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今回は二ザダイの登場。 関東で釣り人には「三の字」と呼ばれている、とてもポピュラーな魚だ。シッポの付け根に骨というか棘が3対飛び出しているところからそう呼ばれている。ハギの仲間もシッポの付け根に棘がある。 先日、水槽に潜って作業をしていた。ちょうど餌の時間で水槽の上から餌が撒かれてきて、魚達が一斉にご飯モードに突入してお好みの餌にありついている。 たまたま私の目の前の窪みにマアジのぶつ切りが何個か流れてきた。大きいままだとカゴカキダイなんかが巧く食べられないので、何個か指ですり潰してあげたらカゴカキダイ、ヒメジ、二ザダイなんかが集まってきて細かくなったマアジの身を必至に食べていた。身の少なくなった皮の部分は自然に排水溝に吸い込まれるのでポイッと棄てたらそれにヒメジが寄ってきて残りの身を一生懸命食べていた。 その時、二ザダイもやってきて食べようと口を出したけれど、ヒメジが巧くブロックして食べさせない。面白かったのでジットみていたら2~3同じ事を回繰り返した。 次の瞬間ニザダイが、シッポの付け根の棘でヒメジの背中にアタックをしかけた。哀れ、ヒメジはシッポから背ビレにかけて3cm位切り裂かれて慌てて逃げていった。でも血は出ていないようだった。 でもこの二ザダイも折角奪った餌を食べずに泳いでいってしまった。 何故だろう?
2004年12月25日
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勿論、このイテテジャコは正式の名前じゃない。飼育係のOさんが命名した、ちょっと生意気なジャコの事だ。 水族館に来たいきさつからいい加減なヤツなのだ。 水族館が業者から魚を仕入れる時は1)魚を指定して発注する。2)漁業からこんな魚が入ったけれど、いるか? に対して下さい、と購入する。3)とってもアバウトにチョウチョウウオの仲間が○○匹位欲しいと発注する。4)こんな魚が入ったら連絡して欲しいと依頼しておく。5)その他 というような感じで仕入れているそうだ。 で、このイテテジャコはというと、どさくさに紛れて入荷した。 発注もしていないし、漁協からの連絡も無く、ジャコの仲間のリクエストもしていないのに、別の魚のオマケで入ってきたのだ。(モチ、料金には入っていない) 入ってきた当時は3cm位のおチビだったらしいのだけれど、敵さんもいないし、餌の心配もないし、隠れる所もあるし、と良い事3拍子がそろったソフトコーラルの水槽でのんびりと成長している。 今では10cm位のサイズになって、早くすし屋のネタになりたいと思っている事はないだろうけれど、運が良いと1週間に1回位はお目にかかる事ができる。岩の下に隠れているのでなかなか拝めないのだ。 時には、生意気にイソギンチャクをノレンのように分けて目ン玉とヒゲと目の横のヒラヒラを覗かせている。そして、人の気配を感じるとスゥ~ッと陰に下がってしまう。 そんな中、飼育係のNさんがイバラカンザシの付いている岩を入れるために潜って作業をしていた時の事。この生意気なイテテジャコのヤツがNさんの指をバシッと引っ叩いたのだ。 Nさんは思わず「イテテッ」と叫んで水中から飛び出してしまった。それ以降このジャコはイテテジャコと命名されてしまったのだそうだ。まあ、水深1mも無い浅い所だから足も立ち溺れる事も無かったけれど、その指は紫色に腫れあがってしまっていた、とOさんから教えて頂いた。 その時モンハナジャコはもっと強烈で、引っ叩かれると爪が割れる事もあると仰っていた。私が「誰かやられたんですか?」と質問すると、「私がやられたの」と一言。
2004年12月23日
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先日の日記でガーデンイールの全身を見た事が無いと書いたが、ついに本日全身を見る事ができた。バンザーイ! 今日はいつもより早く水族館に着いたので水槽の照明も夜バージョンのままだった。いつもは午前8時頃に照明が展示バージョンに変わる。 ガーデンイールの水槽の前で見ていたら長さ15cm位の細いヤツが穴から抜け出して砂の上をヘビのようにクネクネと泳いでいるのです。正確には泳ぐというより這っている感じ。 それでシッポはというと、普通のアナゴに比べてヒラヒラの部分が少なく本体がしっかりしているのです。ちょうどヘビの尻尾みたいな感じで、それの上下にヒラヒラのヒレが申し訳程度に付いていると表現するとお分かり頂けるでしょうか。 時間にして30秒位だったけれど、確かに全身を露出させていた。 ガーデンイールの水槽は人工的な流れを作っている。水槽の中で水が流れているのでどうしても渦巻きになってしまう。コーヒーに砂糖を入れてスプーンでかき混ぜると渦ができるのと同じ原理。たまにドジなヤツがその渦に乗ってしまい砂に戻れなくなるそうだ。ちょうど竜巻に巻かれたようにタテの状態でクルクル廻りながら漂っているそうだ。ガーデンイールは泳ぎがあまり巧くないので、流れから逃れられないらしい。 その時はしかたないので濾過機を止めてあげるのだそうだ。するとシッポから砂の中に潜っていっていつものガーデンイールに戻る。 今度は渦巻きに翻弄されるガーデンイール観察にチャレンジ。 さて、ガーデンイールは砂の中で生活していて、もし砂の無い所で飼育したらどうなるか尋ねてみたら、「ストレスで死んでしまうだろう」との事。どこかに潜っていないとダメなのだそうだ。 で、私にとって興味深い話をしてくれたのだ。それは、業者さんからガーデンイールを購入する時の事。業者さんから購入する時は砂は無いのだそうだ。じゃあ、何に入ってくるかというと、なんとフィルムケースに入って来るのだそうだ。 しかも透明なケースじゃなくて黒いケースの方が良いのだそうだ。普通のアナゴも透明のパイプより色付きのパイプの方が好きらしい。 だから、業者さんの水槽の底にはフィルムケースが縦に沢山敷詰められて、そこにガーデンイールが入って生活をしているのだそうだ。 今度は裏の予備水槽でいいから、フィルムケースに潜っているガーデンイールを飼育してほしいな~っ、と思うインチキストラクターなのだ。今回は「~だそうだ」特集になってしまったけれど、自分の目で観た事と、飼育係の方から聞いたお話のご紹介。
2004年12月16日
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生き物は自分の縄張りを守るため、メスを得るためにオス同士がケンカをする事は自然の営みであり、時には残酷な結果があるけれどそれはごく当たり前の事だ。 水族館の水槽の中でもしばしばケンカの場面を目撃する事がある。 今回のケンカはガーデンイ―ル。 この水族館にはチンアナゴとニシキアナゴの二種類、合計約40匹が70×50cm位の水槽で展示されている。 ガーデンイールは砂地に身体を潜らせて、頭を出して流れに乗ってくる餌を食べている。とても臆病な魚なので近寄る事がとても困難なお魚だ。沖縄ではどんなに頑張っても1mが限界だった。 水槽もそれなりの水流を作って餌が流れるようにしてあって、「?」のような格好で流れに向かって上半身を出している。(どこまでが上半身で、どこからが下半身はわかりません。) 臆病な魚なので壁際に多く潜っていて真ん中やアクリルガラスの近くにはあまりいない。すると当然の事ながら壁際のガーデンイールはお隣さん迄の距離が近いため餌の取り合いが起こってしまう。よく観察していると必ずしも大きいヤツが小さいヤツを攻撃しているとは限らない。おチビが大きくて太いヤツを威嚇したり攻撃したりしている。 威嚇は口を大きくパクパク動かしながらエラの下あたりを噛み付こうとする。攻撃された側は噛み付かれるのが嫌だから身体を大きく曲げて避けようとする。ちょうど「?」が横に広がったような格好になる。でも絶対に穴からは出ないでシッポの部分は穴に入ったままなのだ。 タイミング良く攻撃を避けられないとパクッと齧られてしまう。 でも齧られる方も黙っていないで齧り返す。お互いが首根っこを齧った状態で引っ張ったり押したりしている。また、お互いの口と口で齧りあっている事もある。 しかし10秒位齧るとお互いに放してしまう。血が出たり強烈なダメージを与えるような事はしないみたいだ。そしてまた餌が流れてこないかな~っていうふうな態度で流れを見つめている。 で、暫くするとまた齧ったり齧られたりしている。そんなに嫌だったら別の場所に移動すれば良いのにと思うのだけれど、結構頑固にその場所に固執している。昼間は穴から全部身体を出す事が無いのだろうか。 でも夜の間に場所は移動しているようだ。日によっている場所が変わっていますからね。 残念ながら未だに砂から出たガーデンイールの全身を見た事が無い。シッポの部分はどんな格好をしているんだろう。 もし、水槽が砂じゃなくて固い底だったらどんな生活をするんだろうと思ってしまうインチキストラクターだ。
2004年12月14日
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先日ご紹介した「げっそり痩せちゃった」の中でとても重大な事実誤認がありました。訂正してお詫び致します。 レモンザメは泳ぎを止めて床で寝ていても平気なサメとご紹介したけれど、その後飼育係の方に伺ったら「レモンザメは本来泳ぎ続けていなければならないサメです。」と教えて頂いた。1)私はこれまで海で野生のレモンザメを見たことがありませんでした。2)過去、レモンザメについて文献で調べた事がありませんでした。3)水族館の水槽に潜って初めてレモンザメを知りました。4)手伝っている水族館以外のレモンザメを知りません。5)この水族館のレモンザメは確かに泳ぎを止めて床に転がっています。 以上の事からレモンザメというサメは泳ぎを止めて床に寝転がっても大丈夫なサメだと思い込んでおりました。 という事で100%ウソではないのですが、100%正確でもない・・・、とまあそういう事でってご理解を頂けるとありがたいな~っ、と思ったインチキストラクターでした。 じゃ、なんで本来は常に泳いでいなければダメなサメが泳ぎを止めて床に寝転がっても大丈夫なんだろうか。 その前に、そもそも泳いでいなければダメなサメと、泳がないでジットしているサメの身体的な差異って何なんだろうか、という疑問がふつふつと沸いてきた。 同じメジロザメの仲間でサイズ的に近い「ネムリブカ/通称:ホワイトチップ」と「ツマグロ/通称:ブラックチップ」がいるが、ネムリブカは床に寝そべっているけれど、ツマグロは止まる事はない。中型だとこの水族館の「レモンザメ」は寝そべっているけれど「クロヘリメジロ」は止まらない、こんな事が実は疑問の始まりだった。 できるだけ安易な方法が大好きなインチキストラクターだから、自分で資料を探して調べるなんていう面倒臭い事は決してやらない。そう、サメ担当の飼育係の方に聞いちゃうのです。 身体的な差異として、一つは噴気孔のサイズの違いを仰っていた。小さければ海水が流れる量が少ないので流量を稼ぐには泳いでいなければダメ。大きければ止まっていても平気。 二つ目はエラをどれだけ大きく動かせるかが問題で、エラの筋肉が発達していて大きく動かせるやつは寝転がっていても平気なのだそうだ。それにより充分な水の流れを確保できるらしい。 次にレモンザメが寝転がっても平気になった理由なのだけれど、これはあくまでも推測でしかなく実証された事ではないのでその点はご了承下さい。 先ずはレモンザメが水槽という環境に慣れたせい、という説。 ネムリブカやオオセなんかを見て、「オレも寝転がれるかな」と思ったかどうかは知らないけれど、とにかく泳ぎを止めて床に寝そべってみたらちゃんと呼吸ができて死ななかった。じゃあ、疲れたらたまに泳ぎを止めて寝転がっちゃおうっ、て感じで寝そべり始めたんじゃないかなっていう説。 二つ目はエラを支える筋肉が強化され寝そべっても呼吸ができるようになった。だからハラペコサメ子さんは餌を食べていないので体力が落ちて泳ぎ続けなければならない、という仮説が成り立つ。 三つ目は水槽に入っている海水は自然のものに比べて酸素の含有量が多いので入ってくる水が少なくても酸素が充分に取り込める、という説。海の水にも酸素が溶け込んでいるので魚が呼吸をしている訳ですね。 酸素が海水に溶け込む方法は幾つかある。 先ずは海藻が光合成をして酸素を吐き出しそれが海水中に溶け込む。でもこれは沿岸の限られた所だけでしかない。 二つ目は、波が崩れる時に空気を巻き込んで酸素を溶け込ませる。これがとても多くの酸素を海水中に溶け込ませている。 水族館では「暴気槽」という装置で濾過した水に酸素を溶け込ませている。 方法は簡単で酸素を海水中で放出させ攪拌させる。 簡単に言うと、アイスコーヒーをストローで飲む時は吸うでしょ。この反対に息を吐き出したらブクブクと空気が出ますね。正にこれを機械で行うのです。 この水族館には荏原製作所の酸素発生装置が備えられていて、常時酸素を製造し殆どの水槽へ配管されていてコックを捻れば直ぐに酸素が出てくる仕組みになっている。 また、サメの水槽では、水槽の上のパイプから水を霧状に噴出させ空気中の酸素を取り込んでいる。 こんな方法で海水内の酸素濃度を高めている。しかし、これならクロヘリメジロやツマグロも泳ぎを止めても平気なはずだし・・・。 飼育係の方のお話だとこれらの幾つかが重なっているんだろうと推測されていた。 結局、正解は分らないけれどこの水族館のレモンザメは確かに床に寝そべっている。
2004年12月12日
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水族館ではいろいろな生き物が飼育されているが、何故かその中に昆虫のコオロギも含まれている。 水族館で飼育されているコオロギだからチョット変わったコオロギと思うかもしれないけれど、そんじょそこらにいてコロコロと鳴く極普通のコオロギが1万匹位いる。(数は当てずっぽでこの位かなっていう数です。) 飼育用の水槽も何だかんだと10個近くあって、成虫、幼虫、卵と分けられている。 このコオロギ達は表に展示されているのではなく、いわゆる裏コオロギでバックヤードに行かないと見ることができない。 じゃあ、何故水族館がコオロギなんかを何万匹もしいくしているかと言うと、ようは「餌」なんです。幼虫が「イモリ」の餌になるため飼育しているのです。 どうしてコオロギなんだと言われても何故かコオロギなんですね。キリギリスでもバッタでもスズムシでもクツワムシでもなく、やっぱりコオロギ。 イモリは池や沼に生息していて、一生をその池や沼で終える。他の池や沼に移動する事はほとんど無いらしい。そして池や沼毎に固有種になっている事が多い。 同じ種類のイモリなのだけれどDNAが微妙に違っているので、ある池や沼が無くなるとその種は絶滅してしまう。それで、種の保存のためにイモリを採取してきて飼育するのに、餌にコオロギが必要という三段論法が成り立つ。 実は水族館や動物園は絶滅危惧種の人工繁殖をいろいろとやっている。 こんな事は仕事で水族館と付き合わなければ分らなかったけれど、人工繁殖をしなければこれからもどんどん種が滅んでいくという現実を突きつけられたのだ。 ダイバーは最も自然に近いところで活動しているから、ただきれいだという事で潜るんじゃなくて、これからもこのきれいを守んなきゃいけないと思う。 だって私が潜り始めた30年近く前と今だと海のきれいさが全然違うもん。沖縄本島なんて海洋博の時に潜ったけれど今はその面影も無いほど汚れているからね。巨大資本があちこちにリゾートを作っているけれど海がきれいだから商品価値があるのに、海が汚れてきたら沖縄の商品価値なんて無くなるのにさ。50年後の沖縄本島のリゾートに人が行くのかね。 その点、石原都知事が小笠原には空港を作らないと明言したのはりっぱだよ。ちゃんと「交通の便が悪いから自然が守られる。」とコメントしていたからね。鈴木ゼンコウ(漢字は忘れた)が辞めて小笠原には良かった。 西武鉄道グループが兄島に空港を作る予定だったけれど、上場廃止になって事実上無理になったからね。調査のために使った時間と何十億円も無駄になってやんの。はははっ。 先日アメリカが京都議定書に参加しないと表明したけれど、今の経済を優先させて将来地球の環境を考えなければ、いずれ人は住めなくなるのが分らない程おバカで傲慢な国っていう事だな。
2004年12月05日
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水族館にはファッティー・フィッシュがいるのと同時に、以前ご紹介したアカハタのように餌を食べられずに痩せていく魚もいる。 今回はレモンザメさんの登場。 レモンザメさんとしたのはこのサメがメスだから。 さて、このレモンザメは体長2m位ある中型のサメだ。メジロザメ科のサメでかなり性質が悪い。先日もご紹介したようにオオセなどの大人しいサメに嫌がらせをする。魚類担当の係長さんからはいつも「レモンは性質が悪いから気を付けて下さいね。」と注意を頂いている。 普段は小さな口だけれど、思いっきり口を開けた時は大人の頭がスッポリ入ってしまう位に広がる。また歯をむき出した時に鼻が曲がって上に向くのも、噛むぞっていう意思表示のようで檻に入っているとは言え「側にこないでね。」っとなってしまう。 本人はあくびのつもりでもこっちは分らないから「おっと~っ」となってしまう。でも観客には受けるんですね、「サメ=獰猛」というイメージがあるから、正にサメらしい仕草といえる。 しかし、今から1ヶ月程前にこのサメのほっぺたが少しこけた感じに見えた。最初は光の加減で影になっていて見えるのかなと思っていたけれど、よくよく観てみるとやっぱり頬の肉が落ちてこけているのだった。 どうしたんだろうかと思っていたけれど、特に他のサメと変わらない様子で泳いでいたのでサメ担当の方に聞く事もしなかった。しかし、顔だけじゃなく身体自体も痩せてきたのでちょっと心配になり担当者に伺ったら「あいつ最近餌を全然食べないんです。痩せたでしょう。」と仰る。 私が「どの位の期間食べていないんですか。」と尋ねると「もう2ヶ月も食べていないんです。ちょっと心配なんですよね。」とのお返事。 逆にサメって2ヶ月も何も食べないでも生きていけるんだ、と改めてその生命力に平伏。 という事はあのサメ子チャンはハラペコっていう事なんです。もしこのサメ子チャンが私の事を「生きが良くて美味しそうな黒いものがいるな。ちょっとご試食してみましょうか。」と考えたら齧られてしまうんだろうか。(スーツもBCもマスクもウエイトもベルトもバックルも全部黒なのでアシカに見えるかもしれない。サメはド近眼だからね。) 実は先日私が潜降した時、床に寝そべっていたレモンザメの上に降りて踏ん付けてしまった。グニュッという足の感触があったので下をみたらレモンザメがいた。レモンザメと分った瞬間、心拍数も血圧も300は超え、冷や汗は1リットル以上噴出しただろう。イルカより速く1m位ぶっ飛んだ。こっちもあせったけれどヤツも相当焦ったみたいで全力で逃げていった。 身体を反転して齧られなかったのでホッとしている。 踏ん付けたサメがハラペコサメ子チャンじゃなくてほんとうに良かった。 ハラペコサメ子チャンの頭には模様のような黒いシミがあるから直ぐに分るのです。 レモンザメは泳ぎを止めて床に転がっても大丈夫なサメでよくくつろいでいる。たまに腹を上にして仰向けで寝転がっているヤツもいる。なのにこのハラペコサメ子チャンは休まずにいつも泳いでいる。 げっそり痩せてしまったのに疲れないのだろうか。やっぱりメスは体力があるのかもしれない。
2004年11月28日
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水族館だと当然だけれど水槽内が生活環境になってしまうので、そこの環境に合わせなければ生きてはいけない。餌としてだけじゃなくて異種の魚とも共存しなければならない。勿論、食物連鎖の関係から餌になる魚もいる。 しかし、水槽内で仲良しになるお魚達もいる。 今日ご紹介するのはトラフザメとイヌザメ。 水槽には3匹のトラフザメがいて全てオスだ。水族館がこの3匹を入れた時はオス1匹とメス2匹のはずだったのに、大きくなったらなんと全部オスだったというオチが付いている。トラフザメは性転換をしないので最初からオスだった。 実はトラフザメの赤ちゃんはクラスパー(オチンチン)が小さいので性別を判定するのが難しいのだと仰っていた。ひよこの性別を判定する人みたいにパッパッと見分けられる鑑定人でもいればよいのにと思ってしまう。 トラフザメは大人しいサメだから襲われる事はないけれど、あの長いシッポで引っ叩かれるのには閉口する。イルカと違って何も考えずにシッポを動かすからたまに身体に当たる。普段はフードを被っているのでぶつかったな、っていう程度だけれど、ほっぺたに当たるとマジに痛い。先日は擦りむけて血が滲んでいた。 でもこのトラフザメは仲良しでしょっちゅう3匹が並んで仲良く寝ている。その内の1匹は何故かアクリルに顔を押し付けて身体を反らせた上体で寝るのが好きみたいだ。 ところが最近この3匹にメスのイヌザメが仲間入りしてきた。大阪の海遊館から譲られ、このところコンスタントに卵を産んでいるお母さんサメが、勿論イヌザメとも仲良しなのだけれどこのトラフザメとも仲良しをしている。 トラフザメの頭の部分に自分の口の付近を当てて、愛撫するように身体を擦りつけているのだ。そしてトラフザメの口の下に潜り込むように床とトラフザメの間に潜り込んでいく。下衆な言い方をするとトラフザメに浮気をしようと誘っているような感じなのだ。 トラフザメはというと、本心ははっきりと分らないけれど別に嫌がる様子も無く、悠然とイヌザメの愛撫を受け入れている。もしかしたら寝ているので面倒なのかもしれないけれど・・・。 そして今日も仲良く水槽の床にへばりついて寝ている。
2004年11月27日
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水族館の水槽の中だけなのか、海でもこのような行動を取るのかは分らないけれど死んだふりをする魚がいる。 そのお魚の名前は「コクテンフグ」 身体全体が濃い目のグレーで黒い斑点がポチポチと付いていて、唇がマンガの泥棒さんのように黒く、前歯がちょっと出っ歯ぎみと、可愛らしさはないけれど愛嬌のある顔をしている。 作業が終わって結果を確認するために観客席側から水槽を眺めていた。するとこのコクテンフグが水面に浮いていてムレハタタテダイが3匹程身体をついばんでいた。浮いている姿が頭は横向きで尻尾が垂れて下向きになっていたので、てっきり死んで「く」の字に浮いているのだと思った。 ムレハタタテダイに齧られるととても痛く、他の魚も齧られると水槽内を逃げ回っている。それなのにこのコクテンフグはじっとしていて動かない。外からはエラも動いているようには見えなかった。 これはてっきり死んで浮いているのだと思って、バックヤードに戻ってちょうど餌を与えていた飼育係の方に「コクテンフグが死んでいるみたいなんですけれど。浮いちゃってムレハタタテに齧られています。」と報告したら、チラッとコクテンフグを見て「大丈夫、ちゃんと生きていますね。死んだフリをしているだけですよ。」と仰るのです。 水槽の上からしっかり見てもエラは動いていないし、私には死んだようにしか見えなかった。でも、翌日水槽の前に行くと3匹のコクテンフグが仲良く「今日も1日元気に行こう!」とばかりに水槽中を泳ぎ回っている。 聞くところによると、理由は分らないけれどたまにボ~ッと浮いている事があるんだそうだ。やっぱり水槽の中のお魚には変わったヤツが多いのだ。
2004年11月26日
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サメのご紹介はこれまでにも何度かしてきた。多くは定置網などに入って死んでいるヤツだった。 ホオジロザメなんかは死んでいてもお友達にはなりたくないのだけれど、サメの中には美しいと思えるサメもいたのだ。 今回ご紹介するのはヨシキリザメのお子様。 体長70cm位の赤ちゃんサメだった。体形はとてもスリムでとてもサメらしいサメの格好をしている。そして目がクリンとしてメチャ可愛いのだ。メジロザメの仲間やホオジロザメの様な眼つきの悪さもいやらしさも無く愛くるしいのだ。 そして体色が何とも言えずきれいで、その色を文字で表現するには私の文才も語録も足りなさすぎジレンマ状態で悔しい。 背中は薄いネービーブルーとグレーが基調でお腹は白っぽい薄いグレー。そのネービーブルーに薄い青緑が混ざっている。その色も派手な青緑ではなくアースカラー的なチョットくすみのある落ち着いた味わい深い色だ。 それがライトに当たるとキラッと輝き本当に神秘的な青緑が浮かび上がる。自然の作り出すデザインやカラーの素晴らしさは実際にその目で見ないと中々表現できない。 サメの担当者も水族館で仕事を始めて生きているヨシキリザメは2匹目なので何とか飼育したいと仰っていた。 外洋性のサメなので狭い水槽の中ではどうしても巧く泳ぐ事ができず、壁やアクリルにぶつかってしまう。そしてライトが当たらない薄暗い所を泳いでいる。 しかし、幸いな事に初日から餌を食べてくれるので何とかなりそうだという期待感が溢れてくる。普通は環境が変わると餌を食べずに衰弱死する事が多い。実際に、アオザメ、マオナガ、シロシュモクザメなど外洋性のサメはことごとく失敗している。 私の想像なのだけれど、外洋性のサメを飼育するには「美ら海水族館」や大阪の「海遊館」など大型水槽を持っている所じゃないと難しいのかもしれない。 そして水槽に入った翌日にはもう水槽のサイズを学習してぶつからない様に泳いでいた。結構学習能力の高い頭の良いサメみたいだ。 泳ぎもライトの当たる明るいところにも泳ぐようになったし、カーブもスムーズに曲がっている。 しかし、4日目の朝死んでしまった。 このサメを入れたのでレギュラーの作業が中止になり1度も水中で直に見ていないのに死んでしまった。 サメ担当の飼育係の方も本当にがっかりしていた。初日から餌を食べ、翌日にはぶつからないで泳げるようになった頭の良さがあったので今回は大丈夫だと思っていた矢先だったから。 生き物を飼育するのは難しい。
2004年11月25日
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久々にイルカのお話。 最近、欲しかった絶版のイルカ関係本が2冊も手に入ってルンルンしている。とても嬉しいインチキストラクターなのだ。 週1回だけれどイルカと接していると本を読んでも「そうだ、そうだ」と納得できる部分があって面白い。 さて以前、具合が悪くて死にかけたイルカをご紹介したけれど、今はほぼ完治して元気に泳いでいる。でもまだショーには登場していない。それには理由がある。 このイルカが餌を吐く事はご紹介したけれど、その癖が治らないのだ。トレーニングプールにいるのだけれど、いつも餌をホケッと吐き出してはフニフニ噛んでいる。 吐くのも決して「ゲ~ッ」ではなく「ホケッ」って言う感じで餌を吐き出す。 先日作業の合間に手を休めてじっくり観察していたら、胃から食道に出た瞬間、人間で言えば喉に当たる部分がポコッと膨らんでそれが口の方に動いている。アニメでよくあるじゃないですか。飴玉なんかを飲み込んだ時に喉がポコッと膨らんで胃の方に下がっていくっていうやつ。 ちょうどあれの逆さま。 そして、目を閉じて気持ち良さそうにフニフニと噛んでいる。決してモグモグやパクパクでは無く、あくまでも「フニフニ」という感じと言ったら分って頂けるだろうか。 何故か目を閉じているので、ホケッと吐き出した瞬間に別のおチビのイルカに横取りされてしまう。でも本人はいたって平静でもう1つ吐き出してはフニフニ遊んでいる。 イルカって可愛いイメージがあるから餌を吐き出してフニフニ噛んでいてはイメージダウンになってしまうので、まだショーに復活させないのだそうだ。 飼育されているイルカはどうしても狭い環境で生活しているからストレスが溜まるだろうし、おもちゃが与えられていないから餌を吐き出しておもちゃにしているのだろう。 野生のイルカは海藻や枝などをおもちゃにして遊ぶ事が知られていからね。 でも、この癖は中々治らないみたいだ。 イルカのストレス解消のために、私が身を呈してイルカのおもちゃになってあげるから、思いっきり触らせて遊ばせてくらはい。 ダメなのは分っているけど・・・
2004年11月23日
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先日キンギョハナダイのご紹介をした。 実は50匹以上いたキンギョハナダイが今は10匹位しか残っていない。サンゴや岩の裏に隠れている気配も全く無い。 南の海の水槽には週3日入るのでそれなりに観察しているのだけれど、不思議な事に死骸も全く見あたら無いのだ。 担当者に聞いてもあっさりと「多分食べられているんじゃないかな」とのお返事。逆に「キンギョハナダイって美味しんですか?」と質問される始末。 私は「ハア~ッ、食べた事が無いから分りません。」としか答えられないインチキストラクターなのだ。 チビ魚では「シリキルリスズメ」「ソラスズメダイ」「ミスジ&ヨスジリュウキュウスズメ」なんかも減っているのだけれど、不思議と「デバスズメ」だけは減らないのだそうだ。 多分デバスズメは魚にとって不味いんだろうなと想像するしかない。 魚って味に結構好みがあって自分の好みじゃない餌は口にいれてもプッと吐き出してしまうのだ。ナマイキだけれど嗜好ははっきりしている。 で、キンギョハナダイを食べたのはどいつなのだろうと思っていたら、ついに現行犯逮捕とはいかなかったけれど犯人を見つけたのだ。 サンゴのレプリカの下に頭を突っ込んで何かゴソゴソしていたので覗いたら、ヒブダイのヤツが3口で食べていたのだ。シッポ、胴体、頭の順にパク・パク・パクと飲み込んでいた。 ヒブダイってサンゴや岩の藻なんかを食べていると思っていたから、まさかキンギョハナダイを食べているなんて思っても見ていなかったから、正にサプライズだった。 担当者にチクッたら、「へえ~っ、そうでしたか。サンゴに頭を突っ込んでいるのは知っていたけれど食べていたんだ~。うちのヒブダイは変わっていて、イワシが大好きなんですよ。だから食べていてもおかしくないですね。」だって。 ちなみに、今残っているキンギョハナダイの殆どがオス。メスは1~2匹しか探せない。メスの方が美味しいのだろうか。または食べやすいのだろうか。 私が目撃したのはオスが食べられているところだった。 一度メスからオスに性転換したら元のメスには戻れないので結局オスだらけのオカマキンギョハナダイ状態が続いている。
2004年11月21日
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私が子供の頃に流行ったギャグに「知らない事とは知りながら、知って驚くこの事実」というのがあった。 今回はこの言葉がピッタリの事態が発生した。 人間生活40ン年、インチキストラクター生活20ン年も続けてきていながら知らなかったとは、101回目の一生の不覚なのだ。 私の日記にはお魚に詳しいダイバーの方が多く訪問して下さっているので、多分半分位の方はご存知だと思うので、「何だ、こんな事も知らなかったのか。無知、無学、無教養、無能、不勉強、バカ、アホ、マヌケのインチキストラクター」と嘲笑されるのを覚悟の上、最近この事実を知ったことを告白してしまう。(随分と引っ張るやンケ、はよ言い~なオッちゃん。) 何と、あのネコザメに、へなちょこザメの代表とも言えるネコザメに毒があったのです。 知っていました? 「当然でしょ、そんな事、常識、知らなかったの?」と言われそうだけれど、お恥ずかしい話ですが私は知りませんでした。 事の発覚は先日買った本に書いてあったのです。 「海の危険生物ガイドブック/山本典暎著/阪急コミュニケーションズ」にしっかりと書かれてあった。ネコザメは背ビレが2つあって、それぞれの背ビレの前の部分に白い棘があるが、その前の棘に毒があるのだそうだ。クローズアップされた写真付きで紹介されていた。 この事が東スポで書かれていたのなら、「ウソじゃないの」とも言えるのですが、この本はちゃんとした図鑑というか学術書だから本当なんだと思う。 私は恥じをかくのを覚悟でサメ担当の方に「ネコザメに毒があるんですね。知りませんでした。」と告白すると。その飼育係の方も「エッ、知らなかった。本当ですか?」との返答。「オッ、知らないのは俺だけじゃないんだ。」とチョット嬉しくなって「先日買った本に書いてあったんです。」「何と言う本ですか?」「今、控え室に置いてあるので読みますか?」「ハイ、見せて下さい。」・・・という様な会話が続いてそのページを見せると一言「へぇ~。」と言って本のタイトル、著者、出版社をメモして「この本を買って調べてみます。」という返事があったので2~3ヶ月もすれば真相がはっきりすると思う。その時はまたご報告します。 その後飼育係の中で大騒ぎにはならなかったけれど、数人の方から本を見せて欲しいと言われチョット鼻高々で本をお見せしたのだ。 作業中に寄ってきたり、噛み付いてくるのでこちらもからかっていたけれど、これからはあまりオチョクルのは止めようと思ったインチクストラクターであった。 ちなみにマダコにも毒があって噛まれると化膿する事があるそうだ。今まで素手で捕まえては食べていたので内心ドキドキしてしまった。
2004年11月20日
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海でもキンギョハナダイやサクラダイが群れているととても華やかな感じがする。夏に50匹以上のキンギョハナダイが入って南の海の水槽がパ~ッと明るくなった。色物が入るといいよね。 さてこのキンギョハナダイは性転換をする事で知られている魚の一種類だ。性転換にはオスからメスとメスからオスがあるけれど、キンギョハナダイはメスからオスに性転換する。 オスメスの区別は簡単で色が濃く小型のヤツがメス。色が薄く背ビレと尻ビレが白く長いのがオス。だからインチキストラクターでも分るのだ。 そしてオス中心のハーレムを作るハズ、なのだけれどこの水族館のオスは全然ハーレムを作らないのだ。あんまりもてないオスみたいだ。しかも、ドンドンオスに性転換してあっちでもこっちでもオスがヒラヒラと泳いでいる。予備水槽で慣らしていた時は50匹中3匹がオスだったのだけれど今では20匹近くがオスになってしまった。 しかもよく観るとオス同士が同じエダサンゴの中で暮している。もしかしたらオカマのキンギョハナダイかもしれ。これを飼育係の方に話したら大笑いされてしまった。でも何で展示水槽に入れたととたんオスに性転換しだしか不思議だと仰っていた。 勿論、メスのあっちこっちでバラバラ泳いでいる。最近はお気に入りの場所ができたみたいで1匹でじっとしているヤツらも結構いる。 魚の世界もオスが弱くなってきているんだろうか。
2004年11月14日
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ここの水族館で「太っ腹」と言うと、ファッティー・フィッシュを指す。以前ご紹介したサバやスギが文字通り太っ腹のおデブサカナ君達だ。 今回の「太っ腹」は本来の「太っ腹」なお話。 先日、本マグロが35匹入った。サイズは40cm位と小型のやつだ。3年前の時は50~60cmと中型だったし72匹と約倍の数だったので、今回は水槽に入ってもそれ程存在感が無くどこにいるのかなと気を付けて見ないと分らない。 でも、水槽のサイズを考えるとこの位のサイズの方が飼育しやすいらしい。まだ餌をあまり食べないので飼育係の方々は心配しているけれど、4日位でかなり下層の方にも泳いできているので水槽にも慣れてきたようだ。どうしても前回と比較してしまうのだけれど、前回は1週間で20匹が死んで食べられちゃったからね。幸いまだ1匹も死んでいないし早く餌を食べてくれるようになればと願っている。 マグロの飼育は難しく、東京の葛西臨海水族園が世界で始めてマグロの飼育を始めてから10数年しか経っていない。 泳ぐ速度が速いのでそれなりのスペースも必要だし、水が汚れると直ぐに死んでしまうので濾過能力や新鮮な海水の補給の問題、高速で泳ぐために多量の酸素が必要なので酸素供給システムなんかに高性能な物が要求される。 ちなみに葛西臨海水族園のマグロの水槽は水量が2,200トンあり、これを1時間で濾過する能力を持つ。ゴミを濾過する石材と尿を分解する濾材が使われオゾン殺菌をして水をきれいにしている。また、海に面しているけれど東京湾の海水は汚すぎて使えないのでわざわざ八丈島から海水を運んできているそうだ。 水槽内のお掃除は毎週金曜日の午前中に行っていて、ダイバーはヘルメットを付けて潜っていると教えて頂いた。 私の場合は、何も付けずに「マグロが驚くからゆっくり動いてね。最近は下の方も泳ぐので気を付けてね。」だけで特に事故も無かった。 もっとも、葛西臨海水族園のマグロは1m級で100kg位あり時速60km位で泳ぐからぶつかったら痛いじゃ済まないけれどね。 さて搬入の方法ですが、11トントラックの活魚専用車の水槽に入れられて運ばれてきた。よくあんな狭い所で壁に激突しないなと思っていたら、養殖のマグロなので狭い所に慣れているんだそうだ。業者さんが事前に慣らせてから出荷するので大丈夫らしい。 搬入口にトラックを着けてからが大変なのだ。 先ずはトラック上の水槽の水を半分位抜いて水族館の水槽の水を補給し、水族館の海水に慣らせるところから始まる。これが1時間位あってそれからやっと搬入となる。 再度、トラックの水槽の海水を半分位抜いて担当者が水槽内に入って、コーナーに追い込み特製のビニール製の担架にマグロを入れる。ちょうどお座敷芸の「ドジョウすくい」のような感じですくい上げるのだ。 しかし、マグロは頭が良く学習能力が高いので最初の4~5匹はわりと簡単にすくえるけれど、それ以降はすくう人の後に固まって泳いでいるので中々巧くいかないのだ。そこで回遊するので水槽内に渦ができていた。 担架に入ったらフックにひっかけて5階まで引っ張り上げる。これが大変な作業なのだ。 水族館には専用のウインチがあるけれど速度が遅くマグロが傷んでしまうので人力で引っ張り上げる。飼育担当者が2名でロープを引っ張ってフロアを走る。葛西臨海水族園もマグロの水槽の横にウインチが設置されているけれど同じ理由で最初の1回だけ使って後は全て人力でロープを引っ張り上げるので腕がパンパンになってキツイとこぼしていた。ロープを引っ張って走るスペースは無いらしい。 そして5階のフロアまで上がってきたら、ギャフでロープを引き寄せ担架をフックから外す。そしたら、別の飼育係が担架を抱えて水槽まで30m位を全力で走り、水面から10cm位のデッキ上で待機している係りが受け取り水槽内に放してあげる。 面白いのはビニール担架に入れられているマグロは何故か上下が逆さまなのだ。つまりお腹が上で背中が下にして入れられていた。その方が暴れないのだそうだ。 係長さんから担架に入った時から水槽に放された時までの時間を計ってくれと頼まれたので、私も一緒にフロアを走って計測したら約50秒位だった。まあまあの時間らしい。 そして担架をトラックまで下げてこれを繰り返す。1匹1匹の作業だから35匹全部終わるのに2時間以上かかった。 作業が終わった後、水槽の上からと観客席の両方から見たけれど慣れないせいか群れて泳ぐ様子は無く、みんなが勝手にあっちこっちに泳いでいた。 さて、前置きはこれくらいにして「太っ腹」の本題に入ります。 私が自分の作業が終わってお風呂に入っていたら、先ほどまでトラックの水槽内でマグロをすくっていた別の水族館の方々も入ってきたのでいろいろ伺ったら、11トントラックの活魚専用車は自前の車なのだそうだ。近くに定置網が無いので魚の仕入れが簡単にできないので、どうしても専門の業者さんや他の水族館とのトレードに頼らざるを得ないのだそうだ。運搬まで専門の運送会社さんに依頼すると経費が高くなり過ぎるのと、機動性が損なわれるので自前のトラックを用意して飼育係が運転して魚の確保をしているとの事。 だから、担当者の方は「俺は飼育係というよりバイヤーで運送屋だ」と笑っておられた。 今回は、養殖場で直接買い付けをして私がお世話になっている水族館に35匹置いて、10数匹を自分達の水族館に持って帰るとの事だった。 ちなみに今回の本マグロは1匹当たり18万円だそうだ。つまり合計630万円のマグロが入った事になる。 普通だったらマグロ代630万円+運送料を支払うのがスジだと思うでしょ。でも違うの。 何と、1円も支払わないのだ。 実は先日この水族館にマンボウを4匹差し上げたのだ。そのトレードが本マグロ35匹なのだ。 マンボウ4匹と本マグロ35匹が同じ値段とは思えない。 思わず「太っ腹」だな~っと思ってしまったインチキストラクターであった。
2004年11月13日
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水族館で飼育されている動物にはペアになっているヤツラも数多くいて、それなりにラヴ・ラヴ生活をしている。 しかし何らかの理由があってペアを離れ離れにしなければならない事もしばしば起こる。 今回はラッコのお話。 メスのラッコが体調不良により強制的に別の水槽に移されてしまった。運良く給餌の時におかしくなったので直ぐに対処でき、生命に係わる事は無いとの事なのでちょっとホッとしている。メスのオキゴンドウが死んだばかりだったからラッコまで死なれては大変だ、という飼育担当者の緊張感がひしひしと伝わってくる。 実際に飼育係が24時間体制で観察を行っている。だから夜も海獣の担当者は当直があってラッコの水槽の床にイスを置いて看視をしている。 ラッコ水槽の水温は約5℃だから室温だって当然低いだろうからかなり辛いと思う。防寒着を着て、電気ポット持参でお湯を沸かし暖かい飲み物で暖を取って夜を明かしている。私はいつも8時10分頃にラッコの水槽に朝のご挨拶をしに行くと、だいたいその時間に当直の方が眠そうに毛布とポットを持って降りてくる。 獣医さんと話したら最初の3日はずっと水族館に泊まりっぱなしだったらしく、4日目の朝家に帰って寝て目が覚めたら次の日の朝だったので1日損しちゃったと笑っていた。 さてオスのラッコだけれど、飼育係が意識の無くなったメスのラッコを予備のラッコ水槽に連れて行こうとした時に、「俺のかーちゃんに何をする」とばかりに飼育係の足に噛み付いて連れていかせないようにしたそうだ。ちゃんと自分のかーちゃんと分っているらしく、かなり「アーッ、アーッ」と鳴いて抵抗したそうだ。ラッコの歯は肉食獣らしく鋭いので噛まれると「痛い」じゃ済まない。その時は長靴の上から噛まれたので怪我は無かったけれど、痕はしっかり付いていたそうだ。 その後のオスのラッコは見るからに元気が無く、泳ぐ速度も元気なくゆっくりで水から出て床にいる事が多くなり、あまり反応しなくなったみたいだ。飼育係の方もかなり気にしている。幸い、食欲が落ちていない事が救いだ。 また、ストレスからなのか義岩をガリガリ齧る事が多くなって、そこの塗料が剥がれて毛に付着している。飼育係が取ろうとすると噛まれるので、グルーミングの時に自分で落とすのに任せているんだそうだ。 メスのラッコは意外と平気で、表面上はいつもと変わらない様子なのだ。 メスのラッコはまだ薬を飲んでいるので元の水槽に戻せない状態だし、戻すとオスが交尾をしたがるので暫くは離れ離れの状態が続くらしい。 手が短いからオスはメスの顔というか鼻を噛んで身体を固定して交尾するので、見ていて痛そうだし、息が苦しそうなのだ。ラッコは必ずしもオスが後にならないで、向い合って交尾する事もある。 なおメスが妊娠しているか聞いたけれどはっきりとは分らないとの返答。もし妊娠していれば2月か3月に出産の予定。でも可能性は高いみたい。 出産当日は朝から食欲が無くなるので、出産日は分るのだそうだ。でも逆に当日にならないと分らないので準備が大変らしい。 でもラッコに関しては朗報があって、年明けに若いメスのラッコが来るらしいのだ。水族館同士の話なのでとてもスムーズに進んでいるそうだ。これから檻に入れて閉所に慣らす訓練が始まる。ラッコはもの凄く神経質な動物なので移送にはもの凄く神経を使う。そして付き添いも信頼関係のある飼育係が一緒じゃないとダメで、最悪の場合ストレスで死んでしまうそうだ。 ラッコはオス中心のハーレムを作るので、1つの水槽にオス同志を入れると殺し合いをしてしまう。だから、オス1匹にメスが数匹の飼育になるのだと教えて頂いた。 2匹共に早く元気になって欲しい。
2004年11月09日
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魚の身体をクリーニングする魚やエビがいる事はダイバーの中ではよく知られている。ホンソメワケベラやイソギンチャクカクレエビなんかがその仲間だ。 そして、海でも水槽でもクリーニングしてもらう場所がだいたい決まっているのだ。水槽だと狭いからホンソメワケベラも隅から隅まで泳いで行っても数10秒しかかからないけれど、海だと自分のテリトリーがあるからわりと決まった場所でクリーニングを行っている。 水族館でもよく観察していると何箇所かクリーニングスポットがあるのがわかる。 先日、キタマクラが6匹程ムラサキハナギンチャクの側で1列に並んでいるシーンに出くわした。その時は何でか分らなかったのだけれど、面白そうだったのでその行動を観察していたらイソギンチャクからカクレエビが出てきてキタマクラのクリーニングを始めたのだ。 クリーニングをしてもらっている魚の共通の特徴だけれど、ポケーッと気持ち良さそうな顔をしている。ハタの仲間なんかはもの凄くよく分るけれど、あのキタマクラでさえもキョロキョロしないでジッとしている。 5分位で終わるとサッパリとした(ように見える)表情でパタパタとせわしなく泳いでいってしまう。その間、残りの5匹はきちんと並んで待っている。抜かしたり横入りは無くお行儀が良いのだ。でも私の方をもの凄く気にして落ち着かない様子で、もしかしたら「いじめっれないかな」「食べられないかな」なんて思っているのかもしれない。 エビもエビで並んだキタマクラ6匹全てをクリーニングし終わって、キタマクラが自分達のテリトリーに帰っていくと満腹した様子で私をチラッと見てイソギンチャクの中に戻っていった。
2004年11月04日
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最近、海でもハゼの仲間に遭遇する機会がままあってウォッチングをしている。特に共生ハゼの行動をジィ~ッと観ていると1時間位は飽きないでいられる。 有名どころでは「ダテハゼ」「ハナハゼ」「ネジリンボウ」なんかが上げられる。ハナハゼは遠くから観ている分にはヒラヒラと華麗に舞っていて美しいのだけれど、近寄って顔をアップで観ると実はあんまり可愛くない、と思っているのだけれどどうなんだろうか。 ハナハゼはとっても臆病だからなかなか近づく事ができないけれど、東伊豆の河津に潜った時は20cm位まで近づく事ができてしっかり楽しむ事ができてとても嬉しかった。 個々の性格なのだろうけれど、それ程臆病じゃないヤツもいるみたいだ。 さて、この共生ハゼは「テッポウエビ」の仲間なんかと共生している事が多いのだけれど、たまにハゼの方がペアでいる事がある。 敵が近づくとヒレを動かしてテッポウエビに教えてあげ、穴に潜ると次に自分も穴に入って敵をやり過ごす。 さてハゼがペアだと2匹が同時には穴に入れない。たいがい1匹づつになる。 この時先に穴に入るのが必ずオスなのだ。メスが最後まで監視をして「もうダメ」という所で始めて穴に逃げ込む。父ちゃんの方が意気地が無く、母ちゃんの方が度胸がある。 キュウセン、サクラダイ、キンギョハナダイの様にオスとメスがはっきり分る場合は良いのだけれど、パット見でオスとメスの区別がつかないこれらのお魚の場合でも簡単に区別できる。 お魚の世界では多分ホモもレズもいない(と思う)ので先に入る方がオスでまず間違いない。 お魚の世界もやっぱり女は度胸、男は愛嬌だった。
2004年11月03日
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水族館にいるサメは1年中産卵をするのだけれど、ここ最近は特に産卵の数が多くて予備水槽が足りなくなって嬉しい悲鳴を上げている。 先日、大阪の海遊館から譲り受けたイヌザメがコンスタントに産卵していて、その半分位は受精卵との事。サメも近親で受精すると奇形や短命になるらしく新しい血が入ってきて飼育係の方も喜んでいる。 形は以前ご紹介したけれど、5cm×3cm位で真ん中が膨らんだラビオリみたいで四隅から紐が出ている。また卵全体がとても粘り気のある黄色いクリームみたいもので覆われていて、海藻に絡み付いて離れ難いようになっている。 多いと週に2~3個位生んでいるようだ。 先日、サメの水槽で作業をしていたらやたらと下腿部にアタックしてくる。だいたいがネコザメなので「またか」と思って足の確認もしないで作業を続けていた。 1時間の作業が終わって水面まで戻ってウエイトとスクーバを外して陸上要員に渡し、身軽になって水槽の壁をよじ登るため反動を付けようと身体を沈めた時、何気なく足元を見たら右下腿部に何かネバネバしたものがくっ付いていた。 最初、糞に見えたので嫌だなと思いながら左足で軽く擦ってみたけれどうまく取れない。良く観ると糞ではなくて卵だったのだ。 卵は他のサメの好物なので下腿ごと齧られては嫌だから(1m強のハンマーヘッドもいる)慌てて壁をよじ登る。 水槽脇の床で卵を外すと中にはしっかりと中身が入っていた。時々、中身の無い殻だけのやつもある。 さっきのアタックはネコザメではなくてイヌザメが私の足に卵を産み付けていたのだった。 サメの水槽には海藻が無いので産卵しても床に転がっているだけなので、本能的に何かに産み付けようと私の下腿に生殖孔を擦りつけ着床させていたのだった。 つまり私は海藻の代用品をさせられたのだ。 「世の中広し」と言えどもサメに卵を産み付けられたダイバーなんてそうざらにはいないと思う。飼育係の方も「本当ですか?」と驚いていたから未経験なのだろう。かの、ジャック・イヴ・クストー氏だってそんな経験は無いと思うから、自慢しちゃうのだ。 あのままウエットスーツから卵を外さないで、夜は予備水槽に浸けておいたらいずれは孵化するんだろうな。作業中に孵化したらそれこそギネスものだし、日記のネタになったので早まってしまった。 今度、こんな事があったら飼育係の方に聞いてみよっと。
2004年11月01日
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前回、メスのオキゴンドウの死を報告した。 その後、獣医さんや飼育係の方々からいろいろ教えて頂く事ができた。 死因は俗に言うところの「多臓器不全」というヤツだそうだ。最初は胃潰瘍から始まって肝機能、腎機能が低下して最後に肺炎を併発したとの事だった。 気持ちは悲しいし言葉は悪いけれど、もう苦しまなくてすんで良かったのかもしれない。でも死の1週間前も、もしかしたらそうとう辛かったかもしれないのに我々に優しくアプローチしてくれていた。 死を迎えてメスのオキゴンがプールの底に沈んだ時、我々を慰めてくれたオスのバンドウイルカが飼育係の方々が潜って引き上げるまでずっと寄り添っていたんだそうだ。呼吸のために浮上して一回り泳ぐとそっとオキゴンの横に並んでじっとしていた、という話を聞いた時イルカの優しさと愛情の深さを感じた。 海では群れの安全が優先されるので、仲間が死んでもこのような行動をとる事は無いらしいのだけれど、飼育環境にいるイルカ達は外敵に襲われる心配が全く無いから、イルカ本来が持っている優しさを行動に表す事ができるらしい。 これはイルカの行動生態学上、確認された行為ではありませんが、他に合理的な説明がつかないのです。私はこの説に賛成だし、それで良いと思っています。 そして、オスのオキゴンは無口になっていた。 これまではホイッスルという高い声で会話していたけれど、発信しても返事が返ってこないのでここ数日は一切ホイッスルを発声していないそうだ。 これまでも、我々に甘える時の声とメスのオキゴンが治療プールで注射をされる時の声の様子が違う位はなんとなく判っていた。多分2匹で「辛くないかい?」「痛くない?」「大丈夫だよ」なんて会話をしていたのだと思う。 今日もイルカ達はとびきり優しかった。
2004年10月31日
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その日も普段通り午前9時少し前にイルカプールのプールサイドに上がっていった。階段を上がると右手にトレーニングプールがあって、上がった目の前にいつもメスのオキゴンドウが浮いている、はずだった。 その日はその位置がポッカリ空いていたので、体調が悪いので治療プールの方にいるのかなと思っていたら、飼育係の方から「昨日の夜メスのオキゴンが死んだ」と教えられた。 数ヶ月前から体調が悪く、毎日血液検査と注射をしているのでシッポの付け根の静脈部分は皮が剥けて腫れ、筋注をする背ビレの横もコブのように膨らんでとても痛々しい感じがしていた。それでも我々が作業でプールに入ると近寄ってきて身体を擦りつけてきてくれる。たまに体当たりがあってメチャ痛かったけれど、彼女なりの我々に対するコミュニケーションだった。 死んだ当日の朝、昨日長い時間をかけて点滴をしたと教えてもらって、飼育係りの方が「もうダメかもしれない」とポツリと洩らしていた。 この水族館は警備員が24時間監視カメラでモニターをしていて、異常があると直ぐに担当者に連絡が行くようになっている。その日の22時頃にメスのオキゴンがプールに沈んだらしく海獣課の職員が呼び出され、水深5.5mの底に沈んだオキゴン引き上げ解剖されたそうだ。死因は肺炎らしいとの事。 このオキゴンは2001年の11月だったか12月にこの水族館に来た。野生だったので最初はプールの中央を4頭が重なり合うように泳いでいた。エコーロケーションの音波が壁に乱反射するので慣れるまで壁までの距離が正確にわからないのだそうだ。 そのうちの2匹は来た時から病気をもっていて1ヶ月も経たないうちに死んでしまい、オスとメスの2匹のオキゴンだけが生き残っていた。 それが、少しずつ慣れてきて飼育係の手から直接餌を食べるようになり、我々にも慣れてきてチョッカイを出すまでになり、それなりのコミュニケーションを持てるようになっていたので、イルカのプールでの作業は本当に楽しみだった。 体長5m、体重500kgの体を持ちながらピンポン玉位大きさの目はとても優しく、口も真直ぐじゃないので笑っているように見えるその顔が私の目の前にある。その優しい目でじっと覗き込まれていると私の全てを見透かされている気がしてとても恥ずかしいのだ。 でも、何故か自然と優しい気持ちが湧いてくる。私の中の俗物的な気持ちが浄化されきれいになっていくんだろうと思う。 野生のイルカやクジラとでは中々こんな時間は持てないだろうと思う。飼育されていてお互いが分かり合っているからこそできるコミュニケーションなのだろう。それだけにマリンランドに対する風当たりがあるけれど、私にとってはかけがえの無い時間なのだ。 また、トレーニングで少しづつ技を覚えてできるようになっていく過程を見てきているので、自分の子供が成長していくのを見守る親のような気持ちもあった。 しかし作業前に死を知らされたそのショックは非常に大きく、一緒に潜る女性のダイバーの目からは涙が溢れ出し重い雰囲気の中で作業が始まった。 そんな我々の気持ちを察してくれたのか、普段は殆どかまってくれないオスのバンドウイルカが、我々の手の甲を吻(クチバシ)で軽く触れてくれた後、私たち周りを泳ぎながらジッ~と見つめて「大丈夫かい?」と慰めてくれる。これを2人に対して何度も何度も繰り返えしてくれたのだ。 メスのバンドウイルカも普段と違った行動をとり、寄り添うように身体をそっと密着させてくれて、母親が子供を慰めるような仕草をしてくれる。我々からイルカに触れる事が禁止されていなければ絶対にイルカを抱きしめていただろう。 彼らは我々の気持ちを理解してくれたのだ。イルカが落ち込んでいた我々2人のダイバーを慰めてくれた。そして彼らの深い愛情に包んでくれた。そうでなければ普段と全く違うあの接し方を説明する事ができない。 これは我々の勝手な思い込みかもしれない。 でもイルカは身体に傷害を持っている方だけでなく、自閉症やダウン症の方もしっかり認識して、健常者とは全く異なった接し方をしてくれる。 イルカは人の内面的な事まで完全に分っている。 多分、飼育係りの方はこれを体験していないと思う。彼らは死んで沈んだオキゴンを引き上げるためだけにプールに潜り、その後は通常の業務があるので特別の事がなければプールに潜る事は無いからだ。 我々2人だけが貰った愛情だった。 オキゴンが死んだ事はとても悲しかったけれど、イルカから優しさと愛を貰った時は心の底からこの仕事をしていて良かったと思った。
2004年10月17日
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今日、マイワシが約4,000匹程入った。 しかもかなり形の良い大きなマイワシだ。 でも、水槽に入れた瞬間にシイラのおやつになってしまい、100匹位はお腹の中で彷徨っているのだ。 いつも思うのだけれど、どうして餌を上げた後に入れないのかな? そうすれば少しは違うと思うのだけれど今日は午後の1時過ぎから搬入が始まった。 某有料放送局が取材に来ていたのでそれに合わせたのかと思ってしまう。 でも形の良いマイワシが4,000匹も入るとイワシ玉も大きくなりとても壮観だ。カタクチイワシでは絶対にできない芸当。割れたりくっ付いたりして、玉そのものが意思を持っているのかのように変幻する様はとても幻想的でとてもセクシーなのだ。実は、前回は予算の関係上マイワシが入れられずにカタクチイワシで我慢したという裏話がある。 では何で今回は高いマイワシなのかというと、ここだけの話ですが、近々皇族がお見えになるので今回は奮発してマイワシを入れたのだそうだ。 カタクチイワシの10倍以上の値段だ。しかもマイワシは禁漁の一歩手前まで行った程に不漁なのだ。 それだけでなく、他の水槽にも順次お魚が搬入される予定なのだと教えて頂いた。 宮様がお見えになる事は水族館にとっても大変名誉な事で、少しでも良い状態をご覧頂きたいと思うには誰しも同じ気持ちだと思う。私だってしっかり作業をして良い状態でご覧頂きたいと思いますからね。 このところ毎年1回、皇族がお見えになっているけれど、年に3~4回お見え下さればもっともっとお魚が充実するのになと思ってしまう。 昭和天皇は学者天皇としてヒドロ虫の分類の世界的な権威で、たしかオックスフード大学から博士号を送られたと記憶している。物置の中に資料があったので後日確認します。また、秋篠宮様もチョット記憶が曖昧ですが、魚の分類のご研究をされていたと思う。 折角、海洋や湖沼の生物のご研究をされているのだから、山の良いけれどダイビングもなさって頂きたいと思うのです。イギリスのBSACというダイビング団体の現在の名誉会長はチャールズ皇太子。 当日は宮様がお帰りになった後に出勤になると思うのでインチキストラクターが活躍する場面は無いけれど、無事に終わってくれれば良いなあ~っと思う。 ちなみにマイワシはkg当たりで計算すると養殖マダイより高い超高級魚なのだ。そしてワタは死んで4時間以内じゃないと食べられないのだそうだ。(1度食べた事あり)
2004年09月21日
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日本には3種類のシュモクザメが生息している。「アカシュモク」「シロシュモク」「ヒラシュモク」で、このうちでダイバーが最も多く遭遇するのが「アカシュモク」だ。 ヒラシュモクは体長が8mにもなる大型のサメで、あんまりご対面したくない。どちらかというと南の方に住んでいるらしく、関東近辺では捕獲されていないようだ。 この3種類の見分け方はとても簡単でインチキストラクターの私でも間違う事は無い、と思う。 頭の撞木部分(正確には吻と言う)、つまりハンマーヘッドの形で区別できる。 ヒラシュモクを漢字にすると「平撞木」と書く。読んで字のごとく吻の前部が真直ぐになっている。アカシュモクとシロシュモクのそれはカーブしているので違いが分る。 さてアカシュモクは「赤撞木」の通りに光の加減で体色が赤く見えるのと、吻の真ん中が凹んでいる。シロシュモクは体色が赤く見えないのと吻の前部に凹みが無く、ツルンとしているので違いが簡単に分る。 ヒラシュモクは実物を見た事がないのでお話する事ができません。これでおしまい。 さて、水槽の中のアカシュモクとシロシュモクを比べて観ると体以外にも行動生態上の違いがある事がわかる。 最も顕著なのが泳ぎ方だ。 アカシュモクは沿岸に住んでいるので泳ぎが曲線的で水槽の中でもあっちへフラフラ、こっちへフラフラと泳いでいる。それに対しシロシュモクは沖合いに住んでいるので泳ぎが直線的なのだ。飼育係の方に教えて頂いて、良く観察してみると確かに違う。 普段生活している場所が違うから泳ぎ方も微妙に異なってくるようだ。 だから、以前は体の色と吻の凹みがあるか無いかでどちらかを判断していたけれど、最近は泳ぎを見るだけで何となく違いが分るようになった。でも、あくまでも水槽の中だけですけれどね。 それで飼育としてみるとシロシュモクの方がとても難しい。外洋性のサメなので狭い水槽ではストレスが溜まるのと、巧く曲がれず壁にぶつかってしまう事で傷ついてしまう。 また、ストレスから餌を食べない事もあり、あまり長く飼育できないそうだ。 だから、作業をする時も絶対に速い動きで驚かさないように気を付けなければならないのだ。
2004年09月20日
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最近、水族館では恋の季節が満開で、あっちでもこっちでも子作りに励んでいる。 今回は「シロワニ」。以前、シロワニが繁殖期の時、作業に入る直前に私の目の前でオスとメスが格闘をしていた事はご紹介した。 話は変わるけれど、BBSの頭にシロワニの写真を掲載していたのに、いつの間にか無くなっちゃっているけれどもう写真はダメになったのかな? 今回は8月の中旬から繁殖期に入ったようで、サメの担当者から「オスがイライラしているので気を付けて下さい。」と注意された。具体的には他のサメに噛み付いているのだそうだ。噛まれるのが小型のサメの「ツマグロ」「ハナザメ」といった比較的大人しいサメだ。でもこの水槽では大きい部類の「クロヘリメジロ」も背中に傷がついているので噛まれたのかもしれない。 歯は鋭くて前歯は2cm位あるので、もし私が噛まれたら痛いじゃすまない。 しかもオスは餌を食べないので空腹状態になっている。だからここ1ヶ月でもの凄くスリムなオスシロワニに変身してしまった。以前は背中の部分が異様に盛り上がっていて胴回りもタップリだったのが、今は小笠原で見た野生の太さに戻っている。メスは相変わらずのファッティー。 実はシロワニって元々小食なのです。体重は推定で4~500kg位あるのだけれど、1日に食べる魚の量はたったの700g位。決して7kgではない。同じ体重のイルカが何10kgも食べるのに、体重20kgのラッコよりも食べないのだ。 しかし、それさえも今は1週間に1回位しか食べていないらしく、オスの体力が弱って死んでしまうんじゃないかと気を揉んでいる。 餌は水槽前の飼育係と水槽の上の飼育係が無線で連絡を取り合って、各サメが満遍なく餌を食べるようにしている。サメには名前ではなく番号が付いていて、「何番が向かったから餌を投げて」と言う指示に、上から勢い良く餌を投げ入れ水面で「バシャッ」と音をさせてサメに気付かせるようにしている。 TVなんかだと我先に餌を食べているシーンが放映されているけれど、水族館では意外に食い付きが悪く知らん振りをして泳いでいってしまう事もある。間の前に魚があってもパックと行かないのだ。 水槽の外から観察すると、メスの後をじっと付いて泳いでいたり、普段より速く泳いでいる。また、オスメス共体中にたくさんの傷がある。交尾しようとオスが噛み付くとメスが反撃してお互いが傷だらけになる。噛み付かれるメスの方が皮膚は丈夫にできている。 何にしても3m位もあるサメが組んず解れずの大バトルを繰り広げている水槽に潜るのはあまりいい気持ちはしない。 仕事だから仕方ないと若干諦めの心境なのだ。 さて、水中でもメスが普段より深い所泳いでいるのでたまに檻にぶつかってくる。目の前20cm位のところにシロワニの口がドアップであるとさすがに迫力満点で、思わず頭を引いてしまう。 やっぱり一瞬だけれど心臓の動きが大きく速くなる。 観ている方は楽しいだろうし、やっぱりサメの水槽らしいと思っているかもしれないけれど中に入っている方はスリル万点。 この間サメの担当者とお風呂場で話していて、ボソッと一言「シロワニって人に危害を加えた記録では4位なんですよね。」だって。
2004年09月19日
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先日、オナガザメの仲間のマオナガが上がった。体長3m位のメスだった。 以前、ニタリのメスが上がって胎児が4匹いた事はご紹介したけれど、今回は2匹の胎児が入っていた。 オスにはクラスパーという交接器、早い話がオチンチンが2本ある事も以前ご紹介したけれど、メスにも子宮が2つある。 ニタリは片方に2匹づつで計4匹だった。 マオナガは片方の子宮に2匹入っていて、もう一方は0だった。そのかわりなんと卵が200個以上も入っていた。形は大きく2種類あって、1つは大福のような饅頭型。もう一つは細いひょうたん型だ。色は薄いクリーム色。何故、形が異なるのかは分らないけれど、成長したやつと成長途中の違いなんだろうか。 胎児が入っていた子宮には卵は無かった。 理由は最初に生まれたヤツが残りの卵を食べ、それを栄養として成長するためだそうだ。だからもう片方の子宮の方はまだ卵が孵化していないか、孵化したけれど死んでしまったのではと推測されるのだそうだ。 でも、ニタリの場合は4匹共だいたい同じ大きさだったので同時期に孵化したと考えられるから、マオナガの場合だけ2つの子宮で孵化の時期が大きく変わるとは考えにくいのです。でも死骸のようなものも無かったそうです。 最初に孵化した奴だけが生き残り、遅く孵化する卵は餌になってしまうという兄弟共食いをして数匹だけが生を受けるというシビアな世界。 別のサメでは胎児が20匹以上入っていた事もあったそうだ。サメといっても種類によってかなり違うのだ。 結論は出ないけれど、自然というのは面白い。 我々はどうしても人間を中心に考えるけれど、オチンチンが2本あったり、子宮が2つあったりサメには当たり前なんだよね。 この時、先日上がったニタリの胎児と今回上がったマオナガの胎児が並べて置かれていた。2匹を並べてみるとニタリとマオナガの違いがよくわかる。 吻の長さはニタリの方が長い。またムナビレもニタリの方が幅広。背ビレの位置も微妙に違う。あと尾ビレだけれど、マオナガは直線的で、ニタリは曲線的だった。 1匹だけ見せられてどっちだと言われると分らないけれど、両方を並べて比べるとインチキストラクターでもその違いは簡単に分るのだ。 ニタリとマオナガの特定は背ビレの位置と尾ビレの先で区別するのだそうだ。 実はサメの区別ってもの凄く難しいらしい。特にメジロザメの区別は解剖しないとわからない種類もあるのだそうだ。だから、良心的な図鑑は生態写真だと「メジロザメの仲間」としか書いていない。標本写真の場合はちゃんと確認しているから特定できるけれどね。でも、標本写真ってパッと見だと分らない。 この水族館でも過去にメジロザメの仲間を間違った名前で展示していた事があったそうだ。サメの分類の専門家に鑑定を依頼して違いが分かり変更したと仰っていた。 ちなみに魚の図鑑でもたまに間違っている事がある。そんなのを見つけると、つい嬉しくなってしまうインチキストラクターなのだ 作業が終わった時は解剖が終わって跡形も無く、胎児も片付ける所だったので写真が撮れませんでした。私も残念。
2004年09月18日
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これは新種の魚ではないけれど、水族館にのみ生息している珍種・奇種に属するお魚なのだ。 ファッティーフィッシュなんてチョット格好イイネーミングでしょ。私が考えた造語。 以前、魚によって餌をたくさん食べるヤツとあんまり食べないヤツがいる事はご紹介した。その時はアカハタ < アオハタ < チャイロマルハタの関係だった。 通常、餌は水槽の上から撒くので当然表層に泳いでいる魚たちが最初に餌にありつき、次いで中層、そして最後に底にいる奴らという順番になる。 シイラなんかはとにかく餌を食うのであっと言う間にデカクなる。先日入ったチビシイラもほんの数ヶ月で体調が倍位に育っている。 大雑把な分け方だけれど、回遊性の魚は餌を良く食べて根付きの魚はあんまり食べない様な気がする。 回遊性の魚は表層や中層を泳いでいるので餌が降ってくるととにかくバイキング食べ放題状態になる。餌と同時に生きたマイワシやカタクチイワシもおやつとして食べている。イワシもえさを食べるために必至になってしまい、群れを壊してバラバラになる。するとギンガメアジやシマアジの格好のおやつになってしまう。奴らにとっても解凍イワシより活魚の方が美味いのだろう。 人間と違い魚は胃袋と脳が連動していなので胃袋が一杯になっても餌が目の前にあると食べてしまうのだ。すると良く食う奴はオーバーカロリーに成ってしまう。 先日、作業の時に1匹の魚が死んで床に転がっていた。気付いた時は数m離れていたので魚の種類が特定できなくて、胴体がまん丸だったのでオキエソかなと思ったのだけれど、この水槽にはエソの仲間は入っていないし何だろうと思って近づいてみたらなんとサバだったのだ。 普通のサバは胴体を輪切りにすると楕円形なのだけれど、この水槽のサバはまん丸なのだ。つまり良く肥えたサバと言う事だ。 泳いでいる奴らを見ても、頭は普通なのだけれどそこから下の胴体は一気にまん丸状態になる。泳ぎも体がまん丸でしならないのでシッポだけで泳いでいるような感じで泳ぎがぎこちないのだ。 この他にもコバンザメの親戚のスギという魚も胴体がまん丸になってしまい、ついには泳げなくなってしまい死んでしまった。 この水族館の魚達の一部は食い過ぎによって死んでいるのだそうだ。 次に死ぬのはシマアジじゃないかと睨んでいる。 もうお分かりでしょう、Faty・Fishのファッティーは、英語のFat(脂肪)を形容詞にしたもの。 つまり「おデブな魚」と言う意味です。 水族館に行ったら海では絶対にお目にかかれないFaty・Fishを探してネ。
2004年09月14日
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今日の主役は60cm位のマダイ。 この時点で何を食べたか分った方はテレパシーがあるのかも。 当然だけれど水族館では魚に応じて何種類もの餌を与えている。 まあ、常識的にアジ、イワシ、エビ、オキアミ、貝、イカなんかが与えられている。 魚にも嗜好があって、自分の口に合わない餌は口に入れても「プッ」とばかりに吐き出してしまう。 二ザダイなんかはアジのぶつ切りをついばんでも吐き出してしまうというナマイキなヤツなのだ。 さて、今日の主役のマダイは、「エビでタイを釣る」じゃないけれどエビがお好み。また、イワシも好きなようでよく食べている。にも係わらず、何でこんな物を食べるんだろうと言うのが私の最初の感想。 でも、こんな物を食わせる方も凄いよ。実はこの飼育係の方は、10ン年前に講習した私の生徒さんなのです。教えた方がいい加減なインチキストラクターだから、教わった方もユニークなダイバーに育ってしまったのだ。(反省) 常々ここの職員はみんな真面目過ぎるから、少しは砕けた方がいた方が良いと思っていたらやってくれたのですよ。 事の発端は、飼育係の方がビデオカメラを持って水槽内の潜るパフォーマンスで、クイズをするのに持って行ったらしい。「こんな物食べると思いますか?」という問いに対して回答を求めると言うヤツ。 普通の人は絶対に食わないと思うだろう。(私もそう思う) でもこのKさんは実際にBCのポケットから取り出して与えてみたのです。食べないだろうという仮説を立てて、実際に実験をしてみたのです。研究者としては正しい態度ですね。 で、結果は見事に食ったのでした。これにはKさん本人も驚き、観客も驚き、そして結果を伺った私も驚きました。チャンと飲み込んで吐き出さなかったそうだ。 これを読んでも信じてもらえないかも知れないけれど「事実」なのです。 回答:マダイが食べたのは「キュウリ」でした。 水族館には変わった魚が沢山生息しているのだった。
2004年09月12日
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水族館の水槽に潜っていると、海では体験できない魚やイルカからのキッス攻撃を受ける。 イルカからのキッス攻撃は嬉しくて「もっと、もっと」とオネダリをしたくなり、外から見ている観客の方々には「羨ましいだろう」といった優越感に浸っている、チョット性格の悪いインチキストラクターなのだ。 しかし、できたら「やめてよね」というお魚も沢山いる。その1匹が「ボウズギンポ」君だ。 北海道の水族館から譲り受けた当時から人懐こくて、8℃という冷たい水の中での作業中に愛いヤツなどと思っていたのだけれど、最近は図体もでかくなり作業の邪魔にもなってきた。しかも以前は45分作業の内の5~10分位だったのが、今は40分位ズ~ッとまとわりつかれている。 さすがにチョット、という感じになってきてしまった。まあ、こちらの勝手な都合で愛いヤツから邪魔なヤツに格下げしてしまったので、あんたが悪いよと言われればそれまでだけど、ヤッパリ邪魔なのだ。 でも、ポヤ~っとして何も考えずに「何だこの物体は、面白そう」と言うふうな態度だから決して嫌いではない。でも作業の邪魔。 顔はNHK教育放送の「おかさんといっしょ」のグー・チョコランタンにでてくるキャラクターそっくりで、あのキャラクターをデザインした方はコヤツやフサギンポを参考にしたんじゃないかと思う。絶対にそうだ、と勝手に断定しよう。 以前はマスクやほっぺたに薄めの唇をぶつけてくるだけだったのですが、最近はフードの隙間の極々少ししか露出していない唇を狙って齧ってくる。これがちょっと痛い。 最近、作業の邪魔だから手の甲でお腹の部分を押してどかすのだけれど、それが面白いみたいで何度も何度も同じ位置に戻って来ては触られる事を楽しんでいるようなのだ。 でも外で見ている観客はサーカスの猛獣使いのお兄さんを見ている感覚でとても関心して下さるのだ。遠足で来る幼稚園児や小学生の皆様にはメチャクチャ受けている。(子供の「スゲ―ッ」と言う声は聞えている。) それと老人会でいらしている方々は、水族館の水槽にドライスーツで完全防備した見た事も無い格好の人間が潜っていて、魚に齧られたり魚のお腹を愛撫している事が理解できないようで、頭が完全に「?」マークで何か不思議な光景をご覧になっているかの様な表情でジィ~ッと凝視して下さり、こちらとしても何か芸の一つでもしなければいけないんじゃないかと勘違いする程である。 でも一旦、手なぞを振って差し上げるとしつこく手を振り続けるのには困ったものだ。(おババにご注意:投げキッスは止めてください。決して嬉しくありません。) でもサカナと戯れられる事を良しとして仕事をやるしかないんだろうな。 ちなみに、今年は北海道の水族館からは沢山のホッケとタラバガニを頂き、急に魚工密度が濃くなりました。カニは踏みそうで神経が疲れる。
2004年09月10日
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2ヶ月以上もサボッてしまいました。 この夏は久々に真面目なインストラクターをしておりまして、水族館と海の2足のわらじを履く羽目に陥り、さすがの私も「布団が恋人、枕が愛人」と化してしまい、文章を書く気力も元気も無く、自分のHPの確認もしないというテイタラク。 原稿の督促を頂くなどという人気作家の気分を味わせて頂く栄誉に浸っておりました。(学生相手でも3週間で120人の講習はシンドイですね) とにかく2ヶ月を生き長らえたという状況です。おかげで体重が3kgも増えてしまいました。体力をカロリーで補っていたために、夏太り・冬やせが私のノーマルなのです。 世間では自然観察に対する興味というか認識が高まっていて、インタープリターの真似事をやっている私にもお手伝いの依頼があり、安請け合いをしたのが地獄でした(反省)。 またボチボチと更新していきますので宜しくお願いいたします。 水族館の水槽にいるサカナ達の生態は普段海に潜って見ているそれとはかなり違う事がある。 海という環境から水槽という狭い環境に変わった事が最も大きな原因なのだろうが、飼育係の方によるとたぶん落ち着かないのではないかとの事。 今回ご紹介するのは「ホウボウ」君。 ホウボウは砂地を這うように行動していて、昼間より夜に出会う事が多いような気がする。泳ぐ場合も水底近くをユラユラと泳いでいるシーンが多く、速いスピードで泳ぎまくるといったシーンを見た記憶は殆ど無い。 ムナビレが進化した足というか、L字型の骨が左右に3本づつあって、それを足のように動かして砂地を動き廻っている。元々はムナビレの膜があったのだろけれど、膜が退化して骨だけになりそれを支えている筋肉が発達して自在に動かせるようになったのだと思う。この辺はきちんと調べれば良いのだけれどインチキストラクターだから調べもしないで、自分自身の勝手な想像で書いてしまっている。いけないと知りつつも、○○○なのだ。 よく観察していると、かなり細かい動きもできる。本物の足みたいな感じがする。 ムナビレはとても大きく外側はオレンジ色で内側は淵がきれいな青緑で中は濃い緑に青緑の斑点がいくつかある。何が基準で外側を上に向けたり、内側を上に向けたりするのだろうか。やっぱり威嚇行動の一つなのかな? さてこのホウボウ君はどんな変わった行動をするのかというと、水槽の中層というか、表層を一生懸命泳ぐのである。 海では中層や表層を必死に泳ぐホウボウを見た事が無かったから、「へぇ~、ホウボウって中層や表層を泳ぐんだ~」というのが最初の驚きだった。しかも水槽内の流れに逆らってかなり必至にてなって泳いでいた。元来それ程泳ぎが得意じゃないようだから、ヨレヨレといった感じで流れの中を漂っているという表現がピッタリで、とにかく流れに押し戻され真直ぐには泳げない。 たまにバランスを取るためかムナビレを広げるとそれが抵抗となって流れに押し戻されてしまう。それでも必至にシッポを動かして前に進もうとする様は健気で可愛い。 でも流れが強く押し戻されそうになると、最後の手段として普段は腹の下にたたんでいる元ムナビレだと思う足6本をこれまた必至に動かして前に進もうとする。 それはまさしくエビが泳ぐ時に足を動かして進むのと全く同じで、かくして水槽にいるホウボウの1匹は6本の足とシッポで泳ぐエビサカナに変身したのであった。 飼育係の方がその生態というか変態を撮影しようと、ビデオカメラを持って入る時は水底を徘徊する普通のホウボウに戻ってしまう。(水槽の外からはちゃんと確認している)
2004年09月07日
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最近、ミョ~にラッコにはまっている。 何ていってもその仕草が可愛らしく、インチキストラクターも思わず頬をスリスリしてしまいたくなる。 朝と夕方のご挨拶が日課になってしまっているけれど、毎日新しい発見があって飽きない。私が水槽の前に行くと潜ってきて目の前を行ったり来たりして、必ずチラッとこちらを確認してくれる。 昨日の朝、ラッコが潜って来たので水槽の前をラッコの方に走ったら、ぶつかると思ったのか「オ~ット」というふうな仕草で普段は胸に当てている手を前に突き出し、泳ぎに急ブレーキをかけて水面に浮上していってしまった。その時の焦った感じが何とも言えずに笑わせて頂いた。でも顔は無表情なのね、その顔と行動のギャップがたまりません。(驚かせてゴメンナサイ) そして水面で顔を水に浸けこちらの様子を伺って、まだいるな~っと私を確認して再度目の前に潜ってきてくれるのです。 そんな愛くるしい仕草がたまらない。これは開館前にできる私だけのお楽しみ。こんな事で1日楽しくなれてしまう、とっても安上がりなヒーリングだ。 餌は飼育係りの方から直接手渡しで貰うのだけれど、短い手で「ちょ~だい」というふうに上半身を水面から突き出し両手を差し出して餌を受け取る格好は「キャー、ウッソ~、マジ~、ヤバーイ、カワイ~」の世界なのだ。(これは毎日水槽周辺から聞える若いおねーチャン達の5大ボキャ) その後は水面で例のラッコスタイルで餌を頬張る。でも水面でグルグル回りながら食べるのには何か意味があるのか・・・? 手が短いから頭を前に出さないと餌に届かない。そして食べることに集中している。その状態で足は掻いているから背泳ぎ状態で進んでいる。普段であれば回りに気を使っているけれど、この時は食べる事が最優先なので進行方向に神経が行き届いていない。すると狭い水槽だから壁や義岩にぶつかってしまう事がある。結構なスピードだから痛いのかわからないけれど、ビクッとしてその瞬間に餌を離してしまう事があり、水中をヒラヒラ舞いながら沈んで行く。すると慌てて餌を追いかけてキャッチし、ひとしきり海水で餌を洗って再度頬張る。この餌を追いかける時の潜り方と普段の潜り方は全然違い、明らかにラッコがアセアセしている様子が感じられる。感情が行動に表れる分りやすい動物なのだ。 餌を貰う位置も決まっていてメスが右側、オスが左側にチャンと位置して、「ちょ~だい」って手を出す。パブロフの条件反射じゃないけれどきちんと学習している。 先日は、たまたまメスだけがいて1匹で餌を食べていた。でも1分半位で飼育係の方が後に引っ込んでしまったら、この娘が「アレッ、なんか変だな、何でこんなに直ぐ餌が終わっちゃうの、まだお腹一杯になっていないよ~」というふうな無表情の表情で首を長~く伸ばして飼育係が下がっていった方を探している。無表情なんだけれど、悲しそうな戸惑った表情なのです。それを身体全体で表現している。 30秒程して隣の水槽からオスのラッコを連れて戻ってきた時は、ホッとした安堵の無表情な表情を見せて即座に餌を貰う定位置に付く。そしてちょ~だいをする。 よく見るとオスとメスでイカの量が違うのです。メスの方が色々な物を満遍なく食べているような気がした。体重も違うしいろいろ考えて餌の内容も違えているんだろうな。 餌が終わると最後に餌を冷やしていた氷を数10個程床にばら撒く。我々が喫茶店で頼むソフトドリンクに入っているのと同じ1.5cm位のサイズのも。これは水分補給とおもちゃの役割なのだそうだ。場合によっては水を直接飲ませる事もあるとの事。だから水族館によっては氷を与えていない所もあるそうだ。 ここのラッコ達は海水で洗いながら一生懸命に齧っている。この時はさすがに噛む力が必要なのか目が細くなり、一生懸命齧っているぞ~っというふうな表情になる。 可能ならばラッコの水槽にも潜ってみたい。でもよく噛み付くらしくドライスーツに穴があくといけないので(水温が8℃位)ダメなのだ。 噛みつかれても良いので潜らせてちょ~らい。
2004年07月03日
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エトピリカはアイヌ語で「鼻の美しい鳥」とか「美しいくちばし」という意味のウミスズメ科の鳥で、北海道の一部から北方領土、ロシアにかけての断崖に住んでいる。日本では絶滅危惧種に指定されているが、ロシアでは全く保護の対象になっていない。 逆に「ヤマガラ」という鳥はロシアでは絶滅危惧種だけれど、日本では普通種なので保護の対象になっていないという面白い現象がある。 だから、生き物は1国の状況だけで判断し気を付けていないとあっという間に絶滅してしまう怖さがある。 さてこの鳥は水中を泳ぐ事ができる数少ない鳥なのだ。ペンギンの様に空を飛ばずに泳ぐ事が専門の鳥とは違い空を飛ぶ事もできる。でも水面から飛び上がる時は羽をバタバタさせながら必死に水面を走らないと飛び上がれないらしい。アホウドリもそうだけれどかなりの距離を走るその姿を想像するととてもユーモラスだ。 泳ぎはというとこれが意外と速くすばしこい。以前この水槽にチョウザメを数匹入れていたのだのだけれど、オオムの様な大きなクチバシで突付かれて傷だらけになってしまい、いつの間に観客の目に触れない予備水槽に引退してしまった。 自分よりもかなり大きな魚に対しても全然怖がらずついばんでいる。 基本的に浮くので潜る時は羽を必死に動かして泳ぐ事で水中に留まっている。羽の動きを止めると風船が浮き上がるように水面にポコッと出てくる。 餌は切り身だけれど、水面で浮いているうちに食べるヤツと、水中に沈んでいく途中のを潜って食べるヤツがいるのだけれど、あれは何故なんだろう。潜るのが好きなヤツと潜るのが面倒くさいと思っている不精ものがいるのかな? たまに他の鳥の糞をついばんで「ヤバッ」とばかりにペッと吐き出すヤツもいる。 以前、mai屋久島さんからのお便りで水深20mの所に海鵜が泳いでいてビックラこいたと仰っていたが、このエトピリカもかなりの水深を潜るのだそうだ。 だけど、何も知らないで水深20mのところを鳥が泳いでいたら一瞬何事かと固まってしまうよね。 でも一度水中で鳥とご対面してみたい。 んで、エトピリカについて何が言いたいのかと聞かれても、実はこれをお伝えしたいという事がなくて、単なるエトピリカっていう鳥が飼育されているよっていうご紹介だけ。なんせ、水槽の前を通るだけで全くのコンタクトが無いもんで・・・。ラッコと違ってからかっても反応もしてくれないしね。 そうそう、ヴァイオリニストの葉加瀬太郎氏が作曲して情熱大陸のテーマソングになっているので、「エトピリカ」という曲名は聞いた事はあると思いますが、とっても素敵な曲なのでお聞き頂けると嬉しい。
2004年06月27日
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嬉しい事に相変わらず毎週1回イルカのおもちゃになっている。 4月の頃と比べてイルカの態度が変わってきた事は先日の日記でご紹介したけれど、病気だったバンドウイルカの△△も体調が戻って来て噛み付きに力が入るようになりとても痛いのだ。 で、この△△はストレスが原因だったらしい事を教えて頂いた。 その日も最初はかなり痛く噛んできたのでイヤだな~、と思いながら作業をしていた。私の周りを泳いで様子を伺っていて、こっちが確認をしていると噛み付かずにスゥ~っと泳いでいってしまい、気付かないと噛むというパターンなのでおちおち作業もしていられない。 暫くしてこちらに向かって泳いできたので、イルカの気を引く奥の手の行動を実行してみた。巧くこちらの思惑通りにイルカがのってきて1分位からかっていた。 するとそれ以降全く噛まなくなって、しかも私の直ぐ側にいて体にタッチしろとおねだりをするようになった。 こちらからはタッチする事は禁じられているので触れる事はしないけれど、イルカから触りやすいように身体の位置をずらしてやると、スゥ~っと寄ってきてクチバシで私の腕にタッチしてくれる。 イルカ同士でもスキンシップは重要な行為だから、△△が私にタッチしてきた事は彼女が私を受け入れた事の証だと自分の都合の良いように解釈している。 少なくとも危害を与える人じゃない事を認識してくれたようだ。 6匹いるバンドウイルカの中で最も気性が荒く、以前は我々ダイバーには見向きもしなかった△△が甘えてきてくれる。 新米のトレーナーなんかはバカにされて言う事をきかない程で、ショーの最中も気に入らないとフンっていう態度を取る事もしばしばあったそうだ。 そんな彼女が体調を壊してボスの座を下ろされた△△の心境にどんな変化があったのかは分らないけれど、餌をくれるトレーナーでもなく、単なるおもちゃである私に対してこんな態度を取ったのは初めてだった。 それからの30分はずっと私の側にへばりついて、触れ触れ攻撃をしてくるようになった。 ショーの時間は休憩なのでトレーニング用のプールサイドで待機しているのだけれど、その時にショーに出ないおチビバンドウイルカをからかっていると、私も遊んでとばかりにおチビバンドウを追い払って目の前に陣取る。 暫く相手をしてやると、一生懸命反応してくれる。からかうといっても、プールサイドで私が顔を下げて下を向くとイルカも顔を水に浸けるだけなのだけれど、何度もそれを繰り返し、「へヘッ、私もできるもんね~」というふうにちょっと得意げな顔をする。 ギャラはいらないから1日思いっきり触って遊ばせてくらはい。
2004年06月20日
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水族館で私が潜る水槽の温度は8~24℃とかなり幅がある。 「北の海」の水槽は8℃だから必ずドライスーツを着る。ウエットスーツで潜るのは多分20分位が限界だと思う。以前に義岩に産み付けられた卵を採りにウエットスーツで潜ったけれど、その時は5分だったので全然平気だった。新品だったのと、ピッチリに作ってあるので水があまり入ってこなかったので、この時は意外といけるかなと思ってしまった。 でも作業で1時間潜るとなると話は別なのね。やっぱりドライスーツじゃないとイヤだ。 今はファブリックタイプのドライスーツを着用している。インナースーツを変える事で24℃もある「南の海」でも蒸れる事は無いので、全部の水槽をドライスーツで潜る時もある。 このドライスーツの欠点はファスナーが後に付いている事。現在、多分4~5社からフロントエントリーのドライスーツが発売されていると記憶している。 仕事で使う場合は絶対に1人で脱装着ができる事が絶対条件。写真撮影なんかは1人で行くからね。だからフロントエントリーのドライスーツが必要なのです。 以前はフロントエントリーのドライスーツを着ていたのだけれど、それがダメになってしまったので、現在は知り合いのセールスマンから押し売られた新古品を使っている。 水族館の作業にはダイバーの外に必ず陸上要員、通称「ワッチ」が必要なのだ。ワッチは英語の「Watch」の「見る」からきている。 ワッチをやっているのは元受会社のアルバイトの爺さまなのでダイビング器材については全く知らない。しかもダイビング器材って英語そのままで呼ぶから覚えられないのね。だから「あれ、どうします?」「これ、どうします?」と言われて、こっちも「あれ、これ」って何か推測して話さなければならないので大変なのだ。 たまに全然違う物を用意していることもあって、水槽に行って始めて違いに気付く事もり、困ってしまって「ワンワンワン」になるのだ。 この時は、ドライスーツのファスナーをしっかり閉めてくれなかったので、潜った瞬間左の方に浸水が始まった。8℃の水でしょ痛いのですよこれが、決して冷たいじゃないんです。 慌てて浮上してファスナーを閉め直してもらった。でも、インナースーツを交換している時間は無いから、水没状態で作業を開始。 ファスナーが確実に閉まっているのを確認しなかった私が悪いのだけれど、そこで閉め直したりしたら爺さまのプライドを傷つけて悪いな、なんて思ったのが甘かった。 ファブリックだからスーツ本体には保温力は無い。あくまでもインナースーツで保温をする。でもそのインナースーツがびっしょり濡れているから結局水温と同じ8℃に冷やされてしまうでしょ。 もうこの先は書かなくてもお分かりの通り、冷たい・寒い → 痛い → 無感覚 になっていくのです。そして15分もすると震えが襲ってきた。 で、寒いなら全身さむければ頭も身体も納得するのだけれど、左半身だけが冷たくて、右半身は冷たくないのです。だから、身体がどっちのいう事をきけば良いか判断できない状態になってしまった。 これって凄く辛いかった。本当に心臓と脳が痛くなるんだもん。だって右からは普通の暖かい血液が戻って来て、左からは冷やされた血液が戻って来るでしょ、交感神経と副交感神経が同時に機能するんだからたまらないよ。 結局、1時間の拷問に耐えて無事生還したけれど、何をしていたのかは全く覚えていない。水槽から上がる梯子を巧く掴めずに登れなかった事だけしか記憶に無い。聞いた話だともう一人のダイバーがタンクバルブにロープを縛ってくれて、それで引き上げてもらったのだそうだ。 とりあえずドライスーツを脱いでお風呂に直行し、温めのお風呂に20分位入ってやっと生き返った。風呂も左半身はピリピリと痛かったのは想像できるでしょ。 この日、1日機嫌が悪かったのは言うまでも無い。「ばかやろ~」 教訓:最終チェックは自分でしよう。爺さまのプライドより自分の身体。
2004年06月17日
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水族館の生き物にとって餌の時間は最大の楽しみだろう。 まあ、よくこれだけ毎日餌を用意するなと思うほど大量の魚や貝が消費されている。魚をさばく量だって下手な板前さんより多いんじゃないかな。実際に魚をさばくパートのおばさんが数名専属で働いていて、朝から夕方まで何10kgという魚を指定されたサイズに切り分けている。 さて、水族館一のグルメは誰かご存知ですか? 正解はラッコ。 1匹の1日当たりの食費がなんと3万円。(私の1ヶ月分のお小遣いより多い!) 但し、餌の種類によって大幅に差があって、アワビが入ると3万円になるけれど、アワビ無しでイカが多いと1万円位で済むらしい。この辺がちょっといじましい。 この水族館では1日に5回食事を与えている。先日、餌を持った担当者とエレベーターで一緒になったので話していたら、「このまま海岸に行ってビールでも飲みたい」だって。 バケツの中は美味しそうなホタテ、ホッキ貝、アマエビ、小鯵、タラ、スルメイカ、キビナゴ、ウチムラサキ、アワビなんかがどっさり入っていて、刺身でもブイヤベースでもバーベキューでも楽しめそうだった。その辺のすし屋真っ青な品揃。 聞いたところによると刺身用の新鮮な魚介類を与えているのだそうだ。だから人間が摘まんで食べても大丈夫。 ここだけの話、時々飼育係りの方がお毒見をするのだと仰っていた。今度内緒で誘って下さい。ラッコが下痢しちゃまずいだろうから、私が身体を張って鮮度を確かめて差し上げます。 体調によって食欲が変わるので、この水族館では普段から9~10種類もの餌を与えていて、食欲が落ちても何かしら食べてもらえるように工夫している。また好きな物だけを与えているとそれしか食べなくなってしまうのだそうだ。 ラッコは皮下脂肪が無いから餌で接種するカロリーで産熱するので、体重の20~30%位の量を食べなければならない。体重が30~40kg位あるから、少なくとも6kgで多ければ12kgにもなる。カロリーは5,000~6,000kcalもある。人間だったら確実におデブになって、痛風、糖尿病、脂肪肝になってしまうだろうな。 ラッコといえばお腹の上で貝を割る仕草があるけれど、水族館では貝殻つきの貝は与えない。一つは水槽の底に散乱した貝殻の回収が大変な事。なんせ水温が8℃だからね。 それと、飼育されているラッコは水槽のアクリルガラスで割る事があるので、傷つくのを防ぐ意味があるそうだ。アクリルは柔らかいから簡単に傷ついてしまう。サメの水槽では歯がぶつかったらしく表面が欠けて直径5mm、深さ3mm位の穴が空いている。 そんな訳で、残念だけれど水族館であの貝を割る仕草を見る事ができない。でも飼育係りから貰う餌を美味しそうに食べる姿は可愛い。 ちなみに昨日も今日もしっかりと交尾しておりました。来年に期待。
2004年06月15日
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陸上のものも含めて人懐こい動物が何種類もいる。イヌなんかもその類に入るだろう。 この水族館で飼育されている動物ではラッコとイルカが最も人懐こい動物だ。 アシカも人懐こいし、そのヒョウキンな動きでショーの人気者だけれど餌を持っていないとトレーナーが側に行っても「フンッ」という感じで関心を示さないそうだ。それと気性が荒いので結構噛み付く事があるのでここの水族館ではアシカのトレーナーは全て男性で占められている。 その点イルカは女性が多く、小学校の女子児童がなりたい職業の一なのだそうだ。 その点ラッコやイルカは餌のあるなしに係わらず、人に寄って来るし遊ぶ事を要求してくれる。 イルカと違ってラッコの表情の変化はまだ分らないけれど、仕草では十二分に私の心を掴んで離さない。逆に無表情なのに仕草で感情が分るのが面白いのかもしれない。 また、飼育係が手招きをすると餌じゃなくても寄ってきたり、指をさすとちゃんとそっちを向いたり、その方向へ行ったりする。 ラッコは約8億本の毛に覆われていて寒さから身を守っている。だからグルーミング(毛繕い)は欠かせない。これを怠ると寒さで死んでしまうのだそうだ。ラッコはアザラシと違って皮下脂肪が無いのでこの毛と、毛の間の空気と餌のカロリーで体温を保っている。 ラッコは水中で手を使わない時は必ず手のひらをお腹にくっ付けている。手のひらには毛が生えていないので手のひらを長時間水に浸けておくと体温が下がってしまうので、必要な時以外は保温のためにお腹に付けている。 ところが、朝一でラッコの水槽の前に行くと、まだ開館前だからガードマン以外の人間を見ていないので私に興味を持ってくれて必ず目の前を泳いでいく。 その時、こっちも「おはよう」と声をかけて手を上げると、たまにラッコも真似をして「ヨッ」という感じで手を上げる事がある。 ラッコとアクリル越しだけれどコミュニケーションが取れるのだ。この瞬間はとっても嬉しいし、優しい気持ちになれてその日1日がとても幸福なのだ。 控え室に戻ろうとすると「もう帰っちゃうの」という感じでこっちを覗き込んで「行くなよ」というふうな態度を取る。これが可愛くて仕方がない。後ろ髪を引かれる思いがする。 たまに水槽の前のベンチに座るとホッとした様子でこちらを見ながら何度も潜って来る。 夕方、作業が終わって会いに行くと餌の時間にぶつかる。陸上には餌をくれる飼育係がいて、下には私を含め観客がいるのでそっちも気になるらしく陸上と水中を何度も見てどうしようかと迷うのだ。取りあえず水面で餌を受け取って食べるのだけれどこっちが気になるようで、顔を水に付けて下の方にいる私を気にしながら慌ててイカを頬張って潜ってくる。 その姿は誰がみても焦っている事が分るので、観客も「何であいつこんなに焦っているんだ?」と会話をしながらラッコの様子を楽しんでいる。 先週から別居中だったオスのラッコが戻って来て同じ水槽で生活を再会した。 すると今まであんなに私に興味があって反応していたのに、一気に無視されるようになってしまった。 やっぱり人間のオスよりラッコのオスの方が良いみたいだ。 これで今年2回目の失恋をしてしまった。 でも良いんだも~ん。 これで来年か再来年、元気に赤ちゃんがうまれてくれれば寂しくなんかないわい。
2004年06月14日
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今、ダイバーの世界ではドルフィンスイムがブームになっている。関東だと御蔵島で盛んに行われているので一度行ってみたい。 また水族館では油壺マリンパーク、下田海中水族館、八景島シーパラダイス、鴨川シーワールドでイルカにタッチしたり、一緒に泳いだり潜ったりする事ができる。 私の場合はお金を頂いて毎週イルカに遊んでもらうという恵まれた環境にいるので、周りの友人達からは羨ましがられているけれど、野生のイルカにもとても魅力がある。 イルカはテレパシーというか気を送っていて一緒にいるだけで癒される。だから、イルカの水槽に入った数日はとてもハッピーだ でも何度も言うけれど水族館は痛い。 この水族館ではバンドウが積極的にアプローチしてくる。最も多いのが足を突付いたり、齧ったりするお遊びだ。ちょうどイヌが飼い主とじゃれて噛むあれと同じだ。 オキゴンも身体を押し付けてきたり、ウエットスーツのファスナーを下げたりする。 この時にイルカの性格が如実に表れる。足の裏をクチバシで突っついたり、優しくハグハグと噛む奴と、パコーンと勢い良く噛む奴がいる。相手はお遊びのつもりでも体重250kg以上もある相手だから力が人間と違うしパコーンとこられるとメチャンコ痛い。 イルカはハクジラ科に属しているからしっかりとした歯がある。しかも肉食だからイヌやネコと同じ円錐形の尖った歯だ。歯は全部で約80本もある。でも餌を食べるのを見ていると丸のみしているから歯は必要無いように思えるだけど・・・。 写真で分ると思うけど結構ギザギザしている。カマイルカは身体が小さい分歯も小さく細かいので噛まれると皮膚に食い込んで確実に出血してしまう。昨年噛み癖が付いてしまいダイバーの足に噛み付く、トレーナーの手に噛み付くでショーの最中にトレーナーの手に噛み付いて血だらけでショーを続けた事もあったそうだ。 一昨年はまだ足を噛むまでは無かった。人間の子供のように触りたくてそばまで来るけれど、触れなくてピュ―ンと逃げて行っていた。でもカマイルカはバンドウの真似をしているのでいずれは噛むなと思っていたら、本当にそうなってしまった。 今はトレーナーの手に噛み付く事は訓練で直したそうだけれど、水中ではバンドウが噛むから直らないみたいだ。 オキゴンは身体が大きい分、歯も大きくて、ちょうど明治だったか森永だったかのアポロチョコレートみたいなのだ。 メスのオキゴンの歯はかなり磨り減っているので、オスのオキゴンと比べてお姉さまらしいと教えてもらった オキゴンのあのブットイ歯でガリッと噛まれたら確実に骨が折れるだろう思う。でもオキゴンは優しいので今の所は噛む事はしないでくれている。 というように、イルカのプールは楽しいし癒されるけれど、一歩間違えばとっても痛い世界なのだ。 実際に、2001年の11月に左足の小指の中足骨にひびが入ったからね。 でも、決してイヤにならない。何故ならイルカに愛を感じるから。
2004年06月13日
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またまたジョーズのお話。今回はメスのヨシキリザメがあがった。 このサメも食用ザメとして珍重されていてフカヒレは高級品だ。まだ子供なので性成熟も未熟で子宮も小さく胎児は影も形もなかった。 このサメは体中に他のサメに噛まれた傷があって飼育係りの方も「どうしちゃったんだろうね」と首をかしげていた。尻ビレの手前に噛み傷があるのが分るだろうか。 こちらは背ビレの横の写真。はっきりと歯型が付いている。交尾する時はオスがメスの身体に噛み付いて身体を固定し交尾するけれど、まだそんな年齢じゃないし、他のサメに襲われたのだろうか。自然の中では傷ついたサメは即餌の立場になってしまうのでその意味では良く逃げられたなと思う。 顔を見て笑ってしまたのだけれど人間の顔みえませんか。鼻が魔女みたいで・・・。 さて、体長や体重を測ると解体するのだけれど、お腹を裁いて胃の内容物の確認や子宮内の確認などをする。 左下に見える大きい袋が胃袋でその右の太めの管が腸。ナイフも普通の包丁ではなくて解体ようの特別はナイフなのだそうだ。刃と柄が別々で使用するときに組み立て使う。切れ味は凄くて分厚い脂肪も難なく切る事ができる。 話は変わるけれど時代劇で主人公が1本の刀でバッタバッタと敵を何人も切り倒すシーンがあるけれどあれはウソなのだ。実際には2~3太刀人を切ると脂肪で切れなくなる。だから黒澤明監督の「7人の侍」で三船敏郎演じる菊千代が刀を何本も刺しておいてとっかえひっかえ戦ったのが正解なのだ。 だから水族館にもレストランでお肉を切る時に包丁の油を取るヤスリがあって、シャカシャカと油を取りながら解体を続けているのだ。 胃の中からはイカと半分消化されバラバラになったサバが出てきた。 こうして解体されたサメは統一された指定のカルテに必要事項が全て記録される。また脊椎や組織をサンプルとして保管し研究している。 そして余ったお肉は飼育係のお腹へ。
2004年06月09日
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水族館の水槽に潜ると痛いという事は何度もご紹介している。 色々な魚に齧られ、シッポで引っ叩かれ、体当たりをされ、身体で壁に押し付けられ、流れに押され頭突きを食らわされ、散々な目に逢うのだ。 でもそれ以上に魚を側でじっくりと見られるのがインチキストラクターとしては楽しい。イワシやアジなんかは逃げるけれど底の方にいる奴らは急激な動きをしない限り殆ど逃げない。魚によっては向こうから寄ってくるからね。 先日も大小2匹のクエにキスをされたというか、体当たりをされたというか、齧られたというか、第4種接近遭遇をしたのだ。さすがに1m以上もあるクエが目の前にいるとビックリするよ。しかも齧るんだからね。歯は鋭くないので怪我をする事はないけれど、あの分厚い唇でブチュ―と挟まれたら怖いよね。 幸い怪我も無く、アタックは1度きりだったので実際のところ何だったんだろうという気持ちでいっぱいだ。それとも美味そうな餌に見えたのだろうか。でも朝1番の作業だから餌の時間じゃないし・・・? こんな事がたまにある。 でも1度でもいやだな~と思う奴もいる。でもそういう奴に限って寄ってくる。ダイバー = 餌をくれる人だからね。 その時はいきなり、ドシンという衝撃と共に起こった。また、魚がぶつかってきたのかなと思ったけれどいつまでも身体から離れないのだ。 アクリルに写っている自分を見てビックリ、頭にウツボが喰らい付いていたのだ。正確に言うとウツボの歯がフードのエア抜き穴に引っかかって外れなかったのだ。 人間って予想外というか想定外の事が突然起こると一瞬それを把握くするまでに時間が必要みたいだ。事態を理解するのに3秒程かかった。絶句状態になっていたのだ。 真っ黒なフードに黄色いウツボがポニーテールのようにくっ付いている。奴も慌てているらしく身体をバタバタさせて外そうとしているけれどネオプレーンゴムに食い込んだ歯はなかなか外れないようだ。しかたないからマスクを外し、レギュレーターを外し、フードを脱いで、レギュレーターを咥え直し、マスクを装着してフードからウツボを外した。 朝1番でまだ観客もいなかったので恥ずかしい姿をさらさずに済んだ。私も驚いたけれど、奴もそうとう驚いたと思う。今考えてもどうして下の歯がフードのエア抜き穴に引っかかったのかは分らないけれど、取り合えず頭は無事でかすり傷も無く一緒に潜っていたダイバーに笑われただけで済んだ。 疲れた。
2004年06月06日
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イヌザメがタマゴを生み水槽の底に転がっていた。担当者が柄の長いアミですくい上げた。 ちょうど作業に入る直前だったので写真を撮る事はできず、あと5分早ければと思うとチョット残念。チェッというヤツだ。 ラビオリの4隅から紐が出ているような形で(と言われても分らないと思うけど)色は茶色だった。 ライトに向かって透かして見ると、ちゃんと受精していて中には胎児の原型が黒く見えている。この水族館では数個に1個位の割合で受精卵が生まれているそうだ。受精していなければ空っぽのタマゴなので直ぐに区別がつく。 実は数日前にも受精卵が生まれていた。作業に入った時床にタマゴがあったので取り上げて中を確認し、黒い塊が見えたので受精卵だと思い浮上して陸上要員に渡そうとした瞬間にシマネコザメに食べられてしまった。 この時のシマネコ君はイアン・ソープより速く泳ぎ、アラン・ラッドより素早く私の手の中のタマゴを食べてしまった。途中でワープしたのかもしれない。 サメは他のサメのタマゴが好物のようで、以前サメの種類は分らないのだけれど中身が薄いクリーム色のタマゴが数個あったので袋に入れて陸上要員に下ろしてもらったロープに縛って引き上げてもらっている途中に、数匹のネムリブカに襲撃され袋はボロボロにされ中身のタマゴを全て食べられてしまった。 ネムリブカ(ホワイトチップ)はネコザメ同様私の中ではヘナチョコザメに分類しているから、生徒さんを引率していてホワイトチップと遭遇しても平気だ。 この時のネムリブカはやっぱりメジロザメ科のサメで、噛み付いて身体を激しく揺さぶり袋を引き裂き、アット言う間に中のタマゴを平らげてしまった。 ネムリブカでもバカにできない。 以前ご紹介したけれど、イヌザメは繁殖賞を取っているので飼育ノウハウは持っているから多分孵化して育って行くだろう。 でも、水族館で飼育している動物が繁殖する事にも実は大きな問題がある。それは近親相姦じゃない近親交配が起こってしまう。親と子、兄弟姉妹同士で受精させてしまう。これが問題になる。今いるイヌザメの中には10年以上飼育されているものもいる。先日死んだヤツも6年生きていたからね。 そこで水族館同士で生物の交換を行っている。実は来週にも関西の水族館からイヌザメが入ってくる予定だそうだ。勿論、先方の希望する生物とのトレード、或いは金銭トレードかもしれないけれど、新しい血を入れる事を定期的に行っているのだそうだ。 数ヶ月前にもペンギンの卵を数10個程他の水族館と交換したばかりだ。ある程度の期間が経ったら近親交配にならないように他の水族館と交換しているのだ。 何匹位孵化するのか楽しみだ。
2004年06月05日
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最近は何故かジョーズの話題が多い。 でもジョーズ君が立て続けに上がるのだから仕方が無い。 今回のジョーズ君はニタリ。実はニタリが上がる前日にアオザメも定置網に入っていた。しかし傷みが激しかったので頭部のみ持ってきたそうだ。 アオザメは本当にきれいな形をしている。サメらしいサメというか・・・。 でもここの狭い水槽では飼育できないので今後生きた状態で捕獲されても大丈夫なのだ。美ら海や大阪の海遊館のような巨大水槽ならば飼育できるかもしれないよね。 体長(頭からシッポの付け根)1.8、で全長が3.6mのメスでニタリとしては最大級のものだそうだ。 触ってみると全身がブヨンブヨンしていて水を入れた風船のような感じがした。特にお腹の方は凄かった。 さすがにサメ担当の方はこの時点で胎児がいる事を確信している。凄く嬉しいそうにサイズや重さを計測し始めた。 前にもご紹介したけれど、ニタリやオナガザメは肌がもの凄く弱く生きている時には人が素手で触っても痕が残るので、定置網なんかで捕獲されたサメだとボロボロになってしまう。しかしこのニタリは大きな擦り傷も無くとてもきれいな状態で捕獲された。 知っています? この異常に長いシッポには重要な役目があって、魚の群れに突っ込んでいきこのシッポで小魚をひっぱたいて弱らせて餌にするんだよ。 確かにムチのようにしなるこの固いシッポでひっぱたかれたらイワシやアジなんかだったら泳げなくなっちゃう。人間だって痛いと思う。トラフザメのシッポでひっぱたかれた時、目からお星様がとびだしちゃったからね。 と、飼育係の方から教えて頂いたのだ。 これがちょうどお昼休みの事だった。作業が終わって4時に行くと解体は既に終了していて跡形も無くなっていた。 そして、倉庫にいたのがこいつらだ。 何と胎児が4匹も入っていた。シッポの先まで2m位あるから相当デカイ子宮だったんだろうな。 赤ちゃんの顔はたとえサメであってもとても可愛かった。
2004年06月03日
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イヌザメが落ちた。 最近落ちた話が続いているけれど、生き物を扱っていると死は仕方がない。でもこのイヌザメの死は事情がチョット違う。 このイヌザメはこの水族館で生まれたサメだった。しかも6年も生きていた。 午前中の作業が終わって控え室に戻る途中、午後入るサメの水槽を上から覗いたらイヌザメが腹を上にして沈んでいた。 担当の方を呼んで引き上げたのだけれど、まだ死んではいなくてかろうじて生きていた。Kさんが潜って抱えた瞬間動いたのでかなり驚いた様子で泡が一気に浮上してきた。生きていたとはいえ瀕死の状態だから噛み付くとか暴れる事はできない。水槽の縁にあげると取りあえず全身をチェックした。皮膚の色がおかしくて、黒いシミのようなものが浮き上がっていた。その場では判断できないから解剖してみるとの事で、研究室の方に運んでいった。 水族館の役目の一つに生物の繁殖がある。絶滅危惧種などを繁殖させ飼育方法を研究している。多くは他の水族館や水産試験場とタイアップして情報の交換をしているそうだ。 さて、約6年前にこの水族館で生まれたこのイヌザメは「繁殖賞」を受賞した魚だった。「繁殖賞」とはその水族館で生まれて6ヶ月以上生存した魚や海獣などに贈られる日本動物園水族館協会が与える賞だ。 この賞にはいくつかのルールがあって、初めての生物でなくてはならない。他の水族館ですでに繁殖賞を受賞したものには贈られない。 その水族館で誕生していなければならない。だから他の水族館で孵化した生物を譲り受けた場合は該当しない。勿論、海から採取して6ヶ月以上飼育しても対象にならない。 人工授精は許される。海や川からオスとメスを採取してきて卵を取り出し、精子をかけて受精させ水槽内で孵化したものは対象となる。 その他にも幾つかの規定がある。 この賞は水族館にとっては勲章で、その水族館の飼育能力の高さを示すものだからだ。すでに20以上の繁殖賞を持っている水族館もあるのだそうだ。 私がお世話になっているこの水族館は3つの繁殖賞を受賞している。今も数種類の魚で繁殖賞を狙っているが、初めての魚でなければいけないという事は飼育ノウハウが確率されていない訳だからどうしてもトライ&エラーになってしまい、今チャレンジしている魚は今年で3年目だそうだ。今年は何とか受賞できるかもしれないとかなり力が入っている。 ポピュラーな魚はある程度の飼育ノウハウが確率している。しかし、マイナーな魚は生態もしっかり知られていないので難しい。だからこそチャレンジのしがいがあって面白いのだそうだ。 実際に飼育現場を見たけれど、稚魚は糸くずみたいに小さいので、家庭の水槽でも見る事ができるブクブクと出る酸素の泡でも身体が裂けてしまうほどデリケートなのだそうだ。虫眼鏡で見ないと稚魚が分らなかった。 いろいろ工夫してダメージを与えないようにしている。水族館の用具は規格品が少ないので、魚に合わせて自作する事が多い。工作室にはいろいろな工具がある。 繁殖賞とは関係ないけれど、飼育方法の確立している生物の同じ受精卵を譲り受けても、A水族館では飼育できて、B水族館では飼育できない事もあるそうだ。濾過装置や温度管理などを同じにしてもダメらしい。水の違いによって飼育ができない事もあるらしいので飼育は本当に難しいと仰っていた。 かくしてイヌザメは死んでしまったけれど、水槽内は相変わらず泳ぎ回るハンマーヘッドと寝ているトラフザメやイヌザメ達のいる気だるい午後が始まろうとしていた。
2004年05月31日
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また、いつもの定置網からジョーズが入ったとの連絡があった。 今回のサメは前回と違ってホオジロザメでなく「ネズミザメ」だった。ネズミザメは本来北方系のサメなので関東で捕獲される事はとても珍しい。この定置網でも年にせいぜい1~2匹入る程度なのだけれども、それが今回は1度に14匹も入っていた。 原因は親潮が強くそれに乗って来たんだろうとの事だ。そう言えばサイズは小さいけれどホオジロザメも何匹か入っているそうだ。 ここ数年地球規模で異常気象が観測されているけれど、海の中も大きな変化があるみたいだ。 結局、最も大きかった2m強のものと1.3m位のものを2匹、計3匹運んできた。大きいものでは体長が3m以上になり、結構良い値段で取引されているそうだ。 写真は1.3mのもので冷蔵庫に搬入される直前を撮らせて頂いた。このサメは1週間後に解体された。以降の写真は全て1週間後に解体された時の1.3mのサメのものです。 写真は胃袋と腸で、中から10cm位のイワシが出てきた。右側のしわしわが胃で、左側のずんぐりした太い部分が腸。(共にメスで開いてある) 良く見るとエラのような薄べったい腸が見える。これが螺旋階段のようになっていて周りを膜が覆っている。取り出して真直ぐに伸ばすと数mになる。 顎の骨を取り出していたので見せて頂いたら面白い事が分った。ネズミザメの歯は人間のように歯と歯が当たっているのではなくて、下の歯は上の歯の内側の歯茎部分に当たっている。この組織はもの凄く弾力があり、歯の位置が凹んでいて自分の歯で組織が傷つかないようになっている。まあ自分の尖った歯で自分の口が血だらけになっていたらおバカだけどね。 見える歯は1~2列だけれど、歯茎の内側にはしっかりと新しい歯が隠れていて、こんなチビザメでも噛まれたら痛いなあ~と思う。指先で歯の先端を突いてみたけれど、軽く当てるだけでもとても痛い。解剖用のハサミで顎の骨に付いている肉を切り取っている時に係りの方の指が歯に当たってスパッと切れてしまった。 ネズミザメは食用のサメとして珍重されていて最大の水揚げ地は気仙沼で、築地市場にも並んでいる。 今回はタイミングが悪く両日共作業が終わって見学に行った時には解体が終わっていて肉は全て分配されていた。 肉はもの凄く柔らかくブヨブヨしていて引っ張ると1.5倍位に伸びてスポンジのような繊維が見える。こんな肉が本当に食えるのだろうか、美味いんだろうか、という印象を持った。肉だけを見るとホオジロザメの方が美味そうだ。新鮮だった事もあって生臭さやアンモニア臭は全く無い。 しかし食べた飼育係の方に聞いたところ、バターでソテーにして塩・コショウをして食べたそうだが、火を通すと身が締まって生からは想像できない程美味かったそうだ。味はホオジロに比べても遥かに美味いらしい。今回は食べられなくてチョット残念だった。 ザルに入っているのが心臓で、部位としては最も値段が高いそうだ。地元の漁師さん達には精が付くという事で珍重されている。血抜きをして酢味噌で食べるのが一般的な食べ方らしい。 フカヒレも重要でシッポ・背ビレ、胸ビレの順で値段が違うそうだ。大きい方が値段が高い。フカヒレといえば中華料理を思い出すけれど、かなりの量が日本から中国に輸出されている。このネズミザメやヨシキリザメが原料になる。 サメの肉=蒲鉾といわれているように、身は蒲鉾の原料として無くてはならない存在だ。笹カマボコもサメが原料なんだろうか。以前、カワハギ、エソなんかで作った特製蒲鉾を食べたがあるけれど、その辺のスーパーで売っているものとは違ってとても美味かった。 シッポやヒレはビニール袋に入れて持って行ったけれど、どうしたんだろう。
2004年05月30日
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イルカ達と再会して2ヶ月が経って最近はイルカ達にもビミョ―な変化が現れてきた。それはとても良い方向への変化でとても嬉しい。 一つは体調を崩していた「△△」が元気になってきた事だ。あの後知ったのだけれど「△△」は潰瘍ができていたので食事ができず激ヤセしてしまったのだそうだ。 4月の初め頃は本当に酷かったらしい。でも4月の後半になると結構な力で足を噛み付いてくるようになったので「今日は痛く噛まれましたよ」と獣医さんに話したら「体力が戻ってきたみたいだね」と仰っていた。先日の体重測定では体重が20kgも戻ってきていたのでもう死ぬ事はないそうだ。そこまで酷かったとは思ってもいなかったけれど、足の多少の痛み(実はかなり)はガマンしよう。 もう一つは「□□」に優しさが戻ってきた事だ。「○○」はあまりにも強烈に噛むので作業の時は隔離してもらっているので、ショー用のプールにはオスのオキゴンとオスのバンドウとこの「□□」の3匹が残っている。 「□□」も4月はかなり痛く噛んでいたけれど最近は殆ど噛まなくなってきた。クチバシで突っついたり、軽くハグハグと口で挟む程度だから安心して作業ができる。 4月初めはマジにスチールの入った安全靴を履こうかと思っていた。海獣課の課長さんも「履いていいよ」仰ってくれていたからね。 それに加えて甘えが始まってきた。「ねえ、さわってよ~」とばかりに身体をしならせながら寄ってくるようになった。まだ以前程ではないけれど1年前の甘え方に戻りつつある。バンドウイルカは表情が豊かだから可愛くてしょうがない。 スキンシップはイルカにとってとても大事なことだ。イルカ同士もスキンシップでお互いを確認しあう。まして閉鎖環境でストレスの多いイルカ達にとって人とのスキンシップはとても重要だ。だからトレーナーの方々も練習の合間にイルカに触れている。 だから作業じゃなくて、水中でおもいっきりイルカに触って一緒に遊んでみたいと思っている。イルカと私のストレス解消に是非やってみたい。 この娘は足をパクッと噛むと必ず目の前に泳いできて「どうだ」という顔をして泳ぎ去って行く。まるで子供がチョッカイを出して親の顔を見てニヤッと笑って走っていくのと同じだ。これを飽きずに繰り返す。だから4月初旬は痛くてしょうがなかったし、作業の効率も悪くてまいっていた。 そして噛みにくる時にこっちが顔を上げて目が合うと知らん振りをして泳ぎ去って行くという頭脳プレーもする。 イルカは近づいてくる時に必ずこっちを見て来るので、その時にイルカの興味を引くような動作をしてやる。そうするとイルカも「ン、何だ」という顔をして目の前で興味深そうに凝視している。そんな事を何回か繰り返すうちに噛まなくなってきたのだ。 これをやると絶対いるかに触る事ができる。でも触る事は禁じられているのでやれないのがとても残念。 これは飼育されていて人間と信頼関係があるイルカだけにしか使えない技なのか、野生のイルカにも使える技なのか是非試してみたい。もし、野生のイルカにも使えるのであれば御蔵島での遊びがもっと楽しくなるんじゃないかな、と思っている。 イルカは可愛い。
2004年05月29日
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ウツボは見た目も可愛くないし噛まれるという事もあって、「海のギャング」というイメージが定着しているように思う。 確かに呼吸のため口をパクパクしているのは、いかにも「噛むぞ」と威嚇していようにも見えてしまうから仕方が無いのかもしれない。 歯が鋭くてあんなので噛まれたら大怪我しちゃいそうだし、実際に友人が噛まれて12針縫ったり、飼育係がブーツの上から噛まれた傷跡を見ているのでマイナスイメージが強いのかもしれない。 でも私が作業をしている水槽に飼育されているウツボはみんな大人しく、良く見るとそれなりに可愛く思えてしまう。いつも見ているとなんとなく情が移ってしまう。 でもトラウツボはウツボに比べて気が強いような感じがするので気を抜かないように注意はしている。 ウツボは岩の割れ目にその身体をつっこんでいる。水槽の中では特等席が限られているので5~6匹のウツボが同じ割れ目に身体を押し込んでいて、仲良く口をパクパクさせている。 作業で入っているので写真が撮れないのが残念だけれど、知らない人が見たらやっぱり怖いと思うだろうな。 夕方、餌が撒かれると床まで落ちてくるのだけれど、ウツボは「餌だ、餌だ」とばかりに突進していく事はない。意外とボーっとしていて、ほんの10cm横にアジの切り身があっても食べようとしないのだ。餌が口に当たらないと食べないみたいで、この時はゲソが巧く口に当たって初めて食べる動作に入っていった。 だから、私が切り身を拾って口に当ててあげると、「ん、何だ」とばかりに切り身を噛んで向きを整え飲み込む。イワシを口のところに当てた時はビクッとして一瞬ひるむんだよ。そして「ああ餌だ」と分るとパクパクゴックンのリズムで飲み込むのだ。 5個目の時はちょっと色気を出して手のひらにアジの切り身を乗せてウツボの口元に差し出してみた。手を噛まれるかなという思いはあったけれど、食べ方を見ていて大丈夫だろうと安易に判断してあえてやってみた。 結果は上手に手のひらの上の切り身を上手にパクパクゴックンしてくれた。手は何とか無事で医者のお世話にならずにすんだ。 そして、満腹になったのか分らないけれど後ずさりしてどこかへ泳いでいってしまった。 その時の様子がまるで時代劇でおかっ引の子分の韋駄天の辰なんかが赤ちょうちんで一杯ご馳走になって「親分、どうもごちそうさんでした。あっしはこれで失礼いたしやす。」と手刀を切りながら飲み屋を後にするシーンとダブってしまって、思わず「気を付けて帰えんなー」という杉良太郎の気分になってしまったインチキストラクターだった。
2004年05月27日
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赤ちゃんの動きは人間だけでなく、犬でもライオンでもアザラシでもとても可愛い。そのぎこちない動きとあどけない顔が良い。 女の子が「うっそ~」「マジ~」「可愛い~」と3大ボキャブラリーで叫ぶのが分る程おじさんも可愛いと思う。同じエイでもホシエイの眼つきとは明らかに違って優しさがある。 餌の食べ方もヘタクソで微笑ましいというか、思わず頑張れと声をかけたくなってしまう。 今日ご紹介するのはトビエイの赤ちゃん。シッポを除くと体長20cm位、ヒレの幅も30cmあるかないか程度のおチビちゃん。 トビエイの赤ちゃんは他の大きな魚に圧倒されているのか床にへばり付いている。だから水面から餌が降ってきてもありつけるのは必然的に最後という事になる。 だから目の前に餌が振ってくるとこれ幸いと餌の大きさを考えずに咥えて岩の隅の方に移動する。この時、口のサイズの何倍もある餌だから巧く1回で咥えきれずに何度も落としてしまう。その度に他の魚に餌を横取りされないようにヒレでガードして必死に咥えようとする様は、もたもたして不器用でもの凄く焦っている感じがはっきりとわかる。 思わず「頑張れ」と声をかけたくなってしまう。 何回かトライ&エラーを繰り返し岩の側まで来ると安心して食べ始める。まだ赤ちゃんだから知恵がないのはしかたないのだけれど、典型的な「頭隠して尻隠さず」だ。目の前に岩があるから隠れていると思っているようだ。 ここで本人は落ち着いて餌を食べ始める。一気には食べられないから少しずつ齧ってモグモグしている。ちょうど歯の生えかけた人間の赤ちゃんが、赤ちゃん用のせんべいを食べるのと同じ仕草だ。この時は餌を運んでいる時とは全く異なり、目が「美味い、美味い」と言っている。 でも、動物の世界は弱肉強食だから赤ちゃんエイは他の大きな魚に脅しを食らわされる。その時はネコザメが後からチョッカイを出したのだ。赤ちゃんトビエイは驚いて20cm位飛び上がる。すると餌が水の動きで後の方に流れていってしまった。着底してお腹の下に餌が無い事が分ると「あれ、餌が無いよ~」と周りをキョロキョロ見渡すのだけれど後ろを見るという知恵が働かないので前の方しか探さない。この時は明らかに「アレッ、アレッ」というふうな悲しそうな目をしている。動きもオドオドした感じで、身体を細かく左右に振るだけだった。後を見れば尻尾の横に餌はまだあるのに。こうして大人になっていくのさ。 そしてネコザメは悠々とアジの切り身一かけを食する事ができたのだった。
2004年05月23日
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この水族館には多くのサメが飼育されて、その中には人に危害を加えた記録のあるサメも何種類かいる。 今の所それらのサメには危害を加えられていないけれど、本来人間に危害を加える方に分類されていないサメに齧られるのはどうしたことだろう。 ネコザメがこれまで人に危害を加えたという話は聞かない。普段は水深の深い所に生息しているからレジャーダイバーと出会う事も少なく、1~3月頃が産卵期で若干浅場に上がってくるので運が良ければ合う事ができる。私が海で出会ったのは2月で水深は30ンmの所だった。 ネコザメは私の中ではヘナチョコザメに分類しているので怖いという気持ちは全くない。 この水族館で始めて10匹近い数のネコザメと水の中でご一緒させて頂く事となり、かなりじっくりとその生態や性格を観察する事ができた。 餌付けされている事もあるだろうけど人懐こい性格である事は間違い無いと思う。仲間のシマネコザメもそうだったからそうなのだ。 作業をしていると足の間に擦り寄ってきて、あのデカ頭をスリスリしてくる。ネコザメの名前の由来は顔がネコに似ているからだそうだけれど、私はあのゴロニャン性格がネコ的なので名前を付けたと言われても納得してしまう。 でもこのゴロニャンは餌をクレと言う催促の表れで下心がムンムンしている。この点がホシエイと全く違うところだ。ホシエイは餌とは関係無く寄って来て目の前でホバーリングして「なんだコイツは」という感じで私の事を観察している。 でもネコザメは夕方の餌の時間に近づくと擦り寄ってくるのであって午前中はあんまり寄って来ない。でもこの分りやすさも決して嫌いじゃない。 かなりしつこくおねだりするけれど、こっちは仕事で潜っているから相手にできない。すると「腹減った~」とばかりに足の指先にしゃぶり付いてくる。普通サメって食えない物と分るとそれ以上襲わない。あのホオジロザメだってサーフボードを齧ってこれはダメだと分るとどこかへ行ってしまうのに、このネコザメはブーツが食える物と理解しているようで何度もしゃぶってくる。そしてカプッとマジに噛み付いてくる。 歯は尖った肉食系の歯ではないので怪我をする事はないけれど、サザエなんかの殻を砕くだけの顎の力はあるので痛い事は痛い。 歯は丸いセンベイのような形で、陶器のおろし金のようなブツブツした歯が上に2つで下に1つ付いている。 こっちも痛いから足を勢い良く引っ込めると口から外れるのだけれど、直ぐに噛み直してくる。結構しつこいというか 諦めが悪いというか、何度も繰り返して来る。しまいにはこっちもイライラしてくるので、頭をポカッと軽く(本当に軽くだよ)蹴飛ばしてやると、取りあえずは驚いて逃げて行く。飼育係の方からは蹴飛ばす事の許可は頂いているので決して動物虐待ではない。 でも暫くすると又戻って来て同じ事をするめげないヤツラなのだ。 ある日一緒に潜っていたC子さんに噛み付いた。その時は水中でフードを被っているにも係わらず「ギェ~」と言う叫び声が聞えてきた。何だ何だと周りを探して見ると、C子さんの右の上腕にチビネコザメが1匹ぶら下がっていた。 C子さんが腕を振り払って離そうとするのだけれど、しっかりと咥えられたその腕にぶら下がって離れないのだ。私に向かって一生懸命、ネコザメを指差している。後から聞いた話ではC子さんは「外して欲しかった」との事だった。でも、私はインチキストラクターだから、「ねえ、見て。腕にネコザメが喰らいついているよ、面白いでしょ」と解釈したのだ。何故なら叫び声とはうらはらに目がマジになっていなかったので、さすがはインストラクターだと関心して、フリフリしている腕にぶら下がってヒラヒラしているネコザメのユーモラスな動きを見ていたのだった。 結局1分程C子さんの腕に喰らい付いていたけれど、顎が疲れたのか涼しい顔をして岩陰に泳いでいってしまった。 ちなみにC子さんの腕にははっきりと赤い丸の痕が残っていた。
2004年05月21日
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前回同様のお断り:この浜○幸○さんは架空の人物であり、同姓同名、もしくは似たようなお名前の方とは一切関係がありませんので予めご了承下さい。 前回は写真付きでご紹介しましたが、似てると思いませんか。 実はシイラは成長がとても早く1年位で1mにも育つ。昨年の8月に潜った時は4~5匹のシイラがいたのだけれど、今年の4月に潜ったら1匹もいないのだ。 金色に光る姿はとてもきれいだし、釣り人には引きが強いのでとても人気の魚だ。また、マヒマヒと言って南の島では高級魚の仲間なのだ。(残念ながら食した事はない) 飼育係の方に聞いてみたら1.3m位迄育ったらしいのだけれどある日突然落ちてしまったと仰っていた。水族館ではある種の魚が1匹落ちると連鎖反応で同じ魚が立て続けに落ちてしまうのだそうだ。だからシイラも2週間位で全部落ちてしまったらしい。 そう言えば以前アイゴが立て続けに落ちていた事があったのを思い出した。でも他の魚は全然平気なんだよ。(落ちる = 死ぬ /この水族館の飼育係の符牒) 解剖して見たけれど特に異常は見つからなかったそうだ。これは推測なので確実ではない事を予めご了承頂きたいのだけれど、水槽のサイズに対してシイラの飼育できるサイズのリミットが1.3m位なのではないかと仰っていた。 生き物を人工的に飼育する事はとても難しい。 水槽の中では魚自身が身体を大きくしない事もあるのだそうだ。だからタマカイやカスリハタも1年前と体長はそれ程変わっていなかった。但し、胴回りは少し太くなっているような気がする。 シイラはいつも水面近くを泳いでいてBCのエアを抜いて潜る瞬間水槽の向こうからこっちへ向かってくる様子がとてもカッコ良く好きだった。しかも、私の体と壁が50cm位しか離れていないその隙間をかすめて泳いでいく事がある。海では絶対に体験できないスリルと感動なのだ。 この時必ずチラッとこちらを見て目を合わせ「へヘッ」という得意げな顔をしていく。 多分秋に30~40cm位のチビシイラが入ってくるらしいので今から楽しみだ。小さい時のシイラはとても可愛いい。
2004年05月18日
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魚にも神経があるから痛いとか、痒いという感覚はあるみたいだ。 さて、水槽の中の魚にはどうしても寄生虫が付いたり皮膚病が発生する。だから餌には何種類かの皮膚病の薬が調合されている。 私だけが特別なのかもしれないが、その皮膚病の薬が合わないみたいでお肌が荒れてしまうのだ。飼育係りの方も潜っているけれど何ともないし一緒も潜るダイバーも平気なのだけれど、私は顔が赤く腫れてブチブチになってしまう。勿論、水に入るとしみるしヒリヒリする。特にヒゲ剃り痕なんかはもう大変なのだ。だからたまにヒゲを剃らないで仕事に行く事もある。 お魚用の皮膚病の薬は私のデリケートなお肌には合わないのかもしれない。しかたがないから皮膚科に行って薬とワセリンを貰って来て、潜る前に顔にはワセリンを塗りたくって潜るのだ。それからはまあまあ大丈夫みたいだ。 しかしただ単に中年オヤジになったので皮膚が弱くなっているのかもしれない。その証拠に若い頃、マスクの痕は30分~1時間位で取れていたのに最近は3~4時間位経たないと取れないのだ。だから、仕事が終わってからお店に行くのが恥ずかしい。冬や春先はマスクをしてごまかせるけれど、これからの季節は知らない人が見るとマスクの痕がベタ~ッと付いているちょっと危ないオヤジなのだ。 さて、魚達の行動を見ていると結構器用に掻いている。あるシイラは水面のあるロープの身体を擦りつけている。同じシイラが体の同じ場所を何回も擦りつけているので、あれは絶対にそこが痒いのだと思う。ロープに狙いを定めて勢いを付けて、ロープに当たる寸前に身体を横にして体側の痒いであろうと思われる部分を擦り付ける。それは見事に同じ場所が当たっているし、どっかのまぬけな魚と違ってロープが顔に当たる事は絶対に無い。 ヤツラも恥ずかしいという意識があるのかどうか知らないけれど、私がジィーッと見ていると必ず横目でチラッと目を合わして「そんなに見るなよ」というふうな表情をする。私は全日本シイラ表情研究所の所長じゃないからシイラの表情については詳しく分らないが、なんとなくはにかんでいるようにも見えるのだ。 シイラ以外でよく身体を掻き掻きしていのがニセゴイシウツボ君だ。 1年で胴回りが倍以上に太くなっているのと比例して態度もデカクなっている。昨年は目を合わせるとサンゴの下に潜って行ったのに、今年は平気で身体を露出させている。それと水槽内を良く泳ぐようになっている。お気に入りのルートがあるようでしょっちゅう同じコースを泳いでいる。私がルート上で作業をしていると平気で目の前を泳いでいくし、たまにぶつかってくる。 そのニセゴイシウツボ君はサンゴに身体を擦りつけて掻いている。ちゃんと身体を前後に動かしてある一定の場所だけゴシゴシと擦っているのだ。飼育係の方に言わせると、ウツボは皮膚が丈夫なのだそうだ。その時の表情は、タマカイやカスリハタがホンソメワケベラにクリーニングをしてもらっている時と同じ「はぁ~っ」という恍惚の表情。 もう少し太くなっても私の体では絶対にカイカイをしないでもらいたい。
2004年05月16日
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飼育されている魚や海獣達にとってお食事タイムは一番の楽しみだと思う。水槽によってお食事タイムが違うの全てという訳ではないけれど、夕方に設定されている水槽では夕マズメという事もあるのかもしれないが魚達がソワソワしてくる。 餌が水面から降ってくると魚の性格が良くわかる。とにかく忙しなく口をパクパクさせ、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる方式がアジ、じっと狙いを定めていて他の魚に横取りされてしまうのがカサゴ、俺が俺がと他の魚を押しのけて食べるのが本日の主役のホシエイだ。 かなり食い意地がはっているのか必死の形相で餌を漁っている。床に落ちているヤツや上から降ってくるヤツだけをターゲットにしてくれていれば良いのだけれど、コイツラは人懐こいこともあってか、私の側にも寄ってくるのだ。1m近いエイが何匹もヒラヒラ寄ってきて口をパクパクさせられたら決して気持ちの良いものではない。思わず水中で「ヒェー」と叫んで逃げ出したくなる。 但し、30秒もしてコイツは餌をくれないと分るとサァ~っといなくなってしまう。ちょうどアイドルがファンにもみくちゃにされていて、人気が無くなると誰も寄ってこなくなるあの図と全く同じなのだ。 さて、ホシエイの捕食シーンは気分転換には最高なのだ。 その面白さはエイの形状によるところが大きい。エイは平べったい風呂敷のような形で目が上にあって口は下についているから、他の魚のように食べる瞬間まで餌を確認する事ができない。だからある程度の距離で餌を確認すると後は勘で口を餌のところに持っていく。 でも餌も水の流れや落下に合わせて動いているのでドンピチャで口の位置に来るとは限らない。すると必死に餌に噛み付こうと口をパクパクさせながら体を移動させる。お腹にも神経はあるから餌の位置はわかるのだろう、時々シッポの方にずれてしまうとそれこそアセアセしながら餌をヒレの外に出さないようし、身体をバックさせて餌を口のところまで持ってこようとする。その焦った様子は客席側から見ていてガラスと体の間に餌がある時にはっきりとわかる。そして無事に餌を食べられると「ヤッター」という顔をして次の餌を漁りに行く。 しかし最高に笑わせてくれるのが、岩の割れ目にある餌を食べようとする時だ。 体の上に付いている目で餌を確認し、「よし、これを食っちゃろ」と狙いを定めて突進するけれど、平べったい体が邪魔をして口が割れ目の底に届かない。とにかくシャニムに暴れるけれど餌に届かない。ヤツも無い知恵を使ってどうしたら口が餌の近くに行くか考える。すると体の位置を変えて割れ目に平行に位置する。すると風呂敷状の体系だから割れ目に頭の部分は入る。それでまたひとしきり暴れてみる。でも餌は食べられない。 何故ならホシエイの口は体の先端に付いていない。先端から10cm位内側にあるので鼻先がじゃまして餌に届かないのだ。 この時のホシエイの気持ちは絶対に「食いて~!」。
2004年05月15日
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先月の末にラッコが出産したけれど死産だった事をご紹介した。 本人というか本ラッコは、翌日に見た感じでは特に打ちひしがれた様子も無く出産前と変わらない様子で水槽内を泳いでいた。 オープン前だからその日に見る数番目の人間なので興味があるのか私の前を通過するように泳いでいく。 母体には悪影響が無かったようで取り合えずは元気で過ごしている。しかし、まだお父やんとは別々の水槽でお互いに独身生活をしている。 でも、見ていると辛い事が一つある。オッパイが張っているのだ。普段は体毛の下に隠れている乳首が露出していて赤ちゃんが直ぐに見つけられるようになっている。乳首をつまんだら母乳が出てくるんじゃないかと思われる程だ。 赤ちゃんが死んでしまったのにちゃんとお母さんをしているのを見ると可哀想でしかたがない。本ラッコはどう思っているのだろう。 獣医のMさんと話していないので、出産後どの位の期間で妊娠が可能か分らないのだけれど、次はちゃんと生まれてくれたら嬉しい。これは私だけでなくスタッフ全員の願いだと思う。 ただ、13歳と高齢なのだ。人間だと50歳以上なのだそうだ。下田海中水族館では12歳のラッコが妊娠中に死んだ例もあるので難しいのかもしれない。 何歳まで出産可能か分らないので何とも言えないけれど、鳥羽水族館では過去3回の死産を経験して15歳のラッコが出産したそうなので是非頑張って欲しい。人間だったら60歳を優に超えているそうだ。(スゴイ!) 前回、ラッコの妊娠期間を1年と書きましたが8ヶ月位の間違えです。他の動物と勘違いしていました。ゴメンナサイ。
2004年05月12日
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