『未熟なボクら ―もう一つのNARUTO-ナルト物語― 』
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第29話「きらきら光る涙のしずく」
「ナルトくんが好き……」
小さな声を振り絞り……必死でナルトを見つめる目からは涙があふれ、ほおを伝い落ちた。ナルトは息を呑み、ヒナタを見つめ返す。ヒナタはそのままナルトを見つめていたが、やがて息を吐き、体の力を抜いた。
「……ごめんねナルトくん。急にこんなこと言って。……ナルトくんが、サクラちゃんを好きなことも知ってる。ただ、私の気持ちを、伝えたかっただけなの……。ごめんね……」
ヒナタは、ぐすっと涙をぬぐう。けれど、告白する前より、心なしか落ち着いているようだ。逆に、事態を分かってきたナルトの方が、あわてふためき顔を赤くしている。視線も定まらない。
「オッ、オッ、オレッってばー……、そっ、そーいうこと、言われたのー……、はっ初めてっ……そう、うん、初めて…だってばよ……」
言いながら、ナルトも少し落ち着きを取り戻す。そうしてめずらしく、黙り込んで真剣に考える。やがて、そらしていた目を、ヒナタに戻す。
「オレってば……確かにサクラちゃんのこと好きだけどぉー……それがオトナが言ってるようなちゃんとした……その、なんてっか……」
ナルトは顔を赤くして、必死に続ける。
「……あ、愛…とか……そーいうのかどうか……よく分かんねーんだってばよ。……オレってば……みんなの前ではカッコつけてるけど……ホントはまだ、コドモだからよ……」
そこまで言うと、ナルトは少し苦しげに、けれど悟られまいと笑って続ける。
「……サクラちゃんがサスケを思う気持ちは、とっても強いんだって……すっごくすっごくサスケのこと好きなんだなって……感じる……。その気持ちは……オレがサクラちゃんを好きって思う気持ちよりずっと強くて……オレはときどき……悔しくなったり、辛くなったり……。だけど……サクラちゃんが、大好きなサスケと一緒にいられて幸せだったら、オレもうれしいなーなんて気持ちも……あって……」
「ナルトくん……」
「サクラちゃんのことは、そんな感じだってば」
そうしてナルトは、照れながらも、しっかりとヒナタを見つめ笑う。
「ヒナタのこと、好きだってばよ。サクラちゃんとは、違う感じの気持ちだけど……」
ヒナタは、少し悲しい気持ちをそっと胸に秘め、笑う。
「ありがとなっヒナタ! オレ、うれしかったってばよ!」
ナルトはようやく、いつものようにニシッと笑った。ヒナタは、にっこり笑い返す。おひさまのように。雨上がりの朝露のような、きらきら光る涙のしずくが、風に揺れる草にそっと落ちた。
ナルト『次回は……シカマルの母ちゃんを見たネジがさぁ』
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