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海面急上昇、100年以内の可能性「非常に高い」 メキシコ研究 去る4月16日、以下のような記事がネット上に公開されました。【4月16日 AFP】約12万年前の前回の間氷河期の際、氷床の崩壊が原因で、わずか数十年間で海面が3メートル程度上昇したとする研究結果が、16日発売の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に掲載された。 研究を主導したメキシコ国立大学の地球科学者、ポール・ブランチョン氏は、今回の発見により、同じ間氷河期にあたる現在においても「今後100年以内に世界規模で海岸が浸食される、人類にとって大悲劇が起きる可能性が十分にある」と指摘する。(・・・中略・・・) これまで、前回の間氷河期における海面上昇は「数千年の間に非常にゆっくりと」起きたと考えられてきたが、ブランチョン氏とドイツ・ライプニッツ海洋科学研究所(Leibniz Institute of Marine Science)の科学者らは、海面上昇の「急激な」上昇を示す新たな証拠となるサンゴの遺がいを、メキシコ・ユカタン(Yucatan)半島で偶然発見した。 ユカタン半島は、過去数十万年の間に地震活動が見られなかった数少ない地域の1つであるため、サンゴの遺がいから前回の間氷河期における海面変動幅を精密に測定できた。 ブランチョン氏らは(・・・)海面の劇的な変動が12万1000年前に起こったとの結論に至った。またその際には、わずか50年間で3メートル上昇したとの数字もはじき出した。間氷河期における海面の急激な変動を示した初めての証拠だという。〔コメント〕 「やはりそうか」、と思いました。 アル・ゴア主演の「不都合な真実」(温暖化による大規模な海面上昇の可能性を指摘した)に関して、彼をペテン師扱いするような言説が、特にノーベル賞の受賞が決まった直後あたりからネット上を飛び交いましたが、私はその雰囲気に不健全なものを強く感じました。 例えば「不都合な真実に科学的誤りが9つあった」と報道されれば、批判的な検証を抜きにして判決内容を真実だと鵜呑みにしてしまうムードは危険だと・・・。 私自身、書籍版も含めて「不都合な真実」を検討した結果、ゴア氏可能性を指摘するような、「グリーンランド氷床の大規模な崩壊と流出」に関しては「非科学的だ」と断定できるようなものではなく「起こりうる現象だ」、と考えました。2007年11月「しょうのページ」にも見解をアップしています。 このたびの英科学誌「ネイチャー(Nature)」の記事では、過去において「わずか50年間で3メートルの海面上昇が実際に起こったこと」が明らかになりました。(もちろん、原因は「人為的な理由による温暖化」ではありませんが・・・)。 その時の気温上昇についてIPCC第4次報告は次のように述べています。「氷床コアのデータによれば、その期間における極域の平均気温は、地球の公転軌道の違いにより現在より3~5℃高かったことが示されている」と。(この温度上昇幅はたまたまですが「温暖化対策が不成功に終わった時の2100年の気温予測」と似かよった値ですね)。 私が「ネイチャー(Nature)」の上記記事に関連して述べたいことは、「さまざまな危険性の指摘について『ばかげている』と断定するのではなく、『予防原則』の立場から最善の対応をとるべきだ」、という点です。 私たちは、過去の「公害問題」に際しても苦い教訓を得たはずです。確かに、起こりつつある問題点(例えば健康破壊〔環境破壊〕や異常気象など)に関して原因を特定し、因果関係を科学的に証明することは簡単なことではありません。 まして、未来予測に関わることを含めていけば、確実なことはなかなかいえないのです。 しかしながら、後になって「問題点や原因が明確になる」ことは、しばしば起こります。このたび、12万1000年前の気温上昇に伴って「50年間で劇的な海面上昇(3m)」が起こったという事実が、(「不都合な真実」上映の数年後に)明らかになりました。 この事実から「警告を非科学的だと冷笑する」のではなく、「予防原則」の立場に立って最善の対応をすべきだ、という教訓を引き出すことが大切ではないでしょうか。 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。) 日本ブログ村と人気ブログランキングに参加しています ↑ よろしければクリックして投票・応援いただけますか(一日でワンクリックが有効です)
2009.05.11
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『不都合な真実』ECO入門編(ランダムハウス講談社)179~180 あまりに有名となった『不都合な真実』。比較的薄くて読みやすいECO入門編も発行され相当多くの人に読まれているようですが、アル・ゴア氏は結論部分で次のように述べています。 気候の危機は私たちに「不都合な真実」を突きつけています。つまり私たちは、自分の暮らし方を変えなくてはならないのです。 変えるべきものが、新しい種類の電球を使うといった小さなことにしろ、石油や石炭から他の燃料に切り替えるといった大きなことにしろ、そのためには骨を折る必要があり、お金もかかります。 しかし、そのように変えるべきことを変えることが、実際にはお金の節約につながり、私たちの効率や生産性を高めてくれる場合も多いのです。 私たちは、自らの民主主義に基づいて、わが地球を守るための法律を作るよう、みんなで行動を起こさなくてはなりません。なぜなら、「行動せずにいる」という余裕はないからです。 21世紀は皆さんの世紀です。そして皆さんは、この危機の中にあるチャンスをつかむことで、21世紀を「再生の世紀」にすることができます。(・・・・・・・・) これ(地球)が私たちの唯一のふるさとなのです。私たちはこの地球を大切にしなければなりません。〔コメント〕 私は、2007年4月より、通勤に自家用車を用いることはやめました。地方(鳥取県)在住で、京浜や阪神ほど公共交通機関が発達してはいませんが、少しばかり歩いたりJRを待ったり列車内で本を読んだりする生活にも慣れました。 以前から環境問題に関心を持って、自分なりに学習してきましたが、正直、自家用車通勤をやめる時にはちょっとした「決心」が必要でした。 私にとって一歩踏み出す決定的な「機会」となったのが『不都合な真実』(書籍版)だったのです。 「問題の大きさはこれほど自明であるにもかかわらず、多くの人たちはなぜそれと正面から向き合おうとしないのか」とデイビス・グッゲンハイム監督が質問したところゴア氏は「それはこの事実が『不都合な真実』だからだ」と述べたのだそうです。 確かに、この問題と正面から向き合えば、多少の不便さも引き受けながら自分自身の生活を変えていかなければならないでしょう。私はその言葉に納得して自家用車通勤をやめる決心をしたのですが、そのことで失うものよりも得るものが多かった、というのが実感です。 現在、私は自家用車をほとんど使わず、暑い夏にはなるべく扇風機を用い冷房をつける場合にも設定温度は29℃から30℃、水を含んだ生ごみは庭に浅く埋める等々、できることは取り組んでおり二酸化炭素排出量は一般家庭の3分の2程度かもしれない、と思います。 しかし、子どもと一緒にバスを待ったり家庭菜園を作ったり、JRのなかで本を読んだりと、以前よりもゆったりした気分で生活しています。いわゆるスローライフを実践することは心と体の健康にとっても有意義だと思いますね。 少し迷っている皆さんも一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。) 日本ブログ村と人気ブログランキングに参加しています ↑ よろしければクリックして投票・応援いただけますか(一日でワンクリックが有効です)
2008.09.28
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「このシリーズの結論2です」「イギリスで出された判決」についてすべての項目について検討してきましたが、アル・ゴア氏主演の『不都合な真実』の内容に関して「ゴア氏のように推測することは非科学的である」などとはいえません。むしろ、ていねいに検討してみると「判決」のほうが妥当でない可能性が高いのです。 そもそも、裁判所が『不都合な真実』の科学的な誤りを断定すべきなのか、裁判官に「判断」するだけの充分な力量があったのか、ゴア氏不在のままで公平な判断ができるのか、そのような問いかけがなされないままに「『不都合な真実』に9つの科学的な誤り」という言葉が一人歩きしてきました。このことについて、多くの人々が何の疑問も感じないとすれば、その方がむしろ危険ではないでしょうか。 また、「専門の科学者」でもないアル・ゴア氏が力を尽くしてデータを集め「地球の未来についての予測や警告」を発しているこの映画に対して、「疑わしい点」を並べ立て、氏をデマゴギー(あるいはペテン師)のように主張することが生産的であるとは思えないのです。 むしろ、私はアル・ゴア氏の活動についてその社会的な意義を評価したいと思います。何よりも氏の活動や『不都合な真実』は、人為的な活動を原因とする地球温暖化の進行への警鐘を鳴らし(イギリスの高等裁判所もこのメッセージそのものは適切であるとして「上映さしとめの請求」は退けています)、多くの環境運動家や政治的な指導者、宗教的な指導者にも大きな影響を与え、地球温暖化対策に関する論議・実践に大きな一石を投じることとなりました。「異論覚悟で“ノーベル平和賞”が決定された」ことに関しても、そのような背景が確実にあります。「『不都合な真実』に9つの科学的誤り」の誤り PDF版 日本ブログ村と人気ブログランキングに参加しています ↑ よろしければクリックして投票・応援いただけますか(一日でワンクリックが有効です) 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)
2007.11.18
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「このシリーズ(イギリス高等裁判所の判決について)の結論です」(「9つの誤り」について検討した結論) Burton判事の判決(イギリス高等裁判所)について検討した結果、私が判断できることは「ゴア氏の『不都合な真実』に対する判決としては妥当でない点が多い」ということです。 率直に言って、映画の中でゴア氏が断定してもいない事柄に対して「科学的に立証されていないので断定できない」とするものが多くあります。「映画に9つの科学的な誤りがある」という判決はほぼ誤りであると言っていいでしょう。ただし、確かに映画を見る側が「誤解する」可能性はあります。(ドキュメンタリー『不都合な真実』の全体的な文脈の中で「さまざまな現象の唯一の原因は温暖化だと断定できる」という具合に・・・) 従って、学校で上映する際に一定の補足説明が必要だ、とはいえるでしょう。具体的には1,グリーンランドの氷河が溶けるか滑り落ちるようなことになれば海水面が6メートル上がるのは事実だ。しかし、そのような事態が今世紀末までに起こる可能性は低い、と多くの科学者は判断している。〔2009年6月追記〕 ただし、2009年4月16日、以下のような記事が公開されたことは「海面上昇の可能性」に関する科学者の判断に大きな影響を与えるでしょう。 約12万年前の前回の間氷河期の際、氷床の崩壊が原因で、わずか数十年間で海面が3メートル程度上昇したとする研究結果が、(4月)16日発売の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に掲載された。(・・・) これまで、前回の間氷河期における海面上昇は「数千年の間に非常にゆっくりと」起きたと考えられてきたが、ブランチョン氏とドイツ・ライプニッツ海洋科学研究所(Leibniz Institute of Marine Science)の科学者らは、海面上昇の「急激な」上昇を示す新たな証拠となるサンゴの遺がいを、メキシコ・ユカタン(Yucatan)半島で偶然発見した。 2,ゴア氏は、温暖化が原因と思われるさまざまな事象を映像を用いて挙げているが、温暖化が唯一の原因であるとは科学的に証明されていないし、ゴア氏もそのように断定はしていない。3,一箇所、事実誤認と思われる点がある。(北極熊が「泳ぎ疲れて溺れ死んだ」という事実は確認されていない) 以上のような補足説明と一部訂正を入れれば充分でしょう。「科学的な誤りが9つある」といった説明はむしろするべきではありません。「『不都合な真実』に9つの科学的誤り」の誤り PDF版 日本ブログ村と人気ブログランキングに参加しています ↑ よろしければクリックして投票・応援いただけますか(一日でワンクリックが有効です) 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)
2007.11.17
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「このシリーズ(イギリス高等裁判所の判決について)の内容9です」9.判事は、珊瑚礁の白化が温暖化によるものという主張にも疑問を投げかけた。もっと事実は複雑であると彼は述べた。(9についての私のコメント) ゴア氏が述べたのは、「温暖化と珊瑚礁の白化との“関連性”に疑いをさしはさむ科学者はいない」ということであって、温暖化以外の複雑な要因(海洋汚染や海の酸性化等)が存在しないなどとはひとことも言っていません。DVDの付録についていたゴア氏のコメントの中にも、「海の酸性化の影響も強いことがはっきりしてきた、」とあります。 ただ、大気中の二酸化炭素の増加と海水の酸性化とは、やはり“関連性”があると考えられますね。 ↑ 白 化 し た さ ん ご 礁 書籍版『不都合な真実』には次のように書いてあります。「(珊瑚礁の白化が生じるのは)海水温が上がるためばかりではない。このような(CO2)排出量の3分の1までが最終的には海に吸収されるため、海水の酸性度が高まっているからだ」と。 「酸性化や海水温の上昇等」によって珊瑚礁が大きな被害を受けることになれば、海中の二酸化炭素を吸収して炭酸カルシウムを作っている重要な珊瑚礁の機能も打撃を受けます。温暖化の悪循環にもつながるのです。 日本ブログ村と人気ブログランキングに参加しています ↑ よろしければクリックして投票・応援いただけますか(一日でワンクリックが有効です) 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)
2007.11.16
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「このシリーズ(イギリス高等裁判所の判決について)の内容8です」8.判事は、北極海の熊が温暖化が原因でおぼれ死んでいるという主張は「事実ではない」と述べた。(8についての私のコメント) これまで「判決の誤り」を指摘してきましたが、発見された4頭の北極熊が溺れ死んだ直接の原因は「嵐」だということで、さすがにこれについてはゴア氏の事実誤認であった可能性が高いでしょう。ただし、この種の「啓発的な映画」ではっきりした事実誤認がこの程度というのはすごいことかもしれません。 「事実誤認」はほぼ間違いないようですが、映画の意義をそこなうものでは決してないでしょう。というのは、全体の文脈の中でゴア氏が強調している「北極海の氷冠(氷山)が急速に縮小しつつあることと、そのメカニズム」については、8月17日の各紙の報道でも明らかにされた事実=「北極海の氷の縮小がIPCCの予測をはるかに超えた速度で進んでいるという事実」によってむしろ証明されつつあるからです。) 重要なのはむしろその事実の方であって、先の「誤認」をとりあげて「『不都合な真実』の内容が疑わしい」といった論が横行するのは問題でしょう。 日本ブログ村と人気ブログランキングに参加しています ↑ よろしければクリックして投票・応援いただけますか(一日でワンクリックが有効です) 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)
2007.11.15
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「このシリーズの内容7です」7.判事は、アメリカで起きたハリケーン・カトリーナが温暖化の影響によるものとの主張にも「それを示す証拠は不十分」と疑問符を付けた。(7についての私のコメント) これも、キリマンジャロの雪とと同様です。ゴア氏は「集中豪雨の増加、台風やハリケーンの増加や強大化」という現実の事例を示しつつ、地球温暖化との関連性(その可能性が高いこと)を指摘しているのであって、「個々の事例と地球温暖化の厳密な因果関係が科学的に立証された、」などとはひとことも言っていません。ただ、「関連する可能性」は高いでしょう。 映画の中で、ゴア氏は海水温の上昇のグラフを示して「海水の温度が上昇すると嵐も巨大化します」と述べていますが、IPCCも第4次報告で「極端な高温や熱波、大雨の頻度は引き続き増加する可能性がかなり高い」「熱帯域の海面水温上昇に伴って、将来の熱帯低気圧(大風およびハリケーン)の強度は増大し、最大風速や降水強度は増加する可能性が高い」としています。 全般的な異常気象と「地球温暖化との関連性」については、(因果関係の完璧な立証は無理であるとしても)ほぼ科学者のあいだで合意が成立しているのです。 日本ブログ村と人気ブログランキングに参加しています ↑ よろしければクリックして投票・応援いただけますか(一日でワンクリックが有効です) 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)
2007.11.14
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「このシリーズの 内容6」です6.判事は、映画の中に登場する、アフリカ最高峰のキリマンジャロの雪が後退しているのが温暖化によるものであるという主張にも「科学的に立証されていない」と述べた。(6についての私のコメント) ゴア氏は「各地でその(温暖化の)影響が出始めています」と述べて多くの事例を挙げています。ここでゴア氏が述べているのは、山岳氷河の減少など世界中で大きな変化が生じており、その背景としては「地球温暖化の影響」が考えられる、ということであって「個々の現象(たとえばキリマンジャロの雪の減少)と地球温暖化の厳密な因果関係が科学的に立証された」などとはひとことも言っていません。 個々の事例と「温暖化」の因果関係を立証するということは、大変だと思われます。しかし、世界中で起こっている様々な変化と温暖化とが“関連している可能性”は極めて高いのではないか、というのがゴア氏のメッセージ(趣旨)と考えるべきでしょう。 キリマンジャロの場合について判決では「地域的な要因」を強調していますが、「地球温暖化の影響はない」という断定的見解よりも、地域的な要因と地球規模の「温暖化」の両方が“関連している”と考えるほうが妥当ではないでしょうか。 (ちなみに、そのような観点から「キリマンジャロの雪の減少」を写真入りで掲載している「環境問題の参考書や解説書」はいくつもあるようだ。〔『地球環境館』(小学館)など〕) 日本ブログ村と人気ブログランキングに参加しています ↑ よろしければクリックして投票・応援いただけますか(一日でワンクリックが有効です) 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)
2007.11.12
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「このシリーズの 内容5」です5.判事は、映画の中で「チャド湖が干上がってしまったのは地球温暖化の壊滅的な結果の典型的な例として扱われている」としているが、判決では、他の可能性の方が高いと述べた。(5についての私のコメント) ゴア氏の発言をそのまま引用します。「皮肉なことに温暖化は洪水だけでなく、干ばつも起こします。温暖化が世界的に降水量を増加させるだけでなく、降水地域を移動させるからです。特にアフリカのこの地域に集中しています。」「地表の蒸発は温暖化によって加速されます」 この発言自体に何の間違いもありません。 書籍版でもゴア氏が述べているのは「雨が減る一方で人間の使う水の量は増えているためチャド湖の枯渇が起こった」ということであり、温暖化が唯一の原因であると言っているわけではないのです。 判事は「人口増加や過放牧、地域の気候変動といった他の要因の結果であるという可能性が高い」と指摘しますが、両者の主張は全面的に対立するわけではありません。また、他の要因があるにせよ、「地表の蒸発は温暖化によって加速される、」というゴア氏の主張が誤っているなどとは断定できません。 地域的な要因と地球規模の「温暖化」との両方が湖の枯渇に影響している、と考えるのが妥当でしょう。 日本ブログ村と人気ブログランキングに参加しています ↑ よろしければクリックして投票・応援いただけますか(一日でワンクリックが有効です) 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)
2007.11.12
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「このシリーズの 内容4」です4.判事は、ゴア氏が映画の中で使用している、「過去65万年の二酸化炭素と地球規模の気温の変化」を示したとするグラフへの評価(両者の完璧な一致)に疑いを投げかけた。(4に関する私のコメント) 『不都合な真実』におけるゴア氏の発言は次のとおりです。「ふたつはとても複雑な関係にありますが、何よりも密接な結びつきはこういうことです。CO2の濃度が上がれば気温も上がる。」 確かに二酸化炭素の増加と気温の上昇に関して「前者が原因で後者が結果」という単純な因果関係を断定的に述べるとすれば問題があるでしょう。しかし、グラフを見れば両者(二酸化炭素と地球規模の気温の変化)の関連性は一目瞭然です。「全般的に関連性がある」ということについてはすでに科学者も合意しています。 判事は「完璧な一致は断言できるものではない」といっていますが、ゴア氏が述べた趣旨はまるで「南アメリカ東岸とアフリカ西岸の凹凸のように一致する(両者は明らかな関連性がある)」ということです。 日本ブログ村と人気ブログランキングに参加しています ↑ よろしければクリックして投票・応援いただけますか(一日でワンクリックが有効です) 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)
2007.11.11
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「このシリーズの 内容3」です3.判事は、ゴア氏が映画の中で「メキシコ湾流は停止する」と述べているが、この内容に対して科学者は同意していない、と述べた。(3に関する私のコメント) DVDを何度も見ましたが、ゴア氏は「メキシコ湾流は停止する」と断定していません。将来的な気候の突然の変化の可能性について「過去の事例(海流の停止→氷河期へ)」を取り上げて述べただけです。 確かに、書籍版の『不都合な真実』には「カリー博士は“温暖化のせいで北大西洋の海洋循環が21世紀に崩壊するなんてあり得ないとはいえなくなる”と述べた、」という記述があります。しかし、「停止することが科学者の合意だ」などとゴア氏は言っていません。 実は、10月に出された判決文を見るとこの種の誤り(ゴア氏が断定してもいない事柄について「科学的因果関係が証明されていない」とするもの)が多いのです。 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。) ↑ランキング(日本ブログ村)はこちらです
2007.11.10
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「このシリーズの 内容2」です2.判事は、「温暖化が原因で太平洋に浮かぶ島(環礁)が沈んでいるという主張は証拠による裏付けがない、避難が行われたという証拠もない」と述べた(コメント) この判決についても、慎重な検討が必要でしょう。 大潮の際に、「ツバル」は水没する状況が生じています。ゴア氏の言う「避難しなくてはならなくなっている」状況は現実にあるのです。ただし、現実に行われている「ツバルからニュージーランドへの移住」の理由が、水位の上昇のみだと断定できない点もあるようです。 客観的に見て大潮の際の水位の上昇、波などによる被害は出ているようなので、「(全員がそうだとはいえないが)水位の上昇が原因で移住する人も出ている、」とは言えるでしょう。 確かに、 「海岸付近で大潮の際に水没する状況が生じている」原因には安井至氏が指摘しているように複合的な要素がある(考えられる別の要因としては、生活排水や砂の過剰採取によるサンゴ礁の防波堤としての効果の減少など)とはいえるでしょうが、温暖化の影響が無いとは断定できません。 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。) ↑ランキング(日本ブログ村)はこちらです
2007.11.08
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『不都合な真実』への判決の中で一番問題にされていたのが1.の「海面上昇規模」です。この判決の「誤り」を一言で言うと「断定してしまっている」ことですね。 1. Burton判事は、この映画の核となる主張には同意するものの、近未来に海水面が上昇するというのは極端な主張である(「それは1000年、いや、それ以上先のことだろう」)と述べた。(私のコメント) この点について断定はできません。あくまでも「数メートルの海面上昇について現時点では可能性が低いと考えられる」ということです。「日経エコロミー」のコラムで安井至氏も、「起きない可能性が高いが、なんとも言えない。世界的な温暖化防止策が不成功に終わると、3mぐらいの海面上昇を覚悟しておくべきだろう」と述べています。 なぜでしょうか。「北極海が極度に温暖化し、グリーンランドの氷の融解が急速に進むことはないと断言できないから」です。 実は、IPCCが第4次報告で気温上昇の最悪の予測を6.4℃に上方修正したのも理由があります。それは、「炭素循環の負の連鎖」が加速していく可能性が高いからです。(下の図を参照) そのような状況を背景に「グリーンランド氷床が脆弱化し、大規模な崩壊・流出が起こる可能性があること」について絶対に無いとは誰も言えません。数メートル規模の海面上昇の可能性について、「断定できない」背景にはそのような現状があります。 2009年5月追記2009年4月16日、以下のような記事が公開されました。やはり、大幅な海面上昇の可能性を「非科学的」として否定することはできないでしょう。 約12万年前の前回の間氷河期の際、氷床の崩壊が原因で、わずか数十年間で海面が3メートル程度上昇したとする研究結果が、(4月)16日発売の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に掲載された。(・・・) これまで、前回の間氷河期における海面上昇は「数千年の間に非常にゆっくりと」起きたと考えられてきたが、ブランチョン氏とドイツ・ライプニッツ海洋科学研究所(Leibniz Institute of Marine Science)の科学者らは、海面上昇の「急激な」上昇を示す新たな証拠となるサンゴの遺がいを、メキシコ・ユカタン(Yucatan)半島で偶然発見した。 〔参考〕安井至氏はそのHP(⇒検証8)の中で次のように述べています。 温室効果ガスが増えた状態で、温度が過去にない速度で上昇する。これは、地球にとって少なくとも、過去数10万年では初体験でしょう。(・・・) グリーンランドの氷には、縦に割れ目ができていて、氷が融けた水が、一番下の岩盤まで到達しているらしいのです。となると、岩盤と氷の間に水が入り込み、それが潤滑剤の役割を果たして、氷河の流れる速度が2倍ぐらいになっている、という観測結果もあるようです。 氷の表面からちょっとずつ融けるのであれば、全部融けるのに、それこそ数1000年掛かるだろうと考えられているのがグリーンランドの氷ですが、氷河の流れが速くなって、一気に海に流れ込むということだって起きないとは言えないのです。(・・・) そんなことが起きれば、これは大変です。これは、是非とも防止しないと。 これがアル・ゴアの主張でした。確かに、確実なこととは断言できません。確実に海面が6mも上昇して水浸しになるということは言えません。しかし、誰も何が起きるか分かっていない。これが現実です。 教育問題に関する特集も含めてHPしょうのページに(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。) 日本ブログ村と人気ブログランキングに参加しています ↑ よろしければクリックして投票・応援いただけますか(一日でワンクリックが有効です)
2007.11.07
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アル・ゴア氏の『不都合な真実』に対するイギリスの裁判所の判決内容(「9つの科学的誤り」)を10月下旬に確認できました。 手に入った「判決内容」について細かく検討してみましたのでよろしければ・・・。 “しょう”のページへジャンプ
2007.11.01
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アル・ゴア氏主演の映画 『不都合な真実』 に関する「不都合な判決」について考える (2007.10月) 10月12日に「ノーベル平和賞」を受賞したアル・ゴア氏。ところが、ほんの数日前に『不都合な真実』に対して「科学的な誤り」がイギリスの裁判所で指摘されたとのこと。この件について全ては論じられなかったのですが、私なりに見解をまとめてみました。 「日経エコロミー」に注目! 私が上記の文章を書き終えた後ですが、「日経エコロミー」のコラムで「ゴア氏の主張」や「環境問題のウソ」を主張する本に対するコメント(論文)を読みました。非常に冷静な考察が展開されています。「白黒を断定する発想」を戒める説得力のあるコメントです。ぜひ、ご一読ください。 「プラグイン ハイブリッドカー」について考える ~本当に環境にいいの?~ (2007.10月) 現在、「次世代ハイブリッドカー」としてマスコミで取りあげられている「プラグイン ハイブリッドカー」 。これって本当に二酸化炭素も減らせて環境にやさしい車なのでしょうか?「環境にいいと思って買ったものがじつはそうでなかった」ということにならないよう考えてみませんか。 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』について考える (2007.9月) 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』(洋泉社)を読んだのは今年の9月ですが、気になることが山ほどありました。これを読まれて「結局のところ私はどうすればいいの」と思われた方、ぜひ私の文章もお読みください。 「環境問題はなぜウソがまかり通るのかのウソ」が配信されるなど、多くの人たちの話題になっている本ですね。 上記の話題に関心のある方は、次のページにおいでください。“しょう”のページへジャンプ
2007.10.26
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