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2021.04.07
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テーマ: 読書(8190)
カテゴリ: 【読書】未分類

本のタイトル・作者



かがみの孤城 (一般書 113) [ 辻村 深月 ]

本の目次・あらすじ


ある日、鏡が光り、こころはその中に吸い込まれる。
そこは、城。
狼の面をつけた女の子―――「おおかみさま」が言う。鍵を探せ。
三月三十日までの間に、「願いの鍵」を見つけた1人の願いが叶う。
城に集められた「赤ずきん」は、7人。

紳士然とした冷めた目をしたスバル。
姉御肌でリーダー格の気性が激しいアキ。

学校に通えていないこころ。
ゲームの得意な、そっけない態度のマサムネ。
大人しい見た目を裏切るキツイ物言いのフウカ。
惚れっぽく、空気が読めない食いしん坊なウレシノ。

毎日9時から17時まで開く「城」。
彼らはなぜ、そこに繋がったのか。
この城は何なのか。「おおかみさま」とは、「赤ずきん」とは。
そして、願いの鍵とは―――。

引用


「会える!だから生きなきゃダメ!頑張って、大人になって!」


感想


2021年読書:051冊目
おすすめ度:★★★★

第一部 様子見の一学期
五月
六月

八月
第二部 気づきの二学期
九月
十月
十一月

第三部 おわかれの三学期
一月
二月
三月
閉城
エピローグ

という構成で、1年間。
554ページというボリューム。文庫本だと上下巻になっています。

2018年本屋大賞、大賞受賞作。
雪科第五中の1年生、不登校の女の子・こころが主人公。
ここらへん、もう私は完全に「こころ」じゃなく、「こころのお母さん」視点で物語を眺めてしまう。
子どもが学校に行けなくなったら。
肯定してあげたい。受け止めてあげたい。でも、この子はどうなるんだろう?
焦燥感と不安。

構成については、「なるほど」という面白さ。
喜多嶋先生が家に紅茶持ってきた時点で、「ああ、たぶんそういうことなんだろうな」と思ったのですが、そういうズレだとか、おおかみさまの正体は分からなかった。

その昔、「ひとりでできるもん」が、女の子と男の子が主演で、2人は仮想世界?のキッチンで一緒に料理を作るんだけど、現実世界では会えない、みたいのがあったような気がする(うろ覚え)。
最終回あたりで二人は出会おうとして、自分たちが同じ家に住んでいることに気付く…みたいな。
それを思いだした。

途中の淡々としたシーンは読み進めるのがなかなかじれったかったけど、ラストは勢いが溢れ、アニメーション映画のフィナーレのよう。
私は、ラストパートの引用部の台詞が、この本のすべてだと思った。

漫画『メテオ・メトセラ』(尾崎かおり)で、幼い息子を失ったシャレムが、代わりに集めた孤児院の子どもたちを守ろうとして死を覚悟する時、子どもたちに最後に言うんですよね。

「みんな、大人になるまで生きること」

それを読んだとき、残酷だな、と思った。
私は、自分が大人になるまでにこの世界に耐え切れずに死んでしまうだろうな、と思っている子どもだったから。

子どもはその真摯さで、すぐに死にたがる。すぐに絶望する。
でも、長じてみれば、たいしたことがなかったと思えることも多い。
失ってしまったあの切実さを恋しく思うほどに。

だから、とりあえず大人になれ。そこまで生きろ。そうすればきっと、生きていけるから。
諦めて、汚れて、狡くなって、生きていけるから。
吹き荒ぶ嵐の中を生き延びて、前も見えぬ暗闇を抜けて。
そこまで生きてくれ。大人になって、そうして、決めて。
それでもなお、生きていたくないかを。

約束のようにそれを信じさせて、生きていかせようとする。
『メテオ・メトセラ』で残された子供は言う。
「大人になるって、いつまでだろ」
いつまでなんだろうね。
精神的な病は、40や50になると寛解することも多いという。

今、閉じ込められて息もできない、という子供に。
大人になるまで生きて、と私も思う。
その言葉は、残酷だろう。身勝手で、傲慢だろう。

硝子の雨が降り注ぎ、全身に傷を負い、それでも。
その嵐は、いつか終わる。世界は凪ぐ。
だから、頑張って。大人になるまで生きて。

嘘臭く聞こえるだろう。きっと君は、鼻で笑うだろう。
でも、大人って、楽しいんだぜ。


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最終更新日  2021.04.07 00:00:19
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