2021年08月30日
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カテゴリ: ファミリー



二十一)机上にあった封書「哀しき夕陽、作者 能瀬敏夫」より

 当時シベリアからの帰国者については、入国と同時に、毎日克明に各新聞紙上に帰国者の氏名が報道されていたようであった。舞鶴の宿舎で夢のような一夜を過ごすと、早速翌日には幾ばくかのお金を頂いて郷里に向けて出発した。今の金銭感覚には全く戸惑ってしまったが、先ずは北海道に向けて出発進行である。京都駅ではホーム上に赤い腕章の青年が数名、共産党の入会用紙を配ってしつこく入会を呼びかけていた。
 上野から青森へ、連絡線が函館に着くと急に寒気が身に沁みた。札幌を越え、狩勝峠を越えて実家に着いたのは舞鶴を発ってから実に三日後の事であった。そこで私は使い古した昔のままに置かれた私の机上に一通の封書を見た。ハルピンで別れた残留部隊の戦友が、中国国内から発信したものであった。当然既に避難民と共に帰国している筈の彼等が、実は今も中国国内に居ると知って驚いてしまった。要するに、一部の者は脱出して難民の群れに投じたが、加藤大尉以下、中田中尉をも含めてその殆どの者が、実はあの後中共八路軍の呼びかけに応じて東安に集結し、その野戦病院要員として、今なお中国全土を転戦していらしいことが記されていた。そして封書の中には一枚の写真が封入されていたが、それは彼と当時同行したらしい日赤班員の中の一人と夫婦となり、二人の間には生まれたばかりの幼児も居る事を示していた。然も彼と彼女は何れも中国民兵そのものの格好で、民兵服に雑脳、そして彼女は幼児を抱きしめている格好であった。当然検閲されたであろうこの封書に、内容は簡単だが、彼等の精一杯の心情が込められているようであった。ハルピンで私等のシベリア行きが決まったときに、どれほど残留部隊を羨ましがったことであろうか、そんな彼等が、実は帰国どころか、まだ中国国内の、今度は実戦場を駆け回る、野戦病院要員として活動していると知って驚きを新たにした。然も幼児を連れての転戦である。何とも複雑な心境になったものである。

(シベリアへの抑留、極寒の地での凍土と病いとの戦い。生き抜いた者達へ渡された
「帰国の途」という切符とは・・・チチハル陸軍病院経理勤務、そして終戦。ハルピン
への移動・・・、病院開設・・・。傷病兵、難民で施設はあふれ、修羅場と化した。
「哀しき夕陽、原作 能瀬敏夫」)

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最終更新日  2021年08月30日 06時39分43秒
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