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2017.12.17
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カテゴリ: 観照
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京都会館の名称で親しんできた建物が2016年からロームシアター京都としてオープンしています。外観は以前のままだと記憶しますが、劇場内部の雰囲気は大きく変貌していてちょと驚きました。

四条の南座が昨年から休館し、 昨年の顔見世は先斗町歌舞練場 で観劇しました。今年はどうなるかと思っていたら、ロームシアター京都だということに。



南座の正面玄関上部、唐破風の下に竹矢来が組み上げられ、ヒノキの一枚板の庵 (いおり) 型で、勘亭流文字の「まねき看板」が二段重ねにずらりと並ぶ景色に親しんでいました。 「まねき上げ」が南座以外の場所で行われたのは今年が初めて のようです。上記の通り、昨年は先斗町歌舞練場が舞台となりましたが、まねき看板は南座の正面、恒例の位置に上げられました。それはそれで顔見世としては変則的な状況でした。今回はそれもままならず・・・・。
ここでは建物の関係でしょうか、横一列に並べられています。雰囲気が変わりますね・・・・。



写真を保存しているフォルダーを遡ってみると2011年に観劇した時に撮っていたものがありました。こちらが親しんできていたまねき看板が南座の正面に並ぶ姿です。





恒例の東西合同大歌舞伎ということで、この看板は建物が南面していますので、まさに東西にそれぞれの歌舞伎役者名が並んでいるのでしょう。「東西合同大歌舞伎」の看板が中央部分にあります。そして、東端から西端に眺めて行くと、
 東は、坂田藤十郎・片岡秀太郎 ~ 中村鴈治郎・片岡仁左衛門
 西は、中村魁春・中村芝翫   ~ 中村時蔵・中村梅玉
という形で、看板が並んでいます。私は知りませんが、多分並べ方にもある種の決まり事があるのでしょう。

快晴の空からわかるように、昼の部を観劇しました。


歌舞伎において、顔見世興行は、翌年の一座の顔ぶれを披露する興行という位置づけですので、 「戌歳」 と上部に記載されています。


劇場で購入した冊子。今年の一つのハイライトは襲名披露のあったことです。
八代目中村芝翫(橋之助改め)の襲名披露 と、その子息の襲名披露、即ち、 四代目中村橋之助(国生改め)、三代目中村福之助(宗生改め)、四代目中村歌之助(宜生改め)の襲名披露 が同時に行われたことです。


劇場に入って、開演前に2階から眺めた景色。劇場としては座席数も多くて広いのですが、花道の短いことがやはり残念でした。感覚的には南座の花道の三分の一位でしょうか。特設されている関係上仕方の無いことですが・・・・・。

一方、襲名披露の祝儀幕が晴れやかでした。中央に成駒屋の定紋である祇園守が金色に描かれて、その下に赤色の円が4つ並べてられています。よく見ると、そこに芝・橋・福・歌の文字が直線書きでデザインされているのです。芝翫を筆頭に親子4人で成駒屋の盛り上がりを寿ぐという意匠でしょうね。



最初は「寿曽我対面」です 。征夷大将軍源頼朝から信任を受ける工藤左衞門祐経(梅玉)は富士の裾野での巻狩りの総奉行に任じられます。工藤館でこれを祝う宴会の場面です。諸大名が招かれている場に、小林朝比奈(勘九郎)が祐経に二人の若者との対面を申し出るのです。祐経が許すと、朝比奈の招きに応え、曽我十郎(七之助)・五郎(橋之助)が舞台に出てくる。祐経は曽我兄弟にとっては親の仇。血気に逸る五郎とそれを抑える十郎と朝比奈。血気に逸る五郎の所作がひとつの見応えでした。この演目で、近江小藤太成家(福之助)、八幡三郎行氏(歌之助)の役回りで3兄弟が揃って出演です。大磯の虎(扇雀)と化粧坂少将(壱太郎)の衣装が大柄の華やかなもので舞台映えがするものでした。
この劇中で最後に襲名口上が行われれるという形でした。口上を聴いていると、歌舞伎の世界は役者同士が親戚縁者の関係にあること、それが良く分かりました。


第二の演目が「義経千本桜」です 。これは完全なフィクションもので意外性を楽しむところが受けてきたのでしょう。しかし、そのストーリー展開自体に私は違和感を感じました。
「渡海屋の場」 で、兄頼朝から追われる義経(秀太郎)が船待ちで登場します。そこに、相模五郎(鴈治郎)と入江丹蔵(勘九郎)が詮議のために登場し、船宿の主・銀平(芝翫)が出てくるのです。この銀平が実は壇の浦で死んだはずの平知盛が生き延びている仮の姿なのです。女房お柳(時藏)は実は典侍の局で、安徳帝を守護しているという設定だから奇想天外です。「渡海屋の場」では、銀平が義経に義侠心を見せ、詮議に来た二人を懲らしめる。相模五郎が「魚尽くし」のセリフを語るという面白さがあります。 「奥座敷の場」 では、局たちの海への投身、典侍の局と安徳天皇は義経の家臣に捉えられる。
そして 「大物浦の場」 では、義経に復讐せんとした知盛が、計略を見破られ満身創痍の姿で登場します。安徳天皇が義経の情けを述べ知盛を諫めます。知盛は大碇を結んだ艫綱を身に巻き付けて断崖から入水するというストーリー展開です。知盛の入水場面が見せ所でもあります。知盛の最後を見届けた義経は安徳天皇を供奉してその場を去るというストーリーです。
なんともはやという筋書きですが・・・・。各場面の演技としては見せ場がありおもしろい出し物です。分かっていて、奇妙な展開を楽しむというのがこの演目の有り様なのかもしれません。歴史を度外視して、フィクションのお芝居として割り切れば、各場面でのそれぞれの名演技が楽しめます。知盛の入水場面は、断崖から飛び降りる形ですから、それを受ける裏方さん、大変だろうな・・・なんてつい思ってしまいました。入水場面の演技はさすがです。


幕間の折に、この定式幕を見るとやはり歌舞伎見物の雰囲気がピッタリとしてきます。


第三の演目が「二人椀久」です 。唄と囃子をバックにした 舞踊劇 です。役者のセリフは一切無し。椀屋久兵衛(仁左衛門)は傾城の松山太夫(孝太郎)に心奪われて放蕩を尽くし、座敷牢に押し込められます。思いが募り発狂した久兵衛は座敷牢を抜け出して、松山の姿を追い求め彷徨うのです。松の大木の下でまどろんだ久兵衛が、松山と出会い、楽しいひとときを踊り過ごすのですが、それが幻だったと覚るに至るという次第。唄に併せた所作と踊りで役者としては無言で舞踊に終始します。舞踊だけで見せるのはさすがです。



夜の部は、「俄獅子」と最後の「大江山酒呑童子」が舞踊劇の出し物。
最初の「良弁杉」が一幕の芝居で、3番目の「人情噺文七元結」が二幕四場ものです。

来年の師走にはできることなら再び南座で観劇したいなぁ・・・・と思う次第。


劇場の一隅でこの掛け軸風の絵図が目に止まりました。 祇園祭の巡行風景 です。
写真を撮るだけにとどまり、傍にある説明文を見落としていました。この図柄から、洛中洛外図を連想しました。
調べてみると、やはりそうでした。 狩野永徳の洛中洛外図屏風(上杉本)の右隻、二扇・三扇目です

かつて京都会館の名で親しみその前を幾度も通り過ぎていても、長らく建物内に入ったことがなくてその変化に今浦島の思いを抱きました。これも今回の大きな印象です。

ご一読ありがとうございます。


参照資料
上掲冊子 『吉例顔見世興行』 平成29年12月 ロームシアター京都

補遺
寿曽我対面 ​  :「歌舞伎演目案内」
寿曽我対面 ​  :「歌舞伎への誘い」
義経千本桜 ​  :「歌舞伎演目案内」
義経千本桜 ​  :「歌舞伎への誘い」
二人椀久 ​   :「歌舞伎演目案内」
二人椀久 片岡仁左衛門 片岡孝太郎 ​  :YouTube
  なんと、平成17年2月歌舞伎座の舞台動画が公開されています。
国宝 上杉洛中洛外図屏風 ​  :「伝国の杜」
洛中洛外図(上杉本) 狩野永徳 ​ :「canon 綴TSUZURI 文化財未来継承プロジェクト」
「洛中洛外図屏風と研究史の概説」 ​ 藤原重雄氏

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Last updated  2017.12.17 12:57:31
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