ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Nov 5, 2006
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「A Happy 二長調!」

 年に一度集まるのがやっとという、通称「 七夕四重奏団 」が久しぶりに集結した。チェロのチャールズもバイオリンのパトリシアも、弾きたい曲や実力が僕と近似していて、このうえなく恵まれたメンバー構成なのだけど、各人の事情がそれぞれ複雑で、なかなか日程が合わなかった。ビオラ弾きのカートを新メンバーに迎え、悲願の七夕カルテット、ついに再始動。

 今日はニューヨークマラソンの日で、マンハッタン中の交通が乱れてた。パトリシアもカートもなかなか現れなくてヒヤッとしたけど、大幅に遅れてなんとか四人が無事に集まった。過去一年のお互いの身の上を語り合いながら、いよいよ練習開始。一曲めは、僕がファーストで、モーツァルト後期のK575。練習する曲目も一年前から決まっていた。

 ちなみに、モーツァルトのカルテット全23曲のうち好きなのを一つだけ選べと言われたら、僕は疑いなくこのK575を選ぶ。それほど気に入ってる。
 何がいいって、晩年の作品なのに 底抜けに明るくてわかりやすい ところ。レ、#ファ、ラで始まる出だしを含め、全体にわたり、この曲がニ長調であることをイヤでも意識させられる。そしてこの調性も手伝って、(バイオリンにとっては)すごく弾きやすい。今日の練習でも、ほんとにハッピーな曲だねー、とみんなで確認し合いながら弾いた。

 この曲はハイライトは、実は2楽章のアンダンテかも。旋律の受け渡しなどが簡素で明快、アンコール向き。天上の音楽と呼べよう。

 終楽章では、しつこいぐらいに三連符が出てくる。このテの三連符攻撃は室内楽のレパートリーでは避けては通れない重要なフレーズ。各パートの掛け合いを楽しもうと努めるほかない。 ベートーベンの四重奏曲「ラズモフスキー」作品59-1

 全般的にチェロが難しそう。高音も出てきて、バイオリンが一瞬だけ手助けする部分もあるほど。でも、さすがはチャールズ、かなり練習してきたようで、完璧に弾きこなしていた。
 ファーストとセカンドのオクターブで弾くとこがモーツァルトにしては珍しく多いのも特徴か。

 弾いた後にすごく爽快な気分になった。 ニ長調の魔法 にかかったような。
 そういえば、自分はときどき発作的にモーツァルトの 弦楽のためのディベルディメント1番K136 を弾きたくなることがある。楽器を思いっきり鳴らして、日頃のストレスを発散したくなる。あの曲もこてこてのニ長調!





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最終更新日  Nov 8, 2006 02:58:06 AM
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