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日本のサッカー界には、代表監督に大物を呼びたいという夢があった。Jリーグ関係者に頼るしかなかった狭い監督選びをやめて、候補者を世界に広げようという信念があった。ところが、世界的な監督を勧誘した経験がないので、原委員長が世界中を行脚して交渉するかしかなかった。交渉はうまくいかずに、これを察知したマスコミ陣が就任の遅れを叩き始めて監督騒動が勃発した。 冷静に考えてみれば、監督の就任時期など問題ではない。むしろ、焦って不適当な人物と契約することのほうが危険になる。代表チームの監督は、今後の日本サッカーの方向を大きく左右する。原委員長が「攻撃型サッカー」を標榜する人材にこだわった理由も理解できる。このままの日本風スタイルを続けると、強国に成長することは難しい。 築き上げてきた日本風のスタイルを捨てるには、勇気がいる。岡田ジャパンが獲得した成果を顧みずに、新たなサッカースタイルを取り入れることを執念深く求め続けたことに驚かされる。日本に足らないのは攻撃力と叫んでみても、点を取れるストライカーもいないし、敵陣に斬り込む精神が希薄では、いつまでも進化しない。長年続いてきたスタイルを変化させるには、それなりの大物を呼び、反対論を抑えつけねばならない。 イタリア人のアルベルト・ザッケローニは、ACミランでリーグ優勝している。その他に、インテルやユヴェントスを指揮している。これだけの百戦錬磨の監督が、日本代表監督に心を動かした意味は大きい。日本は南アフリカ大会で敗北したけれど、選手たちはサッカーの世界にインパクトを残したらしい。その強い印象がザッケーロの心をうごかしたことは間違いない。 いずれにしても、日本サッカー界の流れは変化せざるを得ない。それが成功するかどうかは、現時点で予測できない。ザッケローニ監督就任によって、何が始まるかには興味があるけれど、イタリア人の信念は固いことも知られている。日本人に染み付いている日本風のサッカーはどこにいくだろう。
2010.08.30
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山岳地帯に建設されたスパは、天候が激変しやすい。山岳地帯特有の気流がレースの邪魔をする。晴れていても、突然に降雨になるサーキットのレースは、対応が難しい。腕と度胸と運がないと到底勝てない。マクラーレンのハミルトンの運動神経は、こういう激変する環境に向いている。路面の水滴を恐れない心臓がスパには必要になる。ハミルトンはスタートに成功して、序盤からリードを保つことができた。 降雨があるとスパのレースは混乱する。水滴で視界が遮られて、リスクが異常に高まる。1周目にバリチェロとアロンソ、3位のベッテルと2位のバトンが接触して混乱に輪をかけた。セイフティカー出動とレインタイヤの選択と雨を計算して、最適のピットタイミングを狙うことが生き残りの絶対条件になる。冷静なアロンソさえも、コースアウトしてリタイヤに追い込まれるほど過酷な条件が続いた。 トップを走ることで落ち着きを見せていたハミルトンに比較すると、ベッテルは熱すぎる。バトンに仕掛けてリタイヤに追い込んでしまう。この判断は未熟すぎて話にならない。王者になる資格を疑われても仕方がないだろう。危険行為のペナルティまでくらって、周回遅れにされてしまった。ドライブの才能やマシンの性能だけでは、選手権を勝ち抜けないことを立証させてくれた。これだけ速いマシンと腕を持ちながら、ベッテルがなかなか勝てないのは、やはり明白な理由があると考えられる。 勝負に勝ったハミルトンがポイント1位に復活した。2位は執念の走りを続けたウェバーになった。バトンは2位を脱落させられたから、さぞや怒っているだろう。勝者に25ポイントも与える制度は、終盤での大逆転を可能にする。自分がレースに勝ち、ライバルが脱落すると、なんと25ポイント差がひっくり返ってしまう。フェラーリのアロンソも、王座獲得をあきらめてはいないだろう。次回のイタリアGPで、何が起きるかを予測することは難しい。
2010.08.30
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イブラヒモビッチがイタリアに戻る。マネージャーの個人攻撃で爆発寸前にまで迫っていたバルセロナの危機は回避できた。スペインに残れば、どんな事態が起きるかはわからなかった。そういう混乱がバルセロナの崩壊につながるという指摘がされていたので、経営陣も損失覚悟の移籍を認めるしかなかった。得をしたのは、強力なFWを獲得できたACミランだろう。本来ならば多額になる移籍金を減額され、報酬も下げることができた。イブラヒモビッチの腕のほうは間違いないと来れば、喜んで受け入れるしかない。 対立が激化していたバルセロナの内部崩壊を防ぐには、イタリアへの追放しかなかったというのが真相になる。指揮を執るグアルディオラ監督と使ってもらえないイブラヒモビッチの感情的対立は、組織内で相当に深刻化していた。さらにライバルの加入でほとんど出番がないとすれば、出ていくしかない。それを受け入れてくれるクラブを探すことが、バルセロナ首脳の役割になった。交渉するチャンスは一度しかなく、一気に決めないと危険を残す。 イブラヒモビッチと監督が会話を交わしたのが2回だけということに、二人の対立感情が露骨に表れている。独裁者としての地位を獲得したグアルディオラにしてみれば、反乱者であるイブラヒモビッチをベンチに置くことさえも許せなかったことは間違いない。対立の原因がどこから発生したかは、実のところはっきりしないけれど、指揮を執る監督側から解消する意志がないとすれば、追放しかない。 問題は、移籍金と報酬の高さにあった。そんな大金を支払えるのはビッグクラブしかなく、欧州でも数が限られる。ストライカーがほしかったACミランが名乗りを上げたことで、バルセロナは救われた。多少の金銭的な損失は問題にならないだろう。「邪魔者は消せ」というグアルディオラの執念は驚くべきものがある。ロナウジーニョ、エトー、イブラヒモビッチを追放するまで執念を燃やす性格は執念深い。この追放劇で、バルセロナに安定と平和がもたらされる。余計なことを考えずに勝負に専念できる。それが大きい。
2010.08.29
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マクラーレンを傘下に置いていたダイムラー社が、独立したF1チームを設立させたことは、世論を驚かせた。なにゆえに成功してきたプロジェクトを解消させるかの真意が伝わらずに疑問が残されていた。そして、マクラーレンが独自のスポーツカー生産に執念を燃やしていたことが、マクラーレン分離独立の理由だったことは意義深い。マクラーレン・メルセデスでは満足できないことを声高に主張したことが始まりだった。 国際経済の現状からみれば、高性能スポーツカーの生産開始の時期としてふさわしくない。2500万円以上するスポーツカーが本当に必要かを吟味すれば、ダイムラーの主張することが理解できる。危険な投資を現時点で行うことはないだろうというのが経済の論理になる。しかし、マクラーレンは設計を完了させ、生産開始に向かって走り始めていた。夢を実現させようというグループと現実派の対立は、マクラーレン独立という方向で決着した。 スポーツカーを生産するには投資が必要になる。少量生産のスポーツカーといえども、工場の建物や多数の従業員を雇用しなくてはならない。さらに世界的な販売網の設立と修理などのサービス網を作り上げるには資金が湯水のように必要になる。数百億円の資金は中東の金融機関から手に入れたという。マクラーレンのブランドと信用力を担保にして金を貸し、成功報酬を得るのが中東流になる。フェラーリの成功例があっても、計算高い銀行にはできない話だろう。 スポーツカーメーカーは危険を恐れて、自動車会社のグループ企業として運営されている。フェラーリはフィアット、ランボルギーニはVWグループに属することでリスクを軽減している。マクラーレンはダイムラーグループを飛び出して孤独の旅に出る。どこの支援も期待できないのに、多額の投資の引き金を引く。危険を恐れないことがマクラーレン首脳陣の性格なので、どうにもならない。マクラーレンF1は数少ない優良企業だったのに、あえて嵐の中に出る。なにも言葉が出てこない。
2010.08.28
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信じがたい数字ということが起こりうる。スペインは一応先進地域であり、生活も安定していた。ところが、リーマンショック以来、失業率は高止まりしている。その数字が20%を超えるとなると、政府の経済政策に疑惑が浮かび上がる。老若男女5人に一人が失業中というのは、とうてい先進国とは呼べない。ある部分のシステムが機能していないことを物語っている。 スペインはグラナダに象徴される夕景色の美しい国だった。イベリア半島には牧歌的な雰囲気が残されており、不動産業者はドイツなどの先進地域の人々に格安の不動産物件を売り出した。土地や住宅価格はドイツの数分の一以下であり、温暖地のスペインに別荘を持つという夢はたやすく実現できた。 不動産ブームは、スペイン人の不動産業者と建設業者を喜ばせ、ドイツ人たちに夢を与えてきた。ところが、不動産物語は突然に停止されてしまう。金融危機の発生で、すべての海外融資が止まってしまった。スペインには、数万件の売れ残り別荘が並んでいたのに、ローンがつかないと売れない。スペイン国内の不動産部門が急成長していたために、金融危機への即座の対応が不可能になっていた。売れ残った別荘は、今でも格安で並んでいるが、スペイン人には高価すぎて手を出せないという。 先進国と途上国の差は、単なる貧富の差ではない。貧しくても、工場などの投資が続く地域もあれば、まったく投資が機能していない地域もある。その国にどれくらいの生産力があり、先進的な工場群があるかは、判別の材料になる。先進国でも投資の行われない地域は即座に廃れるし、貧しくても工場地帯が建設される地域は、さらに成長できる。そこには政府による経済政策が大きな影響を与える。すべての方策に失敗したスペインは、世界不況の回復を待つしかないところが悲しい。グラナダの別荘は夢にすぎなかったのだろうか。
2010.08.03
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道路爆弾のことをIEDと呼ぶ。要するに手製爆弾のことであり、正規軍の装甲車などを道路端で爆破する兵器になる。イラクで製造が始まった当初は、自家製の火薬や起爆装置を用いた原始的な兵器だった。それでも、道路爆弾は味方の損害が少ないゆえに重用され、中東地域に広がり始めた。黒色火薬などの材料ではなく、地雷や砲弾などを改造して、電子起爆装置を取り付けた本格的なIEDが完成したのは最近のことになる。 IED製造工場は、地雷や砲弾などが自由に手に入るイラクやパキスタンにあり、世界各地に輸出されている。アフガニスタンなどの爆破映像を見ると威力はすさまじい。高原の道路などに仕掛けてあると、誰も探知することはできない。米軍の装甲車などは一発で吹き飛ばされてしまう。IEDは簡単に移動でき、即座に設置できる。無線や携帯などでNATO軍の移動情報が伝わると、通過予測地点に何か所も仕掛けられる。そして、道路を通過するのを辛抱強く待つ。海外の派遣軍が、網のように張り巡らされたIED包囲網を破ることは難しい。 アフガニスタンで米軍と戦っていたのはタリバンだったが、パキスタン政府の弾圧もあり、勢力は減退している。そこで、タリバンはゲリラ戦を挑むことをやめ、IEDに切り替えている。これならば、自軍の損害を出さずにNATO軍を攻撃できる。米軍と戦っているのはタリバンだけではなく、アフガニスタンをキリスト教徒から救うために、世界中からムジャヒディンが集結している。タリバンはアフガニスタン南部、ムジャヒディンは北部に砦を構えて米軍と戦っている。タリバンは原理主義者であり、政治的な思惑の違いからイスラム義勇軍とは協調できないらしい。 アフガニスタンは治安が悪く、山賊なども出没するので、村人は自警団を組織している。本来は、この組織が治安の中核になるべきだろうが、アメリカ軍は反乱を恐れて自警団を認めない。多くの村人たちも、カブールの中央政府を信頼していないから、武装集団は争いの種になる。さらに、米軍やNATO軍は、タリバンとムジャヒディンと自警団の区別がつかない。そこで、武装集団を発見すると即座に空爆を行ってしまう。空爆の被害の出る各地の村人の米軍への反感は強い。村人がIEDの犠牲者になることはほとんどないのを見ても、何らかの情報は伝わっているはずだが、IEDの真相は闇の中にある。
2010.08.01
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