偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2014.04.27
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カテゴリ: 万葉

 小生の銀輪散歩の道すがらによく立ち寄って珈琲タイムを取ったりしている馴染みの喫茶店 cafe de nana のお店の方に万葉に関する話をしてくれと頼まれたことは、以前の日記にも書きましたので、ご記憶のお方も居られるかも知れませんが、そのお話をする日が今日でありました。

cafe de nana
(本日のcafe de nana)

  (参考)「 弓削の川原の埋もれ木の・・そして新生ナナ 2014.2.26.
       「 風邪が治ったらMTBが入院 2014.4.1.
       「 民族笛とカンクレス 2014.4.16.

 午後2時から4時まで約2時間のお話でした。万葉集と小生との出会いの話から始めて、今回は有間皇子の話と大津皇子の話をし、関連の歌を鑑賞するというか紹介するという、まあ言わば万葉入門編のようなお話をさせて戴きました。少しでも万葉集、万葉歌に興味を持って戴けたら、という気持ちでなるべく分かり易くお話をした心算ですが、はてさて皆さんのご感想や如何にであります(笑)。
 参加者は男性が3名、女性が6名。講師の小生を含めて総勢10名ですから、アットホームな雰囲気でありました。
 本日、取り上げた歌は以下の通りです。万葉ファンならどなたもご存じの有名な歌ばかりであります。

( あらた ) しき 年の始の 初春の
          今日ふる雪の いや
( ) 吉事 ( よごと ) (大伴家持 巻 20-4516

(  こ )

もよ み ( ) 持ち ふくしもよ みぶくし持ち この丘に 菜摘ま す兒 家聞かな 名 ( ) らさね そらみつ やまとの国は おしな べて  ( われ ) こそをれ しきなべて  ( われ ) こそませ 我こそは  ( ) らめ  家をも名をも (巻1-1)

有間皇子の歌

磐代の 浜松が枝を 引き結び
真幸 ( まさき ) くあらば また ( かへ ) り見む (巻2-141)

家にあれば  ( )

に盛る ( いひ ) を 草枕
           旅にしあれば 椎の葉に盛る (巻2-142)

大津皇子の歌

百伝ふ  磐余 ( いはれ ) の池に 鳴く鴨を
        今日のみ見てや 雲
( がく ) りなむ (巻3-416)

あしひきの 山のしづくに 妹待つと
( われ )

立ちぬれぬ 山のしづくに (巻 2-107

石川郎女の歌

( ) を待つと 君がぬれけむ あしひきの
          山のしづくに ならましものを (巻
2-108

草壁皇子の歌

大名兒 ( おほなこ )   彼方 ( をちかた ) 野辺に 刈る ( かや )
( つか ) ( あひだ ) も  ( われ ) 忘れめや (巻 2-110

大伯皇女の歌

わが背子を 大和へ ( ) ると さ夜ふけて
( あかとき ) 露に わが立ちぬれし (巻2-105)

二人行けど 行き過ぎがたき 秋山を
           いかにか君が ひとり越ゆらむ (巻2-106)

神風 ( かむかぜ ) の 伊勢の国にも あらましを
        いかにか
( ) けむ 君もあらなくに (巻2-163)

見まく ( ) り わがする君も あらなくに
          いかにか
( ) けむ 馬疲るるに (巻2-164)

うつそみの 人なる ( われ ) や 明日よりは
二上山 ( ふたかみやま ) を  兄弟 ( いろせ ) とわが見む (巻2-165)

磯の ( うへ ) に  ( ) ふる馬酔木を  手折 ( たを ) らめど
         見すべき君が ありといはなくに (巻2-166)

(参考)本日のお話に関係する当ブログ記事
有間皇子関係
藤白坂・岩代から白浜へ
2009.3.16.
藤白坂・岩代から白浜へ(続) 2009.3.17.
大津皇子関係
磐余銀輪散歩(2)・今日のみ見てや雲隠りなむ 2012.10.11.
磐余銀輪散歩(3)・ときじくの花 2012.10.12.
草壁皇子関係ほか
明日香小旅行下見 2009.11.24.






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最終更新日  2014.04.30 07:51:04
コメント(10) | コメントを書く


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Re:cafe de nanaでの万葉の集い(04/27)  
ふろう閑人  さん
近くでしたら参加させてもらいたかったです。盛況で何よりでした。
グーグルの地図で恩智駅周辺を捜しましたが分かりませんでした。 (2014.04.28 05:05:57)

ふろう閑人さんへ  
けん家持  さん
 そうですね。自転車でひとっ走り、という距離なら良かったのですが(笑)。以前、或るNPO法人近鉄奈良駅から白毫寺などを万葉ウォ―クすることがありましたが、その折にはビッグジョンさんがご参加下さいました。
 グーグル地図にはお店の名は出ていませんが、恩智川沿い、恩智駅の東側に「陽光ハイツ」という賃貸マンションが出ています。cafe de nana は、そのマンションの1階にあります。
 自宅は枚岡神社の近くですので、先ず、外環状道路に出てそのまま走れば自然に恩智駅の方に行けるのですが、小生は車ではなくMTBなので、近鉄奈良線のガードを潜った処で右折して西に進み、東花園駅の手前で恩智川沿いの道を走って行くのが通常の行き方となります。この方が少し遠回りになりますが、車と並走しなくてもよいので快適に走れます(笑)。ほぼ30分でnanaに到着です。
(2014.04.28 08:34:10)

Re:cafe de nanaでの万葉の集い(04/27)  
ウーテイス  さん
参加者は男性が3名、女性が6名

なるほど!
と、思った次第でした。

文学分野でも 男の関心が薄い特化圏

寧ろ菜々の客人の中では男性が半分も居た事が
以外でした。。。

何故?男の関心が薄いのか
考えさせられました。。。

そもそも文学全体を考えますに
文学は女性のモノだと
常に思っていました

世間一般は 二葉亭四迷 の親父&伯父の反応
なにしろ実利が無い
__なに!?文学をやりたいだと!!くたばってしまえ__

実利一本槍は味気ない
とは言え
文学に関心がある男性は極めて少ない事実

ブロ日記でも同じです
殆ど文学を対象にした話題が無い実情

★人は自分の関心、興味の対象から外れたものには
無関心なのが普通です

☆内容がちゃんとしたことを知らずにね、勝手に自分の理解だけで、物事を決め付ける人も多いのです。

僕も!内容を理解できない和歌・背景が判れば面白いのでしょうが・は、
拾い読み程度でスルーするから

☆⇒こういう人が居ても
シッカタなかんべさ…と、思いなしている次第です。

自分の関心事項に人を引き寄せる事の難しさ
その虚しさ
馬鹿ばかしさ 示唆・不可能

芥川龍之介は100年程度昔に言いました
真の幸せ者とは 日々の些事に明け暮れる人々
だと

で、
同時代人に理解されない文学者は自殺が突出していますね
グスタフマーラーは言った
僕の音楽は100年後でないと理解されない


T・カポーティーは、言う
人と異なった道を歩くものは常に寂しさを持つ
と、

寂しく感じないのは豚や猿鴨?

嘆き節に非ず だが支那人は憤死するらしい
極端はいけません

~~~何を言っているのやら?~~~

(2014.04.28 10:17:28)

Re:cafe de nanaでの万葉の集い(04/27)  
ふろう閑人  さん
ありがとうございます。
グーグルの地図とストリートビューで良く分かりました。 (2014.04.28 12:12:41)

Re:cafe de nanaでの万葉の集い(04/27)  
小万知 さん
喫茶ナナに集われた皆様への万葉集の講演、皆様きっと興味深く楽しまれたことでしょうね。
けん家持様が犬養節での万葉歌を詠いあげられ、朗々としたお声がお店に響いたことでしょう。
恩智からだと二上山も見え、大伯皇女が弟、大津皇子のことを詠んだ歌、「うつそみの 人なる吾や 明日よりは 二上山を 兄弟とわが見む」など、より身近な歌に感じられたのではないでしょうか。
又万葉集のファンが増えましたね。
お疲れさまでした。 (2014.04.28 15:11:04)

ウーテイスさんへ  
けん家持  さん
 殖産興業の時代にあっては、二葉亭四迷=くたばってしめぇ、ということになるのでしょうね。
 文武両道という言葉がありますが、この場合の「文」も「文学」とは限りませんですね。和歌管弦に秀でることは平安貴族たるものの重要な素養であったようですから、男も亦和歌などをたしなむべきこととされたのでしょうがそれも今は昔の話。

 >人は自分の関心、興味の対象から外れたものには無関心なのが普通です。内容がちゃんとしたことを知らずにね、勝手に自分の理解だけで、物事を決め付ける人も多いのです。

 その通りでしょうね。それでいいのだろうと思います。何もかも深く理解することなど出来ませんから、自身の「関心」というアンテナに引っかかって来たものだけを中心に人は世界観や価値観を作り上げて行く、そういったものでしょう。だから人それぞれで、それこそが健全な社会なんだろうと思います。

 「死後の世界」なるものを信じる人は少数派で信じない人が多いからこそ、その類の本も売れるし、その論を展開する人も論じ甲斐があると言うもの、そう考えれば、いいのではないでしょうか。全ての宗教者が布教に当たって感じる高揚感と無力感とがないまぜになった感覚というのは、この種のことを論ずる者には不可避なことであります(笑)。
 小生への布教はご無用に願い上げます(笑)。
 古代の人は地下、地上、天を貫く巨大な宇宙樹が世界の中心に在ると考えました。今、これを信じている人は居ないでしょうが、その宇宙樹はこの大宇宙の中心に存在するもので、神の真理、意思が体現されている非物質の力のことで・・と言い出せば、それが存在しないことを証明することは不可能なことで、信じるか、信じないかの問題に帰着する・・などという思考回路の人間でありますので。
(2014.04.28 15:20:08)

ふろう閑人さんへ  
けん家持  さん
 お近くをお通りになることがございましたら、お立ち寄り下さいませ。まあ、nanaの関係者でもありませんので、このような言い草は適切ではありませぬが(笑)。
(2014.04.28 15:23:31)

小万知さんへ  
けん家持  さん
ナナの店の前には「第1回万葉の集い」という表示がされていましたから、2回目、3回目もあるのでしょう。今日、参加の男性のお知り合いは山上憶良を研究されている方で、その方も今日ご参加の予定だったが都合が悪くなってお見えにはならなかったそうです。そんなお方が居られるなら、こちらの方がお話を聞かせて戴きたいものと思いました。
 女性の皆さんは歌の情緒を楽しむと言うのに対して、男性の皆さんはどちらかと言うと歌の背景や言葉の内に隠されているやも知れぬ意味などに関心が向くようで、面白く感じました。 恩智は二上山も近いですから大伯皇女の歌も身近に感じて戴けたことでしょう。次は「弓削の川原の埋もれ木」の歌や「生駒山越えてぞ吾が来る」などの歌を取り上げますかね(笑)。 参加費無料ですから、たまたまお店に来られた方も参加可能。普通通りに珈琲など好きな飲み物を注文して、聞くともなしに聞くのも自由。そんな具合ですから、小万知さんもご都合がつく時はフラリお立ち寄り下さい。もっとも、次回はいつにするか未だ決めていませんが・・。
(2014.04.28 15:43:06)

Re:cafe de nanaでの万葉の集い(04/27)  
>講師の小生を含めて総勢10名

先日、民族笛とカンクレスの催しがあったばかり、そして今度は万葉集、この喫茶店はいろいろな企画があって楽しいお店のようですね。

我が家から歩いてちょっとというわけにはいかないのが残念です。(笑)
(2014.04.29 21:44:08)

ビッグジョン7777さんへ  
けん家持  さん
 先日の民族笛とカンクレスの催しに続いての、今回の万葉講話でありました。この2月に新しい経営者に変っていますので、その関係で色々な試みに挑戦されているのだろうと思います。先代経営者の頃からよく立ち寄っていた喫茶店でもありますので、まあ、時々はお店の企画にも協力させて戴くこととしますかね(笑)。
 そうですね。氷室からでは、歩いてちょっとというわけには参りませんですね。残念(笑)。
(2014.04.30 07:42:33)

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