320life

PR

プロフィール

ノマ@320life

ノマ@320life

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

2021.12.18
XML
テーマ: 読書(8189)

本のタイトル・作者



カミサマはそういない [ 深緑 野分 ]

本の目次・あらすじ


伊藤が消えた
潮風吹いて、ゴンドラ揺れる
朔日晦日
見張り塔
ストーカーVS盗撮魔
饑奇譚
新しい音楽、海賊ラジオ

引用



訊ねてみると、クヤクヤさんは少し困ったように首を傾げた。
「どうって……ただ書くんです。何ていうのかな、考えてることや湧き上がってくる感情に名前をつける、みたいなものかな。もやもやしてよく見えない存在に向かって、精いっぱい目を凝らす。そして形を抽出して言葉にする。まあ、読んでくれる人はいないけど、そういう問題じゃないんだ。言葉は誰も聞いてなくても出てきちゃうものだから」


感想


2021年297冊目
★★★


今の言葉で言うと「いやミス」(読後、イヤな気持ちになるミステリー」のこと)?
地平線まで真っ白な世界とか、自分以外のすべてのものが止まってしまった世界とか、どこまでも広がる砂漠とか、そういう心象風景。

そのなかで「新しい音楽、海賊ラジオ」だけは爽やかさがある。
パンドラの箱の底には希望が残っていた、みたいな。
これは海が侵食してしまい、電波も貴重になり公共放送しか流れなくなった世界で、インディーズの音楽を流す海賊ラジオを探す少年たちの物語。
ほとんどが海に沈んでしまった世界、に「凪の明日から」を思い出した。
深緑野分さんはまだ2作しか読んだことがないんだけど、アニメ的な光景が頭に浮かぶ。

「見張り塔」は戦争の話。
結局、何なんだろうね。
私たちは、「敵」を作り出さないと生きていけないんだろうか。
それほどまでに、人は弱いんだろうか。

殺せば終わりだから。
最後にこの少年はこれからどうしたのだろう、と考えた。
彼らの町を滅ぼした「敵」はこの世のどこかでまだ生きているんだろうか。
けどきっと、そいつらはもう、ここまで来ない。

「ストーカーVS盗撮魔」は、ネットこえええええってなる話。

私もTwitterやってるしブログもやってるし、気を付けよ…と思った。
(いやもう遅いんか…。)
店の名前とか場所とかまで書いて投稿している人を見かけると「だいじょうぶ?!」って言いたくなるもんな。

カミサマはそういない。
God is Hard to Find.
救われない物語のなかで、カミサマは結局、人間の「祈り」なのだと思う。
誰も助けてくれない、誰も助けてくれなかった状況の中で。
カミサマはそういない。けれどどこにでもいる。
God is Anywhere.

これまでの関連レビュー


ベルリンは晴れているか [ 深緑野分 ]
この本を盗む者は [ 深緑野分 ]




にほんブログ村 にほんブログ村へ







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2023.01.01 01:19:45
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: