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Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2008.09.28
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カテゴリ: その他

 何と言っても、まず、『池袋ウエストゲートパーク』。
 何年か前に、TSUTAYAでDVDを借りてきて、全話見ました。
 ところが、原作の小説は、実は何ひとつ読んでいません……。

 で、本著は、リクルート「R25」に連載された
 「空は、今日も、青いか?」2006年1月~2008年2月掲載分に、
 加筆・修正を施して、一冊にまとめたもの。
 だから、読者としてのターゲットは、社会人になりたての若者ということになります。

全体が6つのパートに分けられていますが、

何らかの意図をもって、このような構成になっているのだと思われますが、
ことさら、それを前面に押し立てているようすもないです。

読んでみると、出だしからしばらくの間は、
個人的には、「何だかなぁ……」という感じで、
共感するというよりは、石田さんって、こういう考えのヒトだったんだと
気付かされる部分の方が多かったです。

でも、後半に向かうにつれて、「そう、そう」と頷ける部分が増えていきました。

  それでも、ぼくはいいたいのだ。
  子どもたちを消費者やマーケットとして見るのは、もうやめませんか。
  今の日本の状況では、親も教師もとうてい企業の高度なマーケティング技術の敵ではない。
  (中略)

  こうした風潮は、まだ自分で働いて金を稼いでいるわけでもなく、
  成熟した価値判断ができない子どもたちを巻き込むのは、異常な事態である。
  子どもたちを子どもマーケットから守り、チャイルドブランドの奴隷にしてはいけない。
  消費社会の果てに広がる荒野に、新しいモラルが求められている。(p.133~134)

世に蔓延る「拝金主義」や、

警鐘を鳴らす一文ですね。

  情報が増えるということは、それだけ迷いも増えることだ。
  ぼくたちは今や携帯電話やパソコンのメールやネットにぶらさがるように生きている。
  人間が主人なのではなく、携帯電話を運ぶためののりものになったようである。
  でも、この数日ネットから遠く離れて気づいたことがある。
  ちいさな声でいうけれど、それは別に新しいテクノロジーなど、
  なくてもまったく快適に生きていけるということだ。(p.209)

これは、実感です!
便利だと思っている様々なツールに、実は私たちは、24時間縛り付けられ、
振り回され続けているのです。
それらから解放されるなら、どんなにゆとりある暮らしになることでしょう
(もちろん、効率の面だけで言うなら、必ず悪くなるのだけれど)。

  ぼくたちの時代は知の時代である。
  何かを知ることが、力であり善だと無意識のうちに考えられている時代だ。
  だが、人という存在のなかには、とうてい理解不可能な悪がある。
  それを知ることで、逆に悪い影響を受けるほどの毒が眠っているのだ。
  「深淵をのぞきこむ者はまた、深淵にのぞきこまれる」
  晩年精神を崩壊させたドイツの哲学者ニーチェの言葉で、
  これほど恐ろしいものはないだろう。(p.227~228)

少年事件の報道を受けての、この一文も示唆に富んでいます。
知るべきことと、知らなくてもいいこと。
その線引きを、マスコミの側がしてくれることは、あまり期待できそうにありません。
情報化時代に生きる、私たち自身の理性が試されていると言えそうです。

  ぼくはときどき不思議に思うことがある。
  格差社会という言葉ができるまで、社会にたいした格差は存在しなかったのではないか。
  あるいは、負け組という言葉ができるまで、
  ほとんどの日本人は自分を中流階級だと単純に信じられたのではないか。
  ある現象が名前を与えられることで、あとから急激にリアルな現実として立ちあがってくる。
  それは言葉が現実を生んでしまう皮肉な逆転現象である。(p.238)

これも、まさしく真理!
何とも言いようのなかった感情が、ある瞬間に、言語化された途端、
例えば、「辛い」とか、「悲しい」とか、「苦しい」とか、ネーミングされた途端に、
一気に、自分の心の中に押し寄せ、そこから抜け出せなくなってしまうのと同じです。

あとは、第5部のところが、結構楽しめました。
業界裏話的な要素があり、新鮮でした。





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Last updated  2008.09.28 17:11:47 コメントを書く
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