☆☆☆☆ 一週間程を過ぎた頃 (哀しき夕陽、未発表作品作者能瀬敏夫」より)

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2021年09月20日

☆☆☆☆　一週間程を過ぎた頃　(哀しき夕陽、未発表作品　作者　能瀬敏夫」より)

テーマ：不思議な出来事(81)

カテゴリ：ファミリー

☆☆☆☆　一週間程を過ぎた頃　(哀しき夕陽、未発表作品　作者　能瀬敏夫」より)　

　突然、
「次の者は明日、ソ連軍の命令でシベリアに出発する」
　と、名簿を持ってきました。
　詳細の説明を求めて、ソ連軍とは最早関係の無いことだと抗議をしましたが、ソ連軍からの厳然たる命令である。と書類を見せ、どう仕様もありませんでした。
　今までこのような決断を下した書類を見せて貰ったことは無く、曖昧模糊とした中で、我々は管理されていた様でありました。これがソ連流なのか、この様な形で病院長を始め
、病院の主力男子の大半がシベリアに連行されました。
　出発を前にして「出発する者は病院の資材を持ち出してはいけない、但し、故人の携帯品は、持てるものは全て持参しても良い」
　と、通達がありました。

　その頃五人組の一人が、
「実はお前らはシベリア経由で日本に帰るのだ」
　と、言ったとかいうデマが流れて騒然としましたが、何れにしても病院長を始め主務者の与り知らぬことで，この様な話は彼等が日本人をシベリアに連行する時の常套語であることを改めて知りました。
　この時点で関東軍第九陸軍病院、(斉々哈璽陸軍病院) は、完全に解体され、組織は消滅することになりました。
　然しながら、病院の事績だけは何としても残し、これを本国に伝えねばならないと、書類を分散して故人で保持し、その一部でも誰かが持ち帰れることを念じて、次の様に分担所持することにしたのでした。

　　岩島大尉　　職員録・入院患者名簿

加藤大尉　　死亡診断書・病床日誌

中田少尉　　死亡者名簿・同遺留品

　又、田村曹長は復員局に報告のために、中村婦長は、厚生省と赤十字関係機関に病院の事実を報告するために、一部の人々と共に脱出して難民の群れに身を投じて、早期帰国を模索することになりました。

　そして、田村、中村の二人は、ご苦労の末難民と共に帰国して、その任を果たされたのですが、この二人は、最後まで「病院と行動を共にしたい」と、市中に出ることを拒み、その説得に随分時を費やしたことでした。

　分担して持参した書類のうち、死亡診断書と同遺留品は辛うじて復員局に届けることが出来ましたが、これについては、太平洋戦争を通じて、海外から持ち帰られた唯一の公文書である、と称賛されました。
　実は、これらの書類は、一度没収されたものですが、その後中国共産党の幹部に嘆願して、時の日中友好協会副会長趙安博さんの尽力で我々の手に戻り、持ち帰ることが出来たもので、まことに幸いなことでありました。
　他の文書は何れも没収の憂き目を見ましたが、どうしようもないことでした。

(シベリアへの抑留、極寒の地での凍土と病いとの戦い。生き抜いた者達へ渡された
「帰国の途」という切符とは・・・チチハル陸軍病院経理勤務、そして終戦。ハルピン
への移動・・・、病院開設・・・。傷病兵、難民で施設はあふれ、修羅場と化した。
「哀しき夕陽、原作　能瀬敏夫_未発表作」)

葦のかご教会水曜讃美祈禱会（2021年7月14日）能瀬熙至兄弟
https:// www.youtube.com/watch?v=VX9rfrrNJhA

【賛美】主の計画の中で
Seekers (Within Your Plan
주님의 계획속에서
https://www.youtube.com/watch?v=NjUEbhpxJYE&feature=youtu.be

【賛美】いつもいつまでも
Seekers (Always
andForever
항상영원히까지
https://www.youtube.com/watch?v=MsfDBkdK3XQ&feature=youtu.be

【賛美】あなたが共に
Seekers (Together with God
당신이 함께
Eng,Kor sub)
항상영원히까지
https://www.youtube.com/watch?v=xTuqgreT0hg&feature=share