NARUTO-ナルト小話
注:サスナルです。壊れサスケです。ナルトも壊れ気味です。苦手な方、意味の分からない方はご遠慮ください。OKな方のみ反転してお読みください。
「今日も豊作だぜ。ふふふ……」
サスケは朝からいそいそと畑仕事にいそしんでいた。うちは一族の全財産をかっさらって生きているサスケは超リッチ。トマトなどスーパーでいくらでも買えるのだが、サスケのトマトへのこだわりはただものではない。畑で作っているだけでも感心なのに、有機栽培なのである。頭には麦わら帽子。土まみれのサスケは不敵な笑みを浮かべフンと鼻を鳴らす。その行為に特に意味はない。しかも今日は任務の日であったが、サスケにはトマトの方が大事だった。もぎたてのトマトをナルトに食べさせる。それがサスケの本日の予定であり、他のことなどどーでもよかった。サスケはトマトをもぎ籠に入れながら、妄想をふくらませる。
~愛のサスナル妄想劇場~
サスケ「ナルト。摘みたてのトマトだ。さあ食え!」
ナルト「サスケ……。オレの為に……(涙)」
サスケ「ナルト。オレが一生お前においしいトマトを食わせてやるぜ」(プロポーズ!)
ナルト「サスケェー! オレってば幸せだってばよ(号泣&抱き付く!)」
サスケはよっしゃあとトマトをにぎりつぶした。そうと決まればさっそくナルトのもとへトマトを届けに行こう。サスケはうきうきと出かけた。
森で、任務途中のカカシ班と会った。
「サスケ。遅いぞ」
カカシはクールに部下に注意する。サスケはぎろりとカカシを睨み、その口にトマトを突っ込んだ。
「サ、サスケくん……」
「なんだお前も食いたいのか仕方ないな」
サスケはサクラにトマトを一個渡すと、辺りをきょろきょろ眺めた。
「ナルトはどこだ」
「ナルトなら風邪で任務休んだわよ」
その瞬間、サスケはショックのあまり頭にチューリップの花が咲きそうになった。
「なっ、てっ、てめぇは……!!」
サスケはカカシを涙目で睨む。
「ん?」
「てめぇは風邪で熱を出して寝込んでいるナルトに……独りで倒れて病院運ばれて死にそうなナルトに……」
「いや別にそんなひどくは……」
カカシの声などサスケの頭には入らない。
「意識不明でもうじき命の灯火が消えようとしているナルトを独りにしたって言うのかバカやろぉー!!」
うわわわわんとサスケは泣きながら、猛スピードで木ノ葉病院へとむかった。後に残されたカカシとサクラは、トマトをかじりながら呆然としていた。
「うずまきナルトさんは入院していませんよ」
木ノ葉病院の受付でそう言われたサスケは、ショックで固まった。
「ナルト……もう手に負えなくて家に帰されたというのか!」
サスケは再び号泣しながらナルトの家へ猛進する。
「可愛そうなナルト……うっうっ、待ってろよ今オレが行ってやるぜ!」
サスケは家の屋根を次々と跳ぶ。
「オレの愛のトマトさえ食べればだいじょうぶだ! すぐに元気になる! そしてくせになる!!」
よく分からないことを口走りながら、サスケはナルト家の窓を突き破って侵入した。
「なっ、なっ、サ、サスケ……!」
ベッドで寝ていたナルトは、口をぱくぱくさせていた。
「ナルト! もう大丈夫だ! オレが来たからにはもうお前はオレのものだ!」
ずいぶんと話が飛躍している。
「サスケェ……この窓割っちまって、どーしてくれんだよ」
「心配ない。ガラスは後でシールで貼り付けてやる」
「えー」
ナルトも熱のせいで反応がややおかしい。
「それより……」
サスケはトマトを一口かじると、それをおもむろにナルトに口移ししようとした。
「ぎゃーやめろー!!!!!」
ナルトはベッドから飛び起きて、ドアまで引き下がった。
「ナルト。顔が青ざめているぞ。病気が悪化したか?」
「おまえの……ぜーぜー……せい……ぜーぜー……だってばよ……」
「そんなことはない!」
サスケは言い放った。これっぽっちも自分の壊れぶりに気付いていないらしい。
「ナルト……」
だが、サスケは急にうつむき、ぼそりとつぶやく。
「サスケ……?」
「オレ……オレは……お前のこと心配で……」
目に涙を浮かべるサスケ。ナルトは、だまってサスケのそばにより、肩に手をおいた。
「心配で……頭にチューリップが咲きそうになったんだぜ!」
ナルトは再びドアまで飛び退いた。だがドアには鍵がかかっていて開かない。鍵を開ければいいだけのことだが、混乱したナルトはそこまで気が回らない。
「うぇ~んイルカ先生~……カカシ先生~……サクラちゃん~……」
ナルトはドアをがちゃがちゃ開けながら、号泣し始めた。どうやらナルトも熱で思考回路がおかしくなっているらしい。
「えっぐ……えっぐ……サスケが怖いよぉ……」
ナルトの顔は涙でぐちゃぐちゃになっている。
「ナルト……」
サスケがナルトに近づく。
「くんなサスケ! お前ってば絶対おかしいってばよ!」
「オレはおかしくないぞナルト」
サスケは平然と答える。
「やだーくんなー怖いー」
ナルトはパジャマの一番上のボタンをとってサスケに投げる。
「ナル……ト……」
パジャマの第一ボタンがとれてナルトの肌をちら見したサスケは、ぶっ倒れた。しかし顔を上げ、鼻血を垂らしながらはうようにしてナルトに近づく。ナルトはぶるぶると震えながら、覚悟を決めてドアに抱き付いていた。
しばらくしてナルトの肩に当たったもの。それはトマトだった。サスケが、懸命に腕を伸ばしてナルトの肩にトマトを当てていた。
「じっとしてろ」
「?」
「今トマトの治療をしている」
「……トマトの治療?」
「そうだよく効くぞ」
「……トマトの……治療……?」
「そうだよく効くぞ」
「……」
「よく効くからな!!!」
「……サスケ」
ナルトは顔を赤くして(熱のせい)にっこり笑った。
「……ナルト」
サスケは、ナルトの頬を真っ赤にして笑う顔にくらくらした。
バタ……。二人はぶっ倒れた。
サスケは、ナルトラブラブ度がマックスに達して。
ナルトは、サスケの壊れっぷり度への恐怖がマックスに達して。
「トマトのちりょう……トマトのちりょう……」
木ノ葉病院のペッド上で、ナルトはそればかり繰り返してうなされていた。
「ナルト、なにをわけのわからないことを言っているのかしら。ねぇサスケくん」
「さぁな。オレにもウスラトンカチの考えていることはさっぱりわからん」
サクラの前ではしれっとしつつ、サスケは何故いつもナルトアタックが失敗に終わるのか懸命に考えていたが、どうしても思い当たらなかった。
(完璧だった。確かに完璧だった。どこがいけなかったのだろう……)
そして毎度の如く、次のサスナルー作戦を考えるのだった。
☆あとがき☆
サスナル・ギャグ好きさんに楽しんで頂けたなら幸いです。そうでない方、注意書きをしたとはいえ……スミマセン;;
サスケ『また書きやがったか。もう怒る気にもなれん勝手にやってろ』
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