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2021.02.19
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テーマ: 読書(8190)
カテゴリ: 【読書】未分類

本のタイトル・作者



一人称単数 [ 村上 春樹 ]

本の目次・あらすじ


石のまくらに
クリーム
チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ
ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles
『ヤクルト・スワローズ詩集』
謝肉祭(Carnaval)
品川猿の告白


引用


「三十四歳で死ぬというのがどういうことなのか、ちょっと考えてみてくれ」とバードは続けた。(略)「そうだよ、私だってまだいろんなものごとを開始したばかりだった」とバードは言った。「人生を生き始めたばかりだった。しかしふと気がついたとき、そしてあたりを見回したとき、すべては既に終わっていた」。

「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」


感想


2021年読書:017冊目
おすすめ度:★★★

村上春樹を読むと、いつも思い出す光景がある。
友人と私は、午後の斜め差す薄い日の中を、古い駅舎へ向かっていた(部活はさぼったか、テスト前だかだったのだろう)。
高校生。ぐらぐらした最後の乳歯みたいな季節。
彼女と私は、最近読んだ本について話している。

「村上春樹を読むと」と、彼女は言う。
「頭の中の言葉が、村上春樹みたいになる」

村上春樹を読むと、頭の中の文章が村上春樹的になる。
村上春樹の小説を読むと、いつもその時のことを思い出す。
それはこの人にしか出来ない魔法なんだろう。
無理やりに、世界の見方を自分に寄せる。違う眼鏡を掛けさせる。

だからその度が不快な人は、徹底的に嫌だろうな。


私は村上さんの長編より短編、なかでも初期の短編が好き。
だから、最近は読んでもそんなにグッとくるものがない。
永遠に同じ時の中に閉じ込められているようで、たまに辛い。
自分があくまでも自分で、どこまでいっても自分だという世界。
エッシャーの騙し絵みたいだ。


癖のある、特徴的な歌声のアーティストみたいに。
その声を耳にすると思い出す。
記憶の底に沈んでいた、ふと通り過ぎた景色。耳にした言葉。
名前のないページに、文字が浮かび上がる。

すっかり忘れていたのだけれど、人数合わせに知人に招かれ、坂の途中にある音楽ホール(芦屋だ)でピアノリサイタルを聴いたことを思い出した。
何の曲だったのかも覚えていない。
でもどうして今まで忘れていたんだろう?
今、ありありとその建物を思い出せるのに。

少し不思議な、それでも続いていく、捻じれた世界。


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最終更新日  2021.02.19 00:00:18
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