仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2015.06.15
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カテゴリ: 東北
昨日、宮城県警の巡査長が酒気帯び運転で逮捕された。何とも残念なニュースで、大いに論じたいこともあるが、NHKのアナウンサーが事故の現場を「国道4号線」と2度も読み上げていたのが、頭に残った。

「国道4号」というのが通常であり、また正式でもあろう。他のメディアは国道4号と書いているようだ。私自身も、「4号線」という言い方が奇異に聞こえたのだから、自分の中でも「国道4号」で今は定着しているようだ。

しかし、宮城県で「4号線」は決して特殊な呼び方ではなく、むしろ一般に広く受け入れられているような気がする。じつは、私としても、何とも懐かしい響きをおぼえる呼び方だ。子どもの頃は、「4号線」だったし。

「国道4号」という機能的な語に対して、「4号線」と聞くと、なぜか、道路を含めた生活感や自他の歴史のようなものがその言葉につれてこられるような気がする。そして、自分の場合は、ちょっとした僻み(ひがみ)根性が沸き上がるのだ。

その昔。ある時、家に来た客に国道番号の講釈を受けることになった。祖父の知人で、街道に造詣でも持っていたのか、国道の番号を1番から始めて、どことどこを結んでいる、とか教えてくれるのである。おそらく、教えたがりのこの客人を大人も持て余して、黙って聞いてくれそうな孫を客間に呼び入れた。こちらは何の得にもならない苦行の時間で、そのうち、どうして僕だけいじめるのか、と言ったらしい。

それが契機ではないのだが、国道の番号にはやがて興味をもった。なぜ東北の縦貫幹線は我が国の4番目で、3号の九州より後なのか。また、7号より6号が先なのは常磐の優越性か。13号が日本海側の7号より後なのは、県庁所在地の山形市が酒田や鶴岡より軽んじられたのか。45号と横断線の46から49は何となく適当に割り当てた感じ... そんなようなことだった。

中でも4号については、子供ながら複雑な感覚を持っていた。東京から遠い中国や九州がなぜ東北より先の扱いになるのかと気にする一方で、田舎扱いされているはずの岩手県に堂々と第4番目があることに実はホッとしていたり。まあ、どうでも良いことではあるが、子供の頃は明治以後の地域産業経済の歴史などを考えず、今の地図の感覚と数字のもつイメージだけだったろう。

大人になってからは、たとえば日本海側で国道7号を快調に走りながら、こちらの子供たちは海と言えば日本海、国道といえば7号、なのだろうな、と当然のことをあれこれとその土地の人になったつもりで考える。旅人にとっては、新鮮な感覚だ。

一昨年、青森県の地図通りに海岸線を一周したが、津軽半島から青森市に入り平内や野辺地あたりを走ったときは、同じ国道4号で沿線の子供は、あのような複雑な気持ちでいるのだろうか、などとヒマなことを考えた。そんなはずもないのだが。だいいち、都会対田舎の単純な二元図式で我々は後者、という硬直的思考に今はないだろう。というより、昔だってそんな図式に固まっていたのは僻み根性の自分くらいだったのかもしれない。



これとちょっと近い話に、鉄道のない町、国道のない町、などの話題があるだろう。高校生の頃、県北部から来た学生が自分の町には信号もない(なかった、が正しいかもしれない)という。小学校に交通安全指導用の信号があるくらいだよ、と。二元図式思考の私は、ついつい比較して自分の地は堂々国道4号だと安心するというパターンに陥ろうとしていたはずだ。しかし、この学生は田舎も都会もまったく気にすることなく、淡々と、信号が有った方が良いナ、などと話す。要するに、等身大でありのままに地域を語り、世界を受け入れているのだ。こんなことも、自分の成長の一過程だったように思う。

私にとっては「4号線」は、観念的には複雑な思いを抱く存在であるとともに、日頃目に見えるという日常存在の感覚レベルで言えば、県外ナンバーのトラックや他県の会社名のバスなどが走り、生きた地理教材でもあったし、青森と東京という異次元に続く畏れ多い動脈でもあった。路傍で行き交う車を眺めているのは、飽きないものだった。

「国道4号」という言い方は、機能的で無機質だ。何か地図の上から見下ろした感じか。これに対して、「4号線」ならば、沿線に生きる人の目で見た呼び方だ。それぞれの人にとって、道とそこに生きる生活の面などの個性を浮かび上がらせる。そして、私のような僻み根性のルサンチマンとまでは行かずとも、単なる順に付番された自然数という以上にこの数字に一定の意味や感慨をおぼえている人も、多くはないにしても居られるのではないだろうか。

「4号線」という言葉に東北の人々はどんな思いを抱くのだろうか。





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最終更新日  2015.06.15 21:27:04
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