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空白の一日(連載第4回)
批判の大半は読売の強引な態度に集中し、江川に対しては「ルールに従って阪神に入れ」という声が圧倒的だった。しかし、読売、阪神の両者が「江川は自分の所へ入団するのが筋」と言って譲らないのでまったくの平行線である。2者の話し合いで解決することは難しい。この膠着状態の解決には、コミッショナーがその役割を果たすことが求められた。
ドラフト会議から1カ月が過ぎた。むなしく新年を迎えるのか・・年の瀬も迫った12月21日、金子鋭(かねこ・とし)コミッショナーが動いた! 「鈴木セリーグ会長の判断を支持する」 として、読売側の提訴を却下したのである。また、ドラフト会議については 「巨人が自らの意思で欠席したものであってすべて有効である」 と結論付けた。社会常識にかなったすばらしい裁定である。これには手放しで世論も拍手を送り、一連の騒動も終息に向かうと思われた。
ところが、コミッショナーの英断で決着したかに思えた事件は、翌12月22日に急展開し、さらに混とんとした経過をたどる。 この日の夕方、金子コミッショナーは一転して読売に対し、 阪神とのトレード交渉を進めるよう「指令」 を出す。その一方で 江川に対して 阪神と契約するよう強く「要望」 したのである。
ん、 何だこれは?
提案されたトレードは、最終的に「江川の読売入り」が前提になっている。今度は野球協約第142条が定める 「選択選手の公式戦開始前日までのトレードの禁止および契約を譲渡する前提での契約の禁止 」という決まりを、コミッショナー自らが両球団に対して「破ってくれ」と発言しているのである。
これが良識的な裁定を下した翌日のコミッショナー発言とは信じられない。 驚天動地の展開に再び世論は沸騰した。
金子コミッショナーの「強い要望」をうけても、阪神側は表向きには「契約できた場合、江川は絶対にトレードに出さない」との見解を示した。ところが読売側はコミッショナー指令をすんなり受け入れる形で、12月27日、江川との契約をさっさと解除してしまったのである。
このままでは江川を阪神に取られてしまうはずなのに??
読売には勝算があるのか?
それとも実は出来レースなのか?
激論渦巻く中、新しい年を迎える・・・ 続きは次回に。
社会問題に発展 コミッショナ-批判のプラカードまで!
写真は東京スポーツ:2006年05月26日付紙面から出典しています
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