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2021.10.07
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テーマ: 読書(8190)
本のタイトル・作者


三人の女たちの抗えない欲望 [ リサ・タッデオ ]

"THREE WOMEN"
by Lisa Taddeo (2019)

本の目次・あらすじ

8年にわたる取材を通じて描く、3人の女性のノンフィクション。

リナ
夫にキスしてほしい。
それだけの願いが叶えられず、別居に踏み切った主婦。
高校時代の恋人と再会し、不倫関係を続けている。


レストランを経営する裕福な育ちの美しい女性。
夫から第三者をあてがわれる性生活を続けている。
満たされた環境にいるが、自分の存在を確かなものと思うことが出来ない。

マギー
高校生のとき、既婚の教師に弄ばれ、捨てられた。
苦痛に満ちた数年のあと、相手を告発する。
しかし周囲は彼女の被害妄想、金目当ての訴訟と決めてかかる。

引用


誰に?
みんなに。母はうんざりしたように答えた。やっぱり私には通じないとあきらめたかのように。それから付け加えた。とくに、ほかの女性たち。


感想

2021年231冊目
★★★

ブリティッシュ・ブック・アワード受賞、ニューヨーク・タイムズのベストセラー1位、etc...。
著者はジャーナリスト。

タイトルから女性3人を主人公にした小説かと思ったら違った。
三人の逞しい女 [ マリー・ンディアイ ]


これは…なんというか…すごいな。
小説であってもすごいのに、実話なんだもの。

官能的なシーンが多いのと、それぞれが破滅に向かっているようで、なかなか読み進められなかった。
手負いの獣のような彼女たち。
打ちのめされて、台無しにされて、どう生きていけばいいのか分からない。


生死を分ける大事故にあったとき、彼女の家族は誰も、彼女に「生きていてくれてよかった」と言わなかったのだ。

生きていて良い、ここにいて良い。そのままで良い。

存在を肯定されることがない彼女たち。
だから、探している。もがいている。
泥沼のなかに足を突っ込んで、そこから抜け出せなくなって。

不倫、3P、教師との恋愛。
世間的に非難されるべきことであるけど、3人を見ていると、そればかりではないと感じる。

聖なるズー [ 濱野ちひろ ]

を思い出した。
愛は、人それぞれのかたちをしている。

愛している、愛されている、と感じること。
それがそのひとにとっての真実であれば、ほかの誰が何と言おうと、それは「愛」なんだろう。
ただ、どうしてもそこに、「もっとほかの道があったのではないか」と思ってしまうのだけど。

物語は彼女たちの視点で続いていく。
私はマギーは教師を好きになったんだから、相手は薄情な奴だったけれど、それでいいんじゃないかと思っていた。
エピローグで、マギーは教師にもてあそばれたのだ、と著者は書く。
彼女には他にたくさんの可能性があった。未来があった。
けれど教師は弱い彼女を狙い、とらえ、食い荒らして捨てた。
狡猾な大人。

そこを読んだとき、ほかの2人も同じなのだと思った。
かぶりつかれ、屠られ、血を流している。

物語は終わるけど、人生は続いていく。
いつか彼女たちは、欲望にしたがった代償を払うのだろうか。
もうすでに、抱えきれない負債を抱えて。

愛されたかった、それだけなのに。




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最終更新日  2023.01.01 17:48:21
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