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2018.06.02
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カテゴリ: 教育・子育て
​ 昨年の秋頃からか、このブログに9年ほど前に書いた
『日本一醜い親への手紙』 の記事へのアクセスがチラホラ増えてきた。
 何故だろうと思っていたら、「毒親」がちょっとしたブームらしい。
 昨年10月には、『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』
 という第2弾が刊行されたとのこと。

 そして、そのこととは全く関係なく、たまたま本著を読む機会を得たのだが、
 これがまさに大当たりで、今年、これまで読んできた書籍の中でNo.1の逸品!

 あまりにも「直球」過ぎて、メディアで取り上げにくいからではないだろうか。

   ***

毒親の抱える4つの精神医学的事情
(1)発達障害タイプ
  ・自閉症スペクトラム障害(ASD)
  ・注意欠陥・多動性障害(ADHD)
(2)不安定な愛着スタイル(不安型と回避型)
(3)うつ病などの臨床的疾患
  ・トラウマ関連障害
  ・アルコール依存症
(4)DVなどの環境問題

  ・親になる心の準備不足
  ・障がいのある子の育児など、圧倒的な余裕のなさ
  ・親の親も「毒親」だった
  ・子育てより大事な「宗教」など(p.105)

これが、本著で述べらていることを集約したもの。


  「はじめに」で触れたAさんの母親は、
  『毒になる親』の分類の中では「『神様』のような親」
  「コントロールばかりする親」に該当すると思われますが、
  先述のようにそれは発達障害によるものだったわけです。(中略)
  単に発達障害であるがゆえに、
  ある点に注意を奪われるとそれを達成することだけにとらわれてしまい、
  うまくいかないとパニックになる、ということだったのです。(p.51)

親の子に対する理不尽な行動の根源に、親の発達障害があるケース。
そのことを頭の隅に置きながら対応することで、
様々な場面で、より適した言動が可能になるはず。
そのためにも、この問題に対応する者には、発達障害に対する知識理解が求められる。

  前述しましたが、ASDタイプの人は、
  自分の領域を侵害されたと思うと、攻撃的になる場合が少なくありません。
  その間、頭脳はほとんど働いていないので、
  いくら説得しても、ますます怒らせてしまうことになります。(p.62)

これも、このことを予め知っているのと、全く知らないのとでは、
その状況に遭遇した際の行動に、大きな違いがきっと出てくるはず。
予め知っていれば、そういう事態に陥ることを未然に防ぐことも出来るし、
また、そういう状況になってしまった場合にも、とるべき行動が分かるだろう。

  ADHDの親は、自分が子どもとの間に問題を抱えているという自覚が
  ほとんどありません。
  親の不規則さについに子供がキレて問題が顕在化するまで、
  そちらの方面にはあまり関心が向かないようです。
  ですから、子どもが親を愛していることを確認したりするような親は、
  発達障害ではないと言えるでしょう。(p.82)

もちろん、素人判断で親を「発達障害」と決めてかかるのは良くない。
「そういうことも考えられる」というレベルで対応し、
普段の行動を観察したり、会話の中から親の特性を把握していく必要がある。
もちろん、子どもから聞き取った情報も重要なものとなる。

  うつ病は、子どもをかわいいと思えない、子どもの世話をする体力も気力もない、
  という「症状」を作ってしまいます。
  それゆえに「親は本来子どもを愛するもの」という「常識」を
  平気で覆してしまいますし、
  不安が強いタイプのうつ病では、
  子どもに対して理不尽に過保護になる場合もあります。(中略)
  そのほか「毒親」としての形は、
  ネグレクトや子どもに対するネガティブなコメント、
  イライラを反映した暴力、不適切な不安や焦燥、
  「もう死んじゃうから」など、
  自分の自殺をほのめかして子供にプレッシャーを与える、などで表れます。(p.84)

これは「うつ病」に対する理解が不十分だと、
決して良い対応には結びついていかないだろう。
言葉としてはよく知られていても、本当の意味で理解している人は少なく、
まだまだ「気持ちの持ちようの問題」と捉えている人が何と多いことか……

  例えば、複雑性PTSDを持つ人の中には、
  他者に対してとても攻撃的になる人がいます。
  それは「感情コントロールの障害」として
  きちんと「症状」と認められているものです。(中略)
  「ひどい目に遭ったことはわかった。だからと言って何でもしてよいのか」
  というような批判に私が違和感を覚えるのは、そんな背景があるからです。
  「症状」は、本人にはコントロールできないからこそ「症状」なのです。(p.111)

これこそが、精神疾患の様々な問題の根源となるところ。
「症状」ということが理解してもらえないことが本当に多い。
ほとんどの人が「本人にはコントロールできない」という体験をしたことがない故だが、
「脚を骨折していたら、走れない」のと同じだということが、想像してもらえない。

  1つの象徴的なやり方は、経済的に多少の無理をしても可能であれば
  子どもがひとり暮らしを始めること、
  そして親がそれを認めることです。
  これは親のコントロール下から解放されることであり、
  治療中の方であれば、私はその家賃負担を親に頼みます。(p.119)

親の抱える問題が、親自身では解決しようのないことに起因するものなら、
子は、その事実を認めたうえで、親から離れ、自立していくしかない。
この事実を認めていくプロセスが、とても大切なものであるのは、
本著の中で、著者が繰り返し述べていることである。





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Last updated  2018.06.02 13:07:47コメント(0) | コメントを書く
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