Pastime Paradise

< 新しい記事

新着記事一覧(全1333件)

過去の記事 >

2012.06.27

永遠の道士様！ラム・チェンイン（林正英）祭 - 第26夜

カテゴリ：林正英＆霊幻道士

　「 永遠の道士様！ラム・チェンイン（林正英）祭 」は今宵で第26夜。今回は95年に亞洲電視で放映されたTVシリーズ「 僵屍道長 」について。
　このドラマは元々１時間モノで全30話なのだが、日本で発売されたDVD「 霊幻道士　キョンシー・マスター 」は120分×全5巻。ストーリーを約1/3に短縮して編集しているため何だか状況が掴めない場面がちょいちょいあったりするものの、数々の電影で演じてきた従来の道士像とはまた違った、より魅力的で、より人間味溢れる新たな道士像をラム先生が好演しているため、たとえセットや特殊技術がショボかろうが見応えは充分。
　なお各回のエンディングではジャッキー映画さながらにNGシーンが流れ（DVDにもその一部が収録されている）、ラム先生の素顔＆吹替前の生声が堪能出来て嬉しいかぎり

“相傳湘西有?屍之術、亦稱為「祝由術」、乃湘西土産巫術、據説是用紙符施咒之後、可以令屍體保存、將客死異郷的屍體帯領返回故郷。

（字幕が達筆すぎで読みづらいため、一部テキトー）
　異郷で死んだ者を連れ帰るため、お札を貼って死体を保存するのだ
　だが屍気が残ったり未練があると、キョンシーと化し人を殺す恐れがある
　奴らを倒すことができるのは　霊幻道士その人だけ―

　舞台は第二次大戦直後の中国。
　ラム先生演じる道長・毛小方（モウ・シウフォン）と ピーター・ヨン （容錦昌。00年に芸能界から引退したが、その後同性愛疑惑やら自殺未遂やら悲しい報道ばかり…）演じる弟子の阿帆（ファン）は、 シン・ホーイン （??英）演じるキョンシー・愛新覺羅亥魁 チョイ・シウキョン （徐少強）演じる道士・楊飛雲（ヨン・フェイワン）は毛小方に近づこうとするも、相手にされなかった。
　ある日、 ウイリアム・チュー （朱威廉）くん演じる小尊（シウジュン）達が廃墟と化した洋館でかくれんぼをしていたところ、何やら怪しい気配が。子供達からお化けを見たとの通報を受けた二人の刑事、 ウォン・シューケイ 鍾邦（チャン・ボン）＆ ウォン・シュートン （黄樹棠）演じる方圖（フォン・トウ）は一応その洋館を調べに行き、そこへ妖気を辿ってたまたまやって来た毛小方と帆を捕まえて勾留してしまう。
　この夜は十五夜　月光で傷を癒す亥魁が暴れては大変だ、と二人が脱獄して洋館に向かっていると楊飛雲が現れる。更にそこへ世間で評判（といっても本当は道術の実力は大したことない）の「七姉妹堂」の女性道士、 ユン・キンタン （苑瓊丹）演じる・鍾君（チョン・グワン）も サラ・ウォン （黄寶欣）演じる何帯金（ガム）ら弟子達や取材陣等を引き連れてやって来た。自信満々に幽霊退治を宣言した鍾君であったが、そこに居た中国軍遊撃隊の霊達に鍾君の小手先の道術など効くはずもなく（そもそも鍾君達には彼等の姿さえ見えていなかった）、様子を見ていた毛小方が代りにその場を収めた。
　後日、鍾君のせいで亥魁を取り逃がしてしまった毛小方がそのことをいつの間にやら親しくなっている楊飛雲に愚痴ると、楊飛雲は偽道士を横行させないため、そして真の道術を示すためにも道堂を開いて弟子を取ってはどうかと持掛け、 タム・ビンマン （譚炳文）演じる成金の余大海（ユー・ダイホイ）からの資金援助を取り付けることも請け負うという。ちなみに余大海の娘である、 アニー・マン （文頌嫻）演じる余碧心（ユー・ビッサム）は鍾邦の恋人である。でもって鍾邦は鍾君の弟だったりする。
　こうして晴れて毛小方の「香島道堂」は開かれた。だが、毛小方の行く手には様々な困難が待ち構えていたのであった…。

　このあとも ロー・チンホー （羅青浩）演じる曾成（ザン・セン）の弟子入り、楊飛雲の野望と計画＆裏切り、旧日本軍将校の幽影・酒井の出現、小尊のキョンシー化＆死、鍾邦の弟子入り＆五世奇人誕生、曾成の裏切り＆犠牲、阿帆と金＆鍾邦と余碧心の結婚、阿帆や方圖の死、鍾君との和解、謎の中国人ドラキュラ・クルス伯爵の出現、毛小方の冥界での戦いなど内容は盛り沢山。
「 人嚇鬼 」や「 一眉道人 」で紹介した チェン・ユエサン （錢月笙）が中盤から登場するのも嬉しい♪

　生前、我が子を暴漢に殺された亥魁は酒井に襲われている小尊を助けるも、それが元で徐々にキョンシー化していく小尊。色々と手を尽くしてみたものの助ける術はなく、近いうちに必ずキョンシーになってしまう小尊を毛小方は殺そうとするが、鍾邦らは何か方法が見つかるかも、と必死に助命する。だが毛小方は覚悟を決め、小尊を…いや、だがひょっとすると策はあるかも…と逡巡していたその時、いきなり何かが爆破して小尊は死んでしまう。毛小方が殺したと思い込んだ鍾君らは皆で彼を責め（本当は楊飛雲の仕業）、また毛小方自身も自分が殺したも同様だと己を責めて皆の前から姿を消す―。
　本来子役は苦手なのだが、小尊の死には思わず号泣してしまった。ラム先生の苦渋に満ちた迫真の演技も素晴らしく、前にも書いたがセットや特殊技術がショボくても見応え充分の物語だ。但し五世奇人に関してだけは言いたいことが山のようにあるけど…（＾＾；
　第30話のラストシーンでは曾成や金、余夫妻らも協力して鍾君がある事を毛小方に仕掛ける。見ている方も楽しくて、何だか嬉しくなるような素敵な終わり方だった。

　鍾君役を演じたユン・キンタンとラム先生はこのドラマでの共演をきっかけに付き合いが始まるのだが、その愛情と幸福に包まれた期間はあまりにも短かった。二人は同居していたが、末期肝臓癌と診断されたラム先生の方から別れを告げて去ったという、「私が側にいなくても体を大事にし、何か困った事があったら弟を頼れ（我不在?身邊、?自己好好保重、有什麼困難就找?弟弟決）」と。
　だがラム先生の最期に付き添い、葬儀でもラム先生の未亡人として客人の対応をしたユン・キンタン。今では富豪の妻だそうで、ラム先生も草葉の陰でひと安心していることだろう。

僵屍道長2.jpg