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2024.04.02
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カテゴリ: 探訪

嵯峨天龍寺にある福田美術館での展覧会を鑑賞した後、ここまで来ているので、 嵐山公園の亀山地区を散策し探訪してみることに しました。(2024.3.27 探訪)
大堰川沿いの道路を上流方向に進みます。

嵐山吉兆の門の傍の桜 が満開でした。
この近くから、川岸沿いの道路側に移り上流方向に進みます。


この道路は 「東海道自然歩道」の一部に 組み込まれているようです。
また その手前には、右の石標 が立っています。法輪寺は渡月橋を南に渡った先にあるお寺です。京都では「十三詣り」で良く知られたお寺です。拙ブログでも既にご紹介しています。

渡月橋は承和年間(834-848)に法輪寺の僧道昌により架橋されたのが始まりと伝承されています。往時は現在の渡月橋よりも100mほど上流側に位置していて、初めは法輪寺橋と称されていたそうです。夢窓国師が天龍寺付近の名勝地を「亀山十境」と題して漢詩を詠んだ中に渡月橋の名が出てくるのが初見と言われています。 (資料1)


少し先で、 「戸無瀬(トナセ)の滝」と刻した石標 が目に止まりました。
その裏面には、左側の案内説明板

対岸の景色 。右寄りの白い筋のみえるところが 戸無瀬の滝

落差約85mの三段で落水する滝 です。 景勝地嵐山を象徴する名勝 になっていました。
歌川広重筆「六十余州名所図会 山城 あらし山」
雲かかる山の高根の夕立に戸無瀬の滝の音まさるなり  藤原為家
室町時代の初期に、 夢窓国師は上記「亀山十境」の詩 において、この滝を 「三級厳」 と位置づけたそうです。
現在、滝が見えにくいのは、明治に禁伐となり樹木が覆うようになったことによるとか。令和5年3月に最下部の伐採が行われたそうです。ごく最近ですね。 (案内板より)


川沿いの道路をさらに進むと、観光客が減ってきます。先に見えたのが この石標 公園の入口

近くに 「嵐山公園亀山地区案内図」 が設置されていてます。 (現在地は右下の赤三角印)

この道標も 設置されています。こちらの公園を経由して行ける観光スポットです。

渡月橋を対岸に渡ると、中ノ島があります(嵯峨中ノ島町)。そこが嵐山公園で、こちらは公園の一部という位置づけのようです。
余談ですが、手許の2003年5月発行本のマップには、亀山地区を亀山公園、中ノ島の方を嵐山東公園と明記しています。


公園に入って行きますと、この 石標 が目に止まりました。
上面に「古今集と百人一首」と題する案内文 が掲示されています。
小倉百人一首と古今集の簡略な説明とその関係が記されています。百人一首には古今集から24首が撰ばれているとあり、その歌碑がこの公園に建立されているようです。歌碑の配置図が併載されています。

山道を登って行くと広々とした斜面に出ます。こんな東屋(休憩所)が中央に見えます。
ここまで来ると、観光客はほとんどいません。わずかな人々とすれ違うだけです。

東屋の周辺で、幾つかの歌碑が 散在して建立されているのを見つけました。
歌碑の近くには、歌碑案内の石標も設置されています。ここでは省略。

​天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも​
                      小倉百人一首第7番 安部仲麻呂 

夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるに 雲のいづこに 月やどるらむ
                      小倉百人一首第36番 清原深養父

山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり
                      小倉百人一首第32番 春道列樹

ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ
                      小倉百人一首第33番 紀友則

「小倉百人一首文芸苑 屋外展示施設 案内図」 という地図も設置されています。





休憩所辺りを散策し、少し離れたところから この広々とした公園を眺めて みました。
パノラマ合成した景色 です。もう少しして、桜が咲き誇ると景色が華やかになることでしょう。


この中腹の広々とした斜面の先に分岐点があり、さらに山道が続きます。
「頂上展望まで160m」の道標 をガイドに、 左の山道を登ります。

頂上展望台広場



      この展望台からは、 対岸の嵐山、保津峡と保津川の全景 が見渡せます。
眼下の保津川をズームアップ!

対岸の川沿いに建つ建物は、ネットの地図で確認しますと、「星のや京都」ほかの建物です。
所在地は嵐山元録山町。

山の中腹にぽつんと見える建物は 「大悲閣」 です。その背後に 「大悲閣千光寺」の建物群 があります。こちらは、嵐山中尾下町です。
この大悲閣も拙ブログで既にご紹介しています。

展望台沿いの道をさらに進んでみますと、

「嵐山公園はここまでです」という掲示 が設置されています。


その先は「小倉山」 です。「小倉山山頂」への表示と「小倉山再生プロジェクト 景勝・小倉山を守る会」の」看板が設置されています。
これを見て、「小倉池」周辺を探訪して小倉山を登ったときの記憶とリンクしました。
こちらも拙ブログに記していたと思います。

小倉山の東南部を占める丘陵がこの亀山地区 なのです。
これで探訪地がリンクしましたので、 公園を引き返し 、まずは休憩所まで下ることに。

この公園の下側エリアを通り抜けたことがあります。その時見過ごしてしまった箇所があったのです。今回はその箇所を確実に訪れたかったのです。


立像の傍に ​「大正元年十月十」 までは判読できる日付の刻された 顕彰碑​ が建立されています。

訪れたかったのはここ!
「角倉了以翁銅像」
上掲の石碑により 1988年に再建された ことがわかります。
なぜ、再建なのか。当初の銅像は戦時中に金属供出により撤去されたのです。

「角倉了以翁の業績」と題する顕彰碑 が、角倉了以翁像碑保存会により、昭和63年(1988)5月28日に建立されています。

顕彰碑に記されていますが、角倉了以は、京都に直接関連する事業として
慶長11年(1606) 保津川大堰川の開削を完成
慶長16年(1611) 高瀬川の開削を完成
という偉業を為し遂げました。

大悲閣千光寺は 、保津川を開削し船や筏が通ることの出来る舟運のための 工事に協力した人々の菩提を弔うために角倉了以が創建したお寺 です。
観音の慈悲をたたえて大悲閣と号した と言います。 (資料1)

角倉了以像から比較的近い場所に、


        この詩碑が建立されていることをこの探訪で初めて知りました。

「周恩来総理詩碑」 です。
1978年10月日中平和友好条約締結を記念し、1979年4月吉日に建立 されています。



嵐山公園亀山地区は、歴史と文化の一端を学べる公園にもなっていることを再認識しました。


大堰川沿いの道まで戻ってきました。

ご覧いただきありがとうございます。

参照資料
1.『昭和京都名所圖會 4 洛西』 竹村俊則著 駸々堂

補遺
嵐山と夢窓国師・夢窓疎石 ​  :「京都 Kyoto」

ブラタモリ・京都・嵐山(~嵐山はナゼ美しい!?~天龍寺十境)
                   :「京都ヴォヤージュ(Kyotovoyage)

京都・亀岡 保津川下り ​  ホームページ

  ​ 歴史

角倉了以   :ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A7%92%E5%80%89%E4%BA%86%E4%BB%A5
高瀬川 都市史 :「フィールド・ミュージアム京都」
https://www2.city.kyoto.lg.jp/somu/rekishi/fm/nenpyou/htmlsheet/toshi22.html
大悲閣千光寺  公式HP
https://daihikaku.jp/
周恩来    :ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%91%A8%E6%81%A9%E6%9D%A5


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Last updated  2024.04.02 17:26:42
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