偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2019.04.04
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カテゴリ: 銀輪万葉
​​ 承前 ​)
​ 4月2日の記事の続編です。
 機物神社を出て、府道736号を北上。JR学研都市線(片町線)の津田駅前に出る。この辺りから道はJR線に沿って走ることになる。​

(JR津田駅)
 次の藤阪駅を過ぎて300mほど行った辻を右にJR線を渡り、坂道を上って行くと王仁公園である。目指す「伝・王仁墓」なるものは王仁公園内にあるものと思ってやって来たのだが、王仁公園南側の外周道路に表示された「王仁墓→」の表示に従って進むと、それは公園とは離れた位置にあるよう。前回は茨田童子氏の車に同乗して連れて来て貰ったので記憶が曖昧。
 参考までに、地図でその場所を示すと下掲の通り。​

​​​(王仁墓位置図)
​※現地には 緑色 の案内表示があるも オレンジ色 は無い。
―― 線​ が正しいルート、 ―― 線​ は間違って余分に走った部分。​​​

 上の地図で説明すると、現地のサインは ​​​​
​​​ のみで、 は無い。
 そのため、左に入らねばならないのに道なりに直進、行き過ぎてしまいました。様子がおかしいと引き返し、道沿いの建物から自転車で走り出そうとされているご婦人が目に入ったので、彼女に尋ねると、その方向に行くから案内します、とご親切なお言葉。彼女の後ろについて行く。
 王仁墓の手前200m位の処まで先導いただきました。
 「この急坂を上ったところにあります。」
 と告げて彼女は去って行かれました。
 今、地図で見ると枚方公済病院の敷地内を通り抜けることが可能なら、急坂を下って、また急坂を上るという辛き道を回避できたのかも知れない。​

(伝・王仁墓)
 美しい門が出迎えてくれる。百済門という名前らしい。
 この時代、日本も百済派と新羅派との政争があったようだが、百済との関係がより親密であったようで、斉明天皇の時代に百済を支援し唐・新羅連合軍と戦い、白村江で壊滅的惨敗というのは古代史に於けるご存じの大事件。
<参考> 王仁・Wikipedia
​​ 王仁については、上記参考のウィキペディアをご参照下さい。百済から論語と千字文を我が国に持って来た人物であるが、実在を疑問視する説や百済人説、中国系人物説など諸説あるようです。
 王仁が作った歌とされるのが、

難波津 なにはづ に 咲くやこの花  冬籠 ふゆごも り 今は春べと 咲くやこの花

​​  古今集の仮名序に出て来る古歌であるが、この歌の歌碑が大阪市のコリアンタウンの入口近くの御幸森天神宮の境内にある。ハングル訳も併記された珍しい歌碑であるが、日韓友好を願って建立されたもので、韓国人観光客の観光コースになっているよう。

(御幸森天神宮の歌碑・下記記事からの再掲)
<参考>​ 万葉ウォーク下見・すみのえの霰松原 ​ 2011.10.23.
 王仁は「日本に進んだ朝鮮の文化を伝えた」人物として韓国の民族史観からは好都合なのか、朝鮮や中国の史書には登場せず、古事記や日本書紀など日本の史書にしか登場しない人物であるのに、韓国では人気のある人物であるようだ。この王仁墓にもそういった観光客が訪れるのだろう。​

(同上・百済門)
​​ 門を潜った正面に王仁のものと伝えられる墓がある。​

(伝・王仁墓) ​​

(同上・説明碑) ​​
 百済門の脇にあるのは、王仁が伝えたという論語と千字文の碑。​

(論語の碑)

(千字文の碑)
 子どもの頃、王仁が漢字を日本に伝えたと教えられた記憶があるが、漢字は、それよりも以前に日本に伝えられているとか、千字文は王仁の時代には未だ成立していなかったらしいとかで、王仁伝説の​真偽のほどは藪の中であるのだが・・。歴史というものは、真偽とは関係なく、色々の願望や憶測や意図やらが絡み合って形成されて行くもののようです。
 次に向かうのは山田池公園。
 この公園のことは、ブロ友のビグジョン氏のブログ記事で何度か拝見しているのであるが、現地には今回が初訪問である。​

(山田池公園)

(同上)
 池の向こう岸に渡って出口に出ようということになる。
 桜が既に満開である。​

(同上・桜が満開である。)
 少し雨がぱらつき出したが、まだ雨具を着用しなければならないほどの降りではない。
 池の周りや公園内の森の中を走っていると方向感覚が狂って来るものであるが、公園の出口にやって来たものの、手許の略地図を見ても、ここが何処の出口なのかよく分からない。実は、よく見ればすぐにそれと分かった筈なのだが、​​​早とちりで、一つ手前の出口だろうと見当をつけてしまった。その結果、府道144号を反対方向に進んでしまうことになる。
 穂谷川を右に見ての川沿いの道である筈なのに、気が付くと川がない。上り坂の道であったので、それを駆け上ることに注意が向いていて、道が間違っているのではないかという疑問を持つ余裕が無かったよう。
 坂をほぼ上り切ったところで、何か変であることに気付く。右側は低地になっていて下り坂。何個目かの辻で、中学生と思しき女の子が居たので「穂谷川はこの坂を下るのか?」と尋ねると、そうだと肯いた。それで、右折して、坂道を下る。確かに川があった。穂谷川にしては川幅が狭い。それもその筈、山田池に注いでいる北谷川という小さな流れであったのである。川沿いの家の玄関先で掃除をされているご婦人に何と言う名の川かと尋ねるが「知らない」という答え。​

(北谷川の桜)
 川沿いに、山田池公園の方向に引き返す。やがて「北谷川緑地」という表示が目に入ったので、この川の名を知ることとなるが、それを知っても意味のないことである(笑)。
 山田池公園の東側入口から、再び山田池公園の中へ。つい先ほど走ったばかりの公園内の道を再び走って、先ほどの公園出口に。何のことはない、出口手前の公園内に、現在地が地図表示された案内板があったのである。
 それに、出口に立って、左手を見れば、大きな川が目の前に見えている。一目で「穂谷川」だと分かる眺めではないか。どうして、先ほどはこれが目に入らなかったのであろう。右手に行くものという思い込みが先にあって、右方向に注意が向いていた所為かも。間違う時はそいうもの。
 穂谷川沿いの爽快な道を行く。
 穂谷川が右に曲がる手前に公園がある。
 阪今池公園である。ここで、トイレ休憩。ヤカモチは煙草休憩であった。​

(阪今池公園)
この公園の前の橋で穂谷川を渡り、直進すると、片埜神社に突き当たる。​

(片埜神社と偐山頭火氏)<参考> 片埜神社・Wikipedia​​​​​​ ​​​​​​ ​​

(同上・拝殿)
​​

(同上・本殿) ​​
​​

(同上・本殿説明碑)
 片埜神社は、社伝によると、垂仁天皇の時代に、野見宿祢が当麻蹴速との相撲に勝って、その恩賞として当地を拝領、出雲の祖神である須佐之男命を祀ったのが、その始まりとのこと。従って、主祭神は須佐之男命(素戔嗚尊)などであるが、平安中期になって、菅原道真が天神と祀られるようになると、菅原氏は野見宿祢の後裔なので、菅原道真を主祭神に加えるようになったとのこと。​

(同上・ご祭神一覧)
 大阪城の鬼門の方角にあることから、豊臣秀吉によって、当社は大阪城の鬼門鎮護の社とされたそうな。
 そんなことと関係するのか、境内にこのような鬼面もある。​

(鬼面)
 片埜神社の北側に隣接する公園が牧野公園。
 ここにあるのが、アテルイ
(阿弖流為) ​とモレ (母禮) ​の首塚。​

(アテルイ、モレの塚)
​​​​​​

(同上)​<参考> アテルイ・Wikipedia
 アテルイは蝦夷の指導者。モレはその腹心。
 8世紀、東北に進出する朝廷とこれに抵抗する蝦夷たちとの間の対立、戦争の時代、蝦夷のリーダーとなって、朝廷軍と戦ったのがアテルイ。征夷大将軍・坂上田村麻呂​に敗れ捕虜となって京に護送される。田村麻呂はアテルイの助命に努めるが、叶わず、河内国に於いて処刑されてしまう。
 その処刑の場所、墓がここだと伝えられている。
 アテルイについては、20年近く前に高橋克彦作の小説「火焔」を読んだ筈と書棚を探すとありました。​

(高橋克彦「火焔」講談社 1999年10月27日)
 アテルイとモレの碑は、坂上田村麻呂創建の清水寺にもある。
 2013年3月に清水寺を訪ねた折に撮影した写真が下記記事に掲載されています。
<参考>​ 銀輪散歩・坂上田村麻呂(下) ​ 2013.3.15.
 本日はここまでとします。この後、淀川畔に出て、京阪枚方市駅方面へと走ります。(​ つづく ​)​​​
​​





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最終更新日  2019.04.11 16:24:17
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