遊心六中記

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2017.01.13
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カテゴリ: 探訪 [再録]




前回ご紹介した彦根城の堀を巡る途中で、 玄宮楽々園 を訪れました。お城の外回りに焦点を絞って中抜きしていたこの名勝玄宮園をご紹介します。

江戸時代には (けやき) 御殿」 と呼ばれ彦根藩の下屋敷だったそうです。私は「槻御殿」の説明板の建てられた西側から園内を探訪しました。現在東口券売所となっている表門から観光に訪れるのが普通です。かなり昔に一度ここを訪れた時は、冒頭写真の表門側から入りました。
そこで逆編集し、一般的な巡回ルートの形ででご紹介します。

現在は槻御殿の建物部分を楽々園、庭園部分を玄宮園と区分 されています。延宝5年(1677)に4代藩主井伊直興により下屋敷としての造営が始まり、同7年(1679)に完成したと伝わります。 庭園部分を玄宮園というのは、中国の宮廷に付属した庭園を「玄宮」と言ったことから命名された と考えられているとか。 (資料1,2)


また、玄宮園にお出かけになった折は、水が湛えられた池を眺め、この画像と現地で対比していただくとおもしろいかもしれません。



保存整備工事の案内説明板に掲載の部分図を切り出しました。左写真には手書きで工事箇所、発掘現場と付記されています。右写真は江戸時代の玄宮園図です。この図の右上には、「玄宮園十勝」と題して、10ヵ所の景色が明記されています。
「鳳翔台 (ほうしょうだい) 」「魚躍沼 (ぎょやくしょう) 」「龍臥橋 (りゅうがばし) 」「鶴鳴渚(かくめいなぎさ)」「春風埒 (しゅんぷうれつ) 」「鑑月峯 (かんげっぽう) 」「薩埵林 (さつたりん) 」「飛梁渓 (ひりょうけい) 」「涵虚亭 (かんきょてい)
広々とした池、池中にいくつかの島があり橋が架けられており、様々な方向に散策できる池泉回遊式庭園になっています。
「名勝玄宮楽々園案内図」(彦根観光協会)をこちらからご覧いただくとわかりやすいでしょう。

それでは、玄宮園を回遊していきましょう。
7508
まずは遠景に 「龍臥橋」 が見えます。



左(北西方向)に進んで行くと、南西方向は土塁状で、一直線に伸びる塀の向こうに内堀が見えます。 散策路からみればこの高みが「春風埒」です 。「埒」を漢和辞典で引くと、「①しきり、さかい。つつみ(堤)②低い土のかきね。」という意味が記されています。

           小丘上に 「鳳翔台」 (茶室)が見えます。

近づいていくと、小丘の麓にも藁葺屋根の茶室風建物もあります。


この 「鳳翔台」 では、お茶席の接待が行われていました。
建物の外縁にも赤い毛氈が敷かれています。


 鳳翔台から 「高橋」 を渡ります。


             北西方向に、池中の島から「臨池閣」を眺めた景色
普段なら、満々と水を湛えている池なのですが・・・
「臨池閣」から「鳳翔台」に至るようにいくつかの建物が連なっています。
建物の右に池中の小島に架かる「七間橋」が小さく見えています。

        北東方向で、「鶴鳴渚」のある小島と架け橋の眺めです。

「鶴鳴渚」 というのは、「池の水は、湧水の豊富な外堀からサイフォンの原理により導水して供給し、小島の岩閒から水を落として滝に仕立てて」 (資料1) いたエリアを名付けられたもののようです。この小島から池に水が流れ出ていたのでしょう。

その手前、 池の中央あたりの広がりが「魚躍沼」 です。
池で飼われている魚が時折躍るのが見えたのでしょう。観賞用の大きな緋鯉だったのでしょうか・・・。

「高橋」は小島の先で 「龍臥橋」 につながります。 龍臥橋の上から眺めた「鶴鳴渚」の方向(北)

                 逆に表門の方向(南)を眺めた景色
 龍臥橋を渡った前方が 「薩埵林」
「薩埵」は「菩提薩埵(=悟りを求める人)」の略称ですので、この林を仏教修行者の修行する林にみたてたのでしょうか。あの竹林精舎のイメージを重ねて・・・・。
一隅に石造層塔が建てられています。


                         違う位置から眺めた「臨池閣」



「鶴鳴渚」の小島に架かる橋
 橋の向こう、南西方向に天守閣が見えます。


 池央から見ると池の北東端にある 「舟着場」
この園内で風流な船遊びが催される時に利用されたのでしょう。かつては、松原内湖に面する庭園の北側に水門があったようです。そしてその水門を経て、御座舟で寺々への参詣に出かけることも可能だったそうです。 (資料1)



「臨池閣」の対岸あたりから池全景と背景に天守閣を遠望する景色 は絶景です。
水を湛えていると一層景色が映えてくるのですが・・・・。


池の北側には 「飛梁渓」とそこに架かる緩やかな反橋

「臨池閣」を真正面から眺めると・・・・
背後にはでんと天守閣の美しい姿が眺められます。

                     「七間橋」から南東方向の眺め
左から「龍臥橋」・小島・「高橋」の連なる景色です。


   建物の一部が池の水面の上に張り出す形で建てられているのがお解りいただけるでしょう。

「七間橋」は池中の小島に架かり、その先の小橋が 「臨池閣」 に導きます。
この「臨池閣」は、現在は料理旅館 「八景亭」 として運営されているのです。 (資料4)

七間橋の傍を回り込んで行くと、 玄宮園は楽々園に地続きで繋がっています。現在は直接に立ち入ることはできません。



                   玄宮園の敷地端から眺めた 楽々園の「御書院」
「御書院」近辺の建物は保存整備工事中でした。
「御書院」の右側の白い覆屋は「地震の間」と呼ばれる建物の位置にあたるようです。

井伊直興が下屋敷として建てたときは「槻 (けやき) 御殿」と呼ばれていたようです。井伊直興の没後、倹約令などもあり建物は縮小気味に推移する時期があったらしいですが、「文化9年(1821)の11代井伊直中の隠居に際して大規模な増改築が行われ」 (資料1) 規模が10倍にもなったとか。
この「御書院」も井伊直中の時代に新築されたもの。

この「御書院」に面して新たに築かれた「庭園」の跡がこの写真です。
古絵図には、満々と水をたたえる池が描かれているそうです。
「地震の間」は数寄屋建築で耐震構造の建物だそうで、このように現在は呼ばれていますが、当時は茶の湯に用いる「茶座敷」として使われたとか。

12代直亮 (なおあきら) は、「地震の間」のさらに奥に同様に数寄屋建築の建物を増築。「楽々の間」と呼ぶそうで、そこから「楽々園」という現在の呼び名が付けられたようです。
この「楽々の間」は煎茶の茶室として注目されていると言います。 (資料1)




この楽々園の近くに、「槻御殿」説明板と「井伊直弼生誕地」石標があります。

現在は石標の背後の立て看板はもう取り外され、覆い屋も撤去されていることでしょう。立看板は「H25楽々園建造物(地震の間ほか)保存整備工事」(2014.1.30~2014.3.25)の表示でしたので。

「楽々園の名は、『仁者は山を楽しみ、智者は水を楽しむ』の意からとったといわれ、民の楽を楽しむという仁政の意を持っているともいわれている」と説明板には記されています。

つづく

参照資料
1) 「彦根城ガイドブック」 彦根市教育委員会文化財部文化財課 p13,p15
2) 玄宮園  :「国宝・彦根城築城400年祭」 
3) 楽々園  :「国宝・彦根城築城400年祭」
4) 料理旅館 八景亭 ホームページ 
八景亭の歴史  ←玄宮園の成立について触れています

【 付記 】 
「遊心六中記」としてブログを開設した「イオ ブログ(eo blog)」の閉鎖告知を受けました。探訪記録を中心に折々に作成当時の内容でこちらに再録していきたいと思います。ある日、ある場所を訪れたときの記録です。私の記憶の引き出しを兼ねてのご紹介です。少しはお役に立つかも・・・・・。ご関心があれば、ご一読いただけるとうれしいです。

補遺
井伊家系図  pdfファイル  :「彦根城博物館」
「彦根城観光御案内」 (彦根観光協会) pdfファイル(観光パンフレット)
   その他の観光パンフレットのダウンロードを含めたページは こちらです。
玄宮園   :「彦根市」
     玄宮園図(彦根城博物館蔵)の掲載あり。
玄宮楽々園(玄宮園)  :「滋賀県観光情報」
玄宮園  :ウィキペディア 
楽々園  :ウィキペディア 
楽々園  :「彦根市」 
楽々園保存整備事業 :「彦根市」
   名勝玄宮楽々園発掘調査 現地説明会資料 (pdfファイル 208.43KB)も掲載あり。

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!


その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)


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Last updated  2017.01.16 15:32:26
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