チヌマンダイ

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2006.11.09
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海洋少年


        バスを走らせた人「南 前村」
                      執筆者   竹  盛 窪

 与論島に初めて電灯が灯されたのは、昭和27年5月のことで、あたかも島の文明開化を告げるごとき画期的な重大な出来事でした。
その頃の与論は終戦後祖国と分離され、奄美群島政府で、信託統治下にあり住民は沖縄との交流でようやく生計を保持している状況にありました。夜の暗闇での生活は、風除けのため工夫されたホヤによるランプとカンテラの灯をたよりの貧しい暮らしでありました。暗闇も同然なランプの灯の下で勉強している子供たちを見るたびに「勉強せよ、もっと勉強して偉い人になれよ」という親心から電灯を灯すことを決意し、私設の電気発電所を新設し、茶花の民家150戸に希望の明かりを
灯した人が南前村翁であります。
 翁は、明治43年6月21日父安元、母モチャの4人兄弟の長男として叶集落で生まれ、那間尋常小学校の4回卒業生であります。与論高等小学校卒業後向学の志に燃え、兵庫県朝来郡生野町三菱生野鉱山へ行き、選鉱部の事務所で鉱石分析係として働きながら学び、生野町青年学校を卒業しております。会社では後輩の指導にあたりながら将来を嘱望されていたが、病気のため止む無く21歳の時帰郷し、父の農業を手伝う傍ら現在の事業所で昭和10年より物品業を開業し、青年実業家としてのスタートをきりました。妻いつこと結婚したのもこの歳でした。
 その心の内には、青少年時代に学んだ「人間は各々の職場を通じて相互信頼、相助け合って共存共栄の生活をする」との信念と決意がみなぎっておりました。
 翁の開設した私設の電業所は島民に希望の灯を灯しながら、茶花の一隅の民家からやがて全島に広がり、奇しくも那間小学校第一校舎が竣工した昭和32年に村営事業として引き継がれることになったのであります。

 初めてのバスを本船から降ろすときに、2艘の艀をつなぎ筏を組み供利の桟橋に運ばれたがすぐには陸揚げ出来ずに、一夜明けた朝の8時、満ち潮のタイミングを利用し陸揚げした苦労話をされながら、翁はこうつぶやいた・・・。
 「陸運事業は電気と同じく文化生活には必要であるが、島が小さく営業には不利な条件が多い上に多額の資金がかかる事業だから、収支を度外視し、場合によっては場合によっては自分の命賭けになるやもしれぬと思いつつも、今俺がやらなければ・・・と決意した」と。
 又、子供たちに言い続けたと語る。「島は大きくはならないから、勉強をして、学問のちからで島を大きくすることを考えよ、大学を出たら島に帰ってきて島のために働きなさい」と。
 子供たちは翁の教えをまもって島に帰り、長男は25代首長として21世紀の島づくりに、次男は翁の事業を引継ぎ、更に事業を拡大し島の発展の大きく貢献しています。
 子や孫に囲まれながら現在も会長として元気に執務されている翁の姿は、島は小さくても、体は小さくとも、学問の力によって大志を果たすことができること。
 「南の島から、南に向けて、南は最先端、みなみなみ」
南の島の発想で頑張れと励ましておられるような気がします。
              那間小学校100周年記念誌より   転記





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Last updated  2006.11.10 04:33:15
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