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Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2016.12.17
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カテゴリ: 教育・子育て
『愛着障害』 、『回避性愛着障害』に続く、
 岡田さんによるシリーズ?第3弾。
 私は、まだ『回避性愛着障害』は読んでいませんが、
 読み進めるうえで、全く問題ありませんでした。

 そして、『愛着障害』とは趣が全く違いました。
 岡田さんの、この分野に関する研究が進んだこともあるでしょうし、
 何と言っても、実践的でリアリティにあふれる一冊になっています。
 「愛着アプローチ」という言葉が、本著の肝。



  暴言には反応しない冷静さとともに、
  暴言の背後にある本人の気持ちを読み取って、
  そちらに反応することのできる能力が必要になる。(p.33)

「優れた支援者となれる人に共通して備わっている能力」として、
岡田さんが書き記しているものです。
「専門家といえども少ないのが現実だが」と書き添えられているように、
分かっていてもなかなかできることではありませんが、精進を重ねて参りましょう。

  だが愛着モデルでは、患者は患者ではない。
  本当に病んでいて、病状を引き起こす原因になっている者は、
  他に存在するのである。
  医療少年院の少女の例に見られたように、

  改善は難しい。
  なぜかといえば、症状の本当の原因が、子ども本人にあるというより、
  子どもを育ててきた環境や、周囲の大人との関係の方にあるからである。(p.37)

本著に述べられていることの、最も基礎となる考え方。
「発達障害は脳の病気であって、親の子育てに問題があるのではない」

ある意味、その流れに一石を投じるものです。

  治療できないものは、診断しても治せない。
  だが医師の本能としては、「患者を直したい」と思う。
  それゆえ、自分が治せない診断をして治療を断るよりは、
  治療の可能性がある診断をして治療をしようとする。
  それは言い換えると、
  医師がもつ治療のレパートリーに診断が左右されるということだ。
  医師の治療の中心は、薬による治療である。(p.53)

「うつ」や「ADHD」などの発達障害の診断・治療に関する、
現場の精神科医による、鋭い指摘です。

  安全基地がうまく機能すれば、
  休みが必要な間は、ゆっくり休養をとり、
  傷ついた思いが癒されて元気を回復すれば、また本来の活動へと戻る。
  別に出て行けと言わなくても、自分から行動を再開する。
  失敗したことを責めたり、求められてもいないことに意見をしたりするのは、
  本人を余計に痛めつけ、回復を邪魔することにしかならない。(p.175)

にもかかわらず、無自覚にも、
本人が今いちばん話したくないことを、心配のあまり聞いてしまう。

  たとえば、学校や会社のことで悩んでいる人に接する場合、
  むやみに学校はどうだ、会社はどうだと、根掘り葉掘り質問することは、
  傷口に塩をすり込むようなものである。(中略)
  そういうことを、いきなり聞いてくる人に、
  気持ちを開こうという気にはなりにくい。
  こうした状況では、まず本人にとってさして重要でない、
  たわいもない話をすることから始める。
  それさえもしんどそうなら、黙って一緒にいるだけでもいい。
  無理に話しかけないことも大事なのである。(p.175)

さらに、次のようなことも、岡田さんは指摘しています。

  本当に目指すべきは、
  問題の答えを見つけることでも、解決することでもない。
  問題に本人が向き合い、
  本人なりの答えを見つけていくことに付き合うことなのである。
  付き合うことができない人は、安全基地にはなれない。(p.193)

  安全基地が「安全」なのは、自分の本音を出しても、
  それを受け入れてもらえるからだ。
  不満一つ言わせてもらえず、それに対して教育的指導が入り、
  説得や批判をされるとなると
  そこは思想改造のための収容所になってしまう。(p.198)

何と示唆に富んだ言葉の数々!
「優れた支援者」を目指すなら、心に留めておくべき事柄。
そして、愛着アプローチによって愛着を改善していくための極意は次の通り。
本人にとっての安全基地となってもらいたい人(両親など)への接し方です。

  安全基地となってほしければ、
  相手の非を責めるよりも、
  こちらが安全基地となって、
  その人の安定を図った方が、よほど効果的なのである。

「優れた支援者」にならねばならない方は、ぜひご一読を!





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Last updated  2016.12.17 13:41:09コメント(0) | コメントを書く
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