仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2008.01.14
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カテゴリ: 国政・経済・法律
諸藩の財政改革が必要とされた基因は何か。凶作による減収や幕命による諸事業などの支出が圧迫したという個別の要因はあるだろうが、より根本的には米経済を建前としたシステムに経済の実態を反映していない矛盾があった。

1 家康の統治システムと経済政策

天下統一の地盤を受け継いだ家康は、きわめて巧妙な統治体制を完成させた。派手さや斬新さは見えないが、むしろ信長や秀吉の豪放で粗野な進め方に対して慎重に仕組を構築し、人心を従えた盤石の泰平実現システムをめざした。

家康が重視したのは法治主義の徹底である。武家社会の基本法にはすでに鎌倉幕府による御成敗式目があり、戦国大名も領国ごとに分国法を敷いていたが、実力本位の戦国時代には法治も形骸化していた。そこで分国法を越えた天下の法度を定めた。一国一城令を初めとして、武家諸法度、禁中並公家諸法度を公布する。
また、貨幣政策の確立にも努めた。中世には中国の永楽銭が通用していたが、家康は、銀座、金座などを設置し、幕府が鋳造権を握るとともに金一両を定位貨幣として、通貨事情を改善させた。

経済面では、貫高、俵高が混在していた各地域の収穫高を石高制に統一した。家臣の知行も石高で示すことで、封建的階層性の俸給や役務など明確で公平な表現を可能にした。さらに石高制で農民の生産力も一元的に把握され、年貢の確保、増徴が可能となった。
信長や秀吉が重商政策をとったのに比較して家康の経済政策は地味であるが、封建体制はもともと米経済に立脚したもので農本主義こそ基本であった。百姓は死なぬように生きぬように、と苛酷な農民収奪を行ったように思われがちだが、六公四民などが行われた戦国時代に比べると、四公六民という家康の税率は農民の生活と再生産を保証する善政と言えた。

もっとも家康が商工業を軽視したわけではなく、鉱山を幕府直轄領に編入し、また朝鮮との関係を修復し、衰退した明との貿易の代わりに南蛮貿易の発展に意を用いた。秀吉の朱印船制度を継承し、やがて貿易を幕府直轄として利潤を独占した。

2 幕藩体制の転換点


しかし時代が下がると文治だけでは立ち行かなくなってくる。倹約令にとどまらず、上方豪商から借金をし、諸士から上納金を召し上げるなど、藩財政の窮乏が浮き彫りになってくる。

幕府でも同様で、綱吉の元禄時代も好景気の恩恵を受けたのは商人であり、財政の赤字は目立っていった。元禄8年(1695年)幕府は貨幣改鋳に乗り出すが、改鋳とは実は改悪であり貨幣の品質を落として約五百両の出目(利益)を得るというものであり、これがためインフレが起こり、にせ金が横行する。
この貨幣改鋳は安易ながら財政再建にもっとも安易に効果が出る手法であった。

幕府や諸藩がこうも短期間に財政を悪化させたのはなぜか。主原因は国内の経済実態の地滑り的な変動である。江戸の武家支配層は領内の農作物を年貢として吸い上げて、それを金銭に換えて消費生活を行っていた。しかし、貨幣経済、商品経済が急速に成長し始めた。これらは、国自体の経済規模を拡大する自律性をもち、商品の供給量の増大と物価の上昇をうながす。それに対し、武家が依存する米経済は毎年の生産量がほぼ一定するから停滞性が強い。これにより、米経済と貨幣経済の格差はたちまち逆転し、幕府も諸藩も財政赤字に苦しむこととなった。

(百瀬明治『名君と賢臣』講談社現代新書1313、1996年 4-06-149313-2 などから)

■関連する過去の日記(藩政改革関係)
仙台藩の経済と財政を考える(2 仙台藩の歳入歳出) (08年1月3日)
秋田藩佐竹義和の改革 (07年12月21日)
秋田藩佐竹義宣の改革を考える
上杉鷹山の知恵袋 竹俣当綱 (07年1月17日)
仙台藩の経済と財政を考える(1 藩札) (06年7月25日)





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最終更新日  2008.01.14 10:13:48
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