を楽しむ文学には妖しい魅力がありますが、やはり疲れます。ではそのサラサーテの盤のつぶやきをお聞きいただきましょう。3:38あたり、スローな前半が終りかけた時にボソッと声が入ります。その後、ピアノソロの頭だけでA面は終了し、B面の情熱的なフレーズに移ります。1904年の録音ということは、日露戦争の年ですね。チゴイネルワイゼン(サラサーテ)自作自演 1904(3:38あたりに声が入るので、3:33から再生します)(注:内田百間は戦後に名前の間の字を変更し、門構えに月という字に変えていますが、このサイトではエラーが出るので表示出来ません。)
2016/05/03
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音を記録する技術の第一歩は、ご存知のようにエジソンの円筒型の蝋管録音器です。しかし普及したのは10年後に発表されたベルリナーの円盤型録音器(レコード盤)でした。1887年に出現したこの円盤型の記録媒体は、かさ張らず、量産も容易なため、SPレコード盤として世界中に普及し、40年後には音質向上や長時間演奏可能になってLP盤やEPドーナッツ盤として音楽の記録用に活用されました。後には映像や電子情報を記録するレザーディスク、CD、DVDとして今に至ってます。ではエジソンの円筒形の録音器はそのまま消えて行ったのか?いやエジソンは大変な経費と労力をかけて開発した蝋管録音器をそう簡単には手放しませんでした。<写真:コロンビア系統の会社製の蝋管録音器 (1920年代)>蝋管はレコード盤と違って録音や再生が簡単に出来、表面を削れば何度でも使用できるので、口述記録の録音&再生機として改良を重ね、タイプライターと併用して、近代まで使われていたのです。エジソンはこれをエディフォンと名付けましたが、蝋管は規格化され、他社も同類の機器を発売していました。そして第二次大戦後にテープレコーダーが実用化されるまでの60年間、働いてその座を譲ったということです。ごくろうさまでした。なんとなくビデオにおけるVHSとベータマックスの争いのように見えますが、蝋管蓄音器は地味ながらしっかりと我が道を全うしたような感じがします。
2016/04/30
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1877年にエジソンが発表した蝋管蓄音器は音質も悪く時間も短かかったため、音楽には不適とされていました。しかしエジソンは諦めずに改良を重ね、当時高名だったブラームスにピアノ演奏を吹き込んでもらったそうで、その蝋管は今も残されています。歴史上、初めて録音された歌はエジソンの歌うメリーさんの羊というのは有名な話ですが、プロの音楽家による史上初の録音は誰なのか?調べてみると、1889年にスエーデンのソプラノ歌手が吹き込んだという記述がありました。ブラームスが録音したのが同年の12月なので、彼は初めてピアノ演奏を吹き込んだ音楽家ということになりました。実際はその前年に若きヨゼフ・ホフマンがピアノを吹き込んでます。天才少年と呼ばれてましたがまだ12歳だったので、プロの演奏としては認められなかったのでしょう。<エジソンの蝋管の一例>このブラームスの記念的蝋管は経年劣化やひび割れがあり、大変な技術的努力がなされましたが、かろうじて聴き取れる状態にするだけで精一杯でした。当時はここまでひどい音ではなかったろうと思います。当時は蝋管の方が円盤レコードよりは高音質でした。録音当日、ブラームスは神経質になっており、録音準備が整わないうちに演奏を初めてしまいました。慌てた録音技師が「1889年12月。ブラームス博士のピアノ演奏です!」とコメントを叫んだので最初の12小節は録音されてないと伝えられています。しかしその録音を聞くと、声の後ろではピアノは鳴っておらず、声の直後に演奏が始まるので、当時の詳しい状況が知りたいものです。曲は自作の「ハンガリアン舞曲第一番」の一部とJ・シュトラウスの「とんぼ」の2曲だそうですが、後者は雑音がひどく、もはや聞き取れる状況ではないとのこと。そんな貴重な録音がありがたいことにYOU-TUBEで聞かせてもらえます。(聴くのでなく聞く、です)<忍耐強い方のみにお勧めします>ブラームスのピアノで「ハンガリアン舞曲・第一番」現存する蝋管から録音したものと、1935年にオリジナルからSP盤に複製されたものの2録音です。ものすごいひどい音ですが。歴史的資料としてお聞き下さい。Brahms Plays His Hungarian Dance No.1 (Excerpt), 1889当日の詳しい経過はこのサイトでお読みください。ブラームスさん、大変だったようです。Great Pianists of the past/ブラームスのピアノ自作自演お疲れさまでした。では、耳直しにまともな録音のハンガリアン舞曲のピアノ演奏をお聞き下さい。きっとブラームス博士もこのように弾いたのだろうとイメージしましょう。Brahms Hungarian Dance No.1 - Evgeny Kissin
2016/04/28
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ミュージシャンが録音することを「吹き込む」と言いますが、その語源は...?そろそろSPレコード展絡みの話題を披露しようと思います。SP盤というのは1887年から1940年台までの60年間、使われた初期のレコードの事です。当初は録音も再生もゼンマイと振動のみで行なっていました。録音する時は歌手が大きなラッパ型のメガホンに向かって大声で歌い、その振動を鉄針に伝えてレコードの溝に刻み付けたそうです。先の質問の「吹き込み」はこれから来ているんです。相当な音量でないと針が振動しないので大変だったそうです。また、沢山の楽器編成の場合は難しかったでしょう。1920年代に電気式録音が出来るようになると、録音も容易になり、音質も飛躍的に向上しました。(そして、この録音技術はささやくような声も録音可能にし、ビロードの声と称せられるビング・クロスビーなどの新しい歌手も誕生させるのです。)<手前はNitto蓄音器、奥はビクトローラ>録音の仕組みはこうです。メガホンからの音がジュラルミンなどの板を振動させ、それが鉄の針に伝わってレコードの溝に刻み付けられるんです。再生するときはその反対。鉄の針が振動を受けて振動板を鳴らし、低音域はホーンを伝わって増幅されます。(だからサッチモのしゃがれ声の振動はそのまま空気を伝わってレコードに刻み付けられ、それがそのまま蓄音器から出てくる。当時の息遣いがそのまま再生されるのです。)音量や音質は針によって調整します。細いものはやや小さく、太い針は大音響です。ざわつくダンスホールでも聞こえる為でしょう、かなりうるさいです。また、竹の針はソフトな音が出ると言われていますが、私はまだ聞いたことがありません。竹を乾燥させ、椿油を浸み込ませて削った三角柱の針なので、今では大変高価です。(卓上型蓄音器では音の出口に扉があり、それを開け閉めして音量を調整するものもありました。)SP盤は1分間に78回転するので25cm盤だと片面で4分程、1曲しか収録できません。なのでクラシック曲は大変。数年前に名器ビクトローラでSPレコードを聴く会に参加させてもらったことがあります。30cmのSP盤の「田園」は45分程あり、10枚程のレコードを4-5分ごとに取り替え、針を交換して、ネジを巻き、聴くという、ぶつ切りの鑑賞会でしたが、これはこれで面白かったです。<携帯型の蓄音器>ちなみに「ネジを巻く」、「ゼンマイ」という言葉も先日の展示会で若い人に話すと怪訝な顔をしてました。知らない人もいるんだね。私らが爺さんと呼ばれるのも仕方ないか。「ゼンマイ」は金属をスパイラル状に巻いたもので、これをギューッと巻き上げルことを「ネジを巻く」と称し、その反動でターンテーブルを回転させるのです。人力でレコードを回し、振動で音を出す、まさにエコの極致です。災害で電気が止まろうと、電池がなくなろうと、ネジを巻きさえすれば野原でもどこでも音楽が楽しめる。小学生も不思議そうに眺めてくれ、ねじを巻かせてあげると面白そうにやってくれました。ふと昔、娘と見たピングーの一場面を思い出しました。町角で手回しオルガンを演奏する爺さんを手伝うピングーの話です。その姿が自分に重なって、ちょっと嬉しくなりました。参考資料:蓄音器って?蓄音器ってそもそもどんなん?っていう人の方が圧倒的に多いと思いますので、簡単に説明を…
2016/04/27
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先日のSPレコード展についての詳細を書こうと思いながら、あれこれの日々の出来事に流されてしまいました。なので、とりあえず溜まった話題を消化させていただきます。最近の一番の残念なお話。私の45年来の友人が京都に出て来るとの電話。ライブに行くから前売り券を買って欲しいとのこと。聞くとライブハウス磔磔(たくたく)での金子マリだとか、両方ともとても懐かしい。共演する金子マリの息子がすごいベーシストだから観ものだよと誘われ、前売りを買いに出かけました。磔磔は40年前に出来たライブハウスの老舗。確か35年程前にここで売れてない時代のRCサクセションを聴いた時以来のごぶさたでした。友人はミュージシャンだった息子さんの関係で若いバンドマン達と親しい。今回も彼らと会いたいからと2日続けての鑑賞。私は都合のいい2日目を選び、自分の分も購入しました。買い込んだチケットは無くさないよう、大事にファイルに挟み机の上に置きました。しかし次の日、友人に送ろうと見ると各1枚しかない。周辺の隙間、書類やファイル、箱や本の中も探したが見当たらない。いったいどうしたんだろう。前売り券をもらった時からちょっと不安でした、通常のチケットの半分の細さで、白地に黒文字がタイプしてあるだけ。まるでレシートかメモみたいだなあという感じでした。母に間違って捨てられたかも知れません。いや、自分でどこかに仕舞い込んだのかも。何ということだ。それにしても券をなくすなんてめったにないことです。それから1か月ちかく、探しましたがとうとう出てこない。あきらめて当日券を買い直すことにしました。彼女の顔で何とかなるでしょう。ライブ初日の昼に友人がやって来たので、おもちゃ映画ミュージアムでの展示を見てもらい、別れ際にライブ会場で明日のチケット購入を依頼しました。しかし甘かった。磔磔はすごい人で、前売りは早々とソルドアウト。いくら頼まれても無理ですとのことでした。仕方なく、私はライブが終わるまで祇園のバーで飲んで待つことに。ライブがはねてやってきた友人は上機嫌。60才を超えてあのハードなライブを心底楽しんで来たようです。金子まりの息子KenKenさんのようなベースは、私には刺激的過ぎますが、その凄さは分かります。えらいものです。この動画では長男のドラム、二男のベースで、マリさんが楽しそうに歌ってます。そういえば今、俳優、タレント、音楽など様々な分野で二世が活躍してますね。トランペットの日野照正の息子、日野賢二もいいアルバムを出してました。それは単に名声やコネではなく、上質な環境で伸ばされた才能なんでしょうね。幼い頃から一流の人々、機材、情報に囲まれ、これに生まれ持った才能を掛け合わせば、すごい飛躍をする人材が現れることがある。もちろん皮肉なことに、そうでない場合の方が多いのですが。そんな人達を生み出す場に立ち会えなかったのは、何としても残念な話でした。
2016/04/15
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「おもちゃ映画ミュージアム」でのSPレコード展、なんとか「らしい」かたちにまとまり、2週間の会期が終了しました。来客は少なかったのですが、じっくり見ていただいたり、思い出を語ったりするお客さんがいて、それだけで我々は十分です。今回の展示ではミュージアムの館長さんらはサポート役に徹し、企画から構成、展示まで全部私ら会員3名に任せてくれました。なので、なんとも素人くさい展示になりましたが、館長さんはそれでいいよとおっとりかまえてくれました。口出しするのが多かった私は、展示のとりまとめ役になってしまい、あれこれとやるべき事が続出。ここには何を置くの?ここの説明パネルは?回転台用のプレーヤーあるの?...そして会期中にも説明板作りに追われました。しかし一番困ったのが当初の企画構想。無秩序に置くわけにいかない。私は若い頃、会社の巡回イベントを担当した事がありました。企画立案から展示物手配、運送、広報、開催など一貫した運営で、各地のデパートや香港、台湾、ドイツまで行きました。当時で7000万円くらいかかったかなあ。あのときも業者を通さずほとんど自分たち社員でやったので、業界の人が驚いてました。普通は広告代理店などが入り、億単位の金が動きます。大変でしたが、いい経験になりました。今回の企画は、新年会に持ち寄った品々を皆でわいわい楽しんだ席で出てきました。ただ、文脈なく並べるわけにいかないので、テーマを決め、出展品目も絞りました。<「おもちゃ映画ミュージアム」でSPレコードを楽しむ会、兼・新年会>そのテーマとはレコードと視覚のドッキング。聞くだけでなく、観る楽しみを付加した製品を揃えたのです。映像の記録技術と音の記録技術は全く別々に発達し、トーキー映画やテレビの出現で合体はしますが、家庭や子供用の製品では高価過ぎ、レコードと絵本、スライド、8ミリカセットなどと併用したものがいろいろと考案されました。ただ、その歴史的考察だけでは技術的過ぎるので、横軸に文化面として童謡を入れました。絵の描かれたピクチャーレコードは沢山の童謡レコードを生みました。これらを吹き込むために幼い童謡歌手が起用され、当時のアイドルとして映画やラジオ、雑誌などで活躍します。こうして、技術の進歩と童謡文化の発展を織り交ぜて展示を行いました。大概のイベントではいろんな人が口を出し。主旨とは違う展示物が置かれたりして支離滅裂になることがあるもんで、今回はすんなり行けてラッキー。なので来店者のうち、熟年の男性は技術系、ご婦人方は文化系に興味を持ち、若い人には手回し蓄音機やムービーレコードを楽しんでいただくと、思惑通りになりました。私としても、昔の人々が様々な知恵を働かせて、耳と目を同時に楽しませる工夫の遍歴を味わいました。今これらのおもちゃは壊れ、飽きられ、捨てられてほとんど残っていません、それを今回、大事に集めてくださったコレクターさんらの好意で一堂に会してみる事ができたのが嬉しいです。そして、我々に全てをまかせ、黙々と展示台作りや開催準備を進めていただいた館長さんご夫妻に感謝します。また、これらの展示説明のために様々な情報を集めると、知らなかったことが続々と出て来て非常に興味深く、私の興味を一層掻き立ててくれました。大変でしたがとても楽しいイベントとなりました。
2016/04/03
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このところブログ日記が止まって失礼してます。通りがかりに覗いて見た「おもちゃ映画ミュージアム」で館長さんご夫妻と意気投合。出入りしてるうちにこんな大役を仰せつかりました。今週の18日からの「懐かしいSPレコードを観て聴いて楽しもう!」展のディレクター???78回転のSPレコードの時代に考え出された、絵と音楽を合わせて楽しむあれこれのアイデア。自宅でそれを楽しみたい人々の様々な工夫がとても微笑ましいです。絵本との合体、スライドとの合体、果ては以前にも紹介したコマ送り動画付きの「ムービーレコード」。また絵付き童謡レコードの数々と、童謡歌手、歌集、少女雑誌など関連資料を集めたレトロ感満載の展示会です。落ち着いたらまたご報告しますので、それまでお待ちくださいね。詳細はこちらにおもちゃ映画ミュージアムHP特別企画展「懐かしいSPレコードを観て!聴いて‼楽しもう!」
2016/03/13
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これは1950年代にアメリカで売られていたおもちゃで、Movie Recordというものだそうです。レコード盤の中央に鏡面付きのユニットを乗せて回転させるとコマ送りで絵が動きます。先日、久々に時間がとれたので「おもちゃ映画ミュージアム」に顔を出しました。館長夫人の文代さんが「ちょうど面白い荷物が届いたので開けてもらえます?」との依頼。さっそく二階に上がって段ボール箱を開くと...カラフルなレコードプレーヤーセットや覗き眼鏡、そしてぎっしりのSPレコードが出てきました。今週末の新年会に披露するものをコレクターの方が送ってこられたのです。梱包箱には一覧表がなかったので、書き出してみました。・プラスチック製レコードプレーヤー(手動)・プラスチック製レコードプレーヤー(電動)・覗きスライドメガネ・ピクチャーレコード(絵の描かれたレコード)・児童劇「のらくろ一等兵」・ディズニーの様々なアニメの音盤セット(未視聴) (白雪姫、シンデレラ、バンビ、ダンボなどなど)そして奇妙なカラフルなレコードだと思ったら、このMovie Recordだったのです。こんなの初めて見ました。レコード面のぐるりにコマ絵がずらりと描かれています。Red Raven(赤ガラス)というレーベルなんでしょうか、様々な曲に合わせたらしいコマ絵がどれも可愛い。その日は聞けなかったのですが、帰ってNetで調べるとYOU-TUBEにアップされてました。これらの動画を見ていただくとわかります。楽しくなりますよ。THE LITTLE RED ENGINE Red Raven record - Dany Fischerもうひとつ、Red Raven "Movie Records" from 1950's - Tootles the Tugああ、くせになりそうRed Raven "Movie Records" from 1950's - Little White Duck構造はこんなのですRed Raven Movie Record and Magic Mirror (1961)ああ、キリがない...。段ボール箱にはこのRed Ravenシリーズが7-8枚入ってました。これらは今週末に京都・大宮の「おもちゃ映画ミュージアム」で披露します。他にSPレコードの唄や落語、児童劇などをかけたり、ソノシートなんかも出そうかな。一応、新年会を兼ねているので飲み食いしながら、ほとんど成り行きとなりそうです。もの好きな方は1月23日(土)15時から、参加費1000円でやるので、お気軽にどうぞ。おもちゃ映画ミュージアム/ニュース珍しいレコードを楽しみながら、新年会追記:ところで、この視覚効果をもっと発展させたものを紹介してくれるのが、次にあげるanimated Recordです。可愛いRed Ravenものから、シュールでグロいもの、アートなものと様々な作品が作られているようですね。この世界も面白そうです。Red Raven, Bonobo, Sculpture and other animated records (12分)
2016/01/18
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<サキソフォン、いやサクソフォンだそうです>若い頃、サックスなどの管楽器はどうにもロックでない感じがして敬遠してきました。サム・テイラーのムード歌謡っぽいイメージが強かったからでもあります。ところがビートルズが管楽器を使った「サボイ・トラッフル」を出し、シカゴやチェイスなどがビートの効いたパワフルなサウンドを打ち出してからは管楽器の見方が変わりました。BSTもよかったし。20才半ばに東京勤務になった頃、都内各地のジャズ喫茶通いを始めましたが、コルトレーンやソニー・ロリンズなどのモダンジャズはロックビート好みの私には難解でとらえどころがなく、ただ、その雰囲気に浸ってました。クロスオーバーとかフュージョンとかいうジャンルが出てきたとき、やっと管楽器が耳に馴染む快適なサウンドになり、すんなり楽しめるようになりました。最初はクルセイダーズ。当然ラリー・カールトンのギターがお目当てでしたが、ウィルトン・フェルダーなどのホーン類を気分よく聴く事ができました。そしてグロ-バー・ワシントン・Jr.やデビット・サンボーンなども私のレコードコレクションに加わりました。ダルファーもよかったなあ。キャンディのオヤジさんです。<マイベストをあげるならやっぱり定番のこの曲ですね>Grover Washington Jr - Winelight (Elektra Records 1980)考えてみれば、ヒットチャートでは60年代の曲のイントロやソロにはサックスがよく出てきますね。70年代以降はエレキギターが幅をきかせましたが、80年代にはワムのケアレス・ウイスパーとかシャーディのスムースオペレーターなどで印象的なサックスの音が聴かれました。私はそれからしばらくはサックスと縁がなかったのですが、最近になって、定例のジャズレコード鑑賞会でモダンジャズをいろいろ勉強させていただき、ホーン類の魅力を再認識し始めました。そして最近出会ったのがスコット・ハミルトン。この人は難しい即興はやらず、ストレートに味のある雰囲気を出してくれるので、私レベルにぴったり。ピアノのエディ・ヒギンスとのコラボが実にいい。Scott Hamilton - Dear Old Stockholm近頃は女性のプレーヤーも増えてます、私の属する横浜ロックサークルにもお二人程、女性のサックス吹きがおられました。特に、小柄な体ででかいバリトンサックスを吹きこなすオールドパインのYoshikoさんには脱帽しました。最近私は祇園のオールディズのお店「グリース」に顔を出すようになりましたが、専属バンド「パームスプリング」のボーカルのマコさんがテナーを吹きまくって、とってもかっこいい。やはりサックスはオールディズに合いますね。
2015/12/29
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今日は会社のOBの方々のクラシック鑑賞会。年末なのでベートーベンの第九で締めくくろうとの集いでした。昼過ぎにそのことを思い出して、慌てて母の昼食を準備し、家を飛び出て京阪電車で大阪まで。関目駅前のクラシック喫茶「あんさんぶる」にはすでに10数名の方々が私の到着を待っていただいており、恐縮しながら席に着きました。この鑑賞会はDVDで楽しめるのでいろいろと新しい発見があります。スピーカーをにらむだけの鑑賞に比べ、視覚による情報量は大したもので、豪華な演奏会場、指揮者の動き、各楽器のディテールなどが厚い音響を一層盛り上げてくれます。ほんとにありがたい時代です。演奏はクリスティアン・ティーレマン指揮のウィーン・フィル。合唱団員は100名を越えます。豪勢な演奏です。第九の演奏時間は60分から70分。開発当初のCDの演奏時間74分という規格はこの曲を入れるためと言われていますね。Beethoven - Symphony No 9 in D minor, Op 125 - Thielemann私はバッハやモーツアルトばかり聞いてるので、第九をちゃんと聞くのは初めてです。やっぱりベートーベンはちょっとしんどい。合唱曲もあまり聴かないがこうして画像付きで鑑賞するとなかなかいいですね。そういえば昔、イエスの生涯を描いた映画の音楽でヘンデルのハレルヤコーラスが使われていて、ちょっとはまったことがありました。先程、YOU-TUBEで聴きなおすとやはりいい。聴きなれた曲だからでもありますが、人の声もいいもんですね。第九のフルバージョンはちょっと重たかったけど。最後の歓喜の歌の所は馴染んでるので聴きやすかった。そういえば私もこの曲やってましたよ。ハードロックのレインボウ・バージョンですが。横浜ロックサークルのクリスマスライブで演奏したのですが、撮影に失敗したので、練習中の音源で動画を作成し、恥ずかしながらYOU-TUBEに上げてました。私のベースは音はズレるし、音程は狂うしと散々ですがまあ、座興として挙げておきます。素人がそれなりに楽しんでる姿として笑って見過ごしてください。この曲、3か月程練習して、結局それっきりになっちゃいましたが...。BaTTa Xmas2011- No9 Ode to joy ウイーンフィルと私のバンド、第九のピンキリでした。あれ?どっちが上だっけ?たしか、ピンが1でキリが最後(サイテー)だったような...。(いや、あのバンドのギタリストはサイコーでしたが...)
2015/12/23
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おもちゃ映画ミュージアムで様々な音楽再生機器を聴いてみようかという声があり、みんなで持ち寄る事になりました。「断捨離」などとは無縁の実家。ずいぶん捨てましたがまだ捨てきれない物が出て来ます。なので、手回し蓄音器、オープンリールのテープレコーダー、ラジカセなどをひっぱり出しました。とはいえラジカセはそんなにも珍しくもないので割愛。手回し蓄音器はポータブルタイプです。母の親戚がレコード屋をやってたと聞いているので、そのせいか、いろいろな種類のレコードがあります。ロシア民謡やらダンス用音楽や歌謡曲やら合唱、独唱、朗読劇、落語、漫才、などなど。確か30センチのSP盤のクラシックもあったはずで、2年前から探してますが、まだ見つかりません。オープンりールテープのほうは、3インチ、5インチ、7インチのタイプがあります。再生してみると、ローリング・ストーンズ、T・レックスなどの60年代ロックや、ピンク・フロイド、キング、クリムゾンなどのプログレ系が入ってました。テープは使い回ししてるので、カセットテープに切り替えた時代の音楽が懐かしい。最初に録音した時は高校の頃なので、植木等やらフォーク・クルセイダーズ、加山雄三、ヒットパレードなんかを録音していたように思います。持って行く物を選ぼうと再生してるとついつい聴き込んでしまい、時間が無くなって、とりあえず手当たり次第持参することに。友人の車で運び込むと、おもちゃ映画ミュージアムの太田夫人はとても喜んで、さっそく視聴。「新鉄道唱歌」や初代春団治の「寄合酒」、ベルトラメリ・能子さんの「君よ知るか南の国」などが館内に響き渡る。音量調節が出来ないのでうるさい。私の実家でかけることが出来なかったのはそのせいなんです。朗読劇「肉弾三勇士」をかけると、音響入りの大仰なドラマ仕立て。実際は事故だったのが英雄伝として喧伝され戦意高揚のツールとなったお話です。このレコードは私も今回初めて聞いたのですが、戦争のプロパガンダとしての貴重な証拠品です。これは是非、若い人に聞かせたいですねと、うなずき合いました。とりあえず明後日には様々な機器やレコードなどを持ち寄り、あれこれにぎやかに話しながらどんな企画イベントにしようかを決めましょう、ということで、今日のところは収めました。懐かしくも面白いひと時でした。
2015/10/21
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幼馴染の友人Yに誘われたので、母の分の夕食を食卓に並べ、近くの神社でのコンサートに出かけました。我々は御霊さんと呼ぶ下御霊神社の奉納舞台でのジャズコンサート。ここでは定期的にこのようなイベントが開かれています。今回の催しの主旨は、ある花の保護と育成のアピールだそうです。藤袴(フジバカマ)という花で、1300年前には京都に群生し、平安京の貴族たちが好んで匂い袋に詰めて楽しんでいたとのこと。源氏物語にも登場するそうですが、その原種が今、絶滅の危機に瀕しているとのこと。それを育成し守ろうという運動です。なので、神社の舞台周りにはずらりと鉢が並べられ、会場にはほのかな甘い香りが漂っています。空は薄曇りなので星は見えませんが、風は穏やかで、少し肌寒いけれど快適な環境です。今回のボーカルの古川真穂さんは歌だけでなく、女優やモデルや作家など、幅の広い活躍をされている方です。低く厚みのある声から、通るハイトーンまでを感情込めて使い分けるのはさすが。でも話すと親しみある三の線で、そのギャップもいい。ナンバーはほとんど正統派ジャズナンバー。それにオリジナルや日本のポップスなどをちょっと挟んで飽きさせない。エイミー・ワインハウスの「リハブ」が出たのには驚いた。私がソウルバンドをやってた時のレパートリーだ。懐かしかった。今私はJAZZカラオケ修行中なので、なるほどこう歌うのもあるのかと、参考になりました。修行中なんて言ってもYOU-TUBEで歌えそうなカラオケを探して練習するだけです。行きつけのお店にパソコンを持って行って、カラオケモニターに専用ケーブルで繋ぎ、YOU-TUBEを流しながら歌うんですわ。これでDAMなどに入ってない曲も歌えます。もちろんお店の営業時間外なので誰にも迷惑はかけませんが。とにかく神社の秋の夜空にJazzナンバーが流れるひととき。よかったです。次の日、友人Yから連絡あり、藤袴の鉢が並べられた寺町通りに色々な蝶が来て蜜を吸ってるよと、写真を送ってくれました。この花は北から南下する渡り蝶・アサギマダラが好んでその蜜を求めるそうです。行ってみると、たしかにそれらしき模様の蝶もおりました。京都の町で蝶を見るのもあまりない。この花のおかげですね。ありがとう。(今回の写真はすべてY君からの提供)
2015/10/08
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京都の三条通りにある旧日銀京都支店は辰野金吾の設計。今は京都文化博物館の特別ホールとして残されています。先日、ここで軽音楽のコンサートがあり、訪れました。行きつけのバーで知り合った方が出演されるからです。ドラム教室の先生をされていて、フルートとギターとのトリオでの演奏でした。会場はほぼ満席状態でしたが、ホールの特性からか、残響が多くてリズムやしゃべり声は聴き取りにくかったが、フルートはのびやかで快適に楽しめました。お店のひなちゃんも来てたので、一緒にドラムの方に挨拶したかったのですが、残念ながら楽屋がどこかわからず会えませんでした。実は私がわざわざ出てきたのには別な目的があったのです。その方が制作に関わられたというCDについて、いろいろとお聞きしたかったからです。お店でその方と話していたら、このCDも出されてるのよとひなちゃんが2枚見せてくれました。それを借りて帰って聴いたら両方とも素晴らしい出来。CDを繰り返し聴いたのは久々でした。HPを探したらMARS RECORDというNPO法人に属する2つのバンド、Calm placeと、Spirits Start Line。この法人は地方の人々に楽器とふれあい、音楽を楽しんでもらうためにライブ活動をしている団体とのこと。まあひとつ聞いてください。夢 (Calm place)ヴォーカルの梁静子さんの澄んでよく伸びる歌声が気持ちいい。それに、曲想、メロディとコード展開、演奏、歌声、音質すべてが高い品質であり、それに加えて、なんか魅力がある。どこか大貫妙子の香りも漂う。もう1曲おまけを。〜大人になる君へ〜 Calm placeもう一つのバンドはCalm placeのバックを務めたメンバーによるセッションバンドSpirits Start Line。ピアノ&ドラムのインストゥルメンタルデュオで、これもすごいテクとノリの良い演奏。曲想のバリエーションも豊かで聴き飽きません。sora (Spirits Start Line)Busterという曲もいい、これは彼らのHPを開くと流れる曲ですが、なんか独特の世界観のあるサウンドです。Buster / Spirits Start Lineまた、こういった曲も手掛けてます。低い空 (Spirits Start Line)私がCDを買うなどということはめったにあることではないのですが、両バンドともCDが欲しくなってHPにアクセスすると、会員でないと手続き出来ないみたい。ならば余計に欲しくなりました。今度彼をお店で待ち構えましょう。NPO MARS RECORD/ホーム追伸:お恥ずかしい。アクセス方法、よく見たら「会員でない人」をクリックしたらちゃんと注文出来ました。楽しみです。
2015/07/20
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昨年秋に、祗園に出来た馴染みのバー。知り合いのSさんがバイトしたお店はバーとうたっているが、バーテンダーがいるタイプでなく、女性がカウンター越しに接客するという日本的なバー。今TVで宮沢りえさんがやってる「ヨルタモリ」のお店をイメージしてもらえばいい。客は酒を飲むのが目的でなく、取り留めない話で過ごすお店です。これがクラブやサロンとなると、お店の女性がお客の横に座ったり、お酌をしたりすることで接待サービスと見なされ、風俗店として届出をしなければならないそうです。しかしこの店はそれらの一般的なバーとは違う、独特の雰囲気がありました。それは彼女の性格のせいか、お色気ゼロの明るくて笑いの絶えない店なんです。カラオケもあるので、ちょっと上品なカラオケスナックといったところか。そんな気安さからか、連れて行った10数名の友人達も気に入って常連になってくれましたし、私の会社のOBさん達のカラオケ会や飲み会にも使ってもらいました。Sさんはお店ではHinaちゃんと呼ばれ、深夜にママが使うまでは彼女一人で店をまかされてました。なので洋楽も好きな彼女は、客がほとんどいない日は、我々がエレキやアンプを持ち込んで騒いでも大目に見てくれました。カウンターも解放してくれたので、バーテンダーの真似事も出来ました。また来るお客もほとんどが馴染み客なので、バーにありがちな冷ややかな緊張感はゼロ。リタイヤしたおじさん達が多いからかも知れませんし、祗園という地のせいか、どの客も紳士的でおだやか。なので我々も初対面でも気さくに話出来、冗談を交わす。Hinaちゃんのほんわかした癒し系のキャラのおかげかもしれません。居合わせたお客はいつしか話を交わし、とても和んだ雰囲気が店に満ちていました。この店は本来はシックでグレードもそこそこの祗園のバー。なので、お値段もそうお安くないはずですが、ママさんはもう一つのお店が繁盛しているからか売上はさほど厳しく言わない。なので、Sさんはこっそりみんなに格安で飲ませてくれ、大変ありがたいお店でした。ところがそんなおいしい話は永くは続かない。ママさんの実家の事情でお店を閉めなくてはならなくなったとの突然の情報。開店してわずか半年。がっかりした我々ですが、Hinaちゃんが一番のショック。腰掛程度のお手伝いで始めたのですが、少しずつお客も増え、客同士も仲良くなっていい雰囲気が出て来た矢先だけに、しばらくは茫然としていたようです。彼女がやりたかったのが、人々を結びつけるようなお仕事。いろいろな仕事を経てきたけれど、ひょっとしてこれがそうなのかも、と考え始めたそうです。少しはこの世界の経験もある彼女なので、このお店を彼女が引き継ぐ話もありました。しかし家賃を考えると、客単価を3倍にしないと引き合わない。そんな高級店には興味ない彼女。といっても他の店で雇ってもらっても、こんなにのびのびとはさせてもらえない。もっと安価で気安く飲んでもらえる自前の店が持てたらなあ、いつかは。と、遠い夢を灯しながら、2月にとうとう最後の日を迎えることとなりました。私もこの店で唄やギターの練習をし、いつかは動画を撮ったりミニライブをしたりと、自分の音楽生活の枠を広げたいなんて気分になっていただけにガックリきました。しかしまあ、夢なんてこんなもの。とりあえず閉店前にと、バンド仲間に声をかけて、エレアコやカホーンを持ち寄っての飲み会。以前に一緒に演奏して騒いだお客さんも駆けつけてくれ、他の2組の初対面のお客さんらも巻き込んで楽しく賑やかに過ごしました。私の適当なカクテル付きで。別れ際には居合わせた全員と握手して別れましたが、こんな皆さんと次の店で再会出来れば嬉しいのですが...。まあ、この日の一期一会もまたいい思い出になりました。
2015/04/21
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梅、桃、桜が一斉満開の京都。雨になったがそれもまた風情あります。近所のお寺で恒例の「テラの音コンサート」。若い住職さんが企画運営し、お寺を解放されています。本堂のご本尊を横目に音楽を楽しむ。ちょっと気がひけますが、この日ばかりは仏様も娯楽に興じる庶民を大目に見てくださるようです。今回は弦楽四重奏。前半はベートーベンやモーツアルト、後半はドレスも変えてポップスを。モーツアルトのアイネクライネは当初、弦楽四重奏で作曲されたとのこと、イムジチで聴きなれている耳には素朴で新鮮な響きでした。ベートーベンの弦楽四重奏は始めて聴く曲でしたが、変化があり、聴きごたえありました。後半のポップスではオペラ座の怪人や歌謡曲などありましたが、「ダンシングキャット」が印象深かったです。作曲者のルロイ・アンダーソンは時計やらタイプライターやら紙やすりやらを使った楽しい曲を生み出しています。この「踊る小猫」という曲もその可愛さからバレエの演目によく使われ、私の娘のバレエ発表会でも何度も聴かされました。最初のフレーズに猫の鳴き声のような部分があってこれがバイオリンのミャ~ゥという生音にぴったり合って楽しめました。今回も友人を誘ったのですが、二人とも体調を崩して来られない。いつもは終わった後、近くのバーで余韻を味わうのですが、一人じゃつまらない、雨上りの路を家路へ。昔通った小学校前を通りかかると、八重桜としだれ桜が道の両側に続き、それを街路灯が照らし上げてとてもキレイ。このイベントは浄慶寺さんの自主企画で無料なのですが、出演者へのカンパとしてカゴが回ってきます。今回も楽しませていただいたので、1000円札を奮発したのですが、帰り道、間違って5000円札を入れてしまったことに気が付いた。ああ数日分の食費が..とガックリ。まあ、若手ミュージシャンの支援の為と思えばいい。と気を取り直しはしましたが、足どりはちょいと重かった。とりあえず、この曲を聴いて気分転換を。"The Waltzing Cat "by Leroy Anderson
2015/04/04
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1月16日未明、京都のほんやら洞が全焼。岡林信康さんらが作った喫茶店で、詩やフォークのライブで有名でした。私は関西フォークにはそれほど入れ込んでませんでしたが、それでも周りには熱心な友人がいて、いろいろ聴かされたり、ライブに行ったりしていて、この店も友人に連れられて何度か訪れました。ここに出入りしていた中川五郎、浅川マキ、中山ラビなどの名前が懐かしい。沢山の写真ネガや資料が消滅したようです。建物は再建出来たとしても、資料類や沁みついた歴史はもう戻りません。残念ですね。現場を訪れて写真を撮ってると、もう一人フアンらしい人が写真を撮ったり店の中を覗き込んだりしてました。それぞれ自分なりの想いを抱えてるようですね。焼け跡を眺めてため息をついたら美味しそうな香りが、振り返るとエズブルーという名の小さなパン屋が。エピパンとたらこ入りのベーコンスパイスってのをゲット。ああ、感傷より食い気か。
2015/01/20
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先週、京都のワタナベ楽器本店でギターの音響機材のデモセミナーがあったので友人と行ってきました。ギターの音を歪ませて厚い音に変えるディストーションとオーバードライブの使い分けが知りたかったのです。申し込んでから気が付きました。講師がなんと山口和也さん。今の若い人には数々の教則本やセミナーで親しまれてますが、私にとっては10年前に愛聴したアルバムのギタリスト。こんなところで山口さんのギターをまじかで聴けるとはラッキー!会場にはやはり若い子ばかりで、じいさん二人は異色でしたが、今の楽器市場の一部はじじいが支えとるんですよ。セミナーは1時間半、Bossの新商品はさすがに使いやすく、品質も向上してましたが、私のお目当ては山口氏のギター。カラオケをバックに数曲、巧みな指さばきと多彩なサウンドを聴かせてくれました。激しい爆音に耳が吹き飛ぶのではと心配してましたが、さすがプロ、歪んだギターサウンドも実にまろやかに耳に響き、フォーク系嗜好の友人も満足してました。セミナー終了後、山口さんに1stアルバムの話を持ち出すと、あー懐かしいですねと笑ってました。調子に乗って愛用のギターを見せてもらうとフジゲンの最高峰のヴァチョーソ。持たせてもらうと重い。これに0.1mmの弦を張り厚めのピックではじく。どうりで迫力ある厚い音が出てたはずです。この手のデモでは大体、使う楽器やアンプで決まる。ローランド・JCアンプを通したエフェクトなしの音そのものがいい。これにエフェクターをかけるのだから実に味のある音でした。帰りには山口さんのネーム入りピックをもらっちゃいました。ちなみに、山口和也さんについて補足しますと...彼は、バークリー音楽大学卒という異色のギタリスト津本幸司氏に師事し、津本&山口2名のギターデュオ「Mojo Tribe(モジョ・トライブ)」を結成。2008年発表のデビューアルバム「MOJO TRIBE」では津本氏がプロデュースとエンジニアを担当し、山口氏が1曲を除くすべての作品の作編曲とリードギターを担当。このアルバムにはブルースの様々なスタイルを取り入れたコンテンポラリーな曲が詰め込まれているが、私の一番のお気に入りは1曲目の「Turn Up the Mojo Radio!」。ファンキーでキレのよいサウンドで、ギターだけでなく超絶ベースがまたかっこいい。私の愛聴盤でしたが、今は廃盤となってしまったのは何とも残念。若い人達に聞いて欲しいアルバムだったのですがねえ。Album "Mojo Tribe" (津本幸司&山口和也)より3曲 http://youtu.be/lDTEn4j5RUc山口さんは2011年に5人のギタリストによる「GENTLE GUITAR V」を発表してます。リードギターばかりそんなに集めてどうするのかと心配ですが、このプロモ動画を見ればナルホドと納得。カッコいい。GENTLE GUITAR V Guitar Intersection PVhttp://youtu.be/lDTEn4j5RUcこの曲、多数のギタリスト参加のライブセッションで使えそうですね。グループ名はビートルズの「While My Guitar Gently Weeps」から来ているそうです。なので彼らの1stアルバムの選曲も名曲揃い。これを彼らのギターがどのように調理しているのか、聴いてみたくなりました。
2014/08/03
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お店の中でオリジナルの歌を流すのは日本独特だそうです。「海外では有り得ない」だとか。といえばすぐ浮かぶのはこれ、ヨドバシカメラの歌。パソコンやらオーディオやら、家電商品、フィルム、CD、DVD、いろんなものを物色しながらどっぷりとこの歌に浸かった方は多いと思います。ヨドバシカメラの歌の原曲はリパブリック賛歌。「まーるい緑の山の手線~」という歌詞は各地に行くとそれぞれ変わります。「若者集まる札幌に~」とか、「若者集まる梅田には~」とか、「若者集まる博多には~」などと地名だけが変化しますが、京都では「ヨドバシカメラは大きいな」と特別バージョンとなります。それにかぶさる英語、中国語、韓国語、フランス、イタリア、スペイン語など世界各国の言葉でのアナウンス。国際的な気分になりますね。そんな深い感慨を持って歌ってください。どうぞ!<ヨドバシカメラの歌・カラオケ>http://www.youtube.com/watch?v=eP3CYZsW8E4なんと青森はヨドバスとナマってます。(冗談です、青森は未出店です)<【吉幾三】ヨドバスカメラ青森店のテーマ>http://www.youtube.com/watch?v=TqEhVefektg続く歌はなんといってもこれ。<ビックカメラの歌 BIC CAMERA SONG>http://www.youtube.com/watch?v=3CxkDNCAE74元歌は「たんたんたぬきの~」ですが、そのまた元歌は讃美歌だそうです。 葬儀でも歌われたことのある神聖な歌が、おどけた下ネタソングになり、また、人々の購買欲望を刺激する歌へと変貌するってのは皮肉な変遷と言えるでしょうね。 新聖歌475番(聖歌687番/まもなくかなたの)<オルゴール スイス製ミラ18インチ 聖歌687番とビスクドール>http://www.youtube.com/watch?v=_lmd5-fyi9Iそして、sofmap。<HELLO,SOFMAP WORLD> 3バージョンhttp://www.youtube.com/watch?v=FvQ5wQfWWI0sofmapはとっても快適なポップスに仕上がっているので、特に突っ込むところがありません。が、なんと3バージョンも。1曲目はおなじみの日本語、2曲目の英語版は感動的にハモっていて、ギターソロもかっこいい。3曲目、え?ラップもあるって?ホントかなあ???それにしても、これらの歌を聞いているだけで、店内を物色するワクワク感が蘇ってくるのは何故だろう。<ジョーシン 店内BGM>http://www.youtube.com/watch?v=zBNXLfaD3ZMちゃんとした業界ポップスに仕上がってます。<ヤマダ電機の歌 高音質 Theme of Yamada Denki>http://www.youtube.com/watch?v=d3aR-DnEcM8これも定番の仕上がり。「デンデンデンキはヤマー ダダ!」ダダ!ってのがすごいですね。続いて、スーパーの歌、これはあまり印象的なものは少なく、<明日へ吹く風(イズミヤ店内BGM)>http://www.youtube.com/watch?v=ld_l76pwGhQいい歌ですなー。<ざ・CD音源(2) モクモクモッくんのうた!!>http://www.youtube.com/watch?v=FCSSLxXUiUUダイエー、グルメシティで木曜だけ流れてる特売ソング。京都、新京極のグルメシティが今月で閉店なんだよね、母親の下着類、これからどこで買えばいいのか?ドンキ・ホーテはこれでもかというごちゃごちゃ物量作戦の割に、唄は大人しいのでパス。ハードオフの音楽はけっこう明るくリズミカルで秀作。最後に取り上げたかった「ナカヌキヤ」の歌はついに見つかりませんでした。数年前に閉鎖、清算されてしまったからです。中川ムセンから発展した関西のディスカウントストアでしたが、その名のとおり、中間マージンをぬいて安く売る。渋谷にも出店しましたが、さすがにこの歌は流してないかも。メロディと歌詞がすごい。「ナーッカヌキヤ。ナカヌキヤ!」と連発し、これでもかと強烈なインパクトで迫ってくる。客は店に入ったとたんこの歌の直撃を受けて理性を失い、あらぬものを手当たり次第にカゴに放り込んでしまうという魂胆か?私なんぞは逆に、聴いた途端に腰の骨が砕け、歩けなくなりました。ところが恐ろしいことに、この刺激がたまらなくなり、また聴きたくて店に吸い寄せられるという、危険な魔力がありました。<ナカヌキヤテーマの歌詞> ナーカヌキヤ ナカヌキヤ ぬいーてぬーいて安く売る ナーカヌキヤ ナカヌキヤ 選んで選んで安く売る こちらの町にもナカヌキヤ あちらの町にもナカヌキヤ ぬいてぬいて安く売る ナカヌキヤをごひいきに御贔屓にしたかったのですが、残念でしたね。ではフィナーレに、サイコ―のテーマソングでお別れしましょう。街でこの店を見つけると買う物がなくっても入店してしまいます。この歌を聞いて元気つけたいからです。<ダイコクドラッグのテーマソング>http://www.youtube.com/watch?v=ZLhKKG3OlZMだってなんてったって、「宇宙戦艦ヤマト」の作曲者、宮川泰先生作の名曲「巨泉×前武ゲバゲバ90分!」のテーマを使っていて、「いらっしゃい ませっ!」「大 特価 ですっ!」という掛け声が楽しくって仕方ありません。 最高ーですっ!
2014/07/20
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スーパーに行くと特売の売場でにぎやかな音楽が流れてます。それが販促ソング。繰り返し繰り返し、これでもかと聴かされるので、歌の暴力やー!と嫌がる人もいますが、私はけっこう楽しんでます。店を出てもしばらくは頭の中で鳴り続け、寝床のなかでも出て来たりします。「お肉、スキ、スキ」のそのひとつ。<お肉スキスキ>http://www.youtube.com/watch?v=PW0dWVCWbXAJミート(財・日本食肉消費総合センター)の販促ソングだそうです。リズム、メロディ、歌詞それぞれがノリがよくって、名曲だと思います。「とうちゃんも、ねーちゃんも~」というフレーズはかなりインパクトがあるし「ジャストミートで、かっ飛ばそう!」という歌詞のシャレも効いてます。鮮魚売場に行くとJF、全漁連の「お魚応援ソング」が流れてます。<お魚のうた♪>http://www.youtube.com/watch?v=hOcILYZPapIまた、魚の名前が覚えられる教育的効果のあるこの歌も、<お魚天國>http://www.youtube.com/watch?v=4i4Lq9uMChI野菜売り場では、とても軽快なリズムの楽しい歌が。<野菜の歌♪>http://www.youtube.com/watch?v=HY--1bFLXN8とか、静かな湖畔の替え歌みたいなこんな歌、「やおやのお店」という歌です。あ、違った。プレスリーが映画「ブルーハワイ」で歌った「Almost Always True」が元歌でした。<野菜コーナーの歌>http://www.youtube.com/watch?v=uY3OZ01IQzEそして、冷凍みかんはスーパーではあまり見ないけど、楽しいいい歌で、静岡では大ヒットしたそうなのでご紹介します。<冷凍みかん(冷凍食品コーナー)>http://www.youtube.com/watch?v=gANtjHJj_Z8昔、列車の旅の必須アイテムでしたが、最近見ないなあ。これは(株)あじかんの、のり巻き販促音楽だそうです。画像がとっても美味しそう。子供のコーラスがどこか、キューピーのタラコの歌のハーモニーを思い出します。<まきまきソング(Full)>http://www.youtube.com/watch?v=j9YYLBKDbuwまだまだ、キリがありませんが、皆さんお疲れの様子なのでこの辺で勘弁してあげましょう。最後に、街を歩いていて一番耳にする曲がこれだ!皆さんもどこかで耳にしてるはず。いろんなお店で使われてるベストセラーの販促音楽マシン。ポッポーポ、ポポー♪トボケたような軽快なメロディがかわいい。<群馬電機 呼び込み君>http://www.youtube.com/watch?v=qXPSdSVO4xoさてフィナーレとして、腹が空いてきた皆さんとこの歌を唄いながらお別れしましょう。肉売り場でよく流れてる桂雀三郎のこの歌です。<ヨーデル食べ放題(肉コーナー)>http://www.youtube.com/watch?v=iVDx8enR-iQ ♪食べほ~だぃ♪
2014/07/18
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アルバート・キングがジェントルマンなら、フレディ・キングはやんちゃ坊主。B.B.キングはたたき上げの大社長。といったところでしょうか?もちろんこれは「あくまで個人の感想です」が。フレディ・キングはクラプトンをはじめとする白人ブルースマンに大きな影響を与えたブルースマン。多彩なギターフレーズとロックな感覚がいい。私の好みは「Big Legged Woman」とか「Sugar Sweet」とか「Me And My Guitar」など、アップテンポでノリのいい曲です。私はこれらをごきげんブルースと呼んでます。Freddie King - Big Legged Woman.wmv https://www.youtube.com/watch?v=EKNLeWJkefUしかしフレディを演るにはまだまだ修行が足りない。なので彼の大ヒット曲で定番の「Hideaway」を課題曲に。歌もないのでありがたい。ブルースを唄うのは至難の業です。「Hideaway」はちょっとクセの強い曲なのでクラプトン・バージョンの方が耳に馴染みます。で、この女の子のコピーをお手本にしました。Eric Clapton - Hideawayhttp://www.youtube.com/watch?v=YeDSI71YDPU何処のどなたかは知りませんが、お若いのに達者なギターです。BB・キングについては今更語るもなんですが、吠えるように歌い、芸術的な手つきでギターを奏でる姿はまさに人間国宝。アルバートやフレディが逝った後、今だに御達者、88歳かな。B. B. King - The Thrill Is Gone (Live at Montreux 1993)http://www.youtube.com/watch?v=4fk2prKnYnI&list=RDSSwllbE18YgBlues最大のヒット曲というか、もはやスタンダードナンバーとなった「スリル・イズ・ゴーン」は定番中の定番。もちろん我々のレパートリーに。ちなみに、この3人のKing氏に親戚関係はないとされていますが、ある情報ではアルバートとB.B.とは異母兄弟だとの説がありました。ブルースシンガーの大木トオル氏がアルバートご本人の口から聴いた話だとのことです。ま、あくまで噂としてですが、そうだとするとその親父さんってすごい。そのお二人が揃って日本に来たとき、京都の円山音楽堂のステージサイドで並んで豆をかじっていたと、ウエスト・ロード・ブルース・バンドの永井さんが書いてましたが、見てみたかったなあ、その風景。
2014/04/20
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Bluesには3人の王様がいる。アルバート・キング、フレディ・キング、そしてBB・キング。そのアルバート・キングが白人のブルース小僧スティーヴィー・レイ・ヴォーンとスタジオセッションした名作CDとDVDがあります。この中の「マッチボックス・ブルース」、それと「ボーン・アンダー・ア・バッド・サイン」が今回の我々の課題曲。身の程知らずというか、最初からえらい渋いものから始めましたが、ま、気分、気分。二人とももういません、なんせ1983年の録音。なごやかな雰囲気。アルバートが思いつくままおしゃべりし、レイ・ヴォーンが遠慮気味に相槌を打つ。大先輩への敬意か、レイ・ヴォーンのギターは控え気味。それがまたいい。こんな風にギターを弾きながら歳を取りたいもんです。ALBERT KING & STEVIE RAY VAUGHAN - MATCHBOX http://www.youtube.com/watch?v=sYO6_0AHhtE「マッチボックス・ブルース」は90年程前の盲目シンガー、ブラインド・レモン・ジェファーソンの持ち歌。一般的にはビートルズでご存知の方が多いでしょう。これはカール・パーキンスのロカビリー風で歌われてました。アルバートはこの曲を洒落たモダンブルース風に歌ってます。ここでは最初に短くギターが絡み、アルバートが1分程長々としゃべる。そしてListen、と歌い出す。この人はギターを弾く前にExcuse Meと呟いたりして、なかなかの紳士です。パイプをふかすのもよく似合ってる。レイ・ヴォーンがアルバートのフレーズを真似て巧みに絡んでます。Albert King With Stevie Ray Vaughan In Session - Born Under http://www.youtube.com/watch?v=26qBxol3Lx0「悪い星の下に生まれて」はアルバートのヒット作をクリームが取り上げて若者たちに有名になった曲。クラプトンは当然としてもジャック・ブルースもお気に入りの理由は超カッコいいベースライン。PCでお聴きの方はぜひ大型スピーカーをつないでお楽しみ下さい。アルバートのギターフレーズはコピーしにくい。何故なら、彼はギターをそのまま左に持ち替えて、そのまま弾いている。という事は一番上の弦が高音。そんな状態であれだけ弾きこなすのだから恐れ入ります。
2014/04/18
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