仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2013.06.18
XML
カテゴリ: 東北
津軽下北の両半島をめぐる今回の旅は、蟹田からフェリーを使う手があったナ、とつい先程現地で気が付いたものの一路青森市へと突き進む。実は、唯一青森市で訪れたい場所もあったのだ。森林博物館だ。

昭和42年廃止の津軽森林鉄道の貨車が保存されていると本に書いていた。また、森林博物館に隣接の森林管理局が、かつての鉄道の起点であった青森貯木場の跡ではないかと思われ(私見)、駅の遺構もあるかも知れない。

■関連する過去の記事
下北半島の森林鉄道 (2013年5月6日)
芦野公園と津軽森林鉄道 (2013年6月4日)
津軽森林鉄道 (2010年5月8日)

130591shinrin1.jpg



そんな博物館の扉を押して受付で尋ねると、森林鉄道の車両は庭に別館があるから自由に見学可能ですが、旧駅舎についてはわからないですね、とのこと。

そこで一旦外に出る。綺麗に整備されている庭園の脇に、森林鉄道の車両を展示するプレハブの建物。機関車と客車が保存されているのが、内壁に解説のパネルや写真があって、これが大変参考になった。

130591shinrin2.jpg

しばし読んだ後、受付に戻って御礼を言うと、こんな客がいるからか、津軽森林鉄道についてコピー用紙に5枚ほどの解説をいただいた。これには感謝。

以下は博物館(津軽森林鉄道車両の展示室)のパネルの解説と解説書の内容である。


津軽森林鉄道
津軽森林鉄道は、日本三大美林の一つ、青森のヒバを積極的に利用する目的で、1906(明治39)年に着工。3ヶ年余の歳月と62万円(現在で約23億円)の工事費をかけて開設された我が国最初の森林鉄道です。
この森林鉄道は、ヒバ材の需要の増加により、それまでの川流しや、馬車などによる搬出方法では、輸送力に限界があることから計画されたものです。
そして、国有林材の輸送だけでなく、沿線の人々の、生活必需品、貨物の輸送、また交通機関として、幅広く地域住民に利用され親しまれました。
しかし、第二次大戦後、トラック輸送の普及により、昭和42年11月、58年間にわたる歴史を閉じました。
この間に輸送したヒバ丸太は、162万6千立方メートル(20坪の住宅にして5万8千戸分)、路線の延長は121キロメートルにも達しました。
〔津軽森林鉄道位置図〕

津軽森林鉄道位置図


蟹田停留所~今泉停留所(明治39~41年度新設)
今泉停留所~喜良市停留所(明治40~42年度新設)

また、図中には、蟹田と今泉の間に、六郎、相股の2つの隧道が図示されている。

津軽森林鉄道のおこり
津軽半島の「ひば林」は、藩政時代から、「御留山」(おとめ山)として、保護育成されていたため、豊富な蓄積を有してはいたが、未開発で、いわば消極的な利用状態におかれていた。
明治24年にいたって東北本線、同27年に奥羽本線が開通し、津軽半島の首根に位置する青森市は、木材や海産物等の諸資源の集散市場として経済交流が盛んとなり、両鉄道を通じて「ひば材」も次第に県外に移出され、市場性を増大することとなった。
明治37、38年の日露戦争を契機に、国内の各種産業がいちだんと活気づくにつれ、木材の需要が増加し、また、国の財政に役立てる意味からも直営生産事業(国が直接資金を投入して丸太の生産、運搬等を行う事業のこと。昔は、官行斫伐事業といわれた。)を活発にすべしという世論が高まり、貯木場、林道の施設が拡大の機運をたどった。
当時、津軽半島地帯の木材の搬出方法は、先山作業(伐木造材、木寄、雪ぞりだし)を終わったあと、管流(放流)舟筏または馬車による駄送にたよっているだけで、急速な時代の進歩には、並行できない状態であった。5月から11月上旬までの搬出期間にしても、特有のヤマセの厳しい自然の制約を強く受け、計画的な林業経営ができないほど、輸送力が弱い有様だった。


全国森林鉄道一覧
地図に出ている鉄道名を以下に書き出す。
(北海道)丸瀬布森林鉄道、羽幌森林鉄道、芦別森林鉄道、温根湯森林鉄道、沖戸森森林鉄道、陸別・トマム森林鉄道、定山渓森林鉄道、王子製紙専用鉄道
(本州・東北)
津軽森林鉄道、大畑森林鉄道、川内森林鉄道、長木沢森林鉄道、早口・岩瀬森林鉄道、二ツ井営林署森林鉄道、高巣〔ママ〕森林鉄道、仁鮒森林鉄道、仁別森林鉄道、杉沢森森林鉄道、宮田又・船岡森林鉄道、直根森林鉄道、浪江森林鉄道
(本州・東北以外)
湯の小屋森林鉄道、下仁田森林鉄道、武州中津川森林鉄道、東京大学演習林軌道、三塩森林鉄道、世附森林鉄道、稲又森林鉄道、双六・金木戸森林鉄道、小坂森林鉄道、王滝・小川森森林鉄道、赤沢森林鉄道(保存鉄道。赤沢森林鉄道記念館として、終点赤沢より復活した森林鉄道が走っている)、千頭森林鉄道(保存鉄道)、気田森森林鉄道、〔3つほど読み取れないものあり〕、大杉谷森林鉄道、高野山森林鉄道、京都大学演習林軌道(現役)
(四国)
殿川内森林鉄道、魚梁瀬森林鉄道(安田川森林鉄道の初期には何と津軽森林鉄道から移管されたシェイ式蒸気機関車が使われた。現在は魚梁瀬貯水池脇の丸大台地に復元された魚梁瀬森林鉄道が走っている。)
(九州)
内大臣森林鉄道、〔2つ読み取れず〕、安房森林鉄道(現役)

青森県森林鉄道と保存車両たち
青森市森林博物館
(保存車両 川内森林鉄道から大畑森林鉄道への移管車両)
金木町立歴史民俗資料館
(保存車両 津軽森林鉄道車両(元金木営林署))
中里町立博物館
(保存車両 津軽森林鉄道車両(元金木営林署))
大畑森林鉄道(明治44年-昭和43年、大畑-大畑国有林間、226.0km)
〔鉄道跡や橋の遺構の写真が解説されている。〕
川内森林鉄道(大正2年-昭和45年、川内-野平、20.3km(幹線))
〔往時の写真が並べられている。〕

130591shinrin3.jpg

〔続く〕
■次の記事
青森市森林博物館と津軽森林鉄道(その2) (2013年6月19日)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2013.06.23 21:03:08
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

コメント新着

おだずまジャーナル @ Re:仙台「6時ジャスコ前」の今むかし(11/14) 仙台フォーラスは来月3月から長期休業。再…
クルック@ Re:黒石寺蘇民祭を考える(02/18) ん~とても担い手不足には見えませんけどネ…
おだずまジャーナル @ Re:小僧街道踏切(大崎市岩出山)(12/11) 1月15日のOH!バンデスで、不動水神社の小…

プロフィール

おだずまジャーナル

おだずまジャーナル

サイド自由欄

071001ずっぱり特派員証

画像をクリックして下さい (ずっぱり岩手にリンク!)。

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: