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2022.03.18
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テーマ: 読書(8289)

本のタイトル・作者



チーム・イノベーション ヒト・カネ・モノのない組織の立て直し方 [ 宮脇信介 ]

本の目次・あらすじ


第1章 改革前夜
・畑違いのスポーツ団体に飛び込む
・フェンシング界、最後の「切り札」  
・太田雄貴という男の視野 
・役を引き受けるための現実的なハードル    
・最後のハードルは家族の同意
・「異質性」と「同質性」のバランス
・バランスは走りながら考える

第2章 理念の明確化

・「正会員」と「理事」のベクトル  
・スポーツ競技団体にこそ「理念」  
・視覚で訴え、短い文字で伝える  

第3章 財政の強化
・明らかだった東京2020後の財政リスク
・自己資金の調達力を強める  
・全日本選手権の位置づけを変える
・観客有料化・高額化の意味
・魅力的な「ショーケース」をプロデュース

第4章 組織の強化
・ベンチャーとしての組織論
・協会改革の「成熟」とともに
・「イノベーション」を加速する協会経営    

・協会改革とフィンティック・ベンチャーの類似性
・コロナ禍に対抗する「イノベーション」     
・スポーツ競技団体に求められる「ガバナンス」の機能
・公益法人特有の財務問題
・業務執行ガバナンスと財政ガバナンス

・代表選手からコロナ感染が判明
・リスク管理のポイント
・リスク管理「マニュアル」か「ガイドライン」か
・経営が向きあうリスクとは

第5章 アスリート・フューチャー・ファースト
・そもそも選手の「声」を聞いていたのか  
・浮かび上がったアスリートの実像
・「勝利至上主義」は「敗者」を大量生産するシステム
・競技団体やコーチの落とし穴 
・アスリートの未来に対して何ができるのか
・社会が求めるトップアスリートの役割の変化
・アスリートが社会性を獲得するために
・長期的なブランディングの必要性
・ソフト・ローの時代
・「気づき」の場面
・ソフト・ローの3つ目の役割
・私たちは学んでいる過程にある

第6章 組織を外に開く
・リソースはいつも足りない
・副業兼業にできること、できないこと
・副業兼業は将来の経営人材のプールにも  
・プロジェクトを通しての企業との連携
・欠かすことのできない地方公共団体との連携  
・エンジンは多いほうがいい
・地方の活性化は中央競技団体の使命のひとつ

第7章 金メダルの意味を考える
・オリンピックで初の金メダルの意味
・オリンピックという大会の特異性  
・金メダルが期待されていた男子エペ団体
・エペという決闘にもっとも近い競技の特性 
・「強さ」とは何か
・思考実験としての「じゃんけんトーナメント」
・「五番勝負」と「七番勝負」の意味
・スポーツ競技団体における「強さ」とは何か

対談 宮脇信介×太田雄貴
・厳しい局面では「やりたくないほうを選ぶ」  
・互いの得意を活かし、不得意をカバーする
・五輪招致は戦略か、転機か  
・ショーケース化した全日本選手権。プロトタイプは意外な大会
・短期決戦だからこそできる組織運営
・求められる“継続”と“変化”

おわりに

引用



おそらく最大のポイントは、「基本的な制度設計を変えるプロセス」が整備されていないことだと思っています。


感想


2022年066冊目
★★★

スポーツにてんで興味がない私ですが、その「仕組み」には興味がある。
なぜ人はスポーツに熱中するのだろう?

この本は、2014年に門外漢から日本フェンシング協会常務理事に就任、2017年~2021年まで専務理事を務め、様々な経営課題改善と革新に取り組んだ内容。
フェンシングなんてまったく分からない私ですが、組織の立て直しについての経営方法の本としてとても面白く読んだ。
元々、日本興業銀行等で金融市場分析や株式・債券の運用業務を行っていた方。
章立てもすっきりとしており、中身が理路整然としていて、さくさく読み進められる。

著者は子どもがフェンシングを習い始め、自身も40歳でフェンシングを始める。
就任時は57歳。会長の太田氏(銀メダリスト)はなんと31歳だった。
そこから協会の刷新に取り組み、ベンチャー企業のようなスピードで次々に新たな方策を打ち立てる。

何かのニュースで、フェンシングの試合を紹介していたのを見たことがある。
暗闇に光るLEDライト。
剣が当たると光る仕組みで、選手の心拍数も表示されるというものだった。
へえ、面白そう。
フェンシングどころかスポーツにまったく興味がない私ですら、そう思った。

これは、観客収益をあげるために取り組んだ「フェンシング・ビジュアライズド」というプロジェクト。
森永製菓が主催する小学生を対象とした太田雄貴杯がプロトタイプになっているそう。
会長は、Perfumeやサカナクションのライブを見て、構想を持っていたようだ。

フェンシングの速さ(わかりにくさ)を、映像解析技術で。
普段から見慣れないフェンシングを、舞台芸術と映像技術で。
マスクと全身着ぐるみによる伝わりにくさを、リアルタイム心拍数表現で。
ルールの分かりにくさを、スマホアプリを用いたライブ競技解説で。

すべてのマイナスを、テクノロジーで補って、なお余りあるプラスに変えるイノベーション。
すごい。もうすごいしか言いようがない。
私だってそれなら見てみたいもん。

前に「がっちりマンデー!」で、競輪も同じように方向転換を図っているというのが紹介されていて、「一度見てみたい」と思ったけど、やっぱり琴線に触れると言うか、「ほなちょっと見てみまひょか」と人の心を動かすのってすごいことだと思う。

協会は競技者(アスリート・選手)についても考えていて、本の中に「最後にはアスリート全員が敗者になる」という表現があってハッとした。
トーナメント戦は、1人の勝者と、それ以外の敗者を生み出す。
そしてその1人の勝者ですら、いずれ敗者となる。
勝利至上主義に立てば、全員が敗者になる戦いをしているのだ。
だからこそ、勝者だけを賞賛する仕組みであってはならない。
なるほど…!

著者が指摘しているが、スポーツ関係者は、スポーツが絶対的な価値を有し、不可侵であるように思っている。
私もこれに大いに違和感がある。
著者は、成熟した社会人として、世界大会でアスリートたちが英語または現地語でスポーツと社会問題や人道主義について答えられるレベルに到達して欲しいと願っている。

そのために、ベネッセコーポレーションと協力し英語力の向上を目指す。
フェンシングのユニフォームの1枠を選手に与え、自らスポンサーを探し、自分をマーケティングし、契約や法務的なやりとりをサポートして経験させる。
フェンシングの選手は知的で信頼できる、騎士道という高い精神性を長期ブランディングにしているというの、本当にすごいと思った。

他分野の人が入ると、視点が違って今までとは異なることが出来る好例。
こんな環境で働けたらなあ!とワクワクした。
自分の持つ知識を、技術を、別で活かすことって、意外と出来るのかもしれない。
自分が何の価値もないと思っていることだって、価値がないと思っているからこそ、役に立つ。

そのためにも、たくさん勉強して、経験しなくちゃな。
高い視座を、広い視野を、身に付けたいのだ。




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最終更新日  2022.12.04 00:30:37
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