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自主的な経済政策を掲げるブラジルのルラ大統領は2月25日,定例ラジオ番組で,同国史上初めて対外資産が対外債務残高を超えたと述べるとともに,輸出先の多様化によってアメリカや欧州への経済的依存から脱したと強調しました。 大統領によれば,1月の外貨準備は約1,900億ドルに達しました。 中央銀行の発表では,同月の海外資産は政府と民間の債務を約40億ドル上回りました。これにより長い間対外債務に苦しんだ同国は,歴史的に初めて債務国から債権国に転換しました。 大統領は番組で,ブラジル経済は約5%の安定的な成長を保障しうるサイクルに入ったと指摘。同時に,「もっと成長できる条件があるが,責任ある成長という点が重要だ。消費が生産能力を超えてインフレになってしまう過度の成長にはしない」と強調しました。 好調な経済の背景にあるのは,貧困対策や最低賃金の大幅引き上げなどによる内需拡大や輸出増です。アラブ諸国との貿易額がこの4年で3倍になったのをはじめ,途上国同士の南南協力を推進するもとで中国や他の発展途上国との貿易が増大しました。 大統領は,「もうアメリカやヨーロッパ頼みではない。ブラジルは今日,世界の多くの国に輸出している。このことによって,アメリカの危機にも冷静に対処できる」と述べ,サブプライム問題に端を発したアメリカの景気後退の影響への懸念も払拭しました。 ブラジルの歴代政権は対外借り入れに依存。一時は2,400億ドルを超える対外債務をかかえ,1989年には利払いの停止にまで追い込まれました。 1990年に打ち出された国営企業の民営化や補助金削減などを柱とする「財政安定化計画」も失敗し,経済危機が発生。1998年の通貨危機では国際通貨基金(IMF)などから415億ドルの融資を受けました。 ルラ政権は,発足時に1,600億ドル以上あったIMF債務をはじめとする対外債務の返済に取り組み,IMFに1,800億ドル以上を支払い,昨年完済しました。 サブプライムの影響もあり,今3月決算では若干修正はあるものの,大企業は5年連続でバブル期をはるかに超える好決算を迎える見込みです。それにもかかわらず,医療・教育・福祉などの切り捨てが進み国民生活が悪くなるばかりの日本。財政赤字も一向に改善されず悪くなるばかりです。 しかし,日本はブラジルのように貧困対策や最低賃金の大幅引き上げなどによる内需拡大やアメリカに依存しない輸出などやろうと思えばできることをやりません。 一言で言えば,アメリカや大企業のための政治ばかりやっているからです。 それを国民も許しているのだから仕方がありません。これは国民自身の責任でもあります。 道路づくりなど無駄な公共工事などをやめ,アメリカのための米軍再編などもやめ,大企業のための規制緩和や構造改革などもやめ,国民のための政治を実現させるのは,他ならぬ国民自身の選択次第なのです。 しい選択が行われていないのです。誤りを正さないと,消費税は上がり続け,国民負担は増え続けるのは明らかです。政治を変えるのは,国を変えるのは国民自身なのです。
Feb 29, 2008
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海上自衛隊イージス艦「あたご」が,漁船「清徳丸」を確認したのは衝突2分前ではなく,「12分前」であったとの情報を隠していた。 「未確認情報であっても明らかにしていく」という石破茂防衛相の言明は,一体何だったのか。 「捜査中,何も分からないということがあってはならない。未確認であっても,今,こういう情報が入っていると,捜査に支障がない範囲で明らかにする必要がある。隠さない,事故を正当化しない」。 2月22日の衆議院安保委員会での石破氏の答弁です。 この答弁通りにあらかじめ行動していたなら,2月19日の時点でも,「未確認」の注釈をつけて,「12分前」の情報を,同日中に公表できたはずです。 しかし,この間の経過はどうだったか。別表をみて下さい。「12分前」の情報が入ってきたのは事故当日2月19日の午後4時すぎ。午後8時半には石破氏に伝わっていました。 ところが石破氏は公表せず,翌2月20日午前8時30分には,事実関係の確認が終わっていました。少なくともこの時点で,公表は国民に対する義務でした。 石破氏が訂正発表したのは2月20日午後5時。前日「12分前」の情報が入ってからまる1日経っていたのです。石破氏は「海上保安庁との調整に時間がかかった」と弁明しています。 「隠さない」という国会での答弁は単なる言い逃れだったのか。 石破氏の答弁を見ると,2月25日の衆議院予算委員会から,「捜査に支障が生じるので,海上保安庁から公表を差し控えるよう要請されている」との答弁が目立っています。 2月26日の衆議院安保委員会で,野党議員は,「海上自衛隊が立ち上げた事故調査委員会のメンバーを明らかにせよ」と質問しました。石破氏は「捜査に支障が出るので,乗組員との接触を禁じられている」と繰り返し,答えようとしませんでした。 これでは,「捜査中,何も分からないということがあってはならない」という2月22日の答弁に反しています。 防衛省・自衛隊は「捜査に支障が出る」ことを口実にして,捜査とは無関係の内容についての説明責任すら放棄することになります。 海上自衛隊の情報隠ぺい体質も重大です。海上幕僚監部は2月19日午後4時すぎに,「12分前」情報を得ていながら,河野克俊防衛部長は,同日午後11時,記者会見では「2分前」だと説明しています。この時点でも誤りの可能性が高いと分かっていた情報を国民に押し付けていたのです。 防衛省・自衛隊は国民を守る組織ではなく,みずからを守ることを第一に置いている。こう思われても仕方ありません。 防衛省・海上自衛隊の情報隠蔽体質は今に始まったことではありません。 昨年秋には,海上自衛官が独断で,インド洋で給油活動を行っていた艦船の航泊日誌を破棄していたことが明らかになり,臨時国会で大問題になったばかりです。 1988年,潜水艦「なだしお」が遊漁船「第一富士丸」と衝突した事故でも,衝突時の航海日誌を改ざんしていたことが明らかになり,当時の瓦力防衛庁長官の辞任につながりました。 石破氏は,「(海自には)大臣に情報を上げるのをためらう傾向がある」と述べ,「防衛省改革」の必要性を主張します。しかし,自身も20時間以上,情報を隠していた石破氏に,本当に「改革」を口にする資格があるのでしょうか。
Feb 28, 2008
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政府の医師抑制政策のもとで医師不足が深刻です。 特に過酷な勤務を強いられ,訴訟リスクの高いお産の現場で医師が減り,地域で分娩施設の閉鎖が相次いでいます。8都県でこの2年で150人の産婦人科医が減っています。 人口の集中する首都圏の三都県で実態を見ました。【東京】毎年14施設消える 東京都北区で保育士をしている37歳の女性は昨年9月,東十条病院で妊婦健診を受けました。月末に突然「10月で全科を休診する」と告げられました。 東十条病院がなくなると区内でお産ができる総合病院は北社会保険病院だけになります。女性は北社会保険病院で「ここで産ませてくれますか。途中でまたほかに回されたら困ります」と必死に訴え,分娩予約が受け付けられました。 東京都内の産婦人科・産科の病院・診療所は1999年の792施設から2005年に707施設と85施設も減りました(東京都調べ)。 毎年約14の施設がなくなった計算です。 都立病院では豊島病院(=公社化計画,板橋区)が2006年9月に産科を休診。同病院のNICU(新生児集中治療管理室)の受け入れも2007年10月に休止,閉鎖の方向です。 墨東病院(墨田区)は2006年11月,分娩新規受け付けを停止しました。 2007年10月に分娩をやめていた荏原病院(=公社化,大田区)は住民の運動が実り来年4月から産科を再開します。しかし再開のメドが立ったのは荏原病院に医師を派遣している私大病院が長野県内の病院から産科医を引き揚げるためでした。 ハイリスク出産や緊急時に対応する都内の周産期母子医療センター(総合9ヶ所,地域13ヶ所)も設備や医師数の絶対的不足でベッド満床の状態が恒常化しています。 全国の産婦人科医のうち女性医師は30歳-34歳で53%,25歳-29歳で73%を占めます(2006年厚生労働省医師・歯科医師・薬剤師調査)。 しかし結婚や出産を機に分娩の現場から離れる場合が多く,お産を扱う女性医師は経験11年目で46%(日本産科婦人科学会調査)と半分以下に減ってしまいます。 問題はどこにあるのか調べてみますと,東京都の低い待遇にありそうです。 都立病院医師の平均月収(基本給・手当)は101万3,606円と全国61の都道府県・政令市立病院で最低です。 都は2008年度予算案で常勤医師確保対策として前年比8億800万円増の9億6,000万円を計上しましたが,日本医療労働組合連合会の全国調査によれば退職した医師の57%が他の病院に移っており,都立病院の待遇面の改善が急務となっています。 ある団体の調査では産婦人科医の4人に1人が月8回以上の宿直を行い,調査した医師の1/3が過労死ラインの月80時間以上の時間外労働をしています。 こうした勤務状態を改善するには先進国中で最低クラスの医師の絶対数を増やすことが急務です。 医師養成削減政策を根本的に改め,週40時間労働や救急・夜間の交代制,休日・年休取得が保障される予算の裏づけと診療報酬の改善が必要です。 また,産科で比重の高い女性医師が働き続けられる対策も進めるべきです。【埼玉】産科医の負担ワースト1 埼玉県は産科医1人当たりの分娩数が268人と全国平均141人を大きく上回り(日本産科婦人科学会調べ),全国で最も産科医の負担が重い県です。 特に秩父地域や北東,東部地域で分娩数に対し医師数が手薄になっています。 県の統計では産婦人科・産科のある医療機関が2000年の282施設(病院63,診療所219)から2005年に246(病院50,診療所196)に減少。残された医療機関に負担が集中しています。 県東部の春日部市立病院は2007年10月,医師の相次ぐ退職で小児科と,小児科医の支援が必要な産科も休止になりました。 2008年2月に非常勤医5人を確保し小児科は再開したものの,産科再開の見通しは立っていません。 市民は「安心してかかれる地域医療を実現するために力を合わせよう」と小児科・産科の再開をめざす市民の会を結成し,署名や学習会など活動を始めています。 県東南部の草加市立病院産科は草加市内で出産できる数少ない病院でした。 産科医の病休や退職で2005年3月に休止していました。市民の運動を病院の医師確保の努力が実り,2007年10月に2年半ぶりに再開しました。【神奈川】県立病院を独立行政法人化 神奈川県内でお産を扱う病院,診療所,助産所数は2006年度の160施設から2007年度には153施設に減り,これに伴うお産取り扱い件数は65,112件から62,495件と2,617件も減る見込みです(県調査)。 公立病院でも産科が縮小しています。 三浦市立病院では2007年4月から小児科医師が2人から1人に減ったため,お産ができず,大和市立病院では昨年7月から分娩入院にも制約を受ける状況に。厚木市の市民病院は,2007年7月から産婦人科が休止し,年間600例あった出産ができなくなりました。 県立足柄上病院(松田町)で出産した女性(29)と夫の男性(31)は同病院が2006年4月から分娩を制限していることに,「不安です。個人レベルの努力ではどうしようもない」と語ります。 こうしたなか,県は,足柄上病院を含む6つの県立病院を,採算重視の「独立行政法人」にしようとしています。 昨年末,結成された「地域医療の充実と県立病院の直営を求める会」は2月23日,76人で宣伝行動に取り組みました。妊娠している女性(35)は「少子化といわれるのに子どもを産むのが厳しい。県立病院をなくされると困ります」と同会の署名に応じました。 独立行政法人になれば本当に必要としている医療が守れません。 運動を県民で広げていかなければ,出産のため他県まで行かなければいけない日がくるのも遠くはありません。
Feb 27, 2008
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海上自衛隊のイージス艦「あたご」が,千葉県勝浦市の漁船「清徳丸」に衝突した事故から2月25日で一週間。「清徳丸」の吉清(きちせい)治夫さん(58)と哲大(てつひろ)さん(23)親子は,いぜん行方不明のままです。 「清徳丸」所属の新勝浦市漁協川津支所は同日,家族の申し出を受けいれて捜索打ち切りを決めました。地元の慣習「浦じまい」という儀式が寒風吹きすさぶ中,500人が集まり川津港で行われました。 捜索について,同支所のなかから「もっと続けたい」という声も出ていました。家族・親族からの「これ以上,操業できずに迷惑をかけることはしのびない」との強い要望で,打ち切りが決まりました。 記者会見で外記(げき)栄太郎組合長は,「全国からの励ましを受けて,全力をつくしてきましたが,手がかりも発見されずに捜索を打ち切るのは残念」と無念さをにじませました。 川津港から約20隻,近隣の漁港からの船とあわせて約60隻による連日の捜索体制。 捜索で見つかったのは,治夫さんのシルバーのジャンパーと仮眠用の布団など。受け取った親族の男性は「こんな物しか戻ってこないんだ」といいました。 連日のように,岸壁に集まった住民は,うちわ状の太鼓をたたく儀式で2人の無事を海に向かって祈りました。漁協婦人部では,ところてん製造を臨時休業し,炊き出しに。約300戸の小さな漁村,川津地区総力あげての捜索でした。 川津支所には全国からの激励のファクスが多数よせられました。 「皆様からのはげましのお手紙まことにありがとうございました」と涙ぐむ治夫さんの兄高志さん(60)。 全国で2人の生還を祈る日々が続きます。 第三管区海上保安本部(横浜)の調べや僚船の船長らの証言などから,海上衝突予防法での回避義務があたご側にあったことが明らかになってきました。 漁船側は事故当時について,GPS(全地球測位システム)の航跡などを示しながら証言。あたごが進路もかえずに回避行動をとらないまま,漁船団の中に入ってきたようすを明らかにしてきました。 一方,防衛省の発表はほとんどありません。 同省は当初,あたごの見張り員が,衝突の「2分前」に,清徳丸の「緑色の灯火」を確認したと発表。2日後の2月21日には,それが「12分前」に「訂正」されました。 それも,漁船船長らの証言で「うそ」を指摘され,また「訂正」しました。 矛盾点を突かれてから,船の右舷側の「緑の灯火」のほかにも,左舷側の「赤」やマストの「白」の灯火も見えていたことを明らかにする始末。 同省は,真相を隠そうという態度に終始しています。 さらに,「あたご」は衝突の1分前まで自動操舵で航行していました。石破防衛相も「適切でない」と答弁。奇異なことに,海上保安庁による「あたご」艦長の事情聴取はいまだに行われていません。 今回の事故で明らかになったのは,防衛省の危機管理に対する意識の低さと情報隠す隠蔽体質です。これは防衛省に限ったことではなく,すべての省庁でも言えるかも知れません。 これらは,今の「公務員制度の弊害」のひとつと言えるのかも知れません。 そもそも公務員は国民の『公僕』であるべきが,自分たちの保身や利権ばかり考えるようでは,もはや「公務員」と呼べるものではなくなっているのかも知れません。
Feb 26, 2008
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政府,電力業界は,原子力が二酸化炭素をださない「クリーンなエネルギー」だとして,温暖化対策の「切り札」にしようとしています。 政府の原子力委員会が2月に公表した報告(案)も,温暖化対策に原子力の利用拡大が不可欠とし,京都議定書の第一約束期間(2008年-2012年)後の国際的枠組みのなかで,原子力の利用を明確に位置づけるべきだとしています。 原発事故とそれによる環境破壊を無視した大変危険な主張です。 温暖化対策として原発利用を拡大することは,国際的にも通用しない無責任なものです。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次報告は,原発には「安全性,核兵器拡散,核廃棄物の問題」があるとして,くぎを刺しました。 欧州8ヶ国環境相の共同声明も,原発には安全面でのリスクがあるとし,「(温暖化対策の)有効な選択肢にはならない」と断じています。 1986年のチェルノブイリ原発事故(旧ソ連)では,深刻な放射能汚染が国境を越えて広域に広がりました。安全性の未確立な原発が,こうした事故を繰り返さない保障はありません。 また,原発が排出する放射性廃棄物も,処理・処分方法が未確立であり,数万年にわたって地球上に滞留することになります。 なかでも日本の原発は,運転開始から平均で22年以上たつなど老朽化しています。中越沖地震(新潟県)でも明らかになったように原発の耐震安全性が揺らいでいます。政府のいう温暖化対策として原発の稼働率を引きあげ酷使すれば重大事故がいっそう起こりやすくなります。 にもかかわらず,日本政府が原発を「切り札」だとするのは,原子力業界が,原発の利用拡大に固執し,アジア諸国などへの原発輸出をも狙っているからです。特定業界の利益のために原発の危険に目をふさぎ,しかも,それを世界に拡大するというのは言語道断です。 原子力委員会は,他国の温暖化ガス削減に協力した場合に,その一定量を自国の削減量に充当できる仕組みの対象に,原発を含めるべきだとしています。しかし,こうした国際的仕組みにおいて原発が対象外であることは,国際的に決着済みの問題です。 日本政府の主張は,通用するものではありません。 また,こうした原発頼みの取り組みでは,本来の温暖化対策をないがしろにすることになります。日本の二酸化炭素排出量の30%は電力部門が出しています。 これを削減するという口実で,原発の大増設や,その稼働率の引き上げなど,原発依存をいっそう強めるなら,自然エネルギーの利用など,必要な温暖化対策が遅れるのは明白です。 温暖化対策で求められるのはこうした方向ではなく,企業との間で温暖化ガス削減協定を結ぶことや,エネルギー税制を見直し環境税を導入すること,自然エネルギーの利用拡大に本格的に取り組むことです。 ドイツは,温暖化ガスを1990年比で20%近く削減しました。原発によるエネルギーを減らし,自然エネルギーを電力生産量の4%から12%に増やすなかで達成したものです。 EU(欧州連合)は,2020年までにエネルギー需要を20%減らすとともに,自然エネルギーの比率を20%に高め,温暖化ガスの排出を20%削減することを目標に取り組んでいます。 日本もこうした経験に学ぶべきです。電力業界など財界の言いなりになるのではなく,本当の意味で地球温暖化と向き合いながら,温暖化ガスの削減のために何をすべきなのか考えなければいけません。
Feb 25, 2008
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パートや派遣など有期雇用労働者にも育児休業を認めた改正育児・介護休業法の施行(2005年)から,この春で3年が経ちます。 施行状況をふまえて,現在,厚労省「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」で,今後の育児休業制度等の仕事と家庭の両立支援策について検討中です。 研究会ではこれまで,国内外の両立支援策についての調査をすすめ,第5回会合(1月21日)では,有期雇用労働者の育児休業の問題で,関係者らからヒヤリングをおこなっています。 有期雇用労働者への適用拡大のあり方は,前回の改正で大きな焦点となりました。適用条件が,1年以上雇用され,かつ子どもが1歳になって以降まで雇用継続が見込まれるなど,厳しく規定されました。 これでは多くの人が取りにくいと指摘され,国会審議でも野党から改善を求める意見が相次いだために,付則に「施行後適当な時期」の検討が盛り込まれた経過があります。 ヒアリングからは,有期雇用労働者の取得の少なさ,正社員との格差,休業後の雇い止めなど,改正時に危惧されたような実態が明らかになりました。 研究会で報告された厚労省の委託調査結果によると,調査対象は小売業3社,登録型労働者派遣業2社で,有期契約労働者16万人余のうち約15万人が女性です。 そのなかで法改正後の育児休業取得者は147人にとどまります。 一方,正社員では,小売業3社の計約8,000人の女性のうち,同時期の取得者は300人以上です。年齢層,未婚既婚など条件が違うため単純な比較はできませんが,取得状況には大きな開きがあることがわかります。 社内規定でも,正社員には法律を超えた長期の休業や短時間勤務などを認めるようになっていますが,有期雇用労働者は適用されないなどの格差がありました。 また約750の人材派遣会社が加入する日本人材派遣協会からは,派遣労働者の育児休業の取得は少なく,就労を休止する人が多い実態が報告されました。 業界としては制度の積極的な周知もしておらず,取得した人も自分でインターネットなどの情報を集めたり,口コミで知った例が多いといいます。 そして取得できても,休業後に同様の派遣先がある場合は少なく,「結果的に雇い止めをすることが多い」と報告されています。 休業の取得による雇い止めは育児・介護休業法で不利益取り扱いとして禁止されています。にもかかわらずこうした事態が実際に起きているのです。 法の周知や業界への指導が徹底されていないのは問題です。また,そもそも登録型派遣という極めて不安定な雇用形態自体が,休業の取得と職場復帰の大きな障害となっていることを示しています。 研究会は,今後,有期雇用労働者の休業のあり方の検討をはじめ,育児休業の再取得,短時間勤務,子どもの看護休暇などの論点について検討し,夏ごろまでに検討結果を取りまとめる予定です。 誰もが安心して取得できる制度にむけた検討が求められています。 6ヶ月以上の雇用実績のあるすべての有期雇用労働者に休業を認めること,分割取得を可能にするなどを含む抜本的な改正が必要だと改めて感じます。
Feb 24, 2008
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東京都の石原慎太郎知事の大失政のひとつ「新銀行東京」が,重大な破たん局面を迎えています。 開業から3年足らずで累積赤字が936億円にまで膨らみ,都が出資した1,000億円のほとんどが失われました。民間に協力を頼んだもののだれも応じず,万策つきて都が再び400億円を注ぎ込むというのです。 「税金1,000億円をドブに捨てたうえ,さらに400億円を捨てるのか」とごうごうたる非難が起きています。 新銀行東京は東京都が主体で2005年4月に開業しました。もともと石原氏が再選を目指した2003年の都知事選の「目玉公約」にした構想で,自治体が銀行業に乗り出す常識はずれの行動は,当初から無謀とみられました。 石原氏はそれを押し切り,徹頭徹尾トップダウンで設立を強行しました。新銀行が「石原銀行」の異名をとるゆえんです。 石原氏は「貸し渋り,貸しはがしに苦しむ中小企業への支援」を新銀行設立の表向きの旗印にしました。日本共産党都議団は構想段階から新銀行計画を徹底検証し,中小業者の役には立たないこと,あまりにも甘い見通しに立った経営計画で失敗が避けられないことを解明し,その中止を強く要求しました。 事実,開業した新銀行は,他行より高利で預金を集めながらそれに見合う運用ができず,苦し紛れの融資攻勢で不良債権の山を築きました。 都民が期待した中小業者への支援という点では,そもそも小零細業者など相手にしておらず,融資しても他行の2倍,3倍,10%などという高利をとるとんでもない銀行でした。 決算発表のたびに赤字が膨らみ,日本共産党だけはほとんど毎回の都議会で,早期の撤退を求めてきました。それを聞き入れず,「まだ大丈夫だ」と拒み続けたのも石原氏でした。 石原氏はいまになって新銀行東京の「乱脈経営」に言及,経営陣の責任を追及すると言いだしました。しかし,だれよりも重い責任を負わなければならないのが石原氏その人であることは明白です。 驚きに値するのは,この大失策にも何の反省もせず,居直る石原氏の態度です。 400億円の追加出資を都議会に提案した後,石原氏は記者団に「(新銀行を)潰すわけにはいかない。潰したら都民にもっと迷惑かけますから」と語りました。しかし,破たん処理を先送りすれば,都民の被害は拡大するばかりです。 石原氏のこれほどまでの驕りと暴走を許してきた都議会の「オール与党」の責任も問われます。自民党,民主党,公明党は,新銀行東京でも「開業により東京発の金融改革はまた新たな一歩を踏み出す」(自民党),「非常に力強い夢とロマンの持てる新銀行」(民主党),「中小企業の味方」(公明党)と大絶賛を繰り返してきました。 今回の400億円追加出資まで唯々諾々と追認するなら都民への背信の罪は極まります。 石原氏は当初の1,000億円出資強行のさい「税を再び投入することは考えておりません」と議会で明言し,その後も追加出資はありえないと言ってきました。今度のやり方は,最悪の都民騙しです。 新銀行へのいかなる追加出資も許さず,ただちに第三者による委員会を設置し破たん処理に踏み出し,その際,預金者保護と中小企業への融資の保全に万全をつくし,石原知事の責任を明確にしなくてはいけません。 東京都民はこれ以上の税金投入を許してはいけません。
Feb 23, 2008
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海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故が発生した東京湾周辺は,年間約28万隻の船舶が入港し(2005年,国土交通省統計),世界有数の海上交通量を記録する“超過密水路”です。 にもかかわらず,東京湾入り口の横須賀には,アメリカ軍・自衛隊の基地があり,アメリカ軍・自衛隊の艦船約50隻が常駐しています。 過密水路に多数の軍艦が往来すること自体,異常で事故の危険を高めていました。 東京湾には国交省が定める「特定重要港湾」「重要港湾」が集中し,10,000トンを超えるタンカーや貨物船を含む1日平均500隻-700隻が浦賀水道を通過します(海上保安庁)。入港を待つ船舶の「順番待ち」が,浦賀水道の日常風景です。 その入り口・横須賀に,アメリカ軍は空母キティホーク,揚陸指揮艦ブルーリッジ,イージス艦9隻が常駐。原子力潜水艦も頻繁に入港しています。 自衛隊はイージス艦「きりしま」をはじめ,40隻近くが常駐。「あたご」のように,他の基地からの入港も目立っています。横浜港にはアメリカ陸軍横浜ノースドックもあり,大小の輸送艦が頻繁に出入りしています。 軍用艦船は民間船舶が航行できない制限水域だけでなく,民間の航路も往来し,出入港の日時や航路は「軍事機密」を理由に公表されません。これら軍用艦船が行き交う海域で操業する漁船は,つねに危険にさらされています。 清徳丸が所属する新勝浦市漁協(千葉県勝浦市)の関係者によると,はえ縄漁に出る漁船は,今回の事故があった海域を通過して三宅島周辺などに向かうことが多いといいます。 事故当時も,現場海域には同漁協から17隻が操業していました。この海域は東京湾に入る船舶の航路であり,「自衛艦に限らず大型の船が多い」といいます。 衝突の危険がある場合,相手側に回避義務があったとしても,「たいがいは気をつけて,こちらからよけている」のが実態です。 漁船の“善意”の上にあぐらをかき,「軍事優先」の態度を示す自衛艦。このような実態が,今回の事故の背景にあります。 海のルールでは,右舷に船を見つけた場合に,その船に回避義務がある。しかし,実際の話を聞くと,大きな軍艦などは,はっきりいえば「そこのけそこのけ軍艦が通る」という行動をとるのが現実です。 結局,小さい漁船は回避の義務がなくても常に回避行動を取らざるを得ないのが日常の実態なのです。 しかも国民の命と安全を守るべき自衛隊の艦船がルールを守っていないというのは,非常に重大です。防衛大臣の責任は当然厳しく追及して欲しいと思います。 また,根本から考えると,東京湾の入り口に横須賀港という軍港をおいたままでいいのかという問題を真剣に考えるべきで,なかでも一番の問題は,この軍港がアメリカ海軍の空母の母港になっているということです。 しかも今年から通常型空母から原子力空母に置き換えられようとしている。そして,この空母を守るために,日本の護衛艦,イージス艦がいる。まずは空母の母港化をやめさせること,ましてや原子力空母の母港化はやめさせるということが喫緊の重要な課題となっていると思います。
Feb 22, 2008
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2月18日に投開票されたパキスタン総選挙は2月19日までに大勢が判明し,野党が圧勝する勢いです。ムシャラフ政権を支えてきた最大与党は惨敗し,事実上敗北を認めました。 地元テレビ局によると,選挙で選出される一般選挙区268議席のほぼ90%が確定した段階で,故ブット元首相の野党パキスタン人民党(PPP)が87議席,同じく野党のパキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派(PML-N)が66議席を獲得。二野党で過半数を占めています。 前回2002年の一般選挙区の獲得議席はPPPが62,PML-Nが14でした。 最大与党パキスタン・イスラム教徒連盟(PML)は38議席にとどまっています。 フサイン総裁やカスリ前外相,人口最大のパンジャブ州のイラヒ前州首相が落選するなど大苦戦となりました。同党のアジーム報道担当は,「わが党は野党席に座ることになりそうだ」と事実上の敗北宣言を行いました。 大躍進したPML-Nのファルーク報道担当は「独裁者(ムシャラフ大統領)と妥協しないわが党の姿勢が勝利の力だ。大統領は出て行かなくてはならない」と辞任を要求しました。 投票を終えた国民に聞くと,「砂糖や小麦などがここ1年で4,5倍になった。政府は道路整備には熱心でも,物価対策はまったくだめだ」といった声が多数返ってきました。 経済問題では多くの有権者がムシャラフ政権に『ノー』を突きつけたとみられます。 下院の総定数は342。うち272議席が小選挙区制の一般選挙区で選出され,その獲得議席に比例して,70の留保議席(女性60,非イスラム教徒10)が各党に割り当てられます。 ただ,一般選挙区の4つで立候補者の死亡などにより投票が先送りされ,今回は268選挙区でたたかわれました。 2月18日のパキスタン総選挙は,ブット元首相暗殺などテロが頻発するなか,軍と警察が厳戒態勢をしいた中で行われました。一部で銃撃事件があったものの,国民が5年半ぶりに全国規模で政治的意思表示をする機会となりました。 与党PMLの大敗によって,ムシャラフ政権への国民の厳しい審判が示されました。 最大の要因として指摘されているのは,1年ほど前から続く物価高騰による庶民の不満です。平均所得が伸びるなど経済指標の好調とは裏腹に,生活必需品は数倍も値上がりし家計を直撃していました。 投票を終えた有権者の多くは「物価対策に無策の政府」と批判を口にし,ラホールで取材した与党の投票所立会人は「砂糖と食用油の値上がりが敗因」と答えていました。 テロの増大に対し与党は「選挙を成功させる民主化が安定化の道」と強調したものの,野党は「政府がテロとのたたかいでアメリカ軍と協力した結果テロが増えた」と政府の責任を追及していました。 1999年に無血クーデターで政権を掌握したムシャラフ大統領は昨年11月,続投の合法性を野党から追及されると,非常事態を宣言。反対派の最高裁長官を含む60人の裁判官を解任しました。 非常事態は解除されたものの,ムシャラフ政権のこうしたやり方が野党から「強権的,独裁的な政治運営」と批判を招きました。
Feb 21, 2008
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政府の「『子どもと家族を応援する日本』重点戦略」は,女性就業率引き上げのため,一定の両立支援策の整備に「効果的な財政投入」が必要という立場から,そのための「社会的なコスト」を推計しています。 それによると,これまでの日本の子どもと家族に関する社会的支出は,年額4兆3,300億円。GDP比で0.83%にあたります。これに加えて,今後,女性就業率の引き上げに伴う保育サービスや育児休業の増加などに対応するためには,推計で毎年1.5兆円から2.4兆円の追加支出が必要だとしています。 これまでもフランスではGDP比3.02%,ヨーロッパの多くの国でも2%~3%を家族政策にかけてきました。日本の0.8%は極めて低く,抜本的な拡充は当然必要です。 追加支出を加えても,フランスの水準で試算した10.6兆円にはまだまだ及びません。 予算規模だけではなく,基本的な考え方が大きく違っています。ヨーロッパ諸国では,子育てを社会的に支える見地を政策に貫いています。 保育や育児休業の拡充とあわせて,経済的給付も充実させ,子育ての経済的負担の解消をすすめてきました。労働時間短縮やパート労働者の均等待遇など人間らしい働き方のルール,医療,教育費負担の軽減など,充実した社会保障も土台にあります。 こうした保育,経済的支援,働くルールの各分野の総合的な取り組みによって,女性の社会進出をすすめながら,出生率回復が可能となったのです。 しかし「重点戦略」は労働力確保を中心としており,保育や働き方の点でも問題があることはこれまでみた通りです。 さらに問題なのは,その財源について,「次世代の負担にすることなく」「今,この社会的コストを負担しなければ,持続的な経済発展を支える労働力の確保」ができないなどといって,国民に負担増がやむを得ないものであるかのように迫っていることです。 具体的な設計については今後の「税制改革の動向をふまえ」としています。 しかしその方向は,福田首相の施政方針などで消費税引き上げを含む「抜本的改革」と繰り返し言明されているように,消費税の引き上げが狙いです。 福田首相が主宰し,奥田前日本経団連会長ら財界や学者,団体などで構成する「社会保障国民会議」には,3つの分科会の1つに「少子化・仕事と生活の調和」が設置されました。マスコミも「増税の地ならししたい政府の思惑も透ける」と報道しています。 政府はこれまでも社会保障のためとして税率引き上げを行いました。しかし,社会保障は改悪の連続です。国民が納めた200兆円近い消費税は,大企業減税による税収減の穴埋めに使われてきたのが実態です。 所得が低いほど負担が重い消費税の増税は,若年層に深刻な影響を与えます。消費税増税が財源では「子育て支援」にはなりません。 大企業減税や無駄遣いを続けながら国民に負担を求めるというのでは,若者や女性の結婚・子育ての希望と現実との「乖離」は,いっそう広がらざるをえないでしょう。
Feb 20, 2008
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政府の「『子どもと家族を応援する日本』重点戦略」のふたつめの柱は,「包括的な次世代育成支援の枠組みの構築」です。 国民が希望する結婚・出産・子育てを支える社会的な基盤構築のための3つの枠組みが必要としています。『仕事と子育ての両立支援』,『健やかな育成を支える対個人給付・サービス』,『健やかな育成の基盤となる地域の取り組み』です。 メニューには,育児休業,保育・放課後児童クラブ,就労・非就労にかかわりない預かりサービス支援などが並んでいます。 しかし,政府の規制改革会議「第二次答申」(2007年12月25日)をみると,「枠組み構築」の中心が保育制度の改変であることがいっそう明確になります。 「第二次答申」はこういっています。 「児童福祉法の改正により保育の実施が保護者からの申込みを前提とすることとなったとは言え,旧態依然とした『措置』の発想の下,官が保育サービスを配給するという実態に変わりはなく,現行の保育制度を抜本的に改革し,多様なニーズに応える様々な子育て支援サービスを多面的に拡充していくことこそが重要であると考える」 そして保育所と利用者の間での「直接契約方式」などの導入を,今後の包括的な次世代育成支援の枠組みの構築のなかで検討すべきといっています。 政府は,1997年の児童福祉法の改悪で国と自治体の責任をしめす「措置」という言葉をなくしました。これは,国や自治体の責任で保育をおこなうという制度の根幹を切り崩そうとするものでした。 しかし,国民のたたかいによって保育所入所への市町村の関与を取り払うことはできませんでした。 父母と園との「直接契約方式」の導入は,安全,安心の保育を保障する国と自治体の責任をなげすてるものです。「重点戦略」「第二次答申」が強調している認定子ども園制度にはすでに直接契約方式が導入されています。 また,「第二次答申」は園児1人あたりの保育士や面積・園庭などを定めた「最低基準」の見直しもかかげています。 その先例としているのが東京都の認証保育制度です。 この制度は国の最低基準を引き下げ,直接契約制度もとっています。高い保育料,狭い施設,無資格者の施設長がいるなど,保育の質の低下をまねき,営利企業の参入優先だという批判の声がひろがっているものです。 なぜこんなことをやろうとしているのでしょうか。 背景にあるのは財界の要求です。日本経団連は,一貫して保育への企業参入と事業拡大のために自治体の関与をなくし,「直接契約方式」の導入をもとめてきました。 最近の提言では,東京の認証保育所を参考にした保育料の設定,施設整備をすすめる民間事業者への財政支援,面積基準や保育従業職員の資格基準の緩和,駅前保育を設置しやすくするための容積率の規制緩和や保育事業者への賃料補助などをかかげています。 財界は,これらが女性労働力の活用戦略のために必要だといっています。労働力確保のための保育所づくりを企業参入,事業拡大の方向ですすめようとしているのです。 全国保育団体連絡会などがすすめる“国と自治体の責任による保育制度の堅持・拡充”“直接入所方式の導入反対”などの国会請願署名は毎年約200万人分よせられています。2006年には衆参両院で請願採択されています。 また,世界では,「保育の権利」の法律への明記,保育料の無料化など公的な保育の拡充と質の向上が大きな流れになっています(OECD=経済協力開発機構「乳幼児期の教育と保育に関する調査報告書」2001年)。 「重点戦略」「第二次答申」の方向は,国民の願いにも世界の流れにも逆行しています。
Feb 19, 2008
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セルビア共和国南部のコソボ自治州議会は2月17日,セルビアからの一方的な独立宣言を採択しました。セルビアは同日,これを承認しない態度を表明。米欧主要国は独立承認の立場ですが,ロシアは不承認,中国は拙速な動きに憂慮を表明するなど国際社会の対応は割れています。 コソボ独立の「後見役」を務める欧州連合(EU)内でも少数民族を抱えた諸国は分離独立運動を煽りかねないと慎重姿勢をとり,対応は一枚岩ではありません。 コソボ自治州議会でサチ首相は,「独立した主権国家となることを宣言する。民主的世俗的な多民族国家となる」と宣言を読み上げました。 議会後の記者会見で,セイディウ大統領は「すべての国に対し,独立の承認と,外交関係締結を求める」と要請しました。 同日夜には州政府主催の祝賀コンサートが開かれ,大勢の市民が街頭に繰り出しました。同じアルバニア系国家の隣国アルバニア国旗や,一貫して独立を支持したアメリカの旗が振られました。 一方,セルビアのコシュトニツァ首相は,コソボ自治州の独立宣言採択直後,テレビ演説でコソボを「偽国家」とし,「アメリカによる破壊的で残酷,非道徳的な政策の結果だ」,「アメリカは自国の軍事的利益のために国際秩序を破壊しようとしている」とアメリカを非難しました。 タディッチ大統領も「コソボ当局による今回の行為を無効にするため,セルビアはあらゆる平和的,外交的,法的手段で対応する」との声明を発表しました。 セルビアでは抗議デモが相次ぎ,首都ベオグラードでは2月17日夜,アメリカ大使館前にデモ隊が押し寄せ,「コソボはセルビアの一部だ」と叫び投石しました。 コソボ内のセルビア系住民地域ミトロビツァでも国連施設近くに手榴弾が投げ込まれました。 コソボとセルビアは,コソボ独立をめぐる見解で対立しています。 セルビアは国連安保理決議を根拠にコソボ独立を国際法違反としています。1999年に,コソボの人口の90%を占めるアルバニア系住民と,セルビア系住民,当時のユーゴスラビア政府(現セルビア政府)が武力衝突。介入した北大西洋条約機構(NATO)軍がユーゴスラビア全域を空爆しコソボを占領しました。 国連安保理は戦争終結の際に,決議1244を採択。 決議はコソボへの国際部隊の派遣や国連の国際文民派遣団の暫定統治機構設置などを決めました。国連暫定統治のもとで「実体ある自治権と自治政府の確立」と「ユーゴスラビア(現セルビア)の主権と領土保全」を確認しています。 決議はまた,「コソボの将来の地位を決める政治プロセス」の促進をうたっていましたが,国連安保理ではこの後,コソボの最終的地位についての決議はありません。今のところ,国際法上はこの決議がコソボの国際的地位を示しています。 これに対し,コソボ側が独立で依拠するのが,「国連特使案を基にしたコソボ独立を承認する国は100国を超えるだろう」(サチ首相)という欧米を中心とした国際的潮流です。 2005年から始まったコソボ最終地位確定交渉の中で2007年2月に提案されたアハティサーリ国連特使案が「大多数の国際的合意がある」(サチ首相)としています。 アハティサーリ案は,「民族戦争の後でもとにはもどれない」,「終わりのない交渉に終止符を打つべきだ」との欧米の意向を受けたもの。同案ではコソボの独立を認める一方で,セルビア系などの少数民族の権利を保障。 国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)に代わって欧州連合(EU)代表が国際文民代表(ICR)となってしばらく,コソボの政治的な最終決定権をもつとしています。 コソボ側は,アルバニア系が90%の多数を占める同自治州で,住民投票や大統領・議会選挙で独立の意思を度々確認してきたことも独立の根拠としています。 今回の独立宣言の背景がどうなるのか,独立宣言のよって紛争が再び起きるのか,目を離せない状況が続きそうです。
Feb 19, 2008
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“大企業が競争力を強めれば,やがて利益が家計にもしたたり落ちて国民が潤う”という,政府の「シナリオ」がゆきづまっています。 昨年10月-12月のGDP(国内総生産)速報によると,企業の輸出と設備投資は,いずれも実質12.1%増と好調です。しかし,雇用者報酬は前期から連続で伸び率ゼロ,家計消費は0.8%増にとどまり,依然として低迷が続いています。 10億円以上の資本金を持つ大企業が5年連続で増益,4年連続で過去最高益を更新しています。昨年度の経常利益は,バブル期の最高益の1.7倍にも達するほどです。 政府の言う通りなら,とっくの昔に家計に波及しているはずです。ところが実際には,昨年の1人当たり賃金はマイナスに転落,雇用者報酬の総額は10年前の1997年と比べて15.6兆円も減少しました。 とうとう政府の月例経済報告も,企業の好調が「家計部門へ波及」するという「見込み」を,昨年12月から削除せざるを得なくなっています。 大田弘子経済財政相は今国会の経済演説で,「この間に,企業の体質は格段に強化」されたものの「賃金上昇に結び付かず,家計への波及が遅れている」と認めています。 国内経済を安定した発展軌道に乗せるには,企業が生み出したモノやサービスを消費する家計の元気の回復が不可欠です。2007年版「経済白書」も,企業部門の好調が「家計所得の増加へと波及すれば景気の持続力が維持される」と述べています。 言い換えれば「家計への波及」は政府の成長シナリオを成立させる絶対条件です。それを口にできなくなったことは,成長シナリオそのものが頓挫したことを示すものです。 大田経財相は「もはや日本は『経済は一流』と呼ばれるような状況ではなくなった」と述べました。大田氏が問題にしているのは日本の1人当たりGDPの順位が下がったことにすぎず,「改革の続行」による成長力の強化を訴えています。 うまくいかないのは「構造改革」が足りないからだという従来路線の延長では,同じ失敗を繰り返すだけです。 GDPが大きいから一流という発想は時代遅れです。 国の経済の最大の目的は国民のくらしを支えることにあります。それができずに貧困を蔓延させる経済は,いくら規模が大きくても一流であるはずがありません。 財界と政府・与党が進めた「構造改革」は大企業の目先の競争力を強めるために派遣労働を自由化し,労働分配率を急降下させてきました。 野党議員が衆議院予算委員会でとりあげたように,キヤノンの大分工場や滋賀・長浜工場では,労働者の半分以上が派遣・請負です。労働者を犠牲にして,働く貧困層「ワーキングプア」を増大させることで,キヤノンは過去最高の利益をあげています。 こんなやり方が破壊したのは雇用と賃金だけではありません。 日本経済の最大の財産である勤労・勤勉な労働者を痛めつけ,職業能力を高める機会を奪い,技術の継承を妨げていることです。 社会保障の切り捨て,大企業に減税する一方で庶民に増税する政治が貧困に追い打ちをかけています。頓挫したのは,国民を犠牲にして大企業を応援する逆立ちした経済政策,「構造改革」にほかなりません。 軸足の置き所が間違っています。大企業から家計・国民に,経済政策の軸足を大胆に転換するときです。
Feb 18, 2008
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2月10日に発生した沖縄・女子中学生暴行事件の加害アメリカ兵が基地外に居住し自宅に被害者を連れ込んだりしたことから,基地外に居住するアメリカ兵の対策が焦点になってきました。 高村正彦外相は2月15日の定例会見で,基地外に居住するアメリカ兵の犯罪防止策に言及しましたが,アメリカ兵・軍属の外国人登録を免除する日米地位協定(別項)の特権的条項が障害になっています。 在日米軍は基地内に居住するアメリカ兵の夜間外出を制限する「リバティ・カード」制度などを設けていますが,基地外に住むアメリカ兵・軍属や家族は野放しです。 2007年7月に神奈川・横須賀市内で発生したアメリカ兵による女性傷害事件も加害アメリカ兵の賃貸アパートで発生しました。 しかし,政府や自治体は基地外に居住するアメリカ兵の人数や居住地などの実態をつかんでいません。アメリカ軍関係者は,日米地位協定で,外国人登録法に基づく住民登録を免除されているからです。 米軍基地を抱える自治体が基地外に居住するアメリカ兵の数をアメリカ側に照会しても,ほとんどの場合は地位協定をたてに,公表を拒否されています。このため自治体は防犯対策に苦慮しています。 政府も「実態を十分に把握していない」(岸田文雄沖縄・北方担当相,2月15日)のが実情です。 米軍準機関紙「星条旗」によると,基地外に住むアメリカ兵の数は2006年で8,595人。在日アメリカ軍の兵力約48,000人の約18%にあたります。軍属や家族を加えると,これを大きく上回ります。 沖縄県はこのほど,在日米軍沖縄調整事務所から提供された情報として,県内でアメリカ軍用に登録された住宅が6,098件,契約済みが5,107件だと公表しました。ただ,各軍の比率や市町村ごとの分布状況などは分かりません。 本土でも同じような状態です。在日米海軍司令部が2003年9月,神奈川県内のアメリカ海軍用賃貸住宅は2,816戸だと公表したのが,最近では唯一の数字です。 2006年6月,青森県つがる市の航空自衛隊車力基地にアメリカ軍Xバンドレーダーが配備されたのに伴い,約100人のアメリカ兵・軍属が配備されました。アメリカ空軍三沢基地が青森県三沢市内の業者と契約して,つがる市内に民間軍事会社の警備員用のプレハブ住宅を建設しましたが,これについても市当局は実態をつかむことができません。 今回の事件でアメリカ兵が女子中学生と最初に接触したのは沖縄市の繁華街でした。同市は2月15日,沖縄防衛局に対して,基地外に居住するアメリカ軍関係者に関する情報を提供するよう要請しました。 沖縄県北谷町では町職員が一軒一軒を歩き,全世帯の約15%にあたる約1,200世帯がアメリカ軍関係だとの推計を出しました。 在日米軍用の住宅は基地内の官舎と基地外の民間賃貸住宅に区分され,両者の比率は4対1とされています。日本政府は,アメリカ軍「思いやり予算」で基地内に住宅を提供していますが,基地外の住宅の場合,アメリカ軍当局が直接,業者と契約を結びます。 基地外に居住するアメリカ兵・軍属には,「海外居住手当」(OHA)という制度に基づきアメリカ政府が家賃の大部分を補助します。 住宅不足に悩む在日アメリカ海軍は,アメリカ軍がアパートなどを一括して借り上げてアメリカ軍専用住宅にする「賃貸住宅提携プログラム」を進めています。 長崎県佐世保市の場合,すでに家族用5棟,独身用1棟が建設済みで,「事実上の米軍基地」との指摘も出ています。 政府は「今回の事件で地位協定の問題は生じない」として,見直しを否定しています。しかし,パスポートもビザもなしに入国し,外国人登録も免除されるという特権が今回の事件の背景にあります。 この点だけからも,地位協定の見直しはやはり不可欠です。【参考】日米地位協定 1960年の現行日米安保条約発効に伴い,アメリカ軍のさまざまな特権を定めた協定。 アメリカ兵が犯罪を起こしても,公務中であれば第一次裁判権はアメリカ側にあるため,事件・事故が起こるたびに改定要求が出ています。 今回の事件に関連するのは同協定第九条2項で,「合衆国軍隊の構成員は…外国人の登録及び管理に関する日本国の法令の適用から除外される」となっています。
Feb 18, 2008
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労働者派遣法の見直しにむけた厚生労働省の研究会(「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」)が検討を始めました。非人間的な日雇い派遣や違法派遣の横行など,派遣制度の検討に,行政としても乗り出さざるを得なくなったものです。 相次ぐ規制緩和の結果,現行の労働者派遣法は,まじめに働いてもまともな生活ができない「ワーキングプア」を生み,貧困と格差を広げて,重大な社会問題の原因となっています。 研究会の結論を待つまでもなく,派遣法を見直し,派遣労働者を保護する法律に抜本改正することは,政治にとって最優先の課題です。 派遣法の抜本改正が必要なことは,派遣労働者の切実な訴えだけでなく,この間の国会質問や政府の答弁でも,明らかになっています。 とりわけ野党議員が2月8日の衆議院予算委員会で,労働者をモノのように使い捨てる「日雇い」派遣の実態や,派遣労働を常用労働の代替にはしないという政府の約束に反してキヤノンなどの名だたる大企業が常用労働者を減らし派遣や請負を増やしている動かぬ実態を突きつけて政府に迫ったのに対し,福田康夫首相も,「日雇い派遣という形は決して好ましいものではない」「(派遣は)臨時的・一時的な制度として位置づけている」などと答えざるを得ませんでした。 福田首相の答弁が真実なら,政府は少なくとも日雇い派遣の禁止だけでも,ただちに踏み出すべきです。 とりわけ重大なのは,先の野党議員が派遣など非正規雇用を拡大していては長期的に日本経済は持続拡大できないというILO(国際労働機関)の指摘を取り上げ,「こんな社会にしてしまっていいのか」と迫ったのに対し,福田首相が,「決して好ましいものではない」と言明したことです。 首相も認めるような異常な状態を放置しつづけることは許されません。派遣法の抜本改正は文字通り待ったなしの政治の責任です。 いまや派遣労働者は全国で321万人に達しています。働く者の3人に1人が派遣など非正規で占められ,青年や女性は働く人の2人に1人が非正規という異常きわまる実態です。 派遣会社に登録し,仕事のあるときだけ雇用されるという「登録型派遣」,「日雇い派遣」の労働者だけでも234万人に及びます。 若者をはじめ,多くの働く人たちが人間らしく働ける場を保障するために,派遣法を抜本改正し,派遣や請負,パートなど非正規の労働者を減らして正規労働を拡大していくことは,緊急の課題です。 今度の国会では各党も派遣法改正問題を取り上げており,派遣法改正は大きな国民世論となってきました。 派遣法の改正は日本の経済や将来にとっても欠かすことができません。研究会に丸投げせず,派遣法の抜本的改正に一刻も早く踏みだすべきです。それこそ政治の責任です。
Feb 17, 2008
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東京都の石原慎太郎知事は2月15日の記者会見で,都が1,000億円の税金を出資した新銀行東京(本店・東京都千代田区,津島隆一代表執行役)に新たに追加出資を行う考えを明らかにしました。 追加出資の規模は数百億円にのぼるとみられます。 同行は石原知事の肝いりで2005年4月に開業し,2007年9月中間期の決算で累積損失が936億円に達するなど破たん状態にあります。追加出資について石原知事はこれまで「考えていない」と述べてきました。 この日の記者会見で,石原知事は「最終的にしかるべき報告を受けたうえで結論を出し,まず議会にはかりたい」と述べ,2月20日開会の都議会第一回定例会に提案することを言明しました。 知事はさらに,トヨタ自動車出身の仁司泰正氏ら開業当時の旧経営陣(昨年6月更迭)について,「ちょっと常識から外れた運営がなされていた」と表明。 記者団から自身の任命責任を問われると,「経団連の重鎮から推薦を受け,安心して引き受けた。日本を代表する経済界の推薦を,私たち信用して引き受けざるを得ない」と責任を転嫁しました。 石原慎太郎東京都知事が2月15日に表明した新銀行東京(代表執行役・津島隆一前都港湾局長)への追加出資は,「税金をどぶに捨てるような愚挙だ」,「石原知事は責任をとるべきだ」と大きな批判につつまれています。 新銀行東京の岡田至執行役(東京都派遣)は2月15日午後,「取締役会では,(追加融資については)何も決まっていない」と言明。一部役員が取締役会にも諮らず,石原知事サイドに追加出資を打診していた疑いが明るみにでました。 都が,再建の見通しがない新銀行に数百億円を追加出資することは,まさしく無謀な計画です。それに加え,石原知事が何度も「追加出資はしない」と言明してきた言を翻したことにも,不信の声が募るのは当然です。 新銀行は,石原知事のトップダウンで,都が1,000億円を出資し,2005年4月に開業しました。開業2年目の2007年3月期決算で547億円の単年度赤字をだし,決算書も「継続企業の前提に重要な疑義が存在」と,経営破たん状態を認めているほどです。 経営不振の責任をとって,昨年6月に代表執行役の仁司泰正氏(トヨタ自動車出身)が引責辞任,後任の森田徹氏(りそな銀行出身)は同11月に病気を理由に辞任,津島隆一氏(前東京都港湾局長)が後任に就任し,1年間で3人も交代する混迷ぶりです。 昨年6月に経営再建策(新中期計画)を策定したにもかかわらず,同9月中間決算では累積損失が936億円にふくれあがり,都出資分の90%が棄損する状態です。 その経営再建策も,1年経たないうちに撤回に追い込まれ,追加出資を要請するというずさんさです。経営再建初年度にあたる2008年3月期決算の前に,追加出資を求めるというのも,道理が通りません。 新銀行への出資予算を審議した2004年3月都議会。出資を取りやめるよう迫った日本共産党の木村陽治都議(当時)に対し,石原知事は「今回出資する1,000億円が,やがては数兆の値になると信じております」(3月2日)と答弁していました。 追加出資にいたるこの間の経過を見れば,まさしく大言壮語の見本です。 石原知事は「中小企業を支援する」とのふれこみで新銀行を設立したものの,中小企業への融資比率は2005年9月の97.5%から,2007年9月には47.2%と大きく後退。中小企業支援の名目すら放棄しています。 2月20日に開会する都議会第一回定例会では,2008年度予算案やオリンピック招致とともに,新銀行への増資案が焦点となります。 石原知事が編成した都予算案(一般会計6兆8,560億円)は,豊富な財源をオリンピック東京招致事業や大型開発優先とためこみに使い,くらし,教育,中小企業など都民支援策は抑え込みました。 貧困と格差拡大でくらし応援の予算が自治体に求められるなか,無謀な新銀行への支援に都民の批判が広がることは必至です。 新銀行への追加出資方針に,1,000億円出資に賛成した都議会与党にも動揺が走りました。ある与党都議は「1,000億円は税金をドブに捨てたようなものだ。有権者に説明ができない」と困り果てた様子です。 新銀行東京に一貫して反対してきた日本共産党都議団の提言は明快でした。2月13日には,(1) いかなる追加出資も行わない,(2) 直ちに第三者機関を設置し,破たん処理に踏み出す,(3) 知事の責任を明確にするとともに,今後の処理方針を都民と議会に全面的に説明する-ことを,石原知事に申し入れました。 巨額のむだ遣いをすすめてきた石原知事と,「夢とロマンの持てるような新銀行だ」などといって後押ししてきた自民党,民主党,公明党の責任は重大です。 石原知事は新たな支援策はやめ,責任をとって無謀な銀行経営から直ちに手を引くべきです。【参考】新銀行東京 石原慎太郎東京都知事が2003年の知事選で設立を公約。都が1,000億円を出資し2004年4月に設立,2005年4月に開業。民間企業の出資は,日立製作所,オリックス,鹿島,大成建設など約187億円。赤字決算が続き,2007年9月中間決算で,累積赤字が936億円に膨らみ,破たん状態に陥りました。
Feb 16, 2008
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政府の「『子どもと家族を応援する日本』重点戦略」の柱のひとつ,「仕事と生活の調和の実現」とは,どのようなものなのでしょうか。 中心にすえられているのは,日本経団連の奥田前会長や連合高木会長らも加わった「ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議」が策定した「仕事と生活の調和憲章」と「行動指針」です。 「憲章」は,仕事と生活の調和の必要性や国・自治体と企業,労働者,国民が果たすべき役割を示したものであり,「指針」は施策の方針とされています。 「憲章」は,めざすべき社会を,「就労による経済的自立が可能な社会」,「健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会」,「多様な働き方・生き方が選択できる社会」としています。 「指針」には,この3つの枠組みを推進するうえでの数値目標として,女性の就業率の引き上げをはじめ,フリーターの数を2/3に減少,週60時間以上の長時間労働の半減,有給休暇の完全取得,男性の育児休業取得率を10%に,などがならんでいます。 めざす社会と数値目標を実現する方向はどう示しているでしょうか。 「重点戦略」は,くり返し「個々の企業の実情に合った効果的な進め方を労使で話し合い,自主的に」取り組むことが基本だと強調しています。そして企業と労働者には,「協調して生産性の向上に努めつつ」意識改革に自主的に取り組むこと,国民には,「一人ひとりが自ら」仕事と生活の調和を考えることを求めています。 国は,「国民運動を通じた機運の醸成」や支援をおこなうとされています。 結局ここでいう「仕事と生活の調和の実現」は,労使が協調してもっと生産性をあげる努力をすることを前提とした,労働者・国民の意識改革の問題だというのです。 ここには労働時間規制をはじめ,政府の責任で雇用ルールを強化するという,ヨーロッパ諸国や国際条約で当たり前となっていることさえでてきません。 これでは数値目標をかかげても,実現の展望はみえてきません。 長時間労働の問題でも,残業する理由のトップは「そもそも所定内労働時間内では片付かない仕事量だから」(2006年)です。残業時間の規制など企業への規制をさけ,自主性や意識改革を迫るだけでは,いっそうの労働強化と隠れ残業をひろげるだけです。 「重点戦略」は「就労による経済的自立」をいいますが,働いても年収200万円以下の人が1,000万人を超えているように,自立したくてもできないのが現状です。 最低賃金を少なくとも1,000円以上に引き上げ,パート・派遣の均等待遇の確立,非正規への置き換えに歯止めをかけるなど雇用の安定をはかることなしには,経済的自立が可能な社会はできません。 財界は「仕事と生活の調和」のためとして,8時間労働制の規制をなくすホワイトカラー・エグゼンプション導入を主張しています。昨年国民の大きな反対をうけ見送りになっていますが,あくまで導入しようとしています。 これまで以上に長時間働く正社員を核にしながら,子育て中の女性や青年,高齢者を,低賃金でいつでも取り換え可能な労働力として活用し,企業の都合のいいように組み合わせて使おうというのです。 企業に都合のよい「仕事と生活の調和」ではなく,労働時間規制やダブルワークをしないでも暮らせる賃金の保障など人間らしい働き方の実現こそがもとめられています。
Feb 15, 2008
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在日米軍司令部(東京都福生市)のライト司令官は2月12日,沖縄の少女暴行事件について「性的暴行」であると断定し,「きわめて遺憾」「兵士に対する教育や再発防止のための包括的な施策を進める」とのコメントを発表しました。 米兵事件に関連して,同司令官がコメントを出すのは2006年1月に神奈川県横須賀市で発生した女性殺人事件以来です。 しかし,米軍準機関紙「星条旗」(電子版)の2月10日付には,同司令官が先月,「われわれは最高水準の職業意識を維持し,この挑戦を行ってきた」と述べ,警察当局の統計で米兵犯罪が減少傾向にあることにお墨付きを与えたコメントが掲載されています。彼らの危機感の程度がうかがえます。 この間の米兵検挙数は2004年から2006年まで3年連続でわずかに減少しています。ただ,この時期はイラク・アフガニスタンへの派兵が相次いでおり,米兵そのものの数が減っていました。 米兵犯罪の総数では,沖縄復帰の1972年以後,全国で7,000件,沖縄だけで5,000件を超える犯罪が発生しており,その10%以上は殺人や暴行などの凶悪犯罪です。 また,今回のような女性暴行事件の場合,公になったものは氷山の一角と言われています。
Feb 14, 2008
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昨年末政府は,少子化対策の報告書「『子どもと家族を応援する日本』重点戦略」を発表しました。このあらたな「少子化対策」は何をうちだしたのでしょうか。 政府は,これまで幾度も「少子化対策」をうちだしてきました。しかし少子化に歯止めがかかりません。2007年の出生数は前年比3,000人減の109万人にとどまり,過去最低の2005年につぐ2番目の少なさです。 今回の「重点戦略」は「とりわけ労働力人口の急速な減少に対応」するという視点を中心にすえています。少子化の進行にともなう人口と労働力人口の急速な減少が,日本経済に重大な影響を与えるとの政府・財界の危機感が背景にあります。 厚生労働省の研究会の試算によれば,労働力人口が2030年に,2006年比で1,000万人以上減少するとされています。 日本経団連も2008年版「経営労働政策委員会報告」で,「趨勢的に人口が減少していく以上,老若男女すべての人々の力を最大限に引き出し,わが国経済社会の活力の維持・向上につなげていく」ことを求めています。 「重点戦略」はこれらをふまえ,「若者,女性,高齢者等の労働市場参加」,とりわけ子育て中の女性を中心とした労働力確保を位置づけたのです。数値目標として,10年後までに25歳-44歳の女性就業率を4%-7%引き上げ,第一子出産前後の女性の継続就業率を7%上げることなどもかかげました。 今後の方向では,国民の希望する結婚や出産との「大きな乖離」をなくすために,「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現」と「包括的な次世代育成支援の枠組みの構築」を“車の両輪”として取り組むとしています。 日本では,第一子の出産で70%の女性が離職するなど,世界でもきわだって子育て期の女性の就業率が低い事態にあります。これを改善して女性が働き続けられるようにすることは急務です。少子化の改善や男女平等の前進にとっても不可欠です。 「重点戦略」は,希望する結婚や出産との「乖離」の原因について,経済的基盤,将来の見通しや子育てと仕事の両立,育児不安,教育費負担などの問題点を列挙しています。 しかし,なぜそうした事態になったのかは示していません。 こうした「乖離」を生み出し,事態を深刻化させたのは,政府自身が不安定雇用の拡大や女性の残業・深夜労働規制の撤廃などの雇用ルールを破壊してきたからです。 さらに教育・社会保障を切り捨て,公的責任での保育所づくりの抑制などをすすめてきたことにあります。財界・大企業の求める「規制緩和」「構造改革」路線にこそ原因があります。 このおおもとを転換することなく,今度は労働力が不足するからと,財界・大企業の求めに応じて“女性,若者,高齢者の活用”を急ぐというのでは,国民の望む結婚と子育ての実現の方向からますます離れてゆくばかりです。
Feb 14, 2008
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「日米同盟の根幹にかかわる」(石破茂防衛相)「沖縄の皆さんの心を逆なでする事件で許しがたい」(渡辺喜美金融担当相) 沖縄のアメリカ海兵隊員による少女暴行事件で2月12日,閣僚による遺憾の意が相次ぎました。在日米軍再編の中核である米海兵隊キャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)への新基地建設に,「影響がないということはありえない」(高村正彦外相)からです。 1995年9月,アメリカ兵3人による少女暴行事件が発生して,長年のアメリカ兵犯罪に苦しむ沖縄県民の怒りが爆発しました。アメリカ兵を特権的に保護した日米地位協定の抜本改正と米軍基地の整理・縮小を求めて90,000人の県民大会が開かれるまでに抗議の声が広がりました。 しかし,日米両政府は,地位協定の抜本改正には背を向け,「運用改善」でお茶を濁したうえ,新たな基地強化にのりだしました。 「基地負担の軽減」を口実としたSACO【沖縄に関する日米特別行動委員会)最終報告(1996年)では,アメリカ海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる新基地をシュワブ沖合に建設することで合意。当初の計画は失敗に終わりましたが,現在も「在日米軍再編」を口実に新たな名護新基地計画を狙っています。 この新基地計画にも圧倒的多数の県民は反対しています。基地ある限り,アメリカ軍による事件・事故はなくならないことを,みずからの経験で知っているからです。 今回の事件の直近に限っても,普天間基地所属のアメリカ兵によるタクシー強盗(今年1月),アメリカ兵の息子による女性暴行(昨年10月)など凶悪犯罪が続いています。 2006年1月に神奈川県横須賀市で発生したアメリカ兵による女性殺人事件の後,在日米軍司令部は「日米同盟の重大な試練」(ライト司令官)との認識を示し,「綱紀粛正」策をアピールしました。 しかし,彼らが進める方策が何の実効性も持たないことが,今回改めて証明されました。それにもかかわらず,政府の対応はアメリカ側への「綱紀粛正・再発防止」の要請にとどまっています。 「負担軽減」を口実にした基地の強化・たらい回し路線を転換し,米軍基地の本格的な縮小・撤去に踏み出さない限り,植民地のような現実をなくすことはできません。 ところが町村信孝官房長官は2月12日,2月10日の岩国市長選を受けて「米軍再編が着実に進む環境が整い,歓迎している」と述べるなど,米軍基地強化につながる「在日米軍再編」を推進しようとしています。 国民の生命と安全よりアメリカ・アメリカ軍を優先させる姿勢では,アメリカ軍犯罪をなくすことはできません。
Feb 13, 2008
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ブッシュ政権が2月4日,議会へ提出した2009会計年度(2008年10月-2009年9月)の予算教書は,核兵器関連予算として約104億ドル(約1兆1,100億円)を要求しました。 「老朽化」した核弾頭を改良するという「信頼できる交代用核弾頭」(RRW)計画には約1,000万ドルを計上。前年度要求額の11.3%にとどまりました。しかしブッシュ政権は同計画を推進することも含め,核兵器を手放さない姿勢を強調しています。 予算教書は,エネルギー省予算のうち,核兵器の開発や管理を行う国家核安全保障局(NNSA)に90億9,700万ドル,その他の国防活動として13億1,300万ドルをあてました。 合計104億1,000万ドルは前年度(見通し)の95億6,500万ドルを上回っています。 NNSAが現在推し進めているRRW計画は,1960年代に製造され「老朽化」した核弾頭を「信頼性の高い」ものと交換するというもの。核弾頭を改良することから,事実上の新型核兵器の開発となります。 前年度は同計画に8,880万ドルを要求。ところが議会は,核兵器とその製造施設の縮小方針を示すまで予算を認めないとして,この予算を全額削除しました。 にもかかわらず,ブッシュ政権は今回,同計画に予算を計上したうえ,核弾頭の主要な構成部分となるプルトニウム・ピットを製造する工場の建設費用として1億ドルを新たに要求しました。 NNSAのダゴスティノ局長は2月7日,ジュネーブで開会中の国連軍縮会議で演説しました。アメリカが「軍縮」をすすめ,保有する核弾頭が1950年代以来,最低になっていることを強調。 同時にアメリカの核戦力が同盟国の安全を保障するとともに,核兵器の拡散や核軍拡競争を予防しているなどと述べ,アメリカが「信頼できる核戦力」を保有し続けることが必要だと述べました。 新型核兵器の開発を進めるブッシュ政権の姿勢について,RRW計画の廃止を議会に働きかけてきた反核グループの代表デビン・ヘルフリッチ氏はブログで「この政権はメッセージを理解していない。議会も国民も新たな核兵器はいらないといっている」と批判しています。 しかし,誰のための,何のために国民の税金を使ってまで核兵器が必要なのか,私には未だに明確な答えが見えてきません。
Feb 13, 2008
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憲法九条と響きあう「戦争放棄」の流れが世界に広がっています。 東南アジア友好協力条約(TAC)です。5ヶ国でスタートした同条約にはいま24ヶ国が加入。ユーラシア全体を覆いつつあります。TACはどういう歴史をへて誕生し,どうやって平和を作り出そうとしているのでしょうか。 TACは1976年に,「世界の平和,安定,調和をいっそう促進するために,東南アジアの内外のすべての平和愛好国との協力が必要」(前文)という考えから結ばれました。当初の加入国はインドネシア,マレーシア,フィリピン,シンガポール,タイの5ヶ国です。 条約の最大の特徴は,「武力による威嚇または行使の放棄」や「紛争の平和的手段による解決」,つまり戦争放棄を定めた日本国憲法と共通する目標を明記していることです。 加入国間で争いが起きたら,「武力による威嚇や武力の行使を慎み,常に加入国間で友好的な交渉を通じて,その紛争を解決する」と定めています。当事国だけで解決することが難しい場合は,加入国の閣僚級代表でつくる理事会が仲介することも明記されています。 国連憲章の諸原則,バンドン会議(1955年)の平和10原則,東南アジア諸国連合(ASEAN)設立宣言,「平和・自由・中立地帯(ZOPFAN)宣言」を再確認し,加盟国間の永遠の平和と経済,社会,文化などでの協力をめざしています。 2005年から3回,「東アジアにおける平和,安定及び経済的繁栄を促進することを目的とした対話フォーラム」で共同体形成をめざす東アジア首脳会議が開かれており,TAC加入が参加条件です。 東南アジアの国々が長年にわたり,戦争によって苦しんだことが背景にあります。 1955年にインドネシアのバンドンで,第二次世界大戦後に独立したアジア・アフリカの旧植民地国など29ヶ国が国際会議を開きました。日本も参加しています。 会議が採択した「バンドン10原則」は,国連憲章の原則をふまえ,主権尊重,内政不干渉,紛争の平和的解決,武力行使の放棄が盛り込まれています。欧米の植民地支配や日本の侵略戦争に苦しんだ国々は,自分たちの運命は自分たちで決めることに合意したのです。 TACの精神の原型はここにあります。 ところがバンドン会議後,東南アジアは米国のベトナム侵略戦争に巻き込まれます。アメリカは南ベトナムに親米独裁政権を据えて介入を深めます。南ベトナムではアメリカと独裁政権に対する解放闘争が拡大。アメリカはベトナム北部への空爆や南部でのアメリカの投入など侵略をエスカレートさせました。 こうしたなか,東南アジア条約機構(SEATO)加盟国のタイとフィリピンの米軍基地などが戦争の足場にされました。 ベトナム侵略戦争が続く中で,1967年には,東南アジア諸国連合(ASEAN)が結成されます。ASEANは1971年,「平和・自由・中立地帯(ZOPFAN)宣言」を発表し「中立志向」を明確にしました。 1975年4月,アメリカがベトナム侵略戦争に敗れ,南北ベトナムは統一されました。翌1976年2月,ASEANはインドネシアのバリ島で初めての首脳会議を開き,ベトナムなどインドシナ3ヶ国との友好関係樹立の意思を表明するとともに,TACを締結したのです。 日本は2004年にTACに加入しました。2003年のASEAN首脳会議では加入を拒否しましたが,理由は「相互不可侵を基本とするTACと日米安保条約との整合性がとれないため」でした。 日本が一転してTAC加入を決めた背景には,ASEAN側の不満とともに,日本政府内,経済界の一部からの批判がありました。とりわけ,急速に力を増しつつある中国とインドが加入したことに,日本政府はアジアで取り残されるという危機感を感じていました。 アメリカはTACへの加入申請をしていません。 それでも,2005年11月に韓国・釜山で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で,ブッシュ大統領とASEAN首脳が「ASEANとアメリカのパートナーシップ強化に関する共同ビジョン声明」を発表。アメリカはTACを「地域の平和と安全促進のために国家間の関係を律する行動規範」と認め,「同条約の精神と原則を尊重する」と表明しました。 マレーシアのアブドラ首相は2005年9月の訪米でTAC加入を検討するよう要請。同年12月の東アジア首脳会議では「アメリカもTACに加入すれば首脳会議に参加できる」と呼び掛ける一方で,東アジア共同体はアメリカからの自立の過程と語り,アジア諸国の共同による平和を強調しました。 軍事同盟を結んでいる日本やアメリカも,軍事力偏重の外交ではなくTACの精神を言葉だけでなく実践で生かすことが求められています。 ASEANは,1987年にTAC加入を域外に開放し,1998年に加入手続きを整備しました。加入国は2003年以降に急増しています。2003年3月にアメリカがイラク戦争を強行する一方,東アジアからは平和の共同が広がっていったのです。 理由のひとつは,ASEANが東アジア首脳会議への参加の条件にTAC加入を挙げたことがあります。さらに重要な理由は,TACへの加入で地域の平和と安定を実現しようという意志です。 2007年に加入したフランスは「欧州連合(EU)やASEANのような地域組織間の緊密な協力を通じて,世界の安定を促進したい」と表明。EUもすでに加入を申請しています。 TACは欧州連合(EU)に見られる欧州統合を参考につくられました。ただ,EUは欧州の平和維持を軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)に大きく依存しており,域外の「脅威」に対し集団的に軍事力を行使することもあります。 一方のTACは,域外の「脅威」に集団的に軍事力で対応せず,戦争放棄を決めた条約の加入国を増やしていくことで平和を実現しようとします。 加入国が広がるなかで,中国とベトナムは海域の国境問題を残しながらも,陸上国境問題を対話で解決。インドと中国が数十年にわたる紛争と対立に終止符を打ち,インドとパキスタンは領土問題での深刻な対立を平和的に解決しようと試みています。【参考】TAC加入国ASEAN加盟国10ヶ国のほか,東ティモール,パプアニューギニア,オーストラリア,ニュージーランド,日本,中国,韓国,ロシア,モンゴル,インド,パキスタン,バングラデシュ,スリランカ,フランス。計24ヶ国。人口は37億人で,地球人口の57%に達します。 【参考】東南アジア諸国連合(ASEAN) 1967年,インドネシア,シンガポール,マレーシア,タイ,フィリピンの5ヶ国が「豊かで平和な共同体がつくられる基盤を強化する」(結成宣言)目的で結成。 外国軍基地が域内諸国の民族の独立と自由をくつがえしてはならないと憲章で宣言。加盟国は現在,ブルネイ,ベトナム,カンボジア,ラオス,ミャンマーを加え10ヶ国。【参考】東南アジア条約機構(SEATO) 1954年9月,アメリカ主導で結成された軍事同盟。加盟国はアメリカ,イギリス,フランス,オーストラリア,ニュージーランド,パキスタン,フィリピン,タイの8ヶ国。 フランスがインドシナ(ベトナム,ラオス,カンボジア)侵略戦争で敗退した後,インドシナ半島での民族解放運動を封じ込めるのが当初の目的。1977年に解体。
Feb 12, 2008
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道路整備に使途を限定した道路特定財源のあり方が問われるなか,福田康夫首相は「(使途目的を特定しない)一般財源にできることを私の内閣で初めて法律化し,その金額も昨年より増やそうとしている。後退ではなく前進している」(2月8日の衆議院予算委員会)と述べています。 あたかも一般財源化に取り組むような姿勢をみせつつ,今後10年間も道路特定財源の維持を図ろうとしているのです。 福田内閣は今国会に,ガソリン税などの暫定税率を10年間延長する法案とあわせ,その税収を道路整備費にあてることを原則にする道路整備費財源特例法改定案を提出しています。 同法案では,税収が道路整備費を上回る場合だけ一般財源に回すとしています。福田首相が「私の内閣で初めて法律化」と胸をはっている中身です。 しかし,それは道路特定財源制度を固定することはあっても,一般財源化につながるものではありません。 道路整備費財源特例法改定案は,余った税収を一般財源に回せるとする一方,「道路整備費への未充当相当額については翌年度以降の道路整備費に充当可能なものとして措置」(国土交通省の法案概要)するとしています。 これに関し額賀福志郎財務相は「一般財源化した分は,計算上,次の(年度の道路)財源の一部になる。真に必要な道路財源として使わせていただく」(2月5日の参議院予算委員会)と答弁しています。 同法案には,一般財源化した税収が再び翌年の道路財源になるという“一般財源偽装”のからくりが潜んでいるのです。 一般財源化の“増額”を強調する福田首相ですが,2008年度予算案では,道路特定財源の国費分3兆3,366億円のうち,一般財源化は前年度比約100億円増の1,927億円にすぎません。 使途は依然として道路関連に限定され,しかも「一般財源」の名のもとで将来の道路財源づくりも可能となるのですから,本末転倒です。 「一般財源化」をかさに着て,道路特定財源制度そのものを堅持していく福田内閣の姑息な手法は,小泉,安倍両内閣ゆずりです。 小泉内閣は2002年度予算で自動車重量税の一部,2,247億円を道路以外に回し,「改革の成果だ」と宣伝しましたが,その後の補正予算で3,600億円余の道路整備費を計上したことで帳消しになりました。 2003年度予算では,全額を道路建設目的に逆戻りさせ,高速道路建設にも使えるようにしました。 安倍内閣は2006年末,道路整備費以外の道路関係の使途拡大の費用も含まれる「道路歳出」という言葉を用い,「道路歳出を上回る部分の税収に限って一般財源化する」との内容を閣議決定しました。福田内閣の改定案の国会提出はこの安倍内閣の方針を引き継いだものです。 今日の「車社会」は交通事故,大気汚染をはじめ大きな社会的な負担,コストをもたらしています。自動車に関する税金だからといって道路整備だけに使途を特定する理由はありません。 教育,社会保障を含め自由に使えるようにしてこそ,本当の意味で,前進といえます。
Feb 11, 2008
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中国から輸入された冷凍ギョーザを食べ,混入していた農薬による中毒事件が発生していたことが明らかになってから10日がすぎました。 この間,被害の全体を把握し,原因を突き止めるための調査や捜査が日中両国で行われてきましたが,いまだに全容の解明にはいたっていません。 製造・出荷,流通のどの段階で農薬が混入したのか,それは過失だったのか故意によるものだったのかなど,真相を突き止め対策をとることが,輸入食品についての消費者の信頼回復に不可欠です。 これまでの調査で,農薬の混入は繰り返し行われていた可能性が高いことが明らかになっています。 昨年末からことし初めにかけ兵庫や大阪のスーパーで売られていた冷凍ギョーザと,千葉の生協で売られていた製造日の異なる冷凍ギョーザに混入されていた農薬は,「メタミドホス」という殺虫剤の成分でした。 ところがその後明らかになった,福島の生協で売られていた冷凍ギョーザに混入されていたのは,別の「ジクロルポス」で,溶剤に使われたと見られるベンゼンやトルエンも同時に見つかっていました。 全国各地で冷凍ギョーザを食べ異常を感じたとの訴えが相次いでいます。まだ入院の続いている人もいます。農薬混入は被害の大きさの点でも,極めて重大な問題です。 最初に懸念されたのは材料となる野菜への農薬の残留ですが,検出された成分量が多すぎることから,それは否定されました。日本各地で混入が見つかっていることから,日本に運び込まれてからの混入の可能性も低いとみられています。 農薬は,ギョーザの皮や包装用の袋から見つかっています。ギョーザは食材を皮で包み加熱した後,冷凍され,包装,出荷されていました。その間に農薬が混入した可能性は大きく,徹底して調査されるべきです。 中国の製造工場では,「メタミドホス」も「ジクロルポス」も使われていなかったといわれます。そうなれば,誰かが故意に混入させたのか,事件としての捜査も不可欠です。 問題は農薬がどのように混入したのか,直接の原因を追究すればそれでよしとはなりません。消費者が口にする食品の安全確保は二重三重にというのが原則です。 過失であっても故意であってもなぜ混入が防げなかったのか,被害が繰り返されたのはなぜかについても,当然解明の努力がつくされるべきです。 問題の冷凍ギョーザは,日本の商社「双日」と食品事業を拡大している「JT」(日本たばこ産業)のそれぞれの子会社が企画,中国の企業に製造を委託したものです。今回の事件を通じて明らかになったのは,「双日」も「JT」も満足な検査をおこなわず,監督責任を果たしていなかったことです。 「JT」がスーパーや生協から苦情があっても農薬の検査もしていなかったというのは驚くばかりで,商社や輸入企業などの体制についても解明が不可欠です。 もちろん,国民の安全確保は政府の責任であり,検疫など,輸入食品にたいする政府の検査体制の問題が第一に問われなければならないのは論をまちません。 真相の解明が徹底しておこなわれ,今度のような農薬の混入が二度と繰り返されず,たとえ混入しても消費者に渡ることはないとなってはじめて,安心して口にできます。 そのために手段をつくすべき政府の責任は極めて重いものがあります。
Feb 10, 2008
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読売新聞とイギリスのBBCの調査によれば,経済的格差に不満を感じる人は,日本は83%と,サミット(主要国首脳会議)参加8ヶ国のなかでイタリアの84%に次いで高いという結果が明らかになりました(「読売」2月8日付)。 いま日本経済と国民生活にとってもっとも大事なことは,この貧困と格差を打開し,「底が抜けた」といわれるほど悪化した国民の暮らしを立て直すことです。 根源には,雇用の不安定化,労働の劣悪化があります。なかでも派遣労働の増大は,中核をなす大問題です。 もともと禁止されていた派遣労働が合法化され,「規制緩和」が繰り返されてきた結果,派遣労働者はいまや321万人に上ります。その70%が「日雇い」など登録型派遣で,仕事があるときだけ雇用される不安定で異常な低賃金,しかも危険な労働に従事させられています。 国会では野党議員がその実態を突きつけながら,まず日雇い派遣の禁止を迫りました。 日雇い派遣で深刻なのは,人間を文字通り消耗させる究極の非人間的労働となっていることです。日雇い派遣の労働者が従事しているのは,企業にとってその日限りの業務ではありません。派遣労働の自由化が正社員から仕事を奪い,労働者をモノ扱いする日雇い派遣という働かせ方をつくり出しているのです。 野党議員が繰り返し福田康夫首相の認識をただし,こうした働かせ方が際限なく広がる社会にしていいのかと迫ったのに対し,福田首相も「日雇い派遣は,決して好ましくない」と述べました。 そうであるなら直ちに日雇い派遣を禁止し,安定した仕事へ転換をはかるべきです。 現行派遣法は,グッドウィルなど派遣大手が違法な派遣で摘発されても行政処分しか受けていないように,派遣元企業の保護法にしかなっていません。派遣先企業は,違法な派遣が明らかになっても何の処分もなく,企業名さえ公表されていません。 政府は,派遣労働をすすめる際に「(派遣は)臨時的,一時的なものに限定し,常用雇用の代替にしてはならない」と繰り返し言明しました。しかし実態は,正規雇用が大量の非正規の派遣労働者に取って代えられているのです。 「常用代替防止」のため,派遣先企業は一定期間たてば常用雇用にすることを申し出なければならないのに,実際には短期の雇用契約を繰り返し更新しています。具体的な調査にもとづく先の野党議員の質問に,舛添要一厚生労働相も「法令違反だ。企業に助言,指導する」と答えざるを得ません。 とりわけ,野党議員が,独自に入手した内部資料を示し,「工場まるごと派遣への置き換えであり,これでは派遣工場だ」と追及したキヤノンのケースでは,福田首相も,厚生労働省による実態調査を約束しました。 独自の調査力を発揮し動かぬ証拠を突きつけた野党議員の追及に,政府も無法をかばい切れなかったのです。 先の野党議員は,労働者派遣法を「派遣労働者保護法」に抜本改正するために,違法行為があれば派遣労働者を正社員とみなすことや,「常用代替防止」の明記などを迫りました。 福田首相は国民生活重視を繰り返しています。それが本気なら切実な声に応えるべきです。未来を担う若者の可能性を伸ばし,社会の担い手が成長するためにも,人間らしい雇用のルール確立は急務です。
Feb 9, 2008
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4月実施予定の後期高齢者医療制度の発足にともなう健康診査制度の変更に関連し,厚生労働省は2月7日までに,血圧を下げる薬などを使用している75歳以上を健診の対象から除外するよう,都道府県に指示しました。 75歳以上の高齢者で現在健診を受けている約287万人に深刻な影響を与えるものです。 現在,老人保健法に基づく基本健康診査は,40歳以上を対象に実施しています。しかし,2006年に強行された医療改悪法により,4月から75歳以上は「後期高齢者の健康診査」に切り離されます。 40歳-74歳を対象にした「特定健康診査」は「実施義務」とされましたが,75歳以上は,実施しなくてもいい「努力義務」に格下げされました。 さらに厚生労働省は,2月6日開催した都道府県の担当者会議で,75歳以上の健診対象者を「絞り込む」必要があると説明しました。 具体的には,健診を申し込む75歳以上の人に,(1) 血圧を下げる薬,(2) インスリン注射または血糖を下げる薬,(3) コレステロールを下げる薬,どれかを使用しているかを質問。 ひとつでも該当すれば,「すでに治療中で生活習慣病の必要な検査をしている」とみなし,「実施の必要が薄く,対象者から除いてもらう」と指示しました。 厚生労働省の担当者は「精査をおろそかにすると,受けなくてもいい人まで受けてしまう。費用がかさみ,保険料の上昇につながる」,「厳しい予算の範囲内で効果的効率的な執行を」と強調しました。 74歳までは高血圧の薬を飲んでいても健診できるのに,75歳になったとたんに「健診の必要なし」とされる合理的な理由はありません。薬の服用だけで,「治療している」と機械的に判断することは,他の疾病を見落とす危険があり,早期発見・予防に逆行します。 後期高齢者医療制度の導入を決めた医療改悪法は,「国民の老後における健康の保持」を明記していた老人保健法を廃止し,「医療費の適正化」を中心にすえた「高齢者医療確保法」を新設しました。 健診からの高齢者の排除は,「健康よりも,医療費抑制が大事」という政策転換が,最悪の形で示されたものです。高齢者の健康に直結する健診の改悪は中止すべきです。
Feb 8, 2008
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1954年3月1日,太平洋ビキニ環礁でのアメリカの水爆実験で,第五福竜丸をはじめ多数の日本漁船や周辺住民が甚大な被害を受けてから54年目の「3・1ビキニデー」を迎えます。広島・長崎の体験とともに,国民的な原水爆禁止運動の原点です。 今年のビキニデー集会は,夏の原水爆禁止世界大会,さらに2010年の核不拡散条約(NPT)再検討会議にむけて,核兵器廃絶の運動を大きく発展させる出発点ともなるものです。 2010年再検討会議は,2000年再検討会議で核保有国を含め合意された,核兵器廃絶を達成する「明確な約束」の実行が改めて問われます。前回2005年再検討会議は,アメリカの妨害でまったく前進がなかっただけに,「こんどこそ」という声が政府・自治体レベルでも,反核平和運動からも上がっています。 しかも「テロと大量破壊兵器拡散の脅威」を口実に核兵器使用と先制攻撃の戦略を打ち出し,無法なイラク戦争を強行したブッシュ戦略の誤りや破綻は明白になりました。このようなやり方ではテロも拡散も深刻になるばかりであることは,いまや世界の常識です。 このもとで拡散問題を解決するためにも,核兵器廃絶以外にないという声が強まっています。 昨秋の国連総会で非同盟諸国や核兵器廃絶のために行動する新アジェンダ連合諸国は,2010年再検討会議にむけ,2000年合意の実行を促進する決意を示しました。 総会では核兵器廃絶を要求する諸決議が,ひきつづき圧倒的多数で採択されるとともに,核兵器の即時発射態勢の解除を求める決議が初めて提案,可決されました。 核使用戦略を拡大するアメリカの核兵器がいまも配備されているドイツ,イタリアも賛成し,注目されました。 かつてアメリカの核戦略を推進した元高官の動きも重要です。 昨年1月,「核兵器のない世界」をとの論文を発表したキッシンジャー元国務長官ら4氏は,先月,再度よびかけを発表し,この1年間に内外で共感が大きく広がったことを明らかにしました。 とりわけアメリカ国内では,ケネディ政権から現ブッシュ政権第一期のパウエル国務長官まですべての政権の,国務長官あるいは国防長官や安全保障担当の大統領補佐官など元高官が名を連ね,驚きと歓迎の声が上がっています。 いまこそ,拡散阻止を叫びながら核兵器を振りかざし,拡散の口実を与えるようなことをやめさせ,核兵器廃絶を迫るときです。 このような流れに背を向け,破綻したブッシュ戦略にあくまでも固執するのが日本政府です。 福田政権は,国連では核兵器廃絶交渉の開始を提起する決議には「時期尚早」と棄権する一方,アメリカの先制攻撃と核使用戦略にそった米軍基地再編強化やミサイル防衛計画に全面的に協力しています。 しかし被爆国であり,憲法九条を持つ国にあるまじき行動をとりつづけるなら,世界からも国民からも,いっそう厳しい批判を受けざるをえません。 核兵器廃絶の署名や「非核日本宣言」の運動,原爆症認定集団訴訟,また憲法九条を守れ,基地強化反対など非核平和の国民的な運動をさらに広げることが期待されます。 3・1ビキニデー集会は,これら内外の運動を交流し,新たな前進の契機となることを強く期待します。
Feb 7, 2008
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ブッシュ大統領は2月4日,2009会計年度(2008年10月-2009年9月)の予算教書を議会に提出しました。 ブッシュ政権の任期中最後となる今回の予算教書によると,歳出総額は初めて3兆ドルを突破し,財政赤字は,2009年度および2010年度とも4,000億ドル(約42兆円)前後が見込まれます。過去最大だった2004年度(4,127億ドル)に迫る巨額な赤字です。 8,000億ドル(2006年)を超えた経常収支赤字とともに,アメリカ経済の「双子の赤字」を再び急膨張させることになります。 今回の予算教書の最大の特徴は,大軍拡と金持ち減税,福祉抑制という典型的な新自由主義的経済政策のいっそうの継続・拡大となっていることです。 ブッシュ大統領は,予算教書の説明のなかで,そのポイントを,第一に「最優先事項を国防においたこと」,第二に「不透明な経済に対処するため,経済成長に力点をおいたこと」,第三に「減税を恒久化したこと」の三点を強調しました。 第一の軍事費では,イラクやアフガンでの戦争を長期化させるなかで前年比7%増の5,150億ドル(約55兆円)を計上しています。さらにエネルギー省所管の核兵器関連予算210億ドル(約2兆2,000億円)を加えて,文字通りの大軍拡予算となっています。 第二の「経済成長」という点では,ブッシュ政権は,サブプライムローンの破たんが引き金となった国際的な金融危機,株価の急落,ドル不安などに驚き,1月末に,あわてて低所得者への戻し減税や住宅ローン金利の5年据え置きなどの緊急景気対策を打ち出しました。 今回の予算教書では,先に発表した約1,500億ドル(約16兆円)の減税策などを盛り込んでいますが,同時に,高齢者向け公的医療保険(メディケア)の抑制など福祉・医療・教育などの支出節減によって5年間で2,080億ドルの予算を削るとしています。 これでは,中・低所得者層の消費の拡大という景気刺激にはむしろ逆行することになります。 第三の「減税の恒久化」では,これまで時限措置としておこなってきた金持ち減税(所得税率や遺産税の最高税率引き下げ,有価証券譲渡益税減税)や大企業減税を恒久化しようというものです。 こうした減税は,議会予算局によると,2009年度以降の10年間で累計2兆2,770億ドル(約243兆円)の規模になり,財政赤字の大きな要因となります。 今回の予算教書は,ブッシュ政権が7年間にとり続けてきた新自由主義的な金融政策と財政政策の継続によっては,アメリカ経済の危機に対処することはできず,アメリカ経済をますます不安定なものにし,アメリカ経済を破局に導くものにしかならないことを示しています。 アメリカの経済政策は,ドルが基軸通貨となっているもとでは,アメリカの国内経済だけでなく,世界経済にとっても重要な意味をもっています。アメリカの財政赤字と経常収支赤字の「双子の赤字」が膨張するならば,ドルへの信任の失墜から世界的なドル離れを促進し,さらなる国際金融の混乱,世界経済の後退を招くことは必至です。 新自由主義的な経済財政政策を見直すことは,アメリカにとっても世界にとっても不可欠です。それは日本も同様だといえます。
Feb 6, 2008
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「救急医療の最前線から政府の医療政策の転換を求める声が噴出している」-野党議員が2月4日の参議院予算委員会で行った質問は,いま全国で深刻化している“医療崩壊”の根本を問うものでした。 各地で救急患者の受け入れ先を見つけるのが困難になっているのは,「初期救急」,「二次救急」,「三次救急」から成り立っている救急医療体制が揺らぎつつあるからです。 とくに重大なのは「二次救急」から撤退する病院が増えていることです。野党議員氏がグラフで示した大阪だけでなく,全国の二次救急病院数は2年前に比べ174減少し,3,996になりました(2007年10月時点「朝日」調査=1月14日付)。「毎日」調査(2月4日付)でも,二次救急病院の22%が「2005年1月以降,救急診療を縮小した」,「近く縮小する」と答えています。 こうした結果,「本来二次救急で受け入れるべき患者が三次救急に流れ,『最後のとりで』の救命救急センターがいつも『処置中』か『満床』に近い状態」に陥っているのです。 野党議員は,メスを入れるべき問題として「医師不足」と「病院の経営難」をあげました。 「毎日」調査でも,救急体制縮小の理由のトップは「医師不足」(77%)。1人の当直医師で救急に対応している病院も少なくないことが明らかになっています。医師不足ゆえの過重労働が,さらに救急医療からの医師の撤退を招くという悪循環が起きています。 もともと日本の医師数は,人口1,000人あたり2.0人(2004年)で経済協力開発機構(OECD)加盟30ヶ国中27位というのが実情です。 他の野党議員が1月23日の参議院代表質問で指摘したように,OECD平均と比べ140,000万人も不足しています。 政府は,医療費抑制の手段として閣議決定(1982年,1997年など)までして医師養成数を抑えてきました。その誤りを認め,抜本的に政策を転換する必要があります。 「経営難」の打開も急務です。もともと救急医療は人件費のかさむ不採算部門です。大阪の救急医療関係者からは「従来,療養病床の収入で救急の赤字をカバーしてきたが,2006年の診療報酬改定で報酬がカットされ,それもできなくなった」との声があがっています。 医師の労働条件の改善や,病院が安定した経営ができるような診療報酬を保障するなどの手当が,早急に求められています。 現場の医師,看護師,救急隊員らは「一人でも多くの命を救いたい」と必死で頑張っていますが,もはや限界です。いま頑張らなければならないのは政治であり,政治の真剣な対応が迫られています。
Feb 5, 2008
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ことし5月,横浜市で,日本が国連などと共催するアフリカ開発会議の第4回会議が開かれます。 アフリカの焦眉の問題は貧困救済です。とりわけアフリカ53ヶ国のうち48ヶ国が属するサハラ以南(サブ・サハラ)にあって,世界銀行が低所得国と認める34ヶ国の貧困は深刻です。日本政府はアフリカの貧困救済に本腰を入れてとりくむ必要があります。 世界銀行が昨年4月に公表した「世界開発指標2007」によれば,2004年時点で,1日2ドル未満で生活する貧困層の数は26億人です。世界人口(62億人)の実に40%を占めます。 とくにアフリカのサハラ以南は深刻です。1日2ドル未満で生活する貧困層の数は継続的に増大し,1日1ドル未満で生活する最貧困層の数は,依然として2億9,800万人もいます。 2000年の国連「ミレニアム・サミット」の約束にもとづいて,国際社会が貧困救済をさらにつよめることが急務です。 問われるのは日本政府の態度です。貧困救済を正面にすえているとはとても思えません。政府は2005年のアジア・アフリカ首脳会議で,2003年のアフリカ向けODA(政府開発援助)の実績を2007年までに倍増すると約束しました。 外務省は「達成のめどがついた」といいます。 しかし,問題はその内容です。アフリカ向け総額は増えても,サハラ以南の低所得国34ヶ国向け援助の割合は下がるばかりです。 2003年のアフリカ援助の実績は,援助総額5億3,000万ドルのうち34ヶ国向けは4億5,000万ドルでした。 2006年は,援助総額が約25億6,000万ドルと2003年の4倍にもなったのに,34ヶ国向けは6億8,000万ドル,2003年の50%増しにすぎません。 援助総額に占める割合は27%にもなりません。これでは発展途上国の期待にこたえることはできません。 昨年3月来日したリベリアの大統領は,日本の援助は「アフリカがのぞんでいるレベルに達していない」と厳しく批判しました。 貧困救済を相対的に低下させたのは,サハラ以南にあっても低所得国でないナイジェリアに,アフリカ援助総額のほぼ60%の16億3,000万ドルを援助したことによります。アフリカのどの国にも援助は必要ですが,これは異常です。 ナイジェリアは原油資源の豊富な国です。原油獲得のために援助していると国際社会からみられても仕方がありません。 高村正彦外相は「対アフリカ協力から,短期に直接の見返りを必ずしも求めておりません」(1月4日)といいわけをしています。しかし,これはごまかしです。 政府は昨年4月の第8回海外経済協力会議で,アフリカ援助にあたって,貧困・紛争などの「諸問題の解決への貢献」,日本の国連安保常任理事国入りの支持取り付けを狙った「外交基盤の強化」,それと「資源の宝庫」の三点が重要だと確認しています。 ODAは貧困救済など人道的見地を貫くべきです。資源獲得など国益を優先させるのは誤りです。 日本のODAはアメリカの世界政策の補完,大企業の利益奉仕が基本です。 これを変えない限り,経済力に見合った貧困救済は困難です。貧困をなくし,発展途上国全体を発展させてこそ,世界を平和と社会進歩の方向に変えることができます。 ODA政策を貧困救済,人道援助中心に転換することは急務です。
Feb 4, 2008
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サブプライムローン危機,石油価格の暴騰,世界同時株安など,世界経済が激しく揺れ動くなかで,最近のテレビ番組のコメンテーターとして,元大蔵省(現財務省)官僚の榊原英資早稲田大学教授がよく登場しています。 榊原教授は,サブプライム危機は,金融の証券化などによって「無節操にマネーが肥大化しすぎてきた信用膨張にたいする反動」であり,「信用収縮」による「混乱の解消には相当の時間がかかる」(注1)と解説しています。 大蔵省財務官時代に“ミスター円”などと称されただけあって,その歯切れのよいマネー経済の解説には,国際金融の実態を知りつくした者としての“説得力”があります。 しかし,榊原教授は,日本はこれからどうすべきかと問われると,「福田首相は施政方針演説で『改革』と一度も言わなかった」などと批判し,「構造改革」の再加速を強調しています。 一方では「無節操なマネーの肥大化」による「信用膨張」を批判しながら,他方では新自由主義的な「改革」の継続を主張する,ここには,なにか根本的に矛盾するものを感じます。 榊原教授の最近著『日本は沈没する』(朝日新聞社)を読むと,1996年ごろ国際金融局の局長だった同氏が金融ビッグバンをどのように推進したか,「改革」の「成功例」として語っています。 金融ビッグバンとは,為替市場の全面自由化や証券市場の自由化など,金融の規制緩和をいっきょに,全面的に実行した政策です。それは,アメリカが金融のグローバリズムを広げるために,世界各国に要求してきた課題でした。 この点について,井村喜代子慶応大学名誉教授は,次のように述べています。 「アメリカが金融自由化によって対外投資活動の舞台をいっきょに拡張し,年々膨大な対外赤字によって余剰資金を供給し続けたことこそが,膨大なマネーが世界中を駆け巡りドル・為替の不安定性が恒常化するという新しい事態を生んだ根源である。…大規模な国際的投機的活動の恒常化という新しい事態はアメリカによって生み出されたものといっても過言ではない」(注2)。 アメリカ主導の「金融自由化」と金融グローバリズムを推進してきた榊原教授の「マネー理論」では,国際的な「信用膨張」がどうして生まれたのか,その根源と責任を解明することはできません。 いま世界で投機的な活動を展開しているヘッジファンド(投機的基金)の数は一万にもなり,その資金量は,1.6兆ドルにのぼるといわれます。ヘッジファンドは,世界の金融機関,大企業,富裕層から資金を預かり,投機的な取引を活発におこなっています。 しかし,こうした投機マネーの背景には,アメリカが経常収支赤字として海外に垂れ流し続けてきた膨大な不換ドル(金と交換されない不換通貨のドル)が累積してきたという実態があります。 別表は,ニクソン大統領がドルと金との交換停止を強行した1971年から2006年までのアメリカの経常収支赤字の推移をみたものです。この間の赤字の累積額は,実に6兆ドル,ヘッジファンドの4倍近い額です(これは,1ドル=100円で概算しても600兆円という規模になる)。 しかも,赤字額は年々増大しており,2000年以降の7年間だけで約4兆ドルにものぼります。 こうして海外へ流出した不換ドルの大部分は,アメリカ大銀行の預金,アメリカ財務省証券,アメリカ大企業の株式などのドル資産としてアメリカへ還流し,それをもとにアメリカは海外への投資を拡大するというマネーの循環ができています。 そして,アメリカ経常収支赤字を起点とした不換ドルの循環とともに,国際的投機活動が拡大してきたのです。 榊原教授は,これからはアメリカ中心からアジア重視への転換が必要だと強調しています。しかし,こと通貨問題になると,今後,「ドル安は避けられない」が,ドル暴落で「大変な痛手を被るのは」,「巨額なドル建て資産を持つ日本や中国」などの海外諸国だ,だから「基軸通貨=ドルはしばらくは崩れない」(注3)と述べています。 たしかに,現在,巨額なドル資産を保有している国がドル離れを進めることには一定の困難がともなうでしょう。しかし,だからといって,今後も,自主的な通貨・金融政策を放棄し続けるならば,ますます矛盾が累積して,解決を先延ばししていくばかりです。 日本が自主的な通貨・金融政策へ転換するためには,戦後一貫して対米従属の通貨政策をとり続けて,「巨額なドル建て資産」をため込んできたのはなぜなのか,その政治的根源も含めて反省することが必要でしょう。 21世紀に入って,世界の通貨・金融情勢は,急速に変わりつつあります。ユーロは,誕生してまだ10年にもならないのに,すでに世界の準備通貨の25%を占めるまでに成長しています。 今回のサブプライムローン破たんにはじまる国際金融危機は,無謀な投機活動を国際的に規制する《新しい通貨・金融秩序》に向けて,歴史の歯車を大きく動かすことになるでしょう。 21世紀にふさわしい,真にルールある《新しい通貨・金融秩序》をめざすためには,いまこそ日本も自主的な通貨・金融政策にふみきるべきときです。(注1,3)榊原英資『日本は沈没する』29頁,225頁(注2)井村喜代子「『現代資本主義の変質』とその後の『新局面』」
Feb 3, 2008
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「コース別人事」雇用における男女間の賃金格差は女性差別である-東京高裁が1月31日,総合商社兼松の女性への賃金差別の是正を求めた控訴審で,6人の原告のうち4人の訴えを認める判決を出しました。 判決は,女性社員が男性と同じ内容で困難な職務をしていたことをあげ,「男性と大きな賃金格差があったことに合理的な理由はなく,性の違いによって差別した」と述べ,「男女同一賃金を定めた労働基準法四条に反する」とその違法性を認めました。 2003年11月,東京地裁で出された「男女間の賃金格差は配置等の差別の結果生じたもので,男女賃金差別ではない」との判断をくつがえすものです。 男女雇用機会均等法を受け1985年,同社は「コース別人事」を導入。男性は全国転勤と幹部昇進のある「一般職」,女性は勤務地限定で昇進なしの「事務職」のコース別(職掌別)賃金体系に一律に移行しました。 判決は,このコース別人事制度が,同社の旧来の男女別年功序列賃金体系を「そのまま引き継いだ」ものだと指摘しました。女性の賃金は,管理職になる前の男性の1/2にも満たないものでした。 会社側が,“一般職への転換制度があるから差別ではない”とした点についても,判決は,「転換の要件が厳しく,転換後も格付けも低い」として,形だけ変えて差別を温存するやり方は許されないことを示しました。 「コース別人事」は,男女の賃金格差を隠蔽する手段として日本の多くの企業で導入されました。野村証券や岡谷鋼機でも「コース別人事」を理由とした男女間差別を問う訴訟が起きました。 これらの訴訟の判断では,募集,配置や昇進などでの性による差別を禁止した改正雇用機会均等法第六条に反するとされました。今回のように,男女間賃金の格差を認めてその部分の支払いを命じた判決は今回が初めてです。 同じ仕事をしていれば契約形態の違いを理由にした賃金格差は認められないとした点でも,性の違いだけでなく契約形態の違う労働者間の格差を判定する上で影響をあたえるものです。 国連女性差別撤廃委員会やILO(国際労働機関)は,日本企業のコース別人事処遇は男女差別の隠れみのであると批判してきました。均等法も2006年の改定で,部分的ですが,「間接差別の禁止」を盛りこみました。 原告たちは報告集会で,「同じ苦しみを味わって働いている人たちが,少しでもいい環境で働いていくための第一歩になれば」と語りました。 この思いに応える政府の施策や法整備が求められています。
Feb 2, 2008
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政府の教育再生会議(野依良治座長)は1月31日,首相官邸で総会を開き,「社会総がかりで教育再生を」と題する最終報告を福田康夫首相に提出しました。 報告は,第一次報告(2007年1月)から第三次報告(同12月)までの三つの提言について「すべて具体的に実行されてこそ初めて意味を持」つと強調。 「提言の実効性の担保」のためとして,内閣に,後継組織にあたる新たな会議を設置し,実施状況を監視する仕組みを導入するよう要求しました。文部科学省などにも,実施計画を作成し,提言の内容を着実に実行するよう求めています。 首相は「新しい会議を内閣に設置したい」と表明しました。政府は2月中にも新組織を発足させます。 最終報告では,「取り組みのフォローアップ」が必要な主な項目として,『徳育を「教科」として充実させ,必要な規範意識をしっかり身に付けさせる』,『「ゆとり教育」を見直し,授業時数を増加する』などを挙げました。 そして,今後「60年ぶりに改正された教育基本法を踏まえ,教育三法の施行や教育振興基本計画の策定など,いよいよ教育再生の本格的な実施段階」に入ると述べ,これが「教育再生の鍵を握る」としています。 最終報告には,提言の実施状況を点検する際の「チェックリスト」がつけられました。リストの「直ちに実施に取りかかるべき事項」には,「徳育の教科化」や「反社会的行動を繰り返す子どもへの毅然とした指導」など27項目が列挙されています。 また,六・三・三・四制の弾力化,めりはりある教員給与体系の実現など9項目を,「検討を開始すべき事項」に挙げています。 教育再生会議(2006年10月発足)の最終報告は,三次にわたって発表してきた提言を着実に実行するための後継組織づくりを求めたことが最大の特徴です。 実行する中身は,徳育の教科化,全国学力テスト,教員免許更新制などです。戦前回帰を狙うとともに,教育への国家統制を強め,競争原理をいっそう導入していこうという方向性を鮮明にしました。 最終報告は「提言は,すべて具体的に実行されてこそ初めて意義を持」つと強調しています。「教育再生会議の役割はこの最終報告で終了」するといいながら,官邸や文部科学省を動かし,今後具体的に,再生会議の主張を教育現場に押し込もうというのです。 福田康夫首相も施政方針演説で「教育の再生に取り組む」と述べており,再生会議の「生みの親」である安倍晋三前首相以来の「教育改革」路線を引き継ぐ姿勢を見せています。後継組織も含め,今後の動向は決して軽視できません。 ただ,これは,国民や教育現場との矛盾を広げるだけの未来のない路線です。 例えば,教員免許更新制や成果主義賃金の導入で,本当に「教員の質」が上がるのか。むしろ教師からやる気や団結を奪い,子どもより管理職の目を気にする教師を増やすだけではないか。精神的,財政的なゆとりを増やすことこそ大切ではないか。 教育現場や教育の専門家からは,こうした批判が起きています。 「一人ひとりの子どもに,目の行き届いた教育を」という,国民が願う教育改革の方向に,再生会議の提言はことごとく逆行しています。 これを教育現場に押し付ければ,教育はよくなるどころか混乱するばかりです。「役割を終えた」再生会議の後継組織の設置は,きっぱりやめるべきです。
Feb 1, 2008
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