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2021.04.14
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テーマ: 読書(8190)
カテゴリ: 【読書】未分類

本のタイトル・作者



[書籍のゆうメール同梱は2冊まで]/ブルースだってただの唄 黒人女性の仕事と生活[本/雑誌] (ちくま文庫) / 藤本和子/著

本の目次・あらすじ


第1章 たたかいなんて、始まってもいない
 おれたちはまっ裸よ。それなのに、そのことに気づいてもいないんだ
 大声でいうんだ、おまえは黒い、そして誇り高いと
 離婚したことが、あたしを支えてきたのよね
 わたしはもし自分が五倍くらい黒くなれるなら、どんなことだってすると思ったものだった
 じつをいえば、白人がそれほどたいした人たちだと思ったことはなかったのね

討論 たたかいは終わっただなんて。まだ始まってもいないのに!


 刑務所の仕事―臨床心理医としてのジュリエット
 女たちの家―刑務所をたずねる
 あたしはあたしの主になりたいんだから!―ブレンダの物語
 牢獄は出たけれど、わたしの中の牢獄をまだ追い出すことができない―ウィルマの物語

エピローグ そして、わたしを谷へ行かしめよ―ある黒人女性の百年の生
あとがき
特別収録 十三のとき、帽子だけ持って家を出たMの話
解説 斎藤真理子

引用


ブルースなんてただの唄。かわいそうなあたし、みじめなあたし。いつまで、そう歌っていたら、気がすむ?こんな目にあわされたあたし、おいてきぼりのあたし。ちがう。わたしたちはわたしたち自身のもので、ちがう唄だってうたえる。


感想


2021年読書:057冊目
おすすめ度:★★★

2021.03.29「 043.世界と僕のあいだに [ タナハシ・コーツ ] 」を読んだとき、その世界の見え方が衝撃で。
でもこれは、あくまでも父から息子への語り掛けで。

タイトルが素敵な本。

アメリカの人が書いた本かと思いきや、著者は日本人。
1939年生まれ。1967年渡米。
この本は、1986年刊行の聞き書きに、特別収録を追加して再刊行したもの。
ということで、インタビューの相手は1940,50年代の女性たち。


その人たちの祖父母は、まだ奴隷だったんだ。

途端に、歴史が近付く。
遠い昔の出来事だと思っていたことが、その鎖が見える。

彼らには何にもなかった、と言っている人がいた。
奴隷解放と言って、裸で放り出された人たち。
何も持たず、何も与えられず。
そこにあるものだけを神に感謝して生きてきた。
今日1日を生きて、また明日も生きられるように祈る。
1日、1日を。

黒人女性の物語、ということを意識せずに読んだ。
何でなんだろう。
刑務所の中の女性の物語、罪と再生の物語でもある。
彼らが頻繁にリカレント教育を受けていることに驚いた。
方針転換もしょっちゅう。
いろいろ試してみて、あっちがだめならこっち、という感じ。
いいな、そういうの。
学び直しの機会、セカンドチャンスどころじゃなく、何度でも挑戦する。

男子より女子の方が教育を受けるように勧められた、というのは興味深い。
母は、教育を受けないようにすることで兄を守ろうとしていた、という話。
教育よりも大事なこと―――身の処し方、振る舞い方。
これ、『世界と僕のあいだに』ですごく言ってたこと。
勉強よりも、通りを歩いて生き抜くために、身に着けた言葉、動作、合図。

この本の中には、「黒さ」が話題にもなっている。
「混血」であること。「白人としても通じる」こと。あるいは「黒過ぎる」こと。
『世界と僕のあいだに』では、「黒人」のバリエーションについて言及していたけど。
2020.06.24「 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー [ ブレイディ みかこ ] 」を思いだした。
ブラック、ホワイト、イエロー。
日本で暮らしていると、あまり意識しない―――のは、私が意識しないでいられる、からなんだろう。

新聞だったか、何かで見た目でハーフ(と、言うのか、ダブルと言うのか、そのどれもが適切でないとしたら何と言えばいいのか)と分かる人が、「どっちが外国の人なの?どこで出会ったの?」と必ず聞かれる、そしてそれが苦痛だ、という話をしていた。
特に、未婚や離婚の場合。親を知らないこともある。
その人にとって、何気ないその質問は、痛みを伴うものだろう。

日本の「外国人」の描かれ方は、「白人」に偏っている。
特に異世界トリップものなんかの描かれ方は顕著。
漠然とした白人崇拝があるような気がして、ちょっとやだな、と思う。
日本の歴史として「外国人」=「白人」になるのは致し方ない部分もあるのかもしれないのだけど。

引用部分は、アドラー心理学にも似ている。
「ひどいあの人」「かわいそうな私」の描かれた三角柱。
もう1面は、「これからどうするか」。
断ち切るのでなく、糧にする。
黒人である歴史を捨てたら、「ここ」しかなくなる、とこの本の中で言っていた。
それでは自暴自棄になるのもやむない。
でも違う―――。

アメリカの歴史に詳しくないので、もうちょっと概略を知りたいな。
読みやすい簡単な本を1冊読んでみたい。


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最終更新日  2021.04.15 08:52:17
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