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商店街に粗末ながらも店を構える藤崎は、ある日向かいの店舗で起った殺人事件の犯人らしい男を目撃してしまう。妊娠中の妻を気遣い係わり合いをおそれて、目撃した事実を隠した藤崎だったが、第二の殺人がおきてからは自らの身の危険を感じ始めるのだった…。 半世紀前の日本のサスペンス映画。当時としてはかなり斬新であったはずの雰囲気を感じることができる作品で、なかなか楽しめました。麻薬がらみの殺人事件、目撃者への脅迫、そして第二の殺人...驚きはありませんが、全体を通してサスペンスフルに展開されていくので見応えあります。刑事を演じた志村喬、目撃者藤崎を演じた木村功、その妻に津島恵子と「七人の侍」の面々が揃って出演しているのも見所のひとつですね。犯人役には宮口精二氏。ラスト近く、追いつめられた藤崎が至る手を尽くして、妻や警察に合図を送ろうとするシーンがいい。蒸気機関車が通り過ぎる音を利用しての殺人も。見慣れたシーンも、その時代ならではのムードをまとうと満足できるものになります。私的には藤崎夫婦のやりとりだけでも充分楽しめた作品でした。タイトルの「彼奴」は‘あいつ’じゃないんですね~‘きゃつ’なんて読み方があること、知らなかったです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督 鈴木英夫 製作 宇佐美仁 脚本 村田武雄 撮影 三浦光雄 美術 小川一男 音楽 芥川也寸志 出演 木村功 、津島恵子 、東郷晴子 、志村喬 、宮口精二
2006.04.30
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家族にも仕事にも恵まれた平凡な男が、娘の成長の記録を残すために購入した8mmカメラにのめりこんでいく姿を描く。 キェシロフスキ監督が評価されるきっかけとなった作品です。当時のポーランドの体制を感じ取りつつ観ると、不思議な面白さが味わえる良作。今となっては言論の自由という言葉で、大半が簡単に解決されてしまうのだろうなと思いながらも、ここにしかない惹きつける何かをいっぱいに感じました。 「8mmで撮影するモス 後で見守る妻」我が子が誕生する瞬間を今か今かと待ちわびる平凡な男モス。彼はそわそわして居ても立ってもいられないほど、赤ん坊を楽しみにしていたはずでした。ところが、勤め先の工場長から25周年記念式典の記録映画を撮って欲しいと依頼され、それ以降、瞬く間にカメラのトリコになってゆくのです。妻も赤ん坊も忘れ、作品作りに没頭していく姿は、監督が自身を重ね合わせている部分もあるのでしょうか。乳飲み子を抱えた妻の孤独と怒りは、言うまでもなく収まりません。撮っていいもの、会社としては撮られるとまずいもの...そんな周りの事情をアマチュアであるが故にわからないで撮り続け、いつしか彼を取り巻く環境が一変してしまっている驚愕。。「会社から16mmを支給されますますのめりこんでいく…」分からないからこそ、捉えることの出来た素晴らしい映像。自由な視点。ものを作る楽しさ。男にとって家族よりも大事な何かがあると確信してしまった時―すでに何もかもが狂い始めているのです。夢中になると、ないがしろにせざるをえないものが出てくるのは当然ですね。そこを上手く調節しながら、誰でもが社会生活を送っています。けれど彼のようにアマチュア映画祭で入賞し‘認められる’ことを経験してしまうと、どうにも止められなくなるというのもすごくよく分かるのです。モスに感情移入して観ている部分もかなりありました。モス役のイエルジー・スチュエルは人間味ある演技で好演しています。工場長から受ける圧力など、社会派作品としても見ごたえある作品でした。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・原作・監督 クシシュトフ・キェシロフスキ 脚本 クシシュトフ・キェシロフスキ 、イエルジー・スチュエル イェジ シュトゥール 撮影 ヤツェク・ペトリツキ 音楽 クシシュトフ・クニエッテル 、クシシュトフ・クニッテル 出演 イエルジー・スチュエル 、マウゴジャータ・ジャブコウスカ イェジ・シュトゥール 、マウゴジャータ・ゾンプコフスカ
2006.04.29
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男同士の深い友情を描いたアメリカン・ニューシネマの傑作。出所したばかりのマックスは、南カリフォルニアの道路で、同じくヒッチハイクをしていたライオンと知り合う。ライオンは5年ぶりに帰ってきた船員で、自分の居ない間に生まれた子供に会うため、妻のもとに向かう途中だという。意気投合した二人は、共に行動することにしたが……。 アメリカン・ニューシネマの退廃した雰囲気と切なさが秀逸なロード・ムービー。若き日のふたりの名優が織り成す人間模様に、釘付けになりました。出所したばかりの疑り深く喧嘩っ早い男 マックスをジーン・ハックマンが、人を笑わせるのが得意なおどけた優男 ライオンをアル・パチーノが演じます。「何もない道で ふたりは出合った」他人を信用したことのないマックスが、初めて持った相棒。ふたりで都会へ出て洗車場を経営するという大きな夢を抱え、カリフォルニアからアメリカを横断する長い旅がはじまるのです。お金もなく、こらえ性のないマックスのおかげで、どこへ行っても喧嘩ばかり。けれどお互いにどんどん相手が好きになっていく――そんな男同士の友情は清々しくもあり、最後はぎゅっと胸を締め付けられる切ない余韻もあって素晴らしい。家族を捨て5年間も放浪していたライオンは、出逢った時からずっと片手にリボンの掛かった白い箱を抱えています。それは5歳になった性別も分からない我が子へのプレゼント。後半、彼は家族の居る町に着き、勇気を振り絞って電話を掛けるのです。しかし帰ってきた妻の言葉は、考えもしないショッキングなもの。突然のライオンの電話は妻の怒りを再燃させて、思いがけない嘘をつかせるのです。彼を大きく傷つけるために…人を笑わせるおどけた優しいライオンでも、家族を捨てた罪は大きくて、未来の夢がしばし離れていくシーン。悲しいけど乗り越えなくてはいけない、罪に対するライオンへの罰なのです。念願の夢が叶うのはずっと先になるのでしょう。けれど、まずは有り金全部をつぎ込んでライオンのためにピッツバーグ行きの切符を買ったマックス。彼の口からでた「往復」という言葉が希望を繋いでくれる。様々な目にあっても辛くても、同時にこの旅でふたりが得たものがありました。それは無二の友であり、生涯変わらない友情という素晴らしいものなのです。 観ながら、この数年前に製作された「真夜中のカーボーイ」を思い出しました。ニューシネマの独特な雰囲気と、若き名男優の共演、そして旅。似ています。私的な好みでいえば「真夜中のカーボーイ」の方がより洗練された感じで好きですが、どちらも今は失われつつあるアメリカ映画の良さがあるように思います。タイトルとなったスケアクロウは「かかし」の意味ですね。滑稽なふたり、頭カラッポのふたり。そんなニュアンスなのかな~寒がりという設定のジーン・ハックマンが、破れて汚れた種々様々なシャツを幾重にも重ね着している姿、いい味出してます。歳をとってからの作品しかほとんど知らず「フレンチコネクション」で魅力を再発見。本作の彼でもっと好きになりました。役者さんの歴史というか履歴を知ることが、さらに今の作品を楽しむことにも繋がっているようで、それってとても大事なことなのかもしれませんね。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 製作 ロバート・M・シャーマン 監督 ジェリー・シャッツバーグ 脚本 ゲーリー・マイケル・ホワイト 音楽 フレッド・マイロー 出演 ジーン・ハックマン アル・パチーノ アン・ウェッジワース リチャード・リンチ アイリーン・ブレナン
2006.04.27
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ざわめき混み合うシャルル・ド・ゴール空港でふたりは出会った。恋人から逃げる女性・ローズと、恋人を追う男性・フェリックス。ストの影響で足止めとなったふたりは携帯電話の貸し借りをきっかけに、出発までの時間を共に過ごすことになる… 上映時間わずか82分という小作ながら、心温まる笑える素敵なラブストーリー期待以上に楽しめました。 監督はモナコ生まれの女性脚本家 ダニエル・トンプソン。こちらは2度目の監督作で、処女作「ブッシュ・ド・ノエル」も、女性らしい視線で三姉妹の葛藤と愛を描いた好みの作品でした。現代人らしい恋。幸せとはいえない生活を送っていた中年の男女が繰り広げる、会話劇が楽しい!主要登場人物はジュリエット・ビノシュ とジャン・レノだけ。貫禄あるふたりが、安心して観られる大人の恋愛模様を繰り広げます。長髪気味のジャン・レノ、すごく魅力的でした。気難しい不器用なシェフ役がよく似合います。「出逢ってすぐ エステティシャンのローズは 仮面のようなばっちりメイクをキメていた」厚化粧で登場するビノシュが、思いがけず顔を洗わなければならなくなる件は、在り来たりだけど良いですね~フェリックスが見た素顔は、俄然美しいのです。厚化粧の奥にあった本当の彼女にハッとする素敵なシーン。そして携帯電話は、聴こえてくるそれぞれの会話から、相手の素顔の生活を垣間見る、粋な小道具として使われています。再会にも一役買ったりして。。「素顔を見られるのは裸を見られるのと同じことよ」そう話していたローズ。でも一度見られたあとは、ほとんどフェリックス前ではすっぴんだったりします。そちらの方が美しいと感じるのも、ビノシュの凄いところですけれどね。40歳間近にしてこの素肌。美人。中年の恋なんて書きましたが観て感じる恋愛映画的には、なんらノーマルです。フランス映画らしくいかにもお洒落で。心のまま素顔のままで生きていくことが、なにより輝ける大切なことだと、微笑ましくなっちゃうステキな作品でした・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督 ダニエル・トンプソン 脚本 ダニエル・トンプソン 製作 アラン・サルド 音楽 エリック セラ 出演 ジュリエット・ビノシュ 、ジャン・レノ 、セルジ・ロペス
2006.04.25
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マドンナに真野響子、特別ゲストで嵐寛寿郎が出演。例によって”とらや”の面々とケンカ。愛媛へ向った寅次郎は、墓参りの美しい未亡人と出会って慕情がつのる。そして大洲城18代目の城主だというヘンな老人も登場して…。 シリーズ19作目。今度もまたとても面白く良く出来た作品で、最後にはホロリときました。旅先で知り合ったもうろくしつつあるお殿様に、死んだ末息子の妻に一目会いたいと頼まれた寅次郎。その未亡人が、これまた偶然旅先で出会った鞠子だと知って、二人を引き合わせるのですが...老いた殿様にすっかり気に入られた寅さんは、願いを頼まれて約束を果たし、淋しい生活に笑いを振りまいて、なんとも太陽のような存在感です。ところが自分の恋はというと、またしても破れて去ってゆくばかり...切ないものですね。未亡人に惚れた寅さんが、死んだ亭主に対する嫉妬について語るシーンが心に残ります。さくらに言い残したという言葉も。殿様を演じた嵐寛寿郎氏の代表作、「鞍馬天狗」をパクった冒頭の夢オチも見所です。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 製作 島津清 脚本 朝間義隆 、山田洋次 監督 山田洋次 撮影 高羽哲夫 音楽 交:山本直純 出演 真野響子 、渥美清 、倍賞千恵子 、嵐寛寿郎
2006.04.24
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紀元前後のエルサレム。ユダに裏切られ捕らえられたイエスの、最期の12時間を描く。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ メル・ギブソンによる監督作、第2作品目。‘残虐な描写で観客がショック死した’という映像、そして内容も論争を巻き起こしました。 十数年にわたり構想を練って作られたイエス・キリストの真実は、宗教的な側面からも、感情移入できるかどうかでかなり感想が変わってくる作品だと思います。私にはただ痛くて、とにかく辛い2時間でした。最後まで観るのが本当に大変でした。十字架に太い釘で張り付けにされる―その誰でも知っているイエスの最期、イエスの受難(原題)を描きます。そこに至るまでの司祭や群集による過剰な暴力は、集団リンチにしか見えません。鞭打ちの刑で体中の皮膚が裂けたイエスは、血まみれになりながらも全ての人間の罪をひとりで抱えて、神の許しがあることを祈りながら十字架に架けられ死んでいくのですから...生半可ではない痛みに耐える姿から、人間離れした存在を感じるばかりでした。イエスの教えやその愛によって心が動かされるのではなくて、最期を迎えたイエスがどのようにして皆人の罪を背負い許して死んでいったかを‘知る’作品なのかもしれませんね。とにかく痛々しくて目をそむけてしまう...紀元前後のエルサレムを描いた雰囲気は良かったです。全編ヘブライ語を使うなど、言語にこだわっていたのも良かったのではないでしょうか。これが英語だと、まったく違ったものになっていた気がします。「十字架を背負いゴルゴダの丘へ…」クリスチャンである主演のジム・カヴィーゼルは熱演です。敬虔なカトリック信者であればこその演技という気もするし、そうでなければ勤まらない題材でもあるように思います。以前メル・ギブソンが、「この役はジムしかいない」と話していたことを思い出しました。想像以上に辛い2時間に、鑑賞後はぐったりでしたが、酷評されているほどではありません。イエスの死後、その教えは弟子達によって世界中へ拡げられたわけですが、ただどうしても‘偉大なイエス’ではなく‘痛みに耐えたイエス’の印象が残るのは、聖書の受難物語に基づいているからなのでしょう。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督 メル・ギブソン 製作 メル・ギブソン 、ブルース・デイヴィ スティーヴン・マケヴィティ 製作総指揮 エンツォ・システィ 脚本 メル・ギブソン 、ベネディクト・フィッツジェラルド 撮影: キャレブ・デシャネル 編集: ジョン・ライト 音楽: ジョン・デブニー 出演: ジム・カヴィーゼル 、マヤ・モルゲンステルン 、モニカ・ベルッチ ロザリンダ・チェレンターノ 、クラウディア・ジェリーニ ルカ・リオネッロ 、フランチェスコ・デ・ヴィート フリスト・ジフコフ 、マッティア・スブラジア
2006.04.21
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1978年、猛暑のイタリア。10歳のミケーレはある日、遊び場の廃屋で穴を発見した。穴を覗き込んだミケーレは信じられないものを発見する…。なんと、少年が一人繋がれていたのだ。あまりの驚きと恐ろしさに誰にもその少年のことを聞けないミケーレだったが、ある晩、大人達の会話を盗み聞きしてしまう――。 このどきどき、ノスタルジー溢れる少年の日常と成長の過程、とっても楽しめました。広大な麦畑の向こうにある廃屋の傍で、ミケーレが偶然見つけてしまった穴。そこにはなんと、毛布に包まった少年がいた・・!怖いけど確かめたい好奇心、助けたいとおもう優しさ、少年を救うべく行動する勇気…サスペンスフルに展開される、良い作品でした。「とにかく映像が魅力的 どこをとってもしっくりくる 美しい・・」子ども嫌いな人に、是非観てもらいたいですね~。主人公ミケーレの持っている穢れのない心と勇気に、ハッとさせられるのではないでしょうか。子どもの持ちえる可能性。反対に暗黙の妥協で包まれた大人の世界。だれでも一度は子どもだった―当然だけど忘れてしまってる事実を思い出させてくれるようです。「怯えていた少年も次第に心を開き… ミケーレはこっそり穴から外へ連れ出してあげるのだが」大人たちの会話を聞いてしまい、襲い来る恐怖...誰にも言えない、そして両親もその事情を知っている大人のひとりとわかった時から、ミケーレの孤独な闘いが始まります。閉じ込められた少年との間に育まれる友情が、やがて驚きの結末へと一気に向う。。どきどきしながらの109分は、あっという間でした。全編に渡り、美しい自然と構図でいっぱいの映像は、作品の印象をさらに強めて、より大きな切なさを生みます。ミケーレの最後の笑顔が…素晴らしい…こういう作品すごく好みです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督 ガブリエレ・サルヴァトレス Gabriele Salvatores 製作 マルコ・キメンツ Marco Chimenz ジョヴァンニ・スタビリーニ Giovanni Stabilini マウリツィオ・トッティ Maurizio Totti リカルド・トッツィ Riccardo Tozzi 原作 ニコロ・アンマニーティ 『ぼくは怖くない』 脚本 ニコロ・アンマニーティ フランチェスカ・マルチャーノ 撮影 イタロ・ペットリッチョーネ 音楽 エツィオ・ボッソ 出演 ジョゼッペ・クリスティアーノ マッティーア・ディ・ピエッロ アイタナ・サンチェス=ギヨン ディーノ・アッブレーシャ
2006.04.20
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[#IMAGE|d0235336_21211210.jpg|201407/13/36/|mid|552|402#] 『ロード・オブ・ザ・リング』三部作シリーズでお馴染みのピーター・ジャクソン監督作。このグロさ、ホラー映画史に残る傑作ではないでしょうか。ファンタジーの名匠の暗部が垣間見える。(あらすじ) 青年ライオネルはマザコン男。ある日、愛するママが恐怖の珍獣ラットモンキーに噛まれてしまった!ママは次第にゾンビ化し狂暴になり、その犠牲者たちも次々ゾンビになっていく....。ライオネルは遂にゾンビ達と戦う決心をするのだが―。 あー 凄すぎる。「おえっ」とか思わず口に出てしまう、気色悪さマックス。ホラームービーは数あれど、きっとここまで肉片が飛散する映画はないとおもうな。叫び声を上げるというよりは、強烈な映像に圧倒されて驚いて、失笑しながらも、グロさを極めた快作に拍手喝采したくなる。 アフリカの奥地で捕らえられた未知の生物ラット・モンキーが都会で大暴れ―かと思いきや、それは単なる前置きに過ぎなくて、気が付けば未だ目にしたことないおどろおどろしい光景が繰り広げられていくのでした。地味に制作費かかってます。[#IMAGE|d0235336_21212357.png|201407/13/36/|mid|650|366#]マザコンの主人公ライオネルは、ラット・モンキーに噛まれてウィルスに感染したママを看病するので必死。ゾンビになっても、地下で面倒を見続けて、次第に増える犠牲者たちの面倒までみてしまうのです。しかし…ママをはじめとするゾンビたちは腐敗が進み、日に日に見るも無残な状態に変わっていきます。ライオネル邸がゾンビ屋敷に変わるあたりから、息をつく間もないほど血みどろシーンの連続。目も当てられない。なんでしょう、これはもう凄すぎて。 もうお腹いっぱいと思ったって終わりません。ライオネルの電動芝刈り機による一斉駆除に圧倒されるのみ。そして最後の変身を向えたママにも。 ジャクソン監督はこういった作品で注目されたことが、「ロード・オブ・ザ・リング」での成功に繋がっていったのですねえ。面白いものです。映画史に残る名作を撮った、監督の出世作ホラーは一見の価値アリ。ゾンビたちはちゃっちいものから精巧なものまで。 おバカだけど本当に怖くて、なんじゃこりゃ! なのによく出来てる。 ”血の海”とはまさにこのことです。肉片の嵐はまさに圧巻。 製作 ジム・ブース 監督 ピーター・ジャクソン 脚本 ピーター・ジャクソン 、ステファン シンクレア 、フランシス ウォルシュ 出演 ティモシー・バルム 、ダイアナ ペニャルバール 、エリザベス ムーディ 、イアン ワトキンス
2006.04.19
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全国の中学3年生の中から無作為に選ばれた1クラスを、最後の1人になるまで殺し合わせる新世紀教育改革法、通称〈BR法〉。1人ずつ支給される様々な凶器、ルールを破ると爆発する首輪。外界から遮断された無人島で、42名の中学生たちの血塗られた3日間が、唐突にそしてあまりに理不尽に幕を上げてゆく…。 ヒットを受けて10分弱の追加撮影シーンや前回カットされたシーンを加えてバージョンアップした特別篇。手がけていた続編「バトル・ロワイアル2 鎮魂歌(レクイエム)」の最中に監督が亡くなり、こちらが深作欣二監督の遺作となりました。続編はご子息がメガホンを取ったそうです。‘中学生が殺し合いをする’それくらいしか予備知識のないまま、なんとなく気になっていた作品でした。R-15指定は当然で、高校生でも見せたくない内容でしたが、自分がその歳頃なら観ているのでしょうね~高校生の頃観た私的ショッキング映画は「時計じかけのオレンジ」でしたが、残虐シーンが問題なだけで「時計じかけ~」よりはましだったかもしれません...それにしても惨殺シーンの数々に、悪い影響を受けるのだけはよして…とついぞ願ってしまいます。中学生を演じた若い役者陣が良かった。クラスの生徒以外に任意で参加したという設定のふたり、山本太郎、安藤政信は中学生に見えなさ過ぎますが、二人がいなければ重みも半減だったのではないでしょうか。藤原竜也、前田亜季、柴咲コウは巧いです!これからの邦画界を担っていく実力を備えた若手さん、期待できますし嬉しいものです。大不況で失業する大人が激増した日本。子どもは大人を舐め、大人はそんな子どもたちに驚愕し、力ずくで支配下に置こうとします。発信機と爆弾の付いた首輪をはめられ、無人島に連れてこられるクラスの面々。「殺し合いをしろ! 最後の一人だけうちに帰れる。ただしタイムリミットまでに決着がつかなければ生き残った者たちは全員爆死する」なんという理不尽で末恐ろしい原作なんだろうと寒気がするよう。原作本が売れたのは何故なんでしょうか。私は未読ですが、怖いもの見たさだけではないはずですね。けれど、映画を観てもメッセージ性はあまり感じませんでした。ただ、大人が子どもの心理や真意を理解できなくなるにつれ、子どもが怖い存在になっていくのは、現在の日本の状況と同じです。かといって、こんなバーチャルな話へと飛躍していくわけは絶対になくて、あまりにも現実離れしすぎてる。現実から離れた物語の中に、真意がみえるのかといえば、ただの殺し合いだった、、、そんな印象です。台詞をテロップで見せるのも、なにかしっくりこない。ドキンとしたのは最後のこの一言だけ。「大人はこんな時 子どもになんて言ってやればいいのかな――」もしかしたら、これは若い世代に向けて作られた作品なのかもしれませんね。深作氏の現代の若者への最期のエールのようにも感じます。ただ怖気づき必死で殺すもの、自ら命を絶つもの、協力して乗り切ろうとするもの、頭脳で切り抜けようとする者...それぞれの生き方とか選択は鬼気迫るものがありました。主人公の三人(藤原、前田、山本)はもちろん協力して乗り切るのですが、彼らの他に生き残るのは頭脳線を繰り広げる男三人衆。発電機を修理してパソコンを立ち上げ、爆弾を作り、大人たちに立ち向かおうとするのです。彼らが展開のキーになってくれるようで、目が離せなかったのに...なんともお粗末過ぎる幕切れに唖然としてしまいました。ビートたけしが、元担任、今はBR法の施行者として登場。やっぱり演技は巧いとはいえず、しっくりきませんでした。生徒や娘にバカにされてきた怒りでいっぱいで、それでも過去には生徒らを愛していたであろう先生。。その哀愁が伝わり切らないのはもったいない...・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督 深作欣二 脚本 深作健太 原作 高見広春 撮影 柳島克己 音楽 天野正道 出演 藤原竜也 前田亜季 山本太郎 栗山千明 柴咲コウ 安藤政信 北野武 塚本高史 ビートたけし
2006.04.18
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些細なことから殺人を犯し30年の懲役刑を受けた男。キレ者かつ冷酷な彼は、周囲から“教授”と呼ばれるようになる。そして姉を使って、刑務所内から外の犯罪者たちを巧みに操りつつ、イタリア中の犯罪組織を掌中に収めてゆくのだった… 「ニュー・シネマ・パラダイス」「海の上のピアニスト」で有名なイタリアの名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督の長編デビュー作。劇場未公開のこちらは、イタリアで起こった実際の事件や犯罪に脚色を加えて描いた、3時間弱に及ぶ大作です。警察とマフィアの関係、組織による潰しあい、麻薬...。暴力的で残忍な描写は、あのトルナトーレ監督作とは思えないくらい。この数年後に「ニュー・シネマ・パラダイス」が出来上がるわけですが、やっぱり美しいものを描くには醜いものも知っていなければならないという定説は本当なんだと実感します。トルナトーレに限らず、ノスタルジックやファンタジックな作品を世に送り出している監督さんたちも(例えば岩井俊二、エミール・クストリッツァ、ジャン=ピエール・ジュネ)グロかったり暴力的だったりする作品を撮ってるんですよね~大好きな監督さんたちなのですが、観る私自身も、どちらの面も知りたい衝動があることに気付きます。淡々とした暴力シーンの連続は暗く重苦しく、長く感じられました。刑務所のなかで組織を操り‘教授’と呼ばれる主人公。その非情さは充分に伝わりますが、鑑賞後に残るものはほとんどありません。脚色はあっても事実に基ずいている物語。ドキュメントでないにしても派手さは少ないので、マフィア映画としてはかなり地味なのではないでしょうか。音楽は鋭くて寒々として、なかなか良かったと思います。若き日に衝動で人を殺してから、マフィアのボスにのし上がった切れ者の男`教授'...ただ、犯罪者としての始まり日は、そこにあるわけではありません。幼い頃農場で暮らしていた主人公一家は、地主から受けていた非情な取立てをマフィアに助けられていたのです。見返りとして殺しの手伝いをすることになる幼い日の主人公…両親は見て見ぬふりで、このときから彼の心に闇が芽生えたのはいうまでもありません。そういった人物の裏側をみせる回想シーンは、唯一トルナトーレ監督らしさを感じたシーンかもしれません。躍進を陰で支え続けた姉の陽の当たらない、幸福とはいえない人生も、女優さんの名演と合わせて見所であると思います。トルナトーレ監督の軌跡を知りたい方、イタリアの暗部に興味のある方は是非。私はビデオでしたが、そのパッケージも、DVDのパッケージも作品の印象と違いました。DVDの写真は実際にないシーンだし、ビデオも「拷問、リンチ、ホモ・セックスなどの過激な描写が見どころ」なんて解説に書いてありますが、違う気がするな~・・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督 ジュゼッペ・トルナトーレ 脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ 、マッシモ・デ・リタ 原作 ジョー・マラッツォ 撮影 ブラスコ・ジュラート 音楽 ニコラ・ピオヴァーニ 出演 ベン・ギャザラ 、ラウラ・デル・ソル 、ニコラ・ディ・ピント フランコ・インテルレンギ 、ルタ・グロッタ 、レオ・グロッタ
2006.04.17
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19世紀のパリ。親方のもとで地道な生活を送ろうとしている大工のマンダと、魅惑的な娼婦マリーは、偶然出会い恋に落ちる。しかし彼女の情夫は黙っていず、やくざの親分も横槍を入れ始めるのだった...。実在した伝説の妖婦・マリーをモチーフに、実際の事件を基に描かれた名作ドラマ。 愛用の映画本でおすすめされていた作品でした。一見オーソドックスな恋愛ものですが、フィルム・ノワールの雰囲気も徐々に出始めて、特に後半の目の離せない展開が好きでした。お互いに一目惚れして、情夫も婚約者も忘れ恋愛に突っ走るのは、フランス映画らしいという印象です。マリーの情夫はやくざで、そのボス ルカはふたりを対決させるのですが...命がけの決闘で情夫を誤って殺害してしまい、ここからの逃避行、裏切り、罠―へと続く展開からが面白い。マリーが捨て身で護送中のマンダを救うシーンなんかは、ちょっと緩めに感じましたが、半世紀前のクラシック作品だしあえて流してしまおう。娼婦のマリーが初めて手に入れた、愛する人との日々の幸せそうな笑顔が印象に残ります。髪型のせいで老けて見える彼女ですが、かぶとのようなヘアスタイル(原題は黄金のかぶとという意味らしいです)をほどけば魅力的。しかし、その彼女の幸福な時間はあまりにも短いのです。デッドエンドの悲しい結末で終わるラストシーンはショック。復讐を遂げたマンダの最期を見届ける気丈なマリー。その先にあるものはなんと…斬首台という…ジャック・ベッケル監督は「モンパルナスの灯」「穴」が好きです。54歳の若さで亡くなられたベッケル氏のどちらも晩年の作品。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督 ジャック・ベッケル Jacques Becker 脚本 ジャック・ベッケル 、ジャック・コンパネーズ Jacques Companeez 撮影 ロベール・ルフェーヴル Robert Le Fehvre 音楽 ジョルジュ・ヴァン・パリス Georges Van Parys 出演 シモーヌ・シニョレ 、セルジュ・レジアニ 、クロード・ドーファン レイモン・ビュシェール 、ウィリアム・サバティエ
2006.04.15
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30年にわたる激動の中国史の中で健気に「活きる」家族の物語。 中国4千年の歴史と言われるほど、古い歴史のある国 中国。その長さに比べるとうんと短い40年代からの30年。でもその間に経験した社会の変動だけをとってみても、あまりに沢山なことがあって圧倒されてしまいました。共産主義、社会主義、文化大革命。中国の歩んできた道を改めて目の当たりにすると、怖く感じました。主人公一家のように、時代に翻弄された家族が数え切れないほど、つらい時代を生き抜いたのでしょうね…感慨深い作品でした。国の情勢が変わるたび、未来は今よりきっと良くなるはずだ―そう信じて必死に時代に合わせて生きる人々。貧しい生活だけど、その中に小さな喜びを見つけて、幸せを感じて暮らしています。戦争に巻き込まれ、息子を事故で失い、安泰だと思っていた知人らの身辺さえ激動する30年。。とにかくその時その時を生き抜いていくしかない家族の姿には、健気さと力強さでいっぱいです。ただ屈託のない笑顔を見せる子どもたちさえ、時代の犠牲になっていくシーンなどは、とても悲しくて胸が痛い...「幼子を抱えながらも賭け事を止めず 妻を泣かせる夫」冒頭、まだ若い夫妻は、夫フークイの賭博癖のために借金の形に屋敷を取られ、身重の妻は子どもと家出、一度離れ離れになります。その時、家財もなにも無いどん底から家族でやり直していけたのは、フークイの始めた中国の伝統ある影絵のおかげ。地方巡業を重ね、その後も何度か影絵は一家を守り、お守りのように大切に扱われていくのです。色とりどりで繊細な人形による劇が、いっそう作品に情緒を与えているようでした。「ラスト 孫と共に家族の墓前で...」大切なものを守りながら必死に活きた30年。ダメ父さんだったフークイもいいおじいちゃんになり、堅実で優しかった母は相変わらず、辛い過去も思い出ヘと変わります。幾多の悲しみを乗り越えて、まだ夫婦連れ添っている姿がいい...「あの時 こうしていれば…」なんて相手や自分を責めたりしても、許しあってやっと手に入れた穏やかな暮らしを微笑ましい心で感じているラストシーン、感動してしまいました。孫の成長に目を細めながら...これだけ内容豊富な大河ドラマを無理なく、たった130分にまとめたチャン・イーモウ監督。だらだらしないし、急かされもしない。素晴らしい。代表作には、新しい方から 「単騎、千里を走る。」「LOVERS」「HERO」「あの子を探して」「初恋のきた道」「菊豆」「紅いコーリャン」 などがあります。有名な作品が多いですね。それでもこの「活きる」は「初恋のきた道」など日本でのヒットを受けてからやっと、劇場で公開されたそうです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督 チャン・イーモウ 製作 チウ・フーション 製作総指揮 コウ・フォン クリストフ・ツェン 原作 ユイ・ホア 脚本 ユイ・ホア ルー・ウェイ 撮影 リュイ・ユエ 音楽 チャオ・チーピン 出演 グォ・ヨウ コン・リー ニウ・ベン グオ・タオ
2006.04.14
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1992年、ボスニアの片田舎。セルビア人の技師のルカはこの村に鉄道を敷くためにやって来た。だが、突然内戦が勃発。息子ミロシュは軍に招集され、おまけに妻まで別の男と駆け落ちしてしまう。一人きりとなってしまったルカ。そんなある日、ミロシュが捕虜になったとの報せが届き、村人に捕まったムスリム人の看護師サバーハをミロシュとの交換要員として、ルカが身柄を預かることになるのだがー。 ‘捕虜と恋に落ちた’という実話をもとにして作られたコメディタッチのラブストーリー。ユーゴスラビア出身のクストリッツア監督らしい、当時の紛争の悲劇を織り交ぜた風刺を込めた作品で、独特のユーモアは最高にシュール!自身も参加している音楽は気の抜けるような長閑さで、一度耳に触れると離れなくなるほど魅力的。「黒猫・白猫」「アンダーグラウンド」に次ぐ良い雰囲気の新作だった。始まりのなんともいえない、どこまでも牧歌的な家族や村の情景はとにかく手放しで楽しい。そこから、次第に紛争による爆撃が始まり、サッカーで将来有望だった息子が招集され、家を失う件まで、一気にみせる展開もさすが。家族を失い、鉄道への夢を失った、そこにあるであろう悲しみや悲劇を、軽快に笑い飛ばす。一見のんきな作品でありながら、切実な思いや爆発的な怒りをしっかり込めるクストリッツア節が好き。そして恋。戦争の勃発でなにもかも失った中年の主人公が、敵側の美しい捕虜を息子と交換するために預かるのだが...ひとつ屋根の下で暮らすふたりに、毎晩決まって起こる激しい爆撃。それは恐怖と特殊なシチュエーションによる、恋の始まりとなっていく。敵であることに戸惑い迷い、離れてはみても別れられないふたりは、いつしか捕虜の交換という目的を超えて愛し合う。が…駆け落ちした本妻の突然の帰宅と、抗争の鎮圧を迎えて、共に抱いた夢が音を立てて崩れていってしまうのだった。ノー天気に描きながら、要所要所を抑えてぐっと感じる作品。戦争時の銃器による攻撃シーンなども意外と使われていて、もちろんこんな生易しいものではないはずだけど、当時のボスニアを感じ取ることができる。その無意味さも。ちなみに音楽と合わせて味があるのが、数多く登場する動物たち。今回も線路の上で涙を流しながら自殺しようとするロバ(理由は失恋)や、主人公が飼っている犬と猫、馬にアヒルなどなど多数登場。そして名演技をみせてくれる。ラストでは失恋したロバ君が、とっても大事な役割を担ったりして、なくてはならない名脇役たちにもぜひ注目。監督 エミール・クストリッツァ 脚本 エミール・クストリッツァ 、ランコ・ボジッチ 撮影 ミシェル・アマテュー 、ミシェル・アマチュー 音楽 エミール・クストリッツァ 、デヤン・スパラヴァロ 出演 スラブコ・スティマチ 、ナターシャ・ソラック ヴク・コスティッチ 、ヴェスナ・トリヴァリッチ
2006.04.12
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敗戦から十数年。国際社会への復帰をめざし高度経済成長を続けるもう一つの日本。しかしスラム化した首都では凶悪な反政府勢力と、首都圏治安警察機構‘首都警’との武力衝突が相次いでいた。強化服と重火器で完全武装した“ケルベロス”というその精鋭集団は、ゲリラを徹底的に排除してゆくのだったが――― 原爆が投下されて十数年。高度経済成長を遂げた頃の架空の日本を舞台にしたシリアスな恋愛ドラマ。童話「赤ずきんちゃん」を土台にした物語は、狼のように生きる男とその嘘に騙される少女―という構図で描かれる純愛もの。‘ケルベロス’として訓練された優秀な一貴は、 セクトのメンバーを追跡中、運び屋の未成年の少女に引き金を引くことが出来ず目の前で自爆させてしまいます。査問委員会にかけられ養成校に戻されても少女の死を忘れられない一貴は、ある日彼女の墓へと足を向け、そこで死んだ少女にそっくりの姉と出会うのです。映像のリアルさは実写に近いといえるほどで、アングルや展開も実写ドラマと似ています。登場人物の個性もよく出ていて、動きがぎこちないところを抜かせば、素晴らしい。‘殺られる前に殺る’野生の強靭さを叩きこまれた男(狼)が、孤独な少女(赤ずきんちゃん)と出会って、忘れていた感情に突然気付く……それは許されない愛。ふたりが抱えたそれぞれの大掛かりな背景を、互いに隠したまま心を通わせているのです。こういった苦しくて切ない設定は、すでに見慣れてきたものであるけど、もうひとつの架空の日本というバーチャルな世界観は一見の価値があるのではないでしょうか。映像の素晴らしさも。騙し合いをする人間のおぞましさ、偽ることの出来ない純粋な心、そして悲劇で終わる『赤ずきんちゃん』の童話。何度も登場する地下水道をはじめ、重苦しい空気がそのまま最後まで続きます。‘人狼’は狼の皮を被った人間でなく、人間の皮を被った狼である――そうして生きてきた男の運命。人間性に目覚めても、救いはないのです。 強化服に身を包んだ一貴 墓参り後になんとなく連れ立って歩く二人PG12指定。人が殺されるシーン、銃撃シーン、そして自爆のシーンなど…あまりにリアルに怖い感じでした。原作はあの有名な押井守氏。監督はこちらが処女作となる沖浦啓之氏。ぶっきらぼうな声優さんの声は、、慣れると作品にぴったりと感じるとうになりました。監督 沖浦啓之 脚本 押井守 原作 押井守 音楽 溝口肇 出演 藤木義勝 武藤寿美 木下浩之 廣田行生 吉田幸紘
2006.04.10
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超モダンな邸宅に住む社長アルペル氏のひとり息子は、自分の家が大嫌い。下町のアパートに住むのんびり屋の伯父さんユロ氏がお気に入りだった。ある日アルペル夫妻は義兄に就職や結婚の世話をするが、どこでもハチャメチャになるばかり…。シュールで独創的なギャグを放つジャック・タチの代表作。 ジャック・タチ作品、今回が初鑑賞でした。ゆるいほのぼの系笑いで有名な方で、主人公ユロ氏が登場する伯父さんシリーズの中の一作です。台詞が少なく優しくて、のんびりゆったりなコメディ、本当にシュールですね~隅々までオシャレな映像と小道具の数々に、目を輝かせて観ていました。ミッドセンチュリーと呼ばれる家具・雑貨がいっぱい。「アルペル氏の超モダンな邸宅魚の噴水には、笑いのツボをくすぐられっぱなしでした。げらげら笑いではなく、にんまりしちゃう様な、ほのぼのゆったりした笑いが心地よいです。音楽も、素朴な叔父のユロ氏を慕う少年も、そのまま自分の好みが映像になっていて、物語云々ではない楽しさ。とにかく映像を楽しむ―そんなタイプの作品でした。「いたずらっこの少年たち」欧州映画に登場する少年たちが、好きです。澄んだ目で日常を見つめてるまなざしが。撮る側の思い入れも強いようで、ヨーロッパ映画にはなくてはならない存在ですね。男同士の関係に焦点を当てるのは、欧州人に感情移入しやすい設定だからなのでしょうか。そして、一番気に入ったのがこちら。ユロ氏の住むアパート。窓や通路を通り抜けて、二階の部屋まで辿り着くまでのユロ氏の長い道のりが、ちゃんと見えるようになっています。モダンな生活や合理的な便利さを、やんわり笑い飛ばしつつも風刺する、チャップリンの「モダン・タイムス」を思い出しました。後半、少年がほとんど出てこず、かなりあっさりとした最後でありましたが楽しい映画です。違うユロさんも観てみたいかも。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督 ジャック・タチ 脚本 ジャック・タチ 、ジャック ラグランジェ 、ジャン ロッテ 撮影 ジャン・ブールゴワン 美術 アンリ・シュミット 音楽 アラン・ロマン 、フランク・バルセリーニ 出演 ジャック・タチ 、ジャン ピエール ゾラ 、アラン ベクール 、ドミニク マリ
2006.04.08
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老パイロットたちが、人工衛星の修復という任務を受け40年ぶりに集結、自らの夢だった宇宙飛行へと挑む。 あまり期待していなかったのですが、なかなか良い作品でした。宇宙での終盤のごたごたなど、どうかと思う内容もありましたが、意外にも笑えるところが多くて、最後もほのぼのとしています。テーマ曲の様に使われていた♪「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」が、個人的にはとてもツボ。この音楽の調子でなおさら好感持って観られたのかもしれません。好きな映画、リチャード・ドレイファス主演のラブストーリー「ワンス・アラウンド」を思い出しました。老体に関する小さいギャグが可笑しかった。格好良いとはいえないけど、風格のある面々が安心して楽しませてくれるSFドラマといった感じです。「宇宙へ向けてのハードなトレーニング 心臓発作を心配しつつ・・」クリント・イーストウッド監督作は展開や見せ方が上手。引き込まれるし、期待したとおりになる。そんな印象。反面、やっぱりこうなっちゃうのね~ということも多いのですが、今回はシリアスでないぶんあっさりと受け入れられて良かったです。決してコメディではないけど、悲劇もあえて重苦しく描いてないのがいい。ラストのワンシーンなんて最高にキマっててさすがですね~「いざ 宇宙へ」ありえない物語に、ありえない展開。だけど宇宙やシャトルの映像は本格的で、見せ場もたっぷりです。後味も良かったですよ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督 クリント・イーストウッド 製作 クリント・イーストウッド アンドリュー・ラザー 製作総指揮 トム・ルーカー 脚本 ケン・カウフマン ハワード・クラウスナー 撮影 ジャック・N・グリーン 編集 ジョエル・コックス 音楽 レニー・ニーハウス 出演 クリント・イーストウッド トミー・リー・ジョーンズ ドナルド・サザーランド ジェームズ・ガーナー ジェームズ・クロムウェル ウィリアム・ディヴェイン
2006.04.06
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さくらの息子 満男の担任の先生にのぼせた寅さん。じつは彼女の母親は寅次郎の幼なじみで、今は未亡人、病気がちの身と知った寅さんの想いはつのるばかりだ。母と娘のダブルマドンナ登場。 18作目となる今回は、ダブルマドンナを迎えておくる、涙々の物語。母娘役を京マチ子と檀ふみが演じます。半年ぶりに柴又へ帰ってきた寅次郎は偶然、満夫の家庭訪問に遭遇。美人の先生にのぼせ上がり、満男の話より自分の話に花を咲かせる寅次郎に、とらや一家は怒り心頭です。勢い余ってさくらはこう怒鳴ります。「あの先生はね、お兄ちゃんが結婚していれば娘ほどの歳なのよ。そのお母さまだっていうんなら文句は言わない!」そして後日、散歩がてらに先生は、病院から退院したばかりの体の弱い母を伴って‘とらや’を訪れるのです!美人で陽気な母の綾は、その明るさから想像がつかないくらいに、病弱で幸薄い女性。ドラマが展開するにつれ、幸せそうな母娘の苦悩が見え隠れします。綾とは幼馴染と知って打ち解ける寅次郎は、そんな所に気付かないまま、いつものように皆を笑わせ綾の屋敷に通いつめ、想いを募らせていくのです。その命が残り短いことを知る由もないまま...不幸な政略結婚をし、夫に先立たれた後、長く病気を患い寝たきりだった綾は、世間知らずで幸福もしりません。そんな彼女が、死ぬ前に初めて愛した男性が寅次郎…泣けてきます。すでに人手に渡った屋敷を、母が存命のうちは―と守りながら、気丈に笑顔で暮らす娘にも涙。ふたりのいじらしさに完全にセンチメンタルになる今作、こちらもすごく良く出来た作品です。旅先での旅芸人一座との再会と別れ、ひとり新潟で暮らし始めた娘とのラストの再会。これぞ寅さんの醍醐味ですね~ 人と人は、出会っては別れ、別れては新しく出会っていく、そういう摂理を胸がきゅっとなるくらいに感じさせてくれます。幸せになったり不幸になったり、寅さんは失恋してばかりだけど、こんなあったかい気持になれる映画は、本当に珍しいですよね。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 製作 名島徹 原作・監督 山田洋次 脚本 朝間義隆 、山田洋次 撮影 高羽哲夫 音楽 山本直純 出演 京マチ子 渥美清 倍賞千恵子 檀ふみ 吉田義夫
2006.04.04
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フランス青年クロードは、イギリス人姉妹アンヌとミリュエルに出会い淡い恋心を抱く。やがて妹ミリュエルにプロポーズするクロードだったが母の反対もあり一年の別離を強制される。数年後、新しい人生を歩み始めていたクロードは姉アンヌと再会、互いに惹かれあい結ばれるのだが...。青春時代のはかない恋を美しく描く。 19世紀初頭の恋物語。そうと意識しなければ、もどかしく感じてしまいそうでもある、詩的で切ない15年に及ぶ二つの恋愛を描きます。姉と妹の間で揺れる主人公クロードと、そんな彼を次第に異性と意識し愛する姉妹...三者がどんな思いを抱いているのか、なにを隠しているのか、何を求めているのか、分かりにくさが残りました。別れや再会を繰り返す15年。姉妹で同じ相手を愛したことで、どちらかが涙を流す段になっても、互いに激情でもって傷つけあうということはありません。深い悲しみに沈んでも、相手を尊重していたわっている三人。それゆえ猛烈な切なさはなく、ストーリーのわりに涙がでることもありませんでした。「パリで再会し惹かれあうクロードと姉アンヌ」ひとりの人を何年間も愛し続けるというテーマ、私的に大好きです。それは本当に難しいこと。絵空事でなく何年にもわたる恋愛を切実に描いたような作品は好み。失恋の一番の薬は時間。それだからこそ、恋愛の一番の敵は距離と時間ではないでしょうか。それに耐えうる思いを抱き続けていたミリュエルに心揺れました。アンヌの愛の遍歴は分かりやすかったのですが、クロードはどうだったのでしょう。。一度は求婚したミリュエルを離れたことで忘れてしまい、女友達と適度に遊び、姉を愛し、ミリュエルとの再会で愛を再燃させる...演じたジャン・ピエール・レオからは深い苦悩を感じ取ることができなくて、少し残念でありました。イギリスの豊かな自然広がる田園風景や、パリの街、そしてロダン美術館などartisticな映像に惹かれます。 音楽は優しく、映像も心も美しい――キレイな恋愛映画でした。英語とフランス語が時と場合によって使い分けられ、互いの国の欠点なんかを飾らずに言い合うシーンが良かったです。何度も交わされる手紙のシーンも印象的。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督 フランソワ・トリュフォー 脚本 フランソワ・トリュフォー 、ジャン・グリュオー 原作 アンリ・ピエール・ロシェ 、アンリ=ピエール・ロシュ 撮影 ネストール・アルメンドロス 音楽 ジョルジュ・ドルリュー 出演 ジャン・ピエール・レオ 、フィリップ・レオタール 、キム・マーカム ステーシー・テンデター 、キカ・マーカム 、ステイシー・テンデター
2006.04.03
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1840年代のパリ、タンプル大通り。パントマイム役者バティストと、美しいガランスは恋に落ちる。ガランスは犯罪詩人や俳優、そして伯爵からも愛されるが、しかし無実の罪に問われ伯爵の力を頼らざるえなくなりバティストの元を去ってしまう。5年後、それぞれに家庭を持ったふたりは、互いを忘れえぬままついに再会を果たす… 戦時下のフランスで4年(だったかな?)の長い時間を費やし、何百メートルにも渡る巨大なセットを建てて作られた、フランス映画の傑作であり金字塔といわれる作品です。この映画、本当に大好きだ~と改めて実感しました。観終えた後の胸の高鳴りはなかなか治まりません。バティストとガランスの深い愛はもちろんのこと、ガランスを愛した男たちやバティストを想う妻など、皆がみんな、真剣に相手と向き合って、恋したり嫉妬したり求めたりしています。3時間強をつかって描かれる人間模様は秀逸で、パリの街並みのなか、登場人物同士の繋がりを詩的な会話で丁寧に綴っていく古典の名作。純真なパントマイム役者バティスト(ジャン=ルイ・バロー)と、上手に世をわたっていく術を孤独のうちに身に付けた踊り子ガランス(アルレッティ)。掛け離れたように映る二人ですが、出逢ってすぐ互いに惹かれ合います。そして純粋であるがゆえにバティストは、それまでの自分を見失うほど彼女にのめりこんでいくのです...思いが重なって、ホテルの一室で二人きり。「恋なんて簡単よ」幾つもの恋をしてきた世慣れたガランスはバティストにそう言います。しかし、こんなにも深く人を愛したことのない彼は愛し方も知らず、その気持の大きさがきっと怖くて、彼女を抱くことはできません。そしてガランスは別の男のものとなってしまうのです。嫉妬に苛まれながらも無言劇の名演を認められるバティストでしたが、いつまでも彼女の面影を忘れることはありませんでした――。インターミッションを挟んだ後半。富豪の伯爵とともにガランスがパリを去って5年の月日が流れます。しかし、幾人もの男たちに愛される恋多き女が、孤独な人生のなかで唯一心から愛したのはバティストだけでした。その切ないほど純粋な気持をもってしても叶わない恋…切ないですねふたりを隔ててしまった5年という歳月はもう戻らず、、再会を果たしてやっと一夜の甘い時を重ねる二人でしたが、互いに家庭を持った今となっては自由に生きることはできません。「やっと結ばれたふたりが迎えた別れの朝…」物語は大恋愛劇という感じでシンプルなのですが、やっぱりこれだけ愛されているのは、バティストのパントマイムで魅せる劇中劇の素晴らしさもあるのではないでしょうか。全身真っ白な物悲しい表情の道化師。実在の人物であるバティストを演じたジャン=ルイ・バローが、本当に素晴らしい舞台を見せてくれます。「劇中劇の舞台 中央ガランス、右バティスト」細面の繊細なバティストという人物があまりに魅力的で、だからこそこの作品自体も大好きなんだな~と今回は感じました。でもただのミーハーじゃなくて、舞台劇をやってこられたバローだからこその芸で、そこにも惚れ惚れしてしまうのです。ちなみにプロフィールの写真は、バティストです。勝手に使わせていただいているのですが、ドキッとする表情がいつでも自分の琴線に触れて良い刺激になるかな・・と思いながら。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督 マルセル・カルネ 製作 フレッド・オラン 脚本 ジャック プレベール 撮影 ロジェ・ユベール 、マルク・フォサール 音楽 ジョセフ・コスマ 、モーリス・ティリエ 出演 ジャン=ルイ・バロー 、アルレッティ 、 マリア・カザレス ピエール・ルノワール 、 マルセル・エラン 、 ピエール・プラッスール
2006.04.01
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