仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2008.12.11
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カテゴリ: 仙台
当初は、頻繁に使うタクシーの行き先を書いていないだけ、とさほど深刻に受け止めない市民も多かっただろう。私用か公用か、市長は公用で使ったと一点張りだが、まあ中には政治家個人としての、あるいは私用とみなされるものもあるだろう、明確にできない面はあるから多少は仕方ない。大企業の接待みたいに乱発しているのではなかろうし、ただもう少し市長にはけじめをつけて欲しいけど... くらいに受け止めている人が多かったのではないだろうか。

しかし、河北新報には二の矢があった。報道機関が行政に対し押しつける廉潔性や過度の透明性、と一般に同紙に抱く感覚以上のものを明確に市民に与えてしまった。

第三者に渡した、というものだ。自分が使った、という説明が完全に崩れたわけで、要するに市長の話は信用できない、ということが明確になったからだ。

とすると、「全て公用」の点も怪しいことになる。自然な論理だ。二百万円余りを市に返納したというのも、奇妙だ。正しく使っているのなら、そのことをディスクローズすることこそ努めなのに、返納して事を済ませようとする。一人の人間として篤志の行動ならわからなくもないが、民主制のトップにいることを全く考えていない。返すかどうかよりも、どのように使ったのか、公開より優越する第三者の利益があるならその点を詳細に説明すること、それが求められる。説明の一角が崩れた以上、なおさら。市議会が糾弾するのは当たり前のことだ。

組織的な慣行とはおそらく言えないように思う。もっとも、市長に束で預け、また「使用」後に支出処理しているのだから、事務方も不自然さは気づいていたはずだ。諌めたのか、仕方ないとして対応したのか、何ともわからない。
思い切り穿って考えれば、組織的悪弊の泥をすべて市長個人がかぶっている、という図式も理論的には可能性があるが、事務方からそのような図式を進言できるはずもないし、ましてや梅原氏個人がそのような大人(たいじん)の行動に進んで出ることは絶対あり得ない。

梅原氏も、高を括っていたのだろう。

タクシー券を接待的に使うことは大企業なら当たり前。ましてや枢要な政治家にして大都市の首長。更に言えば、自分の一挙手一投足はすべて市長としての行動だから、柔軟自在にタクシー使って何が悪い。俺は毎日大変なんだ。経済界の連中よりもっと仕事しているんだから、何で文句言われようか。国の役人だってみんなタクシー券自由に使っているだろ。そんな感覚で4年間通してきたのだろう。

よく、市民の税金だから使途を明確にすべき、という論調もある。いかにも英米法的な納税者の権利的発想だが、私は前も論じたように、それは否定しないが、納税者主権をあまり振りかざさない方が良いと思っている。税金を払わない人も多数いるし、また、例えば税金で成り立っていない特別会計についても同等に使途は明確にすべきだからだ。行政の情報公開や廉潔性は、市民が納税者だからそれを要求できるのではなくして、行政が公のものであること、民主制たることそれ自体から由来するものだ。納税者主権論は、新聞購読者は料金払っているから新聞社の経営にモノを言えるという議論と通じてしまう。対等な主体間の関係ではなく、公的存在たることが根拠だ。



本論をはずれて、処世術的な小さい議論になるが、これだけ情報公開意識が言われているのに、気づかなかったこと、そのこと自体も時代を引っ張るリーダーも感性として問題視されるだろう。

今日(11日)の市議会では、梅原市長が給料の2ヶ月間の半額カットを表明したという。肝心のタクシー券の譲渡先や使途にはフタをしたまま、問題を目くらましする作戦、と言われても仕方あるまい。市長の給与削減には条例が必要だ。条例の成立には議会の議決が必要だ。議会としても、本論の使途を明らかにしないからといって条例を不成立にする、との姿勢も取りにくい。かといって、条例を通せば、それをもってこの問題には決着をつけた、と梅原市長に格好の口実を与えそうだ。市長側としては、「上等の」作戦なのかも知れない。

2百万円の返納は、住民訴訟を封じるため。情報公開は、資料がないから空振り。そして、今度は政治的なアクションの封じ込め策。対応策は実にスマート、と言えなくもない。

しかし、それで収まるなら、議会は要らない。ゴメンで済むなら警察は要らない。この場合は、ゴメンとも言っていないのだが。まさか、主要会派が市長の減給で事を納める、と手を打った、とは思いたくないが。

■関連する過去の記事(梅原市長関係。他にもあったとは思いますが。)
仙台市議会と都市ビジョン会議公開問題 (06年8月22日)
情報公開とノブリス・オブリージュを考える (06年8月18日)
梅原仙台市長の評価4割を考える (06年8月13日)
「子ども」か「子供」か (06年4月27日)
歴史的町名復活検討事業を考える (06年4月19日)
河北新報の梅原市長評を考える (06年2月28日)
仙台市梅原市長の「仙台一高・仙台二高別学維持」発言に思う (05年11月30日)





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最終更新日  2008.12.11 21:59:27
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