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こんばんは。
思考は水平でも、 経済的に傾いている
、
船沢です。m(_ _)m
かねてよりの腹案が、周囲には「突然降って湧いたアイディア」に見えてしまう、
松下幸之助
や 井植歳男
(三洋電機創業者)らとは別の意味で、
発想力が豊か
であるといえるでしょう。
(……というか、飛びすぎ?)
ところで 「ジャンプシンキング」
とは、パスメディアの主藤孝司会長兼CEOが、
自著『お金がないから成功できる「波乗り」経営』(フォレスト出版)にて提唱している、
柔軟な思考プロセスです。
その思考モデルは直線的ではなく、 並列的・感覚的
で、
問題の定義(入力)から導き出される結果(出力)までの プロセスが飛躍している
のが特徴です。
(つまり、どう考えてその結論に至ったか、本人もうまく説明できません)
一般的には 非連続・非論理的・非常識・支離滅裂
といった言葉で表現され、
論理的・直線的な思考である 「チェーンシンキング」
とは対極でありながら、
いずれか一方に偏ると、戦略として機能しない "車の両輪"
でもあります。
一方、最近では現代人の論理力・思考能力・説明力などの貧困化から、
前述の「チェーンシンキング(連鎖思考)」や「ロジカルシンキング(論理的思考)」を
学ぶための書籍が、次々と刊行されています。
しかし、先にも言ったように、論理的な思考と並列的・非論理的な思考は、隣り合わせの関係です。
論理的な考え方を学ぶことで、確かに説明やプレゼンはうまくなるでしょう。
プロローグからエピローグまで、きちんと筋の通ったドキュメントが書けるようになるかもしれません。
けれども、古来より日本人がもともと持っていた、美しい感性や着眼点とか、
大胆な発想力などが損なわれてしまうのではないかと、少し心配です。
実はジャンプシンキングを唱えた主藤氏からさかのぼること40年近く前、
同様の思考法を提唱した科学者が、すでにイギリスに存在していました。
そこで今回の一席。
皆さんは 「水平思考」
という言葉をご存知でしょうか?
50代以上の技術関係者、および彼らの薫陶を受けた方なら、一度は耳にしたことがあるでしょう。
若い方(俺含む)は知らないでしょうが、当時はこの言葉が大変なブームになったものです。
水平思考は、脳科学と情報処理の権威である、
医学博士 エドワード・デ・ボノ
氏が提唱した思考概念のひとつで、
1967年に発表された著書 "NEW THINKING"
によってその名を知られることとなりました。
その後、1969年に同書の日本語版 『水平思考の世界』
(講談社)が発売されるや、
効率重視主義(いわゆるモーレツ)に反発するビジネスリーダーやエンジニア、
知識人を中心にベストセラーとなり、国内には「水平思考ブーム」が巻き起こりました。
そして現在、水平思考や「 シックスハット
(6つの帽子)」などの思考ツールは、
これまでに34言語に翻訳され、52カ国で発表されています。
《公式サイト(英語)→ http://www.edwdebono.com/
》
(※現在、単行本は絶版状態で、古書店でも発見は困難と思われる。
のちに同書は1971年に講談社ブルーバックスから新書版として再発表。
ちなみに船沢は何の因果か、新書版第1版を所有している。)
ファミコンやゲームボーイ、「ゲーム&ウォッチ」を開発・設計し、
画期的な入力デバイス「十字キー」を発明したことで知られる伝説の技術者、
故・ 横井軍平
氏は、デボノ博士の熱心な信奉者としても有名で、
自社で開発されたゲーム機以前にも、数々のヒット遊具を水平思考によって生み出し続けました。
生前、ことあるごとに口にした
「枯れた技術の水平思考」
という名言は、氏の思想を端的に表現しているといえます。
つまり、 すでに完成された古い技術、当たり前となって久しいノウハウを、
まったくの異分野・異業種で活用することで、画期的で役に立つ商品が生まれる
、と。
たとえば「ゲーム&ウォッチ」も、当時の電卓ブームに乗って余ってしまった液晶画面を、
「ゲーム機の画面として活用する」という水平思考的発想から生まれたものです。
そして、あの「十字キー」も然りです。
スティックではコストがかかるし、方向ボタンを4つつけたのでは操作性が悪い。
"なら、最初から4方向入力できるひとつのボタンを作ればいい"
もしこの発想がなければ、ゲーム業界の発展はあと30年遅れていたでしょう
。
本書の発表される以前、1960年代の米国では“科学技術”が礼賛され、
論理的・直線的な思考(デボノ博士は「垂直思考」と呼称)による、
発想力の低下・硬直化が深刻な問題
になっていました。
たとえばホバークラフトの技術そのものは、実にシンプルで古典的です。
なのにどういうわけか、実用化されたのは航空機よりもずっと後の、戦後になってからでした。
技術者たちは視野が極端に狭くなりすぎて、
「真下に風を送れば地上から浮いて走れる」という単純な発想にすら気づけなかったのです。
デボノ博士は、脳医学および哲学の観点から、この問題に一石を投じました。
論理的な 垂直思考は、 ひとつの事柄について、穴を深く掘り下げていく
ようなものです。
しかし、掘りすぎてしまうと、なかなか次の新しい穴を掘ることができません。
これに対し 水平思考では、 同時並行的にいくつもの穴を掘っていきます
。
もし宝の脈(問題解決策や解答)があるとわかれば、そこを深く掘ればいいし、
掘削のパフォーマンスを高めるために、いくつかの穴同士を横穴で結ぶこともできます。
では、あまりにも有名な、水平思考の実践例をひとつご紹介しましょう。
昔、ロンドンのある商人が、年老いた醜い金貸しから高額の借金をして、頭を抱えていました。
あるとき、この金貸しのじじいは、まだ10代の美しい商人の娘に目をつけました。
「おまえさんのそのべっぴんな娘を、わしに譲ってはくれんかね。
そうすれば、おまえさんとこの借金は帳消しにしてやろう」途方にくれた商人に、ずるがしこい金貸しはひとつの提案を持ちかけます。
「そうじゃな、それではおまえさんもかわいそうじゃて。
よろしい、では運を天に任せるとしよう」
そういって金貸しは、財布に白黒ひとつずつ、2個の小石を入れたくじをつくりました。「よいかね、娘さん。おまえさんにはいまから、この中の小石を引き当ててもらおう。
どちらを選んでも借金は帳消しにしてやるが、もし黒い小石を引いたら、おまえさんにはわしの嫁になってもらう。 しかし逆に、もしおまえさんが白い小石を引いたら、いままでどおり、親父さんと一緒に暮らすことを許してやろうではないか。
それができんのなら、いますぐに耳をそろえて払ってもらおう」もし、この勝負を拒否すれば、父である商人は監獄送りにされてしまいます。
当時のロンドンは、借金を返せないと、問答無用で逮捕された時代だったのです。
商人は仕方なく、この賭けに同意しました。金貸しは地面から小石をふたつ拾い、大きな革の財布に入れました。
ところが、娘は見てしまったのです!
金貸しが、ふたつとも黒い石を入れているところを……!「さあ、準備はできたぞ、おまえさんがた。いますぐ、小石のくじを引くがいい」
そういって金貸しは、商人と娘に迫りました。
ここでデボノ博士は、あなたに問いかけます。
さて、
もしあなたが娘だったら、あるいは彼女に助言できるとしたら、
いったいどうしますか?
垂直思考、つまり論理的な考えでは、以下の3通りの結論を導き出すことになるでしょう。
しかし、これらの方法は彼女にとってなんの役にも立ちません。
この場合においては、
「必ず色を選び、くじを引かなければならない」という行為
にこだわってしまっています。
これに対し水平思考では、 視点の角度を変え、小石そのものに目をつけます
。
では娘がどうなるか、続きを見てみましょう。
娘は財布から小石を取り出しました。
ところがなんと、彼女は その色を確かめる前に、ぽろっと地面に落としてしまった のです。
小石はそのまま、庭の敷石にまぎれてしまいました。
おどろく金貸しを前に、娘はあっけらかんとして、こういいました。
「あらまあ、わたくしって不調法ね。でも大丈夫ですわ。
お財布の中に残った小石を見れば、いま落とした小石の色がわかりますものね 」これを聞いた金貸しは、ぐうの音も出ませんでした。
財布の中には黒い石が残っているので、必然的に引いたのは「白い石」ということになってしまいます。
それにいまさら「両方とも黒だった」と不正を認めても仕方ありません。
金貸しはしぶしぶ負けを認め、娘は嫁入りをまぬがれることができました。
そして商人の借金も帳消しになり、娘と一緒に暮らすことができたのでした。
実はこの方法だと、金貸しが正直者だった場合に比べ、ずっと成功する確率が高くなります。
正直金貸しの場合、財布には約束どおり、白と黒の小石がひとつずつ入っているので、
当たりを引き当てる確率は五分五分、つまり50%です。
が、リスクファクターそのものを排除し、悪徳金貸しの不正自体を"うやむや"にする
上記の方法では、 勝率はなんと100%
となります。
引いたはずれくじを証拠隠滅し、残ったほうが"はずれ"と規定してしまえば、
当然、娘が"当たり"を引いたことにせざるを得なくなるからです。
行為や行動ではなく、アプローチそのものを変える。
押してもだめなら、引いてみる。別なものを流用してみる。
最初からやらなくてもすむ方法や、無効にする方法を考える……。
これが「水平思考」です。
青い地球の水平線に、誰かがきっと待っている。それではまた。 m(_ _)m
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