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2021.03.22
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テーマ: 読書(8669)
カテゴリ: 【読書】未分類

本のタイトル・作者



女性差別はどう作られてきたか (集英社新書) [ 中村 敏子 ]

本の目次・あらすじ


はじめに 何が問題なのか

第I部 西洋における女性差別の正当化根拠ーー神・契約・法
第1章 神の創造した世界における女性差別
第2章 社会契約にもとづく国家における女性差別
第3章 法における女性差別
第4章 男女の対等性に基づく社会構想ーーーホッブズの権力論
第5章 社会の変化と女性への影響


第1章 イデオロギーとしての儒教
第2章 「家」における夫婦関係
第3章 明治国家による家父長制形成の試み
第4章 夫婦関係から始まる理想社会の構想ーー福沢諭吉の文明社会論
第5章 現代の日本につながる問題
第6章 「性別分業」が作る家父長制構造

おわりに 何をめざすのか

引用


本書で使用してきた「家父長制」という概念は、男性が権力を持ってさまざまなことについて決定し、それに女性が従うという体制を意味しました。この観点から見ると、今の日本は、政治や経済の重要事項を男性が決定し、女性がそれに従って生活する「家父長制」が成立しているといえるでしょう。つまり、女性が家族における協同的な「性別分業」に安住している間に、大きな社会構造としての「家父長制」が成立してしまったのです。このように男性が政治や経済における決定権を握っていることが、女性たちが現実に感じる困難を変えることを妨げているのです。


感想


2021年読書:039冊目
おすすめ度:★★★

面白かったです。
著者は、1952年生まれの政治学者・法学博士。でもそんなことを感じさせない筆致(40、50代くらいかと思った)。
はじめは西洋の女性がどう扱われてきたか。
そして、日本の女性がどう扱われてきたか。




西洋の女性が、より抑圧されて制限された存在であった、というのは対比の中で初めて知った。
江戸時代~の日本女性は生家の氏を名乗り、財産権があった。
いっぽうイギリスの女性は、すべて夫に支配された。
フェミニズムの起りについて考える時、そもそものベースが違うんだな。

ただ、江戸、明治、大正年代の女性がすごく自由で裁量権があったように書かれているんだけど、ほんとうにそうなんだろうか?

「家」存続のため、他家からリクルートされてきた、マネージャーとしての「妻」の職分。だから共同経営者だったんだ、という説明なんですが…なんか納得いかない。
映画や時代劇の抑圧された女性のイメージがあるからかなあ?
女性は自由だった、んだろうか?
ちょっとここらへん、疑問なので他の人が書いた本も読んでみたい。

そして、読んでいて「ああ」と思ったのが、『本好きの下剋上』シリーズに感じていた違和感。
めちゃくちゃヨーロッパ調の舞台設定に、その「家」や「貴族」のシステムがしっくりこなかったんです。
今回この本を読んでわかった。
それは、日本の「戸主」のシステムだ。
血のつながりに関係なく有能な子供を戸主にする。戸主は権力を持つわけではなく、「家」の存続を任された一時的な管理者にすぎない。
妻もまた、おなじく有能なものを連れてくる。
あれは、ヨーロッパ調の世界観×日本の江戸時代くらいの戸主制度という舞台設定だったんだな。

日本の専業主婦が高く評価される、というのも、昔の戸主制度において、妻は「有能なマネージャー」であったから、なのだそうだ。
家の中をまわす、内助の功。
専業主婦の妻が「財布のひもを握る」というのは、欧米ではありえないらしい。
日本では、一般的ですよね。
そしてそれがハマったのが工業化。
男性は外(会社)で働き、妻は引き続き家庭で働く。
ここに、これまでのシステムと、なんら齟齬は見られなかったわけだ。
守り、存続すべき「家」(生業)は、「会社」にとって代わり、会社もまた社員を一族のように扱った時代。
けれどそれらは失われ、残された時代に今、私たちは生きている。
フィットしない価値観と仕組み。

原始、女性は太陽であったろうに。
万物を生み出す母が、なぜ始祖にはなれないのだろう。
幼い頃から繰り返してきた疑問を、今また思う。
なぜ、神は男ばかりを奉ったのだろう。
「神」のイメージは―――「白人」の「年配」の「男性」だろうか?
そこに何を見ればいいだろう?
女に生まれた私は、それだけで、何かから除かれている。省かれている。
そのことを。


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最終更新日  2021.03.22 00:00:20
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