いのちゃんは、さばさばしつつもたまに見せる優しさが好きです。十班の仲間を大切にしているところも好きv サクラと一緒に、いのも頑張ってほしいです!
今日は、NARUTO-ナルト小話(短編小説SS)でお祝いさせていただきます。
いのお誕生日企画(2007年)
第一部設定。
『幸せプリン』(いの主役・十班+サスケ・ギャグ&ほのぼの)
ドアをノックする音がし、シカマルとチョウジが入ってくる。任務前にアスマのところへ寄り、その帰りだった。
「いの、アスマは大丈夫だ。だから泣くなって」
「……私が、油断、したから……」
体を、小さく小さく丸めて。涙声。
「……いの、任務が終わったら、なにか買ってきてあげるよ。何食べたい?」
「――何も食べたくない」
心が痛くて悲鳴をあげているように、けれど消え入りそうな声。チョウジは、どうしようと言う風に、シカマルを見る。シカマルは、少しの間何か考えていたが、やがて静かに言った。
「分かった。任務帰りに、お前の好きなサスケを連れてきてやる」
ビクッと、いのの肩が揺れた。
「だから食うもん食って、元気になれ。いいな」
シカマルは、めずらしくビシッと言いつけ、出ていった。チョウジは、あわてて追いかける。
「……」
皆が出ていってから、いのは初めて、伏していた顔をドアの方へ向けた。
「何故オレがいのの見舞いに行かなきゃならねーんだ」
七班の皆と別れ、任務からの帰り道。木ノ葉街道のざわめきの中、話を聞くなりサスケは言い放った。
「だからサスケは来ないよって言ったじゃない。どうするのシカマル?」
チョウジは小声で、シカマルにささやく。
「お前がサクラを好きなのは知ってる……」
「なっ……!」
唐突に言ったシカマルに、サスケの顔が険しくなる。
「お前にとって別にいのは、深い友達ってワケでもねぇし、別に好きなやつでもねぇ……」
シカマルの目が鋭く光る。
「けど、オレたちは同じ木ノ葉の忍だ。仲間だ。だから命懸けで見舞いに行く。これが木ノ葉流だ!」
シカマルは決めゼリフ(アレンジ見舞いバージョン)を言い放った。
「……バカバカしい」
だが、サスケには通用しなかった。
「シカマル~」
「あわてるなチョウジ。次は作戦その2だ」
どうやら今のは、作戦その1だったらしい。
「サスケ。どうやらお前、今夜のおかずは梅干し一個だけだろう……」
「なっ、何故分かった……!」
サスケは動揺した。
「そのスーパーの袋から出てるもの、『木ノ葉印のスーパーヘアースタイリング剤』だろ? それ高いんだよなぁ。けどそのつんつん頭を維持するためには、必要だよなぁ。お前の場合、飯よりまずそのつんつん頭を維持することが大事だもんなぁ……」
シカマルは不敵に笑った。
「勝手に決めつけんな! この髪型は生まれつきだ!!」
「しかし事実、お前は今夜の夕飯代がねぇ。そこでだ……」
シカマルはサスケの耳元で、なにかささやいた。
お か か の お に ぎ り と ト マ ト 。
「ごちそうしてやっからよ」
「何っ!?」
シカマルの甘い誘惑に、サスケは激しく心が揺れ動いた。ごくりと唾を飲み込みながら、必死に「おかかのおにぎりとトマト」の誘惑と戦った。
「……オレがそんなものにつられるワケがないだろう」
ついに、飯よりプライドが勝利した。
「チッ。……よし。作戦その3で決めるぜ……」
シカマルは、急にかがんで膝を抱えると、切なそうに語り出した。
「オレの家はよ……スパルタ教育でな……。朝は四時から起きて過酷な修業だ……。少しでも弱音を吐けば、親父に容赦なく怒鳴られる……。しつけもすげぇ厳しくて……少しでも気を抜けば、母ちゃんは青筋立てて叱るんだ……」
青黒い哀愁オーラ漂うシカマルの横で、今度はサスケが不敵に笑った。
「孤独……親に叱られて悲しいなんてレベルじゃねぇぞ!!!」
サスケは「不幸自慢」に勝ったと、超ご満悦に帰っていった。
「ちっ……くしょー! 失敗に終わったか……」
シカマルは、わしゃわしゃと髪をかき乱した。
「シカマル……頭のキレ悪くなった?」
シカマルは強烈なショックを受け、今度は本気で膝を抱えた。
「シカマル……帰ろう? プリンでも買ってさ。いの、プリン好きだからさ」
「がっかりするだろーな、いの……」
シカマルは、夕空を見上げ、つぶやいた。
プリンを買って、再びいのの部屋を訪れたとき、いのはまだ背中を向けてベッドに伏していた。
「いの……。悪ぃ。サスケ連れてこられなかった……」
シカマルは、辛そうにあやまった。いのは、ばっと振り向く。
「――よかった……」
いのの顔は、弱々しくも笑っていた。
「へっ? なんで!?」
チョウジが、不思議そうにたずねる。
「だって、サスケくんに、こんな惨めな姿見せられないじゃないー。こんな、髪もぼさぼさで、リップもつけてなくてー……」
「……オレたちになら見せてもいいのかよ」
「うん。いいよー」
いのは初めて、にっこり笑った。
「だって、シカマルとチョウジは、運命共同体。三人でスリーマンセルだもんー」
いつになく素直ないのに、シカマルは照れ、チョウジはうれしそうに笑った。いのは、プリンありがとーと言って受け取り、おいしそうに食べ始めた。そして、ふと、ごめんねと、小さくつぶやいた。聞き逃してしまいそうな、小さな声で。けれど二人は、決して聞き逃さなかった。
「いの。どうしてあやまるの?」
チョウジが優しくたずねると、いのはほんの少しだけ、くちびるを震わせた。そのまま、泣くのかと思った。けれどいのは、食べかけのプリンを見つめたまま、穏やかに笑った。
「今日、二人だけの任務だったんでしょー。アスマ先生もいなくてー……」
いのの言葉が、少しとぎれる。
「心配…したんだぁー……」
笑ったまま、いのの手に、ぽとりと涙が落ちた。
「私も、ふさぎ込んでないで一緒に行けばよかったって……今から追いかけようかなって思ったんだけどー……またかばわれて二人を傷つけたらどうしようって……矛盾してるねー……」
笑っているのに、ぽろぽろ、ぽろぽろ涙を流すいの。シカマルは、いのの頭にポンと手を置いた。
「ばーか。オレたちは運命共同体なんだろ? お前のために傷つくなんて当たり前なんだよ。アスマも含めてな」
そうして、頭を優しくなでてやると、いのの涙はあとからあふれて――けれどそれはもう、悲しい涙ではなかった。
「いの。プリン食べな?」
チョウジは、いのからプリンとスプーンを取ると、いのに食べさせてあげた。
「――甘くて、おいしー」
とろけるように甘いプリンは、幸せをいっぱいに含んだ味がした。
☆あとがき☆
いのお誕生日祝い小話です。
書いていて思ったのは、いのうらやましー! ということです・笑 シカマルとチョウジに大切にされて、いいですねぇいのちゃは。あぁうらやましいです(←しつこい
いのは、十班のプリンセスとして、みんなから愛されればいいなぁと思います(*^_^*)
いの『みんな、お祝いしてくれてありがとー☆』
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