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今日は久しぶりに花を紹介する。赤花八重咲きのサンザシ、八重と云うのは本来私の趣味ではないが、シジミバナやこのサンザシの様な小さな花の場合は余り気にならない。赤花八重咲きのサンザシ.アカバナサンザシと云う品種らしい(写真クリックで拡大表示)(2010/05/03) 8年程前に園芸店から安く買って来て、鉢植えにしてある。変な盆栽崩れの株で、台木の直ぐ上には棘が生えているが、その上に棘のない種類が更に接いである。 サンザシはバラ科サンザシ(Crataegus)属に属す。講談社の園芸大百科事典を見ると、この属は北半球に1000種余りが分布するとある。しかし、保育社の図鑑には「北半球の温帯に200種」と書いてある。文献により酷い差!!、分類が混乱しているのだろう。花は小さく、直径1cmより少し大きい程度(写真クリックで拡大表示)(2010/05/02) それでは、我が家のこのサンザシは何と云う種なのだろうか。よく分からないが、先の大百科に拠ると、八重の赤花で棘がない園芸種は、メイフラワーとも呼ばれているセイヨウサンザシ(Crataegus oxyacantha)の変種で、アカバナサンザシと言うらしい。多分この辺だろう。私には、園芸品種の学名を調べる趣味はないから、これ以上は追求しないことにする。花を拡大.中央に雌蕊が1本見える(写真クリックで拡大表示)(2010/05/02) 八重だから、実は着かない。しかし、昔の我が家には白の一重のサンザシがあって、毎年赤い丸い実を沢山付けていた。見た目には中々風情があるが、食べても渋味があり美味しくない。しかし、支那ではこれを食用として珍重する(食用改良品種)。中国林業出版社の「中国果樹誌」シリーズには「山?巻」があり、142品種について詳細な解説がある。 支那のサンザシ加工品としては、実を潰して砂糖を加え乾燥させたもの(山?片、或いは、山?条)がよく知られている。何ともクドイ味だが、支那人はこう云う味が好きらしい。糖醋肉(酢豚)も、北京などで食べると、矢鱈に味がクドイ。蘇州明菜(有名料理)の松鼠魚も甘酸っぱい料理だが、もっとキョクタンに甘味が強く、日本人は閉口する。別の花.雌蕊は中央に2本?(写真クリックで拡大表示)(2010/05/03) 八重咲きと云うのは、雄蕊や雌蕊、特に雄蕊が花弁に変化したもの、と言われている。この八重のサンザシの花を拡大してみると、雄蕊は見えないが、雌蕊は多いものでは5本もある。図鑑の解説を読むと、サンザシ属は「心皮は1-5、合生するが、腹面と上部で離生する」とある。5本雌蕊があってもおかしくないことになる。5本の雌蕊があるが、1本は柱頭が隠れている(写真クリックで拡大表示)(2010/05/03) このところ天気はよいが気温は低い。水曜日の夜などは「木枯らし」が吹いていた。5月半ばと云うのに、今だに暖房を入れ、衣類も冬と殆ど変わりがない。もっと暖かくなって欲しいものである。
2010.05.15
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ここ数日、本格的な春を前にして、肌寒い日が続いている。全く、餌を前に「おわづけ」を強いられている犬の様なものである。今年はどうしてこうも寒いのだろうと思い、昨年3月の気温を調べてみると、何と、今年と大して変わらない。人間、どうも希望的観測が好きな生き物の様である。 しかし、天気は悪くとも、花は順序正しく咲いて、今はユスラウメ(Prunus tomentosa:バラ科)の花が満開である。毎年、咲く頃に春の嵐がやって来て花を台無しにしてしまうのだが、先日の暴風の日には風から少し保護したせいか、今年は綺麗に咲いている。ユスラウメの花.満開に近い枝が1本だけあった(写真クリックで拡大表示)(2010/03/23) 写真を撮ったのは少し前で、まだ三分咲きと言ったところ。茶人の薫陶を受けた者としては、この頃が撮り頃である。しかし、一個所だけ満開に近い枝があり、上の写真をそれを撮ったもの。満開時の雰囲気を示したつもりである。咲き始めたユスラウメの花(写真クリックで拡大表示)(2010/03/23) このユスラウメ、全体としては盆栽風になっているのだが、昨年全く剪定をしなかったので枝が伸び放題。格好良いとは言い難いので、全体像は撮らなかった。もう少し沢山花の着いた枝.花弁は薄くペラペラ(写真クリックで拡大表示)(2010/03/23) 花は径2cm程で、肉眼的には殆ど真っ白、赤味を帯びない(保育社の原色日本植物図鑑木本編では白色~淡紅色となっているが・・・)。花弁は、ズミ(コリンゴ)に似て、ペラペラで薄く、少し皺が寄っている。まァ、言ってみれば、些か頼りのない花である。まだ咲きかけの花.以下でこの花を拡大する(写真クリックで拡大表示)(2010/03/23) 花弁の基部は細まっており、隣接する花弁との間に隙間を生じている。その隙間は、丁度萼の形になっていて、萼全体が見える。別に何も意味はないと思うが、一寸面白い。上の花の拡大.ストロボで撮ると少し青味が付く(写真クリックで拡大表示)(2010/03/23) 図鑑には「雄ずい多数」とある。しかし、「多数」と言うほど多くはない。充分に開花した花で調べてみると18本位、極く短い雄蕊もあって、実体顕微鏡が無いと正確には調べ難い。「多数」とあるのは、数が一定しないのかも知れない。花糸の基部は、淡紅色を呈している。正面から見た雄蕊と雌蕊.まだ伸びていない雄蕊もある雌蕊は細く小さく、花糸と同じ位の大きさ(写真クリックで拡大表示)(2010/03/23) 雌蕊は花糸(雄蕊の軸)と同じ程度の太さと長さで、肉眼では強度の老眼鏡を掛けても、葯の取れた花糸と区別がし難い。写真で見ると、花糸は基部を除いて白いのに対し、花柱は葯と同じ黄色をしている。柱頭は殆ど膨らまず、先が少し拡がっている程度。 なお、写真では見えないが、図鑑には「花柱の中部から子房に絨毛を密生する」とある。同じ花を横から見た図.雌蕊は全体が黄色(写真クリックで拡大表示)(2010/03/23) ユスラウメの果実はかなり以前に掲載した。小粒だが色は綺麗だし、昔の酸味のあるサクランボの様な味がして、私はかなりこれが好きである。今年は花付きが例年になく良いので、実もそれに応じて沢山付くであろう。 しかし、ユスラウメの実は日持ちがしない。アッと言う間に熟して、直ぐに過熟になってしまう。今年は、食べきれなかったら果実酒にしてしまおう、と思っている。
2010.03.28
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今日は木枯らしの様な北西風が吹いているが、気温はもうすっかり春である。しかし、花の方は散ってしまったものもあるのに、虫の方はサッパリ。仕方なく、植物を掲載することにした。 植物と言う生き物は、虫と違って逃げたりはしないので、慌てて撮る必要もないが、そう思って油断していると、気が付いたときはもう散っていた、と言うことと相成る。しかし、また来年咲くのだから別に気にすることもあるまい。 ・・・と言う訳で、今年も既に何種かの花木を撮り逃がした。しかし、早春に咲く黄色い西洋シャクナゲだけはシッカリ撮ってある。もう随分昔に園芸店で買った代物で、品種名は「クリソマニカム」。普通のシャクナゲは4月下旬~5月中旬頃に咲くのに、3月の中頃から咲き始めるとは、随分気の早い?シャクナゲである。西洋シャクナゲ「クリソマニカム」.開く直前の蕾(2009/03/10) 実は、我が家ではこのシャクナゲ、余り評判が芳しくない。咲き始めは綺麗なのだが、開花後段々花色がくすんで来るし、花穂に着いた花が何れも水平方向を向いてしまって広場の広報用スピーカーの様な格好になってしまう。どうも、今一つ情緒に欠けるところがあるのである。咲き始めた西洋シャクナゲ「クリソマニカム」(2009/03/11) 一つひとつの花を良く見てみると、雌蕊がみな曲がって花の端にへばり付く様な形になっている。どうも、雌蕊と言うものは真ん中にないと格好がつかない。授粉を拒否している様に見える。花の一つを拡大.雌蕊は横を向いている(2009/03/11) 花だけ撮っても面白くないので、柱頭(雌蕊の先端)と葯(雄蕊の先端)を撮ってみた。真上から見た柱頭(2009/03/11) 柱頭は正面から見ると、丸かったりかなり細長い楕円であったりして、様々な格好のものがある。写真はそれらの中間的な形のものである。長径は葯3.3mm、短径は2.5mm、表面には粘液の様なものがあり、写真ではそれが白く見えている。花粉を付き易くする為であろう。 この柱頭、厚みがあって写真を撮るのに苦労した。其処で、横からも撮ってみた。横から見た柱頭(2009/03/11) 随分と真ん中が盛り上がった柱頭である。以前、紹介した日本シャクナゲや白花の西洋シャクナゲ(品種名:マダムマッソン)の写真原画を拡大してみたが、こんなに盛り上がってはいない。しかし、表面がデコボコしている点では同じであった。横から見た葯(2009/03/11) 葯の方はウツボカズラの虫を捕る壺を2つ並べた様な形をしている。長さは3~3.5mm。普通、葯と言うものは、内側に花粉があって、葯が開裂し裏側がめくれて花粉が出て来るのだが、咲いて少し日の経った葯を見ても、同じ格好をしている。シャクナゲの葯は開裂しないらしい。 調べてみると、開裂しないのではなく、上の部分が蓋の様に開くのだそうである。ツツジ科植物の多くはこう言う形の葯をもつとのこと。他に、ナス属やヒメハギ属にもこの手の葯があるらしい。上から見た葯(2009/03/11) その葯の上部にある口の様な穴から中を撮ってみた。・・・花粉らしきものは見えない。 其処で、葯を切り裂いてみた。幅1mmに満たない葯を真ん中付近で切るのには、実体顕微鏡、ピンセットとメスが無いと一寸難しい。ピンセットは先日この手の用途のものを買ったので何とかなるが、実体顕微鏡とメスはない。仕方なく、+3と+2.5の老眼鏡を2重にかけ、刃物の方は先日磨いだばかりの柳刃包丁を使うことにした。 ピンセットで葯を押さえ、柳刃の刃をペティナイフの様に持って、何とか切ることが出来た。葯を縦に切ってみた.中はカラッポ!!(2009/03/11) すると・・・、中はカラッポ!!、花粉は見当たらない。最初から無いのか、或いは、もう全部出てしまったのか? 其処で、咲き始めたばかりの花弁が極く少しだけ開いた花から葯を取り出して切ってみた。咲き始めの花の葯を切ったもの(2009/03/11) 花粉と思しきものが少し見える。しかし、葯の大きさから判断して数が少な過ぎる。開き始めたばかりの花でも花粉が少ないとはどう言うことか? そこで、まだ咲く前の花、即ち、膨らんだ蕾の花弁を取り去って、中を見てみた。開花する前の花(蕾)の花弁を取り除いたところ葯の開口部周辺に花粉らしきものが見える(2009/03/11) 葯の「口」の周りに花粉と思われる白い粒々が見える。花が開く前にもう花粉が吹き出していると言うことらしい。 この葯を取り出して切ってみると、下の写真の如し。上の花の葯を切開してみた(2009/03/11) 中には、半透明でまだ少し未成熟な感じの花粉が沢山入っていた。しかし、半透明に見えるのは光線の加減かも知れない。 何れにせよ、このシャクナゲでは、花粉はまだ花が開く前に葯から出ており、開花する頃にはもう殆ど出尽くしているのである。・・・と言うことは、これは閉鎖花の様なもので、自家受粉の為の機構なのだろうか? シャクナゲを含むツツジ科植物の花は一般に虫媒花である。しかし、このシャクナゲが咲くのは3月中旬、コマルナハバチが来る可能性はあるが、他のミツバチやハナバチ類等の花粉を媒介してくれる昆虫が多数出現する時期よりも少し早い。このシャクナゲは、或いは、花粉媒介昆虫が少ないので、自家受粉の機構を発達させたのであろうか。 残念ながら、このクリソマニカムと言うシャクナゲ、その起源が全く分からない。そもそも「クリソマニカム」の欧文綴りが分からないのである。色々な綴りを考えて検索してみたが何れも有意なヒットは無かった。だから、調べようが無い。開花時期、花色、花穂の形等、何れを取っても少し変わったシャクナゲである。或いは、園芸品種などではなく、何処か特異な環境で進化した原種かそれに近い特殊な品種なのかも知れない。もしそうだとすれば、上の空想的推論もあながち「空想」ではない可能性も無くはない。
2009.03.23
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前回、と言っても2週間以上前になるが、枝垂梅の花の超接写写真を掲載すると書いた。ところが、実際に撮ってみると、これが実に面白くない。どうしようかと思っている内に2月も半ばになってしまった。 一向に面白くないのだが、一応約束なのでやはり出すことにしよう。枝垂梅の花.普通のマクロ撮影(2009/02/01) 先ずは全体像、普通のマクロ撮影である。少し遠くから撮って部分を切り出しているので、ほぼ全面に焦点が合っている。真ん中に雌蕊が1本、その周囲に雄蕊が45本程あるのが分かる。 なお、この写真は全体を説明するために後から撮ったもので、以降の写真とは別の花である。枝垂梅の雌蕊と雄蕊.上とは別の花.超接写(約2倍)(2009/01/28) 上は超接写システム(CCD上で約2倍)で撮った雌蕊と雄蕊。焦点深度が非常に浅いことがお解り頂けるであろう。 雌蕊は最初の花と同じで、妙な具合に曲がっている。また、葯には、開いた時期が異なるのか、濃い黄色とかなり淡い色をした葯の2種類あることが分かる。柱頭の拡大(2009/01/28) 次はその前の写真に写っている雌蕊の先端(柱頭)を拡大したもの。但し、写した方向は少し違う。直径は約0.6mmm、殆ど構造らしきものが無い。以前紹介したセンターフォールド(ユリ)の柱頭と較べると、何とも面白味のない柱頭である。葯の拡大(2009/01/28) 葯の方も平凡である。写真には、黄色の濃いのと薄いのの両方を入れてある。柱頭より少し小さく長径約0.5mm、下側の黄色の濃いのはまだ開裂し切っていない。色の薄い方は既に開裂して花粉が飛んでしまったのか、或いは、奇形で始めから花粉形成が上手く行われなかったのかは分からない。 ・・・と言う訳で、今回のウメの花の超接写には、見るべき成果は殆ど無かった。教訓、何でも馬鹿の一つ覚えの如く、超接写してみれば良いと言うものではない。
2009.02.13
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もう1月も今日を含めて後3日を残すだけとなってしまった。今年は無理をしてまでネタ探しはしないことにしていたら、すっかりサボり癖が付いてしまい、今月の更新は今回がまだ4回目。我ながら、一寸酷すぎる。反省、反省・・・。 今日紹介する枝垂梅は、昨年も掲載したが、初めての花が1輪だけ咲いたのが3前、昨年もまだ花は少なく、今年になって漸く賑やかに咲いて、梅の花らしくなって来た。枝垂梅.まだ幹の太さは3cm位で貫禄はない(2009/01/28) しかし、御覧の様に幹はまだ3cm位で、木全体に風格が出て来るのには、まだかなりの年月が必要だろう。 上の写真、本当ならば、木全体を示したいところである。しかし、植物や昆虫の写真を撮る時には、背景に建物や柵などの人工物を絶対に入れない、と言うことを基本にしている。庭は南側にあるから、順光で撮影すれば、必ず建物が背景に入ってしまう。また、広角や標準レンズで撮ると、方向と関係なく、何処かの家や柵、或いは、電線等が写り込んでしまう。 私の写真にストロボを使ったものが多いのは、1つは背景を消す為でもあるが、この梅の木の様なものをストロボ光だけで撮ったら全く不自然な写真になってしまう。上の写真は300mmの望遠を使い、ストロボを焚いても目立たない様、且つ、逆光写真にならない様に、5メートル位離れて撮ったものである。枝垂梅の花(2009/01/28) 天候は曇りである。それでもやはり建物の構造上南側からの光が強く、普通に撮ると逆光写真になってしまう。上の写真も下の写真も、やはり長めの望遠で遠くからストロボを焚いて撮っている。狭い庭で動植物の写真を撮るのは、結構大変なのである。枝垂れているところを撮ったのだが後の花と少し重なってしまった(2009/01/28) 写真もほぼ撮り終えたとき、雲間から急に朝の日が射して来て、一番南側にある花にだけその光が当たった。一枝の花だけが輝いている。其処を空かさず撮ったのが下の写真。勿論これにはストロボは使っていない。一番奥にある枝にだけ陽が当たっている(2009/01/28) 昨年掲載したこの枝垂梅の花には、雌蕊が脱落しているものが多かった。今年はどうかと言うと、殆どの花にチャンと雌蕊が付いている。やはり、木が充分に成熟していない場合には、雌蕊の発達が不充分になることがあるらしい。 このWeblogの取柄は、まァ、言ってみればマクロ写真であろう。読者諸氏もそれを期待しておられるかも知れない。今回は望遠レンズで撮ったフツーの写真であった。この次は、この枝垂梅の花を等倍以上で撮影した写真を紹介することにしよう。
2009.01.29
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我が家にはトベラの木が1本ある。私が好きで特別に注文して手に入れた木である。このトベラに関しては、その葉裏に付くトベラキジラミやその他の昆虫は掲載したことがあるが、トベラ自体は花も実も紹介したことがない。其処で、今日はトベラの実を出すことにした。トベラの果実.我が家の木では2~3個しか着かない(2008/12/10) 植えてからまだ6年半、樹高は3m程度。花は3年位前から咲いているが、どうも黄ばんで汚れた感じのする花が多いので今まで紹介していない。実の方も、本来はもっと沢山着くのだが、我が家のトベラは上の写真の様に2~3個チョボチョボと着くだけである。果実の拡大.真ん中に細長い突起がある(2008/12/10) 果実を良く見てみると、花柱の残りらしい細長い突起が真ん中にあって、一寸面白い形をしている。この写真を見て想像が付く様に、果実は熟すと3つに裂け、中から真っ赤な種子が出て来る。3つ割れて種子が出て来た(2008/12/10) これも本来は赤い種子が溢れんばかりに出て来るのだが、我が家の木ではチャンとした赤い種子は2~3つで、他は茶色の出来損ないの種子ばかり。種子はベタベタした粘液に被われている。 トベラの学名はPittosporum tobiraである。この属名Pittosporumのpitto(ギリシア語起源)とは英語のpitch(ピッチ、瀝青、松ヤニ)、sporumは種子のことで、種子がネバネバしているのでこの様な名前を頂戴したものらしい。本来は赤い種子が10数個も出て来るのだが、我が家では極く僅か(2008/12/10) また、種名のtobiraはトベラそのもののことである。Wikipediaに拠れば、トベラの枝葉は切ると悪臭を発し、節分にイワシの頭などと共に魔避けとして戸口に掲げられたので、扉の木と呼ばれ、これが訛ってトベラとなった、のだそうである。種子はネバネバした粘液に被われている.一見甘そうだが全くの無味無臭であった(2008/12/10) このベタベタの種子、一寸見たところ甘そうである。早速舐めてみたのだが、全くの無味無臭。種子は固くてカチカチである。これでは鳥にも無視されるであろう。現に我が家ではヒヨドリもメジロも全く興味を示さない。しかし、調べてみると、メジロがトベラの実を食べている動画を載せているサイトがある。我が家のトベラはまだ木自体が若いので、甘くないのかも知れない。種子の落ちた殻.一寸ツバキに似ているがトベラはトベラ科に属しツバキとは遠縁(2008/12/10) 我が家の庭はもうすっかりネタ切れ状態になっており、3日に1度更新出来ればよい方、と言う感じになってしまった。しかし、もう一方のWeblogではネタが目代押しに並んでいて更新するのに忙しい。虫の写真を御覧になりたい方は、其方をどうぞ。
2008.12.14
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最近はもう一方のWeblogの方に力が入っていて、此方の方は、ボヤボヤしている間に5日も穴を空けてしまった。ネタがない訳ではない。しかし、近日中にネタ切れに陥るは必定なので、「出し惜しみ」をしているのである。出来るだけ新しいネタを探して、繋がなくてはならない。 ・・・と言うことで、今日はその繋ぎとしてドウダンツツジの紅葉(黄葉)を紹介することにした。ドウダンツツジの紅葉と黄葉(2008/12/08) ドウダンツツジは普通、紅葉であり、黄葉ではない筈である。ところが、この我が家のドウダンツツジ、今年はかなりの部分が黄葉した。しかも、まだ緑色の部分も残っている。 こう言う色々な色の混ざった「こう葉」が一番味わいがあると思う。掲載することにした所以である。少し赤黒い部分もある(2008/12/08) また、妙に赤黒い色をした葉もある。恐らく、これはその内に真っ赤になるのであろう。どうも背景をぼかす撮り方は苦手である(2008/12/09) 今年は除草をサボっただけでなく、ツツジやドウダンツツジの剪定もサボってしまった。今、シッカリ剪定すると花芽も切ってしまうことになる。しかし、正月までには植木屋さんが入るから、もう少し格好を整えないと、周りとの調和が取れなくなる。徒長枝だけでも切ることにするか・・・。
2008.12.09
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此処暫く、気力の充実が今一つ足らない日が続いている。虫ネタは幾つかあるのだが、何か植物を掲載したいと思っている間に1週間近く更新をサボることになってしまった。 雑草が咲くのを待っていたのである。しかし、気温の低い日が続いて、中々花が開かない。その内、季節外れのユキヤナギが少し咲き始めたので、代わりにこれを出すことにした。開き始めたユキヤナギの花(2008/11/11) 自然に生えてきたユキヤナギである。鉢に植え換えて2~3年、もう充分大きくなったので、来春、外庭のアベリアを少し引っこ抜いて、代わりにこれを植えようと思っている。 アベリアは、我が家では評判が宜しくない。やはり、我が家で育った者は茶人の薫陶を受けているせいらしい。兄でさえ、代わりに植えるコデマリを自分で買ってきた位である。尤も、植え換えるのは、私なのだが・・・。ごく少し、葉の間から花が見えている(2008/11/11) 普通、春に咲く花木の花芽分化は、前年の7月頃に始まるのが普通である。ジンチョウゲ、ウメ、サクラ、ツツジ類、ツバキ類等、みな7月前後に花芽分化を開始する。しかし、シモツケ属(Spiraea)のユキヤナギ、シジミバナ、コデマリなどは、春に咲くにも拘わらず、花芽が分化するのは10月中下旬になってからである。普通はその後休眠に入り、低温で休眠が打破され、春に開花する。 それが、何故か今咲いてしまった。我が家では初めてだが、調べてみると、ユキヤナギの狂咲きは珍しくないらしい。しかし、多くは12月のことで、11月上旬とは随分早い狂咲きである。尤も、狂咲きは、狂って咲くのだから、遅いも早いもないかもしれない。完全に開いたユキヤナギの花(2008/11/11) 花が少ないので、例によって拡大写真を出すことにした。バラ科らしく、5が基数になっている。花弁5、見えない萼片5、雌蕊5、雄蕊5×4=20、花糸の基部内側に腺5×2=10。 下に上の写真の部分拡大を示した。雌蕊の基部にある黄色味の強い子房の外側に、黄緑色に近い色をした俵の様な構造が10個見える。これが腺らしい。腺というからには、蜜線であろう。随分大きいが、余りユキヤナギの花に虫が来ているのを見た記憶がない。ユキヤナギの咲く頃は、まだ、虫が来るには寒すぎるのだろうか。無駄に花蜜を出すとも思えないのだが・・・。上の写真の部分拡大.花の構造に関しては本文参照のこと(2008/11/11) 春になったら、もう一度、賑やかに咲いているところを紹介する予定である。実は、今年の春も、蕾の頃から経時的に写真を撮って置いたのだが、花が充分に開く前に「南方に出撃」と相成った為、掲載の機会を失ってしまったのである。 今春は、多分、掲載出来ると思う。しかし、余り来年のことをハッキリ言うと鬼に笑われるので、断言するのは止めておく。
2008.11.11
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このところ少し涼しくなり、我が家の庭にも多少は虫達が姿を現し始めた。しかし、ダイミョウセセリ、イチモンジセセリ、キチョウなど、既に掲載済みの虫ばかりで、新顔は現れない。 花の方は、デュランタ・タカラズカが咲き始めたが、虫はやって来ず、開店休業と言ったところ。 そんな中、周りの御宅にかなり遅れてフヨウが咲き始めた。一輪だけ咲いたフヨウの花(2008/08/21) このフヨウ、家を改造したとき庭に植えた木から生じた実生で、親の方はとっくのとうに枯れてしまった。親に似ず、こちらは矢鱈に繁茂したので植木鉢に移したのだが、フヨウは根が高温になると駄目らしく、その後はまるで成長せず、花の着き方も景気が宜しくない。 花色は、昔は薄い桃色だったような気がする。しかし、今では真っ白と言ってよい花を着ける。フヨウの花柱と雄蕊(2008/08/21) 実のところ、余り好きな花ではない。その余り好きではない花を掲載するのには、些か訳がある。 昨年掲載したオオハナアブのところで、その体に着いていた触発機雷の様な形をした白い「物体」をダニの卵ではないかと書いた。しかし、これは大誤りで、フヨウ、或いは、その他のHibiscus属の花粉だったのである。 オオハナアブを掲載した約2週間後、フヨウに訪花していたチャバネセセリの写真を撮ったところ、このチャバネセセリの体中に「触発機雷型」が着いていた。写真にはフヨウの雄蕊も写っていて、雄蕊に着いている花粉が正にこの「触発機雷」であることが判明したのである。下の写真は、フヨウの花から飛び出して、ウメの葉に留まったチャバネセセリ。体中花粉まみれのチャバネセセリ.昨年秋撮影(2007/10/05) 直ぐにことのことを掲載しようと思ったのだが、フヨウは一日花、しかもそれが最後の花で、チャンとしたフヨウの写真が撮れなかった。そこで、次の年、即ち、今年フヨウが咲いたら訂正を兼ねて、フヨウの花粉を掲載することにしていたのである。 なお、先日ハナアブを研究されている市毛氏からも、オオハナアブに着いている「触発機雷」は花粉であることを御指摘いただいた。記して御礼申し上げる。フヨウの雄蕊.丸い玉が花粉(2008/08/21) しかしながら、大きな花粉である。直径0.16~0.18mm、こんなに大きな花粉があるとは全く想像だにしなかった。 上の写真では球形に見えるが、これをピクセル等倍表示にすれば、トゲトゲのある「触発機雷」型であることが分かる。しかし、全体的に非常に低コントラストであり、見やすくする為にコントラストを無理矢理上げると、酷く荒れてしまう。其処で、「超接写システム」で撮影することにした(下の写真)が、「超接写システム」を使っても、やはり無理にコントラストを上げざろうをえないので、かなり荒れた感じになってしまったのは致し方ない。フヨウの花粉.直径0.16~0.18mmと非常に大型「超接写システム」で撮影.コントラストを無理に上げているので荒れた感じになっている。調子も全体が黄色で少し変(2008/08/21) 花粉ばかりでは些か不公平かもしれないので、雌蕊の先、柱頭の写真も撮ってみた。拡大すると、まるで1個の花の様にも見える。先が5個に分かれているのは、心皮が5つあるからであろう。 これも超接写システムで撮ろうかと思ったが、何だかノッペラボウみたいで、撮っても仕方がない感じがしたので撮らなかった。フヨウの柱頭.5つに別れ毛が生えている表面の細かい構造はよく見えない(2008/08/21) 此処暫く、我が家の庭は夏枯れ状態で、更新をサボり気味であった。もう少しすれば、秋の訪れと共に更新頻度も高まるであろう。
2008.08.21
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我が家の外庭には、何種類かの花木を植え込みにした部分がある。そこで一番繁茂しているのは我が家では評判の宜しくないアベリアで、他にユキヤナギ、コデマリ、シモツケ等のSpiraea属の花木が有るのだが、ユキヤナギ以外は何処に咲いているのか分からない程威勢が悪い。特にこのシモツケは、毎年穂先にアブラムシが付いて咲く前に花穂が萎れてしまうので、春先に薬を撒かない限り花を見る機会は少ない。 今年はその薬を撒く人が海外に出ていて居なかったから、花は到底望めないものと思っていたのだが、先日見てみると、健気にもリッパに咲いていた。シモツケの花.上から見ると色の薄い花弁の相対面積が増えるので白っぽく見える(2008/05/28) しかし、株はかなり歪な格好をしているし、風が吹き抜ける場所で揺れが止まらないので、全体の写真を紹介するのは止めにした。また、例によって花だけである。 こう言う花の写真を撮ると、往々にして花弁が白く写る。実際はどうなのか現物を見に行ったら、薄いがチャンと桃色をしている。しかし、上から見ると色の薄い花弁の面積が多くなるので白っぽく見え(上の写真)、横から撮ると(下の写真)色の濃い花糸(雄蕊の支柱)の相対面積が増えるのでより赤く感じられる。横から見ると、色の濃い花糸の相対面積が増すので赤味が強く見える(2008/05/28) 此処に掲載した写真では花弁はチャンと桃色になっている。しかし、これは画像処理で桃色にしたのであって、原画では白である。 白い花を画像処理によって桃色にする方法は2通りある。何れも赤、緑、青の3原色のトーンカーブを独立に調節出来るソフトウェアを使う必要がある。赤が飽和していない場合は、赤の高輝度の部分だけを少し持ち上げてやれば良い。この方法は昨年「日本シャクナゲ」を紹介したとき使っている。写真では微かに桃色を帯びているが、原画では真っ白であった。 3色とも飽和している場合は、赤を持ち上げようがないから、高輝度の緑を少し落とす。この時、青も僅かだが落とさないと青みがかった桃色になってしまう。今日の写真では赤が殆ど飽和していたので、この方法で色補正をした。何れも高輝度のごく一部分だけを調節するのであって、赤全体を上げたら(或いは緑と青を落としたら)、緑色の葉っぱが茶色になってしまう。 色々なサイトで掲載されている桃色の花を見ると、この色は再現が中々難しい様である。白っぽくなったり、酷く赤くなったり、妙に紫色になった写真が多い。何れの場合も、トーンカーブを調節することで色補正することが出来る。・・・しかし、まァ、色補正の話はこれ位にしておこう。花1つを拡大.花糸が入り乱れてよく見えない(2008/05/28) ところで、これだけ沢山の花が集まっていると、花の1つひとつがどうなっているのか見てみたくなる。花の真上から等倍接写して、その中の花1つを拡大してみた。何だか、ラッフルシァの花と少し似ている。 しかし、雌蕊の数も雄蕊の数も、隣の花の花糸が邪魔になって、幾つだか分からない。1つだけ離れた花を見ると、雌蕊は5、花糸は25程度ある(2008/05/28) 其処で、花数の少ない穂の横に1つだけ他と離れて咲いている花を撮ってみた。雌蕊と思われるものが5つ見える。しかし、雄蕊が一体何本有るのかは、勘定してもよく分からない。25本前後の様に見えるが、バラ科だから5の倍数の25本だろうか? こう言うときは、図鑑の記載を見た方が早い。保育社の「原色日本植物図鑑木本編」を参照してみると、ユキヤナギもコデマリも「雄ずいは20」とあるのに、シモツケは・・・「雄ずいは多数」!!。変種が多いからこう書いたのだろうか? それにしても、こちとらとしては、些かムッとした。
2008.06.14
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先日、一寸珍しい赤花のカルミア(メヌエット品種?)を紹介したが、今日のはごく普通の白いカルミアである。品種名をエルフ(Elf)と言うらしい。 かなり昔からある種類の様で、幹の直径10cm、樹高3m位の「大木」を見たことがある。また、私の住む町にも、高さ2m位の木を植えている御宅が何軒かある。咲き始めたカルミア・エルフ.周りの枝には花が着いていない(2008/05/17) この品種は赤花のメヌエットとは異なり、毎年10cm位ずつ成長する。しかし、やはり隔年開花になってしまった。今年は咲かない年だが、それでも幾つかの枝先に花が着いた。花を拡大.基本的に赤花のカルミアと同じ構造である(2008/05/17) 花の着かない枝は春早々に新芽を出して10cm位成長し、秋頃から花芽を伸ばし始める。この花芽を取ってしまえば、来春には葉芽を出して再来年に花芽を着ける。 こうすれば隔年開花は止められる筈である。しかし、毎年半分ずつショボショボ咲くよりは、1年ごとに溢れんばかりに咲く方が、見ていて気分が晴々とする。1日後、開いた花が少し多くなったが、次の日の嵐で花は傷んでしまった(2008/05/18) 花の着かない枝の芽が伸長し新葉を展開した後で、伸長しない枝の先に花が着く。だから、今年の様に花の着く枝が少ないと、花は咲いても展開した新葉の間に隠れて見えなくなってしまう。 この写真も、周りの枝を退けて撮ったものである。来年は、ドバッと咲いた写真を載せたいと思うが、その頃、日本に居ると言う保証は余りない。
2008.05.29
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前回はかなり不気味な虫を取り上げた。ゾッとして、最後まで閲覧されなかった読者も居られるのではないかと危惧している。其処で、今回は我が家で最も綺麗な花を紹介することにした。 カルミアの1種である。よく見かける白花のエルフや赤花のオスボレッドではなく、一寸変わった非常に見映えのする品種である。咲き始めたカルミア.品種は多分メヌエット(2008/05/17) 何分にも、15年以上前に何処かの園芸店で買ったものなので、品種の名札が見当たらない。園芸百科やInternetで日本語のサイトを調べても品種名が分からなかったが、外国のサイトを参照してみると、どうやらメヌエット(Minuet)と言う品種らしい。カルーセル(Carousel)と言う品種にも似ているが、赤味の強さや、葉の幅を見ると、メヌエットの方がより似ている。花は房状に咲く(2008/05/17) 我が家にはもう1種、白花に赤い小さな斑の入った普通のカルミアがある。それに比べてこのメヌエットは気難しく、15年経っても殆ど成長していない。かえって、枝が枯れたり台風で折れたりして小さくなってしまった様な気がする。鉢植えなので、日向に出したり、半日陰に置いたり、或いは、土を換えたりしてみたが、新芽が元気に伸びるのを見たことがない。咲き始めた花の拡大(2008/05/17) カルミアはツツジ科に属す。しかし、ツツジの仲間ではなく、シャクナゲの仲間である。シャクナゲ類は得てして隔年開花になることが多いが、このカルミアもその傾向が酷く、昨年は殆ど花が着かなかった。 今年は花が沢山着いたから、恐らく来年は殆ど咲かないであろう。今年の蕾を半分位取ってしまえば良いのだが、素人には勿体なくて中々出来ないことである。1個の花を拡大.咲き始めは雄蕊が花弁にくっ着いているがやがて前を向く(2008/05/17) 毎年半分咲くのが良いか、或いは、一年置きに木全体に花が着くのが良いか。植物園や公園の様な不特定多数の人が来るところでは毎年咲く必要があるかも知れないが、個人の庭ならば毎年咲く必要は必ずしも無い。一年置きにドバッと咲くのもまた悪くない。五部咲きのカルミア.この日の夜から嵐となり花は傷んでしまった(2008/05/19) カルミアは西洋の花にしては中々風情がある。しかし、敢えて言えば、一つだけ気に喰わないところがある。花が咲いても虫が全然来ないのである。部分的に五分咲き(2008/05/17) どうも外来の植物には虫が来ないものが多い様である。ブッドレアやデュランタの様な例外もあるが、人様の庭に植わっている外来種を見ると、その花の回りに全く虫の姿を見ないことが多い。 花蜜が出ないのか、或いは、日本の虫は外国産の花を好まないのか? 恐らく前者だと思うが、何故そうなのかは良く分からない。
2008.05.22
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明後日から東南アジア方面に長期出張する。実を申せば、これはずっと前から分かっていたことで、2月に入って書き込みが急に少なくなったのはそれ故であった。毎日の如く閲覧に来られる読者諸氏には大変申し訳ないが、掲載を2ヶ月半ほど中断せざるを得ない。 今、我が家の庭ではジンチョウゲ、ベニバナアセビ、ユキヤナギ、ヒュウガミズキ、トサミズキ、ボケ、ツバキ(窓の月)、クリスマスローズなどが咲き始め、ハナカイドウ、シジミバナも近い内に花が開きそうである。我が家の植物の大半は3月下旬から5月に花が着く。その一番良いときに家に居られないと言うのは、1年の2/3位を損した様な気になるが、こればかりは何とも致し方ない。 ベニバナアセビ、ユキヤナギなど、何れ掲載するつもりで、ごく初期の蕾の状態から経時的に写真を撮ってあるのだが、写真が多くて残念ながらその仕上げをする時間がない。そこで、今日は調整の容易なウメの写真を出すことにした。 ウメは既に枝垂梅、青軸と2回も紹介している。我ながら「またウメか」と言う気もするが、ウメは他にも2種類植わっている。今日紹介するのは豊後(ぶんご)である。豊後の蕾.少し赤味を帯びる(2008/03/10) これも、例によって、実の成る木にしか興味を持たない兄が買って来たものである。大きな鉢に植えてあるが、兄の特技として水を殆どやらないので、辛うじて枯れないで居ると言った悲惨な状態。だから、花はごく僅かしか着いていない。豊後の花.花弁の間が透いている(2008/03/10) 豊後はウメとアンズとの雑種とされており、少し赤っぽい花が咲く。ウメはPrunus mume、アンズはPrunus armeniacaだから、豊後は種間雑種になるが、亜属は同じ(Prunophora)でチャンと結実する。チャンと結実するどころか、果実を目的に栽培されているウメの多くは豊後系なのだそうである。裏側から見た豊後の花.萼片が反り返っている(2008/03/10) 豊後の花を後ろから見ると、萼が赤い。始めは紅梅だと思っていた位、花全体は遠くから見ると赤いのだが、近くで見ると花弁はごく僅かに赤いだけ。萼が赤いから、全体として赤く見えるのだろう。写真はトーンカーブ補正で高輝度の赤を少し強めてあり、花弁の赤味が実際よりも幾分か濃くなっている。しかし、心象的にはこの程度の赤さである。 また、萼片が反り返っている。普通のウメではこんなことはない。アンズの萼はどうかと調べてみたが、やはり、反り返ったりはしない様である。豊後の特長か?豊後の枝.手入れが悪いので細い(2008/03/10) 長期の出張となると、数日間の旅行とは違って、旅行の準備以外にもしなければならないことが色々と出て来る。このWeblogに関係するものとしては、まず、ツマグロヒョウモンの幼虫。まだ鉢から逃げ出していないのが居るが、もう鉢にはスミレが殆ど残っていない。しかし、アメリカスミレサイシンが葉を伸ばし始めたので、そこへ鉢を移しておけば問題ないだろう。 少し困っているのが、以前紹介したオオミズアオ。掲載はしなかったが、その後9月の末には次々と枯葉の中に潜って繭になった。羽化するのは5月とのこと。私が居ないときに羽化してしまうと困るので、どうすれば良いか少し悩んだが、冷蔵庫の野菜室に入れておくことにした。冬に逆戻りだが、多分、大丈夫だろう。 尚、最近は品格に欠ける無用の書き込みが多いので、13日の朝からは掲示板、コメント共に書き込みを禁止とする。御用件のある方は御面倒でもメール(メッセージ送信)を利用される様、御願い申し上げる。 それでは皆様、暫しのお別れである。春近しとは雖も、3月には大雪の降ることあり。風邪なぞ召されぬ様、御自愛され度。
2008.03.11
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今、ウメの青軸の花が見頃である。青軸と言う名前は、当年枝が次の年の春まで緑色をしているから付けられたのだそうで、細かい品種名ではなく、品種群の名前らしい。先日紹介した枝垂梅も、次の年まで枝が青いから青軸の1種らしい。青軸性枝垂梅と言うのだろうか。 以下は、1月12日に掲載した「ウメの蕾」の4枚目に示した蕾の生長過程である。1月12日の12日後(2008/01/24)更に6日(2008/01/30)更に7日(2008/02/06)更に11日(2008/02/17) 1月の上旬ではつぼみの膨らむ速度が遅いが、2月に入るとかなり急に膨らんで来るのが分かる。その1週間後には開き始めた(下の写真)。 1月12日のまだ少し硬い蕾から開花するまでの間に、芽鱗や萼の色に変化はない。右の蕾は、膨らむにつれて、上を向いていたのが次第に側の方へ変化しているが、左の蕾には角度の変化は見られない。上の写真に示した蕾より、その上にあるのが先に咲いてしまった(2008/02/23)この梅は、庭の整備をしたとき、花が綺麗だと言うので買ったものである。確かに普通の梅よりも少し華やかである。良く見てみると、一重ではなく二重であった。茶花には使えない。茶人であった祖母が生きていたら、「無用の物を買った」と怒られたに違いない。正面から見た青軸の花(2008/02/23) 実は殆ど着かない。予め、売り手のオジサンから聞いていたので、実が着かないのを承知の上で植えたのである。花を良く見てみると、雌蕊の発達が悪い様にも見える。しかし、白加賀の花と比較してみたら大差はなかった。調べてみると、ウメには雄性不稔が多いらしい。 昔の広かった庭には、梅の木が5本もあって、その内の2本には沢山の実が成った。梅干しから梅酒まで、みなその庭の梅から作ったものである。最近は梅干しの消費量も少ないので、3年に1度くらい作るだけである。梅酒も最近は余り飲まず、10年以上前に作ったのがまだ沢山残っている。梅の実が成っても、処理に困るのである。咲き始めた青軸の花(2008/02/23) 3月に入り、色々な草木の芽が急速に膨らみ始めた。後2~3週間もすれば、次々と春の花が咲き始めるであろう。
2008.03.03
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最近は色々と用事が多く、久しぶりの更新になってしまった。 今日は梅の話である。以前掲載した枝垂梅の蕾が漸く開き始めた。木が小さいので着いている花は少ないし、咲き方もまだポツポツだが、やはり梅の花は風情がある。春が来た、いや、来つつあると言う感じが仄かに漂って来る。尚、青軸、白加賀等の他の品種はまだ咲いていない。 1月12日掲載の「ウメの蕾」に載せた3番目の写真(1月10日撮影)に写っている蕾のその後の変化を見てみよう。少し膨らんだつぼみ.萼の間から白い花弁が見えている(2008/01/18) 上は8日後の18日の写真である。10日の写真では明らかでない白い花弁が萼の間から見えている。白い部分が拡大(2008/01/30) 次の写真は30日に撮ったもので、白い部分が拡大しており、右隣の蕾にも白い花弁が見え始めている。開き始めた枝垂梅の蕾(2008/02/05) 今月(2月)の2日から3日にかけて雪が少し降った。何故かこの頃に急激につぼみが膨らみ、6日後の5日には少し開き始めた。 どうも変な話なのだが、雪が降って蕾が濡れると蕾が急に膨らむ様な気がする。この前の、確か23日に雪が降った時も急に蕾が膨らんだ。蕾は導管からの水分ではなく表皮から取り込んだ水で膨らむ、と言うのはかなりの「珍説」だと思うが、確かにその様に見えた。来年は枝の一部に毎日霧吹きで水をかけてみるか・・・。枝垂梅の開花(2008/02/06) この花、次の6日にはもう完全に開いてしまった。隣の蕾が邪魔をしているらしく、その後これ以上開くことはなかった。 ところで、この花、少しおかしくはないか? 花の中心がノッペラボー、・・・雌蕊がない!! 5日の開きかけの花を見てもやはり雌蕊がない。最初から雌蕊が無いのか? 雌蕊がなければ実が成らないが、この株は実生である。異種間交雑でも無い限り、実が着くのが普通だろう。良く開いた枝垂梅の花.雌蕊が無い(2008/02/06) 他の花を調べてみると、確かに多くは上の写真の様に雌蕊が無い。しかし、中にはチャンと着いているものもある(下の写真)。この花には雌蕊がある(2008/02/05) 5日の写真の様な開きかけの花に既に雌蕊が見られないのは、雌蕊が脱落したのではなく、最初から無いと考えるのが自然だろう。この木はまだ若いので、子房の発達が不充分なのかも知れない。木の生長に伴って、雌蕊の着いた花が増えるのだろうか。花は開いても黄緑色の萼の色は変わらない.(2008/02/05) ところで、この枝垂梅の花を被っていた芽鱗や萼は、赤や黄緑色の微妙な色合いをしていた。咲いた花の裏側を見てみると、その色は変わっていない様である。上の写真では萼は緑色、下の写真では赤である。 萼に色が付いていても、花の裏側だし、萼と較べればずっと大きな白い花に圧倒されて殆ど目立たないが、枝全体を見ると、白い花に微かな彩りを添えているのが分かる。赤い萼をつけた枝垂梅の花(2008/02/06) このところ、毎日寒い日が続いている。蹲踞や鉢の水も凍ることが多い。しかし、日差しが少し強くなったせいか、何となく春の訪れを感じる。あと1ヶ月半の辛抱である。
2008.02.08
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一昨日は雪が少し積った。雪を被った花芽でも撮ろうかと思ったが、どうもベチャベチャの雪で写真にならない。それに直ぐ溶けてしまった。 そこで、溶けた雪の雫が付いたマンリョウの実を撮ってみた。雫の付いたマンリョウの実(2008/01/24) マンリョウと言う木は、1本でもあれば、後はヒヨドリが庭中に種子をバラ播いて増やしてくれる。我が家では昔からある木で、かつての家には数100本生えていた。 今では少なくなったが、それでも高さ15cm以上のものだけで30本位はあるだろう。特にヒヨドリが水飲みがてら排泄をする蹲踞(つくばい)の周囲に多い。少し拡大(2008/01/24) 我が家にはセンリョウも赤実と黄実のと2種類ある。マンリョウよりも実の熟すのが早いらしく、12月中からヒヨドリがつつき始め、1月の上旬には実は一つも無くなってしまう。 マンリョウの方は少し遅れるが、蹲踞の傍にある株には既に実が無い。しかし、他の所に生えている株には、御覧の通り、まだ沢山実が残っている。蹲踞の近くにあるのが早く熟すとは思えないので、水を飲みに来るヒヨドリの目に付き易いのだろう。実一つを拡大.一様に赤いのではなく黒い斑がある(2008/01/24) 今回、写真を調整していたとき、妙な経験をした。これまでこのWeblogに載せてきた写真は何れも最大限に圧縮してあるが、顕著な画質の劣化は見られなかった。しかし、この赤い実の写真を最大限に圧縮すると、輪郭がまるでボヤボヤになってしまう。しかも、写真によっては明度が半絞り分くらい下がり、全く使用に耐えない。 これまで緑一色に近い画像を圧縮してもこんなことは起こらなかった。どうも、赤と緑で圧縮の仕方が違うらしい。或いは、人の眼は一般に赤の輪郭に対して鈍く、それに対応して赤の圧縮度が高いのだろうか。圧縮するソフトウェアを換えても同じなので、これはJPEGファイルに変換するアルゴリズム自体に起因する問題なのだろう。まだ花柱のついたマンリョウの実(2008/01/24) そんな訳で、今日の写真は5段階あるJPEGファイルの圧縮度の低い方(ファイル・サイズは大)から2番目のレベルで処理してある。普段は5番目だが、4番目はおろか3番目でも使えない写真になってしまう。JPEG圧縮のアルゴリズムを知らない者にとって、これは、全く奇妙な現象と言う他ない。
2008.01.25
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やはり前回のゴキ君は悪評の様で、閲覧者数が何時もの2/3位しかなかった。かなりショックを受けた読者も居られる様なので、今回は綺麗な花を掲載することにした。 数寄屋と言う侘助の一品種である。侘助とは、筒咲きと言う花弁の余り開かない咲き方をするツバキの一種で、多くの品種があるが、何れも花は一重で小さく早咲きをする。花弁が開き切らず小輪なので、茶花として昔から人気が高い。数寄屋侘助の蕾.細長く先が尖っている(2008/01/18) この数寄屋も、茶人であった祖母が50年ほど前に植えたものである。最近では各種の侘助が園芸店で売られているが、当時はかなり珍しい庭木で、特に花の小さい白侘助は深大寺植物園以外で見たことがなかった。咲き始めた数寄屋(2008/01/18) 昔は庭が広く植える場所は幾らでもあったから当然良く陽の当たる所に植え、毎年1月から3月にかけて夥しい数の花を着けた。西洋長屋に建て替えた後は、庭が狭いので夏しか陽の当たらない所に移されてしまい、花着きが良くない。しかし、今年は何故か沢山花が着いた。かなり開いた数寄屋(2008/01/18) 侘助の花が咲くと、白い花を食べるヒヨドリや蜜を吸うメジロがやって来てつつく。花が少なければ「全滅」してしまうが、今年は沢山花が着いたので無傷のまま残っているものが多く、何とか写真を撮ることが出来た。これ以上は開かない(2008/01/18) 侘助の仲間は一般に葯が発育不全で花粉を欠くため、種子が出来ない。だから、繁殖は挿木で行う。白侘助は挿木が容易でないが、数寄屋は簡単で、大学院生の頃に沢山挿して人に配ったことがある。 数寄屋の雄蕊を撮ってみた。葯は開いている様だが、花粉は見当たらない。数寄屋の雄蕊.葯は開裂している様だが花粉は見えない(2008/01/22) また、侘助の形態学的特徴として子房が有毛であることが挙げられる。サザンカの子房には毛があるが、日本のツバキの子房は無毛である。中国などの大陸には有毛のツバキも有るので、侘助も大陸から来たか、或いは、大陸から来たツバキとの雑種ではないかと推測されている。 しかし、何故か数寄屋の子房には毛がない。数寄屋は一応「正統的侘助に属す」とされている様だが、系統的には他の侘助と異なるのだろう。 下に数寄屋と白侘助の子房を示した。白侘助は我が家には無く、近くの御宅からの「賛助出演」である。左:数寄屋の子房は無毛、右:白侘助の子房は有毛(2008/01/22) ここ数日、日照が少なく底冷えのする毎日が続いている。しかし、オウバイ(黄梅)は既にポツポツと咲き始めたし、梅の蕾も順調に膨らんで中には白い花弁が見え始めたものもある。その他にも何種か蕾を急速に膨らませている木々がある。去年のネタを引っ張り出さなくても、今年は何とかなるかも知れない。
2008.01.22
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我が家にはハナミズキが1本ある。花は毎年殆ど着かず、精々20個止まりである。 日当たりは良いとは言えないが、決して悪くはない。咲かないのは、恐らく土の下に建設当時のガラが沢山入っていて、根の発達が良くないのであろう。 ハナミズキの花芽は一寸変わった形をしている。拡大してみると、形ばかりでなくその構造も普通の花芽とは違うことが分かる。ハナミズキの花芽.芽鱗がない(2007/12/27) 芽鱗がなく、直接「花弁」に包まれている。この「花弁」、これまで萼片だと思っていたが、調べてみると総苞片だそうである。 萼は花の一部だが、総苞片は花序全体を包む苞で、葉っぱの一種である。尤も、花も発生学的には葉の変形ではあるが、少し意味が違う。別の花芽(2007/12/27) 総苞片だと言うことは、逆にハナミズキの「花」の中心にあるのは、本当の花が沢山集ったものであることを意味している。これまでハナミズキの花を細かく見たことは無かったが、今度咲いたらマクロレンズで撮影してみよう。1枚目の花芽を正面から見たもの.総苞片の間から本当の蕾が見えている(2007/12/27) このハナミズキの花芽、実は昨年の暮に撮ったものである。正月に掲載するのに向いた題材なので、元旦にもう一度撮り直して使おうを思っていたのだが、暮にやって来た植木屋さんが、何を間違えたのか、写真の撮り易い位置にある花芽を全部切ってしまった。御蔭で撮り直すことが出来ず、今頃になって登場したのである。
2008.01.18
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新年早々3回位までは旧年の写真を使わない事にしていたら、新しいネタは無し、とうとう更新をしない儘10日を過ぎてしまった。虫は植木鉢の下を探してみても居ないし、数寄屋と言う侘び助の一種が咲き始めているのだが、ヒヨドリとメジロに花弁を突かれて、花はみなボロボロ。 今、ウメの蕾が日増しに膨らんで来ている。しかし、まだ咲くには早い。咲いたときの為と思って先日蕾の写真を撮って置いたのだが、昨日の夜、これを見てみると中々微妙な色合いをしている。他に新しいネタが見つかる可能性も乏しいので、これを掲載することにした。枝垂れ梅の枝先(2008/01/10) 白の枝垂れ梅である。肉眼で見ても蕾は少し赤っぽいが、写真にすると茶色と赤、緑色の部分があって、その配色が中々洒落ている。茶色の部分は芽鱗で、緑の部分は萼であろう。赤い部分は芽鱗の一部だろうか。上の写真の左にある小枝を拡大したもの.色合いが中々微妙(2008/01/10) この梅、例によって実の成る木にしか興味を持たない兄が「植えた」ものである。「植えた」と言っても株を植えたのではなく、近くの御宅の庭にあった枝垂れ梅の実を拾って来て鉢に埋めたのである。 植えたり種子を蒔いたりしてもその後の世話は一切しないのがこの兄の特技。芽が出て10年経っても、地上部は何回も枯れてしまったので、高さは僅か20~30cm。それを、父母の家に帰ってきた私が面倒を見て、漸く花が着くまでにした。正面から見た枝垂れ梅の蕾(2008/01/10) 枝垂れ性の植物と言うのは面白いもので、頂芽はまるで伸長せず、側枝の1本が矢鱈に横に伸びる。この伸びた側枝を上に持ち上げて主軸とし、次の年そこから出る側枝をまた持ち上げて主軸にする。これを3回繰り返し、目の高さ位に成ったところで芯を摘めた。鉢植えなのでこの位が適当な大きさであろう。 次の年、側枝の先端に1輪だけ白い花が咲いた。その次の年(昨年)はもう少し花芽が着いたが、ポツポツという程度であったらしい(私は日本に居なかったので見ていない)。しかし、今年は蕾がかなり沢山着いている。世話を始めてから7年、漸く見られる形になった様でホッとしている。青軸の蕾(2008/01/12) 我が家には他にも何本かウメがある。これらのウメの蕾はどんな色合いであろうか。上は、青軸と呼ばれるウメの蕾である。赤い部分が無く、色合いはかなり単純で、さほど面白い配色ではない。 下は関東に多い白加賀。最初に挙げた枝垂れ梅の蕾に少し似ているが、これも赤い部分が少なく緑色の部分が多過ぎて、些か面白味に欠けるところがある。白加賀の蕾(2008/01/12) 何の気無しに撮ったウメの蕾だが、拡大して調べてみると梅の品種により随分形や色合いが違う様である。 造花などの人工物は眼には綺麗に見えても、拡大してみると一様な只の物質であることが分かってしまって些かも面白くない。一方生き物は、電子顕微鏡で何十万倍に拡大しても細微構造が見られ、其処には人を引き付ける何かが常にある。
2008.01.12
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今日は久しぶりに植物を紹介する。しかし、花ではなく葉っぱである。 ソモソモ、我が家の庭には紅葉、或いは、黄葉する樹木が少ない。昨年は、善寺丸と言う古い品種の柿の葉が綺麗であったが、何故か、今年は全く赤くならなかった。 代わりに、普段は余りパッとしない黄色になる筈のシジミバナの葉が紅葉した。シジミバナの紅葉(2007/12/04) 紅葉は年によって全く異なると言うことは経験がよく教えてくれる。札幌に20年近く住んだことがあるが、一度だけ、札幌を取り囲む山々が全山真っ赤に紅葉したことがある。青空を背景に、夕日に照らされて燃える様に赤く輝く山々は不気味ですらあった。シジミバナの葉腋に付いた花芽(2007/12/05) シジミバナはユキヤナギに近いシモツケ属の灌木で、高さは2m程にしかならない。しかも我が家のは鉢植えだからもっと小さい。その小さい株が幾ら紅葉しても燃える様にはならないが、それなりに風情はある。 しかし、シジミバナが好きな者にとっては、赤い葉よりも、その葉腋で膨らんできた花芽の方が気がかりである。昨年は切り詰めてしまったので、今年の春は花の付きが良くなかった。その失敗に懲りて今年は一切枝を切らなかったから、枝という枝にビッシリと花芽が付いている。来年が楽しみである。花芽の拡大(2007/12/05) 何時もマクロ写真ばかり撮っていると、花芽も接写しないと気が済まなくなる。しかし、花なら兎も角、芽を接写しても余り面白くはありませんな。
2007.12.05
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先日予告したキチョウの羽化は、未だに写真の調整が終わらないので掲載出来ず。そこで、繋ぎにスイレンボクの写真を出すことにした。 「スイレンボク」と言う和名は園芸店のラベルに書いてあったもので、これがどの程度通用するのかは良く分からない。南アフリカ原産のシナノキ科に属す植物だそうで、学名はサイトによりGrewia occidentalis或いはGrewia caffraが載せられている。しかし、この2つはシノニム(異名)だと言うの人もあれば、後者は黄色い花の着く別種だとする人もあって、本当のところは良く分からない。あまり正体の定かでない植物である。スイレンボクの花.実物はもっと色が薄い(2007/10/13) 2m程度にしかならない低木で、花の直径は3cm程度、ほぼ1年中咲いている。一見綺麗なのだが、一日花で直ぐ散ってしまうのと、殆ど虫がやって来ないと言う欠点を持っている。香りも全く無い。 まァ、一言で言えば、大して面白味のない花木である。そのうち外庭の植え込みの中に移してしまおうと思っている。
2007.10.13
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今、デュランタ・タカラズカが満開である。花を掲載するのは7月3日以来、ほぼ2ヶ月ぶり。と言っても、デュランタの花と言うのは拡大しても面白味がないので、専らこの花にやって来る虫達を紹介することになる。何れも、嘗て紹介した虫なので些か気が引けるのだが・・・。満開のデュランタ・タカラズカ(2007/08/26) このデュランタ・タカラズカは、今から5年前に買ってきて、確か3株を大鉢に一緒に植えたものである。3年程で高さ2m位になり、毎年良く花が咲き、虫達も沢山やって来る。まァ、花としては大したものではないので、虫集めに植えている様なものである。花の写真をもう1枚(2007/08/30) まず最初はナミアゲハ。今年はアゲハ類が少ないので、滅多にやって来ない。昨年の紹介したナミアゲハの写真と構図もよく似ていているが、勿論最近撮ったものである。ナミアゲハ(2007/08/22) スズメガ科のホウジャク類も良くやってくる。今年は、8月25日頃にホシホウジャクが始めて姿を現した。今日は、ホシヒメホウジャクと思われるのが現れたが、残念ながら、写真は取り損ねた。ホシホウジャク(2007/08/27) 近縁のオオスカシバも常連である。花にやって来るのは雄で、隣に植わっているクチナシにやってくるのは産卵目的の雌、オオスカシバは我が家の3大害虫に認定されており、駆除の対象である。オオスカシバ(2007/08/30) アゲハの他にも色々な蝶がやって来る。今日、ルリシジミが来ていたが写真は撮っていない。ツマグロヒョウモン、キチョウ、最近は滅多に来ないヒメアカタテハもデュランタが好きらしい。下の写真はヤマトシジミ。ヤマトシジミ(雄)(2007/08/30) セセリチョウは、最近はイチモンジセセリばかりが幅を利かせているが、チャバネセセリも時折姿を見せる。チャバネセセリはまだ当Weblogでは紹介していないので、良い写真が撮れたら別に紹介する予定である。イチモンジセセリ(2007/08/30) こんな具合に色々な虫が入れ替わり立ち替わり現れるので、デュランタ・タカラズカは、虫好きには、中々楽しめる花と言える。他にクロウリハムシやクサギカメムシも居るが、今日は省略した。 こういう花期の長い虫の良く来る花木には、普通、カマキリが知らない内にやって来て常駐する。今年はまだ現れていないが、その内やって来るだろうと楽しみにしている。
2007.08.31
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前回のトタテグモは、残念ながら一部の読者には、余り好評ではない様であった。 そこで、今日は綺麗な花の写真でも出そうと思うのだが、生憎、今、我が家の庭には余りパッとした花が咲いていない。仕方なく、些か時期遅れではあるが、鉢植えのサツキの写真を出すことにした。先月上旬撮ったものである。咲き始めたサツキ(2007/06/08) このサツキ、実は我が家で最もリッパな鉢植えで、御近所でも評判の逸品?とされている。 その「逸品」を何故今まで掲載しなかったのか? それは、この写真を撮ったときはまだ七部咲き程度だったので、満開になってからまた撮ろうと思っていたら、雨続きで結局撮りそびれてしまったからである。 この写真ではまだ葉がかなり見えるが、満開になると一面花ばかりとなる。まァ、葉が少し見える方が趣があるのだが・・・。白と桃色の両方の花が着く(2007/06/08) 品種名は、買った時に「萬岳」と聞いたと思うが、定かではない。 サツキの花には小振りなものが多い。しかし、この「萬岳」は大輪で、平戸ツツジと遜色ない程大きな花を着ける。 花色は白から濃い桃色まで様々、一部は白と濃い桃色の染め分けになる「絞り」である。一本の木で様々な花の色を楽しめるのは悪くない。まだ七分咲き、満開になると葉は殆ど見えなくなる(2007/06/08) 横幅1mに近い大きな鉢植えである。しかし、元はと言えば、盆栽仕立てを地植えにした「盆栽崩れ」とでも言うべき代物で、僅か3,000円で売りに出ていたのである。それを買って来て、また鉢に戻した。 盆栽崩れなので、枯枝や徒長枝を取り去るのに約半日かかったし、植木鉢代は中身よりも高く付いた。 それでも、3,000円にしては良い買い物であった、と未だに自慢している。
2007.07.03
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クチナシの花が盛りである。今朝は、昨日、一昨日の雨に濡れて、しっとりと咲いていた。 我が家は、茶人であった祖母の薫陶を否が応でも受けているので八重の花は少ないが、クチナシはガーデニアと呼ばれる八重の西洋種を植えている。この方が花が華麗だし、香も良い。西洋クチナシの花.その1(2007/06/26) 花の香の評価は、人の好みで随分異なる。例えば、我が家ではキンモクセイは余り評判が芳しくない。何かまとわり付く様な香で、濃厚に過ぎる。キクやユリも、部屋の中に置くと時間と共に匂いが濃厚になって来て、やがて悪臭に近くなる。 その点、クチナシは清々しい香で、部屋の中に置いても厭になることはない。父母も生前これを好んだ。 クチナシの香を嫌いだという人は余り居ないのではないかと思う。西洋クチナシの花.その2(2007/06/26) クチナシは挿し木で簡単に増える。土に挿しても良いが、花瓶などに入れて陽の当たるところに置いておくと2週間くらいで発根する。充分発根したらそのまま植木鉢に植えてしまえば良い。 土でなく、花瓶で根を出すところがミソである。御経験のない御仁は、一度試されては如何。
2007.06.27
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今年はニワナナカマドがとても良く咲いた。鉢植えなのにも拘わらず、30を超える花穂が着いた。 以前にも、ニワナナカマドを紹介したが、それは狂い咲きのごく小さな花穂であった。しかし、今は本咲き、1つずつの花穂もずっと大きい。咲き始めたニワナナカマドの花(2007/05/29) 以前にも書いた様に、ニワナナカマドは他界した母が好きだった花で、今年は兄嫁までが「お母さんに見せたあげられたら良かったのに・・・」と言ったくらい見事に咲いた。 母の存命中には生長が悪く、花は全く咲かなかったのである。犯人はネキリムシらしく、毎年春先にオルトラン粒剤を撒くことにしてからは次第に樹勢を取り戻し、やがてチャンと咲く様になった。満開のニワナナカマドの花(2007/05/30) ニワナナカマドの花には色々な虫がやってくる。今年は、今まで見たことのないかなり大きなハキリバチが何回もやって来たし、最近この辺りでは珍しいハナムグリも、体中花粉だらけにして花穂の中をゴソゴソと歩き回っていた。ニワナナカマドの花(拡大1)007/05/30) やって来るのはハチ類が多い。しかし、何故かマルハナバチには全く人気がない。丁度ニワナナカマドの向いにイボタの花が咲いており、トラマルハナバチがその花に御執心なのだが、ニワナナカマドの花には全く関心を示さない。「家のマルハナちゃん」の御家来衆(コマルハナバチ)も、巣の入り口の直ぐ下にニワナナカマドがあるにも拘わらず、その花で花粉を集めたりしているのを一度も見ていないし、また、イボタの花にも全く寄りつかない。 訪花するハチと植物との相性はかなり複雑らしい。口器の長さで吸蜜植物が異なると言うが、花粉集めには関係ないだろうし、それだけで決まるものではない様に思える。ニワナナカマドの花(拡大2)(2007/05/30) 不思議なのは、毎年ニワナナカマドが咲くと、白い花に胡麻塩の如く集るルリマルノミハムシが、今年は1匹も来なかったことである。今年はアリマキが少なかったので、代わりにハムシ類の幼虫がテントウムシなどの餌になったのだろうか。 僅か4mm位の小さなハムシだが、何時も来るときに来ないと、やはり寂しい。
2007.06.20
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カラタネオガタマは、今でこそ何処の園芸店でも売られているが、昔は非常に珍しい木であった。大校生の頃、私が住んでいる町では、隣のYさんのお宅と、小学校の同級生だったT君の家以外で見たことは無かった。 Yさんの当時もう亡くなられていた御隠居は全国を隈無く歩いた有名な学者で、地方で珍しい木を見付けると自宅に送って貰っていたらしく、庭には実に様々な変わった木が植えられていた。一方、T君の家の庭にも妙な植物が多く、確かお父さんは農林省の研究者であったと記憶している。カラタネオガタマは、当時東京では、そう言うやや特殊な家の庭にしか無い稀な木だったのである。 我が家を全面的に建て替えたとき、カラタネオガタマはもう既に珍しい木ではなくなっていた。しかし、昔の記憶があり、やはり植えてみたかった。そこで、色々な園芸店に行って探していたら、赤い花の着くベニバナカラタネオガタマと言うのを見付けた。特に気に入った訳ではないのだが、つい珍しさに惹かれて買ってしまった。ベニバナカラタネオガタマ.花弁の外側は余り赤くない(2007/05/04) 始めは地植えにした。しかし、知り合いからモッコクの大きな鉢を戴いたとき、中庭の片側だけに大きな鉢があるのはおかしいので、左右対称にしようと思い、大鉢を買って来てそれに移した。 カラタネオガタマの花は、かなり強いエステル香を放つ。玄関を入ったところで、花の香がするのも悪くはないだろう。開花したベニバナカラタネオガタマ.花弁の内側が赤紫色.これ以上は開かないで散る.同じモクレン科のホウノキやタイザンボクの花に似るが別属(Michelia)(2007/05/05) しかし、ベニバナカラタネオガタマにしたのは、どうも失敗の様である。紅花と言っても、全体が真っ赤な訳ではない。花弁の内側のみが赤紫色をしており、外側は黄色に赤紫の縁取りがあるだけ。余りパッとした色合いではないし、時に花が煤で汚れている様な印象さえ与える。 また、鉢植えにしたせいもあるかも知れないが、どうも生長が良くない。葉は普通のカラタネオガタマよりも細く小さく、葉縁が余り波打たない。水と肥料をシッカリやらないと直ぐに葉を落として樹幹が透けてしまい、濃密に葉を付けるモッコクとの不釣り合いが目立ってしまう。これでは左右対称にならない。 やはり、珍しさに惹かれて衝動買いなどするとロクなことはない、と言うことらしい。
2007.06.09
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虫の話ばかり続いたので、今日は久しぶりに花を掲載することにした。 白花の西洋シャクナゲ、鉢に付いていたラベルにはマダムマッソンと書いてある。日本シャクナゲとは異なり、非常に生長が良く花も沢山咲く。今年は18個の頂芽全部に花が着いて随分と賑やかであった。白花の西洋シャクナゲ:マダムマッソン頂芽全部に花が着いた.まだ咲き始め(2007/05/11) 我が家にはシャクナゲが4種ある。まず、黄花の西洋シャクナゲ、クリソマニカムとやらが3月中旬から咲き始め、この白花の西洋シャクナゲが最後となる。その2ヶ月間に、何種類もの他のツツジ科の植物が開花を迎えるが、大方は既に花期が終わり、後はサツキを残すのみとなってしまった。白花の西洋シャクナゲ:マダムマッソン白と黄色の斑が清楚な印象を与える(2007/05/11) サツキ以外でこれから咲く花木と言えば、ニワナナカマド、アジサイ、クチナシ。何れも蕾が膨らんでおり、これらも直に咲いて我が家の主要な花木の季節は終わりとなる。来年の春まで一寸寂しい。白花の西洋シャクナゲ:マダムマッソン雄蕊は10本(2007/05/11) このシャクナゲ、今年は総ての頂芽に花が着いた。シャクナゲ類は花が着き過ぎると次の年は咲かない(隔年開花になる)ことが多いので、この様な場合には花芽をある程度取り去るのが園芸の常道らしい。しかし、そこは素人の悲しさ、せっかく着いた花芽を摘み取ることなど勿体なくて出来ず、結局全部咲かせてしまった。 早めに花序を切り取り、御礼肥を与えて急いで新芽を伸ばさないと、花芽形成期に間に合わなくなってしまう。
2007.05.25
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我が家にはシャクナゲが4本ある。3本は西洋物で、1本だけが日本のシャクナゲである。西洋物(と言っても、西洋で改良されただけで、原産は主にヒマラヤから日本を含む東アジア)は何れも生長が良いのを通り越して、伸び過ぎて困る位なのだが、日本シャクナゲはどうも調子が悪い。 過湿を極端に嫌うと物の本に書いてあったので、鹿沼土を多くし、背の高い鉢に植えて、水捌けを出来るだけ良くしてあるのだが、効果があったとは言い難い。そこで、朝方だけ陽が当たり、夏でも余り温度が上がらない所に移してみた。しかし、これでもやはり駄目。枝が伸びて背が高くなってくると、その枝は生長が低下し、下の方から不定芽が出て来てこれに代わる、と言うのを繰り返している。日本シャクナゲの花序.蕾の時はかなり色が濃い(2007/05/04) しかし、今年は多少は良い様である。蕾も途中で萎えてしまうことが多いのだが、今年は今のところ順調でチャンと開花している。 御覧の様に、始めは濃い桃色をしているが、開くに順い色が薄くなって来て、やがて殆ど白になってしまう。西洋シャクナゲに較べて色が淡く、どぎつくない。日本シャクナゲの花.開くにつれて色が薄くなる(2007/05/04) 日本シャクナゲは西洋シャクナゲに較べると、やはり気品がある。我が家にある西洋シャクナゲ類は何れも新梢が伸び過ぎて間延びしてしまい、大胆に切り戻しをしないと木全体の姿が整わない。尤も、日本シャクナゲは枯れ枝が生じ易いから、常に気を付けていないと西洋シャクナゲよりももっと酷くなってしまうが・・・。 また、普通に売られている西洋シャクナゲの多くは葉が平らで少し薄く柔らかい。極端な言い方をするとペラペラした感がある。一方、日本シャクナゲは葉身が厚くて固く凸状になるものが多い。これが、何となく重厚な感じを醸し出している。日本シャクナゲの花.完全に開くと殆ど白色(2007/05/04) ところでこの日本シャクナゲ、種類が良く分からない。日本産のシャクナゲには、シャクナゲ(ツクシシャクナゲ)、ホソバシャクナゲ、ハクサンシャクナゲ、キバナシャクナゲ等があり、更にその変種がかなりの数ある。しかし、その何れとも一致しない。アズマシャクナゲに一番近いが、記載の一致しない部分がある。恐らく、日本で作られた園芸品種の1つなのであろう。
2007.05.11
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先日のリュウキュウツツジに続いて、今日はヒラドツツジ(平戸躑躅)の「曙」を紹介する。 桃色の大輪で、大きな花になると直径9cm位になる。ツツジ類の中では最も大きな花を着ける種類ではないだろうか(講談社の「園芸大百科事典」によると、ヒラドツツジの中には直径15cmもの巨大輪を着ける品種があると言う)。 色も華やかだし、こういう大きな花がビッシリと着くと、鉢植えでも中々壮観である。満開のヒラドツツジ(曙)(2007/04/23) この曙という品種、昔は見た記憶がない。子供の頃には、オオムラサキという赤紫色の品種だけだったと思う(同大百科事典によると、ヒラドツツジには昭和26年以降294もの品種が登録されているとのこと。一寸驚きである)。このオオムラサキは我が家にはなく、余所様の御宅に植えてあるこの花にクロアゲハやカラスアゲハがよく来ていて、「虫取り少年」であった私は随分羨ましく思ったものである。ヒラドツツジ(曙)の花(2007/04/23) 最近は春先にカラスアゲハは勿論、クロアゲハを見ることも稀になってしまった。ナミアゲハですらこの春1~2回しか見ていない。家を引き継いでから5年経つが、御近所のオオムラサキにクロアゲハが訪花しているも、残念ながら一度も見たことがない。 今では、我が家の「曙」に吸蜜に来る虫と言えば、コマルハナバチ(「家のマルハナちゃん」の親戚や家来達)やヒゲナガハナバチの様なハナバチ類が主である。ヒラドツツジ(曙)の雌蕊はリュウキュウツツジの様に長くはない(2007/04/23) リュウキュウツツジもヒラドツツジも鉢に比して大きくなり過ぎてしまった。一寸風が吹くと簡単にひっくり返る。鉢を大きくすればそれに比例して更に株が大きくなってしまうから、今年は愈々切り詰めなければならない。 私の様な素人にとって、余りやりたくない仕事である。
2007.05.07
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ツツジの花と言うのは、沢山咲くと華やかで中々良いものである(・・・茶花にはならないが)。我が家には10種(含品種)近く植えてあるが、地植えにした方は日当たりが余り良くないせいか花着きが宜しくない。しかし、鉢植えの方はビッシリと花が着く。 今、リュウキュウツツジとヒラドツツジ(品種は「曙」)の2つが咲いて居る。株の大きさがほぼ同じなので、中庭の入り口の左右に置いて玄関を飾る様にしてある。 今日は、その内のリュウキュウツツジを紹介する。満開のリュウキュウツツジ(2007/04/23) 最近庭や生垣として植えられるツツジには、クルメツツジ(久留米躑躅)かヒラドツツジ(平戸躑躅)が多く、リュウキュウツツジ(琉球躑躅)は余り見かけない(昔は結構多かったらしい)。クルメツツジの花は小さくて直径2~3cm、ヒラドツツジは大きく6~8cm、リュウキュウツツジはその中間で径4~5cmである。 クルメツツジには花の形や色の異なる数多くの品種があり、また、ヒラドツツジにも幾つか花色の異なる品種あるのに対し、リュウキュウツツジには白花1種類しかない。 他の園芸用ツツジ(ヤマツツジ節)との違いは、花は白で雄蕊が10本あり、芽の鱗片だけでなく花柄や若い枝にも線毛があってベト付くこと、雌蕊が花弁よりもずっと長いこと等で、容易に区別が出来る。リュウキュウツツジの花(2007/04/23) クルメツツジやヒラドツツジは丸い樹形に仕上げ易いのに対し、リュウキュウツツジは株の周辺部が良く生長するので、上部の平らなテーブル状の樹形に成り易い。 また、どんな花木でも、かなり早い時期に花が1つ2つ咲いてから次第に咲く数が増えて行き、やがて満開になって花期が終わるが、その後にまた少数の花が咲くものである。リュウキュウツツジはこの傾向が甚だしく、満開になる1ヶ月以上も前から花がポツポツと咲き始める。今年は暖冬のせいか、1月から咲き始めたと言う(私は不在だったので直接は知らない)。雌蕊が非常に長いのがリュウキュウツツジの特徴(2007/04/23) 実はこのツツジ、種類も分からず、どんな花が咲くのかも知らずに買って来たものである。我が家は代々質素を旨としているので、花木や多年草の場合、花期が過ぎて安くなったものを買って来ることが屡々ある。 このリュウキュウツツジも花が終わって売れ残っていたのを確か500円で買って来た。名札が付いていないので種類を訊いたら、もう花が1つも着いていないので店員も分からない。久留米でも平戸でもない余り見ない種類なので、面白半分で買って来たのである。 正体が分かるまでの1年間、どんな花が咲くのかな、と期待と不安の入り交じった気持ちで植木を眺めているのもまた楽しいものである。
2007.04.29
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今日は久しぶりの雲一つ無い青空。3日間強風が吹き続け、その後は雨模様の日がまた3日も続いて、すっかり憂鬱になっていたが、こう言う空を見ると実に晴れ晴れとした気持ちになる。私は天候で気分が左右される性格なのである。 少し早く起きて、ベランダの椅子で朝のコーヒーを飲んでいると、目の前にあるヒュウガミズキの葉に雨雫が溜まって、朝日に輝いている。 普段は正確な写真を撮るのを宗としているが、今日は一寸趣向を変えて、雰囲気のある写真を撮ってみることにした。ヒュウガミズキの葉に宿った雨雫(2007/04/26) 私の写真はストロボを使うことが多い。接写にはストロボは不可欠だし、庭の構造上、日陰や逆光になることが多いので、やはりストロボを使わざるを得なくなる。しかし、ストロボを使うとどうしても生硬な写真になり易い。 そこで今日は自然光で撮り、また、深度も浅くしてボケの綺麗な写真にしてみた。否、ボケの綺麗な写真にして見たかった、と言うべきであろう。雨雫の溜まったヒュウガミズキの葉(日陰)(2007/04/26) 結果は御覧の通りである。我ながら余りよい点数はあげられない。 ヒュウガミズキの葉の写真と言うよりは、雨雫の写真になってしまった。
2007.04.26
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我が家の庭には春に花を着ける植物が多い。だから、写真は撮ってあっても中々出番が回って来ない花が沢山ある。このハナズオウも花は既に終わってしまったが、写真が沢山あるので、少し時期遅れではあるが紹介することにする。 ハナズオウの花は、普通の花の様に樹冠内に拡がらず、何かゴチャゴチャしているという言う感じがする。これはこの植物が、温帯の植物としては珍しく、古い枝や幹から直接花芽が生じる幹生花を着けるからである。 ボケなども一見幹に花を着けるように見えるが、これは幹に生じた短枝に着くのであって、幹に直接着くのではない。枝に密生するハナズオウの花(2007/04/06) 幹生花は熱帯の植物に多い。幹生花は生長して幹生果となる。ドリアン、ジャックフルーツ、カカオ、パパイア等の他、余り有名ではないがランサ(Langsat:Lansium domesticum)、アメダマノキ(Star gooseberry:Phyllanthus acidus)なども幹生果である。 また、熱帯にはイチジク属の植物が多いが、その多くは幹生果を着ける。幹に隙間無くビッシリと果実を着けた様は一寸不気味ですらある。咲き始めのハナズオウ(2007/03/28) ハナズオウはバラ目マメ科ジャケツイバラ亜科、或いは、マメ目ジャケツイバラ科に属す。 日本で馴染みの多くのマメ科植物(或いはマメ科マメ亜科)は複葉を着けるが、ハナズオウの葉は複葉ではなく心臓形で、多くの人は葉だけを見せてこれがマメ科だと言うと驚く。しかし、果実は正に豆である。 ハナズオウの属すジャケツイバラ亜科には、先端の窪んだ「蝶の様な形」の葉を着けるハマカズラ属(Bauhinia)の様なグループもあり、また、ジャケツイバラ亜科の多くは豆の花(蝶形花冠)をしていない方が普通で、ハナズオウの様な一見蝶形の花を着けるものは多くない。 (因みに、「この樹何の樹、気になる樹・・・」で有名になったSamanea saman、東南アジアで食用にする巨木に成るマメ「ネジレフサマメ」の仲間(Parkia spp.)、アカシア(Acacia)属、ネムノキ(Albizia)属等が属すマメ科ネムノキ亜科(マメ目ネムノキ科)は、蝶形ではなく、放射相称の花を着ける。Parkia属の花などは、長いコードの先に裸電球が付いた様な形でぶら下がり、およそマメ科の花とは思えないが、果実は典型的な豆である)ハナズオウの花(2007/04/06) しかし、ハナズオウの花を良く見てみると、典型的な蝶形花冠とは少し異なっている。蝶形花冠(先日の「フジ」を参照)では、上側に大きな旗弁が1枚、その下の左右に翼弁が1枚ずつあり、更にその下に2枚の竜骨弁(舟弁)がある。ハナズオウでは、下の写真で見るように、上側に3枚、下側に2枚で、翼弁が旗弁の外側に回って上に出、竜骨弁が左右に開いた形になっている。ハナズオウの花の拡大.典型的な蝶形花冠ではない(2007/04/06) この様にハナズオウは中々面白い花なのだが、我が家では全く人気がない。昔は余り花を着けなかったせいもあり、母などは生前「彼処に生えている木、一体あれなァに?」などと言っていた位で、殆ど邪魔者扱いであった。 しかし、最近は写真の様に矢鱈と沢山花を着ける様になり、少しは注目される様になってきた。折角の珍しい幹生花である。来年はハナズオウの花芽がどんな風にして幹から現れて来るのかを観察してみたい。
2007.04.20
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今、フジ(藤)が満開である。と言っても小さな鉢植えのフジ、他界した母が昔の家にあったのを懐かしんで買って来たものである。 かつての家には居間の前に大きな藤棚があり、毎年4月下旬になると沢山の花を着けて庭に彩りを添えていた。しかし、昭和34年の伊勢湾台風で棚からずり落ち、これは直ぐ棚に引き上げたが、20年後の通称第2伊勢湾台風(昭和54年の台風20号)で再度棚から落ちて、遂に根元から折れてしまった。フジの花.少し前の咲き始めの頃(2007/04/08) 実は母が買ってきたフジは2鉢ある。最初買ったときは、当然チャンと花を着けていた。しかし、その後何故か花が着かなくなってしまった。そこでまた1株買って来たのだが、これもまた直ぐに花が着かなくなってしまった。 その後10年以上経ち、私が家を引き継いでから色々面倒を見たせいか、最近になって漸く小さい方の株だけ花を沢山着ける様になった。しかし、もう一方の大きい方は、昨年1房今年は4房咲いただけで、後は葉がボウボウ。フジの1房(2007/04/08) 何故始めは花が着いていたのが着かなくなったのかは良く分からない。しかし、フジではこういう事がよく起こるらしい。普通は栄養生長していたのが生殖生長するようになれば、これが持続するはずなのだが・・・。 大きい方のフジもずっと前から余り栄養生長をしなくなっているのに、花は殆ど着かない。窒素肥料を与えないで(フジは根粒バクテリアが共生するので窒素は与えなくても供給される)、水も出来るだけやらないようにして「いじめて」みたが、全然効果無し。植え換えない方が良いとも言われるが、小さい方は植え換えてから沢山花が着いている。フジの花の拡大.蝶形花冠(2007/04/08) また、蔓は切らない方が良いと言う人と、花芽の着く前に先の方はバッサリ切った方がよいと言う人がいる。両方やってみたが大して関係ない感じ。 何れにせよ、大きい方のフジも少しは花を着け始めた。気長に来年、再来年を期待するより仕方がない様である。
2007.04.18
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茶花には使えないにも拘わらず、5本も植わっている花木がある。ハナカイドウである。 5本もあるのだから、これは先日のハナモモの様に謂わば「衝動買い」をしたものではない。子供の頃から妙に魅せられている花木で、昔の広い庭に植わっていなかったのは、当時余り売られていなかったのと、花が余りに華やかで周囲の茶花との釣り合いが取れなかったからであろう。ハナカイドウ.咲き始め(2007/04/14) 何故魅せられたのかと言うと、花に何とも言い難い色香が漂っているのを感じ取っていたからである。妖艶とでも言より表現の仕様がない濃厚な色香である。 淡紅色の花は他にも沢山ある。我が家ではアセビ、アザレア、ツツジ2種、ハナズオウ、サンザシ、サクラソウ、シバザクラなどが淡紅色の花を着ける。しかし、これらの花を妖艶と感じたことは一度もない。 何故、ハナカイドウにだけ色香を感ずるのであろうか?ハナカイドウ.今年は開花直前に急激に気温が上がったせいか開花が揃わず、余り見映えが良くなかった(2007/04/14) 親の家を譲り受けた後、荒れていた庭の大改造を行った。庭の周囲を取り巻いていたアラカシの大半を処分し、庭中に蔓延っていたホトトギス、ドクダミ、ササを退治した。アラカシを抜いたり切り倒した後には様々な木を植えたが、まずハナカイドウを2本庭の一番目立つ角に植え、その隣は何か別の木を植えようと思って空けておいた。 しかし、次の年になって花が咲いてみると、2本では何とも寂しく物足りない。そこで、その隣の空きにも全部ハナカイドウを植えてしまった。 どうやら花の色香に惑わされたらしい。
2007.04.15
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もう桜も散り、木々の芽も吹きだして、春たけなわである。今日はイロハモミジの若葉を紹介する。 我が家の玄関を入ると、正面に昔からあった蹲踞(つくばい)や石灯籠などが置かれていて日本庭園風になっている。蹲踞や石灯籠があれば、それに合う樹はウメかモミジ類であろう。我が家ではイロハモミジが植えられている。 しかしこのイロハモミジ、評判が宜しくない。芸がないのである。まず第一に秋の紅葉が綺麗でない。黒ずんだ橙色みたいな色で観賞に堪えない。 イロハモミジの中には、吹きだした新葉が紅い霞の様になる洒落た園芸品種もある。しかし、このモミジの若葉は写真の通りで、何とも中途半端な色合い。我が家のイロハモミジの新葉.葉先は赤いが元は緑色(2007/04/05) 春、秋が駄目なら夏はどうかと言うと、1mもの徒長枝を何十本も出して陽を遮り、周囲の植物の生長を妨げる。芸がないだけでなく、迷惑な存在でもある。イロハモミジの新葉.その2(2007/04/05) とは言うものの、葉を近くで見れば形はやはりモミジで、それなりの風情がある。カエデ属(Acer)の植物は対生だから、左右対称となり幾何学的な美しさを生じる。イロハモミジの新葉.カエデ属の枝葉は左右対称に出る(2007/04/10) しかし、遠くから見ればそんなことは分からない。橙色の若葉がボサボサ伸びているだけ。何の面白味もない。 庭の正面に有るから切り倒す訳にも行かず、毎年ブツブツ言いはするもののどうしようもない。こんな中途半端な樹を植えた庭師を恨むだけである。
2007.04.12
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昔、まだ家が大きかった頃の庭には、祖母が茶花として使う植物ばかりが植えられていた。普段は祖母が自分でその庭に咲く花を切って茶花にしていたが、木の高い所に咲く花や、庭にはない野草の花が必要になると、私の出番が回って来るのであった。小学校から高校を卒業する頃までの約10年間、茶花を採りに行くのは私の重要な任務であった。 何しろ週4回も茶会をするのだから、その約10年の間に相当沢山の茶花を採ってきた筈である。おかげで私の花の好みはすっかり茶花的になり、侘・寂の精神もシッカリ身についてしまった。 だから、未だに茶花にならない八重の花と言うのが好きになれない。一重に較べ、品格がずっと劣る。 ところが、何の風の吹き回しか、八重のハナモモの苗木を買ってしまった。しかも、モモという葉に風情の無い、基本的に好きではない種類なのに・・・。 馬齡加ゆること幾十年、段々自分自身が侘びて寂しくなって来ると、周りにあるもの位少しは華やかにしたい、と思う様になるのかも知れない。ハナモモの花.その1(2007/03/30) このハナモモ、最近流行の「照手白」と呼ばれるホウキ状(直立性)の品種で、こういう形になるのは頂芽優勢(Apical dominance)が弱いからである。頂芽優勢が強いと側枝は主幹と一定の角度(Branching angle)を保って伸び、ホウキ状にはならない。その典型的な例が、モミやトウヒの樹形である。 頂芽から新芽が出ないことが多いのも頂芽優勢が弱いせいであろう。10~15cm位下の葉腋にある芽がふいて来て頂芽となり、本来の頂芽はそのまま枯れてしまう。だから、上に向かった短い枯れ枝が沢山生じる。ハナモモの花.その2(2007/03/30) また、下の写真で分かる様に、このハナモモは八重であるにも拘わらず、全部の雄蕊が花弁に変化しているのではなく、かなりの雄蕊がそのまま残っている。そのせいか、実が沢山着く。しかし、熟す前に殆ど全部落ちてしまう所を見ると、授粉はしても受精はしていないらしい(自家不和合性)。ハナモモの花.その3.雄蕊と葯が見える(2007/03/30) もう一つの特徴として、この「照手白」はスザマジク生長が速い。毎年1m近く伸びる。地植えにして3年でほぼ4mになり、2階のベランダの手摺りに将に届かんとしている。あと3~4年もすると3階から花を楽しめる様になるかも知れない。
2007.04.09
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春になって庭に彩りを添えるのは花だけではない。木々の新緑もまた美しい。その中でも、特にサンショウの新芽は色艶共に良く、形にも何とも言い難い風情がある。 それに、食べることも出来る。サンショウの芽.雌木なので花穂が写っている(2007/03/28) よく知られている様に、サンショウの芽は料理方面では単に「木の芽」と呼ばれ、古典的な使い方としては、吸い物の吸い口(特に潮汁)に使ったり、筍の煮物や筍御飯に載せたり、或いは練り味噌に一緒に擦り込んで田楽味噌にしたりする。 我が家では、伝統的に筍を煮るときにサンショウの葉を一緒に煮る。 だから、サンショウの新芽がふいてくると、筍が食べたくなる。私の筍好きはかなりのもので、毎年孟宗竹の筍を4本位は生から湯がいて料理する。サンショウの芽.その2(2007/03/28) 昔、庭が広かった頃は、直径7cm位の大きなサンショウの木が2本もあって、夏になると刈り込みを兼ねて葉を佃煮にしたものである。これは祖母の仕事で、目の悪くなった祖母が枝から葉を摘む前に、アゲハチョウの幼虫や卵を取り分けるのが私の仕事であった。見付けた幼虫や卵はチャンと飼育して、羽化した蝶は放してやった。サンショウの芽.その3(2007/03/28) 今では木がずっと小さいので、木を丸坊主にしても佃煮には不足である。最近では、生長したサンショウの葉は専ら魚を煮るときの匂い消しに使っている。魚の生臭みを取るには生姜を使用するのが一般的だが、生姜を入れると生姜の味香がしてこれがどうも気になる。サンショウの葉の場合は、魚の生臭みだけ消えて、特にサンショウの香が気になることはない。シコイワシの煮付け等には、サンショウを使った方がずっと美味しく仕上がる。 煮魚がお好きな向きは、一度お試しあれ。
2007.04.06
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我が家の庭にはツツジ科の植物が多い。一番占有空間の大きいのはバラ科だが、種類(種と品種)の数ではツツジ科に敵わない。バラ科もツツジ科も春に花の咲く種類が多いから、3月から5月にかけては我が家の庭は木本だけでもかなり賑やかになる。 残念ながら、バラ科の花の大半は、主の居ない間にもう終わってしまって、2~3種を残すだけになってしまった。しかしツツジ科は、一部は既に散ってしまったが、これからの出番を待っているのが沢山ある。 今日はツツジ科の中から、ドウダンツツジを紹介する。ありふれた種類で余り気が進まないが・・・。ドウダンツツジ。少し若葉が出て来た(2007/04/01) ドウダンツツジは、普通丸い形に作られることが多い。しかし、若齢木では頂芽優勢の強い樹種で、頂芽の周りに幾つかの側芽が着き、頂芽は真っ直ぐに側芽はかなり水平に近い角度に伸びて、ミズキの様な「階段状?」の樹形となる。 我が家のドウダンは、改築時に造園した植木屋が剪定をしていない安い木を植えたらしく、自然のままの背の高い階段状の樹形をしていた。この本来の樹形も決して悪くはなく、また、余り人工的な樹形を好む趣味はない。しかし、家を引き継いだ後、狭い庭に出来るだけ沢山の種類を植えたいと思ったので、大きな階段状の樹形を5年がかりで、小さな丸い庭園風の樹形に変えることにした。ドウダンツツジの花(2007/03/23) まず、主軸(Main shoot)をかなり下から切り取り、枝も30cm近く切り戻した。ドウダンツツジは強剪定に弱いらしく、1年目は余り新芽が出ず、これはヒョッとすると枯れるかも知れないと危惧したが、2年目からは順調に生長した。新しく生じた主軸を、再度元から切り取り、毎年枝先をしっかりと刈り込む。太い枝は少し深めに剪定する。4~5年経ったら何とか庭園風の丸い樹形になった。ドウダンツツジの花.拡大(2007/03/23) 本来の樹形とは大きく異なるが、この方が総ての葉に陽が当たるし、また、半円形だから占有空間当たりの表面積(日光の当たる面積)も多い筈である。 ドウダンツツジは「何時ものベランダの椅子」の直ぐ近くにある。この無理矢理樹形を変えさせられた可哀想なドウダンを眺めながら、太陽光線の利用率が上がりこれで良いのだ、と自分自身に言い聞かせている。
2007.04.04
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今週中半から東南アジア方面に長期の調査に出かける。最近書き込みが少なかったのは、その準備で忙しかったからである。 帰朝は来春3月なので、かなり長い間本Weblogを中断しなければならない。毎日の様に閲覧して下さる読者には甚だ申し訳ないが、何とも致し方ない。 写真が無いのも殺風景なので、大部前に撮ったセンリョウの写真を掲げておく。正月を迎かえる準備のつもりである。センリョウの実(2006/11/18) それでは皆様、良いお年を!!
2006.12.11
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2回虫が続いたので、今日はミヤギノハギ(ナツハギ)の黄葉を紹介する。 我が家にはハギが2本植わっており、もう1本はキチョウやコミスジの為に植えてあるニシキハギだが、これは殆ど黄葉せず黄ばんだ茶色に変わってチリチリとなり観賞に堪えない。ミヤギノハギの黄葉.まだ少し緑が残っている(2006/11/26) ミヤギノハギの方は、かなり以前から少しずつ黄色になっていたのが、冷たい雨が降った途端、一斉に黄色くなってしまった。上の写真はそれでもまだ少し緑色が残っている部分。ミヤギノハギの黄葉.3枚とも軸方向が同じだったので、この写真は左右をひっくり返して鏡像にしてある(2006/11/26) 黄葉は善寺丸の時の様に自然光で撮るのが本当であろう。しかし、このハギの植わっている所は、今は季節的に完全な日陰になっていて暗く、仕方なくストロボを焚いた。ミヤギノハギの黄葉.拡大(2006/11/26) 複葉が規則的に互生し、また、小葉は対生するので、幾何学的な模様を生ずる。余り綺麗な黄葉とは言い難いが、おかげで何とか絵になった。
2006.12.01
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我が家の庭には、紅葉、或いは、黄葉する木が少なく、また、今頃花の着く木も無いので晩秋は寂しい。しかし、そんな中で1本の柿の木の葉だけが橙色に輝いている。 我が家の庭はごく狭いにも拘わらず、柿の木が3本もある。その3本とも品種が異なり、先日紹介した次郎柿の他は、善寺丸、百目柿という昔の品種で、かつて庭が広かった頃に植わっていたのを、兄が懐かしがって何処からか探してきて植えたものである。 善寺丸はこの辺りに昔からあった柿で、小田急線沿いの地名(駅名でもある)「柿生」の由来は、この善寺丸が沢山植わっていたことによるとのこと。実際、私が子供の頃の生田や柿生は今とは全く異なり、雑木の生えた人家のない丘陵地帯が延々と続き、その間の低地に水田と農家があって、農家の庭には柿の実が沢山なっていたのを憶えている。 昔話はさておき、我が家の善寺丸は未だ木が小さくてよく実が着かないから、今回は葉だけを紹介する。柿の葉(善寺丸)(2006/11/18) 私の理解するところに拠れば、柿の葉が紅葉するときには1枚の葉の中に赤い部分やまだ緑色の部分、或いは、濃い褐色に変色した部分などがあって、全体として渋い色具合になる筈なのだが、この善寺丸の葉は全体が均一に橙色である。 百目柿の方は、紅葉しないでもう落ち始めているし、次郎柿の葉はまだ緑色のまま。同じ柿でも、紅葉の仕方が随分異なる。柿の葉(善寺丸).まだ緑色がごく僅か残っている(2006/11/18) しかし、考えてみればカエデやモミジでも品種により紅葉の仕方が異なるし、ケヤキにも同じ種なのに紅葉するのと黄葉するのがある。カロチノイドやアントシアニンの合成系に何か違いがあるのだろう。色素の生合成は多くの酵素反応の連鎖によるので、それらの酵素の内の1つにでも異常が生じれば、連鎖が途中で止まってしまい、結果として色が異なったり、無色(花などの場合は白色)になったりする。柿の葉(善寺丸)(2006/11/21) 善寺丸の葉も、もう殆ど落ちてしまった。いよいよ苦手な冬が始まる。
2006.11.28
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我が家の庭の植物は、茶人であった祖母の影響を受けて日本的なものが大半を占める。言い換えれば、地味な花が多いのだが、その中でハナカイドウは少し異色である。何とも妖艶な色合いの花をゴマンと着ける。だから、茶花にはならない。 勿論、今は花期ではない。実の時期である。 ハナカイドウは春に新芽が出ると、その新葉に必ずアリマキが付く。葉が巻いてしまうので、ジェットアースではあまり効果が無い。そこで、オルトラン粒剤を撒いてみたら、アブラムシは退治出来たが、それ以降殆ど新梢がでない。 オルトランの袋に書いてある注意書きを見ると、「リンゴには使うな」とある。ハナカイドウもリンゴ属(Malus)だから影響を受けるのだろう(尤も、オルトランでもっと徹底的に生長が抑制されたのはサンザシで、これは昨年春にオルトランを撒いたら、その年は1本も新梢が出なかった。サンザシはリンゴ属ではなくサンザシ属(Crataegus)だが、こちらの方が影響をもっと強く受けるものと見える)。 そこで今年はハナカイドウにはオルトランを撒かず、また、液肥も屡々与えたせいか、よく新梢を出した。と、同時によく実が育った。ハナカイドウの大きな果実.後ろのは普通の大きさ(2006/10/08) ハナカイドウの実は、普通は直径6~7mmでほぼ球形をしている。ところが、今年はそういう普通の実の他に直径1cm位でやや扁平な大きな実が1個だけ着いた。 拡大してみると、やはりリンゴに似ている。ハナカイドウの実の拡大(2006/10/08) 写真を撮ってから大部経ったある日、もう熟した思って食べてみた。 大失敗であった。まだ、硬いのである。もう少し熟度を見てから「収穫」すべきであった。 相当に渋いが、少し甘味もある。来年は肥料をシッカリやって、今度こそよく熟したハナカイドウの実を食べてやろう。
2006.10.28
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ニワナナカマドは他界した母が特に好きだった花で、家を改築した後もまた庭に植えて毎年花を楽しんでいた。しかし、ある年突如として枯れてしまった。 幸いなことに、根元近くから伸びてきたひこばえがまだ残っていたので、それを今度は鉢に移して大事に育てることにした。しかし、一向に生長せず、母の存命中には花は再び咲かなかったと記憶している。 何故枯れたのか、又、鉢に植えたのが何故生長しないのかは良く分からなかった。ナナカマドの植えてあった辺りではその後もよく木が枯れるので、ネマトーダ(線虫)でもいるのかと思ったが、どうも違うらしい。 ある時、かつて祖父が大事にしていたフウチソウ(多分戦前からあった鉢植え)が殆ど干からびているので根元を見てみたら、なんと根が付いていない。株を引き上げてみると、小さな植木鉢にネキリムシ(カナブン類の幼虫)が15匹位いて、根は総て食べられてしまっていた。 ある時、庭の木がまた弱り始めたので、その根元にオルトラン粒剤を撒いてみたら、木は枯れることなく、暫くしてからまた元気を取り戻した。ナナカマドの植えてあった辺りでよく木が枯れるのも、どうやらネキリムシと排水の悪さによる病気の感染が原因らしい。 そこでナナカマドの生長が悪いのもヒョッとするとネキリムシのせいかもしれないと思い、春先ネキリムシが生長して大きくなる前にナナカマドの鉢にオルトラン粒剤を撒いてみた。すると、ナナカマドはチャンと生長するではないか。 最近は毎年かなりの数の花を着けている。もう少し早く気がつけば母に見せてあげることが出来たのに・・・ニワナナカマドの花.季節外れで花序が小さい(2006/09/29) ニワナナカマドというのは妙な植物で、6月に最初に花が咲いた後、新たに葉腋から出て来た芽には必ずといっても良いくらい花が着く。今年は晩夏になってからも芽が出て、先日花が咲いた。しかし、花序の長さは普段の1/3位で随分小さい。ニワナナカマドの花.拡大してみると如何にもバラ科の花という感じ。直径7mm、体長約1mmのハチがとまっている(2006/09/29) ニワナナカマドの花が咲くと必ずやってくるのがルリマルノミハムシ。「ルリ」と言っても真っ黒な体長3mm位の小さな羽虫である。しかし、もう時期が遅すぎるのか、今回は咲いて2日後に1匹来ていただけで、もう少し沢山来てから写真を撮ろうと思っていたら、ついにその機会を逃してしまった。 その代わり小さな虫が写っている。写真を撮ったときはハエだと思ったが、写真を良く見てみると触角が長いからハチらしい。花の直径は7mm、ハチの体長は約1mm。 人間の感覚からは、こんな小さなハチもいるのかという感じだが、卵に寄生するタマゴバチの中には0.1mm位のものもいるそうである。0.1mmと言えば100μ。普通の動物細胞の大きさは数10μなので、そんなハチの細胞構成は一体どうなっているのだろうか?顕微鏡写真を見てみたいものである。
2006.10.04
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