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2008.01.07
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テーマ: いい言葉(576)
カテゴリ: 文学・芸術
▼神秘の薔薇2


・・・・and him
Who met Fand walking among flaming dew
そして、風が決して吹かない灰色の岸辺で、

By a grey shore where the wind never blew,
燃えるように輝く露の中を歩く女神ファンドに出会い、

And lost the world and Emer for a kiss;
一度のキスのために、この世界と妻のイマーを失った男。

And him who drove the gods out of their liss,


And till a hundred morns had flowered red
百の朝が赤い花を咲かせるまで宴を催し、

Feasted, and wept the barrows of his dead;
戦いで死んだ仲間の墓に涙した男。

And the proud dreaming king who flung the crown
そして、王冠と悲しみを投げ捨てて、

And sorrow away, and calling bard and clown
森の奥深く、吟遊詩人と道化を呼んで、

Dwelt among wine-stained wanderers in deep woods:
酒に溺れた浮浪者とともに暮らす、夢見る誇り高き王。

And him who sold tillage, and house, and goods,


And sought through lands and islands numberless years,
幾年もの間、諸国や島々を探し回り、

Until he found, with laughter and with tears,
ようやく、輝けるばかりに美しく、

A woman of so shining loveliness


That men threshed corn at midnight by a tress,
真夜中に脱穀ができるほどに輝いた女性に

A little stolen tress. I, too, await
涙と笑いの中でめぐり会えた男。私もまた、

The hour of thy great wind of love and hate.
あなたの大いなる、愛と憎しみの風が吹く時を待っています。

When shall the stars be blown about the sky,
鍛冶場で飛び散る火花のように、星々が

Like the sparks blown out of a smithy, and die?
夜空に砕け散るのはいつのことだろうか?

Surely thine hour has come, thy great wind blows,
本当に、あなたの時が来て、あなたの偉大な風が吹くことがあるのだろうか?

Far-off, most secret, and inviolate Rose?
遥か彼方にある、いと神秘なる、穢れなき薔薇よ

いくつか難解な表現が出てきますね。
女神ファンドに出会い、妻のイマーを失ったという男の伝説は、アイルランドのウルスター神話に出てきます。男の名はクーフーリン。ウルスターの剛勇なる王(武神)です。

彼は魔法の船で「幸福の野」にたどり着き、そこで常若の国から来た女神ファンドに出会います。二人はたちまち恋に落ち、クーフーリンは一年後の再会を約して、ウルスターに戻ります。でも彼には妻のイマーがいたんですね。夫とファンドとの関係を知ることになったイマーは嘆き悲しみます。それを見たファンドは身を引いて、常若の国へと帰っていくという話です。

イェイツはそれをちょっとアレンジして、クーフーリンはイマーを捨てて、この世を離れたかのように書いていますね。あるいはそのようなバージョンの物語もあったのかもしれません。

砦から神々を追い払った男というのは、キールタというフィンヌ族の英雄で、韋駄天のようです。イェイツ本人の注釈によると、キールタの伝説はかつて聞いた話を、記憶を頼りに再構築して、詩の中に取り入れたということです。kissと韻を踏むlissなどという単語も普通の辞書には出てきませんが、注釈にはfort(砦)のことであると書かれています。

そのほか、「夢見る誇り高き王」や「土地や家財を投げ打って美しい女性に出会った男」も、アイルランドの伝説や神話で読んだ人物をモチーフにして、創作した物語であるとイェイツは書いています。

伝説に語られた幾多の者たちを包み込んだという神秘の薔薇。詩人はそれが自分のところにもやって来て、包み込んでくれることを願っていますね。ただし薔薇は、幸福をもたらすだけの「聖なるもの」ではないようです。愛と憎しみの風だと言っていますね。例として挙げられた伝説の人物たちの境遇も、「得たと同時に失った者」「勝利と同時に敗北を噛み締める者」「富めるのに貧しい者たちとともに暮らす王」「諸国遍歴の果てに悲しみと喜びを知る者」といのように、人生の酸いも甘いも知り尽くした人物です。

どうやら「遥かなる神秘の薔薇」には、人間の感情を劇的に揺さぶる力があるようです。あるいは、あらゆる激しい感情を優しく包み込む力があるのでしょうか。しかも薔薇は、星々を砕け散らせるほどの力を持っているわけですから、宇宙の摂理を司る「聖なるもの」と解釈することもできそうです。

確かにそのような薔薇に、出会ってみたくもありますね。

神秘の薔薇とまではいきませんが、このような薔薇もあります。

神秘の薔薇

イェイツの薔薇の詩はまだ続きます。
(続く)





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最終更新日  2008.01.07 12:04:52
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