ページをめるくるたび、人生が色鮮やかに輝いていく 。
スイスのベルンにある高校で、古典文献学を受け持つ57歳の教師ライムント・グレゴリウス(ジェレミー・アイアンズ)は、ラテン語とギリシア語に精通する知性と教養に溢れた人物。
チェスの名士で、同僚や生徒からも畏敬される存在だった。
5年前に離婚してからは独り暮らしで、平凡な毎日の繰り返しだったが、大きな不満もなく過ごしていた。
ところがある嵐の朝、その人生は大きく変わることとなる。
学校へ向かう途中、吊り橋から飛び降りようとした赤いコートのポルトガル人女性を助けた彼は、彼女が残した一冊の本に目を通す。
そこに綴られた一言一句に、ライムントの魂は大きく揺さぶられる。
本に挟まれていた切符を届けるために駅に走ると、何かに取りつかれたように衝動的にリスボン行きの夜行列車に飛び乗る。
リスボンに到着して真っ先に訪ねたのは、本の著者アマデウ・デ・プラド(ジャック・ヒューストン)の家。
さらにその妹や親友を訪ね歩くにつれて、若くして亡くなったアマデウの人生が徐々に明らかになる。
独裁体制下の激動の日々を生きた彼の誇りや苦悩、レジスタンスの同志との友情と裏切り、生涯を賭けた情熱的な恋……。
アマデウの人生を辿るその旅は、ライムント自身の人生を見つめ直す旅でもあった。
そして遂に、アマデウが本を著した本当の理由に辿り着くが……。
現代に生きる50代の男性教師ライムント・グレゴリウスはふとしたことからリスボンへ。
この人のスイスの家がいい。
いかにも、インテリらしく壁一面に本棚がある。
キッチンは、コンパクトだけれど、多くの色が使われていないから、すっきりしている。
どうして、外国のキッチンは、こうもカッコいいのかな・・・?
ライムントは、ふとしたことから知った名もなき男、アマデウの本の真実を知りたいと思う。
本の時代は、1970年代。
まさに民主化運動で揺れる時代だった。
1970年代と現代が交互に進む。
1970年代、レジスタンスの同志で美しい女性を助けたアマデウは、ポルトガルを脱出する。
その時、アマデウは、
「一緒に、何処か遠く、アマゾンあたりへ行こう」
と誘う。
彼の誘いを彼女は断る。
なぜなら、それは、 彼の望みであり、彼女の望みではなかったからだ
。
これって、よくあると思う。
例えば定年になった夫が、
「どこか田舎に住もう」と言いだした時、妻は断る。
妻には、まだ仕事があるかもしれないし、近所には知り合いもいる。
孫や娘たちも時々会う。
それを
「遠くへ行こう」というのは、夫は、これまでそれらをないがしろにして来たからだと思う。
まあ、アマデウは、命がけで女性を守ろうとしたのだから、一緒にはできないけど・・・。彼女の望みは、アマデウと一緒に、平凡に暮らしたかったのかもしれない。
見終わって、チラシを物色していたら、偶然出会ったらしき、男女が
「やっぱり押さえてますね・・・」と談笑していた。この映画、評判がいいのかな・・・。
古い石畳と坂と路面電車と海・・・。
私もリスボンに誘われた。
監督は■ マンデラの名もなき看守
■など多くの作品を撮っている。
孤独な楽園★不幸な原因 2024.09.21
チャイコフスキーの妻★狂気 2024.09.19
熱烈★ブレイクダンス 2024.09.13
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