『未熟なボクら ―もう一つのNARUTO-ナルト物語― 』
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第56話「人は何故生きるの」
ネジは、夢之助を見下ろした。強く睨むその目にたたえたものは、怒りと悲しみと、大切な者を慈しむ心――。
「オレはお前を見ていて我慢がならない!」
ネジは腹の底から怒鳴りつける。
「解ける呪印を、解く努力もせず……」
「……だって、無理だよ」
蚊の鳴くような声で答える夢之助。
「生まれたときから、九歳で死ぬって決まってたんだ。それがボクの運命なんだ」
「……運命は、変えられる」
ネジはキッパリと言い、ナルトに目を向けた。ナルトは、コクンとうなずく。ネジは夢之助の前にしゃがみ、視線を合わせる。
「お前には、間違えてほしくない。それに……オレと同じ思いは、させたくない」
「同じ……思い……?」
夢之助はつぶやき、そしてハッとした。
『オレの呪印は死ぬまで解けないが……』
リーも、ネジのとなりにしゃがむ。
「夢之助くん。この間、ネジがキミに呪印の解き方を教えたでしょう? あの時、本当は敵が来る危険性が高かったから、そんなことをしたらいけなかったんです。そーいうことは、いつも冷静沈着なネジが真っ先に気付いて忠告するんです。でもそんなネジが、あの晩それに全く気付かなかった。何故だか分かりますか?」
不思議そうな夢之助に、リーは優しい笑みを浮かべ、続ける。
「ネジはキミの呪印を解くことだけを考えて、本当に一生懸命考えて、それだけで頭がいっぱいで……だから任務の事なんて、忘れていたんです。キミには分からないと思いますが、ネジが任務を忘れるなんて、よっぽどのことなんですよ」
リーは、夢之助の目をのぞきこむ。
「ネジは死ぬまで呪印から逃れることはできない……。だからせめてキミにはって……そう思っているんです」
「……」
夢之助は、うつむき、押し黙る。しばらくして、ボソリとたずねる。
「人は何故、生きるの?」
うつむいたまま。夢之助の肩はかすかに震える。
「友達と離ればなれになったよ。ボクもうあんな思いしたくないし……」
夢之助は、バッと顔をあげる。せっぱ詰まったような表情で。
「お兄ちゃんたちはなんで生きてるの!? 忍だからいつ死ぬか分からないのにどーしてそんなに一生懸命に生きてるの!? ボク分かんないよ! 誰か教えてよっ!!」
答えを、激しく求める夢之助。この木ノ葉の忍たちの影響で、今まで必死に感情を抑えていた小さな子供は、生きたいという心の奥に強くあった気持ちがどうしようもなくあふれ――。けれど、抱えきれなかったのだ。受け入れるのが怖くて。納得出来る答えがほしくて。否定し続けてきた生きる意味を肯定するのに、誰かに強く支えていてほしかったのだ。絶望と隣り合わせの、生きる希望を持つために。死ぬと言われた九歳のこの時に出会った、大切な人たちの命をかけ、呪印を解き生きる勇気を持つために。
「夢があるからだってばよ」
「ナルト……お兄ちゃん……」
見上げたナルトは、ニシシと笑う。
ナルト『次回は……昔のオレの気持ちとか、夢之助に話してやるんだ……』
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ハロウィンイラスト るろうに剣心 October 29, 2012
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