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2023.09.24
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テーマ: 読書(8198)

書名



深く、しっかり息をして 川上未映子エッセイ集 [ 川上未映子 ]

感想


2011年〜2022年に雑誌「Hanako」に連載されたエッセイ「りぼんにお願い」(連載245回)のうち、80回を収録したもの+書き下ろし。
なにせ10年もあるわけだから、その時々に描かれていることも「なつかしい」ようなものもあり(特にコロナについてはそう思うよね)、また登場する川上さんの作品もクロニクルのようであり、歴史を感じた。
村上春樹氏へのインタビュー本『みみずくは黄昏に飛びたつ』、出産から育児の日々を綴ったエッセイ『君はあかちゃん』、そして2020年本屋大賞第7位の『夏物語』。
私が折々、さして作者を意識せず偶然に手にとっていた本が、節目節目に登場している。

この方が書いていることは分かるし、共感することも多いのだけれど、読んでいて「同じクラスにいても仲良くなれなかっただろうな」とも思った。
賢くて、可愛くて、きっとファンがたくさんいる女の子だ。
私はそれを、羨ましく眺めるだけだろう。


つまり、他の誰でもない自分自身が、「できることはすべてやった、もう悔いはない」と思えるところまでやりきらないと、成功しなかったのを人のせいにしたり、いらぬ嫉妬を抱いたり卑屈になったり、仮にたまたま成功しても、満たされない何かが残ったりするものなのである。(略)とにかく、「自分自身が納得する」っていうことが、どの局面においても、とても大事なのだと思う。


それはきっとこの人がそうして生きてきたからなんだろうな。
自分を納得させようと、そのために努力してきた人だから。
私はそれが出来ないから、そして私は私を納得させられないから(これはすなわち「自分のことが好きである」ということも同じ)、この人のことが嫌いになる。

子育て中に「NHKのニュースを付けてその日にあったことを知る」、というくだりなんて、いまだに私そうだ。
NHKの7時からの30分のニュースを録画し、夕食中はそれを見るのだけど、子どもの話を聞いたり世話をしながら食べながらなので、およそ頭に残らない。
世の中では何が起きているのか…。
しかしつつがなく日々は回っていく。
ヘミングウェイの『移動祝祭日』だったかに、放火と殺人のニュースを1度目にしたなら、もうほかのニュースを何度見ようと同じことだ、というような記載があってなるほどと思ったのを覚えている。
しかし社会人として「これではまずいよな」と思うのだが。
時事ネタについていけない。
(ところでNHKが阪神優勝前に街頭インタビューで「あれって知ってますか?」と訊いていた時、華やかな見た目の若い女の子が「…組閣ですか?」と言っていたのが個人的に非常に面白かった。)


川上さんは、ご主人呼び、旦那呼びにウッとなるらしい。
私は「夫さん」「妻さん」にしている。
私も「主人」や「旦那」が嫌で、まあ相手が自分の伴侶をどう呼ぼうがどうでもいいんだけど、自分が相手に言うときは気をつけている。
これはもともと、私の先輩がそう呼んでいるのを真似したもの。
ちょっと違和感あるけどね。


川上さんが嘆く結婚による名義変更の煩わしさも、まさに。
マイナンバーカードには旧姓が併記できたということをマイナンバーカード作ってから知ったぜ。
免許や資格系なんて、毎回戸籍なり出さないといけないんですが。なんなの?
私は職場で旧姓使用なので、いまだに夫の苗字とくっつけた自分の名前に「だれ?」ってなる。
夫婦別姓でええやんな、もう…。
家としての一体感が云々の議論、誰かが「ほな全国の鈴木さんはみんな一体感あるんか」と言っていて「確かに無いな」と思った。

というわけで、雑誌「Hanako」に連載されていただけあり、女性は共感できるネタがもりだくさんだし、川上未映子ファンの方は折々の著者の移り変わりと人生を感じて感慨深くなるだろうし(そしてそれは、その時々にその著書を読んでいた自分のメルクマールでもある)、ひとつひとつが短いので読みやすかったです。

でも私は、なんやろうなあ、仲良くなりたいのに仲良くなれそうにないんよな。


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最終更新日  2023.09.24 06:28:15
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