偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2023.06.19
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カテゴリ: 銀輪万葉
​​​​​​​ (​ 承前 ​)
 前頁の記事の万葉の小径の万葉歌碑の続きです。
 万葉歌碑9のクワの歌の歌碑からです。​
(万葉歌碑9 くは クワ)
筑波嶺​ つくばね ​​ の  新桑繭 にひぐはまよ の  きぬ はあれど 君が 御衣 みけし し あやに 着欲 きほ ​しも
                             (万葉集巻 14-3350
 ​高の原駅を出てすぐの処で出会ったエゴノキ第一歩道橋がどういう経緯で命名されたのかは存じ上げないが、その名を見て思い浮かんだのは、大伴家持の歌のことでありましたが、その歌の歌碑もありました。
​​


(万葉歌碑10 ちさ エゴノキ)

大汝​ おほなむち 少彦名 すくなびこな の  神代 かみよ より 言ひ継ぎけらく  父母 ちちはは を 見れば たふと く  妻子 めこ 見れば  かな しく めぐ し うつせみの 世の ことわり と かく さま に 言ひけるものを 世の人の 立つる 言立 ことだて ​ ちさの花 咲ける盛りに はしきよし その妻の児と  朝夕 あさよひ に  みみ笑まずも うち なげ き 語りけまくは  永久 とこしへ に  くしもあらめや  天地 あめつち の  かみ ​言​ こと ​寄​ ​せて  はる ​​ ​​ はな の  さか りもあらんと 待たしけむ 時の さか りそ  さか りゐて  なげ かす妹が いつしかも  使 つか ひの来むと 待たすらむ 心 不楽 さぶ しく  南風 みなみ 吹き  雪消 ゆきげ ​溢​ はふ りて  射水川 いみずかは  流る 水沫 みなは の 寄るへなみ  左夫流 さぶる その児に  ひも の緒の いつがり合ひて にほ鳥の 二人並びゐ  那呉 なご の海の 沖を深めて  さど はせる 君が心の  すべ ​もすべなさ (​ ​大伴家持 万葉集巻 18-4106 )​
(注)上の長歌は、下記<参考>の過去記事に掲載のものをコピーして貼り付けましたので、写真の歌碑のそれとは文字使いが一部異なっています。
​​​​ <参考>​ エゴノキの花が咲き始めています ​ 2023.5.2.

(万葉の小径案内図2)
 万葉の小径案内図2にはこの場所の地理的位置が説明されていて参考になります。文中記載の押熊、音浄ヶ谷、歌姫などの瓦窯跡などは未訪問であるが、機会があれば訪ねてみることにしよう。

(万葉歌碑11 たへ コウゾ)
春過ぎて 夏来るらし 白栲の 衣乾したり 天の香具山
                   (持統天皇 万葉集巻1-28)
​​
(万葉の小径の標石)
 万葉の小径の南側にも木立越しに道が並行していて、それと小径とをつなぐ路にも万葉の小径という標石が設置されている。

(万葉の小径)
 万葉の小径は、上の写真の奥辺りまで緩やかな上り坂でその先からは緩やかな下り坂になっている。
 右側に見えるのが万葉歌碑。その向かい側のベンチにはその天端両端に歌碑陶板が埋め込まれている。

(万葉歌碑12 あしび アセビ)

池水に 影さへ見えて 咲きにほふ  馬酔木 ( あしび ) の花を 袖に 扱入 ( こき ) れな
                       (大伴家持 万葉集巻 20-4512

​​
(万葉歌碑13 やまぶき ヤマブキ)

​山振​ ( やまぶき ) の 立ち ( よそ ) ひたる 山清水 酌みに行かめど 道の知らなく
                       (高市皇子 万葉集巻 2-158

​​
(万葉歌碑14 くり クリ)

​​​​​ ​​ ( ) めば 子ども思ほゆ 栗食めば まして ( しの ) はゆ いづくより 来りしものそ まなかひに もとなかかりて  ​安眠​ ( やすい ) ​​ しなさぬ​​  (山上憶良 万葉集巻 5-8 02 ​​​​​

​​
(万葉歌碑15 しひ シイ)

家にあれば  ( ) に盛る ( いひ ) を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る
                       (有間皇子 万葉集巻 2-142

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(万葉歌碑16 さかき サカキ)
ひさかたの 天の原ゆ  れ来たる 神の みこと  奥山の さかきの枝に  白香 しらか つけ ゆふとりつけて  斎戸 いはひべ を いはひほりすゑ  竹玉 たかだま を  しじ り  鹿猪 しし ​じもの ひざ折り伏せ  手弱女 たわやめ の おすひ取り懸け かくだにも 吾は ひなむ 君にあはじかも (大伴坂上郎女 万葉集巻3-379)
(注)下記<参考>の過去記事に掲載のものをコピーして貼り付けていますので、写真の歌碑のそれと文字使いに異なる部分があります。
<参考>​ 高岡銀輪散歩(その6) ​ 2012.6.28.

​​ ​​
(万葉歌碑17 たちばな コミカン)

橘は 実さへ花さへ その葉さへ  ( ) に霜降れど いや 常葉 ( とこは ) の樹
                      (聖武天皇 万葉集巻 6-1009

​​​  上の万葉歌碑16と17は、ベンチに埋め込まれたタイプのものです。
 印刷した陶板を貼り付けまたは埋め込むというのは、石に文字を刻する通常の歌碑に比べれば、手軽で安価、手っ取り早くはあるけれど、耐久性には問題があり、割れてしまったりして文字が読めないというものもある。
 酷い状態になる前に新しいものに取り替えるなど、維持管理をしっかりして欲しいものですが、費用もかかることですからどうなるものやら。

(解説碑 万葉人の衣食住)
 この付近から小径は下り坂になっている。

(万葉の小径 ゆるやかに下っている。)
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(万葉歌碑18 かしは カシワ)

稲見野 ( いなみの ) の あから ( がしは ) は 時はあれど 君を我が思ふ 時はさねなし
                        (安宿王 万葉集巻 20-4301
​​

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(万葉歌碑19 まゆみ マユミ)

​​ ​南淵​ ( みなぶち ) の  細川山 ( ほそかはやま ) に 立つ ( まゆみ ) 弓束 ( ゆづか ) ( ) くまで 人に知らえじ (万葉集巻 7-1330 ​​

​​
(万葉歌碑20 つき ケヤキ)

とく来ても 見てましものを  山背 ( やましろ ) の  ( たか ) 槻群 ( つきむら )  散りにけるかも
                       (高市黒人 万葉集巻 3-277

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​(万葉歌碑21 うのはな ウツギ)​

​​ ​霍公鳥​ ( ほととぎす ) ( ) 鳴き ( とよ ) もす 卯の花の  ( とも ) にや ( ) しと 問はましものを
                       (石上堅魚 万葉集巻 8-1472
​​

​​
(万葉歌碑22 さくら ヤマザクラ)

梅の花 咲きて散りなば 桜花 継ぎて咲くべく なりにてあらずや
                        (張氏福子 万葉集巻 5-829

桜花の 歌碑まで来れど いささかに 疲れてあれば 継ぎての記事に
                                        (偐家持)
 ということで、残りの歌碑14基ありますが、これらは明日以降の記事にて紹介します。(​ つづく ​)
​​​​​​​​​​​
<参考>​​​​​​​​​​​​​​​​​
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最終更新日  2023.06.21 19:51:39
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