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April 20, 2011
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被災地から 高齢者が漏らした嗚咽「大槌の恩返し見届けるまで死ねない」

産経新聞



 悲しさや悔しさではない。心の奥底の感情が、そのまま噴き出したとしか表現できない涙。そんな涙を流して嗚咽(おえつ)する"老人"の姿を見たのは、生まれて初めてだったかもしれない。

 3月26日から約20日間、被災各地を巡った。

 岩手県大槌町の中央公民館では、避難者らの暮らしを取材した。震災から約1カ月が過ぎ、住民らは不自由ながらも避難生活に慣れてきていた。その半面、震災当初の緊張が薄れ、避難所には疲労と倦怠(けんたい)が侵食してきているように見えた。消されたテレビ。薄暗がりの中に響く、くぐもった話し声。一日中横になったままの人々...。この傾向は、特に高齢者に顕著だった。

 「退屈ではないか。何か必要なものはないか」。避難者らにそう聞いて回った。そこで出会った道又康司さん(79)は 「食事も毛布もあり、何の不自由もなく過ごしている。不満などない」という。 「そんなものなのかな」と安易に納得してしまっていた。

 岩手を去る前日、取材で知り合った方々にあいさつするため、この避難所を訪れた。その際、道又さんも見つけた。取材のお礼を述べると、「ちょっと話を」という。そこで避難所の端のいすに並んで座った。

 道又さんは「食事や衛生面に不満がないといえば嘘になる。しかし 全国の皆様から本当に温かい支援をいただいている上、周囲に大勢の避難者がいる中では言えなかった 」と明かした。その言葉を聞き、繊細な取材を怠った自分の顔が赤らむのを感じた。さらに、関東に住む息子から同居の誘いがあったこと、その誘いを断り町に残る決心をしたことを教えてくれた。

復興した大槌が今度は恩返しをする姿を見届けてからでないと、死んでも死にきれない ...」

 言葉の途中で、道又さんは嗚咽を漏らし、くしゃくしゃになった顔を両手で覆った。最後に50歳も年下の私に差し出された手の温かみと涙の感触は、今もこの手に残っている。(小野田雄一)






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Last updated  April 25, 2011 07:56:11 PM コメント(10) | コメントを書く
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