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安倍首相の施政方針演説に対する,衆院での各党の代表質問を聞きました。 焦点は,貧困と格差,憲法と平和・民主主義,「政治とカネ」の問題です。安倍首相は,貧困と格差の打開や「政治とカネ」の疑惑解明で国民の願いに応えず,貧困と格差拡大の実態さえ認めようとしない冷たい態度に終始しました。 安倍首相は,「貧困」や「格差」という言葉さえ使おうとしません。 国民の間ではまじめに働いても生活保護水準以下の収入しかない「ワーキングプア」の急増が大問題になっています。首相はそのことをどう認識するのか,文字通り,政治を担当する資格にかかわる問題です。 働きづめで,わが身を犠牲にしなければ子どもを育てられない母子家庭・一人親家庭の実態や,保険料を払えない人に窓口で医療費の全額負担を求める国民健康保険の保険証を取り上げて資格証明書を発行しているなど,貧困と格差拡大の実態がマスメディアでも明らかになっています。 マスメディアでは,貧困が国民の一部の問題でなく病気や失業,老いなどをきっかけに誰にも起こりうる問題になっていることを指摘して,首相に実態の調査と抜本的な対策を迫られています。安部首相は,国民の願いを正面から受け止め,貧困の打開を求られています。 それにもかかわらず,驚いたのは首相の答弁です。首相は国保の保険証取り上げを制度のために「当然」などとしたあげく,「安定した経済成長のなかで,国民各層に成長の成果を行き渡らせる」などというだけで,貧困の実態について調査することさえ拒否しました。 現実から目を背けたままで,貧困と格差の拡大に効果のある対策が取れないことは明白です。野党議員は,予算の組み替えや安心して働ける雇用のルールづくりなど貧困と格差打開の具体策を提起しましたが,首相の答弁は予算の問題でも,雇用の問題でも従来の政府の対策を繰り返しただけです。安倍首相に,貧困と格差の打開が期待できないことはいよいよ明らかです。 各新聞などが行ったどの世論調査でも,国民の関心が高いのは「格差の是正」や「政治とカネ」の問題です。首相の態度は,政治に求める国民の願いにまったく背を向け,国民の暮らしの実態を見ることさえ拒否していることを示すものです。 「政治とカネ」の問題でも首相の答弁は国民の願いとかけ離れています。野党議員は「事務所費」問題について,疑惑をかけられた政治家がまず実態を明らかにし,首相は任命権者として疑惑の解明に当たるよう求めました。ところがこの当然すぎる要求に対しても安倍首相は,政治資金規正法の「改正」に逃げ込む姿勢に終始したのです。無責任の極みという他ありません。 見過ごせないのは,こうした安倍政権に対し,代表質問では与党の自民党・公明党連立与党だけでなく,民主党も「対抗軸」をもたないことを浮き彫りにしたことです。 民主党の小沢代表は,「日本は世界でもっとも格差のある国になった」と格差問題を取り上げましたが,打開を真剣に目指すには,貧困と格差を広げる規制緩和路線にこれまで賛成してきた民主党の態度の検討が求められます。民主党の質問にその姿勢はありませんでした。 安倍内閣の暴走を許すわけにはいきません。国会内外で安倍政権を包囲する闘いがいよいよ大切になってきました。
Jan 31, 2007
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朝鮮半島有事を想定した日米共同作戦計画の改定作業は,「在日米軍再編」の名で進められている日米の軍事一体化が,日本国民の生活を巻き込む危険を持っていることを示しています。同時にそれは,北朝鮮の核問題で国際社会が一致して追求している平和的外交的な解決の方向に真っ向から逆らうものです。 改定作業が進む共同作戦計画は,具体的にどれだけの規模のアメリカ軍支援を想定しているのかご存知でしょうか。 在日米軍は1994年の北朝鮮の「核危機」問題で,同国への軍事作戦を想定し,日本側へ1,059項目もの支援を要求したことがあります。1999年に日本共産党の志位和夫書記局長(当時)が,自衛隊統合幕僚会議の内部文書を暴露し,明らかになりました。 同文書によれば,日本側はアメリカ側の要求に基づき,成田・新千歳・福岡など11民間空港,名古屋・大阪・福岡など11民間港湾をアメリカ軍に提供することを検討。ほかにも「民間輸送業者の役務調達」,「道路の優先使用」,「交通規制」も対米支援措置として明記していました。 このアメリカ側の要求と日本側の検討内容は,その後の日米軍事協力の指針(ガイドライン,1997年)と周辺事態法(1999年)の基礎となっており,アメリカ軍は今も,こうした膨大な支援を求めているとみられます。 実際,今回の共同作戦計画の改定作業にあたって,アメリカ側は昨年末,使用したい計30ヶ所前後の空港・港湾名を日本側へ伝えてきていると報じられています。 アメリカ軍は,周辺事態法と,その後制定された有事法制の発動を先取りする民間空港・港湾の使用も繰り返しています。 有事法制が制定された2003年以降をみても,米軍が離着陸した民間空港(2005年まで)は38空港。3年間で10回以上離着陸した空港だけでも14空港に達しています。寄港した民間港湾は22に及んでいます。 共同作戦計画に「有事法制を反映する」とした在日米軍再編の日米合意(2005年10月)は同計画の「検討作業を拡大」し,「より具体性を持たせ」ると強調。民間空港・港湾の「詳細な調査」をするとしていますが,すでにアメリカ軍によって進められている可能性もあります。 さらに同合意は,共同作戦計画の検討作業拡大のため,「関連政府機関と緊密に調整」するとしています。「関係省庁局長等会議」の7年ぶりの再開は,この具体化です。 同会議は,内閣官房副長官が議長を務め,内閣官房のほか,外務,防衛,総務,国交,法務,財務,文科,厚労,経産の各省と消防庁などで構成されています。 広範な省庁が参加しているのは,作戦計画に盛り込まれるアメリカ軍支援が,施設の提供,輸送,補給,整備,医療,通信など国民生活全般にかかわるからです。有事法制は,こうしたアメリカ軍支援に強制力を持たせました。 また在日米軍再編の日米合意は,共同作戦計画の検討作業拡大のために,関連政府機関のほか,「地方当局と緊密に調整」することや「二国間演習プログラムを強化する」ことも挙げています。 この日米合意に符合するように,2006年1月,2月に陸上自衛隊の健軍駐屯地(熊本県)で実施された陸自西部方面隊と米陸軍第一軍団などとの共同指揮所演習「ヤマサクラ」には,陸自側の招待で,九州・沖縄各県の担当者が初めて参加しました。アメリカ軍支援を,政府機関だけでなく,自治体にも担わせようという狙いがうかがえます。 1994年の北朝鮮「核危機」の際,アメリカが軍事作戦に踏み切れなかったのは,日本側に対米支援の具体的な計画がなかったことが一因だったと指摘されています。今回の共同作戦計画の改定作業は,危険な軍事対応への踏み込みにつながりかねません。 アメリカは,朝鮮半島有事を想定した日米共同作戦計画について「政府としての通常の準備の一環」と肯定しつつ,「われわれが望んでいるのは(北朝鮮の核問題をめぐる)6ヶ国協議の早期再開だ」(スノー大統領報道官,今月5日)と強調しています。日米両政府には軍事的解決ではなく,国際社会の一致した流れになっている,問題の平和的外交的な解決が求められます。
Jan 31, 2007
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今国会に提出される最低賃金法改正案の要綱が1月29日発表され,すべての労働者が対象となる「地域別最低賃金」を決める際,「生活保護との整合性に配慮する」ことが盛り込まれました。 生活保護水準にも満たない最低賃金を抜本的に引き上げ,働いても生活保護水準以下の生活しかできない「ワーキングプア」をなくす力になるもので,労働者・国民の闘いの成果です。日本の(地域別)最低賃金は,生活保護水準より低いうえに,地域によっても格差があります。 最高でも時給719円(東京),最低は610円(青森など)。フルタイムで働いても月収11万円-12万円台にしかなりません。全労働者の平均賃金の約30%しかなく,50%程度あるヨーロッパと比べて大違いです。 ところが政府は,最低賃金を抜本的に引き上げるのではなく,“生活保護基準が高すぎる”といって,老齢・母子加算を削減・廃止するなど生活保護の方を逆に引き下げようとしています。 低賃金労働者を生み出す非正規雇用の拡大に歯止めをかけるとともに,こうした生活保護の切り捨てを許さず,全国どこで働こうが人間らしい生活ができる水準まで引き上げることが急務です。 最賃法改正の直接のきっかけは,もうひとつの最賃である「産業別最低賃金」の廃止を求める財界の要求にこたえて,政府が2004年,規制緩和・民間開放3ヶ年計画で廃止を含む見直しを打ち出したことでした。 しかし,その後の審議会では,低賃金労働者の急増と企業への批判が,労働者だけでなく公益委員からも出されました。その結果,産業別最低賃金は枠組みを継承するとともに,地域別最低賃金を強化する生活保護水準への配慮が盛り込まれることになりました。 連合や全労連などが「最低賃金の生活体験」を通じて低すぎる最低賃金の実態を社会的に告発し,各地の自治体で制度改善を求める意見書が可決されるなど世論と運動が広がったことが背景にありました。 貧困と格差が拡大するなか,連合も全労連も今春闘で非正規労働者の賃金について「時給1,000円以上」を一致して掲げています。闘いの成果を力に,実際に大幅引き上げを勝ち取るとともに,「全国一律最低賃金制」の確立へとすすむことが求められています。 フルタイムで働いても,生活保護よりも低い給与水準では,真面目に働いているひとが意欲的に働くことができません。政府は政策的に最低賃金の引き上げを先導することを期待します。労働条件の改善をすることが,少子化対策になり,年金問題を解決することになり得ます。 規制緩和をする以上,国民の暮らしを守るセーフネットを充実することが本当の意味の規制緩和ではないかと考えます。
Jan 30, 2007
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通常国会での論戦がはじまるのを前にして,テレビや新聞,月刊誌などでも,「政策論議」が盛んです。 ちょうど昨年の今ごろからはじまった格差や貧困をめぐる議論は,1年間で大きく発展してきました。とりわけ大事なことは,今日の日本の貧困と格差の主要な原因が,ワーキングプアに象徴されるような,労働への報酬の歪み,とりわけ大企業の非正規雇用者などの無法な働かせ方,それを許してきた労働法制の改悪にあることなどが,次第に明らかになってきたことです。 財界があれだけ熱望しているホワイトカラー・エグゼンプションを,すんなりと導入できないでいるのも,こうした国民的議論を背景にした,労働者・国民の大きな闘いの発展があったからでしょう。 しかし,巻き返しもはじまっています。 先日のテレビの討論会では,自民党・公明党の代表などが,「資本主義の活力のための格差だ。日本は社会主義ではない」とか,「最低賃金を引き上げると,中小企業がつぶれる」とか,「貧困や格差の是正をやりすぎると,また景気が悪くなる」など,いろいろな“反論”を試みていました。こうした“反論”に対しては,理論的にも,政策的にも,徹底的に批判しておくことが必要です。 例えば,「格差の是正を」と主張すると,「日本は資本主義だ。社会主義ではない」などというのは,いわば苦しまぎれの“反論”ですが,こういう論点すり替えにも,きっちりと説得的な反撃が必要です。 第一に,いま日本で格差が目立ってきた最大の原因は,資本と労働の所得の格差(とりわけ大資本との格差)が異常に不公平になっていることです。例えば,政府の統計でも,資本金10億円以上の大企業の役員報酬は,この10年間に1,433万円から2,811万円へと2倍に増えています。ところが同じ期間に,全労働者の平均賃金は388万円から352万円へと,逆に大幅に減っています(表参照)。こうした大資本と労働の格差拡大の底辺で広がるワーキングプアや深刻な貧困。こうした異常な事態を正すのは,資本主義としても当然です。 第二に,いま論じている格差の政策論議の焦点は,「資本主義か,社会主義か」ではありません。「資本主義のルール」のあり方,そのあまりにも歪んだ軌道を正すという問題です。 その際に大事なことは,「資本主義のルール」を正すのは,なによりも「資本」のために必要だということです。なぜなら,資本は市場で競争に追い立てられていますから,個々の資本がひとりだけ労働時間の短縮や賃上げをおこなえば競争上不利になります。だから,すべての資本が,同じ一定のルールにもとづいて,労働条件などの改善をすすめる必要があるのです。 ワーキングプアをなくすための最低賃金引き上げの要求に対して「中小企業がつぶれる」などという主張にも,理論的,実態的な反撃が必要です。 まず理論的にいえば,資本主義である限り,大企業であれ,中小企業であれ,労働者は資本家に労働力を販売して得た賃金よりも,はるかに大きな価値をつくりだします。ですから,最低賃金を引き上げたぐらいで,資本がつぶれるなどということは,正常な資本主義ならありえないことです。 しかし実態的には,日本の多くの中小零細企業は,利潤どころか,賃金などのコストすら取り戻せないほど,経営難に苦しんでいます。それは,決して賃金が高いからではありません。下請け単価を徹底的に切り下げられたり,激しい競争で市場を奪われたり,あるいは零細企業の場合は,消費税などで苦しめられているからです。 財界などが,こうした中小企業の苦しみの真の原因を棚にあげて,さも中小企業の味方のような顔で,「最賃引き上げは中小企業が困る」などというのは,まさに盗っ人たけだけしいというものでしょう。 「景気回復のためには格差是正は手控えよ」というのも,本末転倒の議論です。 戦後最長の景気回復などと言われても,労働者,国民にとっては,その実感はほとんどありません。国民が本当に実感できる景気回復のためにも,国民の購買力のもとになる雇用や賃金の是正が求められています。 日本国憲法25条で生存権が保障されています。憲法25条の生存権の保障は,いわば資本主義としての最低限のルール,あらゆる経済活動を支える基礎になっています。しかし,現実には資本主義としてのおおもとの原則,生存権がまもられていないから,安心して子どもも生めない大企業優遇・国民犠牲の異常な社会になっています。 ですから,労働者が安心して働いていける経済,中小企業者が創意をいかして経営できる経済を取り戻すために,政治を変えなければこの異常な社会を変えることができません。いきなり大きくは変わらないけれども,少しずつ変えていくことはできます。 自民党・公明党連立与党,そして民主党は,大企業より政治献金を貰っている限り,国民のための政治はできません。どんな綺麗事を言っても,大企業より政治献金を受け取っている以上,大企業のための政治を考慮せざるを得ないからです。 「企業団体献金の廃止することも含めて検討をする」ではなく,「企業団体献金を直ちに廃止する」と言える政党でなければ,どんなに「国民のため」とアピールしてもそれは方便に過ぎません。国民が大企業優遇・国民犠牲の政党に票を投じることがないよう,強く期待します。
Jan 29, 2007
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原爆症認定集団訴訟の闘いが,大きなヤマ場を迎えています。昨年は大阪地裁,広島地裁で,原告全員勝利の判決が出され,続いて今年1月末には名古屋,3月には東京,仙台の地裁判決が予定されています。また政府・厚生労働省の控訴により,大阪高裁についで,広島高裁でも2月から審議が開始されます。 集団訴訟以前の裁判を含めれば,国はこの10年余の9回の判決すべてで,原爆症認定拒否は不当との司法の判断をつきつけられました。しかし基準見直しを迫られた国がやったことは,切り捨てを強めることでした。今また集団訴訟での連続敗訴をうけ,巻き返しの姿勢をあらわにしています。 昨秋から始まった大阪高裁での控訴審で国側は,原告らは“原爆放射線による被曝はほとんどしていない。だから疾病に放射線起因性を認める余地はない。被爆直後の下痢,脱毛なども原爆による急性症状であるわけがない”と言い放ちました。 また12月には厚労省のもとで,“C型肝炎と原爆は無縁”という研究報告書がまとめられました。集団訴訟以前に同疾病で訴えた被爆者が,東京地裁,東京高裁で勝訴,認定されたことから,肝機能障害についての認定基準の見直しが求められていたのです。しかし厚労省は,裁判で国側証人となった研究者を再検討の責任者とし,被曝がC型肝炎ウイルスによる肝炎の進行を促進した可能性を示唆している論文を引用しながら,強引に影響はないと結論づけさせました。 このように国は,機械的で被爆の実態を直視していないと厳しく批判された基準にあくまでも固執し,切り捨てを合理化しています。 現在,集団訴訟は229人の原告,17の地裁,2つの高裁にひろがっています(1月15日現在)。亡くなった人はすでに29人。裁判の解決,認定行政の抜本改善はまさに緊急の課題です。 しかもこれは,被爆者だけの問題ではありません。反核・平和,国民の生命と権利を守る政治の実現につながる課題です。 最近,キッシンジャー元米国務長官らが,核兵器拡散の危険が強まっているもとで,アメリカこそ核兵器のない世界への本格的な取り組みを開始すべきだと提起しました。これに対し日本では,北朝鮮問題を口実にした核保有論議やアメリカの核抑止力への固執など,被爆国政府の高官にあるまじき発言が続いています。原爆被害の矮小化は,核兵器廃絶の課題を棚上げし,その使用・脅迫政策の是認につながるものです。 認定拒否の根底には,国民に原爆被害をふくめ戦争被害の「受忍」を強いる政策もあります。自民党・公明党連立与党そして民主党のもと,憲法改悪を軸に「戦争する国づくり」が進められるもとで,この闘いは一層今日的なものとなっています。 また,じん肺や水俣病などの問題でも,国の責任と救済を認めた司法の判断を次々と拒否しているもとで,国民犠牲の政治のあり方を問う闘いの一翼でもあります。 今年は全国一斉地方選挙と参議院選挙があります。大企業を優遇し,国民を犠牲にする政治を見直させるためにも,国民は棄権することなく,自らの意思表示をすることが重要です。原爆症認定集団訴訟問題は過去の問題ではなく,米軍基地を有する「今日的」日本全体の問題です。 国民は選挙を前に,政治のあり方・何のための政治なのかを考える必要があります。政治の結果,国民が犠牲になってしまうことがあった場合,これを救済するのが政治ではないなら,誰が救済するのだろうか?それも自己責任と言う政治であれば,政治そのものが政治ではなくなっていると言わざるを得ません。【追加情報】 1月31日,原爆症認定集団訴訟の解決を求める,初の被爆者と市民の大集会が開催されます(東京・日比谷公会堂,午後6時半から)。被爆者,弁護士,医師,研究者,平和運動家,そして青年などが支援の輪を広げています。被爆者の願いを国民的な課題として,大きな世論,運動をひろげ,頑強な抵抗を打ち破る重要な契機になることをお祈りしています。
Jan 28, 2007
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安倍晋三首相が1月26日におこなった施政方針演説。「美しい国創(づく)り元年」などと“宣言”しましたが,その実態をどうか。 「ICT(情報通信技術)産業の国際競争力強化」,「外国からわが国への投資を倍増する」。安倍首相が,国民が夢や希望をもつためとしてあげたのは,バブル期以上に大儲けする大企業へのさらなる支援策ばかりでした。設備投資が大きい大企業が恩恵をうけ,6,000億円もの法人税減税となる「減価償却制度の抜本的見直し」も40年ぶりだと誇ります。 果たして,これで国民の生活は豊かになるのでしょうか。 大企業が低賃金の非正規雇用の拡大で大儲けする一方で,ワーキングプア(働く貧困層)が深刻な社会問題になっています。施政方針演説には,貧困と格差に苦しむ人たちへ寄せる言葉はありません。昨年9月の所信表明演説では,まがりなりにも「格差」の存在を認めましたが,それすらも消えています。 「再チャレンジ支援」として並べる施策も,地方での雇用,女性の雇用をする企業への支援や,対象が非常に限定される「パートタイム労働法」改正など,抜本的な格差是正には不十分なものです。 OECD(経済協力開発機構)は,日本の相対的貧困率がアメリカに次ぐ第2位と高くなっているのは,低所得者や一人親家庭などへの社会的支援をはじめ,再分配が弱いためだと指摘しています。しかし,安倍首相には,これまで定率減税の廃止など庶民増税をおこない,格差を広げてきたことへの反省もありません。 母子家庭などへのケアを述べながら,生活保護世帯への母子加算を廃止し,低所得者の負担が大きい消費税増税の言明など,格差をさらに拡大する方向を示した演説でした。 演説では,安倍首相の掲げる「任期中改憲」の狙いが“アメリカとともに海外で戦争ができる国”づくりにあることも鮮明に浮かび上がりました。 改憲を目指す「美しい国」の外交・安全保障分野の柱を「主張する外交」と特徴づけた首相が,真っ先に強調したのは「『世界とアジアのための日米同盟』は,わが国外交の要」。その具体策として,海外での武力行使を可能にする集団的自衛権の行使に向けた研究や,自衛隊を海外に送り出すための「法的基盤の再構築」などを押し出しました。 日米軍事同盟を地球規模に拡大し,日米両軍がともに血を流す協力関係へ。首相の力点は,まさにここにあります。 そこまで首相が付き従うブッシュ米政権の先制攻撃戦略は,イラクで泥沼状態に陥っています。ブッシュ大統領の増派方針には,与党・共和党からさえ批判があがっています。なのに首相は,アメリカ軍のイラク軍事支配を支える航空自衛隊のイラクでの活動を挙げて,「わが国としてふさわしい支援を行っていく」と,継続する方針を示しました。 同時に首相は,「憲法の改正についての議論を深めるべきだ」と強調し,改憲手続き法案の「今国会成立を強く期待する」と力説しました。 自民党,公明党両党や民主党が「憲法改定とは別の中立的な法律」と弁明する改憲手続き法案の目的が,まさに九条改憲にあることを首相みずから証明した形です。 しかし,世論調査でも「(首相に)優先的に取り組んで欲しい」こととして改憲を挙げたのは,わずか7%(「読売」 1月23日付)。首相の“改憲演説”には自民党席の拍手も,まばらでした。 議場から出てきた自民党の国防族議員は渋い表情を浮かべ,いいました。「憲法改正といっても,国民との間には距離感がある。大騒ぎしてやることじゃないんだ」。 「美しい国」の正体見たり。こんな思いにさせられたのが,「政治とカネ」に関する部分でした。 閣僚を含む「事務所費」疑惑などで国民の政治不信が深刻になっているにもかかわらず,首相が触れたのは,「(政治家は)常に襟を正していかなければなりません」,「政治資金制度のあり方について,各党・各派において十分議論されることを期待します」の一言。まるで人ごとのように片付け,首相としての任命責任に何らの反省もなければ,真相究明の意思も示しませんでした。 「事務所費」問題の核心は,家賃のいらない議員会館を「主たる事務所」にしながら,巨額の「事務所費」を計上していたことが,現行の政治資金規正法にも反する虚偽報告の疑いがあることにあります。国民は,生活苦にあえいでいるのに,政治家は,企業・団体献金をもらったうえ,国民の税金である政党助成金を食い物にしているのではないかという怒りがわいています。この疑惑に正面から応えることなしに,政治を語る資格はありません。 疑惑にフタをしたまま,首相は,「美しい国」の言葉を,昨年9月の所信表明演説の8回につづき,今回の施政方針演説でも7回にわたり連発しました。これを「醜い政治」といわずになんというのでしょうか。
Jan 27, 2007
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米原子力空母配備にともなう神奈川県横須賀港のしゅんせつ工事をめぐって,横浜防衛施設局が横須賀市に「事前説明」を申し入れていたことが1月25日,取材で明らかになりました。 横浜防衛施設局が申し入れたのは今月15日。応対した横須賀市港湾部は「(原子力空母配備の是非を問う)住民投票条例問題の結果が出るまでは受けられない」と書類などの受け取りを拒否したといいます。 市港湾部によれば,横浜防衛施設局側は「しゅんせつ工事のための深浅測量図,しゅんせつ範囲も決まったので概略を説明したい」と事前説明の開始を表明。このなかでしゅんせつ工法や土砂の処分先などについては「検討中」として明らかにしなかったとしています。 しゅんせつ工事は,アメリカ軍の原子力空母の母港化に必要な水深を確保するためで,日米両政府が合意している配備期日の2008年夏までに完了をめざしています。数十億円とされるしゅんせつ工事費は日本の「思いやり予算」で負担。 港湾管理者である横須賀市への事前説明を経て,港湾法による協議がはじまります。 横須賀基地への米原子力空母配備の是非を問う住民投票条例の制定を求める直接請求署名は署名総数41,591筆のうち37,858筆が有効署名と市選管が確定,2月5日にも臨時議会が招集され,審議されます。 通常,行政同士の説明や協議は事前に双方が日程や認識を一致させた上で席につきます。しかし今回の事前説明は横浜防衛施設局が「行きたい」として一方的に“押しかけた”格好でした。 横須賀市は蒲谷亮一市長が米原子力空母の配備を容認しています。しかし,有権者の1/50をはるかに超える40,000筆もの住民投票条例制定を求める直接請求署名が提出され,来月上旬にも招集予定の臨時市議会で審議されます。昨年末に横浜防衛施設局がしゅんせつ工事の事前調査結果を報告してきた際に,横須賀市側は同条例案問題にも触れ,慎重な対応が迫られていることを伝えています。 にもかかわらず横浜防衛施設局があえて,横須賀市に「事前説明」を求めた背景に,事前調査での予想外の結果があります。「海底の硬い岩盤問題」です。 これは,(硬い岩盤の出現で)しゅんせつ工事の長期化が避けられなくなった防衛施設局が,配備期日までになんとしても完了させるため住民投票問題を承知しながら,アメリカのためになりふりかまわず乱暴な対応に出てきたと考えられます。 国民・住民の意思を軽視する行政など行政とは言えません。民主主義のルールに則り,住民の意思で住民投票をすると決めた以上,住民投票が終わるまで待つのが道理です。責任を取るのを嫌う官僚だけでこのような行動をするとは思えません。この背景には,政治家の影が見え隠れします。 アメリカのためにここまでする政治家の忠誠心に感心します。国民への忠誠心などないのでしょうか。
Jan 26, 2007
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ブッシュ米大統領が今年の施政方針を示す一般教書演説で,イラクにアメリカ軍を増派する「新戦略」に支持をよびかけました。アメリカ軍を「後退」させてはならないというさわりの部分に,上下両院議員の拍手はまばらでした。 それほど,大統領と内外世論のずれはきわだっています。ブッシュ政権がこのままイラクで軍事対決に突き進めば,そのきしみをますます大きくし,イラクにとっても,アメリカにとっても,さらに重大な危機をもたらすことは明白です。 今回の演説の最大の特徴は,「テロとの戦いに勝つ」ため「敵」と「徹底的に戦う」しかないと,イラクでの軍事対決一辺倒を際立たせたことです。 しかし,イラクへの侵略戦争を一方的に始め,情勢をここまで悪化させて,数十万人のイラク人を犠牲にし,アメリカ兵3,000人以上を死なせた根本的な責任は,ブッシュ政権とその同盟国にあります。アメリカ軍侵略前のイラクには,侵攻の口実にした大量破壊兵器もなければ,国際テロ組織・アルカイダとのつながりもありませんでした。 イラクを戦場にしてテロリストを呼び込み,「憎しみをかきたてる状況」(ブッシュ大統領)をつくり出した最大の責めを負うべきは,ブッシュ大統領自身です。その反省なしの新戦略は,破たんを運命付けられているのも同然です。現にアメリカ国民の圧倒的多数は,ブッシュ大統領に明確な批判をあらわしています。 最新の世論調査によれば,どこでもアメリカ国民にとって「もっとも重要な問題」は「イラク戦争」が断トツになっています。米軍増派に対しては,男性の59%,女性の71%が反対(ABCニュース調査)。66%が反対,賛成は29%にすぎない(CBSニュース調査)という結果です。 ブッシュ大統領への「強い支持」が17%に低下したのに対し,「強い不支持」は51%と半数を超えています(ABC調査)。CBS調査では,「支持」が28%に対し,「不支持」は64%にのぼります。 アメリカ国内で広がるブッシュ政権の「戦争拡大」政策への批判は,アメリカ軍のベトナム侵略戦争末期を想起させるほどです。ベトナム侵略戦争を拡大したマクナマラ元米国防長官は,アメリカ軍敗退(1975年)後に,ベトナム人民の民族独立への願いを過小評価したと“回顧”しました。必ずしも侵略戦争の誤りそのものを認めたわけではない反省ではあっても,アメリカにとって痛切な“教訓”だったはずです。 ブッシュ大統領が一般教書演説で,「アメリカ軍が後退すれば,イラク政府は過激派に倒される」といくら危機感を煽っても,自らの誤りに反省のない新戦略では,国内外の支持をつなぎとめることは不可能です。 カーター政権時代の大統領補佐官,ブレジンスキー氏は,ブッシュ政権のイラク政策の「5つの欠陥」をあげ,「致命的な欠陥」をこういっています。「イラクでアメリカは,植民地権力者のように行動している。植民地時代はもう終わったのに,植民地戦争を続けるのは,自滅の道である」(ワシントン・ポスト紙)。 既にアメリカ国民の52%は,市民的秩序が再建できていなくてもアメリカ軍を撤退させるべきだ,と考えるようになっています(ABC調査)。アメリカとイラクの国民多数が求め,アメリカ議会にも動きが強まっている,アメリカ軍撤退に転じる時です。 日本政府も,アメリカ追随で自衛隊を派遣していますが,一度自衛隊を引き揚げ,本当に必要であれば国会で審議の上,イラクに自衛隊を派遣すべきです。今は誰が見ても,アメリカ軍の後方支援をしているとしか見えません。国際貢献でもなんでもなく,単にアメリカ貢献と見られます。日本もアメリカ同様,「イラクの敵」にならないことを願うばかりです。
Jan 25, 2007
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飲食費を領収書のいらない事務所費として計上するなど,不適切な支出が問題になっている自民党の中川昭一政調会長の資金管理団体が,事務所費として6年間で約3億6,000万円も計上していたことがわかりました。中川氏の事務所は,事務所費の内容や事実関係について,「回答しない」としています。 政治資金収支報告書によると,中川氏の資金管理団体「昭友会」は,2000年からの6年間で,合計362,596,800円を,事務所費として計上していました。2000年,2001年の事務所費が1年間で7,000万円を超えています。 事務所費は政治資金規正法上,領収書が必要とされていません。そのため内容が不透明だと指摘されています。 中川氏はこれまで,2005年分の事務所費(30,960,883円)について,「資金管理団体が国会近くにもうひとつ事務所を持っており,その運営費が1,000万円以上かかっている。(あとの2,000万円は)文書交通費,文書通信費など必要な事務所経費だ」(1月14日放送,フジテレビ番組「報道2001」)と説明してきました。 また,事務所費の一部に飲食費を計上していたことを認めた上で,「(秘書が)夜食を食べてはいけないのか」(同)などと発言しています。 事務所費の内容,飲食費を事務所費として計上できる根拠などについて,中川氏の事務所に対して質問しましたが,「回答しない」としています。 東京都千代田区永田町二丁目,国会近くにある「十全ビル」は,政治家の関連団体が多く入っていることで有名です。「中川昭一事務所」のポストもありました。 政治資金収支報告書によると,十全ビル701号室には,中川氏の関連政治団体「昭成会」,「政経研究会」,「中川会」の3つの「主たる事務所」が置かれています。 3団体の2000年-2005年の「事務所費」は別表の通りです。 「中川会」と「昭成会」は,BSE(牛海綿状脳症)対策を悪用した牛肉偽装事件で実刑判決を受けた浅田満被告が率いる「ハンナングループ」から1999年と2000年に,パーティー券購入という形で,合計300万円の資金提供を受けていました。内訳は「中川会」が200万円,「昭成会」が100万円です。「昭成会」が献金を受けた1999年4月,中川氏は農水相でした。 「昭成会」はBSE問題で,米国産牛肉の輸入早期再開を求めていた外食産業の政治団体「外食産業政治研究会」からも,2001年からの5年間で計480万円の献金を受けています。 企業が政治家の政治献金をして融通してもらい,献金したお金は領収証もいらない,使途の分からないお金が政治家の私腹を肥やしている構造がよく分かります。 国民の税金が秘書の給与や通信費など多くの面に投入され,優遇されている政治家なのに,国民のためではなく特定の企業のために便宜を図ったり融通することを国民が許してはいけません。不正をした政治家は国民自身で選挙で当選させないことが求められます。 憲法よりも,政治資金規正法を改正して,企業団体献金を禁止し,全ての使途を領収証の提出を義務付け,政治資金の透明性を良くすることをやって欲しいものです。政治家自身で政治家を取り締まるような法律は作れないことは歴史が示しています。作っても抜け穴の多い「ザル法」ばかりです。 国民が世論を作り,マスメディアを動かさないと政治と社会は変わりません。そのために,選挙でどの政党に投票するかは重要になってきます。偏見や先入観を捨てて,各政党の本質を見極めて,慎重に考え投票して欲しいと期待しております。
Jan 24, 2007
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現職閣僚や自民,民主両党の幹部にまで広がった「事務所費」疑惑に国民の批判が高まっています。 安倍内閣の支持率低下に歯止めがかからないマスメディアの世論調査でも,疑惑の実態が「解明されていない」が85%にのぼり,「解明された」はわずか2%しかありませんでした。(「朝日」 1月23日付) 現職閣僚にかかわる疑惑は,閣僚個人とともに,任命権者である首相が責任を持って,調査・公表すべきものです。自民・民主の両党には政党としての自浄能力を発揮するかどうかが問われます。1月25日に開会する国会でも,徹底した解明をすすめる必要があります。 家賃のかからない国会の議員会館に政治団体の主たる事務所をおきながら,政治資金収支報告書には年間数千万円もの巨額「事務所費」を計上していたというこの問題は,昨日のブログでも明らかにしたように,現行の政治資金規正法に照らしても,違法・脱法の疑いがある問題です。 政治資金規正法は,「政治活動費」には,50,000円以上の支出に領収書の添付を求めていますが,「事務所費」など経常経費には総額の報告を求めるだけで,領収書の添付を求めていません。「事務所費」に領収書を求めないのは,その使途が家賃や電話代などの固定的経費に限定されているからです。この趣旨に照らせば,家賃がかからず,都内なら電話代もかからぬ議員会館に「主たる事務所」を置きながら,1,000万円を超えるような巨額の事務所費が計上されること自体,極めて不自然です。 伊吹文明文科相,松岡利勝農水相,自民党の中川昭一政調会長,民主党の松本剛明政調会長ら巨額の事務所費支出が明らかになった議員のなかで,これまでに根拠を示して,国民に明確な説明をした議員は1人もいません。伊吹文科相と中川政調会長は飲食費を事務所費に計上したことを認めましたが,本来「政治活動費」で処理すべき支出を「事務所費」に入れたとすれば,政治資金規正法に違反することになります。 政治資金規正法の立法の趣旨は「政治活動の公明と公正を確保」することにあります。政治資金は国民の浄財なのだから収支を常に明らかにして国民の判断に委ねるべきだということです。政治団体には「いやしくも国民の疑惑を招くことのないように」する責任を求めています。 この説明責任が果たされないのでは,国民は納得できません。領収書を添付する必要がない「事務所費」も,政治団体は帳簿への記録と領収書の徴収を義務付けられています。不正がないというのなら,みずから保管義務のある帳簿と領収書を示して説明するのが当然です。 自民党や民主党には現行の政治資金規正法の不備を言い立てる向きもありますが,現行法でも違法・脱法の疑いがある問題を,その解明を避けて,「改正」問題に逃げ込むのは間違っています。事務所費にも領収書の添付を義務付けるなどの改正はもちろん必要ですが,先決問題は現行法でも違法・脱法の疑いが濃い疑惑を徹底して解明することです。改正はそのうえで行うべきです。 自民党や民主党の政治家が扱う政治資金には,献金だけでなく年間300億円を超える政党助成金も含まれています。国民の血税の使い道にもかかわる,政治への信頼回復がかかった重い課題として,真摯に疑惑を解明すべきです。
Jan 24, 2007
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事務所費問題について,通常国会で政治家自身がどうすべきか問われています。大きく分かると5つの問題点があると考えております。 第一に,問題は現行政治資金規正法に照らしても違法・脱法の疑いがあるということです。政治資金の収支報告は「政治活動費」と「経常経費」に分けられています。「政治活動費」は,50,000円以上の支出に領収書の添付が義務付けられています。「経常経費」(事務所費,人件費,光熱水費,備品消耗品費)は領収書が不要です。したがって,「事務所費」も領収書は不要です。 問題の「事務所費」の内訳・定義は,地代・家賃,固定資産税,火災保険料,電話代,切手代,修繕料,その他これらに類する経費で事務所の維持に通常必要とされるものに限定されています。 「主たる事務所」を,家賃がただで電話代も東京都内分は税金でまかなわれている議員会館に置きながら,その「事務所費」が年間1,000万円を超える,なかには数千万円を超えるものもあります。現行法に照らしても,「事務所費」名目で1,000万円以上も計上されていることは不自然であって,違法・脱法の疑いがあるのは明白です。 伊吹文明文部科学相は,本来「政治活動費」に計上すべき飲食費を「事務所費」として報告していたことを自ら認めているわけですから,これは明白な現行法違反です。 第二に,国民が何を求めているかという点です。疑惑がかけられている以上,「事務所費」として計上した使途を公開すべきです。領収書は義務付けられていませんが,帳簿の保管は政治資金規正法上,義務付けられています。疑惑をかけられた政治家は帳簿を公表すべきだというのが,政治家としてのあるべき行動ではないでしょうか。 政治資金規正法第1条は,立法趣旨について,「政治活動の公明と公正を確保」するために法律をつくったとし,第2条には「(政治資金が)国民の浄財であることに鑑み」,「卑しくも国民の疑惑を招くことのないように」とあります。立法趣旨からいっても,家賃がただの議員会館を「主たる事務所」としている政治家が,1,000万円以上も「事務所費」を計上していることは,だれもが異常と思うのは当然で,公表すべきです。 第三に,事務所費問題には,伊吹文科相や松岡利勝農水相など,現職閣僚がかかわっています。安倍晋三首相がいうように,政治家個人の責任だといってすますことは許されません。安倍首相として責任をもって調査し,公表すべきです。 自民党も民主党も,中川昭一政調会長や松本剛明政調会長ら党幹部がかかわっており,政党としての自浄能力を発揮するかどうかが問われています。責任をもって調査し,政党としての責任を果たすべきです。 第四に,現行政治資金規正法の改正問題です。調べてみると,既に昨年11月29日の参院倫理選挙特別委員会で,日本共産党の井上哲士議員が事務所費問題をとりあげ,国民の信頼をうるために「事務所費」を含む「経常経費」も,領収書の写しを添付して透明性を高めるべきだと主張しています。その点で現行法のしかるべき改正が必要です。政治家自身が自らエリをたださないと,国民の理解は得られません。 最後に,国民が一番怒っているのは,政党の収入の多くが,国民の税金である政党助成金だということです。ところがその支出がいったい何に使われているのかはっきりせず,領収書もいらない,不透明だということに怒っているわけです。 政党の本部収入に占める政党助成金の割合は,2005年分で自民党は60.2%,民主党は83.6%です。国民の税金を収入の大半にしながら,「事務所費」は支出について領収書もいらないというやり方が問題です。 民主党の鳩山由紀夫幹事長が,事務所費問題は,「もともとは共産党が意図的に問題としてきた。議員会館に事務所費がかかるはずはないという作為的なレトリック(修辞法)だ」(1月19日)と日本共産党を名指しで非難していました。(1月20日付ブログ参照) 報道によると,民主党にも疑惑があるではないかと記者から問われ,あの問題は「共産党」が意図的に問題にしてきた,作為的なレトリック(巧言)だという言い方をしています。 しかし,政治資金規正法は,透明性を確保し,国民の疑惑を招くことがないようにとしています。その趣旨に照らし,領収書も不要で,使途がチェックできない巨額の「事務所費」を計上した事実が,疑惑を招くのは当然です。 鳩山幹事長は会見で,後ろめたいことはないとおっしゃったのだから,きちんと使いみちを国民の前に公表することこそすべきであって,「共産党」の指摘をレトリックと攻撃するのは,開き直りのレトリックです。 新聞のほとんどの社説で「国民の不信感を軽く見ているのではないか」,「仮に今の制度上は問題がないとしても,政治家には一段と高いモラルが求められているはずだ」と指摘され,これは,ほとんどのマスメディアの共通した主張です。自分たちの疑惑を指摘されたら,開き直るというやり方は正しい立場ではない。事実も示さないで,後ろめたいものはないといってやりすごすならば,事実も示さずに問題ないといっている伊吹文科相や松岡農水相などと同じ立場になりかねない。与党の疑惑を追及する資格が問われることになります。 この事務所費問題は,与党とか野党とかという問題ではなく,国民の血税によってそのほとんどをまかなっている政党・政治家が国民の前にきちんと事実を明らかにすべき性格の問題だと思います。 政治家として,まず今月の通常国会の場で事実,疑惑の解明を行うことです。その上で,必要な改正をやるべきです。問題なのは,いまの現行法が悪い,自分たちは悪いことはしていないという開き直りです。現行法に照らしても,違法・脱法の疑いが濃いことが問題の本質であって,この問題を明らかにすることを避けて,現行法に不備があるという開き直りを許してはなりません。 与党・野党という問題ではなく,自分たちの問題もただすという立場に立つのかどうかが問われます。
Jan 23, 2007
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今週半ばの1月25日から,安倍内閣最初の通常国会がスタートします。焦点のひとつが,小泉前政権から持ち越された,改憲手続き法案です。 国会開会を前に先週開いた自民党大会で安倍首相(自民党総裁)は「立党の精神に立ち返って憲法改正に取り組みたい」と述べました。運動方針では冒頭に,「憲法改正の実現を図るため,憲法改正手続き法案の早期成立を目指す」と謳いました。 通常国会は,改憲推進の姿勢をあらわにする安倍政権と,憲法を守り生かすことを願う国民との,大事な対決の場になります。 安倍首相は,憲法や教育基本法改悪を「戦後レジーム(体制)からの脱却」と公言してきた,根っからの改憲タカ派です。通常国会を前にした一連の発言は,改憲への異常な前のめりを感じさせます。 年頭所感では「本年は憲法が施行されてから60年。新しい時代にふさわしい憲法を,いまこそ私たちの手で書き上げていくべき」といいました。その後の記者会見では「私の内閣として改正を目指すことを,参議院の選挙でも訴えていきたい」と明言しました。 改憲の前提となるのが,通常国会での改憲手続き法の成立です。自民党の中川秀直幹事長は,「憲法記念日(5月3日)までに必ず成立させる」と言い出しています。 安倍内閣が改憲を推進するのは,国民が求めているからではありません。日本をアメリカとともに「海外で戦争をする国」にするために,九条などの改憲を求め続けているのはアメリカです。NHKの今年になってからの世論調査では,憲法を「改正する必要がある」は42%,半分にも届きません(1月9日放送)。マスメディアの調査では「改正賛成」が減り,九条をはじめ憲法の値打ちを見直す意見が増える傾向にあります。 安倍首相が前のめりになる背景には,タウンミーティングの「やらせ」や閣僚などの相次ぐ不祥事で支持率が低下するなか,政権を支持してきた改憲タカ派勢力の不満を解消し,支持の挽回を目指すという意図も指摘されています。しかしそんなことで改憲が推進されたのでは,それこそ国民はたまりません。 改憲を目指す安倍内閣は昨年末,教育基本法の改悪とともに,海外での活動を自衛隊の「本来任務」とする,「防衛省」法を成立させました。これまでの政府の説明も踏みにじって,集団的自衛権行使の「研究」も進めています。年初に米欧の軍事同盟であるNATO本部で演説した首相は,自衛隊の海外活動を「ためらわない」とまで断言しました。 しかし,何事も軍事一辺倒で解決しようというこうした態度こそ,軍事より外交の役割が大きくなっている世界の流れに反します。「海外で戦争をする国」になるための改憲の企ては,世界からも支持されません。 国民が望んでいるわけでも,国民のためになるわけでもない改憲を断念させるには,改憲反対の一点で国民世論を結集し,改憲タカ派内閣を包囲し孤立させることです。 民主党は,参院選挙では改憲問題を争点にしないと避ける姿勢で,対決軸を持ちません。もともとは自民党と改憲を競い,改憲手続き法案についても基本線で一致しています。国民は全国津々浦々で力を合わせ,改憲阻止のために全力を挙げる必要があります。国会内外での国民の闘いとともに,改憲阻止勢力である社民党,日本共産党の前進が改憲阻止の確かな力になります。 自民党がいう憲法は改正ではなく,「新憲法制定」に他なりません。自民党のホームページで彼らの「新憲法草案」をじっくり見てください。現憲法をベースにしているような言い方をしておりますが,その中身は現憲法とはかけ離れています。 本当に国民が望んでいることが,この「新憲法草案」で解決できるようには思えません。むしろ国民と政府がかけ離れ,格差社会,少子化社会は進み,国民の暮らしに明るい展望など見えてきません。 憲法を変えようとする勢力である自民党・公明党連立与党と民主党の躍進は,日本をドロ沼へと突き進むことになることを国民は正しく認識し,春の全国一斉地方選挙と夏の参議院選挙では国民の良識ある判断を期待したいと思います。
Jan 22, 2007
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大手菓子メーカー「不二家」の埼玉工場で,消費期限切れの牛乳を使ってシュークリームを製造していた不正が発覚してから10日が経ちました。大阪・泉佐野工場や北海道・札幌工場での不正も明らかになり,消費者の信頼が揺らいでいます。自治体や国の立ち入り検査が進められており,原因の徹底究明が求められています。 消費期限は,急速に劣化しやすい食品を対象に設けられています。製造日を含めておおむね5日以内の期間で品質が劣化する食品に表示されます。生ものを製造・販売する企業にとって,消費期限切れの原料使用は,腐敗する恐れのある食品を売るに等しい行為です。原料に期限切れを使用するだけでなく,泉佐野工場では,シュークリームの消費期限の表示を社内基準より延長していました。また,泉佐野工場で製造したプリンを期限表示せずに埼玉工場に移し,そこで消費期限を表示して出荷していました。 つまり,不二家では,「消費期限」のルールがあってないがごとく守られていませんでした。 札幌工場や埼玉工場では,国や社内の基準を大幅に上回る細菌を検出しているにもかかわらず出荷していました。細菌検査の記録に「無限」と書かれているものもあり,しかも菌の種類は不明です。 一連のずさんな衛生管理は,食品を扱う会社としての資格が問われます。 不二家の消費期限をめぐる衛生管理は,過去7年間にわたって常態化していました。今回発覚した消費期限切れの原料使用は,昨年10月から11月にかけての事件で,当時から社内ではわかっていました。それを2ヶ月も隠していました。12月のクリスマス商戦で洋菓子をひとつでも多く売るためです。 社長は,辞任表明の記者会見で,隠ぺい体質の原因を問われて,「営業優先だとか長年のリストラによる社内の閉塞感だとか,いろいろ要因があると思う」と述べています。 食の安全や労働者を犠牲にして,企業の利益を最優先する体質が,今回の事件を招いたことは明白です。 昨年秋に発覚した際,外部に公表されれば,「雪印の二の舞いになる」と不祥事を隠したとされていますが,逆に公表しなかったことが社会の批判を浴びて,製品が店頭から撤去される事態を招いています。食の安全を最優先に正直に公表すれば,消費者の力でずさんな衛生管理にも目が向けられ,企業も体質の改善に一歩でも踏み出すことができたのではないでしょうか。 食の安全をめぐる株主の訴訟で,裁判所が早期の事実公表や回収を怠った企業の注意義務違反を認める判決を出していることを直視すべきです。 国民の命や健康,安全をないがしろにして,企業の利益を追求する姿勢では,消費者から信頼を得られません。ひいては,企業の利益にもなりません。消費期限切れ原料の使用が発覚した直後から,不二家製品の撤去が始まり,経営にも影響を与えた事態は,そのことを強く感じさせました。 法令順守は,企業の社会的責任の初歩の初歩です。不二家のような老舗の大手企業が,ずさんな衛生管理を長期にわたって続けていることを放置してきた国の責任も重大です。健康被害が出てからでは遅すぎるのです。
Jan 21, 2007
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神奈川県横須賀市の「原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会」は,原子力空母母港化の是非を問う住民投票条例を求める37,858人分の署名を蒲谷亮一市長に提出しました。これをうけて蒲谷横須賀市長は条例制定の可否について,2月上旬に招集する市議会にはかることになります。 政府も横須賀市長も,市民の頭越しで一方的に原子力空母の母港化を決めました。特に蒲谷市長は「原子力空母ノー」を公約に掲げて当選したにもかかわらず,母港化を認めました。市民がこの一方的決定に反発し,みずからの意思で判断したいと主張し住民投票条例の制定を求めるのは当然のことです。 原子力空母の母港化は原潜の短期間の寄港と違って,1年の半分は横須賀港に停泊し,ここを世界各地に“殴り込む”本拠地にすることを意味します。 核事故の危険が大きくなるのは避けられません。日米両政府がいくら核事故は起こらないと言っても,寄港を繰り返している米原潜が現に放射能漏れをはじめとした核事故を起こしていることは,周知の事実です。 原潜ホノルル号が昨年横須賀港を出ようとしたとき,放射性物質を漏出させたにもかかわらず,政府は究明を拒否しました。佐世保港(長崎県)やホワイトビーチ(沖縄県)での放射能漏出事故も曖昧にしました。1999年には横須賀配備空母と同型の空母ジョン・C・ステニスの核事故も起きています。政府の核事故隠しを放置したまま母港化を許すのは恐ろしいことです。市民が自ら原子力空母の母港化の是非を判断したいと願うのは当たり前です。 原子力空母の母港化を認めることは,在日米軍の“殴り込み”機能を強め,不法不当なアメリカの先制攻撃戦略を支える役割を認めることにつながります。母港化を拒否することは戦争をおこさせないという憲法九条を守る行動でもあります。 蒲谷市長は市議会に条例制定の可否を諮る際,原子力空母母港化は「国と国との問題で,住民投票はなじまない」との意見書を添えると述べています。憲法の地方自治の原則を全く理解しない発言です。 憲法は内閣の事務として外交関係や条約の締結を謳っています(73条)が,基地問題を規定はしていません。「国の専管事項」論は虚構です。地方が押し付けられるいわれはありません。 憲法は地方自治の原則を明記しています。それは地域の住民が「平和のうちに生存する権利」を保障するのが目的です。政府が住民を無視して平和的生存権を奪うなら,住民は地方政治に意思を反映し,自治体を通じて政府の施策にものをいう権利があるのです。 基地の街で36万の有権者のうち37,000を超える署名が集まったこと自体,原子力空母の母港化について「自分で決めたい」との願いの強さをあらわすものです。市長も市議会も市民の思いを正面から受け止め,住民投票条例の制定に踏み切るべきです。 住民の意思に従い,国政に反映させる立場こそ地方自治体のあるべき役割です。住民投票は市民が意思を示す不可欠の手段です。市長が拒否するのは許されません。 議会は地方自治の原則にもとづき,原子力空母の母港化の是非について市民が意思を表明する機会を保障する責務があります。
Jan 20, 2007
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民主党と自民党が相次いで党大会を開きました。各新聞の報道では,特に民主党について,「与党との違い示せるか」(「読売」1月17日付),「安倍vs小沢 決め技欠き」(「毎日」同)などのように,自民党との「対抗軸」を示せなかったという厳しい評価がほとんどです。 東京で発行されている各新聞の社説(1月17日付,「毎日」は1月18日付)を見ても,「朝日」や「毎日」,「東京」は,「自民対民主 目をそらさずぶつかり合え」(「毎日」),「民主党 逃げずに真っ向勝負を」(「東京」)などと,民主党に自民党との「対抗軸」を求める立場から,民主党について論じています。逆に,「読売」や「日経」,「産経」は,民主党に“対決”よりも同調を求める立場で,「『対決』だけでは信頼は得られない」(「読売」),「民主党は政策で勝負せよ」(「日経」),「野党共闘優先で良いのか」(「産経」)と主張しています。 これらの新聞が民主党に自民党との“対決”を求めるのも,逆に自民党への一層の同調を迫るのも,民主党に明白な「対抗軸」がないことの反映ですが,マスメディアに求められるのは,まず正しい事実を伝え,国民・読者に選択肢を提供することです。自民か,民主かと,「二大政党」の枠からだけ見るのではなく,改憲にせよ,「構造改革」にせよ,国民にとっての重要問題で各党の態度はどうか,その違いはどこにあるのか,問題の本当の対決軸は何かなど,国民に判断材料を提供することこそ,マスメディアの使命です。 いま国政の重大問題になっている改憲でも消費税増税でも,民主党が自民党に対しはっきりした「対抗軸」を持たないのは明白です。それを承知で「対決」をいうだけでは,民主党への間違った“期待”を煽り,国民・読者を誤った方向に導くことにしかなりません。 そうしたなかでも「朝日」の社説は異様です。「民主党 菅氏で首都決戦を挑め」と,民主党代表代行の菅直人氏の名前まで挙げて,都知事選をたたかうよう迫っています。 民主党に“野党らしさ”を求めることと,特定の候補者まであげて選挙のお先棒を担ぐこととは,全く次元の異なる問題です。新聞が特定政党の特定候補を支持するとなれば,それは新聞倫理綱領で「正確と公正」を謳い,「新聞は(中略)あらゆる勢力からの干渉を排するとともに,利用されないよう自戒しなければならない」と「独立と寛容」を求めた,マスメディアの則(のり)を踏み越えることになります。 東京都政でみても民主党は,自民・公明とともに「オール与党」の一員となり,石原都政を支えています。石原知事自身,民主党の独自候補擁立の方針について,「是々非々やってて,民主党だってほとんどの案件に賛成してくれてるんじゃないの」(昨年11月)と語っている有様です。その民主党に対立候補を立て「首都決戦」をと求めるのは,それこそ「木に縁(よ)りて魚を求む」(木に登って魚を得ようとするの意)ことになる,筋違いの議論です。 近年,このブログでも警戒していたように,日本のマスメディアでは,自民か,民主かと,人為的に「二大政党」の対決を煽り立てる報道や論評が強まっています。全国一斉地方選挙と参院選挙のふたつの選挙を目前に控えた今日,その害悪はいよいよ重大です。心あるジャーナリストからは「日本ではたとえば憲法に関して,自民党と民主党という対立とは別の軸があるのに,そういう軸では語られない。戦わされるべき理念の違いを突き詰めて考えようという伝統が日本の政治報道に欠けているのではないでしょうか」という反省が聞かれるようにもなっています。 マスメディア,とりわけ大新聞が,政治報道のあるべき姿に立ち返り,国民の立場に立った報道・論評を貫くことが求められます。国民はマスメディアの策略に騙されることなく,各政党の本質を見極めて,国民のための政治をしてくれる政党に票を投じて欲しいものです。
Jan 19, 2007
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シンガポール紙・聨合早報1月12日付は,「安倍は今年,『猪突猛進』しようとしている」と題する同紙元論説委員・コラムニスト,黄彬華氏の論評を掲載し,改憲に執念を燃やす安倍首相の政治姿勢に対し強い警戒心を表明しました。 論評は,安倍首相が年頭から「『美しい国』の目標に向け勇気を奮い起こす」,「憲法改正をめざす」と述べたことに触れ,「タカ派本来の面目を現しつつある」と指摘。小泉政権の時のように「日本がまた,『世界の問題国家』になる可能性がある」と述べています。 また,「自民党は5年以内に『平和憲法』を廃棄すると宣言している。『教育改革』や『防衛庁の省への昇格』,『国民投票法』制定の目標は,『平和憲法』を除去する道を開くためのものだ」と指摘。「安倍氏の政治目標は,日本が『戦後状態』から脱け出して,(戦争ができる)『普通の国』になることだ。憲法第九条は戦争と武力の放棄を宣言しているが,安倍氏は首相就任後,自衛隊に国家の軍隊の地位を与える『防衛庁昇格法案』をただちに成立させた」と述べています。 論評は,「日本の主要政党の自民党と民主党の間に左右や保守と革新の区別はない。政党では(改憲)反対勢力は,日本共産党と社民党だけである」と指摘しています。 世界の目から見ても,自民党と民主党の差はないと感じられるにもかかわらず,日本のマスメディアはこの違いをあえて指摘していません。「二大政党制」などと自民党と民主党の対決を煽る報道をしていることが残念でならないです。
Jan 18, 2007
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「民主党の格差是正策は,自民党の『二番煎じ』ばかり。『逃げ』と『バラマキ』,無責任のオンパレードです」。 自民党は1月17日の党大会で,民主党の「年金政策」「農業政策」「格差是正策」などを批判する,資料を配布しました。 資料は党広報本部発行の『自民党 FAX NEWS』(A4判)。国会議員,衆参選挙区・比例区支部長宛てで,「必ず,本人がお読み下さい」とわざわざ注がついています。 年金問題では,民主党が消費税の福祉目的税化を掲げながら,消費税を現行5%で維持すると主張していることを攻撃。かつて民主党が年金財源として消費税率を3%程度引き上げると主張していたことをあげ,「国民に何の説明もなく,制度の根幹部分を変更するのは無責任ではないか」「(民主党案では)税率は今より12%もはね上がり,一気に17%になってしまいます」という具合です。 消費税の福祉目的税化が消費税率の引き上げにつながることを突いたものです。しかし,当の自民党も,参院選後には消費税率引き上げについて議論を本格化させようとしており,そのことは棚上げしています。 民主党が準備している「格差是正緊急措置法案」もやり玉に。「正規・非正規社員の均衡処遇」や「パートタイム労働者への社会保険の適用拡大」は,政府,自民党・公明党連立与党としても既に検討しているとして,「民主党の格差是正策は二番煎じのオンパレード」と皮肉っています。 民主党は通常国会で「格差是正」を最大の争点にしようとしていますが,それを自民党から「自民党が既に対策を講じようとしている内容」と指摘された格好です。 「格差と貧困」を広げてきた大きな原因のひとつは,相次ぐ労働法制の改悪などです。配布資料では,この自民党自身の責任については全く不問に付したまま。民主党にしても,労働者派遣の対象業務の原則自由化などに自民党とともに賛成してきました。 参院選を意識して民主党を攻撃する材料の提供が狙いでしょうが,こんな自民党の資料からも,自民党と民主党の違いのなさがはしなくもあらわになっています。自民党と民主党はもともとひとつで,主導権争いの結果,自民党のひとつの派閥が独立して「民主党」と名乗っているようなもので,国民は両党の違いがないことをよく知る必要があります。 「二大政党制」とマスメディアが取り上げたとき,マスメディアの分析能力を疑いましたが,これが財界やアメリカの策略と分かり納得もできました。どっちに転んでも,財界やアメリカ優先の政治になるように仕組まれた「国民騙し」なのです。 本質的にも同じなのだから,政策も,法案も同じようなものになるのは当然です。違うのは手法くらいです。他党を批判して,自らの失政を反省しない自民党の横暴ぶりには少し呆れます。 今の財政難も,格差問題も,もともと自民党の失政によるもので,これを反省し改める気配すらないことに驚きを隠せません。
Jan 18, 2007
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安倍晋三首相は1月16日夜,ホワイトカラー労働者を何時間でも働かせて残業代も払わない「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」(労働時間規制の除外制度)を導入する労働基準法改正案について,「今の段階では難しい。(国民の)理解を得られていない」と述べ,1月25日召集の通常国会への提出断念を表明しました。首相官邸で記者団の質問に答えました。 首相は,「働き方の問題だから,国民の理解が不可欠だ」「働く人たちの理解がなければうまくいかない」と述べる一方,「サービス残業が増える,助長する形になってはならない」とも述べました。 同法案は,全労連や連合など労働者が強く反対し,使用者のなかにも反対意見があるにもかかわらず,日米財界の要求に応えて政府が強引に提出を目指していたもの。反対世論と運動が広がるなか,自民党・公明党連立与党内からも「参院選を前にサラリーマンを敵に回す」などと慎重論が広がり,自民党の中川秀直幹事長は1月16日の記者会見で「国民の理解が十分とは言えない」と提出は困難との認識を示していました。 同制度は,一定条件のサラリーマンを,1日8時間・週40時間の労働時間規制の対象外にして,残業代を払わない制度。長時間労働を一層深刻にするとともに,1人あたり114万円の残業代が消えてしまうと試算されています。もともとこの法案を長時間労働野放し・残業代取り上げ法案であり,本当に国民のことを考えれば,法案提出自体を許されない法案です。安倍首相が法案提出は困難と述べたことは,それほどこの法案がひどい中身のものであることを問わず語りに示すものです。今国会への提出をしないことはもちろん,参院選後に持ち出そうとする動きを含めて完全に断念させるために,春の全国一斉地方選挙と参議院選挙では国民はきちんと意思表示するために自民党・公明党連立与党と同法案に賛成している民主党に「ノー!」としなくてはいけません。 最近の自民党・公明党連立与党の傾向として,国民にとって負担増・増税になるような法案や政策を,選挙前に出さず,選挙期間中はそれらが選挙争点にならないよう隠し,選挙が終われば平気で国民の負担増・増税を押し付ける。まさに「国民騙し」以外なにものでもありません。 民主党の小沢一郎代表が「身近な問題」を争点にすると述べるなど,民主党は,憲法問題では,自民党との対抗軸が全くない。そのため,憲法問題を避ける意味で『身近な問題』といっているに過ぎません。 『身近な問題』についても,たとえば民主党は,格差問題を争点にするというが,格差問題の土台には市場主義万能の『構造改革』路線があります。その促進を,自民党・公明党連立与党と競い合ってきたのも民主党です。その上で,民主党は,身近な問題でも自民党との対抗軸はないが,とりわけ憲法問題など国政の基本にかかわる問題では,どちらかがよりましとはいえないものです。2003年の民主党と自由党の合併以来,もう一つの保守党,自民党ができたに過ぎません。その実態が,国会でも地方議会でも「オール与党」,「候補者乗り合い」で浮き彫りになっています。 今年の選挙は,選挙に加速する,憲法改悪(新憲法制定),増税・負担増の一層の押し付け,大企業減税,米軍再編に伴う国民負担増,などが主な選挙争点ですが,自民党・公明党連立与党そしてこれらに賛同している民主党は,選挙期間中は決して選挙争点にしたがりません。「二大政党制を問う」ということでマスメディアも使って宣伝してくることは間違いありません。 国民が騙されることなく,自分たちのための政治を取り戻すための選挙になることを期待します。
Jan 17, 2007
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耐震強度偽装事件に続き,昨年末には“最新の耐震基準で建てられたマンションの7%に耐震性不足の疑いがある”という国土交通省の調査結果が発表され,マンション住民に不安が広がっています。死者の80%以上が住宅の倒壊で命を落とした阪神・淡路大震災から12年。耐震改修等の促進へ行政の対策が急がれます。 国土交通省の発表などによれば,2005年10月現在で,マンションの耐震診断に補助を実施しているのは全国で20特別区127市35町,耐震改修に対する補助は5特別区47市17町です。地域格差が大きく,実施市町村の割合が多いのは,阪神・淡路大震災を経験した兵庫県(全市町村で実施)や大阪府,また,地震に対する住民の不安が強い東京都(首都直下型地震),静岡県・岐阜県(東海大地震)の他は,滋賀県など一部に限られています。 特に深刻なのは,耐震補強の必要性が高いマンションの多い地域でも,補助を実施していない自治体があることです。阪神淡路大震災では,1981年6月に耐震基準が改正される以前の旧耐震マンションで,1階が駐車場など壁のないピロティ形式の建物や,一階が店舗や事務所など構造のバランスが単純でない建物にマンションの倒壊が集中しました。総務省の住宅・土地統計調査(2003年)から推計すると,旧耐震マンションは大都市部,とりわけ三大都市圏(首都圏,近畿,東海)に多く,マンション戸数に占める割合も,千葉県(35%),京都府(34%),大阪府(32%),東京都(30%)などが全国平均(25.5%)を上回り,上位を占めています。 このようなマンションの分布を反映し,東京23区や政令指定都市の多くが耐震診断・耐震改修に対する補助を実施しています。しかし,東京23区でも,品川,豊島,荒川の3区,政令指定都市でも,京都市,北九州市には補助がありません。地域のマンションの実態にふさわしい補助を実施しているか,すべての自治体で検証が必要です。 もちろん,行政の補助がなくても,住民自身の負担で耐震診断・耐震改修を行うマンションもあります。総務省の統計でも,東京都,神奈川県に加え,兵庫県,大阪府,そして絶対数は少ないものの静岡県などで,耐震改修を行ったマンションの割合が増えています。そこには,住民の防災意識の強さが反映しています。 阪神淡路大震災の被災マンションがいまだに再建途上で残されているように,被災後のマンションの復旧・建て替えは建物を共有する住民の合意形成が難しいだけに,地震に備えて耐震改修等をすすめておくことは重要です。 ただ,マンションの耐震改修には,費用負担とともに,住民の合意形成がハードルとなります。このため,“行政の補助はマンションが耐震診断・改修をすすめる上で強い後押しになる”と,多くの管理組合役員や,現場で耐震補強にとりくんでいる専門家・実務家は指摘します。実際に,1998年から国や全国に先駆けて無料で簡易耐震診断を行ってきた横浜市は,旧耐震マンションの88%が診断を終えています(「朝日」1月7日付)。 今後の課題としては,耐震診断に対する補助だけでなく,耐震改修に対する補助なども実施・拡充し,耐震性に問題ありと判定された場合に耐震改修工事にスムーズに進めるような環境を整備することが必要です。また,現在の国の補助制度は,建物全体を新しい耐震基準に完全に適合させる工事だけが対象となっています。これを,ピロティ部への壁の増設など,建物の一部補強も対象に加えるなど,利用しやすくすることも必要です。 世論に押され,今では国も,補助を実施する自治体を財政的に支援しています。来年度も,マンションの耐震改修工事に対する補助率を一部引き上げる方針です。しかし,自治体が補助を実施していない地域の住民は利用できません。 昨年4月には宅建業法の施行規則が改正され,旧耐震マンションの売買・賃貸時には耐震診断の実施の有無とその結果について説明が義務づけられました。これは今後,耐震診断・耐震改修をしていない旧耐震マンションへのペナルティーとなります。しかし,旧耐震マンションも建設当時は法令を順守していたのであり,いま,住民だけが不利益を背負う筋合いはありません。行政もふさわしい責任を果たすべきです。 マンションの耐震補強の有効性は多くの専門家の指摘するところであり,建物を長持ちさせるためにも必要です。すべてのマンション住民の不安にこたえ,国と地方自治体が連携して,耐震診断・耐震補強に対する公的支援を強めることが重要です。
Jan 17, 2007
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東南アジア諸国連合(ASEAN,10ヶ国)プラス日中韓の首脳会議(ASEAN+3)に続いて,インド,オーストラリア,ニュージーランドも加わった第2回東アジア首脳会議が開催され,新しい枠組みが具体的な一歩を踏み出しました。両々あいまって,平和と共存の東アジア共同体に向けた協力を強めることが期待されます。 東アジア共同体への努力は,社会体制,民族,宗教,文化,経済発展などがきわめて多様な,世界人口の半数を擁する地域で,域内貿易が5割を超えるなど相互依存を強め,成長が世界で最も著しいなかでのとりくみです。その特徴は,重層的な枠組みで知恵と経験を集積し,一歩一歩合意を図りながら前進していることです。 ASEAN+3は,10年来の積み重ねのうえに,多分野の経済協力拡大,「チェンマイ・イニシアチブ」による通貨スワップ(交換)や「アジア債券市場」構想を進めています。災害や鳥インフルエンザなどへの対策でも協力を強めています。 東アジア首脳会議は今回,エネルギー安全保障での協力を宣言するとともに,経済協力の方途を検討しました。北朝鮮の核実験に対しても「重大な懸念」を表明し,「拉致問題など国際社会の安全保障上,人道上の懸念」に応えるよう求める議長声明を発表しました。 こうした東アジア協力の「推進力」が,40年の歴史をもつASEANです。ふたつの首脳会議に先立って開かれたASEAN首脳会議は,「ASEAN+3が東アジア共同体実現に向けた主たる手段であることを再確認」し,ASEAN自身の共同体を,2015年までにつくりあげると決めました。これまでの予定を5年繰り上げ,政治・安全保障,経済,文化・社会の3分野で「いたわりと分かち合いの共同体」へ地域統合を進めることにしたものです。 先行するASEANのイニシアチブをもとに,ASEAN+3の実績を生かしつつ,東アジア首脳会議で議論して進む関係です。 東アジア首脳会議は,「共同体創設」にむけ「既存の地域機構を補完する」(同議長声明)ことになっています。今回,エネルギー協力を中心テーマにしたのは,欧州統合のはじまりがエネルギー協力だった経験を参考にしたともとれますが,そこには,多くの国が大国の支配,圧力に抗して独立,発展してきたアジアならではの知恵が働いています。 なかでも大事なのは,東南アジア友好協力条約を東アジア協力の土台にすえていることです。 東アジア共同体への努力は,国連憲章にもとづき,軍事同盟によらない新しい平和の国際秩序づくりに向かっています。 アジア各地に形成されつつある共同体は,国連憲章にもとづく平和秩序,各国の主権の尊重と内政不干渉,紛争の平和的解決,公正で民主的な国際経済秩序,異なる社会体制や文明間の対話と共存などを,共通の立場としています。これらの方向にこそ,アジア諸国民の平和,友好,進歩,繁栄を保障する大道があります。 平和のアジア共同体を実現し,21世紀を「戦争のないアジア」とするために,アジアの人々と力をあわせることが求められています。
Jan 16, 2007
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安倍首相が,年頭の記者会見で「少子化に対抗する本格的な戦略を打ち立てていく」と述べています。少子化傾向に歯止めがかからず,昨年末には,50年後の合計特殊出生率の推計を,前回(2002年)の1.39から1.26へと下方修正せざるをえませんでした。少子化傾向をどう克服していくのか,安倍政権に問われます。 少子化をめぐっては,発達した資本主義国でも「女性の就業と出生率」との関係が問題とされてきました。20年以上前には,女性の就業率が高い国ほど出生率が低い傾向がありました。しかし,いまやその傾向は過去のものになり,むしろ,反対に,多くの女性が働いている国では出生率も高い傾向がみられるようになってきました。仕事と家庭の両立支援や経済的支援が積極的にとられるようになってきたからです。 3回目を迎えた内閣府の少子化社会白書は,毎回,海外の動向を伝えていますが,3年間で顕著な変化がみられます。最初の2004年版では「ほとんどの先進国で少子化傾向」と書いていました。それが,2005年版では「少子化が進展する中で変化があらわれている」として,スウェーデン,フランスの出生率の回復に焦点をあてました。2006年版では,日本と並んで低い出生率だったドイツとイタリアの出生率回復傾向を踏まえ,「多くの国で上昇傾向がみられるようになった」と書いています。 白書が紹介する欧米諸国等22ヶ国のなかで,出生率が回復しないのは日本だけとなっています。 欧州諸国では政府が展望をもって政策を進めています。たとえばドイツでも経済的支援と保育所など基盤整備,家族と過ごす時間の確保という3つの要素を混合した政策の実施で,2015年までに出生率を1.34から1.7程度まで回復できるとしています(2006年版白書)。2005年1月から保育所設置促進法を実施し,政府から地方自治体への補助を強化するなど保育サービスを充実させ,この1月からは育児休業中の所得保障を賃金の67%(月上限約28万円)に引き上げる「親手当」制度を導入しました。支給期間は最長12ヶ月で父親が取得すれば2ヶ月延長できます。新年早々「親手当」導入を報道した(1月3日付)によれば,失業中の親にも失業手当に加え約47,000円の手当が支給されるといいます。 日本では育児休業の所得保障の4割から5割への引き上げが検討されているものの,暫定措置にとどめようとしています。 既に,若者と女性の2人に1人が非正規雇用で,偽装請負やサービス残業が横行する日本では,仕事と家庭の両立支援どころか,家族の生存の基盤さえ奪われています。少子化傾向に歯止めをかける土台が崩れているのです。これを正す取り組みに抵抗して,政府と財界は,残業代を取り上げ,長時間労働を野放しにする「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入を押し付けようとして,国民から批判を受けています。 政府が,雇用と暮らしを破壊する政策を進めるのでは,子どもを産み育てようという意欲すら生まれてきません。ブログでしばしば主張しているように,国民の暮らしを支え,人間らしい生活を取り戻す政治,経済,社会への転換こそ,急激な少子化傾向に歯止めをかける道です。 首相が,“本格的な戦略”をいうなら,国民に希望と展望を示すべきです。
Jan 15, 2007
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安倍首相は日本の首相として初めて北大西洋条約機構(NATO)の意思決定機関である北大西洋理事会(NAC)で演説し,NATOとの安保協力の方針を表明しました。 「世界のなかの日米同盟」路線に基づき戦争することができる態勢づくりを強めつつある日本と,米・欧諸国の軍事同盟であるNATOとの安保協力は,孤立を深めているブッシュ政権の世界戦略を活性化させる役割をもちます。安倍首相の方針は,日本の憲法九条をふみにじり,国連の平和秩序を脅かすことは避けられません。 驚くのは安倍首相が,「自衛隊が海外での活動を行うことをためらいません」と明言したことです。世界のどこにでも自衛隊を派兵すると宣言したのも同然です。 「憲法の諸原則を順守しつつ」といいますが,それこそ憲法が世界各地で自衛隊が軍事活動するのを認めているかのようにいうものであって,戦争することを禁止し武力による紛争解決を禁じた憲法九条の先駆的意義をおとしめるものです。 憲法九条をもつ日本が,集団的自衛権を行使し軍事介入するNATOと協力関係を結ぶこと自体許されるはずがありません。 安倍首相の方針はNATOとの戦略対話という範囲にとどまらず,軍事分野での協力にまでおよんでいます。アメリカのアフガニスタン報復戦争支援としてインド洋でおこなっているNATO諸国軍などの艦艇への燃料補給活動だけでなく,NATO軍がおこなっている治安作戦についても「支援の強化」を表明しました。「非合法武装集団解体」も実施するといっています。 昨年5月,同じ場所で麻生外相が「最後には政策協調のみならずオペレーショナルな面もどのような協力が可能かを見つける」と述べたことと重ね合わせると,「条約なき軍事協力」に向けた動きを加速しているのは明白です。ブッシュ大統領は昨年11月のNATO首脳会談に先立つ演説で,NATOに日本との「統合訓練・演習,共通防衛計画の立案」にあたらせると述べています。 安倍首相は国連憲章についてはいっさい言及せず,もっぱら日本とNATOが世界的課題の主役であるかのように述べています。「グローバルな課題の解決に向けた責任感を共有」といい,「互いに持てる能力を発揮しともに行動する必要がある」とNATOを説得さえしています。 NATOはイラク戦争ではフランスやドイツなどが反対し,アフガニスタンでも激戦地の南部に戦闘部隊を送ることを拒否する国もあって,アメリカが求めるような機能を発揮できる状況にはありません。そのためブッシュ政権はNATOとその他の「機構間との協力を深めなければならない」(2006年3月「米国家安全保障戦略」)といい,NATOの機能強化をはかりつつあります。 首相の演説はアメリカ政府の意向を代弁し,NATOにその軍事機能の強化を促すものであることは明らかです。 世界平和の課題は国連憲章にもとづき国連を中心にすすめるべき問題です。仮想敵国をもつ軍事同盟を強化することは戦争のない世界をつくるうえで有害無益です。いま世界は軍事同盟の時代から平和の共同体の時代に大きく変わりつつあります。 憲法を生かして世界の平和の流れに合流することこそ日本が進むべき大道です。
Jan 14, 2007
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家賃がいらないのに,事務所費が年間数千万円にも。伊吹文明文部科学相や松岡利勝農水相,中川昭一政調会長らが,資金管理団体の「主たる事務所」を東京・永田町の衆参の議員会館に置きながら巨額な「事務所費」を計上していた問題は,その顔ぶれからも安倍内閣を揺るがす大問題に発展してきました。佐田玄一郎前行政改革担当相は,関連政治団体の不正経理疑惑ですでに辞任に追い込まれましたが,この問題で何が問われているのか。 政治団体の支出は別表のように経常経費と政治活動費に大別され,事務所費などの経常経費は総額を報告するだけでよく,領収書もいりません。このため,これまでも,政治資金のブラックボックスと指摘されてきました。今回の問題の核心は,家賃がタダの議員会館に事務所を置いているのに,事務所費が年間数千万円にもなるのはおかしいということです。 事務所費に含まれる電話の基本料金や東京都区内の通話料金は議員会館の場合,税金で負担され,自民党関係者からも「切手など通信費を入れてもこんな額にはならない」という声があがっているのも当然です。 このため,伊吹氏らはあれこれ弁明に努めています。 たとえば,伊吹氏は「東京と京都にある事務所の賃料を(資金管理団体の報告書に)計上していた」と説明しています。 ところが,調べてみると,京都にある政党支部など3つの団体も,東京の国会近くのマンションにある政治団体も,それぞれ「事務所費」を計上していたことがわかりました。 「事務所費」が伊吹氏に次いで多い松岡農水相も「事実を正直に積み上げた結果だ」といっています。 しかし,調査によると,2004年に議員会館内にある資金管理団体と,地元・熊本県菊陽町の松岡利勝後援会はあわせて約4,300万円の事務所費を計上していますが,判明した地元3ヶ所の事務所の家賃を合計してもせいぜい年間360万円程度だということがわかりました。家賃を除いた4,000万円近い金は一体何に使われたのかという疑問がうまれてきます。 伊吹氏は,「飲食を含む会合費としても300万円-400万円かかっている」,「政治活動をしていくうえで必要な食料費,冠婚葬祭費用」ともいっています。「事務所費」が3番目に多い中川政調会長も事務所費に飲食代が含まれていることを認めました。 しかし,飲食代や冠婚葬祭費用も,政治活動費の「組織活動費」のうち,交際費などとして計上されるべきものです。 「事務所費」に飲食代を潜り込ませたという伊吹氏や中川氏の説明は,政治資金の流用を自ら認めていることになります。 伊吹氏らは,「違法性はない」と開き直っています。民主党の松本剛明政調会長も1,866万円の事務所費を計上していますが,菅直人代表代行は,「松本氏が鳩山由紀夫幹事長に説明し,鳩山氏は問題がないと判断したと聞いている」とお構いなしの様相です。 しかし,政治資金規正法は基本理念で「政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることに鑑み,その収支の状況を明らかにすることを旨」とすると述べ,資金の流れを国民の前にガラス張りにし,国民の不断の監視と批判を仰ぐことを目的として掲げています。 国民の前に報告することが求められる支出を隠しておいて,「違法ではない」「問題ない」といういい逃れは通用しません。 ましてや,日本共産党を除く各党は,国民の税金である政党助成金を年間300億円以上も分け取りしているのですから,多額の「事務所費」の使途を明らかにする責任があります。 安倍首相は伊吹氏らから「法にのっとって,適切に処理していると報告を受けている」と人事のようにいっています。しかし,自ら任命した閣僚や政権中枢にかかわる疑惑の解明に正面から取り組むことが求められています。政治資金規正法の改正こそ,教育基本法や憲法より先に議論され,改正されるべきです。 国会議員が自らエリを正してから,国民の負担増や増税を議論して欲しいものです。
Jan 13, 2007
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政治資金を巡る疑惑が安倍政権全体と自民党執行部を覆う事態になりました。 昨年末,辞任に追い込まれた佐田玄一郎前行革担当相の疑惑に続いて,年明けから松岡利勝農水相の政治資金の記載漏れと口利きの疑惑が指摘されました。同相と伊吹文明文科相らが賃料の要らない衆院議員会館での「事務所費」として3,000万円から4,000万円の「経費」を計上していたことが政治資金収支報告書(2005年分,下表)より明らかになりましたが,1月10日には伊吹氏が弁明の会見を開きました。自民党の中川昭一政調会長も同様の「経費」計上を行っています。 本来必要のない支出を「事務所費」として計上していたのは,それが政治資金規正法で領収書の要らない項目とされており,使い道を明らかにしないですむからで,制度の「抜け穴」を悪用したものに他なりません。 自民党は,企業・団体から巨額の献金を受けたうえ,国民の税金からばく大な政党助成金を二重取りしています。そのうえ制度の「抜け穴」を利用して使途を示せない巨額の支出をするなど到底許されません。 安倍首相と伊吹文科相は先の臨時国会で強行した改悪教育基本法の審議で,子どもに「規範意識」を持たせるよう繰り返し強調しました。しかし,伊吹氏は会見で「政策集団の長となると,領収書を取れないものもある」などとあけすけに発言。問題を「問題」として認識することすらできない「規範意識」の欠如を示しています。文科相としてはもちろん,国会議員としての資質が問われます。 安倍首相はこの間,「個別の事案の詳細は担当大臣に聞いていただきたい」(1月5日)などと述べ,首相外遊中の1月10日には塩崎恭久官房長官が「政府としてコメントしない」とするなど,真相解明の責任を回避する態度をとり続けています。 しかし,政治とカネをめぐる疑惑は政治家としての資格にかかわる問題です。国会で解明がなされるべきことは当然ですが,政権と党執行部を覆う疑惑について安倍首相自身が率先して真相解明し,自らの任命責任を明確にすることは当然です。佐田氏の辞任の際には,自らの「任命責任」に言及していただけに,今回の対応が一層問われます。 同様の疑惑は民主党にも飛び火しています。松本剛明政調会長も議員会館を資金管理団体の「主たる事務所」にしながら1,886万円もの「事務所費」を計上していました。政治家,政党として責任を取るべき事は自民党と同様です。 野党として政権を追及していくには,自ら厳しく律して,足場をしっかりしない限り,結局与党を利することになるのは,昨年の同党の永田寿康議員の偽メール事件からも明らかです。 民主党も野党ポーズを取っている以上(皮肉を込めて…),自民党と同じような脱法的なことをやっていると国民からは支持されません。民間で当たり前にやっていることが,秘書を何人もいる政治家にできないとは思えません。民主党が自民党・公明党連立与党政権に対して,野党として追求をしていく以上,自らが追求されるようなことがないよう改善してこそ,「野党を語って」欲しいと思います。 これでは野党を騙(カタ)っているとしか私自身には思えません。〔表〕「事務所費」1000万円以上を計上している議員伊吹 文明文部科学相 4,146万円松岡 利勝農水相 3,359万円中川 昭一政調会長 3,096万円鈴木 俊一元環境相 3,012万円金田 勝年前外務副大臣 2,849万円亀井 静香国民新党代表代行 2,418万円松本 剛明民主党政調会長 1,866万円武田 良太衆院議員(無) 1,588万円江藤 拓衆院議員(無) 1,487万円加納 時男参院議員 1,416万円衛藤 征士郎元防衛庁長官 1,409万円佐藤 昭郎参院議員 1,388万円遠藤 利明文科副大臣 1,313万円中山 太郎元外相 1,238万円小坂 憲次前文部科学相 1,192万円保岡 興治元法相 1,185万円滝 実新党日本総務会長 1,141万円加藤 紘一元自民党幹事長 1,041万円※金額は万円以下切り捨て。政治資金収支報告書(2005年分)で作成。「無」は無所属
Jan 12, 2007
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ブッシュ米大統領は,イラク戦争を最大の争点にした昨年の中間選挙で大敗し,見直しを迫られてきたイラク政策をテレビ演説しました。それは「新戦略」といいながら,20,000人以上のアメリカ軍増派など,軍事力を頼りにする旧来方針の焼き直しにすぎないものでした。 アメリカ議会,前軍司令官などからも,大統領の増派方針ではイラク情勢の泥沼化を打開できない,と批判する声が聞こえるのも当然です。 アメリカがイラクで犯した根本的な「誤り」は,侵略戦争と占領支配の誤りです。大統領が「責任がある」というなら,国連の承認もなくウソの口実で一方的にイラクを攻撃し,度重なる無法な掃討作戦で多数のイラク国民の命を奪い,宗派間対立を激化させる占領支配をしてきた誤りをたださなければなりません。 なかでも侵略戦争と無法な占領支配を続け,暴力の源泉になっているアメリカ軍の存在を取り除く見通しをもたなければ,「イラク人が暴力の連鎖を断つのを助ける」といっても,できることではありません。なにより,イラク国民の8割近くが“アメリカ軍は紛争を防ぐより引き起こしている”とみている現実があります。 しかし,ブッシュ大統領が実際にやろうとしているのは,反対にこれまでの誤りを重ねることです。アメリカ軍を居座らせてイラク政府軍との「共同作戦」に投入し,イラク人同士を戦わせる軍事作戦の強化です。 もはや軍事力で泥沼化した情勢を打開できないことは,昨年夏から首都バグダッドに集中したアメリカ軍の掃討作戦で治安は改善するどころか,悪化の一途をたどってきたことでも明白になっています。イラク厚生省によると,昨年の軍事作戦やテロによるイラク人の犠牲者約23,000人のうち3/4が年の後半に集中しました。 それにもかかわらず,増派アメリカ軍を加えた軍事作戦を繰り返せば,民族,宗派,政治勢力間,さらには政府部隊と民兵組織などの対立激化をもたらすことは避けられません。テロ活動の余地も広げるだけです。 誤りをただしてイラク情勢を打開するためには,多数のイラク人を殺し,辱めてきた占領支配の災いのもとであるアメリカ軍を撤退させる,明確な見通しが不可欠です。 アメリカ国内でもアメリカ軍の撤退を求める機運は高まっています。 最新の調査で,アメリカ軍「一時増派」への反対が61%にのぼり,ブッシュ大統領のイラク対応への支持は26%と最低を記録しています(USATODAY,ギャラップ共同調査)。 「イラクから手を引け」という反戦世論の高まりを背景に,アメリカ議会多数派となった民主党指導部が「戦争をエスカレート」させ「イラクの自立」を妨げるとブッシュ大統領を批判し,「アメリカ軍引き揚げを始めるときだ」と主張しているのも,そのあらわれです。 「撤退にともなうリスク」はあるにしても「撤退の見通しは,イラクの各勢力が破局を避ける最良の希望だろう」(ニューヨーク・タイムズ紙)という議論がアメリカ国内でも力を増しつつあります。 国際社会は,さらに多くの人命を奪い,イラクと周辺の情勢を一層危険にすることが明白な,アメリカ軍の新たな軍事作戦を容認していません。 ブッシュ政権はアメリカ国内外の世論を直視し,イラクから期限を区切ったアメリカ軍撤退に踏み出すべきです。 同様に,イラクでアメリカ軍の援護をしている自衛隊も引き揚げることを安部内閣,自民党・公明党連立与党そして派兵に賛成している民主党も真面目に検討することです。彼らのいう日米安保重視で,本当の意味でアメリカを思うのであれば,自衛隊の引き揚げがアメリカ軍引き揚げの機会をもたらすかも知れません。
Jan 12, 2007
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キッシンジャー氏らアメリカの国務長官,国防長官,上院議員経験者4氏が「核兵器のない世界」の実現を呼びかけ,そのためにアメリカの「大きな努力」を求めた論文をウォール・ストリート・ジャーナル紙1月4日付に寄稿しました。北朝鮮核問題などが重大化するなかで自国の核開発に執着するブッシュ政権への批判が,アメリカ国内の核世界戦略を立案,推進してきた人々にも及んでいることを示す注目すべき動きです。 4氏は,ニクソン,フォード政権のキッシンジャー元国務長官のほか,レーガン政権のシュルツ元国務長官,クリントン政権のペリー元国防長官,ナン元上院軍事委員長です。 論文は,北朝鮮とイランの核開発に加え,テロリストが核兵器を手にする危険があるもとで,核抑止力に依存することは「ますます危険になる一方,ますます有効でなくなっている」と警告しています。 1986年10月には,当時のレーガン大統領とゴルバチョフ・ソ連共産党書記長が一度は核兵器廃絶で一致していたことを強調し,その実現を妨げているのが核兵器保有国だと批判。核保有国が核不拡散条約(NPT)の責務を果たしていないため,非核保有国が懐疑的になっていると指摘しています。 4氏は,核兵器廃絶のため第一に「核保有国の指導者が努力を強め,核兵器のない世界という目標を共同の事業とすること」を提言。その上で,(1) 核兵器の警戒態勢の解除(2) 核兵器の大幅削減(3) 前進配備用の短距離核兵器の廃絶(4) 包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准(5) 核兵器および核兵器転用可能物質の保安強化などの措置を提案しています。 「核兵器のない世界というビジョンと,その目標実現に向けた現実的な措置を改めて主張することは,アメリカの倫理的な伝統とも両立する大胆な提案となりうる」として,米政府に核兵器廃絶に向けた具体的な行動をとるよう強調しています。 論文についてアメリカの民間組織「核時代平和財団」のデビッド・クリーガー会長は同財団のウェブサイトで,「市民社会が冷戦終結以来主張してきたこと」が,「かつて冷戦期の核戦略を統括した主要な元高官らについに受け入れられた」と強調。その実現には「ブッシュ政権の核政策の全面転換が必要だ」と指摘しています。 一方,日本は情勢をみると自民党の政治家たちは,日本国憲法を改悪し,防衛庁を防衛省に格上げし,アメリカと一緒に戦争ができる国に変えようとしている。アメリカでさえ,政治の中枢に居た人間が今のアメリカの軍事政策に疑問を持っているのに,自民党の政治家には何の疑問を持たず,アメリカ言いなりになっているというおかしな情勢になっています。 これには,自民党に多額の献金をしてきた大企業の思惑が見え隠れする。大企業にとって,戦争は「ビジネスチャンス」になることを大企業自身が知っている。 しかし,戦争で犠牲になるのはいつも何の罪のない市民なのに,それを喰いモノにする大企業と政治家の異常なまでの「カネの執着」には呆れてしまうばかりです。 政治を変えることは,政治家と大企業の横暴を止めること,戦争のない核兵器のない世界をつくることになります。政治を良くするのも,悪くするのも国民自身の判断ひとつにかかっています。
Jan 11, 2007
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多重債務者をターゲットに,サラ金など複数の借金を「低利で一本化」する「おまとめローン」を販売する銀行に対し,金融庁が口頭で“指導”を始めています。顧客が,本来は過払い金請求の対象となる「灰色金利」を知らないままに契約すると,灰色部分も銀行ローンの「元本」に化けてしまう場合があるためです。 「あっちこっちの借金,まとめて一気に返せないかな」,「ローン返済が負担のサラリーマンに朗報」,「総額約184万円軽減も!」。 こんな宣伝文句で東京スター銀行(本社・東京都港区)は2003年5月,おまとめローン「バンク ベスト」の販売を始めました。銀行が一括で業者に残高を返済し,利用者は月々,銀行に元本と利息を返済します。 年利は13.5%-14.5%。「一般的な消費者金融(サラ金)とくらべ低利なので,月々の返済額が減る」と同銀行はメリットを強調します。 しかし同銀行は契約時,顧客に灰色金利などの説明はしていません。既に過払いになった人が知らずに契約すると,取り戻せるはずの灰色部分も銀行ローンの「元本」に含まれることになります。 この商品は同銀行の主力ローン商品。初年度に27億円だった貸出額は,2006年9月期に490億円に達しました。 従来サラ金業者が扱ってきたこの種のローンを近年,銀行が相次いで発売しました。現在は,同銀行や関西アーバン銀行などが扱っています。オリックス信託銀行の場合,「命が担保」と批判を浴びた団体信用生命保険に加入することが契約条件です。 昨年11月,金融庁は全国の銀行との定例の意見交流会で「おまとめローンの契約時には,過払い金返還ができるかもしれないことを,顧客に説明する必要がある」と,各行頭取に求めました。開会中だった臨時国会には,灰色金利撤廃を盛り込んだ法案が提出されていました。 参院財政金融委員会では野党議員がこの問題について質問。山本有二金融担当相は「与信取引の説明につき適切に対応するよう金融機関に要請している」と答えています。 同庁監督局銀行第二課は「法改正や灰色金利問題についての一連の報道で,世論の関心が高まったのを受けて注意喚起した」と話します。 これを受け各社は「顧客に説明する文言や掲示方法を検討中」(東京スター銀行),「1月中には客への説明を実施する」(関西アーバン銀行)などの対応をしています。 高金利引下げ全国連絡会代表の新里宏二弁護士は「過払いを知らないまま,おまとめローンで金利が下がって安心してしまう人が多いのでは。まず過払いがないか確認を。契約後でも,サラ金に対する過払い金返還請求はできるので,弁護士や被害者の会に相談を」と話しています。【参考】灰色金利と過払い金灰色金利は,利息制限法の上限金利(元本額により年15%-20%)を超える,本来は無効な金利。出資法の上限金利(29.2%)以下なら罰則がないため,サラ金など多くの貸金業者がこの間の金利で営業しています。灰色金利を約6年間払い続けると,利息制限法で計算した場合に借金がゼロになるケースが多い。その後は「払い過ぎ」の状態になるため,過払い金返還を求める訴訟が全国で相次いでいます。
Jan 11, 2007
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新年早々,松岡農林水産相をめぐり,新たな疑惑が急浮上しています。出資法違反で捜索を受けた企業の関連団体がNPO法人に認めて欲しいと内閣府に申請したのに対し,松岡氏側が認可を働きかけていたのではないかというものです。 これまでも松岡氏は,農業関連団体などからの政治献金をめぐり,再三疑惑が指摘されてきました。安倍首相は今回の松岡氏の疑惑に対しても問題にしない態度ですが,疑惑があるのに解明もせず,かばい続けるのは絶対に許されません。 この問題での松岡農水相の説明は二転三転しています。 昨年9月の農水相就任直後,問題の団体からパーティー券購入の形で資金提供を受けていたことが明らかになった際には,松岡氏は「関係者に接触したことはない」と関与を全面否定していました。ところが今年になってこの団体のNPO法人申請をめぐり,松岡氏の秘書から内閣府に照会と「よろしく」との依頼があったことを記録した文書が存在することが明らかになりました。すると松岡氏は一転,照会はしたが,「要請や働きかけはしていない」と言い出したのです。 NPO法人として認めて欲しいからこそ,審査について問い合わせ,「よろしく」と依頼するのでしょう。たとえ秘書が内閣府に「よろしく」といってもそれは礼儀的なもので,要請や働きかけではないなどという松岡氏のいい分は,とても通用するものではありません。 それどころか松岡氏はこの団体から資金提供を受けています。資金をもらうのとひきかえで,団体の希望が実現するよう内閣府に働きかけたとすれば,それこそ重大です。松岡氏は贈収賄の疑いで司直の追及をうけることも避けられません。 少なくとも松岡氏には,説明を二転三転させたことへの説明責任があります。農水相就任直後の,この団体との関係を否定した発言は,公式の記者会見でした。このことだけでも松岡氏は,国民を欺いたとの批判を免れることはできません。 問題の団体は,NPO法人として認められる以前に「NPO法人」をうたって活動したことなどから,NPO法人とは認められませんでした。だからといって,松岡氏の責任が不問にされるわけではありません。疑惑は徹底して解明されるべきです。 重大なのは松岡農水相の任命権者でもある安倍首相が松岡氏の説明を鵜呑みにし,「NPO自体が認可されていない。働きかけがなかったことではないだろうか」と,松岡氏をかばっていることです。認可されなかったからといって働きかけがなかったことにならないのは,子どもでもわかる理屈です。 安倍首相は詭弁を弄して松岡氏をかばうのでなく,疑惑解明にイニシアチブを発揮してこそ,任命権者としての責任を果たすことになります。 安倍内閣では昨年末,政府税調会長の公務員宿舎への不正入居問題や行革担当相の不適切な政治資金処理が表面化し,相次いで辞職に追い込まれました。安倍内閣としての“規範意識”が問われる事態です。 松岡氏に対して安倍首相が任命権者として責任のある態度を示さないなら,いよいよこの内閣には不正をなくす意思も資格もないという他ありません。率先して“規範”を示さない安倍首相の,資格と責任が問われています。
Jan 10, 2007
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1日8時間を超えて働いても残業代が出なくなる「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入のための法制化をめぐり,柳沢伯夫厚生労働相は,今月25日開会予定の通常国会への「法案提出を変えるつもりはない」と述べました。 新たに導入が検討される制度は,事務・販売・技術・管理に従事する「ホワイトカラー」労働者が対象です。現行労働基準法で規制されている1日8時間,週40時間の原則や,休日,休憩,深夜労働の規制から,完全に除外(エグゼンプション)するというものです。何時間働いても残業代が一切払われなくなるこの制度の導入に,労働組合をはじめ国民から強い反対の声があがっています。 国民世論を反映して,与党の一部からも慎重論が出ているのに,柳沢厚労相は,残業代ゼロ制度の導入方針を変えないというのです。その背景には日本経団連など財界との抜き差しならない関係があります。 昨年12月11日,経団連幹部との懇談で柳沢厚労相は,財界のホワイトカラー・エグゼンプション導入の求めに対し,「対象範囲が問題になる。その場合,給与水準が裏打ちになる」と述べています(「日本経団連タイムス」1月1日号)。厚生労働省の労働政策審議会が報告書をまとめる(12月27日)前に,すでに制度導入の条件まで約束しているのです。 もともと,導入の条件に給与水準を持ち出したのは日本経団連です。2005年6月に年収400万円以上を対象範囲とするよう要求していました。審議会の報告書は,金額こそ明示しませんでしたが,対象範囲を年収で定めるとしました。 政府は,財界言いなりで事を運ぶ一方で,国民の批判の広がりを受けて,様々な言い訳をしています。「超過勤務をただにするという狙いではありません」(柳沢厚労相の昨年12月22日の記者会見)と言い出しました。しかし,この説明も財界仕込みです。日本経団連も「時間外割増賃金」つまり残業代の「抑制を意図したものではない」といっています(2007年版経営労働政策委員会報告)。 これはホワイトカラー・エグゼンプション制度が「残業代ゼロ制度」であることが明らかになるにつれ,政府や財界が弁解せざるをえなくなっていることを示しています。 一方で,国民に“理解を得やすい”理由がいるとして持ち出してきたのが,「仕事と生活との調和」=「ワーク・ライフ・バランス」論です。 仕事と生活の両立支援は,何よりも労働時間の短縮や休暇制度の充実が基本になるべきものです。ところが,財界は,「ワーク・ライフ・バランスの基本は…単に労働時間や休暇取得に関することではなく,企業労使の新しい自律的な働き方への挑戦である」というのです。 長時間労働を規制する考えは全くありません。 もともと,「仕事と家庭の両立支援」は国民の強い要求であり,昨年の男女雇用機会均等法改正の際にも明記することが論議されました。しかし,財界の反対に政府が屈して,改正均等法には盛り込まれませんでした。政府や財界の持ち出す「ワーク・ライフ・バランス」論は,ご都合主義の誤魔化しにすぎません。 サービス残業という企業犯罪を合法化する残業代ゼロ制度の導入を撤回するよう,強く求めます。
Jan 9, 2007
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安倍晋三首相が1月4日の年頭記者会見で,改憲を「ぜひ私の内閣として目指していきたい」,「参院選でも訴えていきたい」と述べるなど,年初から改憲に向けた異常な意欲を示しています。 元日の年頭所感では,まずは改憲の前提となる改憲手続き法案の「通常国会での成立を期する」と宣言。1月5日には,衆院憲法調査特別委員会の中山太郎委員長を呼び,同法案について報告を受けています。 首相が参院選に向けて改憲姿勢をおしだすのは,就任以来曖昧さが目立つとの批判を意識して,「安倍カラー」を打ち出したいという思惑があるとみられています。 同時に,自民・公明の与党と民主党とによる改憲手続き法案での合作が進み,ほとんど合意に達しているという状況も背景にあります。 同法案については昨年5月,自民党・公明党連立与党案,民主党案がそれぞれ別に国会に提出されましたが本質的な違いはなく,昨年12月には9項目の“修正”で大筋合意しています。 「毎日」1月1日付では,同法案について,自民党の舛添要一・新憲法起草委員会事務局次長が「通常国会冒頭,できるだけ早い機会に自公と民主で合意し,成立させる」と抱負を語れば,民主党の枝野幸男・党憲法調査会長も,今年は「国民投票法制が間違いなくできる年になる」と応じています。そのうえ枝野氏は,同法案での自公民の合意づくりは「本体の『トライアル』(試行)」と,共同改憲案づくりの“予行演習”でもあることを打ち明けています。 中山委員長は,安倍首相との会談で「民主党の枝野幸男憲法調査会長も3月に衆院通過,4月中に成立と言っている」と明かしました。 もうひとつの事情は,アメリカとの関係です。安倍首相は1月4日,今年の初会見で,イラク戦争でも口実とされた「大量破壊兵器」や「テロとのたたかい」などのために「日米同盟を一層強化していく必要がある」と力説。安全保障関係の法整備や,海外での武力行使を可能にする集団的自衛権の容認に向けた研究を進める考えをあらためて示しました。 冒頭の“参院選でも改憲を訴えたい”という発言はこのなかで飛び出したもので,「アメリカとともに海外で戦争をする国」づくりという改憲の狙いは明らかです。 しかし,アメリカ言いなり,改憲の道は,国民との矛盾を広げ,世界の流れに逆行するものです。 「九条の会」は全国で5,600を超え,改憲反対署名が有権者の過半数を超えた自治体も相次いで生まれました。 英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)1月5日付も「安倍氏は,日本の有権者がもっと関心を寄せる経済問題ではなく,なぜ憲法改定や学校の教育課程での愛国心を強調し続けるのか驚かされる」との声が出ていると指摘しています。 国民が望んでいるのは,憲法改正や教育基本法改正ではありません。国民の暮らしが良くなることを望んでいます。少子化問題,雇用問題,医療・福祉負担軽減問題,年金問題…など挙げたらキリがないです。やるべきことはいっぱいあります。それをやらず,大企業とアメリカの言いなりのことばかりやっています。 国民のための政治を取り戻すために,自民党・公明党連立与党政権に「NO!」と意思表示するために全国一斉地方選挙と参議院選挙がますます重要になってきます。
Jan 8, 2007
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在日米軍基地の再編・強化計画が日米両政府の思惑通りには進んでいません。その根底には基地再編・強化に反対し平穏な生活と安全を求める住民運動の発展があります。基地再編の押し付けを阻止するうえで,今年も住民の意思と運動が決定的に重要になっています。 昨年5月,日米両政府が合意した米軍基地再編計画について,久間防衛庁長官はアメリカ軍・地元・政府で決めることなので「難しい」(昨年11月30日,参院外交防衛委員会)と認めています。関係自治体が反対あるいは慎重なため容易に再編を具体化できないことを示したものです。 沖縄や岩国(山口県),座間,相模原(いずれも神奈川県)をはじめとした基地再編反対運動は,朝鮮戦争のための米軍立川基地拡張計画に当時の砂川町長(東京都)を先頭に激しく闘い断念させた砂川闘争など,1950年代の米軍基地反対闘争に劣りません。住民運動が政府に強権一本やりの押し付けを許さない力になっています。 久間長官は,昨年日米で合意した米軍キャンプ・シュワブ(名護市)沿岸部にV字形に2本の滑走路をつくる計画について,沖合に1本の滑走路をつくる案に修正することもあると述べました。沖縄県民の7割が反対し,知事選でも新基地反対の候補が31万票を得票した結果を受け,V字形に賛成の意思表示ができない仲井真沖縄県知事を取り込む狙いからです。しかしそれがアメリカ政府や日本政府部内に新たな波紋を呼んでいるのは何とも皮肉な話です。 井原岩国市長は,厚木基地(神奈川県)の米空母艦載機部隊と普天間基地(沖縄県宜野湾市)の空中給油機部隊の移転反対の態度を崩していません。昨年の住民投票と市長選挙で示した再編受け入れノーの「民意を尊重」してのことだといっています。政府が一度は約束した市役所新庁舎建設補助金を一方的に打ち切るなどの嫌がらせをするなかで井原市長が頑張っているのは住民の大きな後押しがあるからです。 キャンプ座間をかかえる座間市は米軍再編合意について「到底承服しかねる」との態度を堅持し,相模原市も「基地の機能強化・恒久化につながる施設建設は行わないこと」と政府に申し入れています。両市の多くの市民の意思が反映されていることはいうまでもありません。 在日米軍基地の再編はアメリカの先制攻撃戦争に備えるためであって,「日本防衛」とは無縁です。しかも,再編を受け入れれば基地機能は強化され,返還どころか基地の恒久化につながることがはっきりしています。地域住民は爆音や墜落の危険が激増する再編計画に,「もう我慢できない」と訴え,各地で粘り強く闘っているのです。 地域住民には平和に生きる権利があります。安倍首相は「日本人の命を守る」と年頭会見でいいました。それなら地域住民の意思を尊重し,米軍基地との危険な共存を押し付けるべきではありません。 戦前と違って憲法は,地方自治の原則を明記しています。地方自治の基本は住民自治です。住民が主人公として地域の統治権をもち,平和的生存権を行使するのは憲法が保障する権利です。自治体が住民の意思に従ってこそ地方自治が発揮されます。政府には,住民の意思を尊重する義務があります。住民の反対を押し切って,米軍再編を強制することは絶対に許されません。
Jan 7, 2007
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画一化,高額化した葬儀を見直す動きが各地で起こっています。キーワードは「簡素」や「自分らしさ」。紙製の組立式ひつぎも登場し,市民運動に押される形で葬儀業界にも変化の兆しが見えています。 葬送を考える市民団体エンディングセンターが今秋開いたシンポジウムのテーマは「自分らしい葬儀」。オリジナルな葬儀の体験を出し合いました。 葬儀コーディネーターの女性は,親族11人による寺の本堂での家族葬(66万円・布施は別途)や親族と身近な友人24人の無宗教葬(74万円)を紹介し,「故人の人生を映しだし,悲しみを共有できるかがポイント。招かなかった知人にどう知らせるかの心配りが大切」と話しました。 「小規模化と個性化が最近の特徴」というのは個人経営の葬儀業者。最近実施した10件のうち7件が従来型ではない花祭壇だったといいます。この業者は新しい試みの「家族旅行葬」を企画。湖畔の貸しスタジオを使い,「自然の中で,家族だけで別れの1日を過ごす」。5人家族で総額60万円程度だそうです。 「社会進歩に尽くした生涯にふさわしい葬儀・安心の葬儀」をめざして昨年8月に発足した大阪やすらぎ支援の会。すでに13件の葬儀を実施。生前契約の会員ではなく,会員の紹介の“飛び込み”の葬儀です。そのうち家族葬は3件,火葬場での別れだけの直葬が1件ありました。 「金額だけでなく,『安心の葬儀』への要望が強い」と事務局担当者。「消費者は,葬儀社の提示する金額が妥当かどうか,第三者的なチェック機能を求めている」といいます。 一方,「デパートでは買えない」ものの象徴とされてきたひつぎの世界にも変化がおこっています。値段に地域差が多いのがひつぎ。ポピュラーな合板(十数万円-二十数万円)から200万円超という天然ひのきや総桐の高級品まであります。 そんななかで低価格の材質に化粧を施した布張ひつぎに主力を移す葬儀業者が増えています。合板より各段に安く,高級感もあり,出棺時の被いもいらないからだそうです。 そこへ登場したのが組立式の紙ひつぎ。生地のままの丈夫なクラフト紙を使っています。メーカーと共同開発したNPO法人りすシステムによると,移送や保管が簡単で数分で組み立てられる,くぎや接着材を使わないため環境にやさしく火葬炉の燃焼効率もよいなどが特徴。生地のままだから各自が自由に装飾できるともいいます。 従来のひつぎからみれば非常に簡素に見えるけれど,業界関係者には「これが普及するようになると葬儀システムに大きな変化が生まれるかもしれない。行政の緊急・災害時対策にも利用できる」という声も出ています。 時代の変化と共に,常識が変わっていく事例のひとつかもしれません。伝統も,文化も,企業も変化しています。国民も,政治も変化しないといけないのかもしれません。今までの常識はいつまでも常識ではない変化の大きい時代なのですから…。
Jan 7, 2007
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アスベストを大量に吸引しておこるじん肺の一種「石綿肺」の被害が,アスベスト作業にたずさわったことのない住民に多発していることを把握しながら,政府がアスベスト(石綿)救済新法(2006年3月施行)の救済対象からはずしていたことが1月6日までにわかりました。 厚生労働省が2005年9月に報告を求めた「企業等における住民検診結果の報告について」(労働衛生課長通達)による集計結果によると,二次精密検診を受けた256人のうち,アスベスト作業に携わったことのない住民8人(3.1%)が,石綿肺と診断されていました。いわゆる職歴がない住民です。アスベストが原因の胸膜肥厚斑(プラーク)があると診断された住民も,63人(24.6%)にのぼっていました。 同省労働衛生課によると,この検診結果は非公表とされました。昨年2月に終了した同省の「石綿に関する健康管理等専門家会議」にも報告していませんでした。 同課は「集計がまとまったのが昨年3月で,専門家会議はすでに終わっており,報告する機会がなくなった」と釈明。昨年3月に,広くアスベスト被害を救済するとして施行された同法にも,この検診結果は反映されることがなく,救済対象は肺がんと中皮腫だけに限定される結果になりました。 同法を所管する環境省の石綿健康対策室によると「救済対象の疾病は厚生労働省との合同検討会で決めたが,検討会でも,この検診結果は検討していない。2005年度に企業などが行った検診結果の報告を求めたが,新法施行後に把握した」としています。 昨年5月に大阪地裁に提訴し,アスベスト被害をめぐる全国初の集団国家賠償訴訟となった大阪・泉南地区のアスベスト訴訟原告団代表の岡田陽子さん=阪南市=も2005年に石綿肺と診断されました。石綿肺が職歴のない住民にも発症していることは,昨年,東大阪生協病院や耳原総合病院などが行った検診でもわかり,アスベスト救済新法の欠陥を裏付けるものと問題になっていました。 肺が線維化し,呼吸障害を引き起こすものとしては粉じんなどさまざまな原因がありますが,アスベスト(石綿)を吸い込んだことによって引き起こされた肺線維症を石綿肺と呼び,じん肺とは区別しています。 職場で10年以上,石綿粉じんを吸入した労働者が発症する職業病のひとつとされ,潜伏期間は15年-20年。あとになっても石綿肺が進行することもあります。 労働者が石綿肺と診断された場合,労災認定で補償されますが,アスベスト関連工場周辺の住民が発症しても,職歴がなければ労災認定でもアスベスト救済新法でも救済されません。 今までも,大企業の利益優先で国民・住民の健康をないがしろにしてきた結果,国民や近隣住民の健康を害してきた「公害」が数々ありますが,政府はいつの時代もごて後手,後手のうえ,水俣病でも同様にすべての被害者を救済できていません。 企業の利益優先の結果,例えそれが想定の範囲外であっても,企業そして国を含めた行政が医療費や生活費などの補償をすべきです。国民・住民自身の知らないところで健康被害を及ぼした場合,国民・住民は自己責任でというのではあまりに,行政として無責任すぎる論理です。 企業は近隣住民に健康被害が出ないような対策は当然していなければいけないし,企業は利益を追求していた以上,国民・住民健康被害を出した場合には,相応の補償をすべきです。 昨今の自民党・公明党連立政権では大企業優先の政治が行われています。労働者の権利や健康までないがしろにするような法律や規制緩和で大企業は空前の利益をあげていますが,労働者あっての企業であること,国民あっての国家であることを自民党・公明党連立政権は忘れているような気がします。
Jan 6, 2007
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1月15日,1月16日の両日に党大会を開く民主党は,大会で採択する2007年度活動方針案で「07政治決戦に勝利し,『生活維新』実現」と題し,参院選での与野党逆転を最大目標に挙げています。 方針案では1月開会の通常国会を全国一斉地方選,参院選に向けた「最大の主戦場」と位置付け「自民党との対立軸」を示していくとしています。しかし,昨年の活動報告のなかでは,臨時国会で「防衛省」法や外資企業からの献金を解禁する改悪政治資金規正法などに自公与党とともに賛成したことには触れていません。 全国一斉地方選に関し「地域レベルでも自公与党との対決姿勢を鮮明にしていきます」と述べていますが,全国ほとんどの自治体で民主党が自公とともに予算案などに賛成する「オール与党」議会になっている実態には口を噤んでいます。 選挙に向けて「企業・団体に対しては民主党の政策を訴えながら賛同者を拡大し,同時に寄付を幅広く要請していきます」と財界要求に沿った政策と引き換えの企業・団体献金増額を掲げています。日本経団連の「政党通信簿」に基づく献金あっせん策に伴い,2005年は1億円余の企業・団体献金を集めました。2007年度も1億円の寄付収入を目標にしています。 方針案では,すべての地方組織に地方選,参院選勝利をめざした活動の展開を求め,昨年末にまとめた党の基本政策「政権政策の基本方針」をもとに地方選政策(ローカル・マニフェスト),参院選政策を策定するとしています。また,本部として県連の政治資金パーティー開催を支援することも盛り込みました。 選挙のときに都合の悪いことは触れず,自民党との対立軸を積極的に「野党」アピールして「二大政党制」を導入しようとする自民党・民主党ですが,実態は地方政治では「オール与党」で知事選挙では相乗り間でする始末。国政でも米軍再編問題や消費税問題など国民にとって不利益にしかならない法案はほとんどが自民党に賛成している。 住民・有権者は選挙の年だからこそ,候補者に演説に騙されることなく,その候補者が所属する政党の基本政策,実際の活動実態などを見極め,自分たちのための行政・政治を実践してくれる候補者に票と投じることが重要になってきます。
Jan 5, 2007
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2006年は,「偽装請負」で働かされていた派遣労働者が直接雇用を勝ち取るなど職場の闘いが前進しました。2007年の労働運動の大きな課題と展望は…。 最大の焦点は,厚労省が通常国会に法案提出を狙っている労働法制の大改悪に反対し,安心して働くルールの確立を目指す闘いです。 改悪案の大きな柱は,「ホワイトカラーエグゼンプション」導入です。 一定の年収などがあるホワイトカラーを1日8時間・週40時間の労働時間規制から外してしまう制度です。労働者を残業代なしで何時間でも働かせることができ,長時間労働とサービス残業を野放しにするものです。 日本経団連が主張する年収400万円以上の労働者に導入すれば,1,013万人が対象となり,1人あたり114万円の残業代が消えてしまいます。 賃金ダウンなど労働条件を切り下げるとき,労働者の合意がなくても使用者が作る「就業規則」で変更できるようにすることも狙っています。労働者の闘いで確立した雇用のルールを根本から壊すものです。 全労連は「悪法を断固粉砕する」(小田川義和事務局長),連合は「長時間労働を助長する法改正は認められない」(古賀伸明事務局長)と表明。過労死した労働者の遺族や学者・法律家など幅広い人が反対運動に立ちあがっています。 労働基準法に「解雇自由」と書き込むことが狙われた2003年の国会では,国民の闘いで逆に「解雇権の乱用禁止」を明記させました。労働法制大改悪をやめさせ,安心して働くルールづくりをめざす国民的な共同が焦点になります。 大企業がバブル期を上回る利益をあげる一方で国民のなかに貧困と格差が広がり,社会問題になっています。日本経済を健全な発展軌道に乗せていくためにも,大企業のボロ儲けを社会的に還元させて,賃上げや安定雇用によって労働者・国民の生活向上をはかることが求められています。 財界側は「生産性の向上の如何にかかわらず,賃金水準を底上げするベースアップはありえない」(経労委報告)などと賃金抑えこみを狙っています。 全労連は「だれでも10,000円以上,パート時給100円以上の引き上げ」を掲げて,働いても生活保護水準以下の生活しかできない「ワーキングプア」をなくそうと賃金底上げなどに取り組みます。 連合は,低下する労働分配率(付加価値に占める人件費の割合)を逆転させ,「昨年を上回る賃金改善」を目指します。 不安定雇用の拡大に歯止めをかけて安定雇用を増やすとともに,正社員との均等待遇など待遇改善も重要な課題です。 大企業減税の一方で社会保障の切り捨てや庶民増税など国民負担増を許さない国民的運動と結んで,職場や地域からの闘いが注目されます。 全国一斉地方選挙,参院選と連続した全国的選挙で,政治の流れを民主的に転換していくことは重要な課題です。 憲法改悪の動きや米軍基地の再編強化,「構造改革」路線にもとづく公共サービスの切り捨てや地方自治体リストラなどから,労働者・国民の生活と安全・安心を守る政治への転換が一層重要になっています。 「九条の会」や憲法を守る署名運動の広がりをはじめ,教育基本法改悪反対の闘いでも,労働組合の違いを超えて保守層も加わった共同が大きく広がりました。 地方政治では,米軍基地再編強化反対の闘いをはじめ,公共サービス切り捨てから住民生活を守る新しい共同が全国各地で広がっています。 全労連は,政党支持の自由を尊重しつつ,要求実現と憲法を守る勢力の前進をめざしています。全国一斉地方選の首長選挙では,住民・民主勢力と共同して候補者を立てて闘います。 連合は,民主党を支持し,参院選などで産別出身候補を擁立します。改憲をはじめ,「構造改革」路線を自民・公明と競い合い,多くの自治体で「オール与党」になっている民主党と労働者の矛盾は一層深刻にならざるを得ません。
Jan 5, 2007
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政府の2007年度予算案は,日本学生支援機構の奨学金事業について,「さらなる充実を図る」として,2006年度比で500億円増の8,500百億円の事業費を計上しました。 一見すると,政府が標ぼうする「学生などが,安心して勉学に励める」ための拡充のようですが,その内実は,無利子貸与枠が前年度比50億円増の微増であるのに対し,有利子貸与枠は前年度比440億円増を計上。有利子枠と無利子枠の比率は,1998年度の1対3から,2006年度は2対1に逆転しており,さらなる有利子貸与枠の拡大を進める予算案になっています。 高等教育の強化のため,ユネスコ(国連教育科学文化機関)が中心となって設立した,世界各国の高等教育関係者(大学,研究所など)のネットワークである「GUNI」が2005年に発表したリポートは,「ローンだけを提供することにおいて,日本は異常」だと指摘。奨学金事業の教育ローン化を批判しています。 そもそも,支援機構(旧日本育英会)が独立行政法人化されたとき,付帯決議で「教育の機会均等の実現のため,無利子奨学金を基本」とする理念が盛り込まれました。本来は,無利子枠の拡充と,欧米並みの給費制をつくることこそが求められています。 にもかかわらず,政府は「骨太の方針2006」で奨学金の金利上限3%を見直す方針を示しており,金利上限の撤廃・引き上げを狙っています。奨学金の高金利化で,教育の機会均等が崩れ,教育格差が広がる危ぐが高まっています。 昨年,自民党・公明党連立与党が強行に採決した教育基本法の精神も,今回の奨学金予算と同じ精神なのです。教育に競争原理,市場原理を持ち込むことは,少子化問題を一層深刻にするものです。 昨年の教育基本法改悪法案でも,「国はお金は出さないが口は出す」という姿勢がはっきりと見えていました。本気で国家の将来を憂う政治家であれば,国民が安心して働き,子供を作りやすい制度を整備拡充していくべきです。 残念ながら,今の自民党・公明党連立与党の政治家は自分の選挙の当落と,私利私欲を増やすことにしか感心がないようです。少子化問題は教育問題,労働問題,年金問題と全て国民の暮らしと直接的に関わってくることなのに,政治家は国民の問題は実際には後回しにしているのが現状と言えます。 選挙のとき「もっともらしい」ことを言っていますが,実際にはやっていなかったり,大企業のための制度改悪や法案であることがほとんどと言えます。こんな政治家を当選させることがこの国を「夢も希望もない国」にしていることを国民自身が早く気付き変えて行くことを期待します。
Jan 4, 2007
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貧困と格差の拡大をもたらした小泉政権の「構造改革」路線の加速を掲げる安倍政権。「成長なくして財政再建なし」のスローガンのもと,“大企業に優しく,庶民に負担増”の政治を本格化させる姿勢です。 最初の焦点は,安倍政権初予算の2007年度予算案。どのマスメディアも「企業優遇,家計冷遇」と酷評する内容です。 「庶民に冷たい予算」の象徴は,5年間で社会保障費の伸びを1兆6,000億円抑える方針を具体化し,2007年度は2,200億円の抑制を決めたことです。 狙い撃ちされたのが生活保護。1人親世帯に支給されている母子加算(子ども1人の場合で月20,000円程度)を3年間で段階的に廃止するなどして約400億円を削減するとしています。 母子加算はもともと18歳以下の子どもがいる世帯が対象でしたが,「構造改革」路線の下で,2005年度から16歳-18歳の子どもを段階的に除外。2007年度の廃止を決めました。今回は15歳以下を含めて全廃します。 昨年6月に成立した医療改悪法案の具体化もすすみます。厚生労働省は「医療制度改革の内実を固める年」(担当幹部)と位置付け,2008年4月発足の75歳以上が全員加入する後期高齢者医療制度などの準備を急ピッチでおこないます。 同制度は,高齢者への新たな保険料負担や,「安上がりの医療」につながる高齢者独自の診療報酬を強いるもの。都道府県ごとに医療費抑制を競わせる仕組みもあり,「医療の格差」を拡大する恐れがあります。 安倍政権は,通常国会に年金業務を扱う社会保険庁の解体・改変法案を提出する予定です。 社保庁関連法案は,保険料徴収業務などを民間カード会社などに行わせる「ねんきん事業法案」が昨年の国会で審議されていました。ところが,法案審議中に,国民年金保険料未納者の「不正免除」問題が発覚。政府・与党が世論の「年金不信」を逆手にとって,新たな法案として作り直そうというものです。 政府・与党は年末,社会保険庁を解体して,「非公務員型の公法人」を新設して年金業務を移す案を決めることで合意しました。これは国民の将来にかかわる年金を,民間の信販・保険会社の儲けの手段に大変質させる狙いがあります。 2007年度の年金保険料は厚生年金が0.354%の引き上げ,国民年金は240円アップの月14,100円になります。安倍政権は,民間会社社員が入る厚生年金と公務員(国と地方)が加入する共済年金をひとつにする「一元化」法案を国会に提出する予定です。また,パート労働者への厚生年金の適用を拡大する法案も検討しています。「負担あって給付なし」という事態にならないような世論の監視が求められています。 また年金をめぐっては,基礎年金の国庫負担を現在の1/3から1/2へ引き上げることが法律に明記されています。引き上げ財源では,消費税の目的税化や消費税率引き上げの案が取りざたされています。 昨年末の臨時国会で成立した改悪教育基本法と一体となった動きも年頭から始まります。 安倍首相の直属機関である「教育再生会議」(野依良治座長)は今月中に中間報告をまとめる予定。それを具体化する教育関連法案を国会に提出します。 教育再生会議は,昨年末,不適格教員の排除などを柱とする原案を示しました。いじめ対策として,反社会的行動をとる子どもたちへの「サポートを伴う出席停止」を講じる案などの検討もされていますが,委員の間でも認識に差のある項目もあり,取りまとめまでに議論が続きそうです。 また,4月24日には全国共通テストが実施されます。対象は,全国の小学校6年生と中学3年生。子どもと学校を成績で序列化するもので,競争教育の激化と,学校の格差を拡大するものとして,批判の声が上がっています。 国民が望まない政策や負担増・増税,医療・福祉の切捨て,年金の給付引き下げばかりが目立つ最近の自民党・公明党連立与党政権。一方で大型公共工事や米軍再編など大企業優遇やアメリカには税金を投入する逆立ちぶりは少し目に余ります。 国民のことを真剣に考えているようには残念ながら思えません。これは国民の優先順位がアメリカや大企業が上で,その次に政治家たち自身で最下位に国民ということを表しています。 このままではいくら増税しても,いくら負担増しても国民の暮らしは良くなるとは思えません。このような政治をやめさせる意味で,国民は意思表示することをしなければ現状は変わりません。 今年は選挙の年です。自分たちの暮らしを本当の意味で良くしてくれる候補者を政治家にすることが国民が残された唯一の方法だということに早く気付いて欲しいものです。
Jan 3, 2007
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安倍・自公政権は,支持率急落に閣僚辞任という大ダメージを抱えて年を越しました。タカ派・改憲内閣の姿をあらわにする一方で,もろさが露呈しました。全国一斉地方選挙,参院選挙が連続する2007年は,安倍政権と自民党政治の大本が問われ,政局波乱,政治の激動も予想される情勢です。 「年が変われば機運も変わる」(自民党の片山虎之助参院幹事長)と念じるしかないほど安倍政権は深刻です。政治資金の虚偽報告で辞任した佐田玄一郎行革担当相の後任を早々と決めたものの,「公共事業にまつわる疑惑閣僚がまだまだいる」(国会関係者)との指摘もあります。7月の参院選を待たずして自民党内部から「内閣危機説」が強まりそうです。 政権のほころびは,自ら進める外交・内政政策と無縁ではありません。 国民多数の反対を押し切って改悪教育基本法を成立させた安倍首相は年頭所感の柱に「憲法改正」をあげました。自民党は1月17日の党大会で採択する運動方針案に,改憲手続き法案の「早期成立」と日米安保体制強化・米軍再編推進を明記。海外での武力行使を可能にする集団的自衛権の行使=九条改悪を狙っています。 しかし,改憲・軍事同盟強化の道は,外交交渉で紛争解決を目指す世界の流れに逆行するばかりでなく,草の根で広がる憲法改悪反対の国民世論との矛盾を広げざるをえません。「米軍再編」の名による基地強化押し付けも,基地を抱える自治体の住民ぐるみの運動は政権にとって大きなアキレス腱です。 歴史認識をめぐって安倍首相は,「植民地支配と侵略」への「おわびと反省」を示した「村山談話」(1995年)と「従軍慰安婦」問題での「河野談話」(1993年)の継承を明言しました。首相はその言明をどう行動で示すのか。アジア諸国から厳しい目が向けられています。 内政はどうか。博報堂生活総合研究所が昨年末まとめた調査によると,今年,「景気がよくなる」と答えた人は29.9%で,昨年比15.8ポイントの大幅減です。政府のいう「景気回復」は国民の実感から依然かけ離れたままです。 大企業・大資産家に1兆円の減税,庶民には定率減税全廃などで1.7兆円もの増税を強いる2007年度予算案には「景気の先行きに陰りがでる懸念をぬぐい切れない」(「信濃毎日」,2006年12月21日付社説)との指摘が相次いでいます。しかし,安倍政権に国民の苦境打開策はみられません。 1月25日開会予定の通常国会は冒頭から,暮らし・雇用問題が問われます。働いても生活保護水準以下の生活しかできない貧困層(ワーキングプア)は「政治全体に対して人々が爆発することもありうる」(「朝日」2006年12月27日付)問題になっています。政府は,残業代なしで何時間も働かせる「ホワイトカラーエグゼンプション」(労働時間規制の除外)の導入など労働法制改悪法案の国会提出を狙っていますが,与党内では参院選でのサラリーマン層の反発を恐れ,異論も出ています。 全国一斉地方選挙,参院選挙を各党は「天下分け目」(自民),「最大の政治決戦」(民主)と位置付け,激烈な組織戦を展開しています。自民党は支持基盤の崩れを宣伝・組織活動で乗りきろうとし,公明党は与党として悪政を推進した逆風に直面。一方,民主党は「二大政党の対決」と叫ぶものの,地方政治では多くの自治体で「オール与党」の仲間です。 こうした政党状況のなかで,本当の意味での「たしかな野党」の存在がますます必要とされています。 自民党政治と正面から対決し,平和と暮らしを壊す悪政に真正面から立ち向かうとともに,自民党・公明党連立与党と民主の双方から持ち込まれてくる「二大政党づくり」の動きを本格的に押し返し,自民党政治を大本から変える政党勢力が必要とされます。通常国会でも,相次ぐ悪法に,論戦でも議会運営でも真正面から立ち向かう政党をしっかり見極めて二大選挙に臨むことが重要になってきます。【 2007年の主な政治日程 】1月4日安倍晋三首相が年頭記者会見,伊勢神宮参拝9日首相が欧州4ヶ国を訪問(13日まで)14日東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)首脳会議と東アジアサミット(フィリピン・セブ、15日まで)15日民主党大会(16日まで)17日自民党大会25日第166通常国会召集予定2月3日社民党全国代表者会議4月8日全国一斉地方選(前半戦)投票22日統一補選投票(参院沖縄・福島選挙区)全国一斉地方選(後半戦)投票5月1日テロ特措法の基本計画の期限切れ6月6日主要国首脳会議(サミット,独ハイリゲンダム、8日まで)23日通常国会会期末予定7月22日参院選投票(?)31日イラク特措法期限切れ9月8日アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(シドニー,9日まで)12月末教育再生会議が最終報告書を策定2008年度税制「改正」大綱とりまとめ
Jan 2, 2007
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日本経団連は1月1日,向こう10年間に財界が求める“日本のあるべき姿”についての「改革」の方向性を示した「希望の国,日本」(「御手洗ビジョン」)を発表しました。消費税を2011年度までに7%に増税し,その後10%にする二段階の引き上げを提言。一方,法人実効税率は現行約40%を30%に引き下げるなど大企業本位の政策を実現するよう求めています。 経団連が重視している「イノベーション」(革新)については科学技術だけでなく,教育や国・地方のあり方,憲法などの「変革」も含まれると主張し,2010年初頭までに「憲法改正を実現」することを提起しました。日米同盟を安全保障の基軸として,「ミサイル防衛」能力の向上,二国間や多国間の共同演習の推進を求めています。愛国心教育も盛り込みました。 労働分野では,労働者派遣や請負労働のいっそうの規制緩和を提言。ホワイトカラーエグゼンプション(労働時間規制の適用除外)の推進などを求めています。 また,政府の役割を「最小限のもの」に限定し,社会保障制度を「経済の身の丈に近づけていく」として国民への負担増と給付抑制を要求しています。また,2015年度をめどに広域経済圏を目指す道州制の導入を提言しました。 アジアの成長を大企業のもうけに取り込むため2011年までに東アジア全域におよぶEPA(経済連携協定)の成立も求めています。 ビジョンは今後5年間に重点的に取り組むべき課題を「アクションプログラム」として114項目にまとめました。 「御手洗ビジョン」から聞こえてくる言葉は,大企業の成長のために「もっと支援を,もっと優遇を」というおねだりと,そのための金がなければ,国民向けの支出は削減し,もっと吸い上げろ,という露骨な要求です。 ビジョンは,社会の「弊害」を問題にする人々を「弊害重視派」と呼びます。「貧困と格差」,非正規雇用と「ワーキングプア」(働く貧困層)の拡大など国民が直面する「弊害」。それをもたらした元凶こそ大企業・財界の利益至上主義の戦略ですが,その自覚は全くありません。 一方,ビジョンは自らの立場を「成長重視派」と位置付けます。「弊害」の克服も,大企業が成長すれば自然に解決可能であるかのように逆さまに描き財界・大企業本位の「改革」の徹底を求めています。国の税・財政・金融制度を食い物にするこの立場こそ,ビジョン自身が否定している「企業エゴ」に他なりません。 また,ビジョンは経団連が改憲の最大の応援団であることを改めて宣言しました。 安倍首相の「美しい国」と響き合う御手洗ビジョンの「希望の国」構想は国民の願いとは逆行するものです。その実行は,憲法のもとでつくられた日本社会の土台を覆すことになるでしょう。
Jan 1, 2007
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