ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Feb 24, 2009
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 現在アメリカ公演中のウィーンフィルを聴いた。指揮はズービン・メータ。
 律儀に毎年アメリカでも日本でも公演してるのは知ってたけど、生まれて初めて今回やっとナマで聴くことができた。


  ショパン:ピアノ協奏曲2番(ラン・ラン独奏)
  シューベルト:交響曲ハ長調「グレート」


 最初の序曲からして最上級。絶叫しない「大人の sul G」という弦楽音を堪能させてもらった。

 つづくコンチェルトは奥ゆかしく伴奏していたが、絹のような細さのなかに芯の強さを感じさせる音。
 一方、独奏のラン氏は、音がとにかく大きく、光ってる感じ。お名前どおり朗朗と弾くのかと思ったら、むしろテキトーに弾いてるような奔放な印象さえ受けた。 
 ってゆーか、いかにも天才児という感じ。鍵盤も指揮もほとんど見てないのにビシッと合ってるのは不思議。決して自分だけ別世界で盛り上がってるというわけでもないし。
 派手めな自己顕示と謙虚さとをうまく演じ分けるアーティスト。全て計算してる?
 アンコールにはショパン「別れの曲」をねっとりと。

 シューベルト大ハ長調は、あまりにくどくて長いから、はっきり言って好きな曲ではないのだけれど、今日はあっという間に聴き終えてしまった。生まれて初めてこの曲の良さに気が付いた。←遅すぎ



 なんてったってボーイングがすごい。そこまでやるかぁという感じ。スラーのかかってる長ぁーいフレーズも、ぶちぶち切ることなくちゃんとひと弓で弾き切ったり、逆に、シューベルトの3楽章なんて、一音一音分割しながらもアップひと弓で(しかもフォルテで)弾くというワザも披露されて、僕は思わず「おぉーっ」と声に出してしまった。

schubert.jpgそこまでやる?

 指揮のメータ氏(72歳)は、ここぞというときは締めるものの、それ以外は細かく棒は振らず、オケの自主性に任せていた(ように見えた)。
 (それが裏目に出たのか、シューベルトの2楽章で一瞬だけ崩壊してしまってた。トランペットと弦の掛け合いになるとこ。)

 アンコールは(たぶん)ヨハン・シュトラウスのポルカ。内声の裏打ちの人も楽しそうに弾いてたのが印象的。
 団員さんの挙動を観察してるともう一曲アンコールの譜面が用意されてたようだけど、メータさんがお疲れだったのか、強引にコンマスを引き連れて退場なさってしまった。

 実際、充分すぎるくらい楽しませていただいた。
 彼らってば、東海岸五公演のあとは西海岸ロスアンジェリスに飛び、その後、中国、インド、中東など廻るんだそうで。






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最終更新日  Feb 26, 2009 08:52:59 AM
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