謎作家・船沢荘一「鵡鷺愚《ぶろぐ》」1.0

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2006.06.08
XML

ファイル交換ソフトは、
落とさない、持たない、勧めない。


この標語を守って、安全なインターネットライフを送りましょう。 


というわけで、こむばむわ。
船沢です。m(_ _)m



読者の皆様も、ニュースなどで 「ファイル交換ソフト」 という名を
聞いたことがあるかと存じます。

でも、それがいかなるものか、よく分かっていないという方もいらっしゃることでしょう。


下手をすると、
「音楽ファイルや画像ファイルがタダで手に入る」
という、 とんでもない誤解をしている輩 (特に若年層に多い)が
増えているので始末に負えません (その誤解している連中が、今回の一連の悲劇に拍車をかけているとも言える)


というわけで、いまこのサイトをごらんのあなたが、
そんな悲劇に巻き込まれないようにするためにも、
ここでおさらいをしておくことにしましょう。

ファイル交換ソフト (ファイル共有ソフト)とは、その名の通り、
ネットワークを介して、個人ユーザ同士のデータを交換するためのアプリケーション のことを指します。

このソフトを介して、音楽ファイルや映像・画像ファイルがやり取りされているわけですが、
もちろん、タダでというわけにはいきません。

相手の持っているファイルを無償でダウンロードできる代わりに、
自分の持つファイルを公開し、相手(もしくは誰か)に譲る
必要があります。
これこそが「ファイル交換」と呼ばれているゆえんです。

このプロセスにあたって 「共有フォルダ」を使用する のですが、
LAN(局地的ネットワーク)内でなく、
インターネットを経由して世界的に共有 しているため、
「ファイル共有ソフト」 とも呼ばれています。


ファイル交換ソフトには、
専用サーバをホスト(親)サーバとして、ユーザのファイルリストをデータベース化し、
ホストサーバが専用ソフトを組み込んだユーザ同士を仲介する
(リストから目的のファイルを見つけたら、 P2P 〔Peer to Peer:一対一〕接続に切り替わる)
「中央サーバ型」 と、
専用ソフトを導入済み、かつログイン(接続)中の ユーザ同士を探索し、
終始P2P接続してデータのやり取りを行う
「純粋型」
の2種類が存在し、
それぞれ一長一短があります。


中央サーバ型は、トラフィック (データの交通量 = 通信量。
混雑すると通信速度や品質が低下する)
の心配をしなくてすむ代わりに、
サーバダウン(停止)してしまうと機能がストップします。

一方、純粋型交換では、一度に多数の利用者が同時にログインしていると、
トラフィックが混雑し、通信品質が低下しますが、ユーザがお互いを接続する方式のため、通信障害は問題となりません。
万が一、相手方のPCを認識・接続できなかった場合は、別のユーザを探しにいくだけのことです。


中央サーバ型ソフトの代表格は、
1999年に発表された古参「 Napster (ナップスター)」や、
その後継ともいえる「 WinMX 」が有名です。

また純粋型には「 Gnutella (グヌーテラ)」や「 BitTorrent (ビットトレント)」、
WinMXを超える意味で命名された「 Winny (ウィニー)」があります。
(※「MX」のアルファベットをそれぞれ1字ずつ後ろにずらすと「NY」。
 つまり WinMX → WinNY → Winny となる)


このうち日本国内では、WinMX とWinny がもっとも一般的に普及しているとされています。


このように、ファイル交換ソフトとは、ごく大雑把に言うと、
個人間での貸し借りや交換、又借り・又貸しなどが、
インターネットを介し、全世界規模でできてしまう
という、
とんでもないソフトなのです。


では、これらの一体何が問題なのか?

その第一の問題は 「セキュリティの脆弱化」 それも、ユーザの不注意から、 ほんの2アクションで、
あなただけでなく、家族や職場のパソコンまでもが「ザル」と化してしまいます。

ファイル交換ソフトが扱えるのは、 実は映像や音楽のデータだけではありません ソフトにもよりますが、これらは正規のデータファイル(.jpg、.wma、.mp3など)や圧縮ファイル、
自動実行形式の圧縮ファイル(.exe)を扱うことができます。

なんとなく気づいた方もいるかもしれませんが、
拡張子さえ書き換えれば、 事実上、どんなファイルでも流通が可能 です。
さらに実行ファイルについて言えば、外見上は「圧縮ファイル」なのか、
「アプリケーション ソフト」なのか、区別がつきません。


……はい、ここまで書けば、もうわかりますよね。

これらのファイルを知らずにうっかり実行してしまうと、
ウィルスソフトやスパイウェア、マルウェアなどが展開・起動し、
あなたのコンピュータのデータを改ざん・破壊したり、
背後でデータを勝手に収集・流出させる
など、
既知あるいは未知の脅威にさらしてしまう場合があるのです。

多くの場合、 ファイルの名前にだまされ (有名人の名前やエッチな単語など、
ユーザの大半を占める男性の興味をそそる仕掛けになっている)、
「そうとは知らずにファイルを開いてしまった」粗忽な連中 が、
一連の悲劇の引き金となることが多いようです。


ことに、もっとも厄介なのが「自己増殖型ウィルス」と呼ばれるもので、
実行すると、上記のプロセスを背後でこっそりと行うだけでなく、
自分の"クローン"を生成し、電子メールやフォルダ共有、リモート接続などを介して
次々と眷属 = "感染者"を増やしていくのです。

もうひとつの問題は、データの流出・収集がもたらす、
「知的所有権の侵害」 です。
もし、これらのソフトを使ってダウンロードしたファイルが、
著作権・肖像権・商標権・知的所有権などを侵害するもの (つまり、違法にコピーされた)であった場合、
ダウンロードしたり、持っているだけでも犯罪になります
実際に、ソフトの利用者および開発者が、著作権法違反などで逮捕されるという、大きな事件にまで発展しました。

さて、このファイル交換ソフトによる情報流出・改ざんなどの被害。
報道でもご承知の通り、民間企業・官公庁などでも、大きな問題となっています。

こうした問題が起こる最大の要因は
「リスクに対する認識不足」 「公私の境界のあいまいさ」
これに尽きるでしょう。
簡単に言うと、 パソコンの運用状態がきわめて杜撰 (ずさん)なのです。


当該のパソコンは、だいたい、こんな形で運用されていました。

1) 私物のパソコンを、仕事先でも使っている。
2) 職場から支給・貸与されたパソコン = 「俺のパソコン」と勘違いしている。


おそらく、社長も役員も、管理職も忙しかったのだと思います。
忙しさにかまけて、勉強をしてこなかったのかもしれません。
あるいは、「うちには関係ない。そんなこと、起こりっこない」と、高でも括っていたのでしょうか。

ともあれ、そのことで、
取り返しのつかない事態へと発展する可能性があります(もしくは、すでにそうなっている)。組織のトップや現場リーダーが、もう少し早くことの重大さを知っていれば、
悲劇を未然に防ぐことができたかもしれないのです。



こんな感じですが、ファイル交換ソフトの恐ろしさ、理解していただけましたか?
では 冒頭の標語 を、確認のためにもう一度。

  • ファイル交換ソフトは、 絶対にネットワークから落とさない (ダウンロードしない)。
  • ファイル交換ソフトは、たとえ友人・家族から勧められても、 絶対に持たない
  • ファイル交換ソフトは、感染の拡大を防ぐためにも、 絶対に他人には勧めない


以上の標語を守って、楽しいネットワークライフをお過ごし下さい。


※ただ、個人のパソコンで、一般回線を介し、私的にやり取りする分には、
ファイル交換ソフトは「便利」であるともいえます。
何より、探しても見つからなかったレア(稀少)な映像・音楽がデータ化され、
出回っていることを考えると、その有用性も理解できます。

違法なデータを入手してパンダ車のご厄介になったり、
「お宝ファイルだと思って、ウィルスファイルを開いてしまう」愚行をやらかさない限り、
使う人によっては、パソコンライフを楽しくする一品といえるのではないでしょうか。
(と、やんわり擁護派もフォローしてみる)


けれども、念を押しますよ。
仕事で使うパソコンには、絶対に導入しないでくださいね。


今回はこんなところで。ではまた。m(_ _)m






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最終更新日  2006.06.09 22:20:44
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