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2022.04.08
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テーマ: 読書(8289)

本のタイトル・作者



リボルバー [ 原田 マハ ]

本の目次・あらすじ


高遠冴は、幼い頃から部屋に掛けられた1枚の絵に魅せられていた。
フィンセント・ファン・ゴッホの「ひまわり」。
いつの日か、本物に会いに行こう―――。

冴はフランスに留学し、美術史の修士号を得る。
しかし専門分野の仕事に就くことは難しく、ゴッホとゴーギャンで博士論文に挑戦するための生計の術もない。
パリ八区にある小規模なオークション会社「キャビネ・ド・キュリオジテ」(CDC)で働くことになった時には、37歳になっていた。

ある日、CDCに錆び付いたリボルバーが持ち込まれる。

「あのリボルバーは、フィンセント・ファン・ゴッホを撃ち抜いたものです」

引用


ゴッホが自ら命を絶ったことを本の中に初めてみつけたとのは十歳のとき。悩んでいた友だちを助けてあげられなかったような気持ちを味わった。


感想


2022年086冊目
★★★

フィンセント・ファン・ゴッホ。
昔はその荒々しい筆致が苦手で、絵筆の後が生々しくて好きになれなかった。
でも今は好き。
その筆の後をなぞるように目が辿り、なんだか泣きたい気分になる。
この人は力を込めて、これしかないと思い詰めて、ひと筆ひと筆を運んだのだろう。
命を削るように、ともしびを消すように。

騒々しくて、賑やかで派手な絵だと思っていた。
極端に明るくて、極端に陰気で。
どうしてみんながこれを有難がるのだろう。
美術の資料図鑑に載っていた星月夜はまあ、すてきだったけれど―――。


黄色、青。盛り上がった絵の具。耳元に息遣いが感じられるほどの痕跡。
オーディオガイドは、彼が生前まったく売れなかったと告げる。
今やこんなにたくさんの人が見に来るのに、自分の名を冠した美術館に。

ああ、この人はもう、いないんだ。

急に、胸が締め付けられた。

薄い青に白い花。
澄んでいて、静かでかなしい絵だと思った。

原田マハさんの『たゆたえども沈まず』がゴッホの弟・テオを巡る物語で、もうゴッホおおおおおお!!!(号泣)ってなる一冊だったので、「え、これもゴッホを巡る話なの?」と思って読んだ。

ゴッホを撃ったというリボルバーは、果たして本物なのか?
冴たちオークション会社のメンバーはゴッホが自殺したというオーヴェールへ向かう。
ここらへんはゴッホの最期の日々の紹介、知識を読者に与える役割。

主人公の冴も最初感情移入できず、三章(181/321p)に入るまでは惰性で読んでいて、「これ最後まで読めるかなあ」と思っていた。
でも三章以降はぐっと引き込まれて一気に読んだ。
語り手として冴じゃないほうが読みやすかったな。

そんな埋めとけるもんなん?とか、いやいや血はどうしたんよとか、入ってたこと気付かんのかいとか、また警備うっすいとこに掲げるのは同じことになるのではとか、ちょっと突っ込みつつ。

最後、「ゴーギャンの独白」でゴーギャンの葛藤に思いを馳せた。
自分の目の前に天才がいる、その辛さ。
誰にも理解されていない、今は。
自分にはその凄さが分かる。だからこそ、死にたくなるほど辛い。
殺したくなるほど、憎い。

ゴーギャンはまだ好きじゃない。
(今回、現地の少女を何度も妻にしていることを知り「無理」となった)
絵も「中学生がはじめて描いた油絵…?」と思ってしまう私の審美眼。
いつか、好きになるときが来るのかなあ。

これまでの関連レビュー


たゆたえども沈まず [ 原田マハ ]
フーテンのマハ [ 原田マハ ]
美しき愚かものたちのタブロー [ 原田マハ ]
総理の夫 First Gentleman [ 原田マハ ]
〈あの絵〉のまえで [ 原田マハ ]
妄想美術館 [ 原田マハ×ヤマザキマリ ]





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最終更新日  2022.12.04 00:24:49
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